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まだまだたくさん生きていた全共闘の残党老人連。

 シンポジウムとは、またそのコーディネーターとは、いったいどうやるものかを一度見学しておくため、函館国際ホテルの原子力シンポジウムにでかけたっけ……事前に何も宣伝していない「大間原発」の説明会だったんかよ!
 「もう海岸に軽水炉というのは古いから、夕張にHTTR炉をつくったれよ。泊より電送距離も短くなるし」、とか高度な質問してやろうと思っていたが、とてもそんな雰囲気じゃありませんですた……。

沖縄問題もヤクザ問題。

 人間はカネのためなら人も殺せるのだから怖いものだ。そしてカネが嫌いな人間はおらず、殊に政治家は大好きである。一方に最高のホラー。そして他方に、命の次に大事なインタレスト。これで動かぬ地方の政治などどこにあろう。仕組みの上でこれを芟除しないかぎり、中央の政治までかならず腐敗するようになっているのである。

 米国もほんの60年くらい前まで、州や市のレベルでは相当に政治と利権の腐敗が見られた。しかし連邦レベルではWWI前後からそんなものはなかった(数少ない例外は「ティーポットドーム海軍リザーブ油田」醜聞)。

 秘密は何だったか? 米国東部の法曹エリートは、土建を政治利権にさせないコツを「連邦陸軍工兵隊」で学んだのである。治水事業が構造的に腐敗していたら、州を越えた大人災につながってしまうから、彼らはこれを軍隊に仕切らせたのだ。ウェストポイントはじまっていらいの優等生マッカーサーが陸軍工兵隊に任官したのも、そこではクリーンな土建政治実務というものが学べたからであったろう。

 日本では幕藩制時代から、臨時に大量に必要になる土木作業員の人集めと管理を、殿様が地場のヤクザの親分に頼まなくてはどうにもならなかった。米国は土木作業の機械化(スチーム動力化)を急速に進展させることで土木作業を近代会社化してしまったのだが、日本ではこのヤクザの親分と殿様とその部下の現場事業監督幹部のもちつもたれつの腐れ縁が、機械力の導入(すなわち省力化と工期短縮)に抵抗し、維新以降も、土木事業の近代化を妨げ続けたのである。

 WWII中、米軍は、シービーズ(海軍設営隊)が南の島のジャングルに上陸してわずか1週間以内に、爆装F-4Fが離着陸できる立派なストリップを施工し得た。日本軍がおなじ作業をするには数倍の人夫と数ヶ月の工期が必要だった。

 戦後、自衛隊の機械化された施設科部隊が各地の飛行場や学校グラウンドの建設に用いられた時期があったが、たちまち、地方の政治ボス(しばしば土建会社経営と地方政治の二足のワラジを履いていた)が、「民業妨害だ」と騒ぎ出し、中央の政治家をつきあげ、今ではこのような施設科の運用は見られなくなってしまった。

 米国ならば、地方の土建屋や政治家がいくら私益の顧慮から反対を唱えようと、陸軍工兵隊を投入すれば、パナマ運河のような大工事すら、できてしまうのである。しかし日本では、たかだか二千数百mの滑走路を新設することすら、地方のヤクザの反対に遭っただけで、不可能になるのだ。
 しばしば地方の親分と中央の与野党の政治家は、利権誘導の利害で共謀関係にあり、あたらしい滑走路が造られそうだとなれば、その利権誘導の工作資金撒きや、思惑買いの投資を、勝手に先行させてしまうものである。だから、いまさら「浮航体方式にする」などと大臣が発言しようものなら、数人の与野党の政治家や秘書が、交通事故に遭ったり、ホテルで不審死せずにはおかないだろう。

 愚生は一貫して沖縄に海兵隊など要らない理由を語ってきたので、ここでは、その主張はいささかも変えずに、八方まるくおさまる良い方法を、民主党のために提言しよう。

 米国が、米国の国防予算で、沖縄の海兵隊のための、長さ3000m×幅400mの「バージ」を、日本の造船メーカーに発注する。
 これは「浮かぶ滑走路」ではない。エンジンを有する「船舶」である。したがって不動産ではなく、動産である。ただし形態として、最上甲板はフラットであり、機能としてF-18が離発着でき、普天間飛行場の代用になる。
 日本政府と日本の造船メーカーは、これが台風などで損傷した場合には、即座に日本外務省の予算でメンテナンスすることを約束する。これはなかなか破れそうにない契約であろう。
 この巨大動力筏を、沖縄県の辺野古沖に「遊弋」させる。ただし速力は時速0.000001ノットである。
 ひょっとして沖縄県民のいやがらせが、この筏に加えられるかもしれない。海兵隊様が辺野古沖が厭になったら、このバージはグァム島へ勝手にタグボート&プッシャーボートにエスコートされ移動するだろう。「サヨナラ」だ。
 普天間の跡地整備事業で、地元土建業界は、酬われるだろう。なにしろ、かなり悪い土地だそうで、変な物質も置き土産としていろいろ埋まっているだろうから、さぞかし、長年にわたり、直し甲斐があることだろう。

 台湾政府が有事に即座に動員できる地上兵力は、優に陸上自衛隊よりも多いのである。それでシナからの特殊部隊の攻撃が自力排除できないというのなら、そんな国はとっくに独立を失っているだろう。
 シナは間接侵略によって台湾を事実上、併呑することができる。かたや米国政府は、「人民元は紙屑だ」と、本当のことをアナウンスするだけで、シナ財政を崩壊させてやることができる。
 2012年時点でも米海軍は正規空母を10隻も維持する予定である。沿岸戦闘艦(LCS)も続々と就役する。
 海兵隊の出番など、もうアフガン以外にどこにもありはしないのである。……あっ、沖縄の地方自治体が間接侵略にやられて中共のエージェント化したら、暴徒から嘉手納基地を防衛するために、残っている必要があるかもな!

皆様へのお詫びとお知らせ 並びに「一サポーター」宣言

 きのうJSEEO事務局から電子メールで、2月6日の設立大会の案内チラシの草案が送られてきて、そこにわたくし兵頭の肩書きが「理事長」となっていたので驚いた次第です。
 わたくしは事務局の池田洋一君に対し、この機構の代表を本年中に辞任するという意思を、1月12日の電子メールでお伝えしてあるのです。にもかかわらずこのような案内チラシを作って既製事実のように「理事長就任」を宣伝されては、甚だ困惑いたす他にない。辞めるつもりになっている人間を理事長なんかに立てて世間を欺いて良いわけがない。
 それで、わたくしの代表辞退および「一サポーター」宣言は、設立大会当日までその公表を待つつもりでおりましたけれども、急遽、この場で「設立準備室代表」としての説明責任を果たしておかねばと思い直しました。決断が万事遅くて、まことに恐縮であります。

 もちろん設立大会までは「設立準備室代表」として、当日の演壇でも、かたがた退任のご挨拶もさせていただければ幸いだと思っております。

 わたくしが当機構の正式発足後の「理事」または「理事長」就任をお断りしたい理由は、大きく二つあります。
 一つには、当初見込んだほどの「賛同者」の人数が集らず、このままでは事務局の赤字が累増して行き、いろいろな人に迷惑がかかる可能性があるとわたくしが判断していること。
 二つには、わたくしの目指すインターネット・ラジオ事業には池田君がまるで関心がなく、反対に、池田君が志向する「シンクタンク」的活動にはわたくしが懐疑的であることです。つまりは同床異夢であったと悟りました。

 わたくしは、機構の収支赤字が黒字に転換する見通しがない以上、甘い楽観を続けずに、即刻、組織や活動を縮小すべきであると思います。たとえば、事務所は整理すべきではないか。しかし、池田君は違うお考えのようです。これは非常に大事な問題だとわたくしは思っております。この大事な点で池田君の同意を得られなかったことは、わたくしの遺憾とするところであります。

 もし、浄財の喜捨が十二分にあつまりましたならば、二つめの問題なども、問題ではなかったかもしれません。してみますと、「賛同者」をごく僅かしかあつめられなかったわたくし兵頭二十八の徳の無さこそが、現今の根本の蹉跌因でありましょう。この点につきましてわたくしは、支援者の皆様、発起人の皆様および事務局、殊には事務所立ち上げの全費用の赤字分を個人で負担している池田君に、深くお詫びを申し上げます。そして真剣な反省から、わたくしは機構の監督者的な立場からは身を退くべきであるし、可及的すみやかに、別などなたかが機構の代表になるべきだとも確信をいたすのであります。それは、いろいろな経験を積み、見識も高い、池田君自身でもよいのではなかろうかと、個人的に思います。

