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自民党が間接侵略に無力な証拠

 「マニフェスト」とは共産党の用語である。
 1848のマル&エンによる「共産党宣言」が、原版の独語で“Das Manifest der Kommunistischen Partei”と称した。(ウィキペディア参照)

 おそらく '70年代以前の「赤い大学生」ならば、誰でも知っていた歴史であるはずだ。
 しかし今の自民党には、政治用語の選択に気をつけられる人士も、絶えてしまっているのかもしれない。

 ヒトラーがナチス党の旗地にわざと赤色を使って共産主義者を挑発したのは《戦略》であった。
 しかし自民党が民主党と同じ土俵にのぼって、「これがマニフェストでござい」などと一緒になっておめいているのは、どう見ても、マスコミと結託した敵の《戦略》にしてやられているだけである。

 彼らに任せておいたのでは「間接侵略対処」などできるわけがないと、あらためて確認できるばかりだ。

 「中韓を知りすぎた男」さんのブログにも指摘されているけれども、民主党が戦術としてマニフェストから削除している数々の反日立法の目論見に、今から猛然と噛み付いておかないで、下野後にどうするのだ。
 ここを鋭く糾弾して筋の通った見識を早々と強調しつつ選挙期間を戦い抜けば、下野後の明るい未来が掴めるのだ。自民党と民主党のなかから、まともな同志だけ飛び出して、「第二自民党」を創らないかぎり、あの村山談話は葬り去れない。くだらない「マニフェスト」など競作している場合ではないだろう。

 田村代議士のブログに、民主党がこだわっている法案について解説がされていた。その一つ、鳩山由紀夫氏が推進役となっている国会図書館法改正案――別名「戦争責任追及法案」――。
 国立国会図書館内に、先の大戦及びこれに先立つ一定時期の惨禍の実態を調査するための恒久平和調査局を新設。
 旧陸海軍の責任追及のために、恒久的に毎年2億5千万円の予算をつけ、そのために必要な国会図書館職員の定員を増やしてやるという。

 絵に画いたような売国法案だ。
 〈真理は我等を自由にする〉とギリシャ語で掲示されている国会図書館に、売国バイアスのかかった反日左翼職員を送り込んで、国民の税金を使って、過去の実態の隠蔽活動をさせようというのだ。狂っている。

 「読書余論」の最初からの読者なら、分かっているだろう。戦前から昭和30年代にかけての古い公刊資料は、シナ人や朝鮮人の実態を能く明かしてくれる。そうした古い資料に、日本じゅうの誰でもが、いつでも簡単にアクセスできるようになれば、それだけで、左翼反日勢力による歴史捏造は不可能になるのだ。
 まさに〈真理が我らを自由にする〉のである。ギリシャ人、我をあざむかず!

 だから国会図書館について自民党がやらねばならぬことは、げんざい明治期の蔵書について進められている、蔵書資料の画像デジタル化(見開きページ全体を撮影してファイル化し、利用者はそのデータにインターネットでアクセスして、随意のページをめくって閲読することができるようにする)の作業を加速せしめて、早急に、昭和20年までのオンライン・アクセス可能環境を完成してしまうことだったのだ。これには雑誌も含めるべきであることは言うまでもない。

 いまからでも遅くないから、自民党は「マニフェスト」にこの一項をつけ加えよ。
 他にも、民主党が「マニフェスト」から省いている反日法案と闘うカウンター事業案を、自民党はいちいち公表せよ。
 国民の目は節穴ではなく、この政策立案力(すなわち間接侵略対処能力)のある議員は誰と誰であるのか、正当に評価されるであろう。

 以下は、余談です。
 米国がインドに最新鋭の対潜哨戒機を売ることを早々と決めていたということの意味をずっと考えているんですが、これは米国政府がインド政府に、「インドのSSBNに対する、核戦争時の空中指揮機(ルッキンググラスの前駆版)を提供しますよ」というオファーを、内意しているのではないでしょうか。

 もちろん哨戒機「ポセイドン」のキャパシティでは、乗員20名のルッキンググラス(ボーイング707改造)にはなりませんけども、その縮小版になら、なるでしょう。
 〈当面、こいつで慣れておいてくれ。数年後には、もっと大きな特注品を売ってあげよう〉と、アメリカはインドにもちかけているのではないでしょうか?

 英仏政府は日本政府とは違って秘密管理がしっかりしているので、外に事情が洩れたりはしないでしょうが、たとえばフランスのSSBNの運用についても、じつは米国が、かなり助言をしているのではないかと思います。それが、「核クラブ」の実態でしょう。
 米国は、偶発核戦争の可能性をできるだけ減らす責任を負っており、印支の核バランスについても、面倒を見る気なのでしょう。シナを軍事大国にさせる気は、米国にはさらさらないでしょう。

 ところで、『月刊日本』8月号に、菅沼光弘さんの新著紹介があり、その中にこんなことが書かれています。
 〈米国はNATOとの間で、有事の際の核兵器の運用や手順について具体的な情報を共有している。しかし日本は運用について協議できない。また米側には日本の機密漏洩への懸念も強い。〉

 また、読売新聞の09-7-8記事も引用されています。いわく。――オバマ政権が、2009-12に「核戦力体制見直し(NPR)」をする。日本はそれまでに、有事の日米共同作戦計画に核兵器使用がどう組み込まれるか、運用について説明を受け、日本側の要望を伝える。NPRは非公開。協議内容も非公開――。

 わたしは『2011年 日中開戦!!!』というマンガで、シナとの間に核戦争になった場合、日本政府は海上に疎開することとしました。あの、全通甲板を有する空母モドキの護衛艦ですね。(原作当時はまだ『おおすみ』だけでしたけど。)ああいうところの中層甲板に戦争内閣を置く。

 そして小笠原近海を走り回って、対艦弾道弾(もちろんシナのは核弾頭付きです)から逃げ回ればよい、と。

 日本列島の飛行場事情から、「ルッキンググラス」は非実用的で、将来的には大型ジェット飛行艇がよかろうけれども、とりあえずは太平洋上のフネ利用だな、と判断したわけです。

 どうやら、現実がそれに追いついてきたように思っております。
 シナ軍は、「洋上日本政府」を脅すためにも、ますます対艦弾道弾(水爆弾頭付き)を整備しなくちゃなりますまい。それに対抗するため、日本も「対艦/対潜弾道弾」を持っておくのは、まあ、あたりまえの備えです。

 さらに余談。
 「この戦闘機はなぁ、アメリカ様から貰ったものなんだぞぉ! どうだ、羨ましかろうが!」「おまえのロシア製兵器より、こっちのアメリカ製兵器の方が上だぞ!」「こっちのうしろにはねえ、アメリカ様がついているんだい!」「ねぇアメリカ様、あいつをやっつけちゃってくださいましな!」

 ……こういうのを、「三下根性」、もしくは「妾根性」、もしくは「女中根性」と呼びまして、昔の日本人ならば、心中軽蔑したものです。(女中というのは、御殿女中のこと。「お女中」です。高級町人が、数千石の武家屋敷に頼み込んで、娘に1~2年くらいの行儀見習い奉公をさせる習慣があったのです。)

 昔の日本人なら、〈アメリカ様に北朝鮮をやっつけてもらおう。そのためには、旦那の機嫌をとるために、日本は、インド洋とアフガニスタンで、犬馬の労も取ろう〉なんて言わなかったでしょう。

 そうではなく、「総理、われわれはいつでも北鮮へ出撃し、日本人を奪回する準備ができております! ご命令を!」と、自衛隊はどうして言えないのか? また、政府も自民党も、どうして自衛隊に、そうさせようとしないのか?
 F-22をくれとアメリカに請求する前に、あるいはインド洋でどうするとか議論する前に、この国内的主張があって然るべきだろう。
 それが分からない自民党なら、下野してもらったって良いですよ。

 わたしがこれまで『武道通信』にかかわって来て、「学校では近代柔道ではなく歴史的柔術を教えろ。それも、最も危ない技からな」と主張したいと思っておりますのは、チビで非力な日本人は、江戸時代の柔術の殺伐とした技の数々を知ることによって、過去の歴史のリアリズムに目覚め、国際政治上の妾根性、三下根性からも脱することができると信ずるからです。現代の日本の若者は、素手でも人は殺せるんだという実感をもつチャンスがないから、みかけの格好良さそうな道具に頼ろうと考えるのではないでしょうか。根性なしはナイフを持っても尊敬されることはなく、専守防衛のヘタレ政府がF-22を持っても世界平和の役に立ちません。

新着の防衛白書(平成21年版『日本の防衛』)を読みて

 09年7月26日、遂にインドの国産核ミサイル原潜『アリハント』が進水した。これから2年間、ベンガル湾で試験してから就役する。6000~7000トン、95人乗組み、水中24ノット。同型艦が5隻造られる。90年代にロシアからレンタルしていた原潜で細部を学んだ。

 しかしインドが弾道弾を水中で発射するテストをしたという話が聞こえてこないので、すぐ対支の抑止力になるというわけじゃないだろう。
 それでもシナは焦っている。さきごろ、博物館級の「ゴルフ」1隻をスクラップにしないでまだ改装している写真が公開された。

 ロシアもかなり予算の無理をして、ICBMからSLBMへのシフトを図っているように見えるが、タイフーン級から陸上型の長射程固体燃料SSMを水中発射する試験は、立て続けに失敗中。SSBNは簡単なシステムじゃないのだ。

 インドは、シナやロシアと違い、大量破壊兵器を無責任に拡散させることがない。これが、アメリカの信頼を得ている。だから核武装もおおっぴらに認められているのだ。
 アメリカは、最新鋭海上哨戒機の「ポセイドン」を、インドに売ることにしている(白書はこの話を紹介している)。
 日本はインドよりも信用されていない。朝野に特亜loverが多すぎるのだ。昔は、東大がインドネシアに固体燃料の宇宙ロケットを売ろうとし(もちろん兵器に転用されるに決まっていた)、これが、米国によるミサイル不拡散レジーム策定のきっかけを成したほど。

 さて、日本の大スキャンダルになりそうなF-22問題をサラッと書き飛ばし、このインドのSSBN(建造計画は1年前から分かっていたはずだ)についてはまったくスルーしているのが、こんどの『防衛白書』の、目につく特徴だ。

 日本がシナのみならずインドにも劣った軍事的二流国となり、趨勢としてその国際政治上のパワーがずんずん沈降中であるという現状を正直に認めずして、どうして日本の防衛など語れるのだろうか。

 ここで普通の評論家なら「戦犯」をインサイダーに求める。だがオレは違います。今回は、戦犯として、大衆的人気を博した軽薄フィクションライターたちの業績をあげつらいたい。

 漫画家の松本零士さんや小澤さとるさんは、外国兵器礼賛はしなかった。健常な世代でした。意地でも国産兵器に活躍させるのが当然だと考える、日本がまだ大国であったころの大衆精神を持っていた世代です。

 健常ではなくなってしまったのは、『ファントム無頼』からです。(たしか松本先生のアシスタントだった人ですよね。象徴的だと思います。)
 その次に、かわぐちかいじ氏の、アメリカ製の原潜を海自の反乱分子が乗っ取って、アメリカ相手に暴れて溜飲を下げる、という変なマンガが評判になりました。
 次に来たのが、小説の『亡国のイージス』です。
 前後して、「トマホーク教」信仰も生じました。政治家が「トマホークを持て」云々と言うようになった。

 考えてみましょう。英国や、仏、露、支、独で、小説家やマンガ家が、よその国から買った最新兵器を、舞台装置・兼・準ヒーロー格にもして大活躍させるなんてこと、ありえますかい? 恥ずかしくてできないでしょう。

 長い時間をかけて、大衆の意識レベルから、かつて国際連盟の常任理事国、世界の7大国に列していた日本は、小国化したのです。
 大国の指導層がとうぜんに有し、大衆にも支持される「ダンディズム」がなくなってしまった。これをわたしは精神の非武装化と呼びます。それに、とうとう現実政治が追いついたまででしょう。
 諸悪の根源はマック偽憲法ですが、それを廃止できなかったのは日本の大衆です。

