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「原発と日本の安全保障は両立しない」という講演を2011-8-27に札幌でぶちかまします

 詳しい発表は主宰者さん(札幌の学生グループの人たちです)から後日あるだろうと思いますが、遠方の皆様のために、ここで早めに予告しておきましょう。
 講演の会場は、札幌駅のすぐ近くでしょう。

 開演が18時半頃で、質疑応答時間をたっぷりと取り、終わるのが21時前という感じになりそうです。21時以降、オープンな懇親会もあります。

 日にちは、2011年8月27日(土曜日)です。わたしは当日の昼に列車で札幌に入り、翌日(日曜日)の昼に長距離バスで函館に戻る予定でおります。講演以外の予定はないので、何か便乗イベント等あれば、手すきの時間帯に、それに飛び入り参加できます。

 皆様よくご承知のとおり、わたくしは例の田母神氏騒動いらい、「日本人には核武装など到底無理であった」という見解に立っておりますが、3-11震災とその後の経緯は、この確信をいよいよ深めさせるだけでした。

 米国型軽水炉は、巡航ミサイル(弾道ミサイルは当たりません)で攻撃された場合に、そのまま「沃素131」の放出源になってしまい、政府は周辺80km圏内の全住民に即座に最低2ヶ月間の退避勧告をするしかなくなります(即座でなければ意味がないので、今次の日本政府の対応は大間違いでした。また漏出が止まったと確認されてから2ヵ月後には退避勧告は解除できます)。

 これは日本国内の原発だけでなく、韓国やシナの原発についてもそっくり同じことが言えます。ルール無用の国ばかりがひしめく極東では、核戦争と通常戦争の中間に、原発(の建屋/燃料取扱棟)を破壊し合う戦争(いちおう国際法で禁止)があり得るのです。
 韓国軍やシナ軍や台湾軍の軍艦から発射される各種の巡航ミサイル(対艦ミサイル)の一部は、新潟沖から発射して、太平洋岸にある福島第二原発の建屋に命中させることもできます(北鮮にはそれほどの巡航ミサイルがありませんが、短射程の対艦ミサイルによって裏日本の原発を攻撃可能です)。その建屋内の貯蔵プールの冷却機能が麻痺すれば、そこから「沃素131」が大気中に漏出します。

 複数の原発が巡航ミサイルもしくは対艦ミサイルで攻撃され、そのうち1箇所からでも「沃素131」が漏出すれば、被害原発の「80km圏退避」が政府によって勧告されようがされまいが、その国は少なくも2ヶ月間にわたり大混乱し、経済と行政が麻痺してしまうでしょう。

 3-11以来、世界の安全保障政策担当者は、この事態を想定しなくてはならなくなりました。隣国の軍隊がいきなり巡航ミサイルを発射する事態をあまり恐れなくてよい西欧ならばともかく、極東では、もはや原発は、国家安全保障の資産ではなくて、負債になったのです。

 講演は、以上のような話を含め、なるべく平易に説明するようにいたしますが、講演後の質疑応答は、できるだけ高度なレベルで行きたいと思っています。
 「太陽光発電じゃダメなんですか」などというくだらない質問の相手をしているとせっかくの時間が無駄にされますので、質疑応答に参加される方は、兵頭のロボット&エネルギー三部作、『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』『「自衛隊」無人化計画』のどれかを、事前に読んできてください。

 このレベルから先の話を、皆さんと討議しましょう。
 講演直後の休憩時間に「質問用紙」を回収します。

国防副長官でサイバー防衛統轄のリン氏が辞任するのは、F-35の設計ファイルを北京のハッカー機関に盗まれちまった大ポカの引責か?

