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■「政府ごっこ」の気は済んだかい?

 14日、チャンネル桜の3時間討論の収録前に、渋谷の「電力館」でヒマ潰ししようと思ったら、閉まっていてガックリ。リニューアルが延期された模様だ。
 たぶん、展示・表示内容は、劇的に変更するしかないであろう、電力館も。

 それで、しょうがなく、集合時間より1時間も早くスタジオ下の待機室に行ってお茶をすすっていたところ、元原研理事長の斉藤さん、元原燃社長の竹内さん、元日立〔だったかな?〕の林さんがおそろいでお見えになったので、わたしは本番前にいくつかの質問をすることができたのは大収穫であった。

 3時間番組の内容は、土曜日の放送らしいから、興味ある人は御覧ください。ちなみに最初の60分間、わたしには発言のチャンスが一度もなかったので、録画で視聴しようという方は、開始後、2時間目以降から、特にご注目だ。

 早めにご報告をしなければならないことがある。わたしはこの日を境に、商用大規模原発の増設には賛成しないことを決めた。工事が進んでいる大間原発については、これから述べるようなオレの提案を電源開発さんがまじめに検討してくれるかどうかで態度を決めることとしよう。

 さきほど帰宅したばかりで、あまり整理もできてないが、縷々、説明しよう。

 日本人には、「エネルギー安全保障」が必要である。
 安くて豊富な電力なしでは、京浜地区の製造業は潰滅する。それは全日本人の権力(飢餓と不慮死の可能性からの遠さ)を減らすことにつながる。きちがい揃いの隣国から、自国を防衛することもできなくなってしまうのだ。

 人々の生活も、安楽にならない。特に光熱費を第二のエンゲル係数とみなす他ない北国では、火力発電にシフトして化石燃料の取引価格が高騰すれば、ダイレクトに貧窮化が進むだろう。

 日本の火力発電の臨時増強がなされる上に、シナ・印度の経済成長=エネルギー需要増は止まらず、中東動乱は長期的に終息せず、既知の油井は枯渇し、新規の採掘コストは漸増する。石油も天然ガスもじりじりと値上がりするはずだ。

 したがって国内の商用原発の一斉シャットダウンは、民を安んずる所以[ゆえん]ではない。
 では商用原発は安全かというと、この神話は2011-3-12を以って完全に崩れた。

 〈原発は、その原理から言って、原爆よりもコントロールし難くて危険〉という話を、オレはデビュー当時から活字にしてきている。しかし一方でオレはメーカーの説明も信じてきた。つまり、アメリカ発のコンセプトである軽水炉(核兵器用のプルトニウムを取り出せないというのがウリ)は、圧力容器と格納容器がものすごく頑丈なので、たといジャンボ・ジェットが墜落して激突したとしても、放射能災害だけは起こしませんよ、という説明だ。

 ところが、使用済み燃料の貯蔵プールは、格納容器の内側ではなく、建屋の天井裏に、蓋もなく、置かれていたのだ。すべて。建屋の壁や天井は、ペラペラであり、小型機が低速で突っ込んでも穴が開くだろう。

 ということは、シナ軍および韓国軍は、それぞれすでに実用化している長射程の巡航ミサイル〔弾頭は核弾頭ではなく、通常の軍用爆薬にすぎない。番組中、竹内氏はこれを誤解していたようだ〕を日本海の潜水艦から発射するだけで、太平洋岸の日本の原発の建屋を横から直撃して、使用済み燃料を爆発によって飛散せしめることも可能である。バラバラになって地面に落下した使用済み燃料からは「沃素131」が煙とともに立ち昇る。これで、現場近くには、しばらくは、誰も人が近寄れなくなってしまう。住民のうち40歳未満の人は、ただちにできるだけ遠くへ避難しなければならなくなる。日本の太平洋岸から人がいなくなってしまうだろう。

 日本海側に面して立っている軽水炉となれば、もっとヤバい。北鮮は巡航ミサイルを持っていないが、短射程の対艦戦術ミサイル(もちろん非核弾頭である)を多数、保有している。その弾頭の破壊力は、巡航ミサイルに劣らない。建屋にはかんたんに孔が開き、貯蔵プールを直撃すれば、使用済み燃料棒はバラバラに飛散するだろう。

