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ルドベキアのまめちしきを整理してみる

 「老人が働かなくとも過疎の限界農村に独居して食って行ける明るい未来社会」は、かならず日本で実現できる。

 そのカギは、「放任高速増殖植物」を品種改良して、5アール前後の畑地で労せずして栽培し、1年分の生存カロリーを上回る収穫ができるようにすることだろう。
 これで、将来なにがあろうともじぶんは餓死しないで済むのだ……と貧乏老人が心から思えるようになることが、日本社会を底抜けに明るくするだろう。

 その品種の元とするものには、増えすぎちゃって困ると各地で悲鳴が上がっているような野草(しかも、イモのように地下部分に栄養分が蓄積されるタイプ)こそが、いちばん見込みがあるだろう。それらはすべて改良実験すべきである。日本じゅうの田舎の暇人が総力をあげて試していくうちに、きっと良い発見があるだろう。クラウド開発だ!

 だが問題がある。「特定外来生物」を裏庭に植えたりすると、刑事処罰の対象にされてしまうことだ。
 実験の前の段階として、ここがよく分かっていないと、いろいろなトラブルになるだろう。

 そこで今回は、日本語のウェブサイトを見る限り、なかなか話がハッキリしない、「オオハンゴンソウ」(ルドベッキア・ラキニアタ Rudbeckia laciniata)について、自分用の備忘録として、まずまとめてみた。

 というのは、国の法令で明快に栽培が禁止されているルドベキアはこのラシニアータ種だけのようなのだが、地方によっては、類縁のルドベキア(後述する)も、園芸店・種苗店での販売をしないように役所が行政指導しているらしいのだ。それは想像するに、地下茎がしぶとい宿根性の多年草で、夏の成長が高速で、秋にはタネもよく飛散してその発芽力が高いものなのであろうが、どうもそうとも限ってもいないらしい。一年草扱いの品種がまじっているかもしれぬようなのだ。要するに「お上」が園芸店に配布しているペーパーが網羅的でなく、杜撰で、ベテラン店員すら、去年の売れ残り株(冬眠状態もしくは枯死状態)を売っていいのかどうか、判断に迷ってしまうらしいのである。
 というわけで、このルドベキアに関しては、買う方も知識をもっていないと、店員さんを不必要に困らせてしまって、マズいと思われた。

 ちなみに、「反魂」というのは、死人を蘇らせる妙薬という意味で、葉や花びらがダラ~ンと垂れ下がるような植物に、時としてその命名がなされている。よく日本画に描かれる幽霊の両手の甲ね。あれを連想させる姿形です。歌舞伎の脚本だと「反魂香」という霊薬が小道具として登場します。その香をかがせると死者すら蘇るというね。

 ルドベキアの原産地は、北米。北米産の野草は、日本でもよく根付く。逆もまた然り。
 キク科。いまのところキク科は植物の最終進化形のようなので、西洋タンポポのようなスーパー増殖植物も仲間に含まれている。とはいえ、古代植物のスギナもしぶといんだけどね。

 英文ウィキによるとルドベキアはぜんぶで23種類あるという。
 一般呼称は、「コーンフラワー」もしくは、黒い目のスーザン(black-eyed-susan)。
 ここでいきなり話がまぎらわしいのは、「ブラックアイドスーザン」は、米国では、ルドベキア全種を指す場合もあるし、後述の「トリロバ」種や、そのトリロバから改造した商品名の「タカオ」を指す場合もあるのである。
 ところが、「オオハンゴンソウ」は花の中心部(針山ドーム状)が黒くならない(緑→黄と変わる)から、「名詮自性」にもなってないわけだ。

 確実に「無問題」なものは、大手の国内業者が売っているものだろう。
 サカタのタネは「トト・ゴールド」を市販している。その袋には「和名 アラゲハンゴンソウ」「耐寒性1年草」「生産地 ドイツ」と書いてあり、温暖地では秋播きもできるように書いてある。想像するに、これを北海道で秋播きすると、冬のうちに根まで死滅するので、花壇から野山に逃げ出して大繁殖はしないということだろう。とすればこれで実験するのは迂遠であろう。

 いくつかの参考資料をみると、トト や ベッキー は、矮性種だという。それらは、「ルドベキア・ヒルタ」を改造した園芸種だという。「インディアンサマー」や「プレーリー・サン」という商品も、ヒルタを改造した園芸種だという。

