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ひさびさ「そら玉」実験リポート

 2007年からエンデュランス実験を続けているソーラーライトの最新経過報告です。
 2000円で買った白色球型の寿命が来ました。
 ほとんど点灯しなくなったので内部のニッカド×2本を交換しようとしたら球形ケースが衝撃で三つに割れてしまいました。球形ケースは買ったときは白かったのですが、すっかり黄色く変色しております。どうやら紫外線に弱い安物のプラスチックを使っていたようです。
 廃棄する前に電池をみましたら、2本のうち1本は緑青を吹いていました。基盤は錆びたりしていませんでしたが、電池ボックスのプラス極の配線のハンダ付け部分は、さわった拍子にポロリと取れてしまいました。

 例のイギリス設計の送料込みで5000円もした「ソーラーライト マルチムーン」(イエロー)の白色球形ABSは、いまだに真っ白です。ただ、ネットで確認したら、これはもう売られていないですね。惜しいなぁ。同製品の2つあるうち1つは電池交換(650ミリアンペアのニッケル水素単四×2本を、国産の900ミリアンペアのニッケル水素単四×2本に)しています。もう1つのも、いまだに買ったときのままの電池で、ちゃんと機能し続けています。さすがですよ。

 同じイギリスのメーカーの設計と思しい、ただし、電池は650ミリアンペアのニッケル水素単四(メーカー不明。緑色)×1本だけを使うタイプで送料抜き3990円だった「ソーラーボール グローブライト」(アンバー)は、毎晩機能はしているのですがどうにも暗いという印象があったので、2年も経ったことだし、電池をパナソニックのニッケル水素750ミリアンペアに交換してみました。
 見違えるくらい明るくなりました。これが初期だけの現象なのかどうか、またしばらく様子を見ようと思います。
 電池交換のさい、内部の防湿は完全に保たれていたことを確認しています。また白色ケースは紫外線等ではすこしも劣化している様子がありません。さすがです。
 ただしこっちの製品も、もうネット通販で広告しているところがないようですね。ソーラーライトに関しては、良い製品が市場から駆逐されてしまうという印象を受けます。
 残念です。
 なぜ日本政府はソーラー発電パネルに補助金をつけないんだろうかと思います。

 オーム電機製「ソーラーボール」は、電池交換ができないタイプですので寿命が来るのが心配なんですが、まだ機能し続けています。すごいです。
 これもネットをみたら、ライバル製品が登場していますね。

 でも、あらためて最新の通販のカタログを検索してみたのですが、画期的な新製品が登場していないですね。2年前から本質的な前進が無いなんて……。積雪地専用デザインも登場していません。だらしないぞ北国のメーカーは。
 またネット販売の宣伝文句に、使用電池のスペックが書いてないのが多い。売ってる側に商品知識(というか商品への興味)がない証拠ですよ。大いに怒りたいと思います。

 さて、月刊『正論』6月号は、MD特集みたいになっています。例によってオレ以外の書き手はみんな「北鮮の核弾頭付きノドンが脅威だ!」というコーラス。そんなものあったら見せて欲しい。みんな北鮮が好きなんだね。
 兵頭だけが「北鮮はもう終わった国だからスルーしていて良い。それよりシナの対空母用弾道弾にどう対抗するのか」と呼びかけてます。言論の自由って、ありがたいですよ。

731部隊は1918体験から生まれた

 『史上最悪のインフルエンザ』の訳者あとがきを読んだら、日本では1918-8~1920-7の期間に、総人口5500万人のうち38万5000人がインフルエンザないし肺炎で死亡したとある。
 また本書の最終章では、アメリカ人たちがもののみごとに1918パンデミック体験を忘れてしまったことの不思議さが歎じられている。著者推定で60万人も死んだにもかかわらず、だ。

 そこで石井四郎の履歴を見直してみたら、陸軍二等軍医になったのが大10-4、つまり1921年じゃないか。彼は、日本のパンデミックを、京大の細菌学専攻の医学部学生として、まのあたりにし、かつ、じぶんは生き残ったのだった。なんてこったい。

なぜ、ある種のインフルエンザでは、20代の元気盛りほど死亡率が高くなるのか?

 この謎は1918年のスパニッシュ・インフルエンザの世界的パンデミックのさなかに、医療・防疫関係者たちを悩ませた。

 Alfred W. Crosby 著『史上最悪のインフルエンザ』(西村秀一訳、みすず書房2004、原著“America's Forgotten Pandemic――The Influenza of 1918”、1989年pub.)という分厚い本の264~268頁にその答えらしきものが書いてある。

 オーストラリアの免疫学者で1960年にノーベル医学賞を受賞したマックファーレン・バーネットの仮説。
 人のからだがウイルスの侵入に対して自らを防御する「炎症」の反応が、最も強く盛んであるのが20歳代である。特に、全身ではなく局所への反応の勢いが絶頂期にある。
 炎症反応とは、「病原体の侵略を受けた組織に多量の血液、体液、抗体、そして白血球細胞が押し寄せる現象」。(花粉症もこの反応なのだ。)
 感染が起きた領域が、この滲出液にひたされねば、自衛戦闘が始まらない。
 しかしパンデミックを起こす病原体は、この炎症反応よりも早く、膨大な面積の呼吸器系器官表層全域に広がる。
 そのため20~40歳の成人では、肺にかけつけようとする滲出液の勢いが度外れて強くなる。結果、量の多すぎる滲出液が肺の中を水浸しにし、本人の防御反応(炎症反応)のせいで「溺死」してしまう。

 ……というわけで、20代、30代の人がインフルエンザで肺をやられたと自覚したら、絶対安静にすることが、まず肝要であるようです。いわば、窒息しかかってる人なわけですからね。

 同書中の、その他のアドバイス。
 「インフルエンザは、たとえ適切な措置が講じられなくとも事態が際限なく悪くなっていくことはない」(p.151)。

 「肺炎その他、呼吸器感染症の症状を持つ患者たちをほかの病院に転送してはならない。彼らにとっては絶対安静がきわめて重要なのである」(p.204, quot.)。

 じつはこの本、まだ半分しか読んでいないので、後半に書いてある情報などは、後日の「読書余論」で摘録しようと思います。
 「読書余論」は毎月25日に配信されます。4-25号のコンテンツは、4-1の「放送形式」でご確認ください。

 過去の書籍の中から必要な死活的な情報をすぐに拾い出すという作業は、なかなか難しいものですよね。きっとそれを痛感したNSAが、グーグル社に命じて、世界のすべての古本をデジタル化させているのだろうとわたしは思っています。


 さて、ついでなので、先回のイスラエル衛星の補足情報。
 09-4-24 に David Eshel 氏が英文サイトに寄稿した記事によれば、イスラエルは西回りにロケットを打ち上げるしかない不利な制約から、3段式にしても350kgまでしか投入できない。
 これまで最大のイスラエル衛星は300kgだが、260kgでXバンドの合成開口も実現している。光学偵察衛星は地上からレーザーによる破壊妨害をうけるが、レーダー衛星なら平気。
 500kg以上のもっと大きな衛星が必要なときは、ロシアかインドに頼むのだと。
 しかしこれからの流行は偵察衛星を10kgとか1kg以下にまで超小型化・超軽量化すること。それを地上作戦と同時くらいにF-15で東向きに打ち上げられるようになれば理想的だ、と示唆しています。


 オマケ。4-4に初飛行したプレデターC=アヴェンジャーの話。
 09-4-19に David A. Fulghum と Bill Sweetman の両氏が英文サイトに寄稿していました。
 プレデターAはピストンエンジン、Bのリーパーはターボプロップだったが、こんどのCはジェットだ。
 おそらくは時速400ノット以上。作戦高度は6万フィートになるだろう。
 ハンガーでは主翼を畳めるので空母にも積める。米空母はいままでAとBがプロペラ機であぶないというので受け入れを拒絶していたが、もう問題なくなった。
 ウェポンベイ内にレーザー誘導爆弾を完全収納。
 Bのリーパーはステルスでないのが難点だったがCは平面図の後端接縁線が一直線のB-2式デザインでステルス性が考え抜かれている。
 しかもAESAレーダー(要するにフェイズドアレイを戦闘機の空戦レーダーにしたもの)を搭載し探知距離が2~3倍となり、敵ステルスを探知できるかも……ですと。

 どうです。日本のバカマニアがF-22がどうたらと騒いでいるうちに、急速に進歩している。有人機よりもはるかに早いペースで改良が進むのが無人機やロボットのおそろしさなんですよ。その競争に、もう日本はトラック10周くらい遅れていて、しかも真面目なキャッチアップ計画というものが皆無なんですよ。いかに三流官衙の防衛省とはいえ、起案力の低さはなんとかならないのか?!
 過去の装備表にないものに新規の予算をつけられない大蔵省の硬直とそれを説破できない防衛省内局の政策提言力の無さが日本を劣等国にしてしまいます。やっぱり「国語」の成績は大事だよね。
 民間サービスに任せてはなりたたない国防分野の、それも「量産」ではなく「小型軽量ハイテク武器の新規開発」に兆単位のカネを集中して注ぎ込み続けてトリクルダウンさせることこそ、ベンチャーを育てて自由かつ急速に産業体質の先端化を一国規模で促せる財政なんですよ。アメリカもオレの「ハイテク軍備一点かけながし」論を読んでそこに気づいたからゲイツはF-22を180機ぐらいで切って無人機とロボットの新型開発に賭けようとしているのが誰も分からんのか。有人宇宙開発とか言っている宇宙バカも人道の敵ですよ。ロボットにさせることのできる危険作業をなんで生身の人間にさせるんだ。

 高額装備といえども量産品の「調達」では、ばら撒きにしかならない。支那事変中の砲弾調達費(これが最も大きかった)とまったく同じことなんだ。それでは景気は浮揚しないし全産業の競争力をUPさせられない。そこについにアメリカ指導層は気づいてしまった。

 これからアフガンは完全なロボット戦場にされるだろう。膨張した「作戦&管理」費目を少しでも実質的に「開発」費目にするために。つまり兵隊は「ロボット・オペレーター」になる。その経験蓄積が民間にフィードバックされたら、アメリカ経済は無敵だ。

 ダメ押し。
 09-4-20に William Matthews 氏が寄稿している記事。
 2リットルのペットボトルサイズの水素燃料電池を搭載した14ポンドの小型無人機が9時間滞空することに成功。この無名のベンチャー企業とDODは3億円契約を結んだ。
 これでアフガンのコンヴォイの前路偵察をさせる。
 すでに米軍は1200機以上もの手投げ式小型無人機を装備している。
 自動車の燃料電池化の道は遠いけれども、無人機の世界ではいち早く普及するだろう。

とばしてくれたまえ

 「Defense News」に JUNG SUNG-KI 記者が 2009-4-23 に寄稿している記事によると、2004年に米軍で開発中止したXM29多用途突撃銃のアイディアを韓国がそっくりパクってK11として今年の末までに単価1万1800ドルで採用するんだと。(そのまえにDARPAを頭文字だけ似せたDAPAという機関が韓国にあったというところがすごい。この発想だけは買おう!)
 5.56ミリ弾の他に、セミオート発射の20ミリ弾を敵の頭上3~4mで炸裂させるんだと。レーザー測遠をしておいてから時限信管を切ろうっていうのか。

 この小銃には正直、オレは興味はない。もうロボットの時代だということが分かってない。せっかくの「DAPA」の名前が泣くよ。ちなみに自衛隊の歩兵分隊の場合はカールグスタフで塹壕直上炸裂を実施できると聞いたことがあるんだが文献で確認できん。

 DODがあきらめた理由を想像すると、軍用の対人小銃弾に炸薬を入れてはいかんという古いハーグ条約を気にしていると思うんだよね。20ミリだとギリギリ抵触するんじゃないかな? だから米国メーカーが率先するわけにはいかないが、韓国に先走らせて様子を見るのならアリなのかもね。

 もし今後、DAPAじゃなくてDARPAに新歩兵武器を売り込みたいベンチャーがいたら、こんなコンセプトを追求するがいい。それは、semi-active 水平近接信管作動小銃照準システムだ。具体的には、小銃手が目標をマイクロ波で照射しながら径25mmくらいの擲弾を水平に発射すると、目標からの反射信号に信管が反応して、目標の直前1m弱の空中で弾体が炸裂する。するとその弾体のライナーが self-forge されて金属ジェットとして標的に突入する。爆風と破片で周囲の敵歩兵も顔を上げていられなくなる。
 こいつは昔ながらの小銃小隊の突撃発起にも便利だろうが、その前に、マイクロ波ビームをワイドにしておき腰ダメで咄嗟に撃てばいい自衛火器として、役に立つんじゃないか。

