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インドが『蒼龍』級6隻の購入を希望。ASBの次のコンセプト名は「ジャムジーシー(JAM-GC)」=国際公海でのアクセスと活動自在の統合コンセプト だと。

 まず、いくつかのシリア関係ニュース。
 ストラテジーペイジの2015-1-28記事「The Air War So Far」によると…。
 米軍機のイラク&シリアに対する空襲は2014-8に始まったが、これまでに5000発もの誘導爆弾が投下され、3500目標を破壊した。
 その3500のうち300弱は軍用車両である。その車両のうち2割はAFVである。
 建物爆破は1000棟以上である。
 石油工業プラントは270箇所破壊された。
 民間車両700台撃破。うち半分近くは武装可能なピックアップトラック。
 また、ユーフラテスの川舟14隻も破壊。

 政治的な理由から、米軍以外は、イラクとシリアのどちらかを空襲しないことにしている。
 対イラク空襲を遂行しているのは、米、豪、白、英、加、丁、仏、蘭軍である。
 対シリア空襲を遂行しているのは、米軍、バーレーン軍、ヨルダン軍、サウジアラビア軍、UAE軍である。

 ※中共が戦争を始めた場合も、このような袋叩き体制が米国によって組織されるのだろう。

 ※NATOであるトルコがなぜ参加していないか。イスラエルに言わせると、トルコはイスラミック・テロリストの歴然たる味方なのである。トルコ人に言わせると、そもそも中東原油はぜんぶトルコ帝国のものなので、それをトルコから奪った米英仏のために血を流す義理はないのである。もしもトルコが反テロ主義なら、ISILの「擬似首都」がトルコ国境に近いラッカになることなどありえない。トルコ国境のすぐ内側に米軍が空軍基地を開設しただけで、ラッカなど維持はできない。しかしトルコ政府はそれをさせない。

 次。
 APの KARIN LAUB and ELAINE KURTENBACH 記者による2015-1-28記事「Jordan ready to swap prisoner for pilot held by Islamic State」。
 ヨルダンの輿論は、米軍に連れられる形での対シリア空爆のスタイルに、心底では反対である。

 ヨルダンはこれまで、宗教コネクションと、イラク内の部族長老たちを通じて、ISと間接交渉を進めてきた。

 捕虜パイロットの父は、ヨルダン政府が何もしようとしないから、オレはすでにトルコ政府に交渉を依頼している、と語った。

 多くの日本国民は、2名がそもそもシリアに行ったことについて批判的である。

 土曜日(24日)と火曜日(27日)にリリースされた後藤のビデオについて、APは、これらにイスラム国系メディアである「al-Furqan」のロゴが入っていない点が不審であると考える。

 APによるとパイロットは26歳である。
 コーリショングループがISを空襲し始めたのは、2014-8月である。

 もうひとり、ヨルダン内で収獄されているプリズナーがいる。
 その男、ズィアド・アルカルボリ(Ziad al-Karboli)は、イラクのアルカイダの一幹部の副官格であった(an aide to a former al-Qaida leader in Iraq)。1人のヨルダン市民を殺した罪で2008に死刑判決確定。


 次に潜水艦関係ニュース。
 ストラテジーペイジの2015-1-29記事「Some Poles Do Not Want To Bomb Moscow」によると、ポーランド軍はドイツ製の潜水艦を買うことをほぼ決めているが、ポーランドの政治家の中には、フランス製の潜水艦を、フランス製の巡航ミサイルとパッケージで買いたいと夢想している者がいるのだと。

 ポーランド軍は、稼動する潜水艦としてキロ級を1隻有する。他に、ノルウェーから只で貰ったおんぼろ潜水艦4隻があるが、これは動かない。

 今、武器市場で手に入る西側製の潜水艦は、スウェーデン製1種、ドイツ製2種、フランス製1種しかない。
 端と独は、バルト海での運用に通じている。

 ところが仏には良い武器がある。巡航ミサイルだ。空対地のストームシャドウを2011に水中用に改造したものである。射程1000km。
 フランスは巡航ミサイルについてはメーカーからの直販は許さない。国家が国家に供給する。
 陸上ではポーランドとモスクワの間には緩衝国のベラルーシがある。しかしバルト海からなら、直接にモスクワを狙える。
 1隻から18発の巡航ミサイルを発射してロシアの発電所を攻撃することもできる。
 ※わたしが過去複数の著述の中で警告した事態:「原発外郭に建つ燃料プール棟を精密兵器で攻撃することで、敵国内をフクシマ化できる」が、真剣に検討されているのである。これに備えるためには、すべての原発をフラックタワーで防禦する必要がある。それを「想定」し「対策提案」できないような日本の「原子力村」に、原発運営の資格などは無い。