 ヒルタ種、トリロバ種、フルギダ種は、花の中心部の色が「茶→黒」と変わるのだという。ずばり、それが「黒眼スージー」の名の由来であろう。

 「灰→茶」と変わる、ピナタ種というのもあるという。

 さて、ここでまた混乱する情報。ヒルタ種は多年草らしいのである。
 また、ネットで検索するとヒットするのだが、「荒毛反魂草」は、日本の一部では野生化していて、それで困っている人がいるのだという。それは農家なのか、ナチュラリストなのか、不明。
 隔靴掻痒なことに、それは(セイタカアワダチソウのように宿根の)多年草だからしぶといのか、それとも(オオブタクサのように非耐寒の一年草ながら)タネが秋にやたら飛び散って毎春大繁殖しているのか、そこもハッキリしない。

 またこれもネット情報だが、ヒルタは、日本では関東よりも早く北海道に大正時代に根付いたという。しかしそれは宿根をしているのか、それともタネで越冬しているのかが、ネットではわからなかった。

 『花の事典』という本は、ヒルタとその園芸種は一年草扱いだと紹介している。春播きの一年草だと。
 別な本では、ヒルタ種は宿根するが短命なのでタネで更新される、とある。
 ヒルタ種の「グロリオサデージー」も、一年草扱い。また、一見、ルドベキアのようにみえないヒルタ種の園芸種に「チムチムニー」があり、これも一年草で、高性種だという。

 トリロバ種は、二年草(秋播き→翌年夏咲き→冬死)で、苗で更新されるという。
 商品としてタカオがあり、それがトリロバ種である。花の中心がダークブラウン。野生化している「オオミツバハンゴンソウ」とは、これのことだという。オオミツバハンゴンソウは「キヌガサソウ」とも呼ぶという。
 ネット情報によると、霜に連続して当たっただけで死ぬが、こぼれ種で確実に増えるともいう。
 地域によって問題視されているようだが、特定外来生物には指定されていない。
 黒目スーザンは、すなわちこのトリロバ=タカオのことだともいう。基本、一年草である。タカオは、花は小さいが、多数が咲き乱れる。
 『花の事典』はタカオを多年草の高性種だと紹介している。

 英文ネットには、トリロバの別名が、茶眼スザン であり、古い野原や道路脇に野生するとある。そしてそれは二年草であるが、短命の多年草にもなり、米中西部に自生していると。

 トリロバは、自家受精を回避するため、花弁は落下してしまう。早く播いた場合、同年咲きが見られる場合がある。葉っぱはザラザラしていて、愛らしくはない。

 大手通販のタキイがタネとして売っているものに「タイガーアイ」と「カプチーノ(学名表記は不明)」がある。カタログには「開花は翌年になります」とか注記されていないから、おそらくそのどちらも、東京近郊で春播きすれば当年咲きとなるんだろう。
 英文ネットで調べると、タイガーアイは、黒目スーザンと同じものなれども、これはF1 だという。つまり交配することで、一年草ながら特別に四季咲きの性質をひきだしているということか。タイガーアイは、乾燥にだけ、弱い。

 F1 の商品だということは、花壇から自然界へ逃げ出しても、同じ性質のタネはできんということか。しからば、劣勢遺伝のタネができて、それが蔓延するということはあるのか? そこが分からない。

 フルギダ種は、宿根ルドベキアの代表で、大株になるという。
 フルギダ種の園芸品種のゴールドシュトゥルム(発音はゴールドストルムかゴールドスタームかも)は、よく枝分かれし、中心が黒の黄花を長く咲かせるという。
 ゴールドシュトゥルムと似たようなのに、ゴールドスターがある。

 商品名の「リトルスージー」は、米国では black-eyed Susan の仲間だと括られるが、フルギダであり、多年草である。
 背は低く、6月から9月まで咲く。
 商品名は、正しくは、名前の最初に「ヴィエットの」が付く。Viette's Little Suzy という。マーク・ヴィエット氏はヴァジニア州の植物改造人で、6年かけてこれをつくった。
 中央円盤は、茶紫色になる。黒目スーザンより花が小さい。その代わり花期が長い。鹿に食われても死なず、丈夫である。
 花の中心部は、花後に茎をカットしないでおくと黒い釦のように冬まで残って、そこに小鳥がきてタネをついばむのだという。

 園芸種の黒目スザンとヒルタは、花期が長いという。
 ルドベキアを食害するイモムシや蛾は存在する。
 ルドベキアの学名は、スウェーデンのウプサラ大学の植物学教授の Olof Rudbeck (1660~1740) ならびにその同名の父 (1630-1702) にちなむ。リンネもルドベック氏から教わったことがあったそうだ。