 思わず余談に渉ったがそれよりも興味深いのは、韓国が完全国産の230ミリMLRSを 2013年までにつくって、1981からある現有の射程36kmの12連装MLRSを更新するというオマケの記事の方だ。国産品は12連装で射程65km。弾体は Hanwha、車体と発射機は Doosan DST がつくる、とある。
 解説すると、これは韓国が米国から軍事的に独立する準備だね。

 だったらとりあえず国産宇宙ロケットの2段目に使う予定とか聞く固体ロケットKSR-1をそのまま3連装のSSRにしたらいいんじゃないの? じっさいは、KSR-1をシュリンクさせて国産MSLRにするんでしょうけどね。
 KSR-1は、別サイトによると、径は42センチ、重さ1トン、長さ4.7m。
 米軍のMLRSは、1本306kg、長さ3.9m、直径227ミリ。

 ちなみに、韓国はちょくせつ平壌を狙える射程200kmくらいのSSMすら国産を許されていない。米国から禁止されてしまっている。これは不公平だと韓国人は頭に来ているに違いない。北鮮側は別にスカッドを持ち出さなくたって、240ミリロケット弾の射程が60kmあって、京城まで届いてしまう。
 まあ、非核(高性能炸薬)だと、弾頭1トンのV-2号ですら平均して1発で5~6人の市民しか殺せてないわけだが、同質対抗手段を持つことが許されないというのは面子にこだわる半島人でなくとも納得ができ難いだろう。

 地図をモノサシではかってみると、釜山~福岡の距離は211kmで、京城~平壌の距離196kmよりも、ちょいとだけ遠いようだ。ギリギリ平壌まで届くSSMを韓国軍が持っても、日本は今以上に困らされることにはなるまい。

 猛烈に困るのは北鮮の方だろう。イランvsイラク戦争(何年にもわたって互いに数百発のSSMを相手国首都に叩き込んだが、別にどっちの首都も灰燼に帰してはいない)を思い出す限りでは、ひとたびどっちかが首都にSSMを撃ち込むや、あとは、互いに、持てるありったけのSSMを発射することになる。すると勢い、北鮮保有の200発のノドンとやらも、ぜんぶ韓国内の目標に向けて射耗され尽くしてしまうだろう。一部が日本列島に飛んでくれば自衛隊も参戦。けっきょく北鮮の原爆開発続行予算は消えてしまうだろう。
 結論。射程200kmのSSMを韓国が保有するのは、当面の日本の国益に適う。


 というわけでDARPAやロボットに興味のある人は「読書余論」にも注目しましょう。
 読書余論は毎月25日配信。1号分が¥200-です。

ワレ電覧ス。

 09-4-18に『SPACEFLIGHT NOW』に CRAIG COVAULT 氏が寄稿している記事を見たら、米軍の宇宙プロジェクトが〈近直の対テロ〉と〈将来の対支〉にシフトしている様子が知れた。

 まず、インドのロケットでイスラエルのレーダー偵察衛星を打ち上げる意味。
 イスラエルには衛星技術があるが、巨大ブースターがない。それでインドと提携し、宇宙から得られたデータは、インドとイスラエルとで共有する。

  ※感想。ここに日本が一枚噛まないでどうするんだ? …どうしようもないぜ。

 イスラエル製の合成開口レーダーの分解能は1m。カモフラを透視できる。
  ※てことはLバンドか。

 インドの名目は、「アルカイダを見張る」。
  ※と表向き言っておいて、勿論、シナとイランを見張る。アメリカはイスラエルを間に立ててインドをサポートしてやったのだろう。

 2008にインドは高解像度の偵察衛星を打ち上げたが、それ以前のリモセン技術はずっと低かった。イスラエルに一日の長があった。
 周回高度は342マイルである。インドはこれからレーダー画像の処理を学ぶだろう。

 シナ衛星を見張る双子衛星を既に米国は打ち上げている。Mitex衛星という。
 げんざい、静止軌道高度で、怪しい衛星がいないか、探しながらうろついているところだ。
 ちかいうちに、故障した早期警戒衛星に近づいて近接撮影を試みるテストを予定。
  ※シナが密かにデブリ投射やビーム照射などの破壊工作をやった形跡がないかどうか、チェックする。

 シナはこの Mitex 衛星にガクブル。近接撮影できるなら、シナ衛星の破壊だってできるわけだから。

  ※シナは米国のキーホールやラクロスやGPSやDSPを破壊したくてたまらない。そのためパラサイト衛星を準備しつつある。2007の破壊実験はその宣言。そこで米国は早くもパラサイト駆除の手を打ってきた。パラサイトを駆逐できるなら、シナ製の「北斗」衛星なども朝飯前に屠れる。

  ※シナは800km軌道のパラサイトは2007に実験してみせたが、まだ静止軌道やGPS軌道のパラサイトはやってないだろう。米国は敵がそこに辿り着く前に、早くも圧倒的な能力差を見せつけている。

  ※有事に短期間に連続して多数の重い衛星を打ち上げる能力の無い国は、軍事衛星などに自国の安全保障を依存しない方がいい。国益に関して良心ある国会議員諸君は、5年以上もかかるはずの国産DSPの開発提案などに耳を傾けず、いますぐOTH-Bレーダーを建設させよ。稚内と宮古島のレーダーはX-band化せよ。

 米国は敵の弾道弾のミッドコースを探知追尾する新型衛星を複数投入する。
  ※つまりDSPだけでなんとかなるような段階は過去なわけ。遠い将来のシナのSLBMも封じにかかっている。

 キーホールやラクロスよりもはるかに軽く、しかも素早い画像処理ができ、輻射光をプリズムのように分光して地上のデコイも見破り、最前線部隊の要求に即座に応えてやれる戦術衛星も米軍は投入する。
  ※衛星の大艦巨砲路線はシギント衛星だけとなるでしょうね。衛星の大数消耗戦時代が始まるよ。そうなると大型高価なのは不利。ロンチ場も多数必要。


 せんでん。
 今回の電覧摘録とコメントは、貴男の時間節約のお役に立ちましたか? 原文記事と比較してみてください。
 「読書余論」は毎月25日配信です。こちらは、過去の厖大な専門書籍の情報と、現在の忙しいミリタリー好き読者を結ぶ、情報意味圧縮の試みです。どこの和文/英文ウェブサイトをみても、このようなマトメは載っていません。1号分が¥200-です。コンテンツは4-1の「放送形式」でお確かめください。

網戸を簡単に固着できる補助錠を開発して!

 至れり尽くせりの「泥棒よけ虎の巻」が載っております『予言 日支宗教戦争』。皆様、もう既にご活用をしていただいておりますでしょうか?

 このテーマに関しまして、またメーカーさんに提案があります。
 げんざい、引き違い式に開閉するガラス窓用には、窓枠に両面テープで貼り付けるか螺止めをし、ワンタッチで尺取虫式に突起を立てることによって補助錠の機能を持たせる、そういう安い金具が、ホームセンターにて、何種類も市販されております。
 ところがこういう金具で、「網戸」に取り付けられるものが、まだありません。

 網戸の強度は小さなものです。子供でも破ってしまうことができるんですが、これが指一本でスルリと横に開いてしまうのと、引き裂かない限りはビクとも動かないくらい強力に固定されているのとでは、侵入盗犯に与える心理的な障壁度が、段違いでしょう。

 瞬間接着剤とか、荷造り用透明テープとか、網戸をスライドできなくする方法はいくつか考えられますけれども、なにか補助錠によってそれができるなら、より優れた解決法ですよね。
 ついでに、網戸を内側から子供がいくら押しても外れたり倒れない、そのような安全機構をどこかのメーカーで考案してくれたら嬉しいです。貸家に素人がうまく防護柵を取り付けるのは不可能に近いので……。


 前回の司馬遼太郎の続きです。
 やっぱり司馬さんは、WWII中の戦車を扱ったマニアの雑誌や別冊を、覗いていたんじゃないかな?
 そして、ミリヲタク世界の深淵を、察してしまった。
 こんな世界でリサーチするのは厭だ、と思っただろうと思うのです。
 神保町の古本屋に頼んでも、ダメなんだ。旧軍メカ関係だと、これはマニアが自分で資料を一点一点捜索するしかない。それも、単行本よりも雑誌にディープな情報が載っている。マニア向けの雑誌のバックナンバーを全部見るのはとても疲れますよ。そもそも、図書館に行かないと揃って無いし。投入労力と、実入りが、見合いそうにはない。さまざまなジャンルで調査経験のある司馬さんには、そんな予測ができた。だから逃亡した。

 漱石の明治32年の「古別離」という題の漢詩中に「前路白雲堆」(堆は「うずたかし」と読む)という1行があります。別離の対象は子規らしい。
 兵頭おもえらく、松山人についていろいろ調べたときに、この1行に行き当たって、そこから司馬さんは『坂の上の雲』というタイトルを思い付いたんじゃないか。

 そういうジャンルの古本捜索ならば、司馬さんは寝食を削るのも敢えていといはしなかっただろう、と思うのです。
 でもね、ゲペックカステンがどうだとか、チェリャビンスク工場製の何年型だとか、「とくとごらんいただきたい」だとか、その世界には入っていけなかったんだ。

 1997年の雑誌『アーマー・モデリング』6月号に、「戦車兵司馬遼太郎」という記事がありました。それを読んだとき、「司馬遼太郎が満州で砲塔を削ってみたのは、少なくとも3式中戦車ではないな」と思いました。
 だいたい3式中戦車は満州には1両もいっていないだろうし。北満試験もしてないでしょう。
 で、内地に戻った戦車第1連隊への3式中戦車の部隊配備は、昭和20年春以降でしょう。
したがって内地では司馬氏は3式を実際に見たかもしれないが、満州では見たことはなかった。
では司馬氏が満州で削ってみたのはいったい何の砲塔であったのか。(秦さんの記事を読んだあとでは、そもそも満州でというのも、3式をというのも、また削ったという話も、すべて「創作」だったんじゃないかとも思えちゃうのですが……。)

それはひょっとして、北満試験用に運ばれ、四平学校で教材になっていた可能性がある、1式砲戦車ではないか? フィリピンにも海送されようとした1式砲戦車は、北満試験はきっと済ませていたでしょう。

 1式砲戦車は、もともと砲兵の自走砲。当初から砲戦車(自走対戦車砲)として開発されていたならば、その防盾は戦車と同じ防弾装甲鋼板があてられるでしょうから、なかなかヤスリでは削り難かろうと思います(もっとも、鈑厚25~50ミリにもなると、戦車用防弾装甲板でも表面硬化処理はしない可能性もあったでしょうが)。
 しかし、1式砲戦車は最初は砲兵の自走砲として開発されたので、防盾にはヤスリで削りやすい素材が使われていた可能性もあるんじゃないか。

 北満試験でボロボロになったあとに、四平の教材用に譲渡されたとすれば、ロクに整備努力もされておらず、一度も動かなかったというのも辻褄が合います。
 ではその1式砲戦車をどうして司馬氏は3式中戦車と間違えたか。
 それは、やはり作家になって戦車の話を書くまでの間に、いくぶん記憶の混同が生じているのでしょう。その自覚もあって、ノモンハンの作品化は自分で諦めざるを得なかったのではないでしょうか。あるいは半分意図的な、記憶の合成……oops。

 3式中戦車は昭和19年から本格量産が始まっていたので、その名称と存在だけは、外地の戦車兵も知っていて、司馬氏も、戦車聯隊の上長から聞かされたかもしれません。
 それで、砲戦車中隊に配属されて、1式砲戦車を「これがお前達が乗ることになる新型砲戦車だ」などと説明をされたら、「では、これがあの3式中戦車?」と混乱をしたかもしれない。
 また、その新型車両が全周密閉砲塔でないことに不安を感じ、つい、砲塔前面にヤスリを当ててみたくなるのは、司馬氏でなくとも、自然な人情じゃないか。
 では、AM6月号p.30の写真キャプションにある、「…モーターでの旋回は微妙な調整が困難だったようである」という指摘はどこから来たか。1式砲戦車の砲塔は旋回はしません。
 これは、四平にもあったチハ改に関する記憶ではないのか。四平で、そのチハ改が「1式中戦車(チヘ)」と間違えられていたらしいことは、AM6月号p.33の写真キャプションから十分推定できること。
 ちなみに加須には、1式中戦車があったことが、終戦後の解散式の写真で分かる。内地での記憶を混ぜることも、小説家の司馬さんならできますよね。

