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札幌エルプラザ講演のご報告

 おかげさまで2011-8-27講演「原発と日本の安全保障は両立しない」は有意義なイベントになったようです。

 まあだいたいこんなことをお話しましたかな……。

 2011年3月の福島第一原発事故直後に観察された日本国内に於ける内外諸国籍の庶民(B層)の周章狼狽ぶり、さらに近隣朝鮮半島やシナ大陸に於ける過敏反応の様相から判断して、大都市圏から数百km以内にある原発に対する通常弾頭による攻撃は、一国の民生、治安、経済活動、社会システムを、国防までも含めた行政の全分野とともに、一定時間麻痺させる「広域破壊手段」たり得ることが、容易に推察できる。

 商用原発が通常弾頭兵器によって精密に爆撃され、そのルーモア(噂)によって広域の「放射能パニック」が大衆(B層)の間に広まり、それによって国家機能(国防態勢)が麻痺してしまう機序と、そこからじっさいに放射線や放射性物質が漏洩したかどうか、あるいはまた、漏洩した放射線や放射性物質によって人々の間にじっさいに「放射能症」や「発癌」などが発生するかどうかとは、一切関係が無い。
 なぜなら現代にあっては、一国の国政を前進させるも停滞させるも「大衆(B層)」次第だからである。大衆には、科学も技術も理論も事実も関係はない。わかりやすい話(ルーモア)かどうかだけが、彼らの反応を左右する。
 この事情は、わが日本国だけでなく、民主主義選挙など存在しないはずの中共のような近隣国であってもほぼ同様なのである。中共や韓国の政治(国防国策)も、国内で数的に圧倒的な「B層」の動向によって、ときに左右されるであろう。

 B層については適菜収氏の最新の解説を参照せよ(『ゲーテの警告』講談社+α新書、2011年刊)。
 「よくわからないが反対する」か、「よくわからないが賛成する」かのどちらかで、そうでありながらも、「人が何かを知ることの限界」という「知」にだけは生涯到達しない層である。
 彼らは人から断言されることを好み、また、みずから断言することも好む。
 「断言する者は怪しい」という直観が働かぬ。

 現行の国際法(諸条約)は、商用原発に対する攻撃を禁止させようとしている。しかし残念ながら、日本の近隣諸邦には、「国際法を守る」というので有名である国は、一つもないのが現実である。

 隣国の「脅威」度は、「能力」と「過去の外交」と「B層の動向」で推し量られる。指導的地位にある政治家は、国内B層から「能力」を使えと強くリクエストされれば、それに応じたくなる。なぜなら圧倒的に大きな声を持つ大衆から支持を表明されれば、それによって彼の国内権力は著しく強靭化する――というのが、東西南北を問わず、現代社会だからである。

 福島第一原発事故で判明した事実。
 使用済み燃料を貯蔵しているプールは、日本の沸騰水型原発では、高さ45m原発建屋の天井裏(地上5階相当)に位置している。その建屋の屋根や壁の構造は、内部の水素ガスの爆圧で飛散してしまう程度の強度しかない。ペラペラである。小型飛行機でも貫入される。

 もし大砲の弾を原発建屋(加圧水型原発では「燃料取扱棟」と呼ぶ)に撃ち込まれた場合、その砲弾も簡単にプールを損傷させてしまうだろう。
 砲弾が内部で爆発した場合、使用済み燃料貯蔵プールの機能停止が起きるだろう。即座にバックアップ系が機能して注水を続行できなければ、燃料棒が自燃して煙とともに「沃素131」が大気中へ漂い出す。
 砲弾がもし貯蔵プール(加圧水型原発では「使用済燃料ピット」と呼ぶ)の中で爆発した場合は、いきなり燃料棒が広く飛散し、地面にバラ撒かれて、そこで自燃し、煙とともに「沃素131」が大気中へ漂う。

