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せんでんでござる。

 現在 書店で発売中の月刊誌『新潮45』に、『兵頭二十八の農業安保論』の「補論」が載っていますので、お見逃しなく!

 また本日発売の『別冊正論』21号には、かなり長い寄稿をしています。ウクライナ作戦(クリミア事変)の主力となった「GRUのスペツナズ」とは何者なのか、これで勉強してください。同じ組織はシナ軍も持っているはず。すでに沖縄の新聞社などは、特務工作員に浸透された状態なのでしょう。よく街頭デモに登場する半島系ヤクザの背後にいるのも、中共版の私服スペツナズでしょう。

 GRUのスペツナズは、私服工作隊員です(SASと似てますね)。彼らは隣国内にあらかじめ、親ソ&反政府の住民グループを組織しておく。そしてモスクワの指示を受けるや、街頭デモを煽動したり、「蜂起」を演出します。すべては前もってコバートに準備をされているのです。

 じつは今、史上初めてロシア軍が、「まともな戦力になる」兵数において、「米軍よりも少数」なのです。
 「装備と練度の劣位を数で補う」という伝統戦略が不可能なのです。普通の戦争は、もうロシア軍はできないんです。しかしさすがは元KGBのプーチンです。GRUのスペツナズを私服でクリミアに浸透させておき、一夜にしてシンパ・グループを武装させ(例のインシグニア無しの迷彩戦闘服も着せ)、「城内蜂起」でクリミアを占領しました。

 プーチンは、「間接侵略」とはどうやるものなのか、その手本を、わたしたちに見せてくれました。これは大いに解明して学習しなくてはいけないでしょう。シナ人は必ず真似をします。もともと「中共」も、モスクワが「間接侵略」でゼロから創り上げた存在ですからね。へその緒は、切れてません。まあ、ウクライナは、「腐敗堕落&経済破綻国家」で、隙だらけだったから、やられちまったんですが。

 いまの露軍で、モスクワが頼りにできる「精鋭」部隊は、空挺と各種スペツナズとわずかな海軍歩兵、あわせて10万人しかいません。一方面にそれを突っ込んだらもう予備はありません(普通の大作戦では一方面に50万人が必要)。特にシナ方面がガラ空きとなり、樺太やシベリアの油田帯を占られてしまいかねない。ですので、今次事変では、ロシア正規軍はあくまでロシア国境線内に控置しておくしかないんです。これはEU女帝のメルケルも分かっているしオバマも当然部下軍人からレクチャーされています。
 通信線遮断の手際の良さ等から、このたびの間接侵略の「プランB」はソチ五輪の前から完整されていたのだと、米軍内では分析されている。
 間接侵略の「プランA」はもちろんヤヌコビッチ傀儡首班でした(日本でいうなら、さしづめ、カンとかハトヤマとかコーノを北京から操るが如し。ヤヌコビッチはプーチンから命ぜられるままにEUとの絶縁路線を推進したので、国の貧窮化を予見した自国民から厭われて追放され、「プランA」は失敗。そこで「プランB」が発動された)。
 プーチンの根本動機は、EUに対抗できるロシアのアウタルキー「ユーラシア・ユニオン」のためにウクライナを「露連邦」に再びくっつけたいのだ、というのが「ロシア通」のマクフォール前大使による解説です。

 あ、早合点はしないでくださいね。わたしは今こそ、藤和彦さんに追い風が吹いてきたな、と思っているんです。「日露パイプライン構想」はいよいよ実現に近づいたと思う。日本はロシアのために空母(モントルー条約により黒海には入れないからウクライナ侵略への加担にはならない)を造ってやり、ロシア海軍にシナ海軍を監視させることだってできるでしょう。しかしその話はまた長くなる。2015のパナマ運河拡幅の意味を藤さんすら気づいていないようだから「補足」がたんと必要だ。もう日本は「シーレーン防衛」なんて必要ないんですよ。豪州からのLNGタンカーは、「第二列島線」の東を通って「八戸LPG基地」か「仙台LPG基地」に入港すれば、ぜんぜん遠回りじゃないんで。八戸はしかも、パナマからの最近港なんですよ。テキサス州の港から24日で八戸に着きます。そして、八戸と仙台を陸上パイプラインでつないだら、次期工事として八戸と稚内をつなぐのは、もう雑作もないでしょ。そこまでインフラができたなら、日本は生ガスの大市場になるから、ロシアは北樺太から稚内まで生ガス・パイプラインを敷設して来ますよ。そしたら日本の商社は、豪州LPGやカタールLPGだって値下げ交渉に持ち込めます。あくまで日本国内のガスパイプライン網整備を主事業と位置付け、宗谷海峡パイプラインはダメ押しのオプション程度だと認定して気長に待ち構えていれば、安全です。ますます日本の寒冷地住民(仙台と新潟はすでにパイプラインで結合されている)の懐は暖かくなる。ガス発電で電気代が下がれば、世帯の光熱費が他の消費へ回るんですよ。というわけで、また来月のどこかの雑誌等で、語ることになりましょうな。

