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嫌支郎くん……とか言ったね?

 現行の自衛隊法第3条の1項には「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」とある。これはウィキペディアからのコピーだから、字句の異同無きを保さぬ。

 昭和29年の制定時の文言は、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、《以下おなじ》」であった。

 つまり自衛隊の指揮官ならば間接侵略と戦うのが本務なのだ。村山談話は間接侵略である。シナ・朝鮮の世界観を受け入れ、まさしく我が国の独立を脅かすものだ。よってオレはそんな狂った声明は認めずに、シナの歴史観と戦えるように部下を教育し、日本国を守るぜ、と理路整然と主張する統幕議長があらわれたら、兵頭はどうして支持しないことがあろうか。

 戦前の米国の排日移民法や、戦中の日系人の強制収容をとりあげて、米国(なかんずく日露戦争後のサンフランシスコの政治と経済のボスたち)による過去の人種差別を糾弾する話もOKだ。連邦の排日差別立法が日米戦争の前駆ムードをつくったことは、昭和天皇も晩年に回顧して認めておられたと記憶する。だが……。

 「コミンテルン」と「真珠湾」を結びつけた時点で、田母神論文は有害文書以外のなにものでもなくなってしまった。そのレベルのこじつけは、第一次大戦前から情報戦のつわもの揃いだった米国政府を馬鹿にするものであるし、近代以降の現在までの全日本人を、陰謀にひきずりまわされるだけの無能者あつかいするものでもある(旧陸軍の満州組も靖国で怒ってるよ、きっと)。そこが分からないのだから田母神氏もその支持者も「タラズ」なのだ。
 過去の政戦略の分析と現在および未来の政戦略の分析は、同じ頭でなされるだろう。日本の参謀総長には政戦略の複雑さに対する想像力がない。これがリアルに知られてしまった。情報分析の次元馬力の小さな者が参謀総長に出世し、真珠湾に関して米国を逆恨みしている。なおかつ日本人は「仇討ち」が大好きだ(清沢洌の戦争日記を読め)。終わったぜ、「日米同盟」は……。

 シナ政府は、田母神論文は日米のヴァーチャルな互恵関係をリアルに破壊するだろうとすぐに読めたから、田母神論文には噛み付かなかった。有能な弁護士は、敵の自殺的発言は法廷で当座、スルーしておくものだ。それは、しっかり記録されているのだから、あとでいくらでも役に立てられるのである。

 田母神氏の2008年論文とそれをめぐる政府要路、政党、議会、ならびに大手マスコミの言論は、日本の「指導的5%層」が、うわべから想像される以上に無教養なのではないか、世界も歴史もロクに想像できていないのではないかとの疑念に根拠があることを、米国の「指導的5%層」に明証してしまった。これにより、日本の核武装もほとんど不可能になった。これが2008年の最大の事件だ。これが兵頭の今年の総括だ。

 よって、来年からは、「核ナシの単独防衛」を考えなくてはならなくなった。
 まあ、なんとかするしかあるまい。すでに並木書房さんに1冊の企画を提案したところです(『予言 日支宗教戦争』とは別)。

 清沢の戦争日記(死後に『暗黒日記』というしょうもないタイトルで発売されたのは不幸だった)は「読書余論」でも取り上げた、。
 この中で清沢は、日本の庶民には当然と思われている「仇討ち」(殊に、非血縁の手による仇討ち)の発想が、英米はおろかドイツでも通用しない話であることを何回か書き留めている。

 北鮮に日本人を攫われたから、米国に戦争してもらう――などという、今年目覚める以前の中西先生らが陥っていた発想は、〈非血縁の仇討ち〉を期待するものだったのじゃないでしょうか。
 江戸のかたきは長崎で一本取っていい。それがフツーの外交だ。そのフツーの外交が、日本にはできず、なぜか一足飛びに「討ち入り」を冀求してしまうのだ。

杉山さま

 いつもどうもありがとうございます。頂戴しました。
 皆様ご自愛ください。

 片桐さま。
 どうもお気遣い恐縮です。来年また何かやりたいですね。

老子むいむい草

 げんざい並木書房さんに原稿を渡してある『予言 日支宗教戦争』。じつはそのうちの1章を「老子」詮議に充てております。題して「老子の兵法」。これだけでも類書が無いものです。じゅうぶんに味わっていただけるでしょう。発売予定は来年でしょう。