 次。
 Zachary Keck 記者による2015-1-29記事「China's Worst Nightmare? Japan May Sell India Six Stealth Submarines」。
 インドが蒼龍級を6隻欲しがっているというのだが、ライバル候補として仏製、独製、露製、西製もある。
 なにより、建造は、インドの造船所でしなくてはならない。
 最大限、話がトントン拍子に進んでも、船台に乗るのが8年後ぐらいだろう。
 インドの兵器購入に関与する官僚たちの超腐敗は有名である。そのためすべての予定は遅れに遅れ、揉めに揉めるのである。

 ※日本の武器輸出政策は、オフザシェルフでメンテフリーのものに比重を置くべきである。日本人は、腐敗文化を歴史的バックグラウンドとする外国人たちを訓練サービスしてやることにかけては、まったく適性がないのだから。日本人くらい「他者」を教育するのに不適な者は居ない。「他者」を知らないからである。後悔する前にこの警告に耳を藉せ。日本製の中古乗用車をロシア人は自力でメンテして乗り回している。アフリカで武装ゲリラが転がしている日本製ピックアップにも、日本人の点検整備サービスはついていないはずだ。それが理想のスタイルではないか。

 次。
 米下院軍事委員会の海軍力&戦力投射分科会のボス。ヴァジニア選出共和党員のJ. Randy Forbesが寄稿している2015-1-29記事「RIP Air-Sea Battle?」。
 エアシーバトルは、改名された。「グローバル・コモンズにおけるアクセスと活動自在の統合コンセプト」ジャムジーシー。

 クリーピング・アグレッションと、グレイゾーン・アグレッション(“creeping” or “gray-zone” aggression)。それらの典型が、クリミアにおける「国籍不明部隊」や、東シナ海におけるシナ公船による国際法蹂躙。

 米海軍と米空軍が主役であるエアシーバトルは、こうしたクリーピング/グレイゾーン・アグレッションに、まるで対処のできないコンセプトであった。
 用語がおもしろい。“the concept formerly known as Air Sea Battle”ですと。これは昔、「プリンス」改め「ズィ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・プリンス」と呼ばせた芸能ゴシップを踏まえている。

 おしまいに、100球LEDの追加報告。
 やはり数日すると、夜の七時台で消えてしまうようになる。
 そこで提案だが、太陽電池のボルテージが下がってきたら自動的に、明滅のインターバルの「滅」時間を長くし、「明」時間も短くするようなソフトに変更するべきではないだろうか。さすれば、新聞配達の人がやってくる未明までも、点滅を維持できるはずだ。

A Proposition: U.S. SOCOM must change the method which failed twice to rescue prisoners in Raqqa or anywhere

Obviously some coordinate shocks are needed bofore land a pair of choppers.
Why don't they dispatch B-1(or else) to drop 2000lb. HEs with aerial fuzes set H=100m+ firstly?
The blasts would make AA-gunners paralyzed for a minute or so.

シリアで捕えられたヨルダン軍戦闘機パイロットについて

 イスラム国に捕虜になっているヨルダン空軍のF-16AM機のパイロットの階級は中尉(First Lieutenant)である。名前は Mu'ath Safi Yousef al-Kaseasbeh という。

 2014-12-24は水曜日。その日の早朝に、このアルカセスベー中尉はシリアのラッカ市(ISが占拠中)上空で何らかの理由でベイルアウトした。

 ラッカ市の近郊にハムラ・ガナンという村があり、ベイルアウトの結果、その近くの湖に着水したらしい。IS戦闘員により、水面から引き上げられて、そのまま捕虜になった。

 パイロットのIDカードもISがツイッターに画像UPした。それによると27歳である。

 このパイロットは2014-6に結婚している。

 米軍とアラブ諸国によるシリア内のイスラム国目標に対する爆撃は、2014-9-23からスタートしている。
 シリア空爆に参加しているアラブ諸国空軍は、サウジアラビア、ヨルダン、バーレーン、UAEで、カタールは基地提供で協力している。
 しかしイスラエル筋によれば、その墜落以後、ヨルダン空軍は、空爆を止めた。ISILとネゴシエーションを続けている傍証である。

 ヨルダンは対ISの情報収集の結節点である。
 ヨルダン国王は、ISは武力だけでは退治できないと言っている。理性によって彼らのイデオロギーと対決する必要があるんだ、と。

 有志連合がISを空爆し始めてから最初の軍人捕虜が、この中尉であった。 ヨルダン政府は公式にはISのことを「デシュ」と呼んでいる。

 英国のハモンド外相は、この捕虜パイロットについての懸念をすぐに表明した。なにしろイスラム国はその時点で3人のアメリカ人と2人のイギリス人を斬首していたから。※ヨルダンは英国が庇護してきた関係が長い。ヨルダン国王も若い時に英軍に留学している。

 ヨルダン情報相は、F-16は地上砲火で撃墜されたと語った。
 しかし米米軍のセントラルコマンドの司令官ロイド・オースチン大将は、これは撃墜ではないと否定した。さりとて、ベイルアウトの真因は語らず。