 あと、そもそもM4や97式や95式や3式はそれぞれヤスリで削れるのかどうか、誰も確かめてないんでしょ? 現物が日本国内外にあるんだから、どこかに「オレは試したぜ」というリポートがあるような気がするのですが……、まだ見たことはありません。

『新潮45』の「司馬さんと戦車」(下)を読みて

 秦郁彦さんが『新潮45』の4月号と5月号に、司馬遼太郎についての2回続き読物を寄稿していますね。
 今号では、有名な「轢っ殺してゆけ」エピソードは創作だった――と、ほぼ結論が示されました。そうだったのか……。納得です。

 戦中の国産戦車の戦略自走機動速度なんて子供の自転車よりも遅いだろうし、交通整理憲兵が経路を先行するはずだからおかしいと思ってました。

 大本営参謀の少佐とやらのモデルが、寺本弘氏だと思われていた事実があったとは、今回の記事を読んで初めて承知しました。
 戦車マガジンの社員だった時に、『帝国陸軍の戦闘用車両』という別冊をつくって、機甲会かなにかの名簿に載っていたOBのひとたちに配ったことがありました。そしたら寺本さんご本人から、158頁(初版)の写真(キャプションなし、トビラの挿絵)に写っているのは自分である、というご連絡を受けた。
 掲載写真の95式軽戦車に「志20」とペイントしてあるのは、マレーの1TkRn.,3Co.で、バリカンを操作しているのが、松村上等兵、頭を刈られているのが寺本中尉、なんだそうです。この写真じたいは戦中の公刊物(古本)からの複写を使用したと記憶しております。

 読者として、ヤスリ実験の真相についてもスッキリした解明を期待してましたが、そっちは秦さんにいまひとつご興味がなさそうです。つまりじつは1式砲戦車か何かの防盾を削ったんじゃないかという疑問をわたしはずっと持ってるんですが、「轢っ殺してゆけ」まで創作できる司馬さんなんだとあれば、もうその辺は詮索するだけ徒労ってことなのでしょうね。

 司馬さんはじつは戦車が大好きだった、という話も納得できます。ひょっとして、司馬さんは生前に『戦車マガジン』やその別冊にも目を通してくれていたんでしょうか? そこがこんどは知りたくなってしまいました。

 16日発売の『表現者』には、「保科善四郎」さんをとりあげて論じました。ご興味ある方はご一読ください。

 『予言 日支宗教戦争』は、在庫があと300冊だそうです。ヤバげなタイトルなので、どこもビビッて書評してくれない本だった割には、捌けたな~、と感激しております。まだ入手されていない方は、完売前にお急ぎください!

韓国がついに打ち上げる「国産」宇宙ロケットは沖縄上空100kmを通過予定

 以下、英文サイトの勝手紹介です。大半のソース記者名とかのコピーし忘れ。意訳の上に私見をブレンドしました。よって例によって完全「チラ裏」と思ってください。

▼Asia News on Sunday 5 April 2009, 17:29 PM Bangkok
 北鮮になんざ負けちゃいねえ、韓国も衛星を打ち上げるぜ、それも国産ロケットでな!
 ……と最も早く教えてくれたのが、この記事じゃないでしょうか。4月5日の段階です。
 ところがこの記事は大きな事実をスルーしている。それは何かというと、2008に韓国のオフィシャルが、「早ければ2009-4に打ち上げるぜ」と発表したことがあったことです。だから北鮮も焦りまくって4月初旬に発射したんでしょうね。

 で、韓国ロケットがなかなか打ちあがらない理由としてこの記事は、「シナ部品が射場に届かない」ことも報じています。おい、ロシアのブースター使うだけじゃなく、シナパーツも必須なのかい!?

 韓国自前の固体燃料の観測ロケット〔その実、国産SSM習作〕KSR-IIが 1998-6に達成した高度 138.4 kmが、韓国自前のこれまでの最高記録だそうです。

 ちなみに、海洋通信衛星と気象衛星も11月に上げるそうです。こっちは外国に打ち上げを依頼するんでしょうな。

▼10-20-2008 19:16  koreatimes
 ロシアに発注していた、KSLV-1 ロケット用の、 ground test vehicle (GTV)が来たよ、という報道。

 この報道の時点では、翌年=2009の summer に打ち上げるとしています。

 上がれば、韓国が9番目の自前衛星打ち上げ国になる……予定でしたが、2009-2にイランに抜かれちゃいましたね。

 韓国人生物学者が4月にソユーズに乗りました。これはアジア人女性としては2人目の宇宙旅行だそう。

  Korea Aerospace Research Institute (KARI) は戦々恐々としている。なぜなら失敗確率が exceed 70 percent あるからだ。
 韓国、自信ナサス。その理由は、グーグル検索を続けるとだんだん分かってきます。

 いやぁ、7月にはこんどこそ海自のSM-3が140トンのデブリを沖縄近海で迎撃しなくちゃならんかもよ! 米軍自前のPAC-3が沖縄に展開したのは、この備えだったのか!
 やめてくれよ、そんなあぶねー打ち上げならばよ。

 ロケット発射後の万一のときの「自爆装置」も韓国製のがちゃんとできているから、……って、そのざーとらしい言及が、ますます不安を高めてくれるじゃん!

 Lee Myung-bak大統領が、ローンチに立ち会うかどうかは確約されない。
 そりゃそうでしょう。面子がかかりましょうからね。

 一回失敗すると原因究明と対策までに1年以上かかる。

 KARI last week【2008-10-20から逆算して】 revealed the 33-meter, 140-ton ground test vehicle (GTV) that is a mock-up of the Korea Space Launch Vehicle (KSLV-1) rocket that will be launched sometime during the second quarter of next year.
 この時点では、09年の第2四半期に打ち上げ、と言ってます。
 つまり、4、5、6月ですよね。最新報道ではそれが7月下旬にずれ込んでいます。しかし、北朝鮮は、この報道を信じたんでしょうなぁ。
 だから4月初旬がタイムリミットだったんだ。いちばん早い可能性で4月があり得たから。もう、面子競争ですよね。

 液燃のブースターはロシアの設計。
 そのブースターは09-1に韓国に到着予定。
 これ、船で運ぶと思うでしょ? ところが違うのだ。検索を続けると分かります。

  The first launch is expected as early as April, and if successful, another rocket will be launched from Naro nine months later.
 最も早ければ09年4月に発射されるであろう。そして成功すれば9ヶ月後にもう1機のKSLV-1が打ち上げられる。
 ……そうですか、4月は「第2四半期」だったですか。

▼A Loud But Small First Step というタイトルの koreatimes 記事。
 これは韓国のロケット開発史をざっとまとめてくれています。

 そもそもパク・チョンヒが70年代に宇宙をやると決めた。
 その朴氏が暗殺されると1996まで宇宙の話はなくなった。
 1996年にまた韓国が宇宙開発を始めると言い出したので、北鮮が反応して1998のテポドン発射になった。いらい、両者はライバル。

 うまいタイミングで、どっちも、ロシア人技師を買い放題だった。

 だが韓国がロシアから技術を買うためにはMTCR(Missile Technology Control Regime)に加入する必要があった。それは2001年に実現した。

 ……これは補足が必要です。MTCR加盟を強制したのはアメリカだったということが、グーグル検索をすると分かります。アメリカは韓国がICBMをつくるんじゃないかと恐れているわけです。今も、恐れています。だからロケット技術を韓国に与えない。それで韓国はロシアに頼っている次第。

 韓国は2004に宇宙条約に加盟して、いよいよKSLV始動。
  固体モーターは、90年代の国産SSMで技術蓄積してきた。

 しかしKSLVは一転してロシアの液燃になった。
  あきらめ、よすぎるぜ。

 完成しても、低軌道に100kgの衛星しか投入できぬ。
 その衛星の寿命は2年で、機能は、自己の無線位置信号を放送するだけ。

  ……これも補足が必要。宇宙ロケットをICBMにするためには最低でも450kgのペイロードが必要ですが、その能力はないというわけです。これは韓国製の2段目ロケットの能力不足が主因ですが、それだけじゃない事情がある。

 しかし2017には1.5トン級を打ち上げたいと願望。

▼Apr 15, 2009 (BBC Monitoring via COMTEX)
 BBCのニュース。4月15日です。

 韓国ロケットは7月下旬に打ち上げ予定だ。
 総重量は140トン。
 二段目は固体燃料。

 公開されたGTVは、地上チェック用。
  ……補足しますと、液燃注入のリハーサルが必要なようです。

 6月下旬まで準備を続ける。
 液体ブースターは6月にロシアから届けられる。
  ……補足しますと、これは空輸でしょう。

 推力は170トン。それで高度170kmまで上がる。衛星は300~1500kmの楕円軌道に乗せる。
 発射は早朝か宵である。これはソーラーパネルの発電の関係で。

 2号機は2010に上がるだろう。やはりロシアからブースターを買って。
 全羅南道の高興に射場あり。
  緯度は岸和田市と同じくらいでしょう。失敗しても東京に落ちてくることはなさそうです。下甑島レーダーは大活躍だろう。

▼Jun 6, 2007 の Asia Pulse/Yonhap から。
 京城の南方485kmの「ナロ」島に射場をつくる。
  羅老島、ですかね?
 最大で、年に4回、打ち上げ可能になる。
 建設は2003から始まった。2007時点で9割5分完成。
  そのさいごの5%が大問題なんじゃないですかね、何事も常に……。

 この時点で自前ロケットを宇宙に飛ばした国は12カ国のみ。
 韓国はすでに外国に頼んで10基の衛星を上げている。最後のものは「アリラン2」で06-7に軌道投入。
  ※民間用の偵察衛星の練習作でしたね。

 ロシア議会は技術移転になかなかうんといわなかった。
 韓露の技術セーフガード合意は06-10月に結ばれたのだが、それを承認しようとしないのだ。
 両国は2004-9月には宇宙協働条約に署名し、韓国議会は06-12に批准。
 露議会が承認しさえすれば、08年10月までに組み立てとチェックが完了しよう。

  ……これも補足解説が必要で、韓国はロシアに、ブースターの設計図と製造ノウハウを売れと要求していて、アメリカはそれは渡しちゃならんぞ、とロシアに警告していたわけです。

 追跡レーダーと、テレメトリーと光学監視機器などはもう揃えた。
 追跡ステーションは「Jeju」島にある。運用はKARI。
 韓国 コーストガードのトラッキング専用任務船も東シナ海に展開する。

 ランチパッドもロシアの設計。
 ロシア衛星の打ち上げ受注も可能に。

 KSLV-1シリーズが成功したら、能力を向上させるKSLV-2シリーズは国産技術だけでつくってみる。
  ……補足解説すると、韓国側発表のこういう「予定」話は、すべて右の耳から左の耳へスルーしておくこと。コロッコロと変わっていきますから。今日は国産と言っても、明日は「やっぱりロシアに協力してもらおう」となります。

 ブラジルはまだ、国産ロケット&国産衛星を達成していない。インドは達成。
 2008年に最初の韓国人がロシアのロケットで宇宙へ行く。
 2名がすでにロシアで訓練中。そのどちらになるかは8月に決まる。

▼KBS報道 April 15th, 2009 at 6:56 am
 これから2カ月かけて、燃料注入のプロセスを試験する。
 直径は2.9mだ。※あるサイトに3.9mという誤報がある。

▼サイト名とりわすれ。スイマセン。
 2005年に、KSLV-1は2007まで飛ばないと発表された。1段目はロシアで開発中の「アンガラ」ブースター。ロケット。
 「科学衛星2」の重さは100kgである。
   ※科学技術衛星2、という名かもしれません。弾道弾開発ではないことを米国に向けてアピールする必要があるので、そっけない名称にするんでしょう。

 1段目の燃焼時間は300秒。1段目だけの長さは25m。燃料は液体酸素+ケロシン。
 2段目の燃焼時間は25秒。径は42センチ。

▼2005の情報。サイト名とりわすれ。
 やたらに詳しい韓国弾道弾開発年表です。
 韓国軍はオネストジョン、ナイキハーキュリーズを扱ってきた。固体燃料だ。
 このナイキを1990年代に、弾頭1トン、射程400kmの地対地ミサイルにした。

 1990設立のKARIは、このミサイルを細長くして燃焼時間を増すことにした。
 KSR-Iと KSR-IIが試作された。観測ロケット。

 KARIは1997-12にヴァンガード・ミサイルと同寸法の液燃ロケットの開発を進めた。液酸/ケロシンでだ。

 2002にKSR-IIIのテスト実施。これをもとに2005までに衛星打ち上げブースターをまとめるつもりだったが……。

 どうもムリポと見えたので2004からはロシア技術を買う方針に転換。

 2007に打ち上げようということに。2015までは1.5トンの国産衛星を太陽同期軌道に乗せたいと。

 ロンチ場所の緯度は34度42分と43分の間か。
 2005時点で予算不足とスケジュール遅延のためアンガラ・ブースーターができない。
 ※補足すると、これはアメリカの妨害のおかげであります。

 2005に国産の液燃ロケットは放棄された。

▼2009-4-15最新情報。サイト名とりわすれ。
 ロシアのアンガラ・ブースターを10本買うぜと意向を示したのが2005-1のこと。
 最大で100kgまでしかLEO投入する気はない。
  ※ブースターを10本買って7本くらいはリバースエンジニアリングに使うのか?