 ところで誰か「ボルドーギク」の苗を売ってくださらんか? 寒冷地で最もしぶといという評判なんで……。できれば7月までに……。

今週、文庫新刊『北京が太平洋の覇権を握れない理由』発売です。

 ハードカバーの『北京は太平洋の覇権を握れるか』を増補改訂した草思社の文庫版が『北京が太平洋の覇権を握れない理由』です。
 今週中の書店発売となります。
 すでにハードカバーをご購読されている皆様は、末尾の「追記」から立ち読みしてみてください。
 なお本文も手は加えてあります。

●「読書余論」 2014年4月25日配信号 の 内容予告

▼徳川夢声『夢声戦争日記(三)』中公文庫S52
 S18の日記。この巻は、海軍がソロモン方面で決戦しようという国内向けの宣伝が、内地庶民にはどのように受け止められていたかを知る好資料。山本神話がつくられた過程まで分かる。
 「私どもの〔昭南から内地へ向かう輸送船の〕床下には、妙な男女がいるなと思っていたら、女たちは朝鮮P(前線の慰安婦)であって、男たちはその支配人や、ヤリ手婆ならぬ爺どもである。見ていると、兵隊たちが実に大切に扱う。まことに御尤もであり、……。……私たち慰問団よりも厚遇されているかのよう」

 9-5、夜、「宮本武蔵」放送。またしても吉川ムサシを連続放送することになった。戦前にやったときは、市川八百蔵氏と交代であったが……。
 10-30、新宿からの京王電車が、競馬(調布)の客で大混雑。
 12-7、全国どこでもヒマが生えている。霜に遭うまで青々と。

▼防研史料 『昭和12年度 陸軍造兵廠歴史』
▼防研史料 愛甲文雄『水中兵器について』S29-3
 愛甲の考える敗因。作戦部隊から集まるいろいろの好資料を「戦訓 即 金庫」とばかりに死蔵していた。

▼防研史料 『航空本部関係資料雑綴』S8~S13
 海軍はS9-12頃、飛行船輸送会社を設立させて東京~ホノルル間に就航させる気でいた。

▼渡辺 誠『禅と武士道』2004-10 ベスト新書
 男谷の門人が言行を記した『善行録』。なるだけ仕口を知らない他流と試合することが、剣術にとっては大益。

 山岡鉄太郎(鉄舟 1836~88)は、中年にさしかかったM15に『剣法邪正弁』を記した。剣士が体力をなくしたあとは、どうやって勝つのか? 極意。敵の好むところに随って勝ちを得るまでである。我は、からだの総てを、敵に任せて、敵の好んで打ち来るところに随って勝つのである。

 白井亨(1783~1843)も、すべての剣客が40歳を境に衰えてしまうことに気付き、そのような剣技は馬鹿馬鹿しいと大悟して、老境までも衰えぬ何かを求めた。

▼日本法医学界『日本法医学雑誌』S32-7月号
 S23~30の刃物自殺統計。

▼『日本法医学雑誌』S50-5月号
 S44~48の感電死統計。

▼『日本及日本人』大1-11-1号、11-15号、12-1号
 自決したばかりの乃木希典の逸話をあれこれ。

▼辰野隆[ゆたか]『忘れ得ぬ人々』S14
 pp.81~「漱石・乃木将軍・赤彦・茂吉」

▼アンリ・ロワレット(Henri Loyrette)著、飯田&丹生tr.『ギュスターヴ・エッフェル』1989
▼(社)日本建築学会ed.『塔状鋼構造 設計指針・同解説』S55

▼雑誌『全貌』第49号 渡辺銕蔵「全学連に警告する」
 西独ではアデナウアー首相が、1955-9にソ連との友好を回復したが、それにさきだって、共産党の非合法化を憲法裁判所に提訴し、裁判所は1956-8-17判決を下し、「共産党は違憲である。よってこれに解散を命じ、その財産を没収する。政府及び地方官憲はこの趣旨を実行し、警察権を行使すべし」との主文を発表した。西独政府は、即日、中央および地方における共産党の議員を逮捕し、財産書類を押収した。