 放射性同位体にもいろいろあるが、ガス状の「沃素131」が環境中に漏れた場合は、行政としては、半径80km内の全住民に2ヶ月間の当面の避難を勧告する以外になくなる。理由は、1957年の英国ウィンズケール事故での「沃素131」の有意濃度飛散限界が風下へ約70kmであったと判明していることと、マーシャル諸島(水爆実験場)からチェルノブイリに至る多くの統計から、住民の発癌との因果関係が唯一疑問の余地なく立証されてきた核分裂生成物質が「沃素131」だからである。

 「沃素131」は半減期が8日と短いので、漏出直後が強烈であり、したがって退避勧告は初動こそが肝要で、勧告発令の遅疑逡巡はゆるされない。即時に発令する以外にない。その代わり、原発からの漏出が観測されなくなってから2ヶ月したら実質、「沃素131」の毀害力は消滅しているから、住民は自宅に戻っても可い(あくまで兵頭個人の見解)。

 「セシウム137」(チェルノブイリから全欧に降り注いだが発癌者無し)やプルトニウム(長崎では6kgの材料のうち4kgぐらいが上空で核分裂せず飛び散った)については統計学的に「(実質)無害説」が成り立つ余地があるが、「沃素131」に関しては「無害説」が成り立つ余地がない。したがって行政には、「80km圏外への退避勧告をしない」という選択は不可能である。(ウィンズケールで判明した飛散限度の70kmに、誤差余裕10kmを安全上オマケして、80km。米国大使館から日本国内の米国籍文民に対して発令された避難勧告50マイル=80.45kmは、おそらくこのようなNRC委員長の脳内計算に基づいている。しかし万一の訴訟がおそろしいので、米国政府は決して根拠や内規は公示すまい。)

 「沃素131」を体内に取り込んだ場合、若年者ほど発癌の危険は高まり、老人はその点で耐性があることも分かっている。しかし「若年者」と「老人」の線引きを行政がすることは「B層」が納得しないので、退避勧告は、「80km圏内で、本格的核シェルターを持たない全住民」を対象にするほかない。

 住民が日常、海藻などを食べている日本では、沃素131が体内摂取されたとしても甲状腺癌の発生率はロシアほどひどくならないはずである。しかし「B層」はそんな説明では安堵しないであろう。

 将来、原発(の燃料プール/ピット)に対する意図的な破壊攻撃(特に巡航ミサイルによる攻撃)が行なわれ、それが大成功した場合のパニックは、もはや、想像に難くない。

 浜岡原発をやられると、JR東海道線と東名高速道路が遮断されてしまい、東京と大阪の大動脈が切られる。しかも浜岡は最弱のBWRでもある。ここをまず停止させたのは、合理的である。
 尤も、「プール」の中味はそのまんまなのだから、これをどうにかしない限り、実はリスクは以前のままである。ただし「B層」はもう安心しているだろう。

 若狭湾の原発銀座。これらのほとんどは、幸い、巡航ミサイル攻撃に対して抗堪製の強いPWRだ。
 また、海自のイージス艦の母港も舞鶴にある。だから防空強化の優先度は、泊の次くらいだ。
 ただし困ったことがある。もともとイージス艦の最も得意とする任務は、飛来する敵の巡航ミサイルの撃墜であったのだが、あの阿呆なBMブームに防衛庁が便乗してしまった結果、機能をすっかり対BMに特化させられている。おかげで、却って日本海側の原発防空は、海自には頼み難くなったのだ。

 しかし救いがある。それは、空自F-15のレーダーをAESA(合成開口)に換装すれば、国産の中距離空対空ミサイルが、対巡航ミサイルの機能を果たしてくれるであろうこと。

 われわれは、家を出るときに、『今日、隕石に当たって怪我をするかもしれないから、外出は控えよう』とは思わない。
 「テポドン」の原発に対する脅威度は、隕石レベルである。