 ついで2010に1トンの軌道投入をめざす。
 そいで2015には1.5トンの投入をめざす。

 1999-12に決定したのは、2005までに数十キログラムの人工衛星を自前で上げられるようにすること。
 打ち上げ施設は2001から建設開始。完成2004年。

 ロシアへの設計発注は2004-10-26のこと。
 ブースターは2005にテストロンチされる予定だったが2008後半まで延期。
 ロシアが技術を渡したがらないのだ。
  ※アメリカが裏で介入してます。けっきょく、わずか100kgの軽量衛星、それもLEO投入に自制しているのも、「そのレベルでしかないから、ロシアが技術協力してもミサイル拡散にはならないですよ」という世界向けのエクスキューズを得たいわけでしょう。
 ロシア議会の批准は2007-6-7だった。
 アンガラそのものではなく、その改良型である。※ICBMにできないような改良。これもアメリカの指示でしょう。
 ノーズフェアリングも韓国設計。慣性航法システム、制御システムも。
 初打ち上げは2007-10を予定していた。
 2008-10に打ち上げるともいうが、まあ、それも疑わしい。

 2008-4に韓国製の第二段目は完成した。
 科学技術衛星2を放出するシュラウドは高度166kmで開き、キックモーターは高度300kmで吹かす。

 2008-7-31に韓国の文部科学技術相がKSLV-1打ち上げ検討委員会を開き、見直しを発表。2009の第2四半期に打ち上げ可能だろうと、。

 遅れの理由は四川省の地震らしい。なんとシナに射場関係のシステム器材を発注していたのだ。
 ※いいわけいいわけ。

 ブースターは、2008-8-9にアントノフ(AN-124-100)で空輸された!
  ※ロシアはこういうところは大したもんだよ。

 The first launch is expected as early as April 2009, and if successful, another rocket will be launched from Naro nine months later. The Russians will participate in a third launch if the first two attempts fail.
 早ければ2009-4に打ち上げだ。
  ※この専門的なサイトでこう予告されちゃ、平壌も焦りますわな。

 オール韓国製の Korea Space Launch Vehicle-2 は2008-12に完成。
  ……しませんでした。

 2007の発表では2025には月ロケットを打ち上げたいと。
 KSLV-II は2010打ち上げ予定であった。それには韓国製の液燃2段を使う予定で。
 KSLV-III は、それプラス韓国製のキックモーターで、2015に予定した。

 IIでペイロード1トン、IIIで1.5トンをめざす。
 しかし2006-8に方針変更。将来機の2段目もアンガラを使うと。

 2007-11にぶちあげ。国産ロケットで2020に月を観測すると。2025には月着陸船だと。

 2008-8にはやっぱりサスティナーもロシアに頼もうと。
 いよいよソユーズのブースターを使うことになるか。あれなら1500回も打ち上げの実績がある枯れた技術だし。

▼ April 19, 2008 の Yoon Sojung氏のカキコ
 ※今年でなく去年のカキコですから注意。
 韓国初の宇宙ロケットは2008年12月21日に打ち上げ予定。
 衛星のソーラーパネルが、日没前後の発電しかできないので、打ち上げは真昼間にはやらない。
 このためロンチウィンドーは予見できる。
 発射から580秒後には高度は306kmでオーストラリア近くの上空に。そこで衛星を分離する。

 分離された衛星は南極を通過してから1500kmの軌道に達する。
 地球を一周する周期は103分である。

  ※極軌道に近いということはやっぱり偵察衛星にこだわるのか?

So far there are seven other countries -- the United States, the United Kingdom, Russia, China, Japan, India and Israel -- with advanced space technology that have succeeded in launching satellites attached to their own rockets.
  ※この記者さんには校正さんの相棒が必要だ。イギリスは衛星を自前で打ち上げおらず、フランスが抜け落ちているようです。

▼ 10-19-2008 16:50 Korea Times の Kim Tong-hyung記者。
 来年こそ、打ち上げるぞ。
 衛星の重さは100kgだ

 ロシアから輸入の3機が打ち上げ用になる。
 ロシアからは35人の技師が助けにやってきている。

 早ければ4月に上がる。
The first launch is expected as early as April, and if successful, another rocket will be launched from Naro nine months later. The Russians will provide the technology for a third launch if the first two attempts fail.
ロシア人との契約は2発目までだが、2連続で失敗したら、3度めも面倒を見る。

 当局者いわく、成功率は5割以下だと。※だからやめろって。
KARI officials are realistic, saying that the chance of the first launch being successful is less than 50 percent. The fate of the flight is expected to be determined within 10 minutes from liftoff.

 最初の25秒は垂直に上昇する。ついでキックターンをして東へ10度向いた上昇を続け、沖縄上空100kmを通過する。ノーズコーンは225秒で外れ、モーターは消火後13秒で切り離される。

 衛星は二段目ロケットが高度306kmの低軌道に乗ってから540秒後に放出される。

▼Daniel A. Pinkston - Monterey Institute Center for Nonproliferation Studies
WMD Insights. May 2007.
 ※この書き手は、戦略級大量破壊兵器の不拡散を監視する団体の人でしょうか。

 韓国の月刊誌によれば、2005-12にロシアはロケット第一段目を完成した。韓国が、その設計と製造技術を移転せよといったがロシアは拒否した。

 発射タワーの設計も2006-1にロシアで完成したが、これまた韓国が設計データをよこせというのでストップ。アンビリカル・ケーブル周辺のノウハウが韓国にはないのだ。

 アメリカは、韓国が射程180km以上のSSMをつくっていないかどうか、1992、93、95、97、99に査察した。

 2001-3に韓国がMTCRに入ったことで、韓国が300kmのSSMまでつくることをアメリカは認めた。
 2006末までに74人の韓国技師がロシアに出張して学んだ。

 ――――以上です。将来が不安になった人、『予言 日支宗教戦争』を読んで、落ち着きましょう。

“GAMELA” for “Ground Adhesive Missile Eealy Looking Antenna”

 米・露・支の弾道弾早期警戒レーダーについて英文サイトをグーグル検索していて、そのついでに拾った話とか感想を、備忘のためメモしておきましょう。ただし古いニュースも多いですから、ほんの「チラ裏」と思ってください。

 シナのOTHレーダーは大小2つで重複的に台湾海峡北側入り口を監視中。
 でかいほうは3000kmも届くOTH-Bのため、OTH特有のブラインド・スポット(灯台元暗しエリア)もでかい。しかしちっこい方は、尖閣諸島を含む海面を濃密にカバーするから、尖閣にちょっとした船舶で近づく者は、ぜんぶ見えているのだろう。

 ちっこいOTHの基地は、浙江省の平陽市の近くにある。海岸から8km引っ込んだところ。OTHの送信局と受信局は、電波干渉を防ぐためにじゅうぶんに離す必要がある。
 とにかくシナは台湾海峡に米空母が入るのが憎たらしいんだね。よく分かったよ。
 しかしシナさんは電力を定常供給できるのか? 短波だから大電力は必要ないのか……。

 無線マニアの投稿によると、豪州でモニターできるシナのOTHの周波数は、7、6、5、そして3.6~3.8メガヘルツ。当然短波。
 豪州でもOTHを運用しているが、そっちはシナのOTHよりは運用帯域が狭く、スウィープが早く(FMの連続波)、しかもアマチュア無線帯を妨害しないんだと。

 グーグルアースには、南シナ奥地の奇妙な鉄塔列が写されている。近くにSAMサイトがガードしているから、かなり重要な軍事施設なのだろう。昼間の影から計算して、この塔は中波用。しかし、もし中波のプロパガンダ放送局なら、国境近くに建てないと、昼間の電波が届かない。だからマニアにもこいつの用途の見当が付かんと。
 兵頭いわく、それはたぶんシャム湾やベンガル湾で行動する予定のシナ潜水艦に、衛星を頼らずに指令を送るための通信施設だ。中波でもある程度水中に届くけれども、塔頂に空中線を張り渡して長波を送れば、より目的合理的だろう。

 シナは米軍の Lacrosse 衛星の同格機を打ち上げたくてたまらないのだが、いまだに実現できない。これ無しだと全球的に米空母の居所を知ることができない。
 だからとりあえずOTHに頼ろうとしているのだろう。
  Lacrosse とかキーホール衛星は15トン以上もあるので、低緯度の海南島の新射場が整備されるまでは、とうてい高い軌道に投入できないのかもしれない。もちろん、合成開口レーダーの技術の未熟もあろう。それに、通信リレー衛星がないと、レーダーで得られた情報を利用するのに何十分もかかって、空母攻撃用ミサイル(当面は巡航ミサイル)に適時のキューを出すことができない。
 そんなこんなで米軍独占の Lacrosse が憎いものだから、シナ人は衛星爆破実験などをやらかして気勢をあげたのだろう。パラサイト衛星でいつでも破壊してやるぞというわけだ。
 米国は、そういうシナ人に冷水を浴びせるため、「NROL 21 / USA 193」という登録番号でしか知られていない、通信途絶に陥った巨大衛星を太平洋上で撃墜してみせることにした。同衛星は傾斜角が Lacrosse radar satellites と同じだったという。でかすぎるのでシャトルでは持ち帰れないし、ユーラシア大陸に燃え尽きずに落下して、どこをどうレーダー撮影したかの情報をシナ人やロシア人に解析されても困る。
 というわけで2007-8に破壊デモンストレーションが決定され、2008-2-21に、高度247kmまで下がってきたところをSM-3で撃ち落した。
 しかし Lacrosse の公開写真をみると、大型ダンプカー×2台分は優にある大きさだね。弾道ミサイルへの直撃と同日に語ることはできません。
 「衛星193」を撃墜したとき、SBX(アリューシャンのアダック島を母港とする、浮航式Xバンド・レーダー・サイト)は、そのコースの真下にいた。
 つまり本来はGBI用のSBXが、探知とキュー出しと中間誘導をやったということ?
 ちなみに米国の衛星監視所が、フィリピンとマーシャル群島(クェゼリン?)にある。尤も、これらは高性能のXバンド・レーダーじゃなかろう。

 Xバンドの威力を理解するには、ノルウェーの Vardo に設けられた米軍の27m直径の皿型Xバンド・レーダーの報道/解説が役に立つ。こいつのコードネームは HAVE STARE と言った。ちなみにガメラは18m直径のフェイズドアレイ。
 開発担当はやっぱりレイセオン。レイセオンはかつてのヒューズ(F-14の火器管制システムをつくった)を併呑したメーカー。
 アメリカは1998年に「宇宙のゴミ」を見張るという名目でわざわざノルウェーに巨大Xバンド・レーダーを据えつけたが、誰でも想像のついた真の狙いは、ロシアがカムチャッカに向けてプレセツクやバレンツ海からテスト発射する新型弾道ミサイルが、ミッド・コースで囮弾頭をどのように放出するか、その模様を仔細に観察することだった。
 ポテンシャルとして15cm分解が可能。「イメージング」ができる。デコイか真弾頭か分かる。
 プレセツク射場は白海の150マイル南にあり、カムチャッカは4千マイル先だ。
 てことはアメリカは本当は宗谷に巨大Xバンド局を置きたかっただろうね。シベリア上空からカムチャッカに着弾するまで、見届けられるから。
 もちろんその目的のためには、アリューシャンのシェミヤ島(これって「シマ」の語源ですかい?)に「コブラ・デイン」があるけれども。