▼アウグスティヌス著、服部英次郎tr.『神の国』全5巻 イワブン1982~1991
 初期のローマ帝国は、一神教とは無縁だが、厳格な規律と道徳とによって繁栄した。
 しかし、何も害をなさない隣国を次々に支配するという道徳的腐敗が、ローマを第二のバビロン=悪魔の国に堕落させた。旧ローマ世界がいま、ゲルマンにほろぼされようとしているのも、その政体の因果応報。キリスト教とは無関係である。
 神の国は、キリスト教会の中のごく一部の善き人びとと善き天使が地上に構成する。
 獣に喰わせる刑で殺されたキリスト教徒の死体も、欠損の無い、完全な形で蘇る。

 ギリシャ人は喜劇中で誰であろうと実名であてこすってよいと法律で認められた。役者は軽蔑されないように国家公務員とされた。しかしローマ人は、存命中の人物が舞台上で毀誉褒貶されることを嫌い、役者を市民とすら認めず。さらに、詩人に神を自由に攻撃させ、それによって人間の方が神よりも偉いと主張した。

 アポロとディアナは矢をもっている。太陽と月は地上までその光線を送るから。
 ソクラテス以前の哲学者は、自然の問題の究明に集中した。ソクラテスがはじめて、道徳を哲学者の課題とした。

 キリスト教者は野蛮な生贄など捧げない。しかし、わたしたちが、そのかたの真理のために血を流すほどたたかうとき、そのかたのために血で染まった生贄を屠ったことになるのである(2巻、p.304)。

 「わたしが欺かれるなら、わたしは存在する」「わたしが欺かれるなら、わたしが存在するということが確実である以上、どうしてわたしは、わたしが存在するということを信じて欺かれることがあろうか」(3巻、p.70)。

 聖書によく出てくる七という数字は、奇数3と偶数4のプラスなので、数のワイルドカードとして使われる。
 「太陽の下に新しいものは何もない」――これは、ソロモンの書とされる『伝導の書』に出る。
 この世の生涯は、死へむかって歩まれる行程以外の何ものでもない。
 ギリシャ語のアンゲロスは使者。そこから、天使。
 人間の頭の先から足裏までの長さは、脇と脇の間の幅の6倍。また、横腹における背から腹までの厚みの十倍。

 何かを分配しなければならないとき、年上の者が分け、年下の者が選ぶという、平和を維持するための慣習(4巻 p.183)。
 ヘルクレスは複数いた。あちこちに、いたのである。オイタ山で自分を火のなかにおいて自滅したヘルクレスもいた。
 スフィンクスは♀である(4巻 p.381)。

 ラテン語の、イエスス・クリストゥス・デイ・フィリウス・サルウァトールの頭文字をつなげると、イクトゥス。「魚」となる。
 アナクサゴラスは、太陽は燃える石であって神ではないといい、そのため告発された。
 「ローマは、自分自身の重みを担うだけの力をもたないもののごとくに、ある意味で、自分自身の大きさによって難破していたのであった」(4巻 p.484)。

 敵意や戦闘は悪である。それは確かである。「それにたいして、平和は不確かな善である。わたしたちは、平和を共に保持しようと欲している人びとの心を知らず、また、かりに今日それを知りえたとしても、明日はどうなるのか、まったく知らないからである」(5巻 p.40)。

 ラテン語のセルヴァーレ。救われること。そして、奴隷=セルヴスの語源でもある。由来は、殺されるはずの捕虜が、征服者に命を助けられた結果、奴隷になったので。
 スキピオは『国家論』の中で、レス・プブリカ=国家を簡潔に定義して、レス・ポプリ=人民の福利だと。

 マタイの福音書いわく、「わたしは地上に平和をもたらすために来たのではなく、つるぎを投げ込むために来たのである」と言ったのは主。聖書は、神の言葉はもろ刃のつるぎであると行っている。それは二つの契約という二重の刃をもつからだ(ヘブル人への手紙)。

 炭は、湿気によって崩壊しない。それで、地境の石の下には炭を埋める。それによって将来の訴訟に備える。
 「悪徳とたたかうことは、悪徳の支配のもとにあって闘争を免れているよりはよい」(5巻 p.312)。

 プラトン主義者は、世界は消滅すると考えた。キケロはそうは考えなかった。あきらかにキケロは、「安全のために国が武器をとることを欲した」「そうすれば、国はこの世界においていつまでも存続する」(5巻 p.385)。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
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