 さらに、最近は巡航ミサイルの飛翔速度が超音速化する傾向にある。トマホーク級の巡航ミサイルの飛翔速度は、ジャンボジェットと略同じだった。したがってジャンボジェットよりも衝突時の運動エネルギーは小さい。しかし、これが超音速化すれば、衝突時の運動エネルギーは速度の二乗に比例して効いてくるから、ジャンボジェットに対しては安全であった格納容器や圧力容器が、損傷させられる可能性も出てくる。ヒビが入っただけでも、その原発は商用運転を続けられないであろう。

 米国はスリーマイル島の事故いらい新規原発を建設していないようだが、9.11の教訓から、この使用済み燃料貯蔵プールを、格納容器の内側の、しかも低いところに移すべきだと考えているようだ。最悪事態を想像しているのだ。

 しかるに日本で「第三世代原発」と呼ばれる最新鋭の改良型沸騰水式の大間原発でもこの配意はない。柏崎から進歩してないのだ。討論会に出ていらした菊池さんのお話によると、貯蔵プールの位置を半地下にした場合、クレーンではなくシューターを使って燃料棒を、圧力容器内から貯蔵プールへと移すことになるが、そのシューターの途中で万一、燃料棒がひっかかってしまったら、どうするかという難問が想像され、けっきょく貯蔵プールは高い位置にするしかなかったのだ、という。

 だったら、貯蔵プールは「装甲」で多重に囲むしか手はないはずだ。しかるに、それを考えた者が、誰もいないらしい。わたしはこれにあきれ果てたわけです。北鮮ですら持っているありふれた対艦ミサイルで、建屋の上部が狙われた場合、こんどの福島第一の騒ぎと同じことが再現されるのですよ。それを誰も考えなかったのか。ダメだこの人たちは! 任しておけないわ。

 もっとおどろいたのは、軽水炉原発を地下式、あるいは半地下式にすることは、不可能ではなかったのだそうです。最初っから……。しかし、それをやると建設費がやたらに増えてしまうので、採用しないのだそうです。
 安全よりも経済性を優先して、危険を呼んでいいわけないでしょ?

 「多々ますます便ず」式の経済性を追求し、リアクターを四つも七つも並べるというレイアウトも、ダメだということが、今次の事故でわかりましたよね。
 なにしろ、1基から「放射性の煙」が出ただけで、附近一帯、人が近づけなくなってしまう。安全管理やバックアップをすべき立場の職員も、みんな一斉に職場放棄しなくちゃならないわけです。話にならない。

 リアクターを複数並べる原発は、3-12以後の日本では、もう計画なんて許されるものじゃない。
 ということは、大出力商用原発も、もはや計画は不可能である。単基、半地下式の小型原発の、コストとパフォーマンスを比較した経済性は、天然ガスを燃やすガスタービン火力発電所にくらべて、あるいは最新世代の石炭火力発電所にくらべて、歴然と、不利でしょう。

 わたしは例の田母神騒動の年いらい、「核武装論者」ではありません。あの田母神氏とその支持者の言動を見、日本人には「核抑止ゲーム」のような高度な近代的な政治芸術はとうてい不可能であったとわたしは悟ったからです。日本のインテリ民度が、近代政治の力量に著しく欠けているのだから誰にもどうしようもないでしょう。

 そして今回、わたしは原発推進論からも蝉脱しました。
 エリートだと思っていた原発一家は、じつは、あったりまえの「戦時」防護措置をあらかじめ考えておくという智恵も回らぬ、人民に対して甚だ無責任な連中だったのです。

 こうなってしまった謎は簡単で、レーニンが看破したように、電力は工業を支配するからです。蒸汽力ではなく、電気モーターで工場を動かすのが、近代強国です。
 そして支那事変以降、陸軍統制派(隠れマルキスト)の統制経済がすすめられ、日本国内の電力事業者は強制的に統合させられ、その体制が戦後まで継続し、京浜工業地帯の工場主の死命の権を東電一社が握るようになった。
 競争が働かないうえに誰からも逆らわれない絶対君主だものだから、じぶんたちがいちばん儲かる原発スキームをつくりあげ、みずから腐ったという次第なのです。