 北朝鮮にしても、隣のキチガイ国家にしても、もっと安価で有利で確実な原発破壊手段を持っているのだから、まずそれを使ってくると考えるのがあたりまえだろう。

 「テポドン」は高価であり、数が少ない。それを1000km以上遠くにある日本のBWRの建屋(またはPWRの燃料取扱棟)に1発でもダイレクトにヒットさせるには、1サイトに対して何千発も撃ち込む必要があろう。北鮮にはそれだけの数の「テポドン」は無い。しかも車両発射式でないので、最初の数発で「反撃」されておしまいだ。「ノドン」は数百発のストックがあるようだが、南九州までしか届かない。東海や浜岡や柏崎刈羽原発には届かない。

 こうした稀少で貴重な攻撃手段を彼らは無駄な原発攻撃などに使ってしまうことはない。それらは大都市攻撃に使った方がずっと効果が見込めて有利だからである。(ちなみにノドンは九州の飛行場ハラスメント用のスペシャル兵器。他の目的に濫用したら、在日米軍の対鮮空襲を止められなくなってしまう。)

 ゲリラ・コマンドー攻撃も同じ。準備が面倒で、失敗率が高すぎ、失敗した場合の政治的リスクもでかすぎる。なにしろ、捕虜や死体という証拠がおさえられてしまうのだから。

 これにくらべて、北鮮の有する射程40km級の小型の艦対艦ミサイルは、1発で原発建屋に必中する。しかもこのクラスのミサイルは、ゲリラのヒズボラでさえ扱える。大きな軍艦でなくとも、奇襲的に発射できるのである。ミスっても、政治的リスクは小さい。証拠が残りにくいので、シラを切れる。

 数十秒で着弾する対艦ミサイルの奇襲から原発建屋を防護するためには、F-15を離陸させていては時間的に間に合わない。陸自の高射特科が常時アラートしている必要がある。理想的には「フラックタワー」である。

 防空強化すべきサイトの優先順番。まず泊原発だろう。理由は、大都市の札幌に近すぎる。80km圏内なのだからヤバすぎる。ただしPWRなので、敵は、うまく巡航ミサイルをピットに当てるのがむずかしい。これが救いだ。
 泊はプルサーマルだからヤバイとか言っているバカサヨク連中は無視して可い。圧力容器の中味など関係ないし、未使用燃料も関係はない。ピット(プール)の中味の使用済み核燃料棒の中に、核分裂の結果として生成された「沃素131」が混ざっていること、これだけが行政上の大問題なのだ。

 ここで確認。通常弾頭ミサイルによる原発攻撃と、核ミサイルによる都市攻撃とでは、被害はもちろん比較にならない。後者は、中性子とガンマ線と爆風と高熱がいきなり住民に襲い掛かる。その毀害レベルの前には、使用済み燃料プールが涸れて火事になって立ち昇る沃素131など、どうでもよいレベルと看做される。
 もちろん攻撃する側も、貴重で稀少な核攻撃手段を、人里離れた原発サイト攻撃に使ったりはしない。無駄もはなはだしいからである。

 ただし、「核戦争の結果、外部電源喪失」というシチュエーションは、考えておく必要がある。外国同士の核戦争や核実験のEMPのとばっちりが日本に来るかもしれない。
 それを考えると、「スマート・グリッド」などいかに危ういかが分かるであろう。逆に、送電や給電をそれぞれ独立かつ多重の系列にしておき、「冗長性」を平時から確保しておくことが、非常時の安心につながる。エネルギー安保の前には「効率」は度外視される。通産省の大罪は、「エネルギー安保」を言いながら「安全」を度外視したことである。そこをツッコまなかった防衛庁は「無能」と評されても文句はあるまい。

 建設中の大間原発は計画を廃棄すべきである。まず改良型といってもBWRであり、プールの位置は福島第一原発となんら変わりがない。建屋のペラペラ度も同様だ。それが、国際海峡たる津軽海峡からいきなり短距離対艦ミサイルで奇襲され得る下北半島の突端にあるのだから、韓国や北鮮やシナにとって、こんなに攻撃し易く、日本にとってこれほど防空しにくい原発サイトはなくなる。おまけに大間と函館市の間隔は34kmである。青森市も80km圏内に入る。どうしようもないだろう。