 田母神論文のおかげで日本の核武装はまったくありえなくなってしまったので、皆さん、一から西洋宗教を勉強しましょう。


 昨日とどいた『朝雲新聞』(#2844号、2008-12-18日付)に、同紙編集局がまとめたという今年の15大ニュースが載っていたのだが……。なんと、“高知沖の国籍不明潜水艦失探事件(2008-9-14)”が無い。つまり虚報確定だ。
 あれは、読売新聞が未確認情報を暴走させたのか、それとも海幕広報or内局広報が読売新聞に対して大負債を負ったのか、どっちなのだろう。
 いずれにせよこれでハッキリしたこと。海自は、米軍情報から切り離されると、まるで木偶の坊である。海自はシナ潜水艦をその軍港沖から自前で監視できていない。海自はまた、日本沿岸のSOSUS情報を日本のために使いこなせてもいない。それを活かしているのは米海軍だけ。こんなことが、またも駄目押し的に確認された。
 ほんらいなら海自の潜水艦の定数を増すべきなのだろうが(SOSUSを日本単独で持ってみても、シナの“漁船”に切断されて抗議もできず泣き寝入りするだけというオチが見えている)、造船所が神戸に2箇所しかないためそれが到底不可能であるならば、無人潜航艇によってシナ沿岸を貼り付け監視させるしかない。これなら「大綱」の変更も必要ない。駆逐艦/掃海艇に付属する装備(可変深度ソナーや旧DASH、またはロボット機雷処分具のようなもの)が一つ増えるだけだ。

 有人装備の無人化は、確実に、来年以降の「技術戦争最前線」だ。
 しかし、アンドロイドが出てくるSFや、人間の形を相似的に大きくしただけのロボットが出てくる日本のチャチなアニメに慣れてしまった者には、逆にこの展開の予想は立てられまい。無人兵器はヒトにはすこしも似ていないのだ。ヒト型地雷を別にして。

 有人兵器の無人兵器化は、既製の兵器メーカー以外のメーカーの参入を可能にする。そこには投資が何倍にも化ける可能性がある。米国の強欲投資家は、もうここに目をつけているはずだ。つまり日本の非兵器メーカーにロボット兵器を完成させて、日本政府に購入原資を醵出させるとともに米軍に売り込んだらどのくらい儲かるだろうか、と。

 もちろん先行する米国では無人艦上爆撃機から虫型殺人兵器まで開発依託契約がなされているけれども、おそらく米国ではそれが特段の「有効需要」を期待させない。というのは既製の巨大に育っている兵器&人員システム(すなわち国防費の流転)をドラスティックに節減することにしかつながらないからだ。しかし日本では、もともと何もない分野をこれから大きく育てようという投資になるから、零細土建会社への給金垂れ流しとはさかさまの、公共投資の偉大な乗数効果を生んでくれるかもしれないのだ。

 『表現者』2009-1月号の座談会記事は、他媒体に類例が無い、目の醒めるような内容だ(これには西部邁氏は加わっていない)。内需市場など皆無のシナは、米国市場の壊滅後は日本の内需に目をつけ、シナ製品をどんどん買ってくれと要求するしか道がない、よって油断するな!――との警報は適宜なものだ。
 ところで経済専門家の言い草には一大特徴がある。「オレはあのとき、こう警告した。それは今、当たった」というのだ。ではそのすばらしい警告はどうして当初において世間に聞かれず、他のすべての経済専門家によって「そうだ、その通りだ! オレは○○氏の指摘したことに大賛成だ」という即時の同意表明と持続的な警鐘乱打がなされて来なかったのか? 住専以降、たとえば別宮暖朗氏は〈銀行というのは地域密着で小振りだからこそ、その機能を万全に発揮してくれるので、銀行をやみくもに統合させて大きくさせてしまうのは日本政府として甚だ間違った経済政策だ。むしろ、いまの都銀支店をすべて本店として分社独立させるような金融政策を打ち出すべきなのだ〉とインターネット上で言い続けていた。これは今、中小企業に対する貸し剥がしという現実によって部分的に的中した断定だと思うが、兵頭の記憶する限りでは、『発言者』の記事で別宮氏と同じような説明もしくは提案をしていたのは読んだ覚えがない。つまり「オレは言い当てた」と今、自慢している経済専門家も、その一方で、多くの予言を外したか、結果的に適切な説明への賛成を表明し損なっているのだ。

