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またも「老眼ミス」

 『新潮45』2014-7月号の127頁 上段 5行目に、
合成開口レーダー
 とありますのは、
AESAレーダー
 の間違いです。

 まったくわたしのポカです。FAXされてきたゲラの細かい字をキッチリと読み通せず、見過ごしました。申し訳ありません。

 早く目医者へ行って正規の老眼鏡づくりのための検診を受けなくてはいけないのですが、近場のお医者さんがお歳でお亡くなりになってしまい、もはや遠い医院しかないんですよね。こちとら自転車で往復しますので朝の9時前に行くのが面倒でツイあとまわしにしておりました。一日晴天の日は、やはり病院なんかへ行く気にどうもならないしね。


 ところで政府の安保法制懇は、「正規の軍隊ではない武装集団などによる離島占拠」を「グレーゾーン事態」の一例として挙げるつもりのようですが、こいつらの頭はハッピーセットかよ!
 「漁具やバールのようなもの以外は手にしていない非武装の漁民」と、機関砲を搭載した「海監」のセットでやって来るに決まってるじゃないか。

 最新の4000トン級の海監の船内には、数百人の人間を収容するスペースがつくってある。まず最初は小さい漁船が1隻、偶然のように座礁する。そのあとから漁民を助けるというノリで他の漁船と海監がやってくる。ところがその漁船からも、また公船の船内からも、どんどん新たな「漁民」が上陸して、島内の人数が膨れ上がる。

 漁民は誰も「武装」はしてない。が、「漁船と漁民に手を出せば海監が正当防衛する」と言って海監の武装船が10隻くらいも蝟集してくる。海保の巡視船はアウトナンバーされた。さて、自衛隊には何ができる――という話になるでしょう。

 あと、EEZ中間線のこちら側でガス採掘リグを増やして行くという「挑発」、否、権益侵害ね。限りなく侵略に近いグレーゾーン事態なのに、法制懇はそれを例示しない。今迄なにもできなかった日本政府が、今後も何もしないと認めるわけか?

 ADIZを日本領空の中に設定するのだって「グレーゾーン」事態でしょ。それに口先だけで抗議するだけでいいのか? 相手が撤回するまで対抗制裁措置をエスカレートしていかなかったら何も解決しないばかりか、日本の権益がどんどんうしなわれて、次の権益侵害のベースが増えるだけじゃないか。

また『新潮45』に「集団的自衛権」の真相を抉る快記事を載せやしたぜ。

 わたしも辞書を引くときに老眼鏡が必要な年齢になりました。
 しかし百均の老眼鏡は、長時間つけっぱなしにしていられない。
 こうなると辛いのが「著者校正」です。早期に発見しなければならない訂正箇所を、つい看過してしまい、書店販売されたずいぶん後になってから(ゆっくりと読み返しているときに)見出だすというケースが、徐々に増えて参りました。ヤバイ ヤバイ……。

 先ごろ店頭発売されました、文庫版の『「日本国憲法」廃棄論』にも、「アチャ~」と言うしかない誤りが2箇所発見されましたので、この場でお詫びし、訂正します。

 ひとつは、22ページの10~11行目。

 だとすれば安倍氏には、「憲法」の意義も分かっていないかもしれません。
 とあります文は、まるごと削除してください。

 もうひとつが、289ページの9行目。

 必要最低限度の
  じゃなくて、
 必要最小限度の
  です。

 すんません。

『「日本国憲法」廃棄論』の文庫版が出ました。草思社から820円+税。

 文庫版での追記として、集団的自衛権の話を書いているので、興味のある人は巻末をお読みください。

 「裏吉田ドクトリン」というものが、内閣法制局本流と吉田の弟子筋には1954年から継承されているのではないか。それを、外務省条約局(イコール米国政府)と、朝鮮や台湾との人脈が太い非吉田系の総理大臣たちがタッグを組んで破却しようとし、暗闘をくりひろげてきたのが、2014年までの流れじゃないかなと、兵頭は疑っております。

 吉田茂が最終的に総理大臣を辞めたのは1954年(昭和29年)12月7日でした。
 この年はいろんなことがあった。自衛隊もできた。韓国は竹島問題を国連司法裁判所へ提訴させないとわめいていた。吉田は李承晩や朝鮮人が大嫌いでした。無理もなかったでしょう。

 吉田は朝鮮戦争のさいも総理大臣だった。そのとき米国はとんでもない要求を持ち出してきました。30万人規模の日本陸軍を再建しろというのです。米国は日本に「日本国憲法第9条2項」を押し付けたのに、それはもうどうでもよくなったからそっちで適当に始末しとけというわけです。で、その日本兵をどこに使おうというのか? 朝鮮半島で李承晩を救うために米軍の指揮下でシナ兵と戦えと言い出すにきまっていた。馬鹿な旧軍参謀たちも、蒋介石の「大陸反攻」のためにまた一肌脱いでやってもいいと、いろいろ妄動していました。
 吉田は、心の中でどれほど怒ったでしょうか。

 吉田は、自衛隊が米軍の足軽にされる事態だけは未来永劫、予防しろと、内閣法制局に言い含めておいたに違いない。敗戦翌年の押し付け憲法の受容過程で、吉田と内閣法制局とは、一心同体の同志関係になっていました。

 このリクエストに応えた法制局の名答が、「必要最小限度」という言い回しだったのでしょう。これは、国際法学説上の自衛権発動の3要件のひとつ:「プロポーショナリティ」を訳したものです。
 1954年に内閣法制局は、「必要止むを得ない限度の実力行使」は(個別的)自衛として許されるから自衛隊は合憲だと説明したのですが、2年後に、「必要最小限度の措置」は自衛の範囲であるというふうに言い直し、以後、「必要最小限度」がだんだんに定着します。