 3月にロッキードマーチン社が数万ファイルの設計情報をごっそり社内コンピュータから盗取され、F-35のレーダーその他はすべて再設計する必要が生じ、これで、F-35の完成はあと5年は不可能になった、とも言う。

 このようなシナ人のコピー戦略に対抗するには、PC上のビット・データ化になじまぬ要素、たとえば素材管理だとか工程管理だとかで「対抗不能性」を維持するしかなかろう。たとえばシナ人は、西側からエンジンの設計図をまるまる手に入れても、シナ国内でそれを量産して、品質と両立させることは不可能だ。もちろん彼らもそれを分かっているから、「盗取・即・製品化」が可能な、電子戦ソフトウェア分野にターゲットを絞り込んで来ているはずだ。

 さて、日本の電力の「送電」と「発電」を分離すれば、それはシステムの「冗長性」を減らすことになるので、日本の電力環境が、シナからのサイバー・アタックに対して脆弱になる。
 私人が電力を電力会社に「売電」できるようにすれば、それもシナからのサイバーアタックへの耐性を弱める。
 「発電」と「送電」をあくまで1社内でバンドルして責任をもたせた上で、東電だけでなく他のすべての電力会社も京浜地区の工場に(各社独自の給電線を通じて東電と並列的に)給電・売電できるような「自由化」をするのが、「冗長性」を増す所以であり、シナからのサイバー・アタックに強い社会インフラを構築する道である。

 私人が発電した電力を、大手電力会社の送電システムを経由せずに、他の私人に売るのは、自由化されるべきである。これも大手電力会社の供給網とは独立であるから、「冗長性」が増えて、シナからのサイバー・アタックに強くなる。

 太陽光発電は、その電力を電力会社に売らせるのではなくて、全量を自宅の蓄電池に溜めさせ、夜間電力等として、あくまで自家消費させるべきである。さすれば、社会には害悪は及ばず、シナからのサイバー・アタックにはいくぶん耐性ができ、同時にまた、中緯度地方での太陽光発電なるものがいかに非力で不安定なものか、愚かな庶民もすぐ学ぶであろう。

 太陽光エネルギーの最も効率的な利用法は、「温室・兼・物干し場」である。
 「温水器」がダメな理由は、兵頭の旧著を読むか、北海道の町を冬に散歩してみれば、理解ができる。

もののみごとに面子まる潰れのシナ海軍で責任追及が始まる予感。

 ロイターのBen Blanchard 記者による2011-7-12記事「China Could Begin Carrier Sea Tests in Weeks」。
  大連のナンチャッテ空母1号の大改装工事後のテストが今週中にも始まる……といいな~、とシナ共産党は望んでいる。
 すなわち公試運転だが、英字の中共宣伝紙『China Daily』は、7月末か8月初めか、遅くとも年末までには始めたいのだと。
 今年が中共結党90周年なので、来年にずれこんでは意味がないのだ。そんな事情なので、是が非でも走らせるつもりである。

 ※ほんとうは、マレン提督の訪支に是非とも間に合わせて虚勢を張りたかったところなんだろう。だが、いかに外装だけはとりつくろえても、内部がボロボロの廃船をよみがえらせるのは無理であった。前々から準備していた新聞記事だけが、我慢し切れずに、このように発射されてしまったわけ。7月末もしくは8月初めもしくは2011年末……とは笑かしてくれる。報道写真に表れている、マレンとシナ軍参謀総長の2人の顔を見比べてみよ。マレンの方は『オイ、そっちの空母とやらはどうしたんだい?』と、余裕綽々で現役最後の大旅行を楽しんでいるようだ。シナ人大将の方は、ガックリ来て困り切った表情だ。彼の心配は、自分のポストだ。ゲイツ訪支時にJ-20を公開したのに続いてアメリカ人を驚かせるべしという党の絶対命令を、参謀総長は実行ができなかったのだ。この国家的な赤っ恥の責任は、誰が取る??? シナ軍需工業のボトルネックは、空でも海でも陸でも「エンジン」であろう。

 同じ新聞によると、空母2号の建造が上海では進行中なのだという。※せめてもの、代用の虚勢。

 ロシアの『Kuznetsov』級相当の6万トンの非核動力空母の建造費は、$2 billion以上だと見積もられている。シナは、それを最低でも2隻、保有するつもりである。