 『文藝春秋』1月号で、日本の食料自給率が悪いとするのは農水省の統計操作だと指摘している浅川芳裕氏も、いままで比較的マイナーな専門媒体で活躍して来た人なのだろう。この人がもし早くからインターネットで同じことを書いてきたらどうだっただろうかと思う。

 メジャーな経済論筆家ほど、格付け会社と同様な腐敗同化圧力を意識するしかないのだとしたら、その理由は、おそらく、どんな悪徳な新規スキームであれ、そこには常に、先に儲けて先に逃げ切る「勝者」があり、その勝ちっぷりは圧倒的だからだろう。Everybody loves the winner だからだろう。
 戦前のアメリカ合衆国で展開された新進政治家たち(=キャリアの初めが法曹家。その何人かが後に大統領になっている)による「アンチ・トラスト」活動は、身体を張った偉大なものだった。目下進行中の公正でない社会現象を適宜に判定する、その自浄力の根元は、彼らの宗教以外にあるだろうか。というわけで宗教について、いまさらに追究をしたいわけである。

 「読書余論」のアイテムにも宗教関係の古書を増やしていこうと思っております。

 来年1月には季刊『日本主義』(白陽社)も出るだろう。函館戦争に関する座談会等が載るだろうと思います。ほどほどに、ご期待ください。

 それに関連して、ご紹介し忘れたことあり。
 「土方・啄木浪漫館」にしばらく行っていなかったのだが、季刊『日本主義』の担当記者氏を観光案内したついでに立ち寄ってみたら、「暗器博物館」と化していた(爆)。
 昔、拝見した、(土蔵の町)川越の鉾付き鎖鎌展示博物館(正確な名前を忘失)いらいのインパクトがありやす。
 たとえば……。
 永倉新八の仕込み杖。
 矢筒=金属筒の中の弦巻バネの反発力で手裏剣を飛ばすもの。手裏剣は木柄に先端の尖った金属をつけている。シナでは「袖箭」と呼ぶという。
 鉄扇の握りがサスガになっているもの。分離して短刀になる。
 キセルや笛が、2分割すると刃物になるもの。
 仕込み手燭なんてものもあり。これは鎗状。
 矢立にも同様趣向あり。
 煙草入れの取っ手が仕込みの短刀になってるもの……等。

 よくも集めたもんです。館員の中に面白い趣味の人がいるとしか思えません。今後の拡充に期待します。

DEATH NET(デス・ネット) ですね……ナンチャッテな……

歳末不祥事気付き合い運動!
 Mistletoe を飾るつもりで、 Missile TOW を飾り付けてしまった……なんてことのないように、致しましょう。

増元さま

 名物の餃子を大量に頂戴しました。詢に有り難う存じます。
 F1撤退は、とうとう来るべきものが来たという感じですね。
 尋常な排気量で尋常でない轟音とともに尋常でないスピードで尋常でないカーブを曲がる、そして観客の見た目の順位がそのまま勝敗順位になる、そのような自動車レースは日本ではビジネスとしては終わってしまったのかと思います。
 ラリーではないとすれば「轟音」要素が集客力に欠かせないので、たとえばエコ・エンジン改良競争とショーの結合はほとんど不可能なのでしょうね。
 たとえば排気量を軽クラスまで縮小したら「音」の要素が2輪レース並になってしまうでしょうからね。

 余談ですがトヨタがスズキと組んで欧州向けの小型無公害ディーゼルの新規開発をするのをやめたという今朝のラジオ報道は、もう阿呆かと思いました。

 むかし「マッハGo Go Go!」でやってたような、自動車のプロレス、つまり、エンジンの優秀性ではなくボディの頑丈さを競う見世物は、まだアリかもしれません……。地雷デス・レース、とかね……。どうも不謹慎ですいません。

籏谷さま

 いつもありがとうございます。いただきました。
 あの本がロングセラーになることは間違いないでしょう。
 御一門のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

内田さま

 どうもありがとうございます。来年もいきのびましょう!