 地熱(温泉業者と利益が背反しない方法がある)とか、波力の開発に十分なおカネが回されなかったのは、素人目にはいかにも不思議です。歴代政府の、代替エネルギー開発戦略に、「ヘッジ」がなさすぎました。しかしこれも、種が明かされてしまえば単純な話で、東電や原発エリート一家が未来永劫、いちばん得をするスキームじゃないものは、その一家によって排除されたまでなのでしょう。原発こそが、彼らが得をする「マトリックス」だったのです。
 米国で石油業界が占めている「工業の王様」の地位を、日本では原発一家が占めんとした。しかしこのスキームも、もうおしまいです。

 こんご、許される原発研究は、ポータブルな超小型原発や、「固有安全性」を有する第四世代原発(斉藤さんによれば、今、カザフに建てているような高温ガス炉は、まだ「第四世代」とは呼べないのだそうです)の試験などに限定されるでしょう。第四世代原発ができるまでには30年はかかるでしょうが、用意周到な共同体にとっては30年などあっという間です。30年後にはシナ人とインド人の一人あたりの化石燃料消費量がいまの北米並になっているかもしれません。となるとガソリンなどはリッター1万円になっていてもおかしくありません。そのとき、わたしたちの子孫を極端に貧窮化させ、自存自衛もできなくさせてしまうのが面白くないと思うならば、第四世代原発の技術研究まで今からオプションから外してしまうのは、間違っているでしょう。

 これから3年間が、日本の人民にとっての苦難の日になります。
 というのは、50ヘルツ→60ヘルツ変換の設備の増強や、高圧直流送電ケーブルの新設は、お役所手続きに従ってやっていると、3年くらいかかってしまう。日本の内閣総理大臣にFDRのような指導力があれば2年以内の突貫工事だって可能ですが、いまの日本には「政府」すら存在しません。「政府ごっこ」があるだけなんだから。

 この3年の悪夢をすこしでも短縮する方法は、あります。「民活」です。
 東電以外の電力会社が、京浜地区の工場に対して、独自の給電ケーブルで、デュアル給電できるように、するだけでよいのです。
 関西電力や中部電力、北陸電力などにとっては、これは大いに儲かる話ですから、最大スピードでつくってしまいますよ。そこからは、健全な競争も、始まります。
 もちろん東電は百の屁理屈を掲げ、総力を挙げて反対するでしょうけどね。

 安い夜間電力を溜めておいて、昼間に使う方法も、いろいろあり得ますが、これまた歴代政府の「ヘッジ」がなさすぎて、すぐにモノになるかどうかはわからない。しかし、やるしかないでしょう。たとえばフライホイール。また、酸化還元物質の液体プールを地下につくって、それを「巨大バッテリー」にする方法も、外国で提案されています。
 こうして夜間に「蓄電」した電力を昼間、工場に対して自由に売ってよい、という「規制緩和」が必要です。それによってベンチャーの「蓄電屋」が簇生し、彼らがあっという真に京浜工業地帯の夏の電力問題を解決してくれますよ。

 京浜の大工場が、自前でコジェネ発電して、少し電力が余ってしまったのを、隣の工場に売る。こういう商売も、工場限定(つまり一般住宅は対象とさせない)で、どんどん許すことです。またそうした工場間の「売電」の斡旋をするベンチャー企業も、許すことです。

 そうした新商売は、民間工場も助けるし、日本政府には税収増になるし、景気はよくなるし、雇用は増え、よいことばかりです。
 天然ガスを燃やしてガスタービン発電してその電気を京浜の契約工場に売る、そういう商売も、東電以外の新規参入会社に対して、自由化してやることです。ミニ火力発電所を海上、つまり船や筏の上に置くことも自由化することです。それやこれやで、規制緩和をすすめたら、3年もせずに、日本の電力不足は解消してしまうでしょう。復興増税の必要はありません。

 石炭火力発電所も、できれば日本中に分散的に多数、建設する必要があります。天災や人災のリスクを抑制する最善の策は、あらかじめ、発電所を徹底的に分散しておくことだ、というのが今次の教訓ですから。もちろん京都議定書からは「一抜けた」。誰も文句はいわんでしょう。

 壊滅した東北地方の産業は、苫小牧に移すことです。人もいっしょに、です。すでに漁業者の一部は、道東に移転をはじめましたね。商売道具が漁船だから、なじみの寄港地に身を寄せやすいのです。農業だって工業だって、北海道には収容の余地がありますよ。