 ロシア製のMANPADである「イグラ」やSA-7ストレラがイスラム国に保有されているのは確かである。イラク軍やシリア軍がストックしていたものが、鹵獲されているから。1991湾岸戦争では、1機のトーネイドがこの肩射ちミサイルで落とされてもいる。

 しかし、他のたくさんのF-16はSAMで狙われたという報告をぜんぜんしていない。F-16は高度6000m以上をキープするよう命令されているはずなので、MANPADが当たるはずがないのだ。だから、この機体は機械故障を起こしたのか、さもなくば、パイロットが愚かにも低空を飛んでみすみすAAの餌食になったのだ。中東では、まるで適性などない若者が、王族や金持ち家庭の出身であるというだけで戦闘機パイロットになっていたりすることは、よくある。

 F-16はシングル・エンジンで、しかも空戦時の敏捷性を追求した設計であるので、わざと「不安定」につくられている。もし電力が切れた状態だと、安定滑空などはできない。だからパイロットには、不具合→即・エジェクト 以外の選択は無いのである。

 2014-12に、この中尉をISが訊問する模様がビデオ公開された。米国は、ビデオ映像からその場所を特定したらしく、2015-1-1の夜11時30分に、ラッカに対して救出作戦を実行した。

 複数の固定翼機(機種不明)が低空から多数の照明弾を落とし、且つ、地上攻撃をする中、2機のヘリコプターが、市の東郊の屋敷に着陸しようとした。だが地上から小火器で猛烈に射たれたことで、2機とも着陸を断念した。
 その直後に、やはり2機のヘリコプターが、ラッカ市街の某所にやはり着陸しようとしたものの、こちらもまた同じように地上からの乱射を受けるや、着陸せずに飛び去った。
 中尉奪回作戦は、失敗したのである。

 じつは2014-6に、米軍特殊部隊は同じような失敗をしている。このときは、民間人のジェイムズ・フォーリーを救出しようとしたのだが。フォーリーは殺された。

 ちなみにヨルダン国王は、おんみずから、ブラックホークとコブラを操縦できるだけでなく、1993にはヨルダン軍特殊部隊の長になっている。※クーデターが起きたらいつでも自分の操縦で脱出できるわけだ。

 したがってヨルダンは、やろうと思えば隣国に対して自力で捕虜奪回作戦もできる。
 大問題は、捕虜の現在位置についての正確な情報が無い。
 次の問題は、ラッカまではブラックホークなら往復できても、コブラは脚が短くてそこまで作戦できない。ブラックホークでも、増槽が必要になる。
 ヨルダン軍のUH-60は空中給油機能がない。シリア砂漠でC-130に給油させるという方法はある。

 英『デイリー・メール』紙のネット版を見ると、12-24の墜落直後からいろいろなコメントが書き込まれている。「ISを攻撃するパイロットは自殺ピルを携行すべきだ」「オレがパイロットなら、ベイルアウトしないで機体ごとダイブする」だとかの「斬首されるよりむしろ自死を選べ」という意見が結構あるのに感心する。まあ、若い読者たちなのだろう。そしてここにも「A-10厨」が多数、沸いているのを確認できる。パイロットや潜入民間人は、衛星に自己位置を教えるビーコンを体内に埋め込むべきだ、という意見が、貴重だと思った。

昨日以前の注目記事ふたつ。

 BASSEM MROUE 記者の2015-1-26記事「Failed Iraqi bomber named in Islamic State hostage crisis」は、こんなことを教えてくれる。

 2005年にアンマンにある3つのホテルが爆破され、60人死亡した。これはヨルダン史上最悪のテロである。

 2005-11-9に、Ali al-Shamari がホテル1階の宴会場で自爆。新婚のその妻 Sajida Al-Rishawi も自爆装置のスイッチを入れたが、装置の不具合から炸裂せず、逃げ出す人々の波にまぎれて現場を離脱した。

 このイラク人夫婦の犯行は、アルカイダの首領だったアルザルカイの命令を実行したもので、アルザルカイは米軍の空爆により2006に死んでいる。

 この女はヨルダン警察にではなく、ヨルダン国営放送局に自首してきた。
 裁判では、トリガーを入れなかったと主張したが、爆弾専門家のフォレンシックで、単に「不発」だったのだと判明している。

 被告の女は一審で絞首刑判決。控訴審も一審判決を支持した。
 しかしこの判決、ヨルダン王ならば、破棄することもできるのである。

 アルリシャウィ死刑囚は、今、44歳である。
 この女は、所属部族の関係で、アルザルカウィに近かった。だから後藤とのトレードが成立すれば、落ち目のアルカイダよりも今やISIL(「イスラム国」をアラビア語で表わして短縮称化すると「デシュ」だそうだ)のほうがステイタスで勝っているのだと中外に誇示することができる。