 いずれにいたしましても、わたくしではないどなたかが、当機構を率いてくだされば、それが、あらたな「賛同者」を吸引することにつながるに違いありません。わたくしが代表などで居る限り、これ以上、賛同者も浄財もあつまらないでしょう。どうか、発起人の方々や顧問の先生方と事務局とで、十分にご相談をなさり、新たな機構の方向を定めてくださることを祈念します。もちろんわたくしも、設立大会後は、一サポーターとなりまして、北海道からJSEEOを声援して参る所存です。

 もし、「この人ならばJSEEO理事長にふさわしいのではないか」というお心当たりの候補などがおられましたなら、是非、JSEEO事務局までお知らせくださればと思います。まだ、電子メールアドレスもFAX番号も電話番号も住所も、生きております。

 皆様からの有り難い喜捨のおかげによりまして、これまでJSEEOとして数度の講演会を開催し、日本の国防問題について啓発する独自な言論運動を、ささやかなりとも展開することができました。これは手前味噌ながら、有意義であったと思っております。2月6日も、おもしろいシンポシウムをお聞かせできそうですので、どうぞこぞってご来場ください。末筆ながら現在の支持者の皆様にはあらためて御礼を申し上げます。そして、どうかこれからも引き続いてJSEEOを宜しくご支援くださいますよう、伏してお願いを申し上げます。

それは「ハイテク」か「地味テク」か?

 Bob Bergin記者が『Air & Space Magazine』のために人民解放軍の退役パイロットの Yang Guoxiang 氏に昆明市でインタビューした「One of China's top test pilots recalls the H-Bomb that almost backfired」という記事がシナ軍関係のブログに転載されていたのを読んだ。これは面白い。以下、摘録。

 Yang 氏は雲南のド田舎出身。対日戦中に成長した。1948-11に反・国民党の暴動に加わり、山岳地に逃亡し、共産系ゲリラになった。1949 に正式に人民解放軍に加入。

 同年、中共の新空軍が創設された。まもなく、朝鮮戦争勃発。
Yang 氏は1000人の航空学生志願者の中からたった1人、選ばれた。
 1950-2に北京の飛行学校へ。教官は旧帝国陸軍の捕虜パイロットたちが志願していた。旧国民党の者もいた。

 飛行機は、旧日本軍のものと、「米国型」で、WWIIからもちこされているもの。実戦部隊に配属されるまで、教育期間は3ヶ月。
 70時間の飛行後に、対地攻撃機部隊に配属された。機種はソ連製の「イリューシン10」。シュトルモビクの後継機だ。原隊はシナ北西部にあった。

 北鮮に進出せんとしたが、北鮮内の航空基地がF-84によって破壊されてしまい、部隊は進出ができなかった。
 やむなく満州内の基地にとどまった。そこからは、北鮮上空でのF-86の乱舞が見えた。

 中共は1953休戦後に「ミグ15」を対地攻撃用にカスタムした。
ソ連からの援助機はとにかくエンジン寿命が短かった。
 対ソ関係が悪化したので、1958に、国産の対地攻撃機を開発することに決まった。

 燃料不足は深刻だった。1958以降も、年に40時間しか飛行訓練ができない。それで飛行学生募集が何年も中止された。

 初国産の超音速対地攻撃機「Qiang-5(Q-5)」の主任設計者は、元国民党の将校である。彼、Lu Xiaopeng は米国留学帰りであった。蒋介石が台湾に逃げるときに、彼はついていかなかった。

 設計者は、ソ連の「MiG-19」をもとにして、航続距離を伸ばしたりしているうちに、「F-4 Phantom」みたいなもんができあがった。それが「Q-5」だ。
 Yang は1965に Q-5 のテスパイに選ばれた。それまで超音速機に乗ったことがないので、まず MiG-19 で慣熟した。
 1966 から 1967にかけ、Q-5で 200 回、飛んだ。

 1967の会議では、党のお偉方を前に、操縦系の油圧が低くて応答特性が悪すぎると指摘。
 すべてのテストは1969-12に終わった。量産も始まる。Yang は山東省の第19飛行師団長になった。

 このQ-5のテスト飛行中、お偉方から、「この機で〔小型化した新型の〕水爆を運搬できそうか」とたずねられ、ヤンはできると答えた。
 このプロジェクトを現場で指揮する党の担当者は、周恩来だった。

 それ以前の核爆撃機「Tu-22」は6人乗りの重爆である。しかるに、Q-5は単座の攻撃機だ。〔単座機に水爆の実弾を搭載するとなると、パイロットが1人であるために党には心配がある。それをソ連へ持ち逃げされたり、近くの都市や軍事施設に落とされないという保証がないからだ。そこで、〕政治思想が十分に信用できたヤンが、水爆投下実験のパイロットとして指名された。

 水爆は、長さ2m、重さは1トンあった。
 それをQ-5の胴体下に吊るすことにした。胴体には少しリセスがある。フックは2点で懸吊する。

 リリース(トス爆撃法)後に爆弾がまた機体にぶつかってこないような装置もとりつけた。この改善型を「 Q-5A」と称す。
 どうやら1970末には投下実験できそうだった。

 Q-5の水爆投下は、落とすのではなく、投げ上げるのだ。トス爆撃である。
 まず高度300mを時速900キロで水平飛行しアプローチ。
 そして破壊目標から距離12kmまで達したなら、45度で急上昇開始。正確に高度1200mに達したところで、爆弾をリリースする。
 すると水爆は惰性で高度3000mまで投げ上げられ、そこから抛物線落下する。
 リリースから60秒で爆弾は空中炸裂する。
 もちろん投下機はリリース後はすぐに反転して遠ざかる。

 ヤンは、鉄とセメントで重さを再現したダミー爆弾を200回、投弾して練習した。
 200m直径の標的に対し、10回投弾すると、だいたい1回は、50m以内に落ちた。

 ところが1970にロプノールで小型(重さ1トン)の新水爆の静爆が不成功におわってしまった。
 それで実弾投下実験も無期延期に。

 ……と思っていたら、1971-9の林彪墜死をうけて、毛沢東は、士気鼓舞のために水爆実験を年内にやれと命令した。
 いよいよ実弾投下は、1971-10-30と決まった。

 離陸はロプノールから300km離れた基地だった。

 この水爆には、5重の安全装置があった。
 爆弾を飛行機につるしたときに1つめが解除される。
 離陸後15分で、2つめが解除される。
 目標区域に達したところで、3つめが。
 パイロットが投下決定をしたところで、4つめが。
 そしてリリースから60秒で自動的に5つめが解除される。

 標的の12km前で、45度上昇を開始。高度1200mでリリースした……つもりだったが、なんと爆弾が機体から離れねえッ!
 リリース・メカニズムは念のために3系統あり、すべてを使ったのだが、無駄だった。

 それで旋回してもういちどやりなおした。やはり離れない。
 3度試みたがダメ。燃料がなくなった。ヤンは決断を迫られた。

 ヤンは爆弾を抱いたまま、基地へ戻ることにした。機体ごと捨てても良いといわれていたのだが。
 これはリスクがあった。飛行基地には1万人がいたからだ。
 爆弾と地面のクリアランスは、たったの10cmしかない。

 なお、この実験中、地域の他の無線は一切禁止されていた。
基地には周恩来がいて、全将兵にトンネルに退避しろと命じた。昼飯時なのに全員ガスマスク着用で退避。このため無人化した厨房の炊飯器から火事になっている。

 というわけで、ひとっことひとりいない滑走路に見事に着陸した。
 なお、水爆には、静電気を遮断するゴム衣なしでは誰も触れないことになっていた。水爆貯蔵庫内の鉄柱〔鉄格子?〕には銅被覆がされていた。

 北京で原因を解明したところ、本番用のシャックルを温かい室内で整備・保管したままで、冷気にさらした実験をしておらず、それを本番で急に低温にさらしたために動作不良を起こしたのだとわかった。

 次の投下の試みは1972-1-7だった。基地には雪が降っていた。
 こんどは初回でリリースがうまくいった。すぐ旋回し、コクピットにシールドを展張した。
 大きな閃光に続き、ショックウェイヴを感じ、機体が荒波の上の小舟のように揺れた。彼はキノコ雲を見た。その時点で爆心から20km離れていた。