 1999のJOC臨界事故の直後につくられた、原発災害用というロボットに、放射線に強い「ガリウム砒素」チップを使っていないなんて、粗忽にも程がありますよね。これを発注し受領している諸機関にも、原発を扱う資格なんてないでしょう。
 また、ロボットの足回りが、「ガレキ」を克服できるものではなくて、ガレキが存在すると、もうそこから先へは進めない、というのも、お話になりません。つまり彼らは「テロ」を予想していなかった。終わってます。最初から終わってます。日本の原発専門家に、原発を運用する資格はなかったのです。

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「APC+ゾンデ」複数と、そこにつなげるコルゲート通路を急設しろ。

 「T-ホーク」なんていう失敗作が、建屋の壊れた炉の真上から墜落した日にゃ、目も当てられねぇことになるぜ。

 固定翼の無人機ならば、原発直撃の率は低いんだが、VTOL機にホバリングさせておいて、放射線でコントロールを失ったときがヤバすぎるって。周波数だって、日本の電波割り当てとバッティングしかねない。混信のおそれはないのかよ?

 どうせメーカーの売り込みなんだから、ほんらいなら謝絶してもよいレベルの話なのだが、今回ばかりは、日本側に何の装備も無いものだから、断りにくい。じつに情けない話だ。

 しかし、急いで次のことくらいはやれるだろう。
 気象庁のゾンデに各種の放射線センサーを搭載し、繋留気球に仕立てる。
 これを、CBR防護の万全な陸自のAPC/MICVから昇騰させる。

 この定点モニターを、原発の直近、数箇所で実施する。

 同時に、そのAPC/MICVの位置まで、コルゲート・メタルのかまぼこ型大型シェルターを自衛隊の施設科がつなげて行く。
 以って、少なくとも粉塵からは防護された交通路とす。(通行は簡易軌条+線路保守用ディーゼル車を使い、以って、砂塵の巻き上げを最小限に抑制する。もちろん水や廃油も撒く。)

 ゾンデ作業要員の交替は、この蒲鉾状トンネルを伝って行なわしめる。(APC内常駐は無用。)

 諸ケーブルも、このカマボコ通路の内側に通す。
 この地上トンネルは、当初は長さ1.5km、最終的には長さ5kmまで延伸す。

 73式APCは、このような任務のために使い捨てても可いのではないか?

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如何にせば京浜の工業地帯は本夏の電力不安から解き放たれ得る哉。

 東電もド腐れだが、この非常時に時を得顔の、昭和のアカ学生がそのまんまジジイになったようなキ印どもにこの日本国を「戦時統制経済化=旧ソ連化」させるわけにゃ~いかねぇ。(言っておくがオレは自民党支持者じゃねぇ。特に安倍&麻生のツラなんぞ1秒も見たくもねぇ。反吐が出るぜ。)

 東電管区内には日本最大の京浜の工場群がある。この工場がシーズン関係なしにフル稼働してくれなかったら、日本国民全員が不幸になっちまうんだ。アカどもには、この簡単な理屈も分からねえ。
 停電1回で失なわれるプロダクツ、それによって失なわれる市場、奪われちまう顧客のデカさが、――ひいては縮小する雇用と国内消費の深刻さが――、アカ共と、税金を使うことしか頭にねえ社会主義計画経済大好き利権虫共にゃあ、てんで分かってねえ。

 まず短期の解決策から書くとするぜ。
 東電の既得権を法的に剥ぎ取れ。

 たとえば中部電力や東北電力が、じかに、京浜の任意の工場(群)と契約して、直接に(つまり東電とは並行的且つ選択も随時自由に)、電力を給電する商売ができるように、古い規制をいっさい取っ払うんだ。

 必要な電線は、東電とは全く別個に独立して、中電や東北電力が専用線を敷設する。あくまで商売づくだからこれは早くできる。
 東京湾まで高圧直流海底ケーブルをもってきて、そこから岸壁(または桟橋)に繋留させた「変電&配電船」に接続し、そこから沿岸コンビナートの契約消費者(工場群)に給電するだけだ。

 エンドユーザーの工場は、東電からも、また他の電力会社からも、同時に電気を受け取れるようにする。そしてユーザーが任意に、電気を買う先を切り替えることもおかまいなしにするのよ。デュアル給電だ。