 ソ連の最初期のABMレーダーは、1959年に開発され、その探知距離は1200kmだった。つまりこれ以下のABMレーダー/弾道弾早期警戒レーダーは、今日ではまずありえない。
 冷戦期から今日までのロシアの弾道弾早期警戒レーダーサイトが、いったいどことどこに設けられていたかと調べると、あっと驚くことは、日本方向はまったく「放置」していた/していること。
 モスクワ防衛しか、あいつらの関心は無かった。今も無いのだろう。ということは、北方領土にモスクワはしがみつくまい。ウラジオすら見捨てられている。
 ムルマンスク(フィンランド国境)とリガ(バルト三国中央)が、米国ICBMをレーダーで警戒する最重要拠点だった。そのあたりにロシアの早期警戒レーダーの主力が今も置かれている。

 ソ連の1975製の「ピルボックス」ABMレーダーは、フェイズドアレイは直径が16mで、宇宙のセンチメーター単位の物を見分けたという。ガメラは径18mだから、これより高性能なのは間違いない。

 ノースダコタのレーダー「AN/FPQ-16」は、別名PARCSといい、一面のみを有するフェイズドアレイで、方角はハドソン湾に固定。SLBM警戒用である。そして3218km先のバスケットボールを探知できる。水平角度広がりは140度。仰角は93度まで可能。こいつはかなり古いシステムなのだが、この性能だ。

 アメリカ海軍はアリューシャンのアムチトカ島に、「AN/TPS-71」というOTH-Bを配備していたことがあった。ソ連崩壊後の1993年に解体された。たぶん、バックファイアーなど大型機の動静を見張っていたのだろう。

 比較的進化したXバンドのフェイズドアレイが「PAVE PAWS」だ。
 冷戦中はジョージア州の空軍基地にも「PAVE PAWS」が置かれていたが、B-52クルーの人体にそのマイクロ波が当たると危険だ(といってもXバンドはエックス線ではない。8000MHz~10000MHz、すなわちパトリオット管制用のCバンドよりいちだん高い周波数で、対迫レーダーやPAC-3弾頭シーカーのKuバンドよりいちだん低い周波数のマイクロ波をXバンドと呼ぶまでである。L、S、C、X、Kといったバンド呼称は、第二次大戦中にはじまった表現で、いらい軍用無線の世界ではこれが慣用になってしまったのだ。ちなみにテレビ放送のUHFはLバンドよりいちだん低い周波数。電子レンジやイージス艦のSPY-1はSバンドである)として、ジョージアのPAVE PAWSは休止させられた。冷戦後のコストカット政策もあった。ついでにテキサス州にあったやつはアラスカに移設させられた。

 SBXは4700km遠くの野球ボール大を弁別できると、MDA長官が公表した。
 もし民間航空機がSBXに81マイル以内に接近したらレーダーは停波せよという指示が出されている。それほど強力。
 てことはXバンドを人口が密集した内陸に置くとヤバイのか? だからガメラはLバンドなのか?
 また、SBXの技術は将来のビーム破壊兵器に発達する余地があるのか? だからボーイングなのか? いや、GBIがボーイングだからなのだろう。
 GBIのEKVは核爆発の放射線からプロテクトされるという。とするとRVがXバンド攻撃をしのぐこともできそうだ。

 Xバンドは、密集複数弾頭も識別できる。
 なるほどMaRVやMIRV以前の初歩的な技術として、弾頭のショットガン化は念頭しておかなければなるまい。シナも北鮮もこれをやるだけで通常弾頭のABMをスルーできそうだ……。
 2001以前のMD実験は、XバンドのSBXの支援が得られなかったがゆえに、標的側からビーコン輻射しておく必要があった。

 米海軍はなんでも3番艦までつくってローテするのが常だから、SBXもあと2隻できるかもしれない。
 迎撃が成功したか不成功かの見分けもできるのがXバンド。分解能は15cmである。

 SBXはまずGBIを発射させておいて、そのヘッドオン中に標的のデコイ識別をするという離れ業を強いられる。
 SBXは風速130マイルに耐えるレドームを有する。……てことは、それを透過するために余計なエナジーが必要なはずだ。

 もし遠い将来、宮古島のレーダーをXバンド化するなら、台風時には地下にひっこめられるようにするべきだ。あそこの台風はハンパじゃない。公園のコンクリート製の「なんちゃって丸太」の手摺りや支柱が、風圧でボキボキ折れたり倒れているのをわたしは見た。

 米国はABM条約から脱退した。それでSBXが可能になった。
 こいつのメリットはフィリピンみたいな政府方針が一貫しない国に施設を閉鎖しろとか脅かされることがない点だ。つまり東洋では日本以外にXバンドの固定基地が配備できる可能性はない。

 フィリピンにXバンドの基地が置かれるときは、SSBNが迎撃ミサイルのプラットフォームになるのだろう。
 アメリカは台湾を蒋介石に返したことを後悔しているだろう。日本領土だったらいまごろ、トンキン湾北部海面を見張る巨大アンテナ基地になっていた。

 GBIは発射から3分後、標的からの距離にして2253kmのところで、EKVを分離する。
 つまり2200km以内で敵バスからMIRVが分かれるからか。
 衝突の100秒前からEKVは己れの赤外線センサーを使う。SM-3なら30秒前だ。

 ソ連の最初のABMは、射距離が300kmで、射高は2万5000mだった。
 弾頭にはなんと1万6000個のタンガロイ玉が。それを皿状に散開させた。(HOEと違って燃えずに落ちてくるから怖いぜ。)

 ついで「ガロシュ」が採用された。大気圏外の350km先で迎撃する。固体のブースター、液体サスティナーの2段。鉄道上のコンテナからホットローンチ。弾頭は核。さいしょは極小イールドだったが、けっきょく最後は1メガトンに。理由は正確さに自信なきため。後継機では10メガトンまでいちおう考えた。それほど弾道弾迎撃は至難なのだ。

 弾道弾早期警戒用の「ヘンハウス」レーダーサイトは15箇所あるが、最も東寄りのは東経103度。イルクーツクよりチョイ西のモンゴル国境。対支用だ。対日本海用ではない。
 イルクーツクには複数の長距離レーダーサイトがあり、衛星も見ている。3520kmを見張れる。
 ヘンハウス最終型は6000kmぐらい見えるんじゃないか。このモンゴル北から5000km見えるとすると、北鮮ロケットはOTHによらずして探知できただろう。

 北緯50°53'34.66"、東経136°50'12.38"、および、北緯50°23'07.98"、東経137°19'41.87"(アムールスク、コムソモルスクなどのあたり)にある短波OTHが、ロシアの最も東にある、弾道弾早期警戒レーダーだ。
 マイクロ波だとイルクーツク。カムチャッカにあるレーダーは、弾道弾実験支援用。着弾を見届ける。
 極東にマイクロ波の弾道弾警戒レーダーがないということは、ABM部隊にキュー出しもできないということ。つまり極東が弾道弾攻撃を受けるとわかっても、とりあえず何もできない。

 コムソモルスクの「ヴォルガ」レーダーは、短波で4800km探知できる。
 ロシアは2000年時点で、ミンスク、ニコラエフ(黒海の町だ)、コムソモリスク、ナホトカにOTHを持っていたが、いまは2箇所。ナホトカにはでかいやつがある。

 豪州のOTHは3基地を北部に並べている。Jindalee Operational Radar Network と呼ぶ。800~3000kmをカバーする。800km以内はブラインド。
 衛星をホイホイ打ち上げられない日本こそ、これが必要だろう。
 OTHならパラサイト衛星にしてやられることもない。

 OTHの送信局と受信局は100マイルぐらい離すのがよい。160kmか。この間隔をとれるのは北海道か富士裾野しかあるまい。アレイは長さ3km以上になることも。この土地も北海道と富士山にしかない。積雪は無問題。

 1970年にはソ連のSLBMが脅威になり、DSPをSLBM対策として打ち上げた。これは高い静止軌道から、ひろびろと地球を見張っている。どこで赤外線が花咲いても、探知すべく。
 2009-4-5イベントでは、DSPが第一段および第二段モーターの点火などをモニターしていた。切り離しの様子はXバンドで確かめた。

 フランスもOTH-Bを計画している。NOSTRADAMUS という名称。
 送受2局ではなく星型配列とし、700~2000kmを見張るという。
 もちろん、米国のBMEWSやDSPに頼らずに、単独でロシアの中距離弾道ミサイル発射を見張るためだ。
 日本も倣うべし。

 海保はロラン局をどんどん閉鎖するつもりらしいが、これを海自はひきとるべきだ。
 GPSに頼らずに、極東でGPS並みの航法を可能にする地上系チェーンができるはずだ。

 湾岸戦争のときは、〈スカッドという心理兵器に、パトリオットという心理兵器で対抗した〉と総括された。4-5の騒ぎで、北鮮のテポドン2も、日本のMDも、どちらももはや、心理兵器にすらあたらぬことが立証されたのではないだろうか?

 では敵は次にどう出てくるだろうか?
 日本はどうすべきなのか?

 解答は、『予言 日支宗教戦争』(並木書房刊)の中にあります。

あらためて対支監視用の国産OTHレーダーの建設を提言する

 車力の地上出前式Xバンド・レーダーは、もともと米本土でのターミナル迎撃用の機器が転用されたようなものだから、弾道弾が北鮮で発射された直後の探知は苦手だろう。
 車力の前には佐渡島(そこは北鮮にヨリ近い上に適当な高地もあり、しかも西方に大都市がない)が、ポータブルXバンド・レーダー・チームの展開地の候補として上がっていたことから、斯く想像できる。(つまり、特に三沢基地にアラートを出すために好んで車力に置いているわけではない。)

 ※佐渡島が候補から外された理由を想像すると、レーダーとそのオペレーターズを出前するC-17輸送機が離着陸するときに、そうした大型機用の地上支援態勢が地元空港に備わっていないために、かなり不便であろうこと、および、既設の空自レーダーサイトの宿舎に余裕がなく、駐留米軍人とレイセオン社員の厚生が劣悪になるであろうことが問題として顧慮されたのではないか。

 それでも、飯岡と下甑のガメラが本格稼動する以前は、「対満鮮のPAVE PAWS/COBRA DANE」が無い――という大穴を埋める機能を、車力が一手に果たさざるを得なかった。

 しかし今回の4-6イベントに関しては、すでに飯岡と下甑島のガメラが稼動していた(下甑は3-31運開)し、複数の日米イージス艦(艦載Xバンド・レーダー)も日本海に出張して北鮮方面を集中的に見張っていたのだから、今回は、日本国家に対する「警報」機能を、車力が果たす必要は無かっただろうとわたしは想像する。

 車力は、今回は、ブースターの落下について日本近辺の米軍にアラートを出すこと、ブースターの落下点をダメ押し確認すること、デコイ/デブリ判別のデータを蓄増すること、そして、頭上を通過する物体の「カタチ」を仔細に測定することに、専念したのだろう。

 三菱電機が、国産測地衛星で、ながらくLバンドの合成開口レーダーと取り組んできたことの意義は大きい。まったくわたくしの想像だが、飯岡と下甑を連動させれば、それは合成開口レーダーとほぼ同じことになるのであろう。とすれば、Lバンドの不利な点とされた解像度にしても、XバンドのPAVE PAWSと互角になっているかもしれない。もちろん、探知距離はLバンドのCOBRA DANE並になるであろう。すなわち、ICBM級の高い弾道に対しては3200km~5500kmである。ちなみにPAVE PAWSも最大5500kmだと英文サイトには出ていた。
 さりながらXバンドは、雲や霧や雨で視程が縮む弱点があるらしいので、モンスーン域の日本周辺では、やはりLバンドを選択するのが正解なのだろう。アリューシャンの COBRA DANE がLバンドなのも、同海域に霧が多いからなのではないかと思う。

 2011年度までに佐渡島にも「J/FPS-5」(ガメラ量産型)が建てられるそうだ。そうなれば、飯岡のガメラ試験機は、電波照射の方向を太平洋の方向に限ることによって、反日工作員による住民訴訟を回避できるだろう。防衛省としては、できれば2011年度まで、飯岡のガメラの能力に、世間からの注目を集めたくはなかったことであろう。……サーセン!