 ※10年近くも死刑を執行しなかったということは、ヨルダン政府も将来の人質交換要員のタマとしてこの女を確保していたのではないかと思える。ISILは、じつに絶妙の条件を出して来た。スタート・ネゴシエーションの時点から、もう、阿吽の呼吸が通じている。

 ※しかし、この女と後藤を1対1でトレードすれば、ヨルダン人は何か損したような気になるだろう。「後藤プラス数名」で、釣り合うのだろう。しかしそうなるとこんどはISIL側が不満かもしれない。アラブ人同士の交渉は日数がかかるだろう。この先、何ヶ月もかかるだろう。

 ※日本政府はヨルダン政府に何か飴を与えなくてはならない。このさい、武器を提供したらどうか? さすれば、日本はテロと戦っているという公式の宣伝にもなるだろう。「武器輸出」解禁よりも、「武器援助の外交オプション化」が先行した方が、庶民を安心させ、且つ、ずっと健全に見える。将来、日本政府の「実録」年表をつくったときに、奇麗になるのである。

 次。
 ロイターの Jibran Ahmad and Mohammad Stanekzai 記者による2015-1-21記事「Disenchanted militants in South Asia eye Islamic State with envy」。

 アフガンでは、ISのことを「ダイシュ」と呼んでいる。
 タリバンの首領、モハマド・オマールがここ数年、〔リーパーで爆殺されるのを恐れて〕姿を表に出さないので、タリバンは不満である。むしろダイシュの方が元気があって宜しいじゃないかと、思われ始めてきた。

 現実に、タリバンの支配域は拡張しなくなった。それにくらべてISは、どんどん面積を拡げて彼らのシャリーア強制を実現している。
 オマルは生きているのかどうかもわからない。それに対して、アブバクルアルバグダディの露出はすごい。

 ※ところがISILには衰滅の兆しが早くもあらわれてきた。時間はISILの味方ではないようだ。

 以下、ついでに兵頭からのお願い。
 ドイツに現存しているフラックタワーの写真(個人として撮影し、オリジナル版権が伴っているものに限る)を持っている人、ご一報ください。『私版防衛白書2015』で、使いたいと思っています。使用料は、1枚あたり2500円から3000円くらいになります。

 もうひとつお願い。
 短辺が300ミリ、長辺が600ミリ(あるいは500mm、あるいは400mm、あるいは300mm)の四角形で、摂氏250度以上の熱を断熱してくれる、薄板状の素材を探しています。これは、拙宅のキッチンの木製ダストボックスの上に敷き、その上に加熱直後のフライパンなどを臨時に置いても、ダストボックス天板表面の白塗装が焼け焦げたりしないようにするためのものです。なお、セラミックス工場に特注することについてはわたしは全く興味がありませんので、何か出来合いの製品について、「ここで買える」という情報をお寄せくださいましたならば幸甚です。

Bergdahl のケースが適用される

 殺されても同情をあつめない一人は斬首され、殺されるとイスラム国の評判が悪くなると判断された一人は 囚人交換 の材料になったように見える。ISILの今回のネゴシエーションは上手い。

 オバマは、タリバンにとらえられているアメリカ兵をとりもどすために、グァンタナモからタリバン五人をパキ国境で解放して取引したことがある。2014-5-31のことだ。

 このアメリカ兵 Bowe Bergdahl はほぼ間違いなく脱走兵であり、2009-6にじぶんでタリバンにつかまり、仲間を危険にさらした裏切り者である。しかしそんな奴のためにオバマは「テロリスト」五人を釈放した。
 この前例があるから、アメリカ政府は、「テロリストとは捕虜交換の取引きをするな」とは日本政府に向かって言えないのである。(カネの支払いは、アメリカ政府は日本政府に対してゆるさない。これはさいしょから不動だった。)

 日本政府が、残る一人(斬首されていない一人の善意の日本人)のためにヨルダン政府やアメリカ政府に 向こうの要求する一人の女テロリストを釈放してやってくれ と頼むことを、アメリカ政府としては、止められない。

 ISILはそこを読んでいるのであり、じつに巧みである。声明文の英語も、英国で教育を受けた者が書いたのだろう。

 生き残っている方の人質は、Bergdahl が何年も生かされていたように、これからも生かされるだろうと思う。
 

昨日の注目すべき記事の摘訳

 ストラテジーペイジの2015-1-22記事「The Religion Of Peace Defines Peace Differently」。
 イスラム教徒たちがよく、イスラムは「平和の宗教」だという。嘘である。
 過去20年以上も、世界のテロ殺人の95%は、イスラミック・テロリストによって起こされている。

 複数の調査が示すところ、全世界のモスレム人口15億人のうち12%が、イスラミック・テロリズムを支持している。すなわち2億人近くだ。

 西側世界内で大きなイスラミックテロが起きたと報道されると、その都度、世界のイスラム教優勢国内では、人々がそれをおおっぴらに祝賀しているが、それも尤もなわけである。