 この、「非東電」会社の電力を、右から左へ配給するだけの民間サービス会社の設立も自由化せよ。そうしないと変電施設から先の配電体制が、スピーディには整備されねえからだ。

 こうやるのがいちばん速い解決策だろう。こうやって民間パワーをフル解放してやれば、彼らが勝手にてめえのケツを拭く。この夏までに給電体制に不安もなくなるよ。意地でも民間はそのくらいやるもんだよ。東電とその周辺の利権奴隷が、アカ議員とつるんで邪魔をしなければな。

 電力コストは昨年よりかかるようになる。が、工場がブラックアウトしちまう最悪の事態だけは回避できるんだ。

 さらに必要な規制緩和があるだろう。
 電力は、この夏の東電管区内ですらも、夜間は余ることになる。
 この夜間電力を「蓄電」する方法がいろいろとあるんだ。

 バッテリー船に貯める方法。地下のフライホイールに貯める方法。どこかに揚水して位置エネルギーに変える方法、……等々。

 そうやって夜間に私企業が貯めた電力を、昼間、任意の工場や病院やホテルやオフィスビルなどに売ることを、やはり完全に自由化する。(個人住宅相手のサービスは、不慮の事故の扱いが面倒なので、完全には自由化しない。法人だけだ。)
 これも、エンドユーザーとの間に、配電だけを担当するサービス会社があれば、便利だ。だからそういう業者も自由化する。

 (夜間電力は、工場の屋根に散水するタンクに夜のうちに揚水しておいたり、夜のうちに冷蔵庫を動かして製氷しておくという方法でも、活用することができる。真夏のひるまの停電時には、その水や氷が、冷房の代用品となるだろう。)

 外国から、ガスタービン発電機等を私企業が買い、それを岸壁で艀の上に載せて運転し、コンビナートに給電することもできるはずだ。

 私企業が、こうした臨機の措置を自由にとることができないのは、日本には電力に関する余計な規制がありすぎるためなのである。
 支那事変中の「統制法」の精神が、官僚たちの頭の中に、いまもって継続しいるのだ。
 明治~大正時代には、もっと電力の製造や販売は自由であった(私企業が水力ダムを経営したりしていた)。

 日本の今日の電力は、少しも自由化されていない。だから東電も傲慢になって、すっかり腐り果てたという次第だ。

 電力を中小企業から買うことのリスクがよくわからない一般住宅の個人消費者は、電力情報弱者と考えておくべきで、官が法制で保護してやるのが善いが、工場や病院やホテルやオフィスビルは、電力情報強者と考えることができ、過保護の必要は無い。

 次に、中期的な「電力疎開」について提言する。
 京浜の工場のうち、疎開が可能なところは、北海道の苫小牧に移転せしめ、そこには東北から被災住民も移住させて、復興失業対策事業ともするべきだ。

 苫小牧には、広大な工場用地が造成されている。それは日本の景気が悪くなってしまったために、ほとんどサラ地のまま残されている。京浜の中小工場はいつでもそこへ移転できる。あわせて東北から移住した労働者のための住宅を建設するための用地も、いくらでもあるのだ。

 北海道電力の交流の周波数は50Hzで、京浜と同じ。工場の機械類を、そのまま使用可能だ。

 北海道は「伊達市」の名も残っているように、東北諸藩が開拓した土地であって、東北地方から人々が移住しても、違和感は少ないだろう。

 安い電力なしでは、日本の製造業は潰滅し、人々の生活も、安楽にならない。北国では灯油代は「第二の食費」と考えられるくらい、削減不能なものだが、こんどの地震のおかげで、この灯油は必然的に値上がりする。

 火力発電コストも、これから暴騰する。
 なぜなら、日本の火力発電所はフル運転しなければならなくなった。
 シナとインドの経済成長も止まらない。シナ人が韓国人なみに個人で石油を消費するようになれば、アジアにもうひとつの「アメリカ合衆国」ができたと同じくらい、エネルギーを消費するようになるのだ。
 中東動乱も、終わることはなさそうだ。
 既知の油井はピークアウトしており、新規の採掘コストは漸増せざるを得ない。
 つまり石油/天然ガス価格は、これから高騰する一方だ。
 それにつれて灯油も値上がりするので、北国住民の貧窮化が進んでしまう。
 京浜では、夏場と冬場に、いつ停電があるかわからないという。
 それでは工場経営者は萎縮し、経済は右肩下がりになる。
 安価な電力が供給されなければ、日本の輸出品には競争力がなくなる。
 それでは、日本国民も、幸せになれない。
 だから長期的には「第四世代」の原発が必要である。