 シナ工作員は、豪州のOTHレーダーに対しても、かつてのレーガン=サッチャー時代のグリーナムコモンのような反対運動を住民の間に焚きつけた。そのレーダーはあきらかにシナ軍の動静を遠くから見張るためのものに他ならぬからだ。

 現在、短波利用のOTHレーダーは、米国、ロシア、シナ、豪州にある。
 米国の両海岸に(SLBM警戒用として)数局あったOTHは、年間の電気代などの維持費がかかりすぎるので議会の意向によってソ連崩壊後にモスボール化され、現在、ニューイングランド(東海岸)の1局だけが活動を続けているが、その理由は、なんと、その位置から、カリブ海の麻薬密輸船舶や小型機を見張ることができるからだという。地図でみると、2400kmぐらい、離れている。

 かつてワインバーガー国防長官が防衛庁に硫黄島OTHを提案したときには、理想的最大探知距離として4000kmという数値が出ている。

 また、ナホトカのOTH局は、3000kmくらい捜索するだとか、グァム島の近くまで見張れると書いてある英文サイトがあるから、それが本当だとすれば、ロシアは4-6のトラジェクトリー(ぜんぶで3200km?)の終末に関しては、OTHで見届けたであろう。ニコライエフスクとコムソモルスクにもOTHがあるらしいから、北鮮は弾道を隠しようもなかった。(ロシアのOTHは毎秒10.5回のパルス状に聴こえるのでウッドペッカーと呼ばれる。)

 ただし、いろいろな英文サイトを見て回ったところでは、OTHの性能は安定したものではない。毎日確実に捜索ができるのは、やはり1000km以遠~2500kmぐらいの距離であるらしい。
 しかし控え目に国産技術で2000kmとしても、日本列島から渤海湾や満州まで見張るのには十分だ。マイクロ波レーダーと違い、OTHレーダーは、地表近くの動きが監視できる。ロケットのブースト直後とか、工作船の出港直後を探知できるのだ。もちろん航空機や巡航ミサイルの動きも探知できる。

 4-6イベントで日本国内は良いムードになっているから、防衛省は、北海道の荒野のどこかにOTHを新設したいと、いまこそ要求したがいい。OTHは日本の技術でも、迅速に確実にできる努力だろう。(OTHは距離1000kmより内側の捜索はできない。だから島根県あたりに置くと、却って北鮮海岸は見えなくなってしまう。)

 一部勢力が、DSP(早期警戒衛星)の打ち上げを提案すると聞いたが、もうね、「百年早い」と評するしかない。そんなソフトウェアは三菱電機にもないんだよ! できもしない技術に飛びついて予算をつけようとする議員たちに、誰かが国益のある処を教えてやらなくてはならない。誰もそれをする者が見当たらないので、ここに書くのである。

 DSPで中距離ミサイルのローンチの赤外線を探知しても、僅々数分の予知秒時が稼げるだけ。短~中距離ミサイルで狙われているわが国がDSPを保有しても、コストとベネフィットはまるで釣り合わぬというコモンセンスを、働かせて欲しい。

 それに比してOTHならば、低空飛行物体や、海上の艦艇の動向まで、日常普段から、居ながらにして捉えることができるのだ。シナ空母が渤海湾の奥まで遁入しようと、追い続けることができる。(静止しているものはOTHでは探知できないが、任務中の空母は洋上に停止することはありえない。)

 もちろん、OTHによって、1000km~4000km先の弾道弾の発射も、上昇開始直後に探知できる。DSPより1分くらい警報が遅くなるだけだろう。その代わりアメリカ経由でない分、伝達時間のロスは無いのだ。
 おまけにOTHは、気象観測までもできてしまう。海上の特定点における風向を知ることができるのだ。
 コストは十分にペイしてお釣りが来るのである。

 こんな良いことづくめの国産OTHの建設がこれまで日本では提案されてこなかったのは、それを造るとシナからの政治的な反発が来ると予期されたからだろう。しかしもうそんな環境は変わっているのだ。だいたいシナが1980年代からOTHを日本にまでも向けているのだから、やっとおあいこになるというべきなのだ。

 ※ここで、かつての加藤紘一長官時代の硫黄島OTH計画が消えた理由を愚考するに、火山活動のため地盤の変動が常にあることが精度を悪くするだろうこと、送信設備と受信設備をかなり離す必要があるのにその地積が島には無いこと、厖大な電力が必要だがそのためだけに大きな発電所を建てることが不可能だったこと、建設工事費と年間の維持費がハンパでなく、とうてい国会も大蔵省も納得させられないと予期したこと、があるのではないか。

 ガメラが配備される下甑、佐渡、大湊、沖縄(与座岳)では、これから工作員対策がたいへんだ。関係者のみなさんは、ぜひ、「老子の兵法」があることを、覚えておいて欲しい。
 政治先進国のシナとわたりあって行くには、『春秋左氏伝』と「老子の兵法」を押さえておく必要があるのだ。
 それについて最も手軽に学べるテキストは、これまた拙著『予言 日支宗教戦争』の中にあります。一読をお奨めします。

三菱電機は地味に偉いことやってくれた(のか?)

 銚子岬に近い飯岡(千葉県旭市)の俗称「ガメラ・レーダー」(J/FPS-5。開発中はFPS-XXと称された)は、これまでずっと性能が厳秘であったのは当然なんでしょうが、ボンクラな私は、この地味っぽい器材番号や装備キャラクターに幻惑されてしまっていて、どうやら、こいつがとてつもない能力を持っているんじゃないかということに、09-6-5事件をきっかけとして、やっと、ようやく、気づかされましたよ。ありがとう、常に覚醒剤効果を発揮してくれちゃう北朝鮮さんよ!

 ハッキリいってもう北鮮ミサイルなんてどうでもいいくらい、このレーダーは凄いレーダーだ。バッヂ・システムの更新の延長のように思わせておいて、これは PAVE PAWS の対シナ版計画でしょう。おそらく探知距離は、衛星高度であれば、シナの最奥地、タジキスタン国境上空にまでも到達していますぜ。
 甑島の第二号基(非試験モデル=実戦配備モデルとしては1号基)なら、海南島あたりからのSLBM発射を余裕で見張れることでしょう。

 つまり三菱電機は、米国に何周も先行されている短中波OTHレーダー(対バックファイアー用)や、強力大型Xバンドの対SLBMレーダー(PAVE PAWS)には敢えて手を出さないで、測地衛星の合成開口レーダーでこれまで培ったLバンドを集大成するガメラをつくり、アメリカの得意とする対BM遠距離レーダー分野をニッチ技術で部分的に抜いてみせたんだ。大したガッツだぜ。ご苦労様でございます! F-2のフェイズドアレイも、無駄ではなかったですね。

 DODがこのたび、〈F-22には価格に見合った将来性はない〉と、継続調達を打ち切ることにしたのも、Lバンド、Xバンド、それからバイスタティック(離れた2局以上を同期連動させる)を混合運用する、今後の日本の技術しだいでは、そんなものはステルスでもなんでもなくなるだろうと、今から予測したからじゃないですか?

 硫黄島OTH基地案が、なんの説明もなく、いつのまにか立ち消えになったのはなぜだろうかとも、ずっと不審に思っていたのですけれども、和製 PAVE PAWS もしくは「ガメラ」の可能性がその頃からもう念頭にあったのかもしれません。イージスみたいにアメリカのノウハウを押し売りされたんじゃ、日本の三菱としてまるで面白くないですからね。

 やはり6-4「誤探知」は、ロシアの衛星じゃなかったのかと、わたしは疑います。シベリア上空でわざとホップアップさせたのかもしれません。
 さもなくば、高高度向けのSAM演習でも、やったのかもしれません。それなら、〈いやー、北鮮のロケットが落ちてきたときに一応備えましてね〉という言い訳も用意できる。

 今回、北鮮は、三菱電機のガメラの性能の一端を明らかにする手伝いを果たしたことで、またもシナに恩を売りました。それが、最初から打ち上げ目的の一つだったとも考えられます。これでまた少し、シナから重油を恵んでもらえることでしょう。
 (以前、浜松にAWACSが初配備されたときも、北鮮は一事件を引き起こしていますよね? 覚えていますか? 彼等にはパターンがあります。彼らはいつも、シナ軍が知りたい日本軍の最新装備の能力や、各種運用体制を、シナ軍に代わって「威力偵察」してやっているように、わたしには見えます。)

 さてそうなると、次に来るものは明らかです。米国のPAVE PAWSに対して展開されているような、住民からの「電波障害訴訟」でしょう。これがシナの工作員によって、必ずや起こされる。
 弾道弾警戒レーダーは、水平線から+3度の仰角でふだんの捜索用電波を発射している(これは米国の運用で、ロシアは違うかもしれません)のですが、どれほどペンシルビームにしても sidelobes(横漏れ)というものが必ずあるため、電波の幾分かは、地表に当たることになります。それを論拠として、〈レーダーを止めろ〉運動が、反日活動グループの間から沸き上がるでしょう。

 わたしがいつも申しますように、日本にとっての真の脅威は、「間接侵略」です。NHKの台湾特集制作チームが、すでにやられているそうですね。この、黒幕が見えない、代理人を使ったソフトな侵略に、わたしたちはどう対抗すればいいのか? 皆さん、いますぐ『予言 日支宗教戦争』を読みましょう。この本の売り上げが、シナへの「覚醒メッセージ」になります。

春の泥棒シーズンがやってきた

 北海道もようやく暖かくなってきたと感じます。空き巣狙いシーズンの開幕です。

 小生の最新刊:『予言 日支宗教戦争』では、皆様の住居を侵入盗犯から如何にガードすべきかの、個人的新研究を、まるまる1章分を費やして御披露いたしましたが、皆様、すでにお役に立ててくださってますか?

 やられてからでは、遅すぎますよ! すぐに拙著の経験談をお読みください。並木書房から発売中です。

 この「社会防衛」のテーマでは、小生は今後も、調査と提言を継続して参ります。地域防犯に「最終解」は無いからであります。

 さっそく、また一つの新着眼を付け足すことと致しましょう。

 「2つのブロックが離れることによって、センサーが作動し、大きな音を鳴らす」という侵入警報装置が、市販されております。戸や窓を開けて入ってくる泥棒を驚かせて、おひきとりを願うためのデバイスです。

 この装置は、感度を鈍感に抑えてある震動検知警報器(窓割れセンサー)よりも、犯人があざむきにくいという意味で、間違いがないデバイスでしょう。
 用心深い犯人は、震動センサーを作動させない仕事が、たいてい可能だと考えられます。
 なにしろ、きょうびは、カタギな窓の取り付け工事などで知識を積んだり、錠前について教える学校で情報を集めている者が、空き巣のターゲットを探して夜の街を徘徊していかねない、油断のならぬご時世……。世界的不況とグーグルストリートビューのお蔭で、社会の物騒さは減ることはないと覚悟しておくのが無難でしょう。

 空き巣狙いが窓を破るのも、その目的は、破孔から手や道具を差し入れて錠を外し、窓を全開するためです。それで、いよいよ窓をオープンするときに、「窓開け」探知警報機の存在に気がつかなければ、犯人は警報音によって奇襲されるでしょう。

 しかし、この装置、いくら薄くて小さくとも、ご家庭のアルミ・サッシ窓には、なかなか貼り付け難いことがままあるので、困ってしまうのです。
 それといいますのも、最近のサッシ枠が、おしゃれなデザインになっていて、曲面や段差が多いためです。

 どうしたら良いでしょうか?
 思うに、むしろ、「2つのブロックが5~4cmくらいに接近することによってセンサーが作動し、大きな音を鳴らす」仕組みとすれば、問題は解決するんじゃないでしょうか? ぜひ、アラーム・メーカーさんの、それぞれのご工夫を期待します。

 たとえば、持って近づくだけでマイカーのドアがアンロックされる自動車用キーが普及していますよね。これの混信/誤作動を防止しているノウハウを簡易化して応用すれば、「小型/薄型の2個のブロックが、互いに5センチ以下まで近づけば作動するセンサー」は可能ではないでしょうか。

 具体的には、「引き違い戸」式のアルミ・サッシ窓の左右各々のガラス内面に、外側からは小面積のステッカーのようにしか見えない、この2個のデバイスを、だいたい同じ高さぐらいに貼っておき、スイッチを「作動中」にします。
 外出中、泥棒がその引きちがい窓のどちらかを5~十数センチほどスライドさせて開けようとすれば、2個のデバイスが距離4cm内外で重なる形となって、たちまち大きな音が鳴り出す――といったからくりですね。

 この「2チップス近接感知アラーム」方式にしますと、2つのチップ(デバイス/ブロック)を貼り付ける位置が、ユーザーの創意により、それこそ十人十色のバラバラになるでしょう。そうなると、プロ泥棒も、窓の外側からは、その存否の見当がつけにくい。そこから、より強い抑止効果も期待できるかもしれません。

「衛星ウォッチャー」など、ありえませんでした

 北鮮は今回、「対日宣伝」の意図はゼロでしたでしょう。

 5日に発射されたんじゃ、10日に(首都圏で先行発売すればよい週刊誌とは違って)全国の書店で一斉に発売される体制になっている月刊『文藝春秋』の記事には、どうしても反映されようがない。
 これで、来月の5月10日売り号(6月号)に記事が載ったって、新年度とゴールデンウィークが挟まってるんだから、わが中産階級人民大衆はとっくに忘れ去ってます。