 2001年9月11日のテロの直後、イスラム教が優勢である諸国の政府は、一様に明白な非難の声明を出した。が、当時、それらの国に滞在していた西側の人士は皆、目撃している。イスラム教徒の住民たちが、ニュースを聞いて慶んでいたことを。

 イスラミック・テロリズムが最も多く殺しているのは、じつは、同じモスレムである。

 西側世界に住み着いているモスレムは、イスラミック・テロに反対か? かれらの大多数は、依然としてテロに賛成だ。
 2014年に欧州諸国は、ISILを支持している住民の割合について調査を行なった。
 ドイツでは成人の2%がISILを支持していた。英国では7%であった。フランスでは15%であった。その多くはモスレムである。
 ちなみに、ドイツ人のイスラム教徒率は4.6%、英国人では5%、フランス人では7.5%である。

 非モスレムでISILを支持する者は、若者である。老人にはほとんどいない。

 2005年に英国で爆弾を使ったイスラミック・テロ事件が発生。直後に英国政府は輿論調査している。そのまとめ。英国内のモスレムのうち24%はテロリストの動機(イスラムを防衛する、等)にシンパシーを抱いている。英国内のモスレムの6%は、イスラミック・テロリストの暴力は正当化されると信じている。そして18%の英国人イスラム教徒は、英国に対して、ほとんどロイヤリティを感じていない。

 西側諸国内のイスラム寺院には、イスラム諸国でトレーニングを受けた聖職者が送り込まれてくる。そして礼拝集会で説教をするのだが、その話の内容が、非モスレムに対する敵意や暴力を後押しするものである。
 そうした敵意が全モスレムから求められることが当然なのだと、それら聖職者たちは考えている。

 モスレムの聖職者をトレーニングするほとんどすべての宗教学校では、そうしたヘイトと敵対を許容している。イスラミック・テロリズムをすぐにやめさせるに足る分別を、持ち合わせているにもかかわらず。
 《以下、略》

イスラム国のおさらい

 「イスラム国」の最大の収入源は、バレルあたり25ドルでトルコ国境から密輸出している原油。
 しかし正規ルートの原油も今日は48ドルまで下がってきたので、密輸相場も苦しいことになっているだろう。

 イスラム国の二番目の収入源は、欧州人を誘拐して得る身代金。英国以外の欧州政府は、アラブ人を通じた身代金の闇払いに応じている。

 しかし米国と、そのぶらさがり国(代表は英国)は、身代金を払わない。このことをイスラム国のゲリラたちもすっかり承知している。そこで米英人が彼らに拉致された場合には、身代金の代わりに「捕虜交換」が水面下で要求されることがあるかもしれない。それでもいちばんありえる転帰は、ナイフ処刑と、そのビデオ公開である。先進各国のマスコミで大きくとりあげられて、センセーショナルな宣伝になるからだ。

 日本は米国のぶらさがり国なので、日本政府は今回、身代金は支払えない。そして日本には交換取引できるイスラミックのテロリストもいない。このことをイスラム国のゲリラもよ~く知っている。だから今回、日本政府がどうしようもない要求を出してきた。さいしょっから、ナイフ処刑とビデオ公開にもっていくつもりなのだ。確かに、話題にはなるであろう。

 警告ビデオに出てきた黒頭巾の男が東洋人でなかったことは、われわれにとってひとつの最新情報である。すなわち、イスラム国には、宣伝役者として使えそうな東洋人は、まだ参加はしていないのだ。彼らの演出家の考えでは、日本人をナイフで処刑する役者は、やはり日本語をしゃべる日本人であるのが理想であるからだ。そのような人材に、彼らはまだめぐまれていないことが判明した。

 イスラエルにいわせると、イスラム国は、スタートした時点で「失敗国家」である。
 スペインから何かの理想に燃えてイスラム国に身を投じながら幻滅した70人の男たちの調査結果。彼らはすぐにがっかりした。なぜならイスラム国は、彼らにある村の攻撃を命じてきた。その村は、スンニ派であり、さいしょはイスラム国の統治を歓迎していたのだ。ところが、あまりな虐政に耐え切れず、叛旗を翻したのであった。
 イスラム国は、2014年後半だけで、100人以上の脱走戦士を処刑している。皆、幻滅したのだ。
 脱走に成功しても、愚かな参加者には2つの道しかない。犯罪者として実家に戻るか、シリアの難民キャンプに入るか。
 西側世界に戻ったとしても、彼等を連れ出したリクルーターは、彼等が何をしたか知っているし、そのID情報を全部握っている。脱走兵は、びくびくしながら隠れて生きるほかにないのだ。
 のみならず彼らは、連れ出し費用を弁済せよと迫られる。イスラム国への連れ出しは、プロの密出国斡旋団体を雇っておこなわれている。そこに多額のカネがすでに支払われているからだ。
 欧州諸国は、そんな連中が帰ってきたら、刑務所に隔離するだけだ。
 サウジアラビア政府だけが、がっかりして帰って来た臨時テロリスト志願者を社会更生させるファンドや仕組みを備えている。そのサウジのプログラムですら、ふたたび1割以上の者が、国外のテロ活動に身を投じようとして出国してしまうのを、止められない。