 対艦ミサイルは、海岸近くの陸上で、顕著に電波を反射する大きな建物には、レーダー自律誘導だけで、命中できる。赤外線画像シーカー付きならば、さらに確実だ。
 巡航ミサイルは、今日ではほとんどの国がGPSや、自前のナビゲーション支援システムを利用し、プログラムしたコースを辿らせている。命中精度は、弾道ミサイルとは比較にならず高い。

 日本の周辺国には、どんな対艦ミサイルや巡航ミサイルがあるのだろうか。

◎ロシア製巡航ミサイル「P800 ヤホント」
 ・駆逐艦以上の大きさの水上艦艇から発射することができる。
 ・艦上戦闘機の「スホイ33」に吊るせるバージョンも開発中。
 ・発射されると高く上昇し、そこで超音速に加速。
 ・ラムジェットエンジンにより超音速で巡航。
 ・インプットされた距離で高度を下げて低空飛行して敵艦に命中する。
 ・艦対艦で使用する場合の射程は120kmだが、最新型はもっと飛ぶ。
 ・目標寸前まで高空を飛翔させれば射程が250km以上に延びる。
 ・インドネシア海軍も輸入している。
 ・弾頭は300kgである。
 ・全重は3トン。
 ・イージスシステムならばこれを迎撃可能だと考えられている。

◎中共製の対艦ミサイルの「C-802」。
 ・米軍のハープーンをマルパクしたもの。(おそらくパキスタン提供)
 ・エンジン技術の低さから、射程は100km程度にすぎまい。
 ・レバノンのヒズボラが2006年にイスラエル艇に命中させたことあり。
 ・ロクな装備も訓練もないゲリラが発射可能で、それでも命中する。
 ・中共海軍の陸攻機JH-7Aには4発吊下可能。
 ・JH-7Aの戦闘行動半径は900kmある。
 ・シナ海軍の第二爆撃飛行師団は、JH-7AとC-802で米空母と交戦する。
 ・前回訪支したさい金正日は、そのセットを乞うたが、拒絶された。

◎台湾製の巡航ミサイルの「雄風(Hsiung Feng)-2E」
 ・対艦ミサイルの「雄風2」を、艦対地ミサイルとした。
 ・魚雷発射管に収まるサイズだが、台湾の潜水艦からは発射できない。
 ・飛翔速度は、亜音速。
 ・射程は160km以下。

◎米国製の対艦ミサイル「ハープーン」
 ・韓国軍も買っている。
 ・台湾空軍の哨戒機と、台湾海軍の水上艦艇も運用できる。
 ・台湾の潜水艦からは発射できない。発射管制システムが無いため。
 ・米軍仕様だと射程220km。輸出用の性能は180km未満か。
 ・弾頭重量は222kg。
 ・全重546kg。
 ・飛翔速度は860km/時。
 ・中間誘導はGPS。終末誘導は頭部のレーダーによる。

◎台湾で開発中の艦対艦ミサイル「雄風3」
 ・射程300kmを狙ったが、いまのところ150kmがせいぜいらしい。
 ・途中誘導はGPS。終末誘導はレーダーと赤外線画像。
 ・弾頭重量は181kg。
 ・中間の最高速度は、時速2300km。つまりマッハ2以上。
 ・駆逐艦、フリゲート艦、170トンのミサイル艇から発射できる。
 ・ちなみに台湾海峡の幅は180kmである。