 ※この軍事超大国シナ向けのODAを打ち切るだけでも東北救済資金などすぐさま用立てることができたのに、政府はそれを考えなかったどころか、ついにまた、世界第二位のGDP大国への巨億の貢納金を継続するつもりだと発表した。それで消費税を値上げしたいとか、いったい誰が賛成するんだ? 震災被害国の日本に涙金の見舞いしか手渡そうとせずに、逆に、巨額の資本を貰い続ける泥棒国家が隣人とは、造反有理じゃないか。シナ向けODAの仕組みを作った自民党ともども、こやつら全員に民主政議会から退場して貰わねばならぬ。彼らには天安門広場がふさわしい。米国は、4年間で70万人もが死んだあの南北戦争の最中にも、国政選挙をコンスタントに実施していたんだ。日本は前近代の専制主義国家ではない以上、危機が続く期間にこそ、国策の方向を迅速機敏に選挙で修正し続けねばならないだろう。対米戦の最中に総理大臣東条英機とそのとりまき全員が退場させられたことで、日本は救われなかったとでも?

 また、『Journal of Strategic Studies』誌の10月号によると、シナは対艦弾道弾の目標となる米空母の太平洋上の現在位置をリアルタイムで把握するために、新しい海上監視衛星群と通信リレー衛星群をこれから2年間をかけて大量に打ち上げて周回させねばならないという。

 シナ軍は、横須賀や佐世保に米空母が今停泊中であるかどうかは、現有の偵察衛星でもニア・リアルタイムで知ることができる。そして、シナの対艦弾道弾は、満州から発射して横須賀までなら確実に届く射程である。しかし洋上に出て行動中の米空母の所在は、まったく探知ができないのだ。
 ※碇泊中の空母に当たるくらいの弾道弾ならば、原発建屋(BWR)や燃料取扱棟(PWR)にも当てることができるだろう。これらの施設は、航空機墜落に抗堪できる設計にすらもなっていない。

◎「読書余論」 2011年7月25日 配信号 の 内容予告

▼由井正臣・校注『後は昔の記 他――林董回顧録』S45、東洋文庫173
 林が戊辰戦争のニュースを聞いて英国から飛んで戻ったような事実はない。泣く泣く帰ってきたのである。原典を確かめずにネット上ででたらめな「歴史」を得々と語っている者がいかに多いか、知るべし。

▼井黒弥太郎『黒田清隆』S52-10
 著者は以前に日本初の黒田の伝記を書いているが、新発掘資料を得たのでそれとは別な伝記を書いてみた。箱館の蝦夷「共和国」などというヨタ話の出処を明らかにしたのも井黒の手柄である。

▼リチャード・J・サミュエルス著、廣松毅・監訳『日本における国家と企業――エネルギー産業の歴史と国際比較』1999多賀出版pub.、原1987
 カナダ型重水炉はいかにして民間経済界の総反対でぶっ潰されたか。学術出版界のスキャンダラスなミステリーの一つは、これほどの内容の本が10年以上も和訳公刊ができなかったこと。要するに、自民党単独政権時代の通産省の有害役人の専横がいかほどのものであったかがバラされているため。

▼秋山香乃『五稜郭を落した男』2004-4
 山田顕義(市之允)の半生記の小説。青森から江差への上陸を成功させたのはアンフィビアス作戦の見本であった。これを計画したと思われる山田の海軍戦術家としての才覚はいつ磨かれたのかを知りたい。評伝類のうち函館図書館から借り出せるのがいずれも小説体の3点しかないというのは残念だが、しかたないので、それを逐次に見て参るとしましょう。

▼ネーミ&ファースト著、千種訳『カトリーヌ・ド・メディシス』中公文庫S63、原1980
 クラウゼヴィッツが「すぐれた戦略家ではなかった」と『戦争論』中で貶めているアンリ4世について知るには、そのご先祖の時代から尋ねねばなるまい。欧州の火縄銃合戦の規模がいかに巨大であったかが知られる。

▼佐々木譲『幕臣たちと技術立国』2006-5
 中島三郎助の伝記部分が貴重。

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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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