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別宮暖朗先生の新著『第1次大戦陸戦史』

 並木書房さんから見本を頂戴しました。350ページ、2700円+税です。
 小生はいま、7月刊行に向けた『私版 国防白書(仮)』の執筆中であるために、急に全文を通読することができません。
 ですので概容のご紹介になります。
 本書は、巻末に、手間のかかった「索引」がついています。初学者が、第一次大戦の陸戦の経過を知りたいとき、年表よりも詳しい参考書として、役立てやすいでしょう。

 第一次世界大戦勃発100周年は、欧州ではちょっとしたイベントです。日本でもそれに合わせた書籍がどこかから一、二、刊行されようとは思ってましたが、ここに別宮暖朗先生のあたらしい書き下ろしの通史が間に合ったとは、慶賀の至りと存じます。
 「別宮節」の健在をこのような形で確認できることは、われわれにとって、なにか心強くなる福音じゃないでしょうか。

 ついでに自己宣伝もしときますね。第一次大戦中の英独「封鎖戦」通史は、小著『兵頭二十八の農業安保論』の中に詳述されています。総力戦というものを理解するためにも、これはぜひ、併せてお読みください。

32年前、全滅必至とされていた第2師団に望んで入営した「情弱」新兵が、いま、日露「対支」同盟に賛成するその理由とは?

 『新潮45』の6月号の拙稿は読んでくれましたか?
 五月病の人は目が醒めたのではないかな?

 日本人が使えるエネルギーが安くなるってことは、税金が安くなるのと、同じ効果があります。消費税が上がったことによるマイナス効果を、チャラにできるかもしれません。殊に、冬の灯油代がエンゲル係数と等しく節約など不可能だった北方寒冷地方では、消費拡大に直結するでしょう。

 万物流転の慨を 転た あらたにしてください。
 いまから三十二年前、わたしは「ソ連軍が北海道に攻めてくる」と思って陸上自衛隊に志願入隊し、任地・職種希望も「最前線の戦車部隊」と書いてその通りに中隊配属されたものでした。
 でも日本の防衛の最前線は天塩海岸なんかじゃなかったんですよね。日本の敵の手口は、常に「間接侵略」なのです。元KGB大佐のプーチン氏は、クリミアでその手本を示した。彼は歳をとって肉体が衰え、その焦りからあきらかに、若かった頃の時代や流儀をぜんぶ再構築しようとしてますよ。でも、それは失敗するでしょう。ドネツ地方では米国が送り込んだ「特殊部隊」(私服アドバイザー)が有効に反撃に転じています。おなつかしやの「ブラックウォーター」の名まで出てきた。これがケリーがつぶやいた「現代の道具」だ。プーチン氏は早く、「変化し続けるものだけが生き残る」と、思い出すべきです。「ユーラシア・ユニオン」を捨てて、互いに間合いの取れる日本と結託すべきなのです。

 どんどん余談になりますが、雁屋哲氏がもし中共の間接侵略工作員だったとしたら、死後に銅像が立つかもしれない。これを読んでいるあなたは、「太極拳」とか「ヌンチャク」という言葉を知っているでしょう。この二つの言葉を日本の中学生男子に初めて教えたのは、『週刊少年サンデー』に「男組」を連載していたときの原作者、雁屋氏に他ならないのです。わたしは「ヌンチャクなんぞ 使える腕じゃねえ」というあの劇画中の台詞を いまも覚えています。たしか 同時連載が「漂流教室」とかの時代でしたよ。ブルースリーが映画の中でふりまわしていた武器が「ヌンチャク」だと知っていた人は、沖縄の人を除いてはまず、いなかったと思います。

 それだけじゃありませんぜ。「双方貫耳!」だとか漢字だけの技の名前をいちいち叫びながら繰り出す、シナ系格闘技漫画の表現パターンを創始したのも、「男組」です。あの作品がひとつの「世界」「技法」を創始したおかげで、その「世界」「技法」を借りれば、たとえば『週刊少年ジャンプ』が「北斗の拳」「魁! 男塾」「ドラゴンボール」をスタートすることなど、易々たる事業となった。集英社のこれらの作品の担当編集者は、雁屋氏に足を向けては寝られないはずなんだ。それはどうでもいいが、その結果、日本人がすっかりシナ人を警戒しなくなったってことは、間接侵略工作としたらば勲一等でしょ? 天安門事件にもかかわらず、たくさんの中小企業があっちに進出して、いま、悲劇的なことになっていますよね。その空気を最初につくったのは、雁屋氏ではないですか? (でも、シナ大陸へのリスキーすぎる企業進出に資金を貸し付けた銀行の担当者は、業務上背任には問われないんでしょうかね。)