 基地では雪模様のため、誰も閃光もキノコ雲も見ていなかった。

 ヤンの名前は1999まで秘密にされていた。
 彼は50歳で退役するまでQ-5を飛ばしていた。
 引退後は昆明に住んでいる。
 そしてQ-5はいまでもシナ空軍の現役機である。

 ※1972-1-7実験については、従来は次のような解釈が西側でなされていた。いわく。この実験は8キロトンのプルトニウム原爆で、低出力であった。F-9戦闘機から投下されたので、戦術核だ。重さは700kgであろう、と。今回のインタビュー記事が真相を伝えているならば、こうした観測はいろいろと間違っていたことになる。

 ※兵頭の見たて。それまで5、6、8、9月に核実験するのが常だった中共が10月とか1月に大気圏内実験を命じたのは異例。2度目は、2月のニクソン訪支にむりやり間に合わせたのだろう。毛沢東のあやつりであった周恩来が、ニクソンと対等に交渉するためだ。とすれば、この実験が強調したのは、シナはF-9でトスできるくらいの軽量な水爆をもうつくれるんですよ、というデモンストレーション以外にない。それまでのシナの水爆は重さが2.2トンあり、長征に載せられるかどうかは疑問だった。しかし1トン未満の小型水爆があるなら、それを長征に載せれば、シナ本土からニューヨークを脅威できるという蓋然性が認められる。だから米支はいまや対等だと周恩来も胸を張れるわけだ。じっさい、シナの対米攻撃用ICBMは1980に実戦配備されたようだが、その水爆弾頭技術は、1972-1-7の小型軽量水爆を、何年もかけて洗練したものだったのであろう。配備当初も、水爆としてはかなり威力の低いものだったのであろう。

〈機械虫〉同士の空中戦を制するのは、やはり蜻蛉か、それとも…?

 THくん。早速応募ありがとう。しかしファイルは開けなかったよ。フリーソフトの「GOM PLAYER」とやらをダウンロードしてみたがやっぱりダメだった。機械音痴で申し訳ない。しかし君の熱意はしかと承まわった。是非とも声優として活躍してもらおうじゃないか。企画は、数ヵ月後に本格始動するので、そのときに直接、ご連絡します。

 さて、狂言に「蚊相撲」という演目があって、蚊が人間に化けて相撲を挑んでくるのだが、そいつがなぜかやたらに強い(河童の相撲みたいだ)。しかし、扇で煽がれると、負けてしまう……というオチだ。

 マイクロUAVが屋内に入り込んでくるようになったら、こんどはこの「機械羽虫偵察機」を防除する方策を講じなくてはなるまい。
 ざっと思いつける手段には次のようなものがあろう。シリアスに考えてみたい。

一、「トンボ型」無人戦闘機。
 トンボは6本足を籠のようにして蚊などを空中でホールドし、頭からガリガリ齧ってしまう「プレデター(肉食)昆虫」なのだ。それゆえ英語ではドラゴンフライ(龍蝿)などというおどろおどろしい名がついている。このトンボの構造・機能、とくに捕食し得る「生き餌」を判断して追いかけてキャッチするまでのアルゴリズムや、オス同士のなわばりをめぐる空中マヌーバーを解明することが、侵入してくる「機械羽虫」に対するインターセプター開発に直結するであろう。

二、「蜘蛛の巣型」の阻塞装置。
 カスミ網です。それを発射するものでも良いだろう。つまり「射ぐるみ」です。

三、「スプレー型」の防空兵器
 スズメバチすらイチコロというすごいジェットがあるらしいが、相手は無生物だから神経ガスは効かない。雑誌編集部で愛用されている糊のスプレーが有効かもしれない。羽の浮力がなくなるだろう。

四、「蝿叩き」型の高射兵器
 カメレオンの舌のような瞬発性が必要だ。しかし敵機に「自爆」機能があると、この防衛ラインはスウォームで突破される。

五、「うちわ型」の気象兵器
 要するに市販の扇風機で廊下に風速数mをつくってやれば、羽ばたき式のマイクロUAVはもはや飛翔は続けられぬはず。これが「オフ・ザ・シェルフ」の最も安価な対策となるでしょう。

「パン籠」ならぬ「虫籠」が新世代のクラスター弾になる

 米空軍の chief scientist である J.A. Dahm 氏に michael hoffman 記者がインタビューしてまとめた2010-1-18付『ディフェンス・ニュース』記事:「USAF Chief Scientist Looking To Change Game」。

 2月に、2030年の米空軍技術がどうなっているかを予測する短いリポートを空軍トップに提出する。その中味をざっと語ってくれた。

 いまから20年後の米空軍の目玉は、「マッハ6で飛ぶ巡航ミサイル」と「ビル内をくまなく飛び回って偵察してくれる大きさ10cm以下の羽ばたき式UAV」。

 空気が存在する中をマッハ6で飛ばすには、一定時間、どうにかしてエンジンを冷却して、熱で溶けてしまわないようにする必要があった。石油系燃料の分子がバラけるときに熱を奪う機能が着目されている。
 ※つまり一時有望視された水素燃料は単純なニコイチ結合分子だからそのような冷却機能が見込めず大気圏内超音速エンジン用としては実用的ではない、ということなのか? いずれにせよ、爆弾じたいがマッハ6ですっ飛んでいってくれるのなら、ステルス攻撃機にどんな必要があろうか。

 超音速エンジンは、まず巡航ミサイルに搭載される。ついで、偵察機に。ただし、その時期は明言できない。

 キーワードは、無人化、小型化、自動化。自動化は、人の意思決定を高速化する方向で貢献しなければならない。
 精妙で凝ったものから、組み合わせ的なシステムへ。すなわち単機能目的兵器はもう古い。 Dell 社がカスタムPCを個人客の注文から数日後に配達してくれるサービスを見習うべし。
 ある司令官が「偵察衛星がひとつ欲しい」といったら、数年後ではなく、数週間後にそれが届けられるようにすべきなのだ。

 UAVはトンボより小さいサイズに進化する。 Micro Air Vehicles(MAVs)という。
 すでに、ひとつのビルの中をくまなく捜索できる10センチ大の羽ばたき「機械虫」が完成寸前である。
 2009の空軍リポートでは、 このようなMAV は 2015までに導入されるとしていた。

 ※これも最初は市街戦のための屋内偵察用に単機で用いられる(つまりパックボットの空中浮揚化)として、その次の段階がどうなるかですよ。スウォームになり、且つ、リーサル・ウェポンに進化し、理論上、コラテラル「ゼロ」の戦略兵器となるのはもう必然ですよ。そこまでを、レムの小説『砂漠の惑星』は予言していたのではないですか。くわしくは『もはやSFではない無人機とロボット兵器』で確かめ、かつ考えましょう。

「シャドウ」UAVも2000機以上、売れまくっているようです。

 Grace V. Jean 記者が『National Defence』2010-2月号に寄稿している記事「Army’s Shadow Unmanned Aircraft Receiving Upgrades For Longer Missions」。

 陸軍と海兵隊はすでに無人機「シャドウ」の部隊115システム分を発注している。1システムが4機のRQ-7Bシャドウを定数にしている。
 シャドウは滑走路に自動着陸する〔前に落下傘回収とか書きましたが大間違いです。すいません〕。
 いまのところ戦地には76システムが配備済み。うち陸軍分が69システム、海兵隊が7システムである。
 2015までには、陸軍は102システム、海兵隊は13システムを手にする。だいたい、月に1~2システム増えていく。

 工場では月産10機。
 エンジンは稼動250時間ごとに総分解整備の要あり。

 これまでのシャドウの墜落原因の筆頭が燃料供給系と潤滑油関連なので、電子制御のインジェクションに変更した。〔ピエゾをつかった、コモンレールのようなものでしょう。〕
 潤滑オイルは冬季の高山の高空でも粘性が増さないものに変更。

 より重いペイロードが要求されているため、2010中に翼長を延ばした機体で更新を開始する。片翼につき3フィートづつ長くする。これで、5時間だった滞空時間が8時間に伸ばせる。増槽でさらに2時間のばすことも将来はできる。

