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『こんなに弱い中国人民解放軍』は、もう書店で売られてます!

 すいません、本日までに見本が届かなかった人は、今回はわたしからの贈呈の対象から外れたと判断してください。数に限りがございまして、なんとも恐縮でございます。

 以下、ニュース記事から いくつか。
 David Tweed 記者による2015-3-23 記事「Hundred years of humiliation spurs Xi's war on military corruption」。

 シナ人にとって恥辱の戦史は、日清戦争における「The Battle of Yalu in the Yellow Sea」である。※黄海海戦のことだと思われる。しかし鴨緑江のヤールーと黄海のイェローを混同しているということはあるまいな?

 清国艦隊の方が優秀な最新艦を備え、その大砲は日本の聯合艦隊より強力であった。だから清国指導層は、清国が楽勝すると自信満々だった。

 ところが砲弾に問題があった。S.C.M. Paine 著の『The Sino-Japanese War of 1894-1895: Perceptions, Power, and Primacy』によれば、日本海軍との海戦に臨んだ清国軍艦の砲弾には、セメント粉や陶器屑が充填されていたり、大砲の口径にマッチしないものが多かったという。
 つまりは正面装備は立派な物を輸入したのに、それを機能させる補給品に関しては内部腐敗のピンハネのため正規の状態は維持されていなかったのだ。そして、同じような腐敗がその後もず~っと、今日まで続いているのである。

 ※『こんなに弱い中国人民解放軍』にも書きましたが、清国艦隊には英米人の幹部が乗組んでいて、砲術長や機関長などは英米人だった。艦によっては艦長が実質英米人であった。海戦に敗れた責任の全部とはいわぬが、一部は彼らも腐敗してたんじゃないの? 砲弾の不適合をなんで砲術長が把握してない? おかしいでしょ。さんざん訓練しているんだから。

 黄海海戦で負けたのは、シナ政府とシナ軍隊が腐敗していたからだと、中共空軍学校副校長の少将は生徒たちに教えている。

 SIPRIによると、中共はロシアとフランスから兵器を最も輸入しており、その最大の金額品目は「エンジン」である。

 先月、研究者デニス・ブラスコ氏は中共軍を見えないところでむしばんで崩壊させている10の弱点について公表した。
 Rand研究所も2月に中共軍の弱点を研究発表している。

 どちらも強調してるのが、指揮官の他に政治将校が口を出す二重運用。
 平時は二重統制でいいかも知らん。しかし実戦が始まったら、意思決定のスピードが早い方が敵を翻弄できる。二重統制では、それが速くできる気遣いはねえ。

 もうひとつは、演習がふまじめ。出世のための「展示」の場でしかない。指揮官の能力や部隊の機能を真に試す困難な情況が与えられることがない。したがって、指揮官が少しも鍛えられていない。

 1月21日の軍の新聞に報じられたスキャンダル。ある歩兵は、演習仮設敵のレーザーが当たると「戦死」になってしまうので、それを避けるため、自己の纏った受光センサーに飯粒をはりつけてクリスタルボーイ化し、不死身となっていた。これも、出世をするためには戦死しない方が上司の評価が高くなるためだ。

 ランドが紹介する涜職事例。将校たちが、軍の官給の住宅を民間市場で売って大儲け。また軍用車用のナンバープレートを私有車にも取り付けることによって、ガソリンを只で給油してもらっている。

 もっか中共は国連のPKFとして南スーダンに700人派兵することを検討中である。
 シナ海軍は黄海海戦いらい、実戦をしたことがない。それは確かだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-3-23 記事「The Plot To Kill The A-10」。

 報道されない裏話。米空軍は、CASなんてやりたくない。CASは陸軍の下僕に空軍がなってしまう流儀だから。空軍は、あくまで空軍単独で戦争したい。たとえば敵の後続梯団に対する侵攻阻止爆撃とか戦略爆撃。

 それゆえ、A-10廃止を最も望んでいるのは、米空軍上層なのである。

 海兵隊はこの心理性向をよ~く知っていた。だから、固有のF-18にCASをさせる。自軍にてCAS専用機を持たなければ、空軍機も海軍機も、地上の海兵隊員を援護なんかしてくれやしないのである。

 米陸軍としては、A-10にはずっと残ってもらいたい。なぜなら、F-16はCAS以外にも使われるし、パイロットはCASは嫌いである。空戦や奥地爆撃の方が彼らは好きなのだ。空軍がF-16やF-35ばかりになったら、CASはなんだかんだと理由をつけて後回しにされるだろう。

 かたやA-10ならば、CASしかできない。空軍機でありながら、それは陸軍専従のようなものである。これは陸軍部隊にとっては、すこぶるうれしい。空軍の資源を陸軍に隷従させることができるのだから。

 訓練飛行だって、F-16/35 だったら、空戦ばかりやりたいにきまっている。A-10なら、CAS訓練しかするものはないのだ。

 次。
 「NASA Running Out of Nuclear Fuel For Batteries」という2015-3-23の記事。
 NASAがボイジャーのような宇宙探査機に搭載するアイソトープ電池に使うプルトニウム238の在庫が尽きた。不拡散政策で、厳重にとりしまった結果だ。
 Pu-238は、核兵器製造工程で生み出される副産物。熱をもっている。
 グレードの高いものは、MMRTG=多目的放射性同位体熱発電機 の燃料となる。
 そしてNASAは、その効率を4倍に向上させたASRG=改善スターリングエンジン式放射性同位体熱発電機 も計画していた。
 だが予算圧縮のため、2014にその計画は潰された。

 燃費の悪いアイソトープ発電機と、あと3個分くらいのPu238燃料しかないのだ。次の宇宙探査機は、どうすりゃいいんだ?