 第四世代原発は、水を使わないので、「水洩れ事故」も「水枯れ事故」もあり得ない。
 冷却材のヘリウムガスは、放射能を帯びないので、万一、大気中にぶち撒かれても、誰も迷惑をしない。
 冷却ガスが間違ってぜんぶ抜けてしまっても、炉心は熔けない。これを「固有安全性」という。
 この第四世代原発は、海際に建てる必要がない。山の中の地下に据えることができる。
 カザフスタンには、その1号機が、日本の援助で建設中である。
 艀の上で運転させることだってできる。(ロシアは軽水炉を載せた艀を建造中である。)

 ここに、日本の未来がある。


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「読書余論」 2011年4月25日配信号 の 内容予告

▼伊藤仁太郎『伊藤痴遊全集 続 第六巻』S6
 山縣有朋の帰依者ではなかった同時代人による講談体の伝記資料。貴重であり必読。S6頃は、反長閥の気運が参本内に強かった頃だが、山縣は貶なされていない。痴遊は「試験エリート」の官僚が大嫌いだったのだと察せられる。

▼藁谷勇三郎『剣術道具ノ手入保存法』M45、戸山学校pub.

▼美濃部俊吉ed.『西湖 曾禰子爵 遺稿 竝 伝記資料』大2-11

▼江森泰吉『旅順攻略 海軍陸戦重砲隊』
 黒井悌次郎による、ロシア艦砲の仮製信管についての証言などあり、貴重。
▼ハンス・デルブリュック著、山中謙二tr.「羅馬の盛衰と軍隊」(興亡史論刊行会編『史論叢録・前』大8所収)
 WWIの直前にロンドン大で講演した話。古代戦記の中の「数字」に着目する。

▼東京物理学校雑誌・第六百号別刷「宋の陳規の守城録と投石機の間接射撃」/三上義夫、S16-11

▼Prof.Dr. H.Arntz 編、牧信tr.『今日のドイツ シリーズ 第2版 5・防衛』(在日ドイツ大使館よりS43-10-18寄贈)

▼坂口楯雄『現代の科学戦』S12-12

▼橘純一ed.『橘守部全集第六』「蒙古諸軍記弁疑」大9

▼原田二郎『戦闘神技 戦術の常識』S18-12

▼ドイツ海軍軍令部ed.、軍令部tr.『潜水艦通商破壊戦史』3巻、原1914~1918

▼ブラッドリー・I・フィスク著、松宮春一郎tr.「海軍力の権威」(大類伸ed.『史論叢録 下』大7-9所収)

▼黒沢文貴『大戦間期の日本陸軍』2000-2

▼小林康雄『ソ連航空作戦史』1979
 著者は防研の戦史部員。なぜ「イリューシン2」は対独戦中にのみ活躍できたのか、等が分かる。

▼S・I・ルデンコ著、小林tr.『大祖国戦争中のソ連空軍』S51、原1977

▼渋江 保(羽化)『英国革命戦史』M29-2
 リボリューションとシヴィルウォーの違いとは何か。

▼防研史料『飛行集団作戦準備 並ニ開戦劈頭ニ於ケル用法ノ研究』S14-1
 対ソ開戦計画のおどろくべきアイディアの数々。

▼防研史料『満州上海事変ニ於ケル航空部隊所見集』S8-6-24陸軍航本

▼バーナム・フィニイ著、吉田哲次郎tr.『米国国防計画の全貌』S16-12-1
 「死の商人」のレッテル貼りが、戦間期の米国メーカーを武装解除させたのだ。

▼トビン&ビッドウェル著、原田禎正tr.『アメリカ総動員計画』S16-7、原S15-4

▼大戸喜一郎『若鷲とふる里』S19-9
 ハワイ散華の甲種予科練出身兵たち。

▼小野隆太郎『護謨印画法』S7-11小西六本店pub.