 イラク西部地区では、イスラム国戦士との婚姻を拒絶した女150人以上が2014年12月15日までに処刑された模様。イスラム国は元サダムの役人たちが仕切っているので、「文書主義」だ。これからの犯罪方針も、やらかしたことも、ぜんぶ「文書」で残してくれる。ゆえにイスラエルの諜報機関はアラブ人経由でこうした事実を把握できるのである。

 ただし注意。イスラエル自身は、イスラム国にはもっと暴れ続けてもらいたいと念じているはずだ。イラクとシリアに強力で安定した政権ができない方が、イスラエルの国益になるからだ。強力で安定したイスラム政権は、じきに核爆弾をつくりはじめるからだ。核以外の攻撃には、イスラエルは耐える自信がある。
 スンニ派のイスラム国がシーア派(すなわちイランの手下たち)と戦ってスポンサーたるイランを苦しめてくれれば、ハマスやヒズボラに対するイランの支援も弱るはずである。ますますイスラエルには好ましい事態だ。

 2014年にサウジアラビアが原油の増産を決意して実行したことにより、イランはとても困っている。イランの国家予算はバレルあたり100ドルを前提としている。それが2014末で55ドル、今は48ドル。どんどん下がっている。アルジェリア政府などは37ドルまで下がるとみてFY2015を組んでいるほどだが、たぶんもうすぐそこまで行くだろう。
 イランの国庫収入の半分は原油。そしてイランGDPの四分の一は原油代。これがどれほどの打撃か、分かるだろう。
 サウジの油田は、増産コストが世界一低いので、増産を武器とすることが可能なのだ。

 石油しか収入源のないロシアも、今年はおそろしいことになるだろう。
 アシュトン・カーターが1999年のウィリアム・ペリーとの共著『予防防衛』の中で予言したことが実現するかもしれない。すなわちカーターは書いた。ロシアの混乱の中から、21世紀の東方ワイマール共和国が出現すると。第二のナチスがモスクワに樹立される――と。

 イランはサウジを打倒するために、アラビア半島最貧のイエメンのシーア派ゲリラを後援している。
 逆に湾岸のスンニ派諸国は、パキスタンをけしかけて、イラン東部国境にスンニ派ゲリラを送り込んでいる。これに対してイランはロケット砲で越境攻撃して報復している。
 湾岸はすでに戦争前夜である。

 中東とアフリカでの米軍特殊部隊による人質救出作戦は、このところ、うまくいかなくなった。ゲリラも智恵をつけてきて、夜間にヘリのチョッパー音を聴いたら、すかさず空に向けて自動小銃を乱射して仲間に警告するようになった。そして人質を皆殺しにして去ってしまう。

 イスラム国は2014年末時点でスキルのある野戦兵士は底を尽き(ほとんどが米機のピンポイント空爆による)、クルド人にすら勝てなくなってきた。2014年末から「自爆特攻」を採用しはじめたのは、彼らが衰退しつつある兆候である。
 イスラム国は人数を増やしたことで単純に食糧難にみまわれている。人道支援団体のメンバーすらみさかいなく誘拐処刑するので、どこからも食糧が得られなくなっている。トルコ政府は、クルド族を弱めるためにイスラム国への武器密輸をめこぼししているのだけれども、そのトルコ人もイスラム国は捕え次第に処刑してしまう。

 ナイジェリアのボコハラムは、政府の腐敗構造(役人がパイプラインから原油を盗み、ニジェール河口の密売海賊も取り締まらない)が根深いので、イスラム国よりももっと粘るだろう。ボコハラムとは「西洋の教育は罪也。」という意味だそうだ。世俗学校(そこに寄宿舎があり、夜襲して生徒を誘拐し、自爆テロ要員に仕立てる)だけでなく、携帯電話中継塔や、銀行ATMも、彼らは爆破してしまう。
 このボコハラムのソマリア版が、アルシャバーブである。
 自衛隊のジブチ基地の近くに、こんな連中が蟠居しているのだ。洗脳された10歳の少女が爆発ヴェストを着装してゲートに近付いてきたらどうするか、考えなくてはならないのだ(自爆者の監視&エスコート役もやはり女であるという。その方が官憲に見咎められないからだ)。

「読書余論」 2015年1月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 砲兵監部『改訂 砲科教程 弾丸之部』M16-3
▼防研史料 『砲兵操典 七珊米山砲々熕操砲之部』M18-2
▼防研史料 『野戦砲兵射撃教範』M34-4-8改正
▼防研史料 『野戦砲兵射撃教範』M32-11-15(第3版)
▼防研史料 『野戦砲兵射撃教範草案』陸軍省M33-12-12
▼防研史料 『野戦砲兵操典』M33
▼防研史料 『野戦砲兵操典草案』M33-12