 防衛白書に書いてない、最新の世界情勢を、わたしが述べましょう。
 アメリカ合衆国は、〈シナと韓国と日本は同レベルの二流国だ〉と考えるようになりました。だから、この三国のうちひとつを特別扱いすることは、もうありません。この三国に「三すくみ」をさせ、できるだけ低レベルで地域均衡させて行くというのが、アメリカ合衆国の望みです。

 とうとう日本は、シナ人や韓国人と、同じ仲間だと見られるようにまでなったのです。落ちたもんですよね。でも、不愉快じゃないですよね。だって、国産機よりも「ラプター」を買え、と、マニアの人たちがずっと要求してきたでしょう?
 中共の軍事系ウェブサイトを見ても、「隠形」の「猛禽」のことばっかり、書いてます。そして、〈われわれシナ軍も、まったく同じものを造れる〉と宣伝しています。外形がそっくりのものです。心情は日本人と同じ先進国礼賛なのです。

 「三すくみ」は、半島が統一されていないからこそ実現可能なので、アメリカ軍は韓国軍の北進も容認しないでしょう。もし韓国が半島を統一すると、韓国の核武装が進展し、日本も核武装しないわけにはいかなくなり、地域の均衡の水準が一ステップ上がってしまいます。しかも三者とも、核技術を無責任にどこかの後進国に売ったり譲渡をしかねない。アメリカを狙う核テロリストが大増殖するのは、アメリカには一番困る。

 さて、09-7-24には、B-2ステルス爆撃機が2発格納できる3万ポンドの鋼鉄製地下貫徹爆弾(Massive Ordnance Penetrator)のテストの短報。充填炸薬量は5300ポンド、強化コンクリートも貫徹できるという。
 これはイランを脅かしているのか。それともイスラエルを宥めているのか。

 かんけいないけど、北朝鮮の炭鉱は地下1000m以上あるはずなんで、こっちをやっつけるためには「重い毒ガス」が必要になるだろうね。敵の地下組織壊滅のための重い毒ガスの使用は数十年も前にハインラインの小説で予見されているので、米軍のことだから、とうぜんに選択肢の一つだろう。毒ガスを放棄していない相手には、逆に毒ガスの脅しがリアリティを持ってしまうのだ。

2日も留守にするとメールの処理がたいへんな件等について

 会津若松市に行って来ました。かれこれ5年以上もごぶさたしていた眼科医の米山高仁先生に高いワインをごちそうになりました。さすがに函館のスーパーで入手できる1瓶390円の安物とは違いますね!

 会津地方の観光名所はたいがい既に見て知っておりますので、今回は、穴場ではないかと思い、「福島県立博物館」に出かけてみました。
 地図をみるとその近くに「山鹿素行生誕の地」もあるようです。それで、不思議に米内光政さんに顔が似ているタクシーの乗務員さんに頼んで寄り道をして貰った。

 現場は、街中の狭い1区画が、宅地化を免れて保存されていました。敷地の奥に、東郷平八郎が揮毫した大正15年4月建立の石碑が建っていました。(この山鹿素行についての兵頭の考察は、新紀元社の『あたらしい武士道』で尽きております。ご興味がある方はご一読ください。)
 なお、この区画は、直江兼次の住居跡でもあったそうなので、NHKの大河ドラマの放映開始を承けてか、説明の看板が、新たに追加されていました。(兵頭編訳PHP版『[新訳]名将言行録』にも、もちろん兼次は採録されていますので、物好きな人は、お確かめください。)

 県立博物館は、やはり穴場でした。風船爆弾の一部分の実物大展示(和紙製気球下半分)がありました。レプリカなのかと思って説明を読んだら、モノホンですわ。
 しかもこれ、陸軍が勿来町から放球した直径10mのレギュラーサイズの「ふ号」じゃない。海軍が潜水艦から放球するためにつくらせた直径2.5mの小型の気球。激レアです。

 これについては『呉羽化学五十年史』に記載があるようです。
 呉羽化学工業の錦工場(相模海軍工廠支配下の錦作業所とされていた)で、美濃紙にポリビニルアルコールを吹きつけた、と。
 陸軍のようにコンニャクじゃなかったのですね。たしかに、表面はテラテラに見えます。

 終戦時に工場内に廃棄されていたものを、いわき市の応召者が持ち帰っており、それが、博物館に資料提供されているということです。(なんでこんなものを自宅で保存していたのか、それが知りたいです。耐水性のシートとして役立てていたのでしょうか?)

 この博物館は、ストロボなしなら館内撮影もOKなのに、デジカメを持参しなかったのが無念でした(ちなみに兵頭は携帯を持ってません)。展示は8月21日までだそうです。マニアはデジカメを持って急げ!

 翌日は、都内の練馬のJSEEO事務局に初めて顔を出しました。な~んだ、東長崎の隣じゃないですか。あとで加藤健二郎さんにも挨拶をせねばと思いました。

 ここで第一回事務局会議を開きました。まあ、全部で3人ですけどね。
 会計報告も受け、実態を掌握しました。予想より悪くもなく、良くもないです。これから1年が勝負になるでしょう。
 ほんらいならHP上で議決事項の諸々の報告をしたかったところですけれども、HPが死んでいる状態ですので、やむを得ず、こっちで書くこととします。

 じつはHPはもう完成品ができていました。拝見しましたが、携帯での読み込みにも配慮されており、満足できるものでした。事務局では7月下旬に、それを今の死んでいる画面ととっかえるそうです。なぜ27日からでもすぐに新HPにしてしまわないのかは聞き忘れました。人手不足なのであろうと思います。わたしは、ことHPの運営に関してはノンビリしたやり方はまったく我慢できないので、助っ人を公募すれば良いと思うのですけれども、担がれ御輿の立場としましては、さいごは事務局の方針に合わせるしかありません。なにしろ事務局のお2人のこれまでの献身とご苦労は並大抵じゃありませんからね。都内で、無名の団体の「事務所」の名義で賃貸物件を借りたり金融機関の口座を開設するのがどれほど困難か、スモールビジネスに詳しい方ならば、よくご承知でしょう。(個人名で借りて事務所として使えば簡単でしょうけれども、あとで確実に反対勢力から攻撃材料にされるのがオチです。)

 一点だけ、「みなさまへのおしらせ」を事務局に於いて毎日書き加えるよう、わたしの方から要請しておきました。いつ見ても同じ画面なんて、支持者の皆様に対して印象が悪すぎますからね。まさに死んでいる状態です。一回UPしたらそのまんまほったらかしというPRのやり方で8月29日に300人ホールを有料客で埋められるようなら、誰もインターネット・ビジネスに苦労はせぬはずです。

 その8月29日ですが、若手気鋭の奥山真司さまに質疑応答の司会をお願いすることになったそうです。小生、残念ながらまだ面識はございませんが、2007-6-25配信の「読書余論」で、奥山先生が訳されたミアシャイマー氏著『大国政治の悲劇 米中は必ず衝突する!』を紹介していることに気づきました。こういう方となら、かなり面白い話ができるのではないか。
 そう思いましたので、小生の講演部分は時間を40分に短縮し、残りはすべて質疑応答に充てることと致しました。

 この8月29日の文京区講演までは、JSEEOはわたくし「兵頭二十八」の一枚看板です。
 しかしこの講演の後に、「設立発起人」といいますか、会社重役といいますか、当機構の役員のようになっていただく著名な方々数人に、結集をしていただく予定です。(その具体的な氏名を事前にオープンにすると絶対にこじれるので――これは故・江藤淳から教えられた人事の秘訣でもあります――どなたを候補にしているのかは伏せさせていただきます。ただし、賛同者になっていただいた方々のみには、お話しすることが可能です。)

 そしてその数人の「一座」で、秋以降、頻繁に全国イベント行脚をすることになるでしょう。目的は、サポーターと賛同者を一定数まで増やすことです。
 このサポーター&賛同者の人数が一定数以上になりませんと、事務局そのものを維持不可能です(家賃も月給もすでに発生しています)。
 わたしが一番やりたいと思っていますところの「インターネット・ラジオ放送局」は、サポーター300~500人、および賛同者30~50人が集ったところで、漸く開局できそうな見通しです。
 やはりこれから1ヶ年が、前進か撤退かの分かれ目となるでしょう。

 サポーター&賛同者とは別枠で、小口の寄付も集めます。いずれ事務局から「おしらせ」があるでしょう。この小口カンパの専用の口座の残高を、「ラジオ講師」のギャラの原資に致します。この部分は兵頭の公約だと思ってください。

 おしまいになりましたが、24日までにサポーターならびに賛同者の登録をしてくださった方々の名簿のコピーも事務局より受領しました。意外な方々のお名前をその中に拝見致しまして、わたくし、感動いたしました。この場を借り、あつく御礼を申し上げます。皆様のご厚意を無に致すことのなきよう、全力を傾けます。

 当面は、8月29日(土)の講演会のPRに努めて参る所存です。

またしても宣伝広報戦争の対支敗戦

 F-22取得失敗の責任を、政権転換のゴタゴタのおかげで誰も取らずに済みそうなことは、空幕と内局と財務省と総理大臣にとっての朗報でしょうね。FX選定は交代政権のネクスト防衛相に丸投げしてしまえばいいわけです。

 どうもネクスト防衛大臣は、飛行機などよりも「トマホーク教」の熱烈信者のようですが、それを売ってくれという対米要求は、シナからの議会工作で簡単に潰されるだろう、と、ここで予言しておきましょう。

 わが空自がF-22を取得できなかったのも、「シナはこんなに悪い国。日本はこんなにシナの敵」という対米宣伝を、空幕と内局と総理大臣がしてこなかったせいなのです。
 与党の中に北京シンパや平壌シンパがうじゃうじゃいるんだから、そりゃできませんわな。

 もともとオバマ氏とゲイツ氏は、F-22のライフサイクルコスト、ランニングコストの箆棒さに怒っているようですね。
 某英文サイトにUPIの Arnaud De Borchgrave 氏が、分かりやすい背景事情を説明してくれていました。
 イラクにもアフガニスタンにもパキスタンにも、F-22は1機も出動していない。つまり、対テロ戦の役に立っていない。アメリカ兵の命を救うために、現実に何の役にも立っておらず、他の必要な予算を食い潰しているわけです。
 そして、そんなアメリカ同胞の現地兵が求めているのは、もっとたくさんのMQ-9 リーパー(プレデター改の無人機)である、と。現在、アフガンとパキスタン上空には、リーパーが30機以上、飛んでいるようです。
 プレデター・シリーズも値上がりしていますが、F-22とは比較にならない。だからF-22をやめて無人機関連にもっと回そうという流れですよ。

 2009-7初旬にペンタゴンは認めました。187機あるF-22のうち、2008-10から2009-5のあいだに、そのタッタ55%しか、要求任務の遂行可能な状態ではなかった、と。
 しかもF-22は、飛行1時間あたりのメンテナンスコストがF-15の1.7倍近いという。
 いったい空幕はそんなもんを導入して、わが国の防衛予算の配分比率を、どうしたい気だったんでしょうね? MDを味方にした海自にとられ続けた「失地」を回復しようとしたのでしょうか。そうだとしても、彼らの夢は潰えました。

 おそらく、日本のMD投資はアメリカ本土をシナのICBMから守るために役立つが、日本のF-22調達は、今以上にシナを抑止することにはつながらない、とも、米国の指導層は判断したのでしょう。彼らには既にB-2もあれば、ミニットマンもトライデントもあります。シナがハードウェア面での敵だとは、本心では思っていない。空幕は、それでも巧みな宣伝によって米国指導者層を説得できるチャンスはあったと思いますが、その才能のある幕僚はいなかったようです。

 マック偽憲法を捨てられず、与党内にすらシナの工作員がいる、そんな日本人は、アメリカ軍の対等の同盟者になるどころか、いつF-22から得た秘密技術を国産武器に転用してその日本製武器をシナやら韓国やらどこやらに輸出し始めるかわかったもんじゃない――と見限られてるのでは、宣伝もやりにくいですよね。同情します。イージス艦内にシナ人を案内しようとしてアメリカ大使館から怒られた、という海自の前科もありますしね。

 日本が核武装すれば、こんどはその核技術情報を見境い無く、シナや韓国に与えかねない、と米国指導層は疑っているはずです。堂々と大アジア主義を標榜する者が、民主党だけではなくて、与党の中にもいるんですからね。
 失敗国家(=テロ国家)への核爆弾の拡散防止を至高命題としている現下の米国指導層が、政治思想的に信用できない日本への高度武器技術移転を禁止するのは、当然ですね。

 ゲイツ氏は米国内の技術振興政策としても、F-35を推しているようですね。それはF-22より10年先進的な技術の塊だと Borchgrave 氏は指摘しています。F-16の後継であることは、その際に、関係ないのです。

 また米空軍はUAVの運転者の大量育成を始めているそうです。F-22をやめて、もっと無人機を増やす。それも、ソフトウェアの進歩で、まもなく一人で複数のUAVをオペレートできるようにもなります。空中戦ができるようになるまでに、あと10年だという。もう、日本はトラック100周遅れちゃっているんじゃないですか?