池田さま

 どうもありがとうございました。おいしいです。
 来年もがんばりましょう!

年末なので早めに前宣伝。今月25日配信の「読書余論」の内容予告です。

▼清沢洌『暗黒日記 I』評論社、S50-10
 外交評論家が遺した有名な戦争日記だが、大部なので、全部読み通す暇のある人が少ないだろう。今回は、3分冊版の第一巻から。たとえば……
S18-9-16、「日本は満州事変いらい、旧条約は新事態に適応しない場合には、いつでも破っていいという立場をとっているではないか。今回のイタリーの場合がそうであった」。
10-9、……空襲と潜航艇は戦時国際法未決の問題だから、講和会議のときに必ずこれを持ち出せ。
11-21、英米人は干渉嫌いだが、それは他者の思想に対してで、他人があきらかに困っているときは声をかけて助ける。町で考え込んでいると、「何を捜すんですか」といって必ずヘルプしようとする。
11-26、「各新聞とも、今日は米国の対日最後通牒の記念日だとてデカデカに来栖の話しを書いている」。
11-29、読売の夕刊。開戦経緯は、まず野村、来栖がハルを往訪し、最後通牒を発し、それから戦争になったと。「こうした嘘をどうして書かなくてはならないのだろう。嘘を書くところにその道徳的弱みがある。そのまま発表したらいいではないか」。
12-6、日本人が唯一じぶんで認めている弱みが、「宣伝下手」ということ。他は総て日本人が優れていると思っているのだ。
12-28、湖南省の僻村で新聞記者が杖を拾ったら「殺、殺、殺尽倭奴、死、死、死得其所」と小刀で刻みつけてあった。民家の壁、学校の塀にはところきらわず「保家必先保国」「殺尽日本鬼子」「有力出力当兵殺敵」…etc.

▼大屋典一『東京空襲』S37-1、河出書房新社
 これほど野次馬根性を発揮して住民の視座から首都空襲を写生しつづけた記録は他に無い。目撃したり聞きこんだ空戦模様は全部書いている。たとえば……
1944-12-13、双発の屠龍が一機、日の丸の標識もあざやかに低空をものすごいスピードで本所方面から……。
1944-12-27、B29のMGでやられる戦闘機も目撃。さいしょは白い煙を……。
45-1-9、双発戦闘機が1機、後方から体当た……。
45-2-16、翼の先がまるい、見なれない形の戦闘機のむれ。一機から搭乗員がパラシュートで降りてきた。正面からW形にみえる、翼の先がまるくなった……。
45-4-7、AAでP-51×1機が空中分解するのを見る。味方の戦闘機も3機……。
45-5-24、体当たりでとうとう1機を落とした。B29がAAでやられたときは、小さい火の玉をつけたまましばらく海の方へ飛行するのだが、不意に粉々になって消えてしまう。45-8-2、夜戦が、左翼に赤、右翼に青の標識をともしているが、標識燈がもう一対、赤と青の内側にそれぞれ黄色い燈あり。
 清沢洌がS20-5に死んでしまっているので、最後の4ヶ月間の空襲を追体験したくば、大屋の日記を読むしかないだろう。

▼岸田國士『従軍五十日』創元社、S14-5
 著者は幼年学校→士官学校の経歴があるのだが、自由主義者で、この本は決して陸軍をヨイショしていない。検閲を回避して真相を知らせる方法を知っている文士だ。
 「上海は、この地に働くある種の女たちに云はせると、長崎県上海市ださうだ」(p.8)。※すでにあいまい宿が繁昌していることを教えている。
 南京には、事変の前は、邦人は120人にすぎなかった。今では軍人軍属をのぞいて3081人もいる。ただし、占領いらい10ヶ月経った今日、やっと中学が一校、その授業を開始したという事実は、復興が遅いことを教える(p.22)。
 南京の光華門のそばの日本人経営の支那料理屋。サーヴィス・ガールは16~17の支那姑娘だが、いくたりも側へ寄ってきて勝手に卓子の上の南京豆をかじり、日本の流行歌を得意げに口吟む。料理の材料はとぼしい。「南京ではまだ支那人の生活が形を成してゐないといふ感じがした」(p.66)。
 楊州の宗教信者。カトリック200人、プロテスタント500人、仏教300人。
 シナでは上海の外国租界でしか絶対にみかけなくなった中流以上の女が、たしかにここ楊州では平気で家の門口に出ているし、街をぶらついている(p.183)。
 南京の図書館の整理がやっと緒についたという報道があった。なぜ軍政のついでとしてではなく、日本の文化人にそういう仕事を任せないのか。