◎中共軍の巡航ミサイル「CJ-10A」。
 ・射程が2000km以上だといわれるが確認されていない。
 ・ターボジェットなら射程は750kmだろう。パキスタンの項を見よ。
 ・飛翔速度は、ラムジェットなら超音速だが、それは疑わしい。
 ・ロシア製の「Kh-55」を発達させたと見られている。
 ・米軍の「トマホーク」の同格品を狙ったと考えられる。
 ・戦略重爆撃機「H-6K」から6基発射できる。
 ・発射母機のH-6Kは、戦闘行動半径が3000km。

◎中共軍の艦対艦ミサイル「C-802」。
 ・エグゾセとハープーンを足して2で割ったコンセプト。
 ・エンジンはターボジェット。
 ・弾頭はC-801を軽くし、その代わり射程を120kmまで延ばした。
 ・インドネシア海軍が採用している。

◎パキスタン製の空対地巡航ミサイル「バブール / ハトフ7」。
 ・1998年に領内に墜落した米軍のトマホークを分解し、模倣した。
 ・2005年に試作品ができた。
 ・ターボジェット・エンジン搭載で航続距離は350km。
 ・その後、射程が750kmに延びた。
 ・技術情報は中共と共有されていると見られる。

◎パキスタン製の空対地巡航ミサイル「ラード / ハトフ8」。
 ・1998年に領内に墜落した米軍のトマホークを分解し、模倣した。
 ・2007年に試作品ができた。
 ・ターボジェット・エンジン搭載で航続距離は500km。
 ・飛翔速度はマッハ0.8。
 ・胴体はステルス形状。

◎旧ソ連製の艦対艦ミサイル「スティクス」のバリエーション
 ・中共製や北朝鮮製があり、さまざまに性能が改善されている。
 ・弾頭は最大で510kg。
 ・命中時の速力はマッハ0.85。
 ・射程は40kmから85km(超水平線)。
 ・小型水上艇から発射できる。
 ・潜水艦や航空機からは発射ができない。

◎ロシア製の艦対艦ミサイル「SS-N-22」
 ・中共海軍は駆逐艦とセットで2000年に購入した。
 ・弾頭300kg。
 ・飛翔速度はマッハ3.1。
 ・射程は120km。

◎韓国で開発中の巡航ミサイル
 ・トマホークのマルパクである。
 ・射程300km越えは確実だろう。
 ・これを潜水艦に数十発搭載し、水中から連続発射したいらしい。
 ・要するに対日戦のスペシャル兵器である。

 これらの他にも多数の対艦ミサイル/巡航ミサイルがある。
 射程が250kmあれば、新潟県沖から東海第二原発を攻撃可能。
 射程が280kmあれば、石川県沖から浜岡原発の建屋を攻撃可能だ。

 注意すべきことは、「実戦での成績」と「実験の回数」。
 これまでロクに実験も試射も発射訓練もしてないミサイルが本番で良い成績をあげることはない。カタログスペックなど、ほとんどあてにはならない。米軍のミサイルですら、1割は故障してしまうのである。

 建屋の強化は難しい問題だ。というのも設計が変更されると、経産省がまた審査して許可を出さねばならない。話が振り出しに戻るわけだ。
 あまり構造重量は増やさずに、飛来するミサイルを無力化できる「爆発反応装甲」というのがあるが、いよいよこれをBWRの建屋の外壁に増着しなければならなくなるかもしれない。

 西欧や北米には、「手頃なミサイルを持った狂人国家」が存在しない。だから、あんな危ない米国型BWRのレイアウトが、これまで許されてきたのである。しかし日本の近隣にはキチガイとしか思えない国家が複数存在する。そやつらの手にしている対艦ミサイルや巡航ミサイルで、日本の原発は確実にヒットされて、「フクシマ」化してしまう。それが3-11地震で分かった以上、やつらは必ずこの手で来ると警戒せねばならない。それが行政の責任である。日本の原発には、日本スペシャルの安全思想が適用されなければならない。