 米国のミサイル防衛庁も、リーパーを大量採用しそうです。DSPやSBISでは雲の下のSSMの発射赤外線探知はできない。それができるのは数千mの中高度を長時間飛んでいられるプレデター級の無人機だというのが彼らの結論です。
 わが防衛省と自民党防衛族は、アジア・モンスーン地帯は、中東のような沙漠地帯とは異なり、曇っている日が多いのだ、という現実を、忘れていますね。(以前、この早期監視警報任務のためにグローバルホーク級が役立てられるのではないか、と書きましたが、間違っていました。グロホは雲上飛行機だから、DSPと同じデメリットがあるわけです。)

 インドは来年あたりから、国産(旧ソ連原潜の模倣)の核ミサイル発射型原潜を5隻揃えて、シナを核抑止するようですね。一番艦はすでに公試運転をしています。
 失敗国家のパキスタンがタリバンに核爆弾を渡さぬよう、米軍が派兵されるというときにも、インド軍の協力を求めることになるでしょう。アメリカから見て、これから頼りになる国は、はっきりしてきました。

 なお、22日午前から23日夕方まで、急ぎのご連絡のある方は、JSEEO事務局へお願いします。この間、函館を留守にしております。

韓国のロケット発射またまたまたまたまた延期

 ジェット・プロパルジョン研究所の Space Calendar というサイトを点検したら、いつの間にか、KSLV-1 のロンチが「7月30日」ではなく、「Sep ??」に変わっていた。1週間くらい前には7-30となっていたはずだが……。

 とにかく、これで北鮮がトランキライズされてしまった理由の一つが分かった。韓国がナロ島から半国産の宇宙ロケットを打ち上げないので、北鮮も黄海側発射場から7月中に「なんちゃって人工衛星」を発射しなくとも面子が保たれるわけだ。

 しかし9月初旬にはまた面子競争が始まる。(北鮮は韓国のロンチウィンドーの前に花火イベントをもってこようとする。)
 つまり日本の総選挙の直後から、「試合再開」というわけだ。
 日本の政体崩壊が確定して「対艦弾道弾」のメがなくなるまで、北鮮を黙らせておこうと、韓国にブースターを供給しているロシアが、うまくとりはからったのだろうか?

籏谷先生

 いつもお気遣いありがとうございます。

 現在函館市には冷雨が降っており、室内でも長袖を着ていないと寒いありさまで、もし今日あたり大雪山系に入山している人がいたら、かなりしんどいことになっているだろうと想像されます。
 内地は猛暑かと拝察しますが、皆様御自愛御専一に願い上げます。
 ご一門の方々にもくれぐれも宜しくお伝え下さいまし。

昔の名前でNF文庫

 光人社の「NF」って何だろうと思っていたら、「ノンフィクション」の略だったんですね。皆さんも覚えましょう。

 あの怪著『たんたんたたた――機関銃と近代日本』が、タイトルを変更せずに、内容をパワーアップさせて、文庫化されます。

 1998-1のハードカバー版(四谷ラウンド)では図版ゼロでしたが、こんどは光人社の編集部が写真をつけてくれました。
 おそらく7月下旬の給料日前後には全国の書店に出ることでしょう。

 ハードカバーの古本プレミアムで儲けようと思っていた人、残念でした。しかし古書には、著者のめずらしいカラー肖像や、英文の目次、Yasohachi hyodo というどこの誰だか分からない英文表記などもあるので、レア価値は残るでしょう。

 ハードカバーを出したときにお手紙を下さった群馬の長浜康隆さん、まだインターネットは繋いで無いですか?(わたしは「長年の兵頭ファンでありながらデジタルデバイドにハマっている人を2010年以前に救済するプロジェクトチーム」を編成しようかと、真剣に考えてます。)
 小倉造兵廠のインサイダーであった松川恒彦様、今もお元気であられることを祈っております。
 いや~、11年なんて、アッという間ですね。

 四谷ラウンドを畳まれる際に、わたしの著作の再刊について予め許諾を与えてくださった田中清行社長。あらためて御礼を申し上げ度い。この本は四谷ラウンドから出した記念すべき1冊目でした。しかし、岩国市長選のときになんで声を掛けてくれなかったのかな~。水臭い。わたしは「シナと戦う可能性がなくなった海兵隊など日本から即刻叩き出せ。一文もやるな」派ですよ。

 小松直之さん。あなたの『イッテイ』も文庫化されるかどうかは、このNF版『たんたんたたた』の売れ行きに懸かっています。あらゆる手段で宣伝してください。
 ついでですが鍛治町から引っ越されたT・マキコさま、イラストの仕事があるのでご連絡くださいますと幸いです。わたしのメルアドは在米の御令兄がご承知です。

 会津の米山先生。この新刊は小生が直接拝趨の上、献呈いたします。1週間お待ち下さい。

 八戸の佐々木さん。何かイベントないですか? 参加しますよ。もし函館においでになるなら、わたしがツアコンをやります。(すいません。見本の数が少ないので、今回の文庫も送れません。)

 札幌の M. T. さま。講演会へのご参加、有り難う存じました。じつは8月中に札幌に行く用事があるので、もし時間の繰り合わせが可能ならば、駅の周辺でご挨拶をしたいです。短時間で恐縮なんですが……。ご多用ということであれば、この件はどうぞ御放慮ください。

マック偽憲法と戦う気はあるのか

 たとい憲法不文でも「国防の義務」は「納税の義務」と同様に全国民にあるものだ、というのが近代憲法と古代いらいの民主主義政体のなりたちからの推定だが、1946マック偽憲法は、真っ向からこれを否定しているとしか読めない構成になっている。つまりそれは近代憲法ですらなく、偽民主主義の作文だ。

 戦後いったんこのような偽憲法が普及してしまった以上は、脱・戦後の改憲作業がなされる際に「国防の義務」が明文化される必要が、恥ずかしいことだが、あるだろう。またもちろんその必要を、改憲の前から全国民に理解させる言論運動が必要だ。
 改憲を党是としていたはずの自民党内に最近になって愈愈「国防の義務」を説く者が稀なのはじつに憤慨に堪えない。要するに民主主義について彼らも基本根底の理解はしていないのだろう。一から物事を考えることがないのだろう。

 「国防の義務」が憲法で確認されておれば、外患誘致や内乱などに関連する刑法を「国家叛逆罪」の概念でとらえなおすことが無理なくできる。しかし偽憲法下では、あらゆる反国益行為が、偽憲法そのものを根拠として、正当化され得る。とんでもないことになっているのだ。

 よって今のマック偽憲法を黙過したまま、外国人にみだりに日本国籍を与えたりすれば、その「新日本人」が国家破壊工作に専従することもいとも容易に可能。それは共同体としての日本社会の終焉を加速させるかもしれない。

 反対に、国民の「国防の義務」が憲法からして明白に示されていれば、新日本人だろうと旧日本人だろうと、売国活動が見逃されることはない。
 帰化を拒否する長期居留民は、国防の義務が無い以上、納税の義務を負いつつも、日本人と違った権利しか与えられないのは当然である。
 これに対して帰化を選んだ者は、日本人とまったく等しい義務を負い、売国活動は、生まれながらの日本人以上に社会から厳しくチェックされるのが自然である。
 これが近代国家だ。日本はマック偽憲法を奉戴する限りは、他から一目置かれるような近代国家ではない。
 公人が公的な約束を破って恥じず、日本社会の破壊を目的とする「工作員」が、国会や政党内や大手マスコミ内や教育界にこれほど堂々と棲息できているような国は、日本だけだ。

 1997年に設立された「新しい歴史教科書をつくる会」は、マック偽憲法の売国許容主義精神風土に対抗するNGO&NPOとして、画期的な成功をおさめた。
 その成功因のひとつは、シンクタンクを気取って文部省の役人の向こうを張り、総合文教政策を提言するなどというマネをせずに、マル歴学者集団に反発する、もうひとつの教科書執筆者グループとして名乗りを上げたことにあった。

 ほとんどの学者・言論人は「一人一家」を成す。それが多数人糾合されたのは、〈マル歴はいかがわしいし有害だ〉と理性ある個人を悟らしめる、1970年代からの複数の論筆家による前駆言説が浸透普及していたおかげだろう。

 シナ・朝鮮その他の反近代勢力発の間接侵略を拒止せんとするJSEEOの言論運動は、マル歴と違ってまだ誰もあきらかに敵の把握すらできていない脅威を、民主主義の初歩から併せて人々に得心させるところから始めねばならない。路は至って遠いのであり、焦っても仕方がない。この運動が日本の亡びに間に合わぬとしたら、それは国家の命が窮まったのでありしょうがない。

 JSEEOの事務局は、かつて「つくる会」に関わっていた人たちだ。インサイダーでもあったかれらいわく、「つくる会」の内紛は、そのHPの「掲示版」に一因があった、と。それでわがJSEEOのHPには、掲示板は設けないことになった。
 〈匿名を許さず、且つ、一日のうちに書き込める文字量を寄付金額に比例させたなら、それが寄付の額を増やすモチベーションともなり、良いのではないか〉とわたしは提案したのだが、かれらは掲示板そのものに絶対反対のようだ。過去によほど酷い経験をしているのだな、と想像するばかりである。

 ところで寄附金額の最低が一口1万円、しかも毎年、というのは、敷居が高すぎやしないだろうか? もっと小額の、たとえば1000円とかそれ未満の額の寄附を一回ポッキリでも広く気易く受け付けるようにしないと、生計形態が甚だ流動化している今日の日本において、怒れる意識的な零細自由業民に基盤を置く大衆ムーヴメントとはなり得ないのではないかと、わたしはおそれるのである。

JSEEOは「“国家叛逆罪”新法の制定」を当面の具体的目標に掲げる

 共同通信電によれば東シナ海の係争中のガス田に、また掟破りのシナ船が出て来たという。
 これは自民党案の「対艦弾道弾」にビビった北京が、7-4~7-10の北鮮を抑えたはいいが、そのままでは、あまりに格好が悪く、くやしいものだから、北鮮からの対米&対韓サイバー攻撃が一段落した頃合いを見計らって、独自の対日示威に出たものであろう。
 あいかわらず面子意識過剰なチンピラヤクザの一人相撲だが、狙いはいいところを衝いている。というのも件の係争油田をめぐっては、与党内に有力な「売国派」もいるからだ。自民党「防衛族」の分裂すら引き起こせるだろう。

