TOP PAGE


« 2011年10月 | メイン | 2011年12月 »

そらだま最新ほうこく

 そろそろ誕生日が近づいているが、やはりいつも貰って嬉しいのはソラダマである。
 ある人が参考用にくれた工事現場の安全点滅灯の中古品。この完成度が素晴らしかった。

 まず分解点検掃除ができるようになっている。(ただし4個のネジ穴はプラスチックなので、ねじりすぎるとバカになるし、強い力では破壊される。)

 中味の充電式電池はどんなすごいものなのかと思ったら、単4が1個だけ。これにはブッとんだ。だって、夕方から朝まで、赤→緑→赤→緑→……と、ひっきりなしに点滅していて、少しも光が弱まらないんですぜ。

 カタログで調べるとこの種の工事用点滅灯は昔から1個が4000円以上もの価格で売られていたのだな(実売は大量取引だろうからその半値以下か)。それでも工事現場で減価償却されるまでには数年は使い回せないとだめだろう。だからじつに設計は念入りに工夫され、洗練されている。行き届いていて、しかもムダがないのだ。

 透明プラスチックのカバーは紫外線に強いもののようだ。もう一面にカスリ傷がついていたけれども、紫外線による黄変等は認められない。
 形状は一体型で、上からすっぽりと覆いかぶさるので、雨水の浸入はあり得ない。しかしスカート下縁部からは泥水が逆流しようとした痕跡がある。それは途中で阻止されていた。たぶん露天の地面に長く転がされて放置されていた時期があったのだろう。これは分解して、清掃できた。
 内部には虫が侵入した痕跡はゼロであった。これは廉価版のすべてのガーデン・ライトが設計コンセプトの上で見習うべきだろう。

 こいつは当初、機能を半分喪失した廃品寸前のサンプルと誤認した。だがそうではなかった。何年も使われているうちに、底部にあるメインスイッチの接触部分が錆びて導通が悪くなっていただけなのだ。スイッチを何十回もON/OFFすると、これは直る。
 つまり、何割かの不良品が出るとことを最初から予期しているような安物ではないのだ。それはそうだろう。買い手は一般消費者ではなく、プロの業者なのだから。メーカーはクレームをおそれなければならぬはずだ。
 よく工事現場で、点滅している安全表示灯に混じり、消えてしまっている表示灯が何割かあるものだが、あれも、メインスイッチの接触が不良なだけであろう。しかし工事現場の人々は、メインスイッチをガチャガチャやってみれば直るとは思ってもいないに違いない。そもそもメインスイッチがどこにあるかも興味がないのかもしれぬ。税金で公共土木をやっている現場の意識は、そんなものか。納税者に対して申し訳が無いとは気が付かない。

 太陽光発電パネルは面積は意外に小さかった。表面には透明のゴムかシリコンのようなものが塗布してあって、防湿されている。これは安物のガーデンライトにはない気配りだ。こういう細部クオリティのために、量産品でありながら、驚くほど単価は高止まりなのだろう。

 工事用安全表示灯は、ガーデンライトではないから、個人で買った人は、固定具を、じぶんでなんとか調達しなければならない。
 食卓の上に数人分の箸を立てて入れておく、プラスチックの「二重底コップ」のようなものが500円くらいで売られている。サンプルの場合、この内側のカップの寸法が、ちょうどよくおあつらえ向きであった。カップの底には水抜きのたくさんの小孔が開いている。それをネジ穴として木柵上などにしっかりと固定できる。カップと表示灯本体は、ビニールテープでぐるぐる巻きに固定すれば、隙間なくピタリと整形できる。

 防犯用のガーデン・ライトとしては、これに優る製品はない。これがあらためて得られた知見である。遠くから人目をひきつけてくれるので、近くの窓から家屋に侵入してやろうかという泥棒の魂胆は最初から挫かれるだろう。
 じつは、北海道では、こうした工事用安全点滅灯を防犯用のガーデン・ライト代わりに応用している家が以前からあり、少しづつだが、その数は増えているように印象される。
 げんざいのこの大不況だ。本格的な積雪シーズンの前に、また侵入盗のピークが来るだろう。この場を借り、住民のみなさんに警報したい。

 雑誌にも書いたが、ソーラーパネルの品質は、ここ6年以上も、廉価版ガーデンライト用に関しては向上していない。これはすべてシナ人のせいである。シナ政府が莫大な補助金を自国企業に与えて世界中のソーラーパネル市場を荒廃させているからなのだ。

 そのために、電池の世界では起きている、「前と同じ値段なのに、性能は向上する」という現象が、ソーラーパネルの世界では起きない。逆に、前より一段劣った性能のシナ製ソーラーパネルを、前より低い値段で組み込む以外に、日本のメーカーも生き残れなくなってしまっている。悪製品が、良製品を駆逐してしまうのだ。(その犠牲者の代表が「商品X」。)

 高性能の充電式電池の製造ノウハウを、日本のメーカーは絶対にシナ人には教えないという。だから電池の世界では、まだ健全な進歩が見られるのだろう。

◎「読書余論」 2011年11月25日配信号 の 内容予告

▼ダニエル・ラング著、並河亮tr.『鉛の服を着た男』S31-5
 フォン・ブラウンなどドイツから米国へ連行したドイツ人科学者たちの、いずれも貴重で珍しい体験の聞き書き集。ゴールドシュミットはいかにしてウェルナー・ハイゼンベルクと再開したか。