 さらなる提案。 Shadow 7C を、主翼だけでなく胴体も大きくする。そしてエンジンを灯油(heavy fuel)で回す〔これはターボプロップにするという意味ではなく、ディーゼル自動車のコモンレール技術を使えば、ガソリン・エンジンを直噴式の灯油エンジンにもできるのだ。ミニ・ディーゼルという可能性もわずかばかりあるが〕。
 ※さらに余談。なぜまぎらわしくも「ヘヴィ・フュール」が英語では灯油のことを意味するのか? 想像してみるに、ガソリンやナフサは揮発する=軽い。それらすべてが原油から揮発してしまうと、残った灯油や軽油や残滓油(日本語で所謂「重油」)は揮発性が比較的にわずかな上、比重も大なので、ひっくるめて「ヘヴィ」だと言えるわけか。なかでも灯油(ケロシン)が、ガリシア油田が商業活用され始め、かつまたガソリン・エンジンが未だ普及していなかった19世紀末には、照明ランプ用の「灯油」として中心的な商品価値を占めていたからか。しかし、つくづく、日本語の「揮発油、灯油、軽油、重油」という区分け表記は、混同事故防止の上で、すばらしい発明ではないだろうか。

 このシャドウのシステム(4機1組)を運用するためには、いまは22人の地上チームが必要だが、提案中の拡大型では29人を要するようになるだろう。〔「無乗員」機は、「無人」兵器に非ず!〕

 地上車両や、アパッチ・ヘリの中のラップトップPCで、複数のシャドウからのビデオ映像を随意に受信しモニターできるシステムも用意。画面の一点をポイントすれば、シャドウのカメラがそれをズームする。

タダ働きの「声優」出演者募集

 そろそろインターネット・ラジオに乗っける『決心変更セズ』のドラマタイズ企画を前進させるから、ギャラ¥0-円也で出演してくれる方を数名、募集します。(収録のためにどこかに参集してもらった場合には、「メシ代」くらいは出すつもりです。)

 最近のデジタル録音機はすごいね。ある人の担当の台詞だけ、続けざまに吹き込んでもらえば、あとで編集してイフィクトを加えて一丁あがりにできる。
 慣れてくれば、一箇所に「声優」を集める必要もない。自宅で吹き込んでもらったっていい。そのデータだけ集められればいいのだ。

 なおこの企画はJSEEOとは無関係です。わたしの趣味、道楽だと思ってください。
 というわけで、JSEEO事務局に問い合わせたりしないように!

 ところで「十一年式軽機関銃」の音源はどこで手に入る? あと、シナ兵、英兵、米白人兵、米黒人兵の叫び声。ほら、『コンバット』で「アメリカーナ! アメリカーナ!」と呼ばわりつつトミーガンの1弾倉(20発未満)で5人くらい雑魚エキストラが死ぬでしょ。アレっすよ。

「ムーヴィーメイカー」で1コマ刻みのカットバック編集ができるとは知らんかった

 AP通信のDAVID MERCER記者の2010-1-15付記事「Ill. soldier's family says pictures aren't porn」。星条旗新聞に転載されている。
 1人のイリノイ州兵、陸軍技術兵(伍長より下、たぶん本職の自動車整備工の関係)が、4歳の親戚女子の水着スナップ写真などを所持していたという罪で軍法会議にかけられた。
 在アフガンの米軍人は、ポルノグラフィの所持は禁止されている。有罪と決まれば最高で10年の投獄があり得る。
 この兵士の所属する歩兵旅団約3000人は2008末にアフガンに送られ、2009年8月にイリノイ州へ帰還している。が、軍法会議が済むまで、この兵士だけアフガンに残される。
 兵士の母が、ホームシックをなぐさめる目的で、e-mail で大量の当該少女の写真を送った。そのなかの1枚に、プールサイドの少女の水着から臀部の片方の一部が見えているものが含まれていた。
 兵士の家族いわく。この兵士は、この少女の実の父親が軍事訓練のため不在中の折に少女が病気になったので、その看病をしたという間柄なのである、と。当該写真は少女の誕生パーティで少女の母によって撮影されたものという。

 次。テクノバーンに2010-1-14付で、「Is Antarctica【南極】 melting?」という記事が載っている。
 米国は、NASAとドイツの共同衛星による重力変化測定で、南極の陸氷の減少傾向を確認していること、それから、欧州とカナダは1992からレーダー衛星で氷河等の厚さを測定してきたこと、が、この記事で分かる。

 以下、兵頭の邪推。
 最初に〈南極の氷が減っている。地球は温暖化している〉と気づいたのは、冷戦時代末期の米ソの軍用の重力観測衛星だったのだろう。
 精密な地球重力地図は、軍事衛星や長距離弾道弾の正確さを担保するため、継続して収集しておく必要がある資料だった。
 ただしそのデータは、まさか他国にオープンにするわけにも行かぬものだった。
 そこで米国は、それとなく欧州とカナダに、「オイ、南極の氷を調べてみ。ついでに、他の氷河も調べると面白いかもなぁ……」と慫慂したのだろう。そしてNASAを一枚かませることによって、万一ドイツだけが新知見を得て秘かに利用するようなこともないような仕組みもぬかりなく整えたのだろう。

 ちなみに海氷が解けても海面は上昇しないが、陸氷が融けると海面は上昇する。
 オーストラリアと同じ広さがある南極大陸の厚さ2000mもの氷がぜんぶ融けると、海面は60m上昇するという。
 ただし、かつて地球にはそのような時期があり、その頃、南極にもワニが暮らしていた。これほどの気候変動に耐えて陸上で生き残っているワニは、もっと研究されてもいいんじゃないか? サイズも人間に近いし。

鬼コーチはオニ狡知。

 早くも無人機同士の淘汰が、はじまった……。
 Bettina H. Chavanne記者の2010-1-14付け記事「U.S. Army To Terminate Class IV UAV」。

 ひとつは、小型無人ヘリコプター。
 近距離偵察なら、現有の「シャドウ」(固定翼・カタパルト発進・パラシュート回収)で十分だから、 Class IV UAV (ファイアスカウト)は要らない。
 メーカーの Northrop Grumman は、2014の旅団戦闘団への配備を期待して大きく社内投資してきたのだが。

 もうひとつは、 Multifunction Utility/Logistics and Equipment (MULE) robotic vehicle です。やはり米陸軍が、この無乗員兵站輸送車開発プログラムを中止すると議会に告知しました。

 以下、兵頭の蛇足です。
 まずMULEから説明しますと、これは1個歩兵分隊の装備品や需品を運ぶ6×6の無蓋台車を無乗員化した「ロボ騾馬」として提案され、ロックマート製の試作車のテストが行なわれていました。2009年9月の兵器見本市にも出品されて公開された写真があります。
 無乗員運転モードには、兵隊の画像イメージに追従して進むモード、完全自律運転の他、ボイスコマンド=声の命令で動かそうというソフトも研究中でした。
 規格は 3.5トン。その縮小バージョンもあり、全重5,000ポンド、運搬1,000ポンドだと説明されていました。
 寸法は、CH-47になら2台積み込め、1台なら Merlin helicopterでも運べる――となっていました。

 中止の理由を想像しますに、要は「筋悪」なんでしょう。世界最大の軍需企業がこんな月面車みたいなチャチな輸送機械に巨億の税金を無駄に引き込もうとすることを、ゲイツ氏は許さないのです。ベンチャーならもっと安く仕上げてくるでしょうからね(ベンチャーからの提案だったら、中止にならなかった可能性がある)。とにかく最近の米国巨大メーカーは、兵器の開発期間をわざと引き延ばして開発費を余計に取るだとかの狡智が発達し過ぎています。

 ちなみに、大型の無人輸送機械(ロボット・トラック)の方は、着々と計画進行中です。
 今後、小型無人輸送機械の市場を狙いたい企業は、『もはやSFではない無人機とロボット兵器』の184ページの図版をご覧下さい。これがアフガニスタンの最前線の需要に応ずるメーカーとしての正しい回答になるでしょう。
 ……あ、日本企業は輸出ができないのか。残念でした。

 次にファイアスカウトですが、これはコストパフォーマンス比が冷静に検討されたと思います。陸軍が使う軽量UAVは、落下傘で回収すればよいのです。回転翼機では燃費が悪すぎ、滞空時間、進出距離、監視高度、整備性、静粛性(ステルス性)、重大事故回避性能のすべてにおいてメリットがないのでしょう。
 ただし、パラシュート回収などしたくない海軍とコーストガードは、ひきつづき、ファイアスカウトのような無人ヘリを検討し続けるしかないでしょう。

 ところで、独自開発の類似品を陸自の砲兵隊のために納入している富士重工は、このニュースをどううけとめているでしょうか? 『三木内閣の武器全面禁輸方針がなければ、ワシらがとうの昔に安く売り込んでいたものを……』と悔しがっているでしょうか?