 ここで、自民党内の「対艦弾道弾」推進派は、踏ん張ってみせて欲しい。――〈人件費を中心に予算が減らされているので、常に海自の艦艇が海保をバックアップできるとは限りません。しかし対艦弾道弾さえあれば、まんいち巡視船が撃沈されたばあいに、即座に仇を討つことができます〉というレトリックを広宣してはどうか。
 何も陸上から発射しなくても、1960年代初期に英国が持とうとした「スカイボルト」みたいに、航空機から発射してそのあとに弾道飛翔をさせるものだって考えられるだろう。
 彼らがここで踏ん張ってみせることにより、9月の自民党の下野後に「真正保守再編」がなされる際の、コア・メンバーも浮かび上がる。心ある有権者は、それをひとえに期待している。有権者は、うんざりしているぞ。

 海保と海自も、北京に跪拝する民主党政権下で予算をバッサリ削られたくなければ、いまこそ目に見える活躍に突き進むべきときだろう。

 ところでシナ発の脅威について「放送形式」みたいな見方をする日本人がオレ一人しかいないのだとしたら、いまさら「シンクタンク」など新しくつくってみたって日本をどうにもできんということはわかりそうなものだろう。わたしはJSEEOをシンクタンクにする気など毛頭ありません。

 日本には独占的に大量の情報を収集できる国の官衙がある。いかなる個人も役所以上の情報を持ち得ない。そして役所の良い人材は決して若いうちは民間には出てこない(米国式の「回転ドア」人事文化がないため)し、役人が民間人に肝腎な情報を開示することもない(米国式の秘密保全文化がないため)。。
 だから日本では「役所=シンクタンク」なのであり、米国式シンクタンクが成り立つ余地はないのだ。統計データを広範にあつめてマンパワーを投入して分析し、法案や予算案や利権スキームにまでまとめてみせる手際のよさは、役所の独壇場である。議員たちも、役所の持っている情報を、役人流の手際の良いサマリーとして嚥下したがる。秘密情報にアクセスできない在野人の、とりとめもなく聞こえる、一文にもならぬ最先端の想像なんか聴いているヒマはないんだよな、と、議員たちは思っているだろう。

 在野の個人には、官庁や大手マスコミのような集団マンパワーを必要としない分析と推測のみが可能である。そして、議員ではなく、意識的大衆に対して、わずかに感作をおよぼすことだけが、かろうじて可能である。しかしそれは、省益や予算や人事や議員の私欲やマック偽憲法やマルクスレーニン主義やPTAや米国の顔色などをすべて無視できるがゆえに、役所や大学発のリポート以上に公正であったり、真相を穿っている場合があるのだ。宮崎正弘氏のメルマガ、「週刊オブイェークト」氏のブログ、「中韓を知りすぎた男」氏のブログ……etc. いずれも(個人的に面識がなくて残念だが)、優れた識見の持ち主が、公開情報にアクセスして、皆おのれの信ずる誠実さを準縄にして、ユニークな分析と警報を、公益のためにインターネット上で発信しているのだ。日本では、こうしたウェブサイトが、望むことのできる最良のシンクタンクの役割を既に果たしている。
 こうした各フィールドのユニークな才人たちを無理矢理にひとまとめにくっつけてみたって、アウトプットの質はなんら向上はしないはずである。

 JSEEOの仕事とは、こうしたユニークな「個人」たちをもっと増殖させることでなくてはならぬと、わたしは思っている。これは俗にわかりやすく華やかな「ネットワーキング」ですらもないのだ。それ以前のもっと地道な後援活動なのだ。もちろん兵頭も一「裏方」になるのである。
 迂遠なようでも、その方向の先に、シナ発の間接侵略工作に対して、かんたんにはしてやられない知力と体力を、日本の国家共同体に扶植する道が、続いているに違いない。

シナにこんなに効くのは初めてか? 発見された仮想兵器「TAIKOH2010」

 09-7-4のサイバー・アタックは、韓国と米国だけを相手にして、日本を回避した。奇妙でしたが、だんだんに真相の見当がついてきました。北京が北鮮に、「いま日本人を刺激したらアカンど! 総選挙後まで待つのや」と必死の形相で指導してるさいちゅうなのだ。

 シナの新華網が、わざわざ北鮮の『労働新聞』7-7記事を紹介して、北鮮は日本を軍事的に威嚇していませんニダ、などという泣き言を紹介したという。オイ、その記事を無理矢理に書かせたのは、そもそも北京だろがよ。

 プロボクサーなら、敵のボディブローが利いても決して顔をしかめたりしないように訓練しています。こちらがダメージを受けたことが気取られれば、こちらと同様に疲れているはずの敵選手を、急に何倍も元気付けてしまいます。それは外交の上の不利になります。しかし今回のシナと北鮮は、うめき声を漏らした。

 アレが、面白いほどに効いているのでしょう。これほど効くのならば、日本は毎年年末に「大綱見直し」をやることと決め、年がら年じゅう、衆院解散総選挙の噂とともに、騒ぐべきではないでしょうか。また、今度の解散は、後に延ばせば延ばすほど、わが国民の安全を増してくれそうなことが、はっきりしたと思います。

 アレとは、「2010~2014大綱」に自民党(そのじつ内局と三菱重工。あまり調子づくなよというのでF-2潰しのChina-lover財務省が今回摘発させた?)が大射程の「対艦弾道弾」保有の案をダメモトで突っ込むと前宣伝したことに他なりません。マスゴミはこれをスルーしたけれども、北京は小便をチビった。「案」はタダです。もっと論議しましょう。
 不肖兵頭も手伝おうと思います。百尺弾道弾一歩を進め、「対渤海湾潜水艦用の陸上発射型長距離弾道ミサイル」を日本独自に開発することを、大真面目で検討しませんか。
 ……えっ? そんなの「非現実的」ですと?
 それは武器オタクが陥りやすい自閉症です。

 敵国を政治的に動かすことのできた兵器(案)が、一国にとって「最も良い兵器(案)」なのであり、それは〈コンバット・プルーヴンなリアルな性能〉や「フィージビリティ」「アフォーダビリティ」とは、あんまり関係がないことが多いのです。(たとえばイスラエルの巡航ミサイル搭載潜水艦ですね。まさに対イランの政治兵器でしょう。シルクワームでは撃攘できんというところが唯一の証明済みメリットです。)

 日本は、MDでは、あんなにカネをかけ、デモ実験まで繰り返して、それでも、少しもシナを凹ますことはできませんでした。ところがどうです。かたや「2010大綱への自民党希望案」は、案だけなのに、早くもシナに有効打を届かせているわけです。現実外交の上に効きまくりなんですから、これをもっともっと推進して行くのが、「安全・安価・有利」な政治です。
 軍事は政治の隷属要素にすぎません。マクナマラ氏はベトナムを経験してさらに老人になってからやっとそこに気づいた(それでフォッグ・オブ・ウォーなんていうクラウゼヴィッツ用語を使ってみせたのです。ある意味まじめ)。歴史に学ぶ若い日本の学徒は、もっと早く弁えましょう。それがJSEEOの願いです。

 もちろん、09-7-8の浜田防衛相による、〈与那国島に陸自配備検討〉発言や、これから始まる国会での「貨物検査特措法案」審議も、今後は効き目を加重させることでしょう。ただしこれらは6-22以前には効いていなかった。

 それから、同じ自民党案の中に混ぜられていた「10年以上先の和製DSP」案は、やはり、毛ほども効いとらんでしょう。日本本土から渤海湾まで見張れるOTH案の方が千倍効くと思っているので、わたしはこの提案をし続けようと思います。(誰か反論して盛り上げてくれないでしょうか?)

 効き目の兆候は最初に、6-22にあらわれました。
 拙宅にタダで届けられてくる『海上保安庁新聞』のH21-6-25日号によれば、北鮮は6-22の午後5時48分より前に、海保の海洋情報部に、電子メールで、次のような通報をしてきたそうです。いわく、北鮮は6-25から7-10までの毎日午前8時から午後8時までの間、元山北東の日本海、長さ約450km、幅最大110kmで軍事射撃訓練を実施する、と。
 いきなり弱気じゃないですか。

 ノドンを最初に宣伝した1993-5-29~30には、北鮮は500km+の海上にブイを浮かべ、そこにスカッドとノドンを落としてみせました。(多忙のためソースをたぐれないんですけど、なぜかこのときの飛翔距離を550kmと宣伝した連中がいるんですよ。わたしはそれが韓国ソースだと疑っています。彼らはノドンが北九州飛行基地妨害専用の兵器であることを認めるのが嫌なのか、さもなくば、北の政治宣伝の片棒をかつぎたいとの工作使命感から、800km以上の飛翔は未実証であるノドンの性能を誇張し、ついには、いつのまにかそれは1300kmもの射距離をもち、東京に届くことになってしまっています。これを疑いもせずに事実のように報道している日本の言論はホント危ういですよ。防衛省は脅威がデカいほど予算が取りやすいので偽情報を信じたふりをする姿勢には同情をするとしても、マスコミはいったい何考えてんだ?)

 今回は1993年より50km以上も短かくした。全弾が、予告海域内に落下したそうです。(しかるにまたしても500km飛んだというマスゴミ速報を散見しました。オマエら、いったい誰の味方をしたいんだよ?)
 〈命中率が上がった〉という奇妙な評論も耳にしました。短い距離に落とせば落とすほど撒布界がせばまってくるのは大砲の砲弾の物理法則に過ぎません。1993発射でも、スカッドとノドンは全弾が浮標の近くに落ちたのです。何も変わっていない。進歩などしていないのです。

 そしてヤケッパチのような7-4のサイバー・アタックでしたけれども、これも日本をまるまる避けた。シナの指導が「ビシリ」と効いています。それは、自民党の「大綱」論議が、北京を強く揺さぶったからでしょう。(財務相が潰す前のF-2やM-Vのようにね。)
 だったら、もっと「対艦弾道弾」を精力的、具体的に劇論しましょう。

 黄海は平均深度44mです。渤海湾内は21mです。
 しょせん張子の虎である空母を狙うなどという冴えないゴールではなくて、かつてどの国も発想したことすらないであろう、「対潜水艦用の通常弾頭の中距離弾道ミサイル」を研究&開発しましょう。シナ沿岸の浅海面なら、宇宙から落下するキネティックで充分にキルできる――ように思わせることが可能なのです。シナ潜は、このキネティック弾頭で日本が全滅させる。東アジアの平和に対して、なんという大きな風呂敷、もとい、貢献でしょうか。
 もちろん日本は真珠湾攻撃のような卑怯卑劣な攻撃はしません。シナ人の手先が1名かそこら、尖閣に上陸し、不法な領有企図を露わにするとかの見境いの無い侵略をわが国が受けたときに、正当な自衛の手段としてこれを必要なだけ発射し、世界の平和のために膺懲するのです――という議論が盛り上がるかもしれませんので成り行きが注目されます。

 そんな弾道弾ができるころには、自律ホーミング弾頭をクラスターにして、複数隻のボロ船を各1発で船底までキネティックで貫徹してやれる短縮射程の対舟艇バージョンもつくれるでしょう。これで沖縄もバッチリ防衛できます。(まあ、連中が沖縄に正面きって着上するなんてありえないんですけどね。しかし今論議しているのは、北京の外交を現実に動かしてしまえる政治的兵器なのですから、可能性に備えるということにしとけばOK。)