8月27日講演の詳細が判明しました。

 ようやく詳細が確定したようなので、あらためて宣伝します。

 講演会場ですが、
  札幌エルプラザ(札幌市 北区 北8条・西3丁目)
   JRの札幌駅から歩いてすぐ。
    その3Fのホールです。

 演題は「原発と日本の安全保障は両立しない」
  ……それじゃあどうするのかという話をします。

  質疑応答の質問は、講演中に用紙に記入してもらったものを主催者さんがセレクトします。あらかじめ『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』か『「自衛隊」無人化計画』か『もはやSFではない 無人機とロボット兵器』をお読みになってきてください。そこで既に解説されているような新エネルギーのダメさ加減については、残念ですが時間を節約するため回答割愛。

 参加費は、
  一般1200円 / 学生800円
   事前予約の必要はないそうです。

 日時
  8月27日(土)
  受付は18時から。
  開演は18時30分から。

  おそらく21時30分以降に懇親会があるでしょう。たぶん参加自由(ただし有料)。


 主催
  札幌学生保守政策研究会(hoshuken@hotmail.co.jp)

◎読書余論2011-8-25 配信号の内容予告

▼航空文学会ed.『大東亜戦争 陸鷲戦記』S17
 飛び降りて落下傘が開く瞬間以降、恐怖は無い。降りた瞬間、40kmも歩いてきたような疲労感を催す。

▼Hayek著、田中tr.『市場・知識・自由』1986、原1964~1978
 個人主義の真の基礎は、「誰が最もよく知っているかを誰も知り得ない」。 もし経済を統制すると、それは必ず思想統制になる。

▼鶴田忞『法律格言義解』M38-11

▼鈴木半三郎『米国新聞研究』大5-10
 選挙制度をどうしようと、それで人は造られない。人を造る教育なくして、選挙は腐り、人の質を悪くするのみ。

▼『中村元撰集 第16巻 インドとギリシアの思想交流』S43

▼宮田戊子・大槻憲二『一茶の精神分析』S13-5

▼山口剛『江戸文学と都市生活』大13-1

▼岸一太『神霊と稲荷の本体』S3-3

▼岡島誠太郎『回教海事史』S19-1

▼板垣直子『現代日本の戦争文学』S18-5

▼古川薫『剣と法典――小ナポレオン 山田顕義』文春文庫1997
 著者は北海道の地理に矇く、当時の軍艦にも興味がないことがありあり。

▼もりたなるお『抵抗の器――小説・山田顕義』S62
 著者が山縣嫌いなことはよく伝わってくる。しかし山縣嫌いが先に立つと、明治そのものが理解できないだろう。

▼満鐵社員会刊、雑誌『協和』232号(S14-1-1、大連)
 今から4~5年前に北満で牛の炭疽病が爆発的に流行し、ソ連が撒いたと噂された。埋めた牛を現地鮮人が掘り出して食べ、その半数は救命し得なかった。
 シベリア式防寒住宅の薀蓄。ペチカの薀蓄。これはためになる。

▼満鐵社員会刊、雑誌『協和』237号(S14-3-15、大連)
 北鮮人に訊く、満人住宅と鮮人住宅の防寒システムの違い。

▼石川欣也『原子力委員会の闘い』S58-1
 著者は毎日新聞記者だが、この版元は、電力新報社。そこから、資料性の高さを察することができる。
 『むつ』がWH社の助言をシカトして初歩的な放射能漏れで自爆デビューしたわけは、プロジェクト・リーダーの居ない事業団方式だったから。まさに日本式開発失敗の見本。

 原子力委員会=科学技術庁であり、通産省から見るとこれは敵である。
 電源開発=通産省であり、民間電力会社から見るとこれは敵である。
 したがって、通産省が、核武装につなげやすいCANDU炉を唐突に導入しようとしても、他が反発し、協力しない。それで潰れた。

 日本国内では、民間電力会社は、プルトニウムなどに何の興味もない。しかし通産省は一貫して非常にプルトニウムに執心し、その原発での利用に熱心である。

▼コリン・グレイ著、奥山真司tr.『戦略の格言』2009-8、原2007
 ファン・クレフェルトはいった。クラウゼヴィッツの理論は16世紀の発明品である近代国家が没落しつつある今のポスト工業化時代には、妥当しない、と。クレフェルトこそ間違っている。