▼高橋九郎『ゴム工業』S18-1
 マッキントッシュは防水布の代名詞だった。

▼宮川一郎「最近に於ける合成ゴムの研究問題」(S17-8『応用有機化学最近の諸問題 第2輯』所収)

▼小出武城『ゴム・ゴム製品読本』1974

▼南方経営調査会ゴム専門委員会『ゴム資源を圜る敵戦時経済の動揺』S18-7
 ソロモン方面で鹵獲B-17の防弾内張りをゴムの専門家が調査した。

▼森山藤吉郎『合成ゴム』S14-6
 本書以前に日本語の合成ゴムの教科書はなかったという。

▼八尾坂 正雄『昭和金融政策史』S18-3

▼伏見韶望『趣味 常識 俚諺と世相』S15-2

▼棗田藤吉『外国為替講話』S7-4

▼森賢吾『国際金融』S5〔?〕
 震災公債を米国で売ったときの話。

▼中村古峡『迷信に陥るまで――擬似宗教の心理学的批判』S11-8
 大本教など新興宗教の背景。ソ連爆撃機の東京空襲があり得るようになって、日本の破滅という空想にリアリティが生じていたのだ。

▼ミシェル・ヴィレー著、田中・赤井tr.『ローマ法』1955クセジュ
 なんとこの訳書の前には、日本語でローマ法について解説したものはないという。それじゃ戦争に負けちまうわけさ。

▼柴田光蔵『ローマ法の基礎知識』S48
 「何人も思考のために罰を受けない」という法諺は、西洋には3世紀からあった。

▼『黄檗山萬福全寺』フォトガイド、H9
 日本の禅宗の古い2つが停滞していたので、明朝からシナ語のまま直輸入したこいつが第三の教派として江戸初期に流行った。

▼阿倍理恵『禅の寺』1996
 隠元は、日本の仏像の姿形は変、とか批判していたので、幕府の要監視対象であった。

▼竹貫元勝「黄檗宗教団の形成と展開」(『禅と日本文化』1999所収)
 隠元はそもそも徳川幕府に鄭成功を支援させるための、アンチ清朝派の工作員だったのだという。

▼小島精一『世界経済の常識』S15-12
 資本主義陰謀論を科学的に解説する。

▼市村光恵『国家及国民論』大3-7
 旧幕時代、橋はひとつひとつ形を変えて風致としたものである。

▼ルドルフ・イェーリング著、日沖憲郎tr.『権利のための闘争』イワブンS6、原1925
 ローマの十二表によると、ローマでは債権者が債務者を寸断する権利まで認めていた時期があった。シェークスピアはそれを読んでいたのでシャイロックのキャラを思いついた。日常の戦いを停止すれば、自由は必ず失なわれる。

▼ドヲパルム著、和田順吉tr.『訓蒙勧懲雑話』M8-1、原1872

▼ボンヌ著、箕作麟祥tr.『泰西勧善訓蒙』M4、原1867
 小学生に立憲主義の憲法学をひととおり教えているフランスの教科書。

▼渡辺正雄ed.『アメリカ文学における科学思想』S49

▼高瀬武次郎『陽明主義の修養』大7-1

▼福田徳三『流通経済講話』大14-5

▼預金部資金局『大蔵省預金部の話』S14-5
 大蔵省は郵便貯金を駆使して自作農を創設維持させようというグランドデザインを支那事変中から描いていた。

▼松好貞夫『金持ち大名 貧乏大名』S39

▼波多越 薫『建築礼式大全』S5-2

▼大日本産業報国会ed.『戦時工場管理』S19-1
 労働「マネージメント」の和訳が「管理」。日本流の統制経済では、釘とかセメントとか、工場改築に必要な基礎資材が手に入らなくなってしまう。

▼朝日新聞社経済部『国際資本戦』大14-5
 関東大震災のとき、ナショナルシティー銀行が1億ドルくらい貸してやろうと井上蔵相に言ってきたのに、高慢な井上がそのチャンスをみすみす逃した。

▼土田杏村『島国家としての日本の将来』大13-7

▼鈴木茂三郎『日本財閥論』S9-9
 「南部銃製作所」は「大倉財閥」傘下だ。

▼金子白夢「旧約外典」(『日本宗教大講座(9)』所収)

▼エ・タルレ教授著、昇曙夢tr.『奈翁モスクワ敗退記』S14-3
 おびただしい捕虜殺しが、この戦争ではあった。斬首であったという。これを昭和14年に訳刊させているのは、S15に対ソ開戦予定だったからである。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

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