 今「男組」のストーリーを想い返すと、主人公は手錠だしラスボスはどうみても日本政府そのものだし、最後は刃物を握って機動隊に突っ込んで行くしで、反政府テロ賛美に近い、えらい内容だったんじゃないかと気になってきた。こんど古本屋に出かけたら、確認のため、探してみます。なんとならば、作家の初期作品には、その人の一生のテーマが隠されていることがありますからね。

 雁屋氏は、「男組」と類似した派生作品をじぶんでまた量産するのではなく、その次に、バブル時代の大衆にピタリと照準をあわせた「美味しんぼ」をヒットさせた手並みが、わたしにとっては真に驚異的でした。わたしのように「だったらあらゆる素材を畑で即齧れば? 水洗いも、火で加熱とかもしないで…」と反発する人はこのマンガにはついていかないでしょう。ついていく読者が厖大だったので、長期連載になった。(まだ続いていたんだとはこんどの騒ぎで知りましたが。)
 でも、今の大衆はバブル時代の大衆よりも、確実に利口になっているのではないですか? そしていつのまにか、老人原作者が大衆の到達しているレベルから後落していたのではないか、というのが、報道に接しての、わたしの感想です。

●「読書余論」 2014年5月25日配信号 の 内容予告

▼ジュール・ヴェルヌ著『動く人工島』(創元文庫の5版)
 ひょっこりひょうたん島の祖形のSFは1895年に書かれていた。その時点から、1900年の米国の技術や政治を占ってみたもの。米国はカナダとメキシコを完全に占領併合している、とヴェルヌは予測した。
 イギリスがアンチル諸島をフランスにゆずりわたさざるをえなくなったとき、いやがらせに数百匹の毒蛇を置き土産とした。それまでマルチニック島には蛇はいなかった。

▼徳川夢声『夢声戦争日記(四)』中公文庫
 この巻は、S19-1月から6月末まで。
 老眼鏡のレンズで煙草に火がつけられる。それも楽屋内の光で。

▼防研史料 『昭和12年度~14年度 陸軍造兵廠歴史』
 昭和14年度にコルトポケット拳銃を工廠でコピー量産していたことなどが分かる。

▼津野田是重『旅順に於ける乃木将軍 斜陽と鉄血』大15-1
 著者が乃木の拳銃を借りて海鳥を狙ったところ、一発も当たらず。

▼フランク&ハリントン『ミッドウェイ――空母「ヨークタウン」の最期』1976訳pub. 原1968

▼防研史料 毛塚五郎『東京湾要塞歴史 附属年表(稿)』S38
▼防研史料 藤沢一孝『明治維新以降 本邦要塞築城概史』
▼防研史料 毛塚五郎『東京湾要塞歴史(1)』

▼杉浦一機『《改訂版》空港ウォーズ』1999-9、初版1995
 C-54型輸送機で4万5000人の将兵を米本土から日本へ空輸しようとすれば、200機でも2週間が必要だった。今は、C-5×35機とC-141×35機により、半日でその輸送が終わる。
 新千歳は、成田よりも800km、欧米に近い。
 新明和工業は、離島間の旅客輸送に的を絞った水陸両用機SS-2(40人乗り)の構想をもっている。

▼原田勝正・監修『日露戦争の事典』

▼坂本勲『歴史を面白く語る人々』H3
 立川文庫の第40編が、猿飛佐助。これぞ第一回の忍術ブーム。清海入道は猪八戒であり、霧隠才蔵は沙悟浄であった。
 現・講談社の敷地は、もと、山田顕義邸である。

▼小寺融吉『芸術としての神楽の研究』S4
 神楽は、神に見せるもの、と解釈するのは近世の附会。本義は、神が現われたものだったのだ。右手に持つ鈴は楽器ではなく、神の声。太鼓も同じ。しかし笛はあきらかに、楽器にすぎない。
 神楽は、古事記や書紀よりももっと古かったのであり、したがって、もしもそこに記紀のキャラが出てくるようだったら、それは比較的新しい創作にすぎず、古態を伝えたものではない。
 歌舞伎で「手をひらいて出す」動作。これも神楽から在る古い様式なのだ。

▼今川徳三『八丈島流人帳』S53-1
 著者は甲府の出身で、近藤勇についての大衆文芸を書いたこともある。
 青ヶ島は、もともと鬼ガ島といった。それは外聞が悪いというので、青ガ島という字、「おうがしま」という発音にした。
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 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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