 こういう表現にしておけば、将来、日本の経済がどれだけ復興しても、陸自が30万人とか50万人に膨れ上がることはないでしょう。米軍と一緒に、あるいは米軍の命令で外地で戦闘させられることもないでしょう。そのイメージと「必要最小限度」という日本語の表現は、どうも整合しないからです。

 しかし1994年にクリントン政権が、北朝鮮の核施設を「自衛」を名目に先制空爆しようと思ったとき、日本政府が「裏吉田ドクトリン」を楯に、完全な傍観者になるつもりであることを伝えたときから、米国政府も問題の所在を把握しました。
 そこから外務省条約局の巻き返しが始まって、2014年にはついに日本版NSCが外務省主導で成立した。外務省条約局出身者を内閣法制局長官にした上で、「裏吉田ドクトリン」を破壊することにもアメリカは成功しました。

 歴史は皮肉なもので、いま、「裏吉田ドクトリン」を最も力強く応援してくれているのは、かつて吉田が嫌悪した韓国政府です。韓国海軍のイージス艦のソフト更新に予算をつけないことによって、また海上自衛隊の軍艦旗などにイチャモンをつけることによって、日米両海軍とのMD連携を拒絶。しょうがないから米軍も地上型のTHAADを持ち込むしか手がなくなっています。バカのバイデン(ゲイツ元国防長官が自伝でそのバカぶりを暴露している)を使って麻生氏や安倍氏に「靖国に行くな」と圧迫させ、逆行動を誘発したりしてくれる。こんな韓国政府あるかぎり、自衛隊員が「平壌治安維持部隊」として派兵されることもなさそうですから、万歳でしょう。自衛官は、韓国人やシナ人のために血を流す仕事は、ごめんをこうむります。
 「お断りだ!」――吉田茂が米国使節の面前で飲み込まねばならなかった言葉を、わたしたちならば口に出せるでしょう。

「読書余論」 2014年6月25日配信号 の 内容予告

▼『内外兵事新聞』第31号
▼『内外兵事新聞』No.45(M10-1-21)
▼『内外兵事新聞』No.47
▼『内外兵事新聞』M10-2-27 号外

▼『夢声戦争日記(五)』中公文庫 S52
 昭和19年の後半の日記。「回天」もドイツのアイディアだったのかと思わせる証言がある。

▼『経済倶楽部講演 第13輯』S16-5-16pub.
 この号の講演者は、高橋三吉海軍大将(予備役)、下村海南貴族院議員、堀内謙介・前駐米大使。内容はものすごく良い。
 「イギリスがやられてしまふと、もうアフリカからアメリカに来る距離が非常に近くなり、すぐ南米に来る。南米に来たらアメリカは半分やられたと同じ」なのでアメリカは大軍拡したのだ。

▼防研史料 陸軍造兵廠火工廠『支那事変経験録(第二号)』S12-12-31
▼防研史料 南満陸軍造兵廠『状況報告 S20.2.27』
 「国民銃」が出てくる。

▼財)史料調査会海軍文庫・監修『海軍 第二巻 帝国海軍と日清戦争』S56-9
 日清戦争について改めて知識を整理したいと思っている人には、本書は必読だ。内容濃いため最後まで摘録できず。北清事変については次回で。

▼『商学論集』第59巻4号(1991-3)所収・笠井雅直「高田商会とウエスチングハウス社――1920年代『泰平組合』体制、その破綻(試論)」

▼雑誌『全貌』バックナンバーより
 S40時点で北朝鮮には、親日分子の財産は没収するという法律があった。そんなところと国交正常化どころじゃないだろうと。

 金大使いわく。在日韓国人は、58万人登録されている。その他にモグリが20~30万いる。「モグリというのは終戦前日本に住んでいた人で、戦後本国においてある家族の様子を見てこようと帰国して、本国では生活の見通しが立たずまた日本に帰ってきた韓国人。軍政下でしたから自由にできたんです。密航者です。一九五二年の〔sic.〕日本の主権回復しアメリカの軍政が解かれたとき、軍政時代韓国へ行き来したのは帳消し、いまから申請しろということになった。日本の実力者とか偉い人を知っている者は特別に何とか方法を講じて申請したが、それ以外のものは外国人の登録もせずに潜っているわけです。」

 金大使いわく。なぜ日本政府は、民団ではなく朝鮮総連に、信用組合の設立許可をあんなに出すのか。自分たちの都合が悪いとさっさと引き揚げる。いつ北へ帰るかわからない連中に信用組合を扱わせていいのか。それに、北に籍をもっている人が悪いことしたから引き取ってほしいと言ったって北はひきとらない。

 元関東軍報道部長の長谷川宇一いわく。在満の軍人家族をいちはやく北鮮に後退させたのは瀬島参謀の判断で、関東軍が無傷で(満ソ国境で死闘せずにすぐに朝満国境まで後退して)がんばっていれば、ソ連軍との休戦交渉のときに強みになると考えた。日本の降伏予定をただひとり知っていた作戦参謀としてはそれでいい。それでよくないのが、山田乙三関東軍司令官だ。山田は民間人もすぐに南下しろと命ずべき責任があった。しかし日本政府が降伏するつもりだとは知らないから、土地を放棄させた入植民のその後の生計の面倒をどう見るかと考えて、決心を避けた。
 山田司令官夫人は平壌から飛行機で九州まで逃げ帰った。ラーゲリから帰還して、この恥ずべき噂が事実であったと知った長谷川は、穴あらば入りたい。
 高級参謀のうち、秦総参謀長夫人だけは、「皆様と一緒に踏み止まります」と言って輸送機便乗を断った。夫人は北鮮内で死亡している。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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http://www.budotusin.net/yoron.html
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