 つまり平壌は、今回は(というか今回も)、日本人に騒いでもらいたいとは少しも思ってなどいなかった。もちろん、かれらが政治の相手として念頭しているのは、終始、アメリカ合衆国だけです。

 二段目以降の着水点が発表されないのは、アメリカとしては、他国や他機関が有している観測能力、すなわち、衛星や弾道弾を洋上において追跡する能力がどのくらいなものかを、念のため、知りたいからなのでしょう。

 アメリカの追尾機関としては、『着水点を観測したのはオレたち以外はないはずだ』とは自負しつつも、いちおう〈ネガティヴの確認〉のために、様子を見ているところではないでしょうか。

 着水点を独自に推知した国や機関があれば、そろそろ、黙っていられなくなり、プレスにリークがされたり、発表が飛び出すはずです。
 特にロシア政府は、自国民からの「怒り」を常に気にする、革命圧力には伝統的に脆い立場ですから、なにか一言いわずにはおれない。しかし、彼らは、どうやら、新「衛星」を確認してないようですね。

 ちなみに、ロシアの強力なABMレーダーはほとんどが北極圏へ向いているでしょうから、あまり高緯度にはさしかからないであろう今回の北鮮発射「衛星」は陸上からトラックできないでしょうし、もし、カムチャッカ半島に、対SLBM警報用や自国の弾道弾実験観察用の南向きの強力レーダーがあったとしても、ハワイ沖まで見通せるはずもありません。

 残るはOTHレーダー(かつてウッドペッカーと呼ばれたもの)です。これは電離層反射ですから、精度は期待できない。
 あやふやな精度のオーバー・ザ・ホライズン情報にもとづいて、「着水点はここだ」などとロシア政府が発表したりするのは、却って、自国のトラック力の限界をアメリカや世界に知られてしまって、不利になる、と彼らは判断するのではないでしょうか。としたら、報告をうけても、プレスには教えずに黙っていた方が得でしょう。

 安定した周回軌道を維持していない飛翔体の即時洋上トラックは、この世界中で、まだまだアメリカ合衆国しかできぬ芸当であることが、今度の件で、知られたように思います。
 おそらく数か月もすれば、正確な着水点が米国からリークされるでしょう。(その時は、サルベージの可能性の検討もとっくに終わっているときです。)

 イランにできた衛星投入に、北鮮は失敗しました。両国の軍事ハイテク技術の優劣は逆転しました。西欧にとってイランは間もなくリアル脅威になります。北鮮は、今回、グアム島攻撃能力のポテンシャルを宣伝するのが精一杯で、アラスカやハワイまでは脅威できないことが逆にハッキリしたのではないでしょうか。それはアメリカ以外には知られると困るでしょう。

 あるいは北鮮は、ロシアのレーダーを嫌い、アリューシャン寄りではなくハワイ寄りに弾道を定め、しかも、そのことをあらかじめ米国に通告していたのではないかとも思うのです。米国の観測力におんぶした、米国だけを相手としたデモンストレーションだったのかもしれません。

 わたしは、「NPOトラッカー」「NPO洋上報道機関」が必要だと思いました。グリーンピースみたいに有志がカネを醵出して、軍ヲタがボロ船に乗り込んでハワイ沖で飛行船を飛ばし、そこから合法的なセンサーで飛翔体を観測するのです。そして、観測し得たことは、全部、インターネットで逐一報道するのです。
 ついでに「竹島」や「尖閣」の定期リポートもお願いしたいですね。
 日本財団とかで後援してくれないでしょうか?


 さて、「前線十萬」(『鉄兵十万』)の翻訳者の謎についての続きです。
 櫻井忠温が陸軍省新聞班長を退職したのが昭和5年8月1日で、『肉弾』で作られたネームバリューを除くとほぼ無能者であった彼は8-29に予備役になります。
 その直後、講談社の『少年倶楽部』編集長は、「のらくろ」の新連載を決めている。連載第一回がS6-1月号でした。
 「のらくろ」が戦前の日本で果たした公報機能は、『前線十萬』シリーズがWWI中の英国で果たした教育啓蒙機能の延長線上にあるように、わたくしには読めます。
 新体制の新聞班内に「前線十萬」の真の翻訳者の意図をよく理解した切れ者がいて、〈これからの国内宣伝は、漫画だ〉と考えたのではなかったでしょうか?

衛星ウォッチャーにお尋ねしたい

 いまごろ日本海には、無人偵察機の「グローバルホーク」が、ぶんぶん飛んでいるんでしょうな。高度2万mを時速650kmで。
 北鮮は、TVカメラを積んだグローバルホークが領海・領空にちょっとぐらい入っても、撃墜するつもりはない。これは公言はしないが阿吽の呼吸でしょう。
 むしろ、米国にだけは、よく見てもらいたいと思っているはずだ。

 北鮮はロケットのランチを、できれば米国の(合成開口レーダー衛星ではなくて)光学写真偵察衛星から、はっきりと見てもらいたい。
 やはり〈ロケット技術をPRして米国から一目おかれる〉ってのが政治的目標ですからね。
 とすれば、ムスダンリ上空が曇っている時や、上空に光学偵察衛星がさしかかっていない時刻には、ランチはしたくないはずだ。

 ロシアはガメラ・レーダーの対BM用探知性能を、知りたがっている。だからこのさいELINT衛星を「北鮮上空のはるか手前から軌道降下開始、日本列島上空航過後に軌道回復」させるくらいのフェイントを仕掛けたとしても不自然ではないでしょう。
 日本のガメラの性能が分かれば、米国が東欧に設置するMD用レーダーの性能も推測可能になりますからね。


 ところで「前線十萬」の摘録をつくっていて、また発見をしちまっただよ。この邦訳(まず昭和4年の改造社の『世界大衆文学全集』に収め、ついでS5-10の『櫻井忠温全集 第二巻』に収められた)こそは、S6-1からの漫画「のらくろ」の『少年倶楽部』連載by田河水泡、を企画として発想させたのだ。委しくは09-5-25配信の「読書余論」で語ろうじゃないか。真の訳者が誰かについては、本田増次郎が大14-11に没したから、彼が着手し、その後、別人が引き継いだと想像しています。

誤探知でなく誤警報では?

 誤探知といわれるもの、じつは、高度をうんと下げてきた米露の光学偵察衛星を、千葉のガメラ・レーダーが探知したのではないですかな? あるいは小型のフェレット衛星。既存のデータベースに入ってない軌道だったんでしょう。
 そのむかし、最初のノドンが能登沖におちたのをいつまでも国民に知らせずにいた、許し難い日本政府の態度にくらべれば、昨今は千倍マシだと思いません?
 さらにそのむかしは、北鮮の拉致事件すら国民に対して隠していた、とんでもなく反国民的な日本政府がですよ。少しは進歩して来ているのです。

統計学的な科学精神……くらいは学校で教えとかないと今の日本のようになります

 かつていちど数学で「0点」とったこともあるのが自慢のわたしは、すべての日本の生徒・学生が理数系の教養を極める必要があるとは主張しない。しかし、「統計学」というものの存在とその有り難さだけは、一生忘れないように早いうちから教えておくべきである。

 実戦式な運用実験を、二十数回以上もくりかえしてみないうちは、そのロケット技術や弾頭技術は、決して「枯れた」とは評し得ない。
 枯れてない技術が、次の実戦使用で、ものの見事に失敗しても、誰も驚いてはいけない。
 これが「統計学」の教養である。
 どうです。有り難いでしょ?

 たとえば1945年の「リトルボーイ」は、濃縮ウランを砲身式で臨界させる最初の原爆ながら、実爆試験をパスして広島へ投弾された。
 しかしその蔭では、起爆装置部分の「カラ撃ち」試験や、爆撃機から投下する手順の実動演練を、事前に何十回も重ねていた。
 うち1回の投下シミュレーションでは、「不発」になって失敗を記録した。
 とうぜん、広島上空で不発になったまま弾体が敵手にわたるというケースも想定をせざるを得ず、米軍では、そんな場合にはどうするかということまでも、考えていたのである(その計画オペレーションの具体的詳細は、まだ公表されていないと疑うべきだ)。

 北鮮は弾道ミサイルに核弾頭を搭載して発射してみる実験を、過去に一度もしていない(シナは1960年代後半から何度もやってみせている)。
 それなのにもし近いうちに北鮮がいきなりリアルにスカッド改に原爆を搭載して発射をこころみた場合、「当たる」/「当たらない」以前に、「正常に爆発しない」可能性や、「不発に終わる」可能性の方がデカい。
 もし空中での起爆タイミングが遅い方にズレた場合も、弾頭は音速の数倍の速さで地面に衝突して起爆装置が圧壊し、原爆サンプルをまるごと相手国に進呈することになる。逆に起爆タイミングが少し早い方にズレた場合は、地表をほとんど破壊せぬ「高々度花火」になる。

 北鮮は原爆実験そのものも1回しか実施していない。
 しかもそのイールドは、最も初歩のノウハウで構築された(したがって核物質のムダが多かった)長崎型原爆の22キロトンや、同じく広島型原爆の14キロトンにも、遠く及ばなかったと観測されている。
 とうぜん、そのような実験結果は、所定の連鎖反応を実現できず、失敗に終わったと判定されるべきである。
 北鮮はそのご、再試験をいちどもしていないから、原爆そのものが、未だにできあがってはいないのだ。

 統計学的科学精神を教授される機会を人生の前半に於いて逸してしまった者だけが、「北鮮の核ミサイル」なるものの存在を声高に叫ぶであろう。

 なおまた北鮮は過去に、ロケット弾頭に生物化学剤を詰め、それを実戦射程で発射し、目標とした地表から最適の高度において、人の肺に吸入させるために最適な粒子サイズのミストにしてそれを放出するというテストを、いちどもしたことがない。
 すなわち、北鮮の「生物化学兵器搭載ミサイル」なるものも、統計学的に、存在しもせぬものだ。
 統計学的科学精神を講授される機会を人生の前半に於いて持たなかった者だけが、このような幽霊兵器が飛んでくるだろうと、声高に叫ぶであろう。

 かつてわたしは、複数の著書と雑誌記事の中で、〈戦争指揮所設備がある防衛庁を、六本木から市ヶ谷に移転させるのは、シナが水爆ミサイルを撃ってきたときに皇居をまきぞえにすることになるのだから、考え直せ。せめて朝霞にすべし〉――と訴えた。
 しかし今回、PAC-3のファイアーユニットが市ヶ谷駐屯地内に展開したのは、至当である。同部隊は、皇居防空の専任なのだろう。
 それをする心構えが日本の統治機構の中にあったのだと示したことは、有意義だ。

 そこでこの際また提案をさせて貰うと、やはり防衛省は市ヶ谷から東京24区外のどこか(座間とか入間とか)へ引っ越すべきで、市ヶ谷駐屯地には、パトリオット部隊を常駐させるべきだろう。

 ついでだ。ひとつまた予想をしよう。
 海上で北鮮ロケットの切り離されたブースターをSAMで撃破できるチャンスが幸運にもあったとしても、海自はそれをやらないだろう。というのは、米海軍の潜水艦が、そのブースターを良い状態でサルベージ回収したいと欲しているはずだからだ。
 もちろんサルベージ作戦は秘密裡に行なわれる(前回のミサイル演習のときも、米潜による海中回収が試みられているはずだ)。
 デブリが沈んだ海底を精確に特定するためにも、イージス艦をあちこちに展開することが要請される。


 以下、せんでん。
 3日に、オークラ出版の『撃論MOOK 281 世界に愛された日本』が拙宅に届きました。この中に、小生が一文を寄稿しています。例の「U27」潜や第二特務艦隊に関する過去の不正確な日本語文典を正す内容としたつもりですので、WWIのASWの実相に興味のある人は、参考資料にしてください。

 『予言 日支宗教戦争』は、邪悪な反日宗教からナウなヤングを保護する「テキストのワクチン」です。あなたの大切な人のために、1冊買ってさりげなくプレゼントしましょう。新入生が5月になったら、もう手遅れかもよ!
 この本が売れることで、日本人の理性とガッツとがいまだ十分に健在であることを、邪悪な諸勢力に対して、見せつけてやることになるでしょう。

絶東黙示録

 複数の英文サイトが1~2年前から警告しているのが、シナ軍は米空母への対策として、弾道弾(短距離用の東風15や、中距離用=2500kmの東風21)のRV(再突入体)に、空力制御による対艦ホーミング機能をもたせるんじゃないか、っていう話。