▼運輸省港湾局『日本港湾修築史』S26
 清水港はいかに天然の良軍港になる資格があったかが分かる。ここを幕末に開港していたら歴史は変わったかもしれない。

▼神戸高等商業学校『大正八年夏期海外旅行調査報告』大9

▼中出栄三『木造船の話』S18
 木造の戦標船があったのである。

▼入江寅次『明治南進史稿』S18
 榎本武揚はロシア公使のときマリアナ諸島(ラドロン諸島)をスペインから購入させようとした。

▼水路部ed.『港湾状況 日本及び東洋方面』S2
 台湾の部には、基隆と高雄が。
 ハワイは民間用のホノルル港。これだけでもいかに凄いかが分かる。真珠湾が破壊されても平気なぐらいだった。

▼宇田川武久『日本の美術 第390号 鉄炮と石火矢』1998-11 至文堂
 初伝銃のスペック。バレル69.2cm、径17mm、肉厚3ミリ……など数値のデータが豊富。

▼岡成志『戦争と宣伝』S17

▼防研史料『大発動艇取扱法(案)』S8-7

▼防研史料『「スキ車」ニ関スル綴』S19-3
 トヨタは戦中に面白いものを陸軍に納入していた。なんと4×4の水陸両用トラックだ。その取扱法を紹介。

▼防研史料『試製二十四榴 二十榴 ろ弾 弾道緒元表 他』S19-6
 荷車利用の3連ロケット発射台など。

▼防研史料『「ソ」軍関係史料』S16-2~17-8
 1941-1月~4月の各国の石油産額。日本国内よりもポーランドの方が産油量が多かったことなどが分かる。
 陸軍の現用投下爆弾名称、炸薬の種類と充填量、正式決定の日付などの一覧表。

▼ブルクス・エメニイ(Brooks Emeny)著、豊崎稔tr.『軍需資源論』S14、原1937
 この邦訳には石油の話は無い。原書もそうなのかは知りません。

▼『兵器生産基本教程 Vol.12』1943
 光学兵器の、「眼鏡」の種類をご紹介する。ただし、載っている最新の型番は「98式」まででチト古い。

▼光学工業史編集会ed.,pub.『兵器を中心とした日本の光学工業史』S30
 戦中~戦前の陸海空用の光学兵器をぜんぶ網羅した800頁以上もある決定版カタログ。そのうち、陸軍地上部隊の双眼鏡と砲隊鏡の要点だけを抜き書きしてみた。たとえば……
 S7春の対ソ動員計画は42個師団だった。分隊長は計36288名となる。それに新たに双眼鏡を支給するには、1個80円なら300万円の予算が必要だ。38式野砲が1門9000円、3年式重機が1500円、38式歩兵銃が40円なのに、そりゃ無理だ。そこで30円のものを新設計することになった。小畑と柳川がプッシュしてくれた。プリズム式なら30円は無理だが、ガリレオ式4倍(オペラグラス並)ならばできる。全工程を考え直した苦心のコストダウン方法は……。
 明るい(=射出瞳孔径が大きい)眼鏡は、倍率が低くとも、薄暗がりの斥候では有利。しかしまっぴるま3000m先を見張るような条件では、倍率がモノをいう。