 日本が武器を輸出できない理由は、マック偽憲法にあります。マック偽憲法は、前文で、〈すべての外国人を信じよう〉と呼号しています。つまり、北鮮やシナやイランから「兵器(になる民生品)を輸入したい」と言われたら、その善意を疑うことなく、輸出してやらるねばなりません。世界中に、生物兵器の撒布できる無人ヘリや核関連技術をどんどん輸出してよいとするのが、偉大な「マック偽憲法」なのです。
 アメリカ政府は、それについて「ふざけるな」と言ったわけです(日本はインドネシアに東大=文部省の弾道弾技術を輸出しようとした前科があり、もし田中内閣が継続していたなら、中共に何を売ったか分かりません)。キツい指導を受けた三木内閣は、あらゆる兵器技術の輸出を一律に禁止するしかありませんでした。「なにが良くて、なにが悪いのか」という判断が、マック偽憲法下では、誰にも不可能なのです(これを故・宮澤喜一氏は、日本の憲法は「アモラル」な、つまり道徳的とも不道徳的ともわからぬ外交を強いるもの、と外務省内で表現したと聞いています。たしか片岡先生がそんなことを書いておられた)。まあ、たいへんなKEMPHOもあったものです。

 「国防の倫理」が存在しない国民には、「正しい外交」も「正しい武器輸出」も、判断など不可能です。つまり日本人は、マック偽憲法の無効を自主的に宣言しないがゆえに、いつまでも、世界の「禁治産者」であり続けます。世界平和に責任を有するアメリカ政府としては、日本の武器輸出をとりあえず全面禁止させるのは当然でした。

 こんな「アモラル」状態をなんとかしようと願ったのがJSEEOでしたが、財政的な理由から、活動を拡大するどころか、ますます逼塞中です。残念です。

 アドバイスがあります。やる気のある若い技術者は、日本企業になんか就職しないで、海外のベンチャーに就職して、そこですぐれた兵器を開発してください。それが世界のためになるでしょう。

「かけ声」に実質が伴う米国の「脱石油」疾走っぷり。凄す。

 Christopher P. Cavas 記者が米海軍長官(文民)の Ray Mabus 氏にインタビューした2010-1-11付記事。
 メイバス氏は元海軍将校で、ミシシッピ州知事となり、サウジアラビア大使も勤めた。
 氏いわく。社会的に不安定な海外から化石燃料を輸入するのでは、アメリカの戦争遂行能力は阻害される。だから海軍は、「脱〈化石燃料〉」する。
 戦略的には、燃料の海外依存を減らすほど軍事行動は邪魔されない。
 戦術的には、その遠征軍部隊の所在において調達できる燃料で動けるようにするのがいちばん安上がりになる。特に海兵隊。

 2020までに、海軍の艦艇と飛行機は、化石燃料への依存度を半分にする。
 その途中の道程として、2016には、化石燃料を一滴も使わない空母部隊をつくりあげる。艦上機も、化石燃料を使わない。
 ※これは大胆だ。以前のハナシでは、バイオ燃料と化石燃料(フネ用にはF-76軽油、飛行機用にはJP-5灯油)を、「ブレンドする」のだということだったのに……。また「原油」といわずに「化石燃料」と言う以上、天然ガスの石油化や、オイルシェールにももう頼らないということだな。すごい宣言だが、じつは長官は本当はまじめにこの計画を考えておらず、それゆえに、うっかり失言したのかもしれない。本当は全艦の核動力化を狙っている可能性があります。記者もそこをしつこくつっこんでいる。

 米海軍と海兵隊の陸上業務用に全世界で5万両の非戦闘用車両が走り回っており、これは5年ごとに新車と更新しなければならない。その買い替え時に、エンジンの多燃料化、ハイブリッド化、電気化を推進して行き、いまから5年で、これら車両の化石燃料依存も半分に減らす。
 ※こういう話に興味のある人は『もはやSFではない無人機とロボット兵器』をお読みください。

 バイオ燃料には2つの壁がある。コストとインフラだ。しかし歴史は教えている。デマンドがあるなら、コストは結局下がるし、インフラも整うものなのだ。

 バイオ燃料には、セルロース原料のエタノール〔すなわちトウモロコシを無駄にしていませんよと強調したいのだろうが、スイッチグラスや廃材木だけで採算に乗るわけはない〕、および、海藻原料のものがある〔こちらはおそらくソラザイム社のプラント・プロジェクトのことを指しており、軽油にも灯油にも加工できるらしい。よって長官は「バイオディーゼル」という言葉は使わないのだろう〕。

 ※ここで言及されています「海藻」は、海草のホンダワラとは違います。海水中の微生物です。ホンダワラは、セルロース原料としてエタノールをつくろうとしたものです。エタノール路線は、ブッシュ(子)大統領時代の2008に挫折が確定しました。オバマ政権は、「バイオ軽油/バイオ灯油」路線にチェンジしたのです。それは、ガソリンエンジンしか製作のできない「ビッグ3」は、もう置き去りにして、米軍とともに未来へ進もうという意味でもあります。

 化石燃料にしても代替燃料にしても、1ガロン150ドルにもなっちまえば、原子力艦が欲しくなるだろう。現在の油価なら、『マキンアイランド』のようなハイブリッド省エネ艦で対応できる。

 対テロ戦争や小さな戦争のために、巨大空母が必要なのかという納税者の問いに対しては、グローバル・プレゼンスのために必要だと答える。海兵隊もだ。そして空母はフレキシブルなプラットフォームだから、非対称戦争にも使えるし、災害救助や人道支援にも役立つのだ。
 アフガンの上空には、空母から降りた海軍機もたくさん飛んでるんだ。

 ※こういう話に興味のある人は、次回作の『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』を是非お読みください。メトロポリタン・プレスから3月発売だそうです。わたしは、米海軍の本当の狙いは、全艦の核動力化だと思っています。

 それとカリフォルニアの地震で、停電が1日以上続いたという怖いニュースがありましたけど、「クライメイト・チェンジ」がホンモノなら、これは対岸の火事じゃありませんよ。もし、厳冬期の北海道で、地震や、かつてない豪雪や猛吹雪のために、停電が1日以上続くようなことになったら、どうなるでしょうか? 今じゃ、家庭のボイラーや石油ヒーターの99%は、電灯線に接続しないとまったく機能しないタイプになってしまっているでしょう。ガスレンジの無い世帯では、あるいは、凍死者が出かねません。
 熱電対によって起電してファンを回す、自家熱発電式回路を、メーカーは来シーズンまでに造るべきです。また、各家庭は、バックアップ用に、ファン式ではない石油ストーブを1個、備えるべきです。(ほんとうは火鉢と煉炭でも良いのだが、最近は、店頭じゃとても買い難いからな……。)

 次。barbara opall-rome記者による2010-1-11付記事「A Cannon 'Stun Gun'  Israeli Device Harnesses Shock Waves for Homeland Defense」。
 農業機器メーカーが、畑の鳥脅し用の道具を考えていたら、連続衝撃派で人も殺せる兵器ができちまったぜ。
 LPガスや調理用ガスを空気と混ぜて、毎分60発~100発、爆発させる。そこで発生した衝撃波を指向する。1回の衝撃波の持続は300ミリセコンド。1秒で2000m先に届く。ただしその距離では人畜無害。
 25ドルで市販されている12kg入りのLPガス・ボンベによって、5000発の衝撃波を連続発生可能。
 5インチ口径の砲身だと、対人鎮圧用の有効射程は30~50m。
 口径を大きくすれば、射程は 70 ~ 100mに伸びる。
 問題は、10m以内では致命的な威力があること。
 30m以遠なら、人に後遺症は残らないという。
 この衝撃波は壁を廻りこむことができる。

 ※多言を費やしイスラエル商品を宣伝している記事ですが、けっきょく、対ライオットの実用には道が遠いということですね。「スタンガン」というタイトル中の文句は、真実を誤解させます。

どの国でも最高に合理的な判断は暗闇で決められる。

 Bruce Mulliken 氏が Green Energy News に寄稿している2010-1-10付の「CARS: A LOVE AFFAIR LOST?」という記事。
 ――米国内を走る自動車の台数が2009には2%減少した。2020までには10%減るかもしれない。
 若い人が、その両親の世代ほどには自動車所有にこだわらなくなったためだ。ケータイ通信機器の方が面白いからだ。
 このさい、地域コミュニティは、電気式の低速(時速25マイル)自動車を増やそうじゃないか――。