 つまり宇宙空間からまっさかさまに米海軍の原子力空母の飛行甲板を直撃してやれ――と、たくらんでいるんじゃないか、というのだ。

 いまげんざい、シナ軍が保有する「潜水艦+巡航ミサイル」、「攻撃機+巡航ミサイル」のいずれもが、米空母機動艦隊の総合的艦隊防空システム(イージス巡洋艦、艦上早期警戒機、中距離AAMを低空目標に対して発射できる艦上戦闘機などを含む)の前には、有効ではないと見積もられる。
 ならばと、奥の手を考えているだろう、と予想しているのだ。

 じつは、弾道ミサイルを対空母に用いるという「奥の手」は、目新しい話題ではない。冷戦期のソ連は、対米開戦の暁には、核弾頭付きのSLBMで、米空母艦隊と戦うつもりであった。そこまでやらぬ限り米空母には対抗はできないと、最盛期のソ連軍ですら認識をしていたのだ。

 シナ軍は、そんな難しい課題を、非核弾頭で、しかも陸上から発射する中距離弾道弾で、克服してみせられるのだろうか? まず、無理だろう。
 米軍はすでにパーシングII(とっくに廃棄済み)で、弾道弾のRVを大気圏内での最終落下中にホーミング機動させる凄い技術をマスターしている。しかしシナ軍はそのような技術の実験すらまだしていない段階。米空母は30ノットで動いている。ダイレクト・ヒットなんて、夢物語だ。

 だが、英文サイトがこの種の警告を宣伝してくれるのは、日本にとっては都合がいい。
 日本の武器メーカーは、この大不況で倒産したくなければ、次のような提案をすれば良い。
 ――「シナ海軍が空母を持つことが確実になった。この脅威に対抗するには、わが国が、長射程の対艦弾道弾を開発するのが有効です。その発射プラットフォームには、大型潜水艦が適当でしょう」と。

 そう、通常弾頭の対空母弾道ミサイル・システムを作るという名分の下、SLBMシステムを堂々と開発することができるだろう。

 ……というのは冗談だが、もちろん、日本にとって、長距離戦術用・対艦弾道ミサイルは、必要な装備なのである。というのは、シナ海軍は、かならずや、韓国領土や北鮮領土などを、日本からの戦術巡航ミサイルに対する「政治地理上の障壁」として利用するに決まっているからだ。

 しかし、射程数千kmの戦術対艦弾道弾ならば、朝鮮領土などのはるか上空を通過するので、海自は、日本海から随意・随時にそれを発射して、渤海湾に居るシナ艦艇を攻撃できる。
 北鮮は、今月、日本の上空を長距離戦略ミサイルに横切らせるという。
 だったらわが国は、射程数千kmの対艦弾道ミサイルを開発しようじゃないか。
 シナ政府は、それが厭だったら、北鮮をとっとと制圧するが良い。


 おまたせしました。
 『櫻井忠温全集』をあらかた調べ終り。結論。『肉弾』は、忠温の単独著作ではない。本田増次郎と櫻井鴎村(彦一郎)のどちらか、もしくは両方が、大幅に加筆して編集したものである。
 この両名はしかも、最初から、本書を英文で出すつもりだった。
 陸軍病院入院中の忠温は、迫真の一次ソース提供者として利用されたに過ぎなかった。
 英文で宣伝しようという構想が先行した、特別な企画だったのだ。それは新渡戸の『BUSHIDO』に続き、大成功した。“Human Bullets”を後押しした大隈重信は、確かに日本の安全保障に大きな貢献をしたといえる。

 増次郎&彦一郎は、かなりな嘘を、忠温の口を藉りて、吐かせてもいる。たとえば、M37-8-24の望台の麓で、ロシア将校がじぶんの足の傷を日本の衛生兵に包帯させたあとで拳銃で射殺してしまったのを目撃した、という話など。
 (どうして嘘だと言い得るのかは、いずれどこかで書くとする。)

 それより大事な発見。
 増次郎&彦一郎コンビの目的は、高度な対外宣伝&対内啓蒙にあった。
 増次郎はポーツマス会議前に渡米して世論工作に任じているほどの英文通。英国では少年を勇敢に鍛える文化と、動物愛護精神とが両立するのだという発見を早々としていた。
 彦一郎は日本の町民の、武士化(=市民化)に関心が強く、あの新渡戸の『BUSHIDO』を、新渡戸と細部を相談しながら完訳(和訳ですよ)した男。大隈に気軽に序文を依頼し、大隈経由でテディ・ローズヴェルトへ献本をさせられるような関係にあった。
 彦一郎のこの地位が有ったので、弟の忠温は菊池常三郎じきじきに治療をしてもらえたのだ。その鴎村はS4に没した。

 忠温の下の弟の櫻井忠武がまたすごい。海機19期の首席卒業者で、和田操の上司でもあった、スーパー・テクノ・エリートだ。ところが、山本五十六が最も期待をかけた「九五式大攻」を、忠武は失敗させてしまった。そのためS8-5から米国へ、あらたなる大型機の勉強のため出張してS10-11に帰朝するのだが、その間に和田が仕切った96式中攻が大成功していたために、航本内では居場所がなくなってしまった。それでもS15には中将だし、息子(忠温からは甥)は木村俊吉の娘と結婚している。テクノ・エリート閥だ。
 この忠武の死去がS20-3なので、櫻井兄弟のなかでは、最も学力で劣った忠温(数学ができなくて、中学一年を2度やった)だけが、戦後まで生き残ることになった。

 素では、平板で散漫な文章しか書けない、しかも、リハビリ後の軍職に関するプロ意識もそれほど高くはなかった忠温……。ところが、『肉弾』が、1911(もしくは1913)に A.Schinzinger の手で、(シナ語訳やアラビア語訳にも遅れて)独語訳されたことから、俄然、陸軍エリートの一部で忠温に再注目をする者があり、田中義一も〈櫻井は何かに使える〉と判断して、忠温の運命は狂った。
 じつにくだらない映画脚本を、陸軍省新聞班長の肩書きで、いくつも、映画会社に押し付けて作らせた。これで映画人から恨まれなかったらどうかしている。

 ちなみに、おそらくドイツ皇帝は、近未来の対露戦のための教養資料として、独訳『NIKUDAN』を、各聯隊の図書室に1冊づつ配給したまでだろう。

 忠温訳とされている「前線十萬」は、じつは本田増次郎もしくは櫻井彦一郎もしくはその関係者の訳なのであろう。文章が忠温のとは違いすぎるから。
 だいたい、カリフォルニアの病院で、「小便に行きたい」という意志を看護婦に伝えるのに「ウォーター!」と叫ぶしかなかったと自白している忠温に、小説の1冊翻訳は不可能だろう。また、軍事用語の訳語に、プロ軍人としては変なところもあるので、わたしは本作の真の訳者は、軍歴と没関係の者だろうと推定する。
 ちなみに原題は、第一次大戦の初めにキッチナーが英国内で募集した最初の10万人の志願兵たち、という意味で、これを「K(1)」とも略したらしい。キッチナー第一軍団、ですね。反権威的・反組織的なスコットランドの庶民兵どもが、いかにして慣れた兵隊になったかを、元中尉の本名ジョン・ヘイ・ベイス(筆名はイアン・ヘイ)が大戦の進行中に早業で逐次に発表した、半分リアル、半分創作といった体裁だ。
 英国の大衆向け宣伝小説としてのこれの興味深いところは、味方のあっけない死は描くのだが、忠温のように血塗れの描写はしないこと。

 ……とまあ、こんなテーマに興味があって、詳細を知りたい方は、5月25日配信予定の「読書余論」を、ご購読ください。「読書余論」は、毎号、ミリタリー文献の面白ネタが満載です。

 また、全国の悩める新入生諸君は、いま書店にある『予言 日支宗教戦争』を買いなさい。

読書余論 2009-4-25 配信予定分の内容予告

▼福田一郎『続 潜水艦』S18-6-30、河出書房
 WWIのASWを調べるのに適した良著。なによりの収穫は、WWII前の日本海軍のドイツ贔屓は、WWIのUボートの活躍(数百トンの潜水艦で戦艦や巡洋艦を撃沈できる)にあったんだということが、ピンと来る。

▼ジョン・ガンサー著『アメリカの内幕』S40-8、鹿島研究所出版会訳、原1951
 邦訳は束が700ページ超、それも二段組ギッチリだ。古書店で適価で見つけても、これ1冊を読もうという気力が湧き難いだろう。だが、これが面白軍事情報の宝庫なのである。
 すべての英文科新入生徒にこの要約ノートを提供する! 但し代価200円でネ。

▼武野藤介『戰線餘白』S18-5
 怪著である。どこがどう怪著なのかは、摘録を読んでください。

▼スザンヌ・バーガー著、楡井浩一tr.『MITチームの調査研究による グローバル企業の成功戦略』2006、原2005末

▼吉村昭『細菌』1970-11講談社
 731部隊について小説の形を借りて最も早くストーリーをまとめてみせた作品。石井(作中では「曽根」)のキャラクターを調べたのが偉い。兵頭おもえらく、天才石井の不幸は、じつは米英ソが早々と炭疽菌に的を絞って秘密研究を進めていたことに、大正期の禁止条約時点から終戦まで、想像すら及ばず、彼らが切り捨てていたペスト菌やチフス菌に集中した点。つまり、ペスト菌やチフス菌ではダメなんだという先進列強の最初からの見通しの追試確認を、わざわざしてくれた形になった。その契機は何だったかといえば、おそらくシナと満州とシベリアの住居が不潔で、蚤/南京虫だらけであるのが、あまりに印象的すぎたことにあるのだろう。でも、明治期の外人の日本国内旅行記を読むと、日本の地方の旅館も蚤だらけだったと分かる。最終的に虱まで追放されたのは進駐軍のDDTのおかげ。だから、小説およびTVシリーズの『SHOGUN』の清潔イメージは、貴人の宿舎にしかあてはまりそうにないフィクションです。

▼加藤周一『日本の名著 18 富永仲基』S47

▼W.Dilthey『フリードリヒ大王とドイツ啓蒙主義』村岡皙tr. S50

▼C・シュミット『政治的ロマン主義』大久保和郎tr. 1970、原1918&1924

▼R.P.Dore著、松居弘道tr.『江戸時代の教育』S45

▼トルストイ『戦争と平和』エピローグ第2編と付録、中村白葉tr. S56
 創作うちあけ話。

▼頼山陽『通議』安藤英雄・訳注1977

▼Jonathan D. Moreno著、西尾香苗tr.『[マインド・ウォーズ]――操作される脳』2008-9、原2006
 DARPAに注目していれば、劇画ネタなどに驚かされることはまずなくなります。

▼源了圓『近世初期実学思想の研究』S55

▼Rodney A. Brooks著、五味隆志tr.『ブルックスの知能ロボット論――なぜMITのロボットは進化し続けるのか?』H18-1、原2002
 アシモフという二流SF作家に影響されすぎた工学技師が、どれほどのことをなしとげられるか。

▼北海道新聞社『検証 拓銀破たん10年』2008-6
 純商業的にふりかえると破綻は仕方なかったことを分からせてくれる。辺境国策としてどうなのよという話は抜け落ちているが、北海道新聞社に期待できるのはここまでだ。

▼保科善四郎『大東亜戦争秘史――失われた和平工作』S50-8
 あまり厚くない本だが情報がテンコ盛りであるだけでなく、独特の筆法に気づけば、著者が誰を擁護しようとしていたのかが推定できる。その例を示す。鳥居民氏説には與しない。青年の高松宮が海軍物動のエキスパートに影響されたのは自然であった。

▼泉井久之助『フンボルト』S13、repr.S25

▼『二十一世紀の国際法 宮崎繁樹教授還暦記念』S61所収、池田文雄「宇宙軍事化と法」

▼小川清二『航空発動機工学』S16-5

▼筑紫二郎『少年航空科学の話』S16-5

▼佐藤堅司『鈴木春山兵學全集』上・中・下巻、S12-4

▼関口多景士『復讐心を持て』S51

▼吉田武三『とびあるき人生』S49
 長野油田に関する一説。

▼ジルベール・ガンティエ『パイプライン』文庫クセジュ1971、原1964

▼三木季雄『パイプライン』S48

▼長崎作治『海洋パイプラインハンドブック』S59

▼梅津和郎『ロシア天然ガス産業の経営構造』1997
 なぜイランが強気なのかが分かってくる。

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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

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