▼難波浩tr.『ナポレオン全集第1巻 イタリア戦記(上)』S18

▼日本兵器工業会『陸戦兵器総覧』※部分

▼橋爪大三郎『世界がわかる宗教社会学入門』2001
 一神教の発想は、奴隷制の体験なしでは生まれない。人間が、他の人間の意のままになったり所有物になるのだから。
 阿弥陀仏は、ゾロアスターのアフラマズダがインドに入ったもの。
 「戦前の天皇制に反対して、獄中でも転向せず信念を貫いたのは、日本共産党と創価学会だけだった」(p.188)。
 「ある社会の人びとが、なにを考えなにを信じて、その社会を支えているか」。これを公義の宗教とした場合、儒教も宗教である。神を信じるのが宗教なら、儒教は宗教ではない。シナでは、儒教が、人々の価値の根拠となり、行動に指針を与え、世界観を提供して社会がうまく運行するように支えている。つまり宗教の機能を果たしている。
 シナ社会の最初の宗教は、おそらく祖先崇拝。祖先が偉かったから、自分たちも偉くて正しいと考える。共通の祖先があるから団結できる。
 その祖先の祖先……をつきつめると、大昔にとんでもなくすばらしい理想の支配者がいたことにせざるを得ない。それが尭、舜、禹など。
 シーク教は聖職者を認めず、勤労を貴び、カーストを否定する。鉄の腕輪をしている。独立運動は失敗した。
 一神教でないと、法律(契約)が統治者階級に及ばない。つまり「法の支配」の発想がうまれない。
 ゾロアスター教は火を神聖視するので火葬ができない。イスラムでは火は地獄を象徴するので死者にふさわしくない。

▼山本浩ed.『獨逸落下傘部隊と機械化兵団』S16

▼近藤和子『外人部隊と「現代植民政策」』1978

▼本郷健『戦争の哲学』
 過去にロシアに侵入した軍隊の最大進攻距離の比較あり。

▼ミルズ『パワーエリート』(上)(下)
 グラントからマッキンレーまでの大統領は、クリーヴランドとアーサーを除けばすべて南北戦争時代の将校であった。ただし職業軍人はグラントのみ。
 合衆国大統領33人のうち、約半数が軍事的経験をもち、6人は職業将校、9人は将官。
▼垣花秀武『原子力と国際政治』
 ソ連もコメコンに供給した核燃料は全量回収している。
 西独、スウェーデン、フランスが米軽水炉ライセンスから脱したのは、60's後半。カナダは重水路を売り始める。
 使用済み燃料の再処理の商業化では、仏と英が米にさきがける。
 アルゼンチンとブラジルは原発では対抗関係にある。イランにも原発があるのでイラクが対抗しようとしている。
 CANDUは、インド、パキスタン、韓国、アルゼンチン、ルーマニアにも輸出。
 イラク研究炉はIAEA保障措置下にあったが、原爆研究を妨げなかった。

▼『安田女子大学紀要』No.2(1968)

▼川瀬一馬『増補新訂 足利学校の研究』S49年

▼『続日本紀研究』第9巻第3号・直木孝次郎「非常食としての糒について」

▼『露伴全集 第18巻』S24

▼長 誠次『本邦油田興亡史』S45
 明治9年にアメリカの鉱山地質技師のベンジャミン・スミス・ライマンが早々と調査完了した。その予言の範囲を外れた油田はひとつもみつかっていない。
 しかし、もっと深く掘ったら、本州や北海道の内陸から石油が出るかもしれないのである。その場所は……。

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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 東京都内の大きな図書館や、軍事系の充実した専門図書館に、毎日通えない人にも、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。

 報道によれば、さいきんの図書館利用者のモラルは全国あちこちで最低だそうですね。ページ切り取りどころか、表紙カバー以外ぜんぶ毟り取って返却だとか、1冊まるごと着服なんかも珍しくないとか……。
 絶版書に関しては、手分けをしてデジタル保存をしておくべきであろうと兵頭は呼びかけたいです。わたしはスキャナーを持っていないので、こうして僅かづつながら内容要約をして、ウェブ上のヴァーチャルな参考資料室に蓄積する作業を個人的に続けて参ります。おそろしく時間と体力を食うタイピング作業のモチベーションの維持のために、配信は有料にさせてもらっております。
 これを御覧になって、入手可能な実物を購入して個人で大切に保蔵したいと思う研究家が増えれば、なによりです。

 わたしが関東に住んでいたころ、東京タワーの下に、1日利用料100円の図書館があって、このタッタ「100円」の敷居と、蔵書が閉架の古書ばっかりという品揃えが、不良利用者をうまく排除しているように見えました。これからは公共図書館も、絶版書に特化して入場料をとった方がよいかもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
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