▼秋保安治、高橋立吉『発明及発明家 日本之部』M44
 山田猪三郎の気球。白峰駿馬の鉄舟。有坂成章。下瀬雅允。など。

▼『「ヱンフィルドスニデール」銃使用法 附 分解及結合』M31-9、非売品

▼『村田連発銃使用法』M28-12

▼陸地測量部『特別陸軍大演習写真版帖』M32-3
 明治31年に大阪~神戸にて。

▼小川一真『明治三四年秋季陸軍特別大演習写真帖』M35-3
 陸羽街道。

▼『熊本地方特別大演習写真帖』共益商社M36-1pub.
 6Dと12D。

▼『特別大演習写真帖』共益商社書店、M36-12pub.
 姫路地方。

▼大内地山『武田耕雲斎詳伝』上・下、S11-9

▼佐伯好郎『支那基督教の研究(一)(二)』S18-7

▼桜井匡『明治宗教運動史』S7-11
 寺の鐘を大砲に改鋳した話。

▼宝蔵館ed.『明治大帝と仏教』大1-8
 「バンザイ」の唱和はいつから始まったか。

▼阪本是丸『国家神道形成過程の研究』1994
 もともと神祇官は、伏見戦の旧暦1-3こそ「御一新の基」であり勅使を立てる大祭日にふさわしいとしていた。

▼吉田久一『八重山戦機』S28-7
 八重山ですでにマラリアが流行していたこと。

▼石井柏亭『美術の戦』S18-6
 画家が戦場の死体を写実することは日本では支那事変中に禁忌にされてしまったようだ。官僚による統制経済は、限りなく下らない思想統制を伴わずには済まない。

▼杉山平助『文藝従軍記』S9-6
 徳川時代の歌曲統制。

▼『西郷南州先生手抄誌録』大14-12
 佐藤一斉を書き写していた。

▼内藤尭『各国 国旗の由来と国祭日』S6-10

▼佐藤俊一ed.『市政週報 第八十七号』S15-12
 東京市の配給切符制度特輯号。

▼井関純『隣組配給の知識』S18-2
 大震災で、町会経由でいくつかの物が手渡されたのが今のような「配給」の初めだったのかもしれない。

▼近藤止文『衣料切符制の話』S17-2

▼井黒弥太郎『黒田清隆――埋れたる明治の礎石』S40-4
 刀剣商が売り込もうとした刀を庭の古株に斬りつけたら3つばかりに折れて飛散し肩から出血したといった細かなエピソードまで網羅。

▼ジョン・ラスキン著、杉山真紀子tr.『建築の七燈』1997、原1849
 徳富蘇峰のアイドルであったラスキン節の炸裂。国家の偉大さが腐蝕しつつあるとき、住宅もまた尊敬を受けられぬ精神そのままの外見が現われてしまう。

▼三上義夫「日本望遠鏡史」S11-5

▼岩村寅之助「我が国数学の進むべき道に就いての一考察」『数学叢書 第4輯』数学局S14-2pub.

▼Serena & Pratt著、太田米吉tr.『紐育株式金融市場』大9-12

▼管谷 要『将棋の話』S5-4

▼井上長太郎『通信地理学』S17-3
 1929-11の米東部沖地震で海底ケーブルが切れた事例。

▼厚生研究会『造船工場読本』S19-1
 商船のヂーゼル化は一挙に進んだ。

▼高崎隆治『戦争詩歌集事典』S62
 軍艦では、射撃が済んでも運弾機は廻っている……などの意外な豆知識は当時の公刊物の短歌から仕入れられる。まったく検閲が杜撰だったのだ。

▼ヨーゼフ・グラブラー著、川田謙&塚本弘雄tr.『ポーランド爆撃』S16-5、原1940

▼エーディト・エネン著、佐々木克也tr.『ヨーロッパの中世都市』1987、原1972

▼田口晃『西欧都市の政治史』1997放送大学テキスト
 これは埋もれた良書だと思います。ピョートルいわく「都市建設は戦争と同じだ」。

▼ニコル・ゴンティエ著、藤田2訳『中世都市と暴力』1999、原1992
 釜茹では贋金造りに与える刑。はじめから煮立っている。

▼中根甚一郎ed.『ヨーロッパの市民と自由――その歴史的諸相の解明』1999
 中世から近世のイギリスに「市民」なる言葉はない。freemen がそれであった。

▼ハンス・プラーニッツ著、鯖田豊之tr.『[改訳版]中世都市成立論――商人ギルドと都市宣誓共同体』1995、原1940 
 商人は、自由な、武装能力のある人々であった。ギルド兄弟たる彼らは、援助義務の理念にもとづいて、お互いに彼らの自由を擁護した。

▼レオナルド・ベネーヴォロ著、佐野&林tr.『図説・都市の世界史』1~4巻、S58、原1975

▼佐々木信綱『短歌入門』1979、原S28

▼R・H・ヒルトン著、松村平一郎tr.『中世イギリス農奴制の衰退』1998

▼M.I.Finley編、太田秀通tr.『西洋古代の奴隷制』1970、原1960
 「ヘロット」を例外として、奴隷は解放されぬ限り、戦闘行為もしなかった。

 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
 で、タイトルが確認できます。

 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。