 次。退役少将の ROBERT H. SCALES 氏による「A vehicle for modern times  What the next combat vehicle should look like」という記事。
 ――アフガンという新戦場で8年苦闘しているのに、その間に新しい車両としてはMine Resistant Armor Protected vehicle (MRAP)のみというのは情けない。だが、いよいよGCVが出来てきた。
 こいつはとても静かなので、深夜、ゲリラのアジトの門前まで、兵隊は乗車したまんまで乗り付けられるんだ。余計な火力や重装甲を考えず、兵員輸送に特化・限定してある。
 戦場調査の結果、戦闘中、歩兵は、自己体重の1/3までしか重量負担は持続できないことがはっきりした。つまり40ポンドが限度なのだ。ボディアーマーを着たらもうそれで限界に近い。
 そこに武器・弾薬・食糧・水〔加えて暗視装置と通信装置と12ボルトの電池〕を加えると、兵隊の体重の半分にもなっちまう。
 アフガンでは死傷者はすべて道路から500m以内で発生している。だから新車両はオフロードを時速70kmで動けなくてはいけない。粗末な橋も渡れなくてはいけない。
 将軍のための贅沢な無線環境など願うな。兵隊が隣の兵隊と無線で常につながっていること、これだけを考えろ。トウィッターの兵隊版をかなえろ――。

 次。Bryant Jordan氏が、イスラエルねたがよく紹介される(つまり事実上その宣伝機関の片棒担ぎかもしれない)Military.com に寄稿している2010-1-8付の「Arab Nation May be Going Nuclear」という記事。
 ――アラブ側(イラン以外)で核獲得の動きがある。
 どことは言わないが2007に施設を爆砕してやったシリアかもしれない。
 イスラエルが持っている核弾頭数は100~400発。
 サウジがパキスタンと商議中だ。買おうとしている。中距離弾道弾ごと――。
 そしてこの記事に対する読者のコメント欄が興味深い。〈そりゃいい。中東のすべての国家に核武装させて互いに確証自滅させろや。米軍とNATOはあんなとこからはサッサと撤収汁〉といったものが目立っています。偽らざる大衆の声でしょう。

 ところで「ユダヤ人は頭が良い」といわれるが、「国家イスラエル」の現状は、一つの「失敗国家」のサンプルではないのか。彼らも、まさかこんな陰気な未来が待っていようとは、予測はできなかったのだ。欧米の大都市で暮らしているユダヤ教徒は、国境外のゲリラが発射するロケット弾がいつ降ってくるか分からない、やたら重武装だが息抜きの暇もない今のイスラエルに移住したいとは、誰も思っていないだろう。武器製造が主な輸出産業で、米国の支援がなかったらとっくに財政的にも軍事的にも破綻しているに違いない、展望の開けぬ国となってしまった。

 次。アジアン・ディフェンスに2010-1-7付で掲載されている Jung Sung-ki 氏の「South Korea to Transfer UAV, Missile Technologies to UAE」という記事。
 ――EMP爆弾を韓国企業がUAEのためにつくってやる。
 そしてまた韓国はリビアにも無人機を売るつもりだが、地上管制システムはイスラエルから貰った技術だからこれは問題になる。
 韓国の射程1000kmの巡航ミサイルは2009から実戦配備されている――。

 他のニュースで、サウジとUAEが米国にC-17を買いたいと要求中だと報道されています。シーア派イランの核武装が迫る中、スンニ派の彼らは対抗してパキから核弾頭を買うための準備をしているのでしょうね。核弾頭が入手できない場合は、韓国その他からせめてその代わりになるような弾頭や巡航ミサイルを調達したいのでしょう。場合によってはC-17を爆撃任務に使うつもりでしょう。パキスタンがC-130でインドを核爆撃するつもりであったようにね。

 さーて今度はJSEEO設立大会の宣伝だ。
 イヌの行動は面白い。
 利用方法について熟知しているものは、独占しようとする。骨を地中に埋めたりしてね。
 独占や特権への欲望は、その個体を進化させる。だが、その集団や社会をサバイバルさせるかどうかは分からない。
 イヌは何万年もサバイバルしてきた。その秘訣は、独占欲とは別なビヘイビアにあったのかもしれない。
 イヌは、利用方法が分からない新奇な情報に接したとき、それを、己れだけの経験としてそのままに抱え込んだり、放置したりしないんだ。
 かならず、己れの体表の毛皮にそのニオイを擦りつけ、すぐに仲間の元へ走って行き、そのニオイ情報を仲間全員に伝示せんとするのだ。たとい、鎖でつながれていたとしても、この「擦りつけ」の本能は停止しない。
 これが社会集団動物の態度だ。
 人間は、自然状態でイヌが昔からやっていたことを、つい最近、ようやく、インターネットへのアップロードで実現できるようになった。

 戦前の日本の痛恨事は、海外情報のストレートな事実報道が、ナチのエージェント化した内務省の検閲によって、一般有権者から遮断されていたことだ。
 いま、われわれは、インターネットのおかげで、海外情報から遮断されていない。ありがたいことだ。意志さえあれば、海外でも有閑識字層でなくば読みはしないような高等解説や専門的ニュースに、わたしたちは直接にアクセスできる。
 それだけではない。それを、一文にもならぬのに抄訳して日本語でアップロードしてくれるイヌくんたちが増えている。彼らは、その新情報を、日本の非専門人たちに、日本語で紹介せずにいられないのだ。これは、正しいことであり、良いことである。
 左翼バイアスのかかった「紹介屋」も混じる。けれども、彼らは情報ソースを独占できない。
 翻訳が皮相的だったり、日本文が要領を得ていない人もいるだろう。だがおおぜいの目がそれを規正するだろう。
 つまり、若い元気なイヌが増えれば増えるほど、日本社会にはプラスだ。

 こうした人間の本能は、放っておいても止まるまい。できれば加速してやりたい。が、その仕事はシンクタンクなどよりもしろ、携帯会社かグーグル社が向いていよう。

 わたしは日本で「シンクタンク」と聞くとどうしても冷笑を禁じ得ない。海外事情のストレートな伝達さえ不自由な日本社会にまず必要なのは、「抄訳家」「旅行家」とインターネット(というバーチャル図書館)環境なのだ。「シンクタンク」などその先に考えたら良いことじゃないか。殊に軍事系に於いて然り。

 敵側の計算や調査の裏を掻くから侵略は成功する。とすれば、裏を掻かれないために必要なのは、計算や調査ではない。視野狭窄の、情報公開や情報共有を嫌う御役所を真似したシンクタンクのような組織ではない。
 そうではなく、同胞の誰も気がつかない盲点に気づく個人、これが一人でも二人でも、増え続けることが肝腎なのだ。その個人は、随意・随時に、気づいたことをバーチャル放送局で社会に警告し、さらにバーチャル図書館に永久にテキストをストアして、後年、いつでも誰でも検索すればアクセス可能な状態としておくことである。この警戒情報共有環境さえあれば、軍事系シンクタンクなど要らない。少なくとも日本ではずっと役に立ってくれるだろう。

 それでわたしは最初から「インターネット・ラジオをやる」と『正論』に書いている。これは個人が自宅では難しいので、仲間と場所とが必要なのだ。だからJSEEOの誘いに乗った。できるだけこれに労働時間の多くを投入できれば幸いだと思っている。
 しかしJSEEOの現事務局は、ラジオ事業にはほとんど関心がないようだ。ラジオ事業の娯楽に期待して喜捨をしてくださっている支援者の皆様には、じつに申し訳ない話だ。まるで「やるやる詐欺」になってしまうではないか。しょうがないのでわたしは、まったく別に仲間を探さねばならず、実験放送を始められそうなのはこの春以降になるだろう。
 ラジオ講演が可能ならば、生講演は必要ないわけである。わたしはそれこそが理想だと思う。マイクの前でテキストを読み上げれば、ヨリ正確さを期せる情報を、あちこちでウロ覚えで間違えながら話すくらい馬鹿々々しいことがあろうか? しかし生講演をやらないとすると入場料が入らずビジネスにならないと事務局では考えているのかもしれない。
 まあ、たとい同床異夢でも、組織には個人にできないことを実現するポテンシャルがあるだろう。そこが組織の面白いところじゃないか。2月6日の「シンポジウム」(って何ですか? ソクラテス/プラトンの饗宴と同じもの?)では、ラジオでは演出できない面白さをご期待ください。