 それにしても、2009-7-6に wendell minnick 氏が寄稿した「U.S. Targets North Korea-Iran Industry Ties」という記事には驚かされました。
 ペルシャ湾のイラン沖15kmのキシュ島(イランの自由貿易特区)にある「香港電機」という謎の会社が、2007から北鮮兵器の輸出仲介をやっていた。米国財務省はその資産を6月末に凍結した、というのです。
 それでも7-4に対米のサイバー・アタックをやらかしてるんだから、この措置は北京にも北鮮にも効いてないわけですよ。ますます、対艦弾道弾、偉すぎ。
 香港とシンガポールに北鮮系のあやしいフロント企業がいっぱい、というのには驚きませんが、タイにまで北鮮企業がたくさんあって、東南アジアで広くウランを探しているというのは意外でした。マジなんだねぇ。
 北鮮大使館がない国でも、商取引は成り立つのだそうで、たとえば台北で、零下70℃が可能な冷凍庫が、大量破壊兵器開発の用途で調達された疑いがある。その台湾の会社「Royal Team」は米国から圧力を受け、社長はいま北京に住んでいる、と記事には書いてあります。
 台中にも怪しい企業があったり、シナの工作機械商社が対北鮮輸出に濃密関与しているそうです。渤海湾に密輸船がシャトリングしてるわけで、将来はそこで臨検することになるんでしょうか?
 北鮮はじつのところ北京のパペットにすぎない、台湾は日本の味方などではない、というかねてからのわたしの疑いは、この記事を読んで、ますます強まるばかりです。
 余談ですが、日本は北鮮からの麻薬密輸すら撲滅できないのに、どうしてポルノを水際で阻止できるのか、よく考えてみることです。

 もうひとつ感心した記事は『voice』8月号のウイグルの記事ですよ。まるで騒動を予見していたみたいだ。しかしシナ政府は、このパンチが効いたという顔は、さすがに見せていません。

 また大綱アイテムに話を戻しますと、エリント/シギント衛星はDSP以上に必要です。しかも、安く、早くできるものです。
 1972にソ連の暗号がNSAにブレークされてSALT交渉の妥協線がアメリカに筒抜けになったことあります。1973-3以降、アメリカは、フェレット(小型の電波収集衛星)でマイクロ電話や実験ミサイルのテレメートリーを傍受できるようになりましたが、そのことにソ連は1977まで気付くことなく、特に弾道弾のテレメートリーをとられまくりました。気付いてからは、信号を「無限特乱」化したり、記録テープを物理的に降下させるようにしたそうですが、これをできるだけ長く気づかせないようにディスインフォメーションを流していた工作のひとつが、先に触れた「超能力」ヨタ話だろうとわたしは思っています。

 わたしたちがボヤボヤしている間に、エージェントスミス(エージェントつくり職人)は霞が関の中枢まで浸透してきました。「大綱2010」が、政治主導による反撃の一転機になって欲しいものです。

都内での8月講演会のお知らせ

 突然ですが、このたび衆議院選挙に立候補する気なんてもちろんありません。

 詳しくはJSEEOのホームページ
http://www.jseeo.com
  をご覧下さい。

 日時は、2009年8月29日(土曜日)、14時30分~16時30分です。

 場所は、「文京シビックホール」2階の「小ホール」です。

 演題は未定。まあ、いまさら大衆に何かを訴えるというよりは、活動主旨に内心で賛同してくださっている潜在同志の方々との結束を確認する契機となるんでしょう。わたしの当面の問題意識は、このブログにも書いてきましたし、月刊『正論』8月号でも説明をしました。

 有料です。参加費2000円がかかります。

 「日本安全保障倫理啓発機構」設立準備室へのお問い合わせは、Eメール inquiry@jseeo.com でどうぞ。

 このメルアドがサイバーアタックで不達となった場合には、FAX: 03-3557-1651 をお役立て下さい。

 ※ちなみに「サイバー・アタック」という輸入カタカナ新語を、月刊『諸君!』1997年6月号の兵頭記事以前に日本の雑誌で紹介した人はいるでしょうか? あれから12年、ようやくこの語は身近になってきましたね。

猥褻取締り法の審議には「数値」のハード・イビデンスは必須である

 故・ロバート・マクナマラ氏の未熟な営業数値主義は、リアルな「戦争」に勝とうとする政治にもちこまれたとき、国家に大害を為したという話をしたばかりですが、わが国の「児ポ法」導入議論については、この「マクナマラ式」は、詢に正しい。
 数値をハッキリさせない猥褻規制議論ほど、いかがわしいものはないという智恵に、戦後の長い議論の中で、もうわたしたちは到達していなくてはならないのです。

 放置していて現に人権問題が起きていないなら、あるいは限界的特異事例を超えて増える兆しがないなら、それは放置しつつ様子を見ていれば良い、というのが、歴史的な統治の智恵です。小賢しくその逆をやって限界的特異事例をゼロにまでしようと試みて反対に公共の福利を広範に傷つけ失敗するのが、しばしば「社会工学」なのです。
 不況が長引くと警察に良い人材が集まるため、ときとしてソーシャル・エンジニアリングをやってやろうかという、おせっかいな「世直し」情熱が蓄積されるかもしれません。が、それは違う方面で放散して欲しい。「悪い世直し」の責任は、誰もどうせ取れないんですから。大衆が不合理な不利益を長く負わされるだけです。

 いったい、アニメを見て幼女/少女/未成年女子誘拐や幼女/少女/未成年女子監禁や幼女/少女/未成年女子虐待や幼女/少女/未成年女子強姦を為したと自白している犯人が日本で何人いるのか? 既存の法規が不備で、新法が必要なのだと主張する者は、その数字を出すべきです。
 「日本国内で無規制だから北米内で犯罪が起きる」などというのは、まさに「いいがかり」でしょう。外交的にはねつけるのが当然です。逆を考えてみたら分かることです。アメリカ司法は日本の衆議院の要求などに聴従しないでしょう。日本国とその法律は、第一義的に日本国民を保護するためにあります。それができないんだったら、日本国政府も国会も要らない、という話になるはずです。

 狂った犯罪者が多い悪い国の法律を、狂った犯罪者が少ない良い国が採用しなければならぬ必然はありません。
 世界に主権国家が190以上、別々に存在する理由は、まさにそこにあります。また、「単一世界国家」など半永久に有り得ぬ理由も、そこにあります。

 たとえば、ある宗教圏では飲酒はご法度です。そこにはおそらく、歴史的宗教的根拠だけでなく、科学的な合理性も十分に認められるでしょう。
 その禁酒国から、たまたまインターネットで、他国の酒宴の画像にアクセスできたとしましょう。
 その禁酒国は、他国に対して「酒の画像の掲示を違法化しろ。酒は社会的に益よりも害の大きなものであり、それには科学的な根拠もある」と申し入れたとしましょう。
 これに対し他国は、「わが国では歴史的に飲酒行為そのものは許容されており、また酒の存在が社会をくつろげる効能の大きさが、酔っ払いが起こす重大犯罪の害を何倍もしのぐとも承認されて来ている」と言い返せるでしょう。また、言い返すべきでもあるでしょう。

 高緯度国の探検家が低緯度地方を訪れ、赤道直下でも本国と同じ暑苦しいコートを着ているのは、ご本人の勝手でしょう。しかし、赤道直下の裸族に、高緯度国風の衣装を纏わせようとすれば、それは僭越でしょうし有害でもあるでしょう。裸族の社会に欧米の児童ポルノ犯罪に相当する事件は無いでしょう。可能性としては起こり得るのですが、事実として無い。そこが重要です。日本はいわば、平和な裸族の国です。数字を検討すればそこがハッキリするでしょう。

 ところでわたしは欧語圏では語の定義が命であると、これまで漠然と考えてきました。が、今回、米国の猥褻関連法や判例を、二、三、ナナメ読みいたしましたら、一向に厳密ではなかったので、ワロタ。
 ちょっと例を挙げましょう。

 まず「未成年」という言葉です。
 米国司法の猥褻関連用語で minor(未成年)とは、では、どの範囲を指すのか、数値が示されていません。それで、手持ちの研究社『リーダーズ英和辞典』初版第1刷1984刊を見たら、「通例21歳未満」と注されていました。
 えっ……?

 もし20歳のように見える男女まで含まれるとなれば、ネット上で堂々と宣伝されているインノセントハイ・シリーズやらチアリーダーズオーディション・シリーズほか何千タイトルもあるほとんどの実写ティーン物は違法ってことですよね。それにMILFとの境目も曖昧な灰色になる。
 これは現状との乖離が甚だしい。余計なお世話でしょうが、 minor などという曖昧語はもう使わない方が良いんじゃないかと思いました。

 18歳以上でも社会的保護のりっぱな対象になるという法律が、じつは合衆国には厳存するようです。
 1998年3月2日、ニューヨーク州のオルバニー大学で、1978-4うまれで満19歳であった Suzanne Lyall が失踪。いまだに手掛かりがありません。
 Suzanne は実家ではなく寄宿舎で起居しており、アルバイトもしており、彼氏もいた。ほとんど一個の成人に近かったわけですけれども、ご両親は納得しませんでした。
 なにしろ米国では親のいる子供が誘拐される事件が多いので、大衆は、このご両親の悲痛については深い同情を寄せました。(日本では、北朝鮮工作員ぐらいしか、そんな重大犯罪はやらかしません。)
 その結果ついに、全米の大学と地元警察は、大学生をキャンパス周辺で起きる重罪(felonies=これには殺人や拉致だけでなく単純強姦まで含まれるようです)から手厚く防護する措置を取らなくてはならない、という Lyall Act(または Suzanne's Law)が下院を通過し、2008-8-14にブッシュ大統領が署名して発効したそうです。
 満21歳でも大学生ならば被保護者あつかい、というわけです。法律になるまでに10年近くかかっているのは、「それはおかしいだろう」というサイレントマジョリティのコモンセンスが抵抗をしたからでしょう。しかしこのご両親が同情されるべき立場であることには、どの下院議員も表立って反論などできません。

 さて、もしこのような不合理な法律を、日本でも制定しなさいと米国人から要求されたなら、日本の衆議院は、どうすべきですか?
 相手にする必要はないでしょう。もちろん日本の大学キャンパスにも米国人留学生はいますけれども、国情が違うのですからね。
 「日本にはなぁ、昼間っからマリファナ吸ってフラフラしているような若者は一人も居ねえんだ!」というスネークマンショーがポール・マッカートニーに与えた名言を、何度も噛み締めたい気になります。
 Suzanne's Law は保護対象年齢を数値で示していないという点でも厄介な法律だと評せます。

 2006年に下院で審議された Securing Adolescents From Exploitation-Online (SAFE) Act では、Adolescents という形容詞が使われています。この語を研究社辞書で引きますと、〈青年期の男子、または女子〉のことだと分かります。「わかもの」という語感にでも近いんでしょうか。
 別の名詞の adolescence を見ますと、「青年期、未成年期、思春期、年ごろ《男14歳、女12歳から成年まで》」と、ヨリ具体的に範囲が説明されていました。

 この「男14歳、女12歳」は、ボーダー指標として、わかりやすい気がしませんか。世間の同意も得易いのではないでしょうか。児ポ法案を審議したいなら、この数値のどちらかが入るべきかもしれません。

 ちなみに Exploitation は、〈食い物にすること・搾取〉です。無から作画した描写の場合、搾取の相手がいないと思うのですが、いかがでしょうか。
 Child Obscenity and Pornography Prevention Act of 2002(思春期前少年ポルノ禁止法案) には、次のような文言があります。
 … depicts a pre-pubescent child engaging in sexually explicit conduct and that is obscene …
 この pre-pubescent とは「思春期前」と訳されます。それは具体的に何歳がボーダーなのか。同法案には見えません。
 研究社辞書では、child(児童)には年齢の範囲限定がなく、 pre-pubescent(思春期前)にもハッキリした境界が無いようです。
 しかし中学3年生が思春期前だとは、米国人の誰も思ってないでしょう。つまりこの米国の法案は、日本で18歳をボーダーとすべく審議されている「児ポ法」とは、明瞭に保護範囲の異なったものです。
 ところが、日本国内には、この米国の Child Obscenity and Pornography Prevention Act が、法案タイトルに「思春期前の」と入っていないことを奇貨として、あたかも同じものであるかのように喧伝する者がいるのです。

 日本の「児ポ法」提案者は、「児童」と投網をかけておいて、「思春期前の」という限定を設けないのでしょう。しかし日本語で「児童」と言ったときに、まさか高校野球選手を想像する者はいないはずです。18歳まで児童扱いする法律文言は、社会の通念から遊離しています。

 米国の関連法規でも、年齢の範囲をハッキリさせているものはあるようです。
 英文ウィキペディアで PROTECT Act of 2003 を見ますと、こんなふうに理解できました。