▼防研史料 陸軍兵器学校『弾薬参考書』S15
 13ミリの92式焼夷弾は、弾頭に黄燐が詰まっている。下から三分の一のところに噴気孔あり。ハンダで塞がれていて、バレル内で熔ける。噴気が始まると、空気に触れて自燃。それが曳光・曳煙の代わりになる。ただし、敵機の油槽上部、ガソリン・ガスが充満した部分へ、連続数弾が命中する必要がある。曳光は夜は1300m見えるが、夏は早く燃え尽きる。 ※海軍では曳光と言わずに「曳跟」と言う。

▼史料調査会海軍文庫ed.『海軍 第一巻 海軍黎明期』S56 の前半
 なぜ古賀のGF司令部が『武蔵』からパラオの陸上に移ったか。燃料油はスマトラ東岸にしかない。だから艦隊はそこで訓練させるしかない。かたや絶対国防圏の前線は東正面である。そのため指揮所は東に出すしかなかった。

 1853のフィルモア大統領の書簡。カリフォルニアから日本までは、蒸気船で18日で着く。しかし石炭の消費が甚だしい。だから、日本列島が、石炭の中間供給拠点になって欲しい。
 ※石炭の中間補給が目的だったから、清国への最短ルートである津軽海峡に面した箱館が最初に目をつけられ、開港させられた。そこに貯炭場を置くことが甚だ便利だった。津軽海峡を抜けないとすれば、本州東岸に沿って南下しないとシナに辿り着けない。その場合、太平洋側にいちばん突出した港である下田で給炭するのは合理的であった。いずれも、北極点中心地図か地球儀を眺めないと、すんなり理解できない。

 1860に横井小楠が松平慶永に進呈した「富国論」。まず藩札を発行してそれを百姓に貸し、養蚕を始めさせる。その生糸を開港に輸送して洋商に売る。さすれば、藩札の額面と同じくらいの正金を、1年もしないうちに得ることができるだろう。

 安政5(1858)年3月6日、佐久間象山が梁川星巌へ宛てた手紙。こうなったら、「司馬法に申す所の、両之[りょうし]の手段に仕り候の外無しと存じ候。」 ※象山は勝海舟が見抜いたように「ハッタリ」好きの人。古典からの引用はいいかげんであった。文字は正確でも意味をつかんでいないと思われる場合と、文字の引用そのものが不正確な場合とあり。たとえば天保13年11月24日の「海防に關する藩主宛上書」とよばれる文書の中の「兵法に所謂 以勝予敵 と申ものにて 必敗の道に可有之候」とあるところ。

▼『海軍雑誌』vol.1(M16-10)~
 国会図書館に所蔵されている海軍省の定期刊行物で、ほぼ全部が、海外の海軍雑誌の記事翻訳。
 サハリン島に石脳油が出ると日本海軍が知ったのはM19で、それは英誌情報によったことなどが分かる。

▼『偕行社記事 36号』M23-5
▼『偕行社記事 37号』M23-5
▼『偕行社記事 38号』M23-6
▼『偕行社記事 第8号』M22-2
▼『偕行社記事 第10号』M22-4
▼岩堂憲人『機関銃・機関砲』S57

▼本居宣長著、鶴見誠校訂『石上私淑言』雄山閣文庫S12、原・文化13-7
 ※著者が敢えて書いてないことを「書いてない」と指摘する書評がいちばん腹が立つ――と発言した丸山眞男が晩年、小林秀雄が『本居宣長』の中で触れていないことを批判して腐していた。すなわち古今集の時代の日本の指導層はすでに漢意を注入されてしまっているのに、なぜ宣長は万葉集の方を絶対視しないで古今集などをプラスに評価したのかと丸山は問い、その答えを小林が書いてないことをもって小林を評価しない。兵頭いわく。万葉集時代は、日本がシナから直接侵略のみならず言語による間接侵略を受ける恐れの強い時期だった。また平安末以後になると、宋学の悪影響が日本に及ぶようになった。古今集の時代は、その中間に位置して、万葉集時代からスタートした間接侵略排除の言語政策そのものである和歌の洗練はピークに達し、かつまた、直接侵略の脅威は最も低かった。宣長はそれをありがたがったのだ。

 「うた」という日本語が先にあり、あとから漢字の「歌」を借りている。したがって「うた」を「訓」と言うのは間違いである。古言に「訓」などないのである(p.45)。

 「倭歌」の初出は万葉集の書殿餞酒日倭歌四首。天平2年である。
 したがって万葉集のことは「和歌集」とはいわない。古今以後の題号である。

 「やまと」はもともと今の奈良県あたりの一国について言ったが、神武天皇の橿原宮以降、帝都が次々とそこにできたため、後にはおのずから天下の総名にもなったのである(p.64)。
 おおかた地名というものは、もとは「別名」(固有名詞)だったものが、後に惣名(一般名詞・全体名詞)になるケースが多く、その逆は無い(p.65)。