 よく「私塾をつくって教えたらどうか」と言う人がいるが、それは「読書余論」ですでに100%実現しているものだ。これ以上の軍学塾などわたしには考えられません。わたしが「軍事系シンクタンク」を冷笑する理由が分からない人は、「読書余論」のどこに価値があるのかも分からないのだろう。それで構わない。人がある価値にいつ気づくかは、「予定」されているのだ、としか思えないので……。


▼「日本安全保障倫理啓発機構 設立記念シンポジウム」
  2010年2月6日(土曜日)13時30分 開会
   (受付開始は午後1時、終了予定は午後4時半)
     場所:星陵会館 2階/大ホール 
        東京都千代田区永田町2-16-2
        地下鉄の「永田町」駅6番出口から徒歩3分
  参加費:3000円。

  17時から、懇親会(星陵会館4階シーボニア)
  参加費:7000円。

 詳しくは、日本安全保障倫理啓発機構のホームページ(URLhttp://www.jseeo.com)でご確認ください。そこに「申込フォーム」もあります。
 FAX:03-3557-1651 でも受け付けています。

人工衛星の「多機能」時代の終わり。

 Graham Warwick氏の2010-1-7付け「Darpa Pursues On-Orbit Networking」という記事。以下、例によって抜き書きとコメント(※)。

 DARPAが、人工衛星の「スウォーム」運用を企画中。LEO軌道の複数の衛星からなる群れが、信号処理、データ蓄積、通信リレー、航法を、分担/共有/協働する。

 たとえば1基の衛星の内臓する天測(地平線および顕著な星座の見える角度から自機の姿勢を認識する)機能が故障してしまったとき、隣の機がその機能を肩代わりしてやればよい。※つまり自機を隣から客観視せしめるということか。

 インターネット式の、パケット切り替えスイッチソフトをつくれば、各衛星が、リアルタイムで互いの機能を利用できるようになる。※その代わり各機は相互に見通し通信ができる位置関係に密集している必要があるだろうな。

 スウォーム構成グループの各衛星の間隔は、数キロメートルである。この間隔は厳密に揃えたり整列させる必要はない。ゆるい集合で、LEOをテキトーに周回していればよい。
 尤も、必ず、静止軌道の衛星とも、通信リンクをとっている必要はある。ただしそっちのリンクは対地リンクとは違い、Xバンドよりも低い周波数を使ってかまわない。

 ひとつの衛星に多機能を盛り込む時代は古い。単機能衛星をどしどし打ち上げて、軌道上で協働させればよいのだ。そうすれば各機能のアップデートも簡単になる。代替機をすぐ打ち上げればよいから。
 ※単機に対して多量の軌道維持用燃料を付与してやることもできるな。そしてさらに将来は、その余った燃料の相互融通も、自動ランデブーで可能になるじゃないか!

 デブリや敵のASATを回避するために我が衛星クラスターを散開させたり再密集させたりする、しかも互いに衝突させぬ技法を、これから完成せねばならない。

 ※「1発入魂」スタイルの日本の宇宙開発では、もう永久に追いつけなくなる。北海道東部の大樹町に新射場をつくったらどうだ? そしてまた、衛星相互で使われるシステムなら、飛行機相互でも使われますよ。

 目を醒ましたい人は、『もはやSFではない無人機とロボット兵器』および『「自衛隊」無人化計画』を買って読みましょう。あと、3月に出る1冊で〈将来戦場技術“三部作”〉が完結します。

 ところで古本を読んで目から鱗が落ちるという体験は滅多に味わえないものだが、昨年末に取り寄せた渡辺銕蔵氏著『反戦反共四十年』(S31)には久々にそれを味わったぜ! 今日ほとんど「ネオ皇道派」と堕しているネット右翼や転びサヨクがよく騒ぐ「コミンテルン」云々の前に、戦前の内務省が1930'sはじめからすっかりナチの間接侵略工作にやられてナチ・エージェント化していたのだ。ゾルゲはオットーという最兇ウィルスに便乗した「小者DNA」にすぎない。だったらGHQが内務省を目の仇にしたのは当たり前だろうね。明治日本は文字通りドイツによって滅ぼされたと言えます。
 渡辺銕蔵はドイツに留学した人だがWWI前のドイツの農業統計がぜんぶデタラメで英米統計の方が信用できたということを身を以って痛感して、早々と覚醒し、諸強国の実力を日本人に知らせる運動を戦中まで続けた人です。

 1939春に、イギリス指導部は、どうしてポーランドとルーマニアを、ドイツと戦争してでも絶対にナチに渡すことはできないと内外に言明しているのか? ガリシアとルーマニアには油田があったからです。スターリンは、イギリス人のこの考え方がよくわかっていたから、大胆にヒトラーに便乗してガリシアを占領してしまった。そのソ連に、イギリスは文句をつけず、ドイツにだけ、宣戦布告をした。
 ……と、こんな構図も、本書によって初めて認識することができましたわい。

 日本本土内に有望な油田がなかったということが、じつはどれほど明治以後の日本人にとって幸運だったのか、考え直さないといけません。

日本は「無人機テスト艦」(という名の空母)をつくれ。

 アジアン・ディフェンスに転載されている、Nan Li and Christopher Weuve両氏による、『Naval War College Review』( Winter 2010, Vol. 63, No. 1)誌への寄稿論文「 CHINA’S AIRCRAFT CARRIER AMBITIONS」。
 以下、興味をもった部分のみ、摘録する。

 空母には4タイプがある。
 まず、米空母式は “catapult-assisted takeoff but arrested recovery” (CATOBAR) design である。

 次に、ロシアの Kuznetsov 級は、スキージャンプ式短距離発艦、そして拘束着艦である。
  STOBAR design のメリットは、スチーム・カタパルト用の水や燃料の貯蔵スペースを減らせること、スチーム・カタパルトのためのエネルギー分配が必要ないので、機関で発生したエネルギーを全部フネの高速航走のために注ぎ込めること、そして、カタパルト関係のシステム故障の心配をしなくて良いこと、である。
しかし、米軍のような重い飛行機は運用できない。
 このクラスの1艦である『Varyag』は、スチーム・タービンで32ノット出せるフネだったが、シナに売られたときにはその機関が外されていたという。

 次が、短距離発艦、垂直着艦。“short takeoff vertical landing” (STOVL)
 これを採用するのは、スペインの空母と、英国の new Queen Elizabeth級。発艦のためには高速で航走する必要あり。向かい風を得るため。

 最後の型が、“vertical takeoff and landing” (VTOL) である。スキージャンプ台は必要ないし、母艦が高速航走する必要もない。

 能力ある飛行機を発進させたくば、catapults と arrested recoveryも強化しなくてはならない。
 母艦が高速であるほど、また、フライトデッキが広いほど、能力を発揮できる。
 空母用カタパルト装置は巨大かつ重いので、船体建造のかなり早い段階で組みつけなければならない。

 シナはロシアから Ka-31 AEW helicopters を買うかもしれない。これは2~3時間滞空し、敵の水上艦を 150km で探知し、敵の巡航ミサイルを 100~150kmで探知してくれる。
 フランスのヘリコプターの模倣である Z-8 を改造する可能性もあろう。

 しかし米空母の固定翼機である E-2C は、水上艦なら741km 、航空機なら 556km、巡航ミサイルなら 270km で探知でき、しかも母艦から180~200km も離れたところで哨戒ができるのだ。これは対艦ミサイルの射程より遠い。

 An aircraft carrier is not a solo-deploying ship.
 特にASWをどうするつもりなのか、まったく謎である。
 単にシンボルにするもつりなのか?
 China attaches great symbolic value to a Chinese aircraft carrier as physical evidence of the nation’s coming of age as a great naval power.