 ――米国内での街娼とのセックスは、その街娼が18歳未満であれば非合法。合意の素人とのセックスは、相手が16歳未満でしかも行為者と4歳以上年齢が離れていると非合法になる。そして相手が12歳未満の場合は、年齢がいくら近くても非合法。従来、その州で14歳との合意セックスが合法になっていれば、連邦法はそれを罰していなかったが、これからは連邦法で罰したい――。

 余談ですが、辞書をひいているうちに、わたしは「ポン引き」(女衒行為)の語源が pandering らしいということに、はじめて思い至りました。

 ちなみに同法案はCGおよび手書きのイラストも禁じます。
 Child Pornography Prevention Act of 1996 が、2002-4-16に連邦最高裁で違憲だとされたあとに、この2003法案が下院を通過し、大統領はこの法律を2003-4-30に有効化したそうです。としますと、現状は、えらいことになっています。

 この法案名から察しますに、強い規制を求める議員は、17歳の裸でも認めたくないわけでしょう。他方、12歳以下のセックス描写は卑しむべき行為で不快だが16歳くらいだったらもうOKだと考える議員もいた。だから、限定詞を付けない、ただの「Child」(未成年者)という括りになっているのかもしれません。

 マンガが規制されるべきかどうかについては米国内でも論争があったようです。
 連邦下院では、〈アニメのような描画であっても、変態犯罪者の欲情を刺激する。その結果、子供に実害が及ぶかもしれない〉という推論をしたようです。じっさいに誘拐犯罪が多発している米国では、どんなものでも犯罪者の刺激となるでしょう。ですので米国議会は、人の顔面をなぐりつけるカートゥーンや、すぐに拳銃を持ち出すTVドラマの表現も一切禁止すべきです。日本の衆議院がそれを勧告しては如何でしょうか?

 まちがいなく、近未来のコンピュータ関連技術は、本物そっくりのイメージだけでなく、本物そっくりの快楽感覚まで実現できるようになるでしょう。脳内に簡単に自生的に性的快感を引き起こしてしまうテクノロジーが完成することでしょう。いまは、その一歩手前の段階ではないでしょうか。
 日本社会は、バーチャルな感覚がリアルの犯行を抑止するというソーシャル・エンジニアリングに部分的に成功しつつあるのです。これは、官僚が作文したプランニングではなかったからこそ、集合智によって偶然に成功したのです。アメリカが日本に学習するときがきっと来るでしょう。

 1973年に連邦最高裁は、話や表現が猥褻かどうかを決定する Miller test という猥褻定義をあきらかにしています。
 そこでは、全国的基準よりもコミュニティの基準が重視されるべきことが、謳われました。
 しかし、インターネット時代には、コミュニティの基準がボーダレス化しています。ユーザーが世界各地に存在するため、適用される地域慣習をハッキリさせられなくなったのです。
 この場合、最も厳格な地域に価値基準をあわせるのが正当なのか、最も寛容な地域に価値基準をあわせるのが正当なのか、ヨリ上位から判定できる権威は、無いはずです。
 インターネットが普及したからこそ、ただポルノを見るだけでは犯罪にはできなくなりました。(単純所持を非合法化しようとする論者は、「見るだけでも犯罪」だと叫び、しかもそれが〈国際的な常識〉だと主張しています。しかも年齢のボーダーは18歳だそうです。どこの「常識」ですか?)

 わたしも、小学生以下にみえる女のセックスを下手なイラストでいっしょうけんめい描いている連中は、ほんまキチガイじゃないかと呆れますが、その当人がリアルの盗撮やら拉致やらに手を染めず、逆にそうしたリアル犯罪を日本国内において抑制する貢献をしているのならば、誰もそのイメージ創造行為をワイプアウトするべきではないし、アクセス制限などの措置でテクニカルに囲い込んでおくことで十分であると、目下は考えています。

 18世紀フランスがソーシャルエンジニアリングの牢獄をこの世に実現していたとき、英国は自由な思想家の避難場所になっていました。実は不自由な米国に代わって、日本が世界の自由の保証国になる時代が、目前にやって来ているようにも思います。

自慰史観

 「イリーガル・イメージ」なんてあり得ない、なぜなら間もなく脳内で思ったイメージを手も使わずにそのまま音声や二次元や三次元にまで変換できる時代が来るが、そのとき思想信条の自由をどう保つのか考えれば分かるだろう――そもそもフォトショップで改竄可能なデジタル写真を裁判の証拠にするためには技術的に乗り越えられるべきポイントが複数ある――という話を書こうと思っていたら……。

 ミドルネームが「ストレンジ」であったことはあまり知られていないマクナマラ元国防長官が長逝(2009-7-6)ですと。
 JFKキャビネットの生き残りは、あとはソレンセンぐらい?

 カリフォルニアの靴屋の倅が、史上最年少のハーバードビズネス大学院助教授となり、妻の難病を治すため、大学研究室をなげうってフォード社の財務部門に高禄を求め、初の一族外社長にのしあがった瞬間にケネディ政権に抜擢された。財務長官ではなく国防長官を選んだ動機は、どうも分からないです。家族が財務省に反対したというのですが……。

 海軍機だったF-4やA-7を、米空軍も使うようになったのは、マクナマラ氏の豪腕でした。しかしおかげで空軍からは警戒された。海軍に縁のあるケネディ政権は、空軍と戦いかねない政権でした。その意味でカーター政権とよく似ていた。わたしはマクナマラがJFKのように暗殺されなかったのはなぜだろうかと、その意味をずっと考えているんです。F-111は、空軍の要求に妥協した結果、海軍からはソッポを向かれた〈マクナマラの作品〉でした。この不本意な結果が、あるいはマクナマラ氏の命を救ったかもしれません。
 (余談ですが、非可変翼で超音速の空母機というF-18が出来るなんて、1960年代のマクナマラ氏には、想像だに不可能だったでしょうね。)

 マクナマラ氏について書いてある、ひとつの英文サイトには、〈F-35もTFX=F111の延長上にあるのだ。その蘇りといっていい。批判点すらまったくデジャブ〉とコメントされていました。これはオマケ。

 マクナマラ氏はWWII中、1943になって大尉で入隊(バークレーのカリフォルニア大学でROTCを済ませていたからです)。最新経営学であるシステム・アナリシスの技能を、マリアナのカーティス・ルメイ司令官のB-29管理のために提供しています。だから日本人とは縁がある。中佐の軍服を脱いだのは1946でした。

 ルメイと互いに知る仲であったことは、マクナマラの長官在任の長期化と関係があるような気がします。(SACイチオシのXB-70バルキリーの廃案は確かにマクナマラの意向でしたが、その前にSA-2という現実を空軍が認めていたので、これは大した確執ではあり得ません。)
 ちなみにルメイの墓はアーリントンにはありません。ケネディとの同居を拒否しているんです。

 日本人でも、自動車に乗っていて正面衝突事故を起こしたことのある人だったら、故人には感謝すべきなのでしょう。彼が1950年代末にフォード社の幹部だったとき、「運転者の胸に刺さらないハンドルのデザイン」と「シートベルト」を普及させてくれたからです。
 〈沖縄の土地は返すけども、シナとの核戦争時にはそこを基地として使うのは当然だろ〉と、訪米した佐藤栄作に念を押したのもマクナマラ長官でしょう。この大事な証人が死んだ。元外務次官はマクナマラの容態を知らされていたのか?

 WWII中の米軍内にはマクナマラのような大学界の「天才小僧」が10人も将校待遇で働いていました(旧日本軍ならば二等兵にされたところ)。また、一流企業のマネジャーたちも将官~佐官待遇で米軍内に迎えられていました(旧日本軍ならやはり二等兵にされちまったところ)。それでマクナマラ氏は戦争中にフォードの幹部に知られるようになって、その引きで、戦後、かんたんにフォード社に就職できたのです。

 大企業の経営に「なんでも数値で説明しろ」という主義(彼流のシステムアナリシスをひらたくいえば、そういうこと)を持ち込んだのは、彼の世代がハシリでしょう。彼以前に、オフィスの壁にグラフを貼る習慣は無し?

 これは一歩まちがえば、簡単にパワポの無意味演出みたいなもんに堕すのですが、その欠点が証明されちまったのは、彼が国防長官に就任してからでした。

 ジョンソン政権以降のベトナムでは狂気のボディ・カウント(死体数くらべ)が始まりました。
 マクナマラ氏は、〈敵の数は限られている。よって、死体の数を数えていけば、終戦に近づく〉と見たのです。それが「統計手法」だというのです。敵を知らないにも程があった。
 それは「共産軍に勝つ」こととは何の関係もないのに、本国庶民の俗耳には、分かりやすい説明となってしまいました。
 ビジネスの世界では「このクルマは絶対に買いたくねえ」と決意している客にそのクルマを売る方法なんてないでしょう。ところが、戦争とは、まさにそれをしなければ勝ったことにならぬ“Art”なのです。

 1967にマクナマラ長官は、ベトナムへの兵員増派の打ち切りと、北爆の停止を、ジョンソン大統領に意見具申します。ジョンソンは不同意で、マクナマラを更迭することを決意しますが、再選を狙う次の大統領選挙運動期間中に元閣僚から批難されるのは御免蒙りたいので、彼を世銀総裁にまつりあげました。(今ならば、空爆ではなく艦砲射撃にきりかえればよかった、という後知恵に、ペンタゴンは到達するかもしれません。)

 マクナマラ長官はまた、対ソ核軍備では、世界をかなり危険にさらした「MIRV」競争をおっ始めてしまいます。
 ソ連もまたMIRV技術を獲得したら、そのあとは、先にICBMを全弾発射(プリエンプティヴ・ストライク)してしまった側が断然に有利になることになって、世界はきょくたんに不安定化するのです。この事態を、「天才小僧」は、予測することができませんでした。というのは、1960年代前半のソ連ICBMは、まだストラップダウン自律制御ではなくて、地上からの電波誘導式でしたので、一斉発射は難しかったのです。

 しかし短期間のうちにソ連の技術も向上し、相互MIRV保有のおかげで、ABMが無意味になってしまいました。(それでもモスクワを防衛しようとし続けたソ連指導部にはある意味敬服する。)

 マクナマラ氏は米国のABMはコストほど効果がないと反対しましたが、他の指導層はその理屈に納得をしません。それで、しぶしぶ、薄い防禦に同意もしています。
 マクナマラ氏は、〈いちばん安上がりなのは、相互確証破壊である〉と人々に信じさせようとしました。
 どこか、おかしいですよね? レーガン大統領は、その至当な疑問を口にしたわけです。

 「その方が当面は安くつく」ことと「国家・国民の長期的な安全」とは必ずしも両立しないという政治学上の好サンプルを、マクナマラ氏はたくさん、残してくれました。

 わたしはそうした事蹟をヒントに「対抗不能性」「対権力直接アプローチ」の着眼を得ました。
 たとえば「北爆」は、ハノイ市を避けるのではなく、まさに逆にハノイ市だけに限定すべきだったのではないでしょうか?
 このような検討に興味のある人は、旧著の『ヤーボー丼』や、「武道通信」から安価にPDFダウンロードできる『日本の防衛力再考』を読んでみてください。(図書館が近い人は、大きな図書館から取り寄せて貰って読むこともできますよ。)

 マクナマラ氏は世銀を辞めた翌年の1982に突如、反戦グループに加わりました。核の第一撃に反対だとか、NATOは核依存を止めよ、と言い出します。世銀の不正融資をネタに某国や某々国から脅迫でもされたんでしょうか?