 うらやすという地名のうらは「うらがなしい」のうらと同じで、「浦」という意味は無い。しかし当て字として「浦」が使われる。

 天上からこの地をさして「あしはらのなかつくに」と形容したのだろう。この地に居て言う場合は「おおやしまのくに」だろう。

 「やまと」に「倭」という字を当てたのは日本人ではなく、唐人である。その初出は「前漢書地理志」である。
 そして『古事記』では、世にあまねく書きなれていない用字にはすべて音声の注記がしてあるのに、「倭」の字には注記がない。よほど昔から普及したのであろう(p.73)。

 その後の日本人が「倭」という字は美名ではないと気付き、「和」に改めた。しかし隋朝では改めてはいない。唐朝になって、「和」と書くシナ人も出てきた。
 その改めた時期だが、『古事記』や『日本(書)紀』には一例もないので、もっと後の時代である。日本紀の第五巻に一例がみえるのだが、それは伝写したときの誤りにちがいない。

 宣長の調べでは、勝寶4年11月から、寶字2年2月までのあいだに、改められたようである。記録は残っていないが、きっと、詔命で公式に改められたはずだ。『拾芥抄』に、その手掛かりがある。

 日本という国号は、わが国の内側で使ったものではなく、わが国の人が外国に示すときに使った国号である。ではわが国の内側ではなんといったかというと、「大八洲」であった。古い詔命には「大八洲天皇」といっている。
 「日本」の使い初めは大化元年秋7月だと思われる。それ以前の用例は後代の改竄である。

 万葉集に「日本」という字があるのは、後代に、古いうたが5文字によめないので「ひのもとの」と無理に読もうとして改竄しているのである。すべて「やまとの」と4文字によんだものである。

 日本という号は、孝徳天皇のときにはじまった。しかし一般化するのに時間がかかった証拠には、それから70年後の和銅5年にできた『古事記』にも、一例も使われていない。

 国号には「おほ」だとか「とよ」だとかを頭にくっつけることが多かった。「おほやしま」「とよあしはらのなかつくに」など。

 唐朝では、当代の国母を「大后」と書いた。それに対して本朝では、当代の嫡后を「大后」と書いていた。このことは、「大」という字の用法もシナ人とは一致させないことに平気であったことを意味する。

 色にそむこころが人を失敗させることは、昔も今も数しらず。だが、人みな聖人ならねば、この思ひはなきことかなはず。
 『魏志』には「其風俗不淫」と日本人を評しているぐらいで、さかしらなことをぬかすシナ人のほうがよっぽどエロきちがいなのである。

 よろずのことに、シナにはよからぬ人がやたら多い。あれほど法令罰則でいましめても悪人悪事はちっともあとをたたないのはなぜだ。「もとより國のわろきゆゑ也。」
 これに対して日本では、人のふるまいを儒学者のようにほめたり謗ったりしないにもかかわらず、悪人は少ないじゃないか。これは「神の御國の故ぞかし」(p.103)。

 法師も恋歌をよむ。みな仏菩薩の変化じゃないんだから、それを心に思ったって、恥ずべきことじゃないだろう(p.104)。

 百両の小判は欲しく思うが千両の小判は欲しいとも思わん、なんてやつはおらんだろう。花鳥風月にすら心を動かされるのならば、女にはその百倍心を動かされてあたりまえである(p.105)。

 詩文によって、上を諷し、下を化するなどという、ウザいマネは、日本人はしないのである。歌をもって教誡にするなんてことは、上代から誰も考えなかったのである(p.113)。

 シナ人は詩を書かせることでそいつが頭がいいか悪いかを判定しようとする。日本国ではそんなためしはいちどもないのである。

 どんなことにも、そのもとのありようと、それをもちうる上での功徳[こうとく]とのわきまえがある。これをシナ人は「體用」というのだ。
 歌の體とは、ただ物のあはれなることをよみいずる、それより外になし。
 歌の用にはいろいろとあるが、思うことをよみ出れば、心につもりてたへがたきあはれも、をのづからなぐさむ。これが第一だ。

 歌というものは、それを見聞くときは、わが身のうへにつゆしらぬ事も、心にしみてはるかにをしはかられる。
 そしてその結果として、世の人のためにあしかるわざは、すまじきことと思うようになる。

 いかにさとり深く、才[ざえ]かしこきも、人の心は をよぶかぎりのあるものなれば、いにしへの聖人が考え定めて言い置いたこと、後代にははるかに違ってしまい、思いの外になっている。

 日本では、日の神は姫神であり、月の神は彦神である。シナの陰陽思想の逆である。だからシナ渡りの五行説などはすべて日本ではひがごとなのであり、それで和歌の31文字の理由を説明などしてはいけない(p.141)。
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