 フォークランド紛争のとき、英空母が1隻でも沈められていたら、作戦は根本からくつがえされたことを忘れてはならぬ(p.175)。

▼J.C.Wylie著、奥山真司tr.『戦略論の原典』2007、原1967
 著者は1911生まれ。
 イベリア半島でのウェリントン将軍や、ヨークタウンでのワシントンは、味方の海軍が無力であったら、終わっていたはずだ。

 ※この本の収穫は、著者ワイリーがドイツ語原典にあたってクラウゼヴィッツの基本定義の用語を確認していないことが分かってしまうこと。それとともに、1943年の英訳モダンライブラリー版というやつが、かなりの意訳であったらしいことも推定できる。

▼S.M.Walt著、奥山真司tr.『米国世界戦略の核心』2008、原2005
 あなたがもしもタイガー・ウッズと勝負しなければならなくなったとしたら、競技はゴルフ以外を選ぶべきであろう。どうしてもゴルフにするなら、パット競争にすべきである(pp.189-190)。

 イリノイ州の上院議員、Charles Percy は、イスラエルロビーAIPACの怒りを買ったため、総力を挙げた工作をうけ、落選させられた。
 イスラエルは、アメリカ軍をして、シリアとイランに戦争をしかけさせたくてたまらない。しかし成功していない。

 国際原子力機関のエルバラダイいわく、アメリカはくわえ煙草で「おまえら禁煙しろ」と言っている男のようだ。

▼高山辰三『天下泰平 文壇与太物語』大4-12

▼『史論叢録 下』大7刊所収、T・ルーズヴェルト著、加藤政司郎tr.「生物の存亡と国家の盛衰」

▼辻政信『自衛中立』S27-4

▼木下彪・謹解『大正天皇御製詩集』S35-12

▼三橋 節『女教師の為に』大7-10

▼本多顕彰『浪漫主義と古典主義』S19-2

▼相良 佐ed.『英語漫文漫画の研究』大13-10

▼A・W・ピンニック著、伊丹佐一郎tr.『銀と支那』S6-12

▼陸軍経理学校pub.『陸軍主計団記事』
 ※靖国神社の図書館にある戦前の号をS20まで全部ナナメ読みして抜粋しました。
 M6の兵食は、コメ6合だった。これは田中光顕の証言。
 歩兵学校では、加熱せずに、生鮮肉を軍犬に与えている。これはビタミンもとらせるため。

▼雑誌『軍人援護』S15-1月号(第2巻第1号)~S18-12月号
 100トン以下の艦艇の勤務は「不健康な業務」と看做され、恩給の上で在職日数が加算されることになっていた。

▼『忠勇美談』第15輯 大7-3

▼中堂観恵『宿命の戦争~大東亜戦争をみなおそう』自由アジア社 1966
 寺内寿一元帥はそのキャラクターが英軍将校に気に入られ、彼らのはからいで、巣鴨ではなく現地で「病死」することを許された。

▼吉岡 斉『原子力の社会史』朝日選書 1999-4
 ドイツ人は米国で研究非公開のプルトニウムの存在を独自に推定してその原爆原料としての有望性についてもあれこれと考えていたが、仁科以下の日本人たちはプルトニウムなんてものを想像したことすらなく、またドイツ人に尋ねることもせず、アメリカの報道解禁で初めて存在を知ったというていたらく。

 通産省は、1930年代から40年代にかけて、商工省、のち軍需省であった。そのDNAが、戦後、軍のタガが外れて全開に……。戦後、1949-5までは、通産省ではなく、商工省と名乗っていた。彼らは敗戦前よりももっと独占的な統制権を行使したのだ。

 ◆  ◆  ◆

 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

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