 1962の長官現役中にマクナマラ氏は、核報復においても「都市回避」すべきだと言い出しています。これなど、ソ連によるヒロシマ宣伝が米国要人に良く効いた例でしょう。シナ宣伝の「南京30万人殺害説」も、米国が他国を核攻撃するときの心理的敷居を高める材料となり得るものです。

 2003の『The Fog of War』は貧乏ヒマ無しのわたしはまだ見てないんですが、かつて仄聞したところでは、その中でマクナマラ氏は、ルメイが原爆投下を事前に知っていたようなことを語っているそうですね。ルメイはもちろんのこと、マッカーサーも、原爆投下計画は、最後の最後の段階になってホワイトハウスの文官から知らされたのです。事実上は蚊帳の外。だからルメイにとってヒロシマもマガサキもトラウマに異ならず、ホワイトハウスから核の権限を奪おうと、それだけを戦後、考え続けたのです。

伊藤さま

 どうもありがとうございました。

花火がショボくなる予感

 韓国7-30のSLVに対抗して北鮮が黄海側で派手にやってくれるのかと思っていたら、またも日本海側になりそうなのか……。残念なような……。
 AFP通信が2009-6-27に、同日、北鮮が日本の偵察機を撃墜するぞと脅したという記事を流していましたね。

 まず北鮮が、6-25以降、16日間の、日本海側発射場沖への船舶の入りを禁止した。
 それで空自のAWACSが6-25と6-26に、元山とムスダンリの間に接近したらしい。
 それにスクランブルもかけられなかった北鮮は、くやしまぎれに、ウリの空域に0.001ミリメートルでも入ったら許さない、とか吠えたといいます。〈じゃあ仕方ないから0.00085mmくらいでどうっすか〉
 ワシントンでは、独立記念日(7-4)にハワイ方向に発射すると予測している――と、件のAFPは報じています。

 それで、しばらく静かだなぁと思っていたら、先日のシルクワーム日本海側発射ですよ。きっと、どこかの国の観測船でも接近したんじゃないでしょうか?(シルクワームについては、AFPが射程160kmと書いているんですけど、北鮮版の正確なMax値を知りたいですね。もちろん、当たる距離じゃなくて、脅かしの花火としてのポテンシャルですけどね。それでもたしかイスラエルのフネがヒズボラ――かどこかのNGO――から1発くらって4人死んだことが以前にあったでしょう。)

 となるとやっぱり日本海側のムスダンリ射場なのか。がっかりです。それではテポドンのついでに発射されるノドンやムスダンがまたしてもフルレンジを証明してくれない可能性が大きい。(さいきん、ますます、かのノドンとやらは、築城基地にまでは届いても、東京はおろか新田原にすら届かないんじゃないか、と疑うようになりました。どうもパキスタンの弾頭1トンのガウリ2=ノドンが1998-4-6に、パキ公式声明距離より200km短い800kmしか飛ばなかったことは、クレーター写真で判っているらしい。Azamという人が2000年発表のテキストでそれを書いていたそうです。1999-4の二度目の試射ではパキ当局じしんが750kmしか飛ばなかったと認めています。ノドンはそのご軽量化したとか言うけど、部材を軽くすれば構造が弱くなるおそれがあるんだから、それを一度、7割射程の実射で確かめないとね。)

 なぜか韓国発の情報に、北鮮のミサイルのレンジをヨリ長く、「大量破壊兵器」の威力をヨリ大きく思わせようとするバイアスがかかります。要注意です。彼らはたんに世界からの注目を半島へ集めたいがためにそんな誇張をしたいのだと疑うべきでしょう。
 BC弾頭があるという話もその一種。オウム真理教が開放空間で神経ガスを放出した松本サリン事件では直後に7人が死亡したけれども、障子一枚立てて寝ていた住民は無被害だった。地下鉄サリン事件は、混雑した密閉空間であったにもかかわらず、死者は12人にとどまった。BC兵器を大量殺人兵器にするためには、ヒトの肺胞に入りやすいサイズのミストを最適な高度で発生させる必要があるのです。ミクロンオーダー。これを実験なしにどうやって完成するのか? 北鮮がBC弾頭の空中爆発演習をしたという情報は、ガセも含めて一件もないじゃないか。
 一回も証明されていないレンジ情報やイールド情報がひとり歩きして、日本の国防政策を左右しているのですよ。まるで児ポ法案と同じ。国会議員に、疑う力が弱すぎる。まあ、マック偽憲法なんか奉戴していたら、そうなって当然でしょうけどね。

 余談ついで。米支の間ではもう、マイクロ・パラサイト衛星の暗闘が始まっているんじゃないかとわたしは疑ってます。これは数年前からの米支ASAT実験や公開報道の中期的な流れから直感していますことで、なんのソースもありません。そのつもりで聞いてください。
 ASATのシステムサイズを小さくしていくと、ついにはデブリ以下になる。米国政府によるデブリの監視は、宇宙監視用のXバンド・レーダーの直上を通過するものについては、野球ボール以下のサイズまでも軌道情報を把握可能ですが、そのXバンド基地のないところ(つまり北米と北欧以外のたいがいの地域)では、光学望遠鏡で偶然に見出せるデブリ以外は、追跡監視などなにも無いも同然の状況です。
 ということは、有力な観測所が存在しないような僻遠の海の上空で、親衛星からマイクロパラサイト衛星を放出してやれば、それはASATだと気づかれもせずに、デブリの霧の中にまぎれこむことができるでしょう。
 デブリは誰も意図しなくても各国の宇宙開発事業とともに増え続ける趨勢にあるのですが、シナのようにASAT実験で意図的に急増させてやることも可能です。それに同期させて、マザー衛星から偽装デブリのマイクロ・パラサイト衛星を放出してやる。そして米支開戦の瞬間に、小型モーターで軌道を変え、かねてからつけねらっていた敵の目標衛星(ラクロス、ナヴスター、DSPなどなど)に衝突させる。……こういう用法を、米支双方で研究してるんじゃないかとわたしは思います。

 ですので、この心配からも、わたしは自民党案(そのじつ三菱電機案?)のDSP投資には反対します。日本製DSP衛星など、開戦時どころか、平時から無力化される惧れが大です。「ナニィ、どこに破壊工作の証拠がある? デブリの衝突で勝手に故障したんやないかあ」とシナ大使から開き直られたなら、日本の外交官など、「はは~っ、おおせの通りでございますぅー」と引き下がるしかないでしょう。
 地上のOTHレーダーやXバンド・レーダーならば、こんな心配は要りません。やはり日本の国防政策の順番としては、まずOTHレーダーと、デブリ(に偽装したパラサイトASAT兵器も)監視ができるXバンド・レーダー基地を増やすことを、最優先すべきでしょう。

いろはにはちかにくからで

 二八というのは2×8=「16歳」のこと。二九で2×9=「18歳」。旧幕時代の大衆よみものの、定型的な表現だった。
 ところが「数えで15歳」以下の女について、大人の男が乙に言いあらわす表現はない。これが興味深い。
 女が色気づいたと見られる年齢に古今東西の差もなかろう。ただしそれは妊娠可能下限年齢とは、伝統的にも決して一致したことはない。
 『娘道成寺』の清姫は13歳くらいですでにサカリがついていたとみなされていた。が、理性ある男は(イケメンの若い坊さんでなくとも)、決して13歳女などを相手にしてはいけなかった。
 八百屋お七は17歳だったからもう刑法上の理性はあるとみなされて火あぶりに処された。もし15歳ならば放火犯でも死刑は免れたところだった。

 現代の英語圏の近代大衆歌謡では、15歳女には「only」という、社会的保護の必要性を暗示する形容詞が fifteen に前置されることはあっても、「sweet」という独立人格の性愛対象になりそうな形容詞が前についた歌詞などとんと聴かぬ。これが16歳女となれば、ときとして「sweet」という形容詞も前置されるようにはなる。
 つまり性的関心の対象としていることを公言しても社会的に咎められない。16歳が高校生であろうとなかろうと関係ない。彼らの社会ではそこに伝統的慣習的なタブーの境界線が在るのだなと分かる。それがなんと偶然にも、江戸時代から明治前半くらいまでの日本の大衆の伝統的モラル(集合智)と一致するのだ。それは江戸時代には新制高校などなかったからだ。わたしは今日の日本にも新制高校など要らないと主張している。中学からいきなり大学でいい。それで日本のエロ問題も過半は解決するはずだ。

 もしニューヨークに14歳の街娼がいたら、それは「ベアリー・リーガル」(ギリギリ合法)なんてもんじゃなく、確実にアウトである。しからば男は14歳女には一切性欲を覚えないのかといえば、覚えるからアングラで市場が成り立っている。それを描いた映画が『タクシー・ドライバー』だった。げんざい日本の国会で審議中と聞く、近代国家のローメイカーとして逆に世界に対して恥さらし千万になるだろう「児ポ法」が通れば、日本で廃棄されねばならない洋画記録媒体や古い映画のポスターは、シャーリー・テンプル以降、ちょっとした数にのぼるだろう。おそらく可決されたりしたらクラスアクションは必至だろう。

  もし1972年の満17歳時代、それより数歳は幼く見えるようわざわざ胸にサラシを巻いてTVカメラの前で太モモも露わに歌を歌っていたと聞くAgnes陳美齡女史のセクシーな1/100人形を個人的に造型した未成年が居たとしたらどうなってしまうのか、誰かに訊ねずにおられない。二次元描画がアウトなんだから、さらに立体感あるフィギュアなんか全部アウトだよね? どうみても18歳以上に見えない○○ちゃん人形が男子大学生の部屋で発見されたなら、どうなるのだろうか。また、ロリ/ペド物ポルノをみずから製作して所持して楽しんでいた人物が、17歳男子とか14歳男子だったらどうする気なのか、ローメーカーは見解をハッキリして欲しい。兵頭の存念では、それは近代憲法精神への背馳である。ちなみにマック偽憲法は近代憲法典の範疇に入らない。

 禁酒法はアル・カポネを肥やした。世の中は暗くなったし景気も悪くなった。児ポ法は日本のヤクザや在日の地下商会に、戦前のシカゴ・マフィア以上の収益チャンスを提供する。マイクロ化されたヤミ媒体で日本中が溢れるだろう。手品のように瞬時に燃やして消せる媒体が発明されるだろう。必要は発明の母だから。性的関心は、飲酒欲よりも強烈な、ヒトの本然なのだから。

 性に関する社会ごとのタブーには、科学的合理性などはない。
 たとえば、もし本人の成人としての判断力を重視するのであれば、男子に婚姻を許可する下限年齢と女子のそれとが一致しているのでなければ、近代的啓蒙主義とは言えまい。しかしそこまで理詰めに民法を固めている国家も州も、慣習法圏において例外的でしかあるまい。
 そもそも合衆国を構成する州によって、婚姻可能下限年齢が異なっている。そして合衆国連邦憲法は、その州ごとの差異を放置する。そんなことは、共同体の慣習にこそ任せておくべき問題だからだ。
 婚姻年齢規定について、ある州の憲法が正しく、ある州の憲法がまちがっていると、ヨリ高いところから判断できる「スーパー憲法」なども存在しないし、してもならないのだ。国連はもちろんその領分に介入しない。いわんや「なんちゃってユニセフ」に、何の資格がある。

 他方で合衆国連邦最高裁判所は、一部の州で優勢だった某宗教の「重婚」教義には早くから厳しく対応をした。もしそれを許せば近代啓蒙主義の基本的人権思想が破壊されると考えたのであろう。
 この「重婚」と「妾」とは異なっている。蓄妾・二号は黙認しても、「重婚」は黙認できないというのが、近代国家である。婚外性交渉(や脳内の「姦淫」)を黙認しないのは、宗教だ(もちろん多情の宗教ボスも古今東西珍しくはないけれども)。
 宗教を法律に持ちこまないのが、近代啓蒙主義であり、そのイデアのカタチである近代国家なのだ。
 昔のビニ本(わたしは「援助交際」という目新しい熟語を1992年頃に神保町のエロ本屋内でブラウジングしたビニ本雑誌の読者交歓欄で初めて見たことを思い出す)や、今のインターネットの二次元描画等のポルノ・サイトは、この「妾」に相通じた非公然の欲望世界ではないかと兵頭は考える。こんなことまで法律で禁止しようとしたら、技術的に公法の権威が全国津々浦々で広範に半公然裡に無視される、アナーキーな状態を招くのが目に見えている。アナーキーに振れた社会を再統制しようとすればファシズムに陥る。馬鹿者のラッシュインする扉だ。