 ――以上が摘録。
 以下、余談。
 この論文が触れていないことがある。シナはフランスからスチーム・カタパルトの技術を受け取ろうとしている。そのフランスのスチーム・カタパルトの技術は、アメリカのお古である。そしてアメリカがフランスにその技術を売ったときには、アメリカ空母はさらに強力なスチーム・カタパルト・システムを完成していたのだ。
 カタパルトの能力は、投射できる飛行機の重量さもさることながら、投射間隔の短さもモノを言う。カタパルトが高性能ならば、短い時間に多数の重い航空機を敵に向けて、ただちに指向させ得るのだ(しかも離陸のために燃料を浪費しないのでますます作戦オプションが広がる)。しかしカタパルトの作動間隔が長ければ、在空の機数をそろえるのに時間を消費してしまう。カタパルトを1回動かすためには、厖大な蒸気が必要である。スチーム発生能力が甚大でなければ、カタパルトの作動間隔を短くすることはできない。つまり、原子力動力としないかぎり、シナには米空母に太刀打ちのしようはないのだ。

 理論的結論は何か。シナは必ず核動力の空母を造って来るだろう。中共中央幹部は工学系、それも原発の話が得意な連中が多いのだ。どうしてそれを試みさせないことがあろうか?

 核動力のメリットは、電力発生にも余裕のあることである。スチーム・カタパルトの次に来るといわれているリニアモーター方式のカタパルトは、大電力を必要とする。空母を核動力にしないならば、将来、それを試してみることもできないのだ。

 ところで日本はシナにつきあって正規空母など造る必要はない。しかし核動力艦は必要である。なぜなら、イランが核武装すれば、中東の大動乱により、「石油1リットル1万円」時代が来る。JP-5なら、その2倍になるだろう。
 軍艦から無人機を飛ばすためには、「フライトデッキ」を最上甲板に設ける必要がない。低層甲板からいきなり、斜め上へ向けたシャフト内をリニアモーターその他のアシストで加速させて数十Gで発進させてしまえば良いからだ。
 しかも無人機には「飛行訓練」も必要ない。JP-4が1リットル1万円となろうとも、それは実戦のときだけ使うためにとっておけばいいのだ。飛行訓練時間の抑制による航空戦力の実質低下は、無人機に関しては、なくなるのだ。

 ……と、こういう話に興味のある人は、『「自衛隊」無人化計画』と、『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』を買いましょう。

リーパー×2機のステレオ探知でDSPへキュー出し……という計画。

 2010-1-4付、Amy Butler 氏の「Missile Agency Refines Concepts For UAS」という記事。
 米ミサイル防衛庁は、中高度無人機のリーパーに赤外線センサーを搭載し、敵国の弾道弾発射をDSPよりも早く探知する方針。

 2009-3-26のステラダガー演習。このとき海軍と空軍が、UAVのリーパーを1機づつ飛ばした。そのUAVが、陸上競技場のトラックのパターンで旋回を続け、355~432km離れたところから、短距離SSMの発射を、遠赤でも近赤でもない赤外線センサー(MTS-B medium-wave infrared sensor)によっていちはやく捕え、キュー出しし、軍艦がSM-2で迎撃できた。

 米国はこの早期警戒システムをどんどん実戦配備していくつもり。リーパーからDSP衛星や「Space-Based Infrared System High」衛星に対してキュー出しするのだ。

 ――以上が摘録です。
 みなさん、お手元の、『もはやSFではない無人機とロボット兵器』の81ページを見てください。そこに、なぜグローバルホーク級ではなくプレデター級の中高度UAVでなくば「対弾道弾の早期警戒」はできないのか、想像される理由を書いておきました。
 日本の防衛庁は、対弾道弾の赤外線探知用に「雲上偵察機」であるグローバルホーク級を単機で用いようとしました。これは結果として間違いでした。

 米国ミサイル防衛庁の計画では、今後は宇宙のDSPすら、「雲下偵察機」のIR警報システムからキューを受ける手順となるようです。

 わが防衛庁/省では、日本がとうぶんDSPなど持てそうにないので、雲上偵察の不利はわきまえつつ、グロホ級を考えてみたのでしょう。
 その発想は、当時としては、やむをえなかったと同情ができます。

 グローバルホーク級の無人機がもし、技本(もしくは無人機に活路を探す富士重工)の手で簡単に試作できるようなもので、しかももしも一発で成功してしまったなら……いずれ「エアボーンレーザー」のプラットフォームとして流用も可能で、それなりに意義は深かったでしょう。
 が、どっこい、高度2万mの薄すぎる大気中を悠々と飛べる飛行機を、日本の、今や国際基準では資本が弱小すぎる航空機メーカー群が、束になってかかっても、作り上げるのは無理だったのではないかな、と想像いたします。
 (日本のメーカーが高高度ISRで逆転ホームランを念願するなら、現実的方法は「飛行船」しかないでしょう。富士重工はそっちもやっているみたいですね。最終勝利を期待します。)

 米国がやるという「ステレオ探知」は、「スウォーム」(群知能)の発想につながるものです。(衛星でもステレオ運用をこれからは考えるらしい。)
 1機の搭載センサーが強力でなくとも、2機以上で連携運用することで、感度も精度も高い観測・偵知が可能になる、というのがスウォームの可能性でしょう。

 つまり軽量でも高性能を狙えるのです。軽量級ジェット・エンジンしか純国産できない日本にも、キャッチアップの目があるわけです。
 そこにどんな可能性があるのか?
 もっと知りたい人は、『「自衛隊」無人化計画』と、『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』を読みましょう!

◎読書余論 2010-1-25配信 の内容予告

 みなさま、新年おめでとう存じます。
 今年も50円節約のため虚礼廃止しております。 あけまして すすめ一億 火の車 /二十八。

▼旧参謀本部ed.『日露戦争 上・下』徳間文庫1994
 数字がギッシリの好資料。

▼田中角榮『日本列島改造論』S47-6
 今こそ読み直す価値あり。菅直人氏らの世代はみんな影響を受けている。

▼大原美芳『江川担庵の砲術』S62
 幕末砲の「斤」表示と実測寸法の関係表が貴重。

▼佐藤晃『帝国海軍「失敗」の研究』2000

▼塚本嘉一『石の匠――石都《岡崎》鑿の音』H10
 碾き臼はいつ、廃れたのか。

▼後藤茂樹ed.『沖縄/日本の島 新編 日本の旅 15』S46
 「琉球という名は対明(対中国)貿易で明国がつけたもので、日本をジャパンとよぶように他称である」

▼渡邉行男『重光 葵』1996

▼静岡新聞社ed.『大空襲 郷土燃ゆ』S50

▼泉三郎『堂々たる日本人』H8
 日本は西欧には四十年遅れているだけだ、という錯覚の言い始めは、久米邦武だった。

▼小室直樹『世紀末・戦争の構造』1997
 福音書には、禁止は一言も述べられていない。戒律や規範とは無縁なのだ。

▼植木直一郎ed.『武士道全書 第八巻』S18-1
 特に「細川幽齋覺書」は必読だ。

▼伊野辺茂雄ed.『武士道全書 第九巻』S17-12
 「常山紀談」を収める。

▼佐伯有義ed.『武士道全書 第六巻』S17-11
 「葉隠」が抄録として入っている。

▼植木直一郎ed.『武士道全書 第五巻』S17-10
 大弐の「柳子新論」、子平の「学則」などを載せる。

▼山鹿素行『兵法神武 雄備集 武備之巻』

▼古関彰一『基地百里――開拓農民と百里基地闘争』1977
 M40に百里を開墾。

▼八木下禎治『歌集 基地立川』S50

▼鬼生田[おにうだ]貞雄『基地九十九里』S28-5

▼神奈川県渉外部基地対策課『神奈川の米軍基地』S63-3

▼助川史談会pub.『水戸藩の海防と山野辺義觀』S13-5

▼東京都総務局基地返還対策室『都内米軍基地資料』S49-9

▼『古代学研究』1994-12所収・熊海堂「中国古代瓦・煉瓦を焼く窯炉とその技術の朝鮮・日本への伝播」

▼(財)日本建築防災協会『建築防災』1999-5
 土蔵による防火の歴史。

▼立命館大学日本文学会『論究日本文學』1998-5所収、山本淳「『異本義経記』の川越氏――義経兵法の系譜(一)」

▼大阪市史編纂所ed.『大阪市史料第四輯』小山仁示「太平洋戦争下の防空資料――小松警部補の書類綴から」
 S19~20のナマ史料である。

▼米本悦三郎『芸術政治と軍学』大3-12
 ※米本悦三郎の一人雑誌「馬上大学」NeO SERRIES SPHINX's No.2 無星神叢書第二編……とも書いてある。

▼小島彌三郎ed.『兵法秘術要義』S8-6

▼『偕行社記事』No.726(S10-3月号)所収・横田穣 砲兵少佐著「旅順攻撃に二十八珊知榴弾砲据付工事の思出」

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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

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