 一英文サイトによると、黒眼スザンとは、ヒルタのことである。英語でも、荒れ地菊とか、牛の眼花、などと呼ばれるそうだ。
 black-eyed Susan は1918年にメリーランド州の州花となっている。
 インディアンのオジブワ族は、ヒルタの根を、蛇に噛まれたときの治療薬にしていたという。また別なインディアン族は、根のジュースを耳痛の薬にしていたという。

 ラキニアータは、大反魂草であり、多年草である。
 この葉っぱを生食する人もいるのだという。
 が、馬、羊、豚には毒であるとする文献もあるという。

 ラキニアタ=大反魂草は、枝分かれがある。茎はしばしば無毛。花弁はしだれる。花は、普通の蜂だけでなく、スズメバチも惹きつける。

 ミズーリ州の野生種は、湿気を好み、多年草である。
 野生では3mになるが、栽培だと1m。
 花の中心部は緑色。

 ルドベキア・マキシマは、グレート・コーンフラワーともいい、全長8フィートにもなり、タネは小鳥が食べる。

 カナダには、ピナタ種のいくつかが、野生している。高さは1mにとどまる。花の中心部を破壊するとアニスの香りがするという。
 湿地でも乾燥地でも育つ。林縁、道路脇でよく見る。他の植物に競争で負けることは稀である。

 コルドバ種は、みためが blanket flower(テンニンギク)に似るという。
 マヤ種は、背の高いマリーゴールドのよう。
 チェロキー・サンセット種は、菊に似た花という。

 英文ネット情報によると、オータムカラーズという商品は、多年草なのだが、10月に猛吹雪に遭ったら、死んだという。

 日本文ネット情報によると、オオハンゴンソウは、根の構造が、他種とは別格なのだという。その画像情報がネット上にないのが、残念だ。それこそ、放任増殖植物を創製していくためのヒントとなるはずなのに……。

●「読書余論」 2013年4月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料『明治43年 陸軍兵器本廠歴史 附録』

▼防研史料『明治44年以降 陸軍兵器本廠歴史 第九編』
 2.26事件直後に憲兵隊は大量のアストラ拳銃を導入していた。それはいったい、どこへ消えたのか? 憲兵の子孫宅に今も眠っているのではないか?

▼『偕行社記事 No.301』M35-11
▼『偕行社記事 No.302』M35-11
▼『偕行社記事 No.303』M35-12
 日本製の弾薬は自爆し易かった。その設計や管理をする分野の人材を、明治政府は育成せず、また厚遇もしなかった。それが祟っているのだ。

▼『偕行社記事 No.304』M35-12
▼『偕行社記事 No.307』M36-2
▼『偕行社記事 No.296』M35-8

▼高木惣吉『太平洋戦争と陸海軍の抗争』S42-8
 S18-9~11の古賀長官の判断。もし米機動部隊が、ビスマルク諸島から北の海面に進出するようになれば、日本側はレーダーが非力で、島もまばらなので、哨戒も反撃も不可能になる。

 ノーマン・エンジェルは『公衆心理』で書いた。公衆は、政治的決断にさいして、自明の事実、周知の真実を、無視しようとする。それはどんな無教養の者にとっても「誤謬」と判断できるものだが、それを国民は、しばしばやらかす。

▼福田敏之『姿なき尖兵――日中ラジオ戦史』H5-3

▼樋畑雪湖『日本絵葉書史潮』S11-4
 あんがい貴重な戦場写真が エハガキという形態で後世に伝えられているのである。

▼小川寿一『日本絵葉書小史(明治篇)』H2-9

▼藤井正雄ed.『墓地墓石大事典』雄山閣、S56
 アメリカ文化は、死との直面を回避するので、南北戦争でとうとうエンバーミングがビジネス化した。

▼ポール・ウォーレス著、高橋健次tr.『人口ピラミッドがひっくり返るとき』2001-6、原 P.Wallace 1999.
 トロツキーいわく。「人間に降りかかるすべてのものごとのなかで、老いは最も思いがけないものである」。
 安全保障アナリストたちは、ロシアが西側諸国に与える脅威を心配するどころか、中共にたいする防波堤としての役割をロシアが果たせなくなっていく状況に、動揺することになるだろう。

 欧米にキャッチアップしたあとの日本の「過剰投資」は、「資本の浪費」だった。日本の不況は人口ピラミッドの必然であるゆえ、ポール・クルーグマンは、インフレへの回帰こそ療法だと断じた。

▼滝川政次郎&石井良助ed.『人足寄場史』S49
 免囚保護を国家事業とする矯正恤刑の思想が江戸時代からあったことについて。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

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 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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