 英語圏のポルノ・サイトにも立派なタブーがある。それは「18歳」以上を堂々と売り物にすべきだとのコンセンサスで、もしも18歳未満だと公言してあったなら、それはアウトだ。ブラウザー側では、スチルやムービーで掲示されているモデルが撮影当時、戸籍謄本上、満18歳以上であったかどうか、確認しようのあるわけがない。「もっと若く見えるかもしれないけど、これでちゃんと合法なんですよ」というウェブ製作者の建前を信ずるしかない。この「18歳未満女に見えなくもないが、たぶん合法なのだろう」の境界線は「ベアリー・リーガル」等と表現され、違法でないことを強調して閲覧者を安心させている。

 仄聞するところでは、「児ポ法」推進論者は、外国では所持禁止が常識だ、とかいっているそうな。 …Really? それは生写真の話だろう。
 エロマンガまで禁止されている? いないでしょう。禁止されていないその証拠に、いくらでも米国の2次元サイトにヒットしますよ。アクセス可能になっている。
 PCを持っている者なら、誰でもその場で確かめられる事実にすぎない。ローメーカーは事実を確認しなさい。妄想被害に基づいて法律をつくるな。実写のロリ/ペドには確かにヒットしないから「これはほんとうに規制されてるんだな」と知れる。しかしCGのインセストはどうだ? 出まくりじゃないか。あきらかに、所持規制なんかされていない。システム的にコピーやダウンロード禁止措置がとられていないようだと合理的に判断ができる。これだけの品質のものが無料でおびただしく用意されているというのに、何を苦しんで日本の幼稚なアニメ絵のエロゲーなんぞ、違法に入手する必要がある? マスかいてて哀しくなるだけだろうがよ。
 日本の国会は、某外国機関発のマイノリティリポートを針小棒大にブラックプロパガンダかまされているだけじゃないのか? 和製エロゲーなんて、北米在住の某&某々東洋系コミュニティ内の一部方面で違法複製して、オカズにしているだけじゃないのか? きゃつらの嘘宣伝にひっかかったとしたら、コトが下半身だけに、情け無さ過ぎるよ、一国の国会議員としてさ。
 同じロリ/ペドでも、毛唐と日本人は「ツボ」が違うんですよ。それは、サイトをたくさん見比べれば、誰だって見当がつくことだ。あきらかに、向こうで受けている絵柄と、日本国内でよく消費されている絵柄は、別ジャンル・別世界・別次元である。もっとハッキリ言ってやろう。日本のエロゲーでは、米国在住米国籍白人男性は、ヌケない。日本のマンガ/アニメなんて、エロに関してはそのレベルだよ。これで満足できるのは東洋人(系)だけだろ。
 国会議員は、PCを使って「海外視察旅行」してみて欲しい。いや、斯かる法律を審議する以上、彼らにはその義務があるだろう。モノホンの「視察」と違ってヌケなくて申し訳ないですけどね。

 兵頭が瞥見するに、英語圏ポルノ・サイトの興味深い特徴は、実写の少年愛映像などはキビシく制限しているように見える一方で、CGで描きこんだインセスト・タブー表現に、驚くばかりリッチに製作資源が投入されているように見えることだ。これは、ニッチなマニアにとどまらぬ数の、そこそこジェネラルな支持や需要が、海外ではあることを示唆している。インセストCGが合法市場を成している証拠でもある。そしてかたやおそらく日本では、インセスト物CGは(ウラだろうと表だろうと)これほどには支持も需要もされまい。要するに文化の構造が違うからだ。
 日頃オモテで抑圧している部分が違うから、裏で解放されねばならぬLUST/ダーク・デザイアも異なるのだ。(たとえばセーラー服は日本では抑圧のカギであるアイテムだからそこからエロい物語がいくらでも脳内解放されよう。しかし海外ではセーラー服には強烈な物語を脳内展開させる力がない。未成人女子とアイテムがそもそも結合していないためだ。)
 もし日本人が「あんたらのインセスト物は見るに耐えんから、単純所持や単純アクセスも禁止しろ」と言い募れば、「すっこんでろ! 誰にも迷惑かけてねぇ」と言い返されるのがオチだろう。

 昔から有名な話で、大衆向けアクション映画であるダブルオーセブンシリーズでは、女の太モモを見せることがあっても乳首を見せることは絶対にない。英語圏ではエンターテイン業界が、表のチャンネルで子供に見せていいもんとわるいもんを、そこまで峻別して自主規制してきた。これも伝統文化の差異だ。伝統に、科学性も合理性もありはしない。説得不可能領域だ。だからアジアと南欧市場を除いて、日本のマンガとアニメが女体表現に関して顰蹙を買うのもあたりまえなのである。表立って輸出して許される文化と許されない文化があるのだ。
 米国のメジャーのポルノ映画業界は、強姦は絶対に描かないことを申し合わせて、あくまでコメディ・タッチにつくってきた。しかるにインターネットの世界ではCGのインセスト表現もBDSMもほぼ解禁されているようだ。インセストや強姦を合法もしくは許容慣行としている社会は近代ではほとんどないはずだが(一部の国ではゲイ同士の結婚が公許され始めたそうだが)、考えてみれば、想像だけは何だろうと自由であった。また、そこを自由にしておかないと社会は病気になる。
 裏の表現といえどもそれが社会からジェネラルに支持をうけているかどうかは、サイトの増え具合、新作のアップロードのペースを見ていれば粗々推測もつくことだ。あきらかに人々は、キワモノ分野には、素早く興味を満足させていて、継続的頻繁な新作登場を欲求していないように見える。キュリオシティの範囲だ。
 そしてまた日本の20代の素人小僧が報酬度外視で日々多作にいそしんでいるんじゃないかと思えるイラストタッチのアンダー13なエロ画像、これが北米でジェネラルな支持を獲得しているような兆候がまったく無い。それが証拠に、向こうで勝手にコンパイルしている日本国内製素人アニメ投稿絵の画像サイトというものには、ほとんどヒットしないだろう。なにか、日本人の素人少年たちが厖大に量産している絵柄には、(いや、プロが商品として作ったエロゲー絵ですら、)決定的に欠けている細部の機微な観察があって、その表情の壁を超え得ていないために、毛唐のインセスト抑圧、SM抑圧をすら刺激する脳内物語解放力がなく、日本国外では、誰も萌えようがないのではないか。もっと悪くいえば、一種のビザールサンプルとして冷笑のネタにされているに過ぎぬのではないか。われわれはここにまたひとつのガラパゴスを再発見しこそすれ、日本のエロゲーが国外で加害者になっている証拠など探せないのである。

 日本の素人小僧が描いたアンダー13のエロ絵で劣情を刺激されたと言う米国在住の米国籍人が一体どのくらいいるのか? とるに足りない率だと疑う。彼らは、米国製の、彼らじしんのツボをわきまえたインセストCGで、もうすっかり満足してますよ。

 話をまた戻そう。18世紀なかばの日本の大都市において、「数え」で14歳の堅気の女との婚外セックスは、それを疑われるような真似をしただけで、立派なスキャンダルになった。これが「お半・長右衛門」物の、複数の文楽作品(その代表は『桂川連枝[れんりの]柵[しがらみ]』、もちろん浄瑠璃から歌舞伎にもコンバートされて近代にまで伝わる、これを上演したらアウトか?)になった。とうじの社会は、そのゴシップに大いに劣情をかきたてられていたのだ。
 むろん14歳女は妊娠可能だ。武家でも公家でも商家でも14歳未満の正式婚姻は普通にあった。しかしそれと14歳妾とは別な問題だ、と、江戸時代でも考えられていたのに違いない。
 さらに――これは断言ができないので歯がゆいが――旧幕時代に、都市部の公許の遊郭で、(数えで)14歳の女が、一人前に客をとったことは、ないであろう。遊里の建前は、立場対等の自由恋愛である。14歳に自由恋愛など不可能なのだ。だから見習の禿だったはずだ。では何歳が半玉のボーダーであったのかはとても即時に調べもつかぬけれども(ただし明治29年まで生きた樋口一葉の『たけくらべ』の美登利は数え14歳で未だ女郎ではないように書かれていた)、おそらく17歳はもう一人前だったのではないか。
 とするなら、江戸時代の登楼を描写するすべてのフィクションは、いま審議中の「児ポ法」にひっかかりかねない。稀代の阿呆陀羅法案だ。

◎読書余論 2009-7-25 配信分の内容予告

▼『都留重人自伝 いくつもの岐路を回顧して』2001
 日米開戦時の交換船に乗るときにピアノ曲の楽譜まで没収された、だとか、戦中の米国の情報保全の空気が生々しく語られる。ハーバードに日本人留学生が一人も居なかったときの様子も知られる。2回本書を読むと、著者がどの事暦に深入りをしたくないのかがピンと来るようになる。サラッと書いて通過しようとしているところが、いちばん表現に苦心しているところなのだ。

▼佐枝せつこ『ベッド・イズ・バッド』2005-4
 キャラが立っているのがお見事。労作なのに読む側を疲れさせないのも偉い。福祉予算逓減がそろそろ止まりそうなので、記念紹介します。

▼八木谷涼子『キリスト教歳時記』平凡新書2003
 クリスチャン総理が降板しそうなので、記念紹介しときます。

▼本庄陸男『石狩川』S14-10-25普及版、原S14-5-3
 大正いらいの〈社会科学〉系参考書の文章リズムがこの小説をつまらなくしている。にもかかわらず、明治初期の武士の動作がありありと目に浮かぶように写生されているところは意外な収穫。そしてこの出版は、近々対ソ戦を予定する参本が、世論をまとめるための国内工作として資金を援助でもしているのではなかろうか?

▼関口哲平『選挙参謀』徳間文庫2004、原2001
 本書が取材している横須賀市に最年少市長が誕生したというニュースを聞き、記念紹介する。都知事選での大前研一氏の敗因分析も必聴。インターネット上で完結しているオピニオンなどリアルの選挙結果には何の影響もない。そんなものは「運動」ではないからだ。

▼防研史料『昭和十五年度 飛龍関係資料』
 空母の『飛龍』の激貴重メモ帳。

▼防研史料『海軍航空機関係ノート』最終日付S20-5-31

▼防研史料『支那空軍拡張の実状と其の影響』関根郡平大佐、S8年9月

▼防研史料『米国空輸部隊ノ概要』軍令部第三部、S19-2
 落下傘部隊のこと。「空挺」という言葉は海軍用語にはなかったのか?

▼防研史料『現状報告』海軍航空本部技術部 S11-11

▼アンダースン&ビースン『臨界のパラドックス』内田昌之tr. 1994、原“The Trinity Paradox”1991
 なんともつまらぬSF小説だがスチムソンの年寄りぶりなど珍な取材成果が捨て難いので紹介する。取材のように見えるフィクションには気をつけよう。

▼ウォルフガング・ロッツ『スパイのためのハンドブック』朝河伸英tr.1998、原1980
 書いた人物よりも編集者の才能に敬服する。書籍は束が厚ければよいというものではないことの一例。

▼横光利一『上海』原S7-7、講談社文庫
 女房持ちが書いたとは信じられない、受け身の男がラッキーなアクシデントに次々見舞われるというラノベ式冒険ごっこ小説。しかし満州事変直後の上海の相貌が分かりやすくリポートされているので紹介しよう。

▼平松茂雄『中国、核ミサイルの標的』2006-3
 東風5用には偽サイロまでつくられている。人民公社とは核戦争でもシナ人だけは生き残るための壮大なプランだったのだが……トウ小平がすべてを変えてしまった。

   ◆ ◆ ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記、読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 東京都内の大きな図書館や、軍事系の充実した専門図書館に、毎日通えない人でも、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
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