 ※発熱し続ける原発廃棄物を「スターリング機関」の熱源とすれば、そこから電力を回収できるってことですよね。どうして日本ではその研究をしないんですか?

 次。2015-2-5のちょっと古いドローンの記事「Why the US Government Is Terrified of Hobbyist Drones」を、自己メモ用として摘訳しておく。

 ホワイトハウスに侵入&墜落して騒ぎになったクォッドコプターは、値段が400ドルのシナ製オモチャであった。

 メーカー名はDJIという。墜落したのは「ファントム1」という旧製品だが、新型の「ファントム2」なら、重さ3ポンドの爆薬を吊るして飛べる。

 ファントム・シリーズは、iPodで簡単に操縦ができる。
 事故をうけてこれはヤバイと察したDJI社は、「ジオフェンス」(GPS geofencing)機能を、ダウンロードにてアップデート搭載できるようにした。ホワイトハウスから15.5マイル以内には接近できなくする。

 すでにDJI社は、2014-4から、空港エリアに関しては自動侵入阻止機能をもたせていた。すなわち大飛行場のノーフライゾーンに1.5マイルまで接近すると、自動的に高度を上げられないようにしていた。
 が、ホワイトハウスについては、忘れていたのだ。
 ただし同社は、天安門広場に侵入できなくするソフトはその前から搭載させていた。

 ソフト上のノーフライゾーンは、どんどん増やされるだろう。ソフトのアップデートも、次々に必要だ。
 たとえば、ドローンの悪用法としては、少量の麻薬を吊るしてメキシコ国境を往復させることが考えられる。それを防ぐには、国境地帯をノーフライ指定しなければならぬ。

 オモチャのドローンは、ふつうは高度400フィートが許される上限だ。空港には500フィート以内に接近してはいけない。

 ダウンロードで自動更新されるソフトには、おそろしい未来が待っている。
 2009にキンドルのユーザーはとつぜん、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』と『動物農場』を読めなくなった。これはアマゾンがリモコンで消去したのだ。ジェフ・ベソスはあとで謝罪している。

 同じことが、これからは自動車搭載ソフトウェアについても、起こり得る。※ロボット三部作当時からの主張ですが、まもなく自動車も住宅も「ロボット化」します。この流れは止められない。その基本ソフトをアメリカ企業に支配されたら、さしものトヨタもおしまいだってこと。

 ホワイトハウスに墜落したのはファントム1で、こっちにはアップデートはなされない。ファントム2のユーザーも、マックをインターネットにつながなければ、アップデートされないので、ゲオフェンスは効かない。

最新刊『こんなに弱い中国人民解放軍』は、いよいよ来週 書店発売です! 新書コーナーの講談社のゾーンで手にしよう!

 所変われば品変わる。米国人は軍人もふくめて、住居の床下の「ラドン濃度」に戦戦兢兢としているようだ。そんなんで 核戦争に臨めるのかよ? 敵国は、なにも核兵器を使わなくたって、「放射能霧」を撒くだけで、米軍の作戦をフリーズさせられるってことだな?

 『星条旗新聞』は、沖縄本島の米軍人家族用住宅敷地における「ラドン値」を十年くらい前から問題にしている。横須賀近辺では数値はじゅうぶんに低いらしいのだが、嘉手納周辺だと数値が高いそうなのだ。記事に言及は無いけれども、三沢でもそんな騒ぎは聞かねえだよ。ということは、福島から沖縄にわざわざ避難した人がいたけれども、それはちっとも安全じゃなかったってことですかい?

 以下、Erik Slavin記者による2015-3-20記事「Families struggle with radon in military housing」を見ましょう。

 米国EPA(環境省)は、空気1リッターあたりに4ピコキュリー以上のラドンが検出されるかどうか、を、基準値にしている。もしそれ以上あったならば、その建物からラドンを吸い出して外に散らばらせる措置工事が推奨されるのだ。

 ノースカロライナ州の海兵隊基地キャンプ・レジューンには地中に汚染物質が遺棄されていて長年、飲料水が汚染されていたというスキャンダルがあった。おかげで腎臓に癌ができて片方を摘出しなければならなかった海兵隊員がいたりする。だから沖縄の放射能に神経過敏になる海兵隊員やその家族がいるのも道理である。

 米本国では、住宅のラドン・レベルを客に正直に告げずに売ったり賃借するのは違法である。
 米国の多くの学者は、高レベルのラドン雰囲気中で三年暮らせば癌になるという話に同意する。

 連邦政府の見解では、米国領土外にある米国施設に関するラドンの公認許容値というものはない。

 嘉手納には嘉手納の規準が、米空軍によって設けられている。それは米本土のEPAの設定値より5倍大目である。その数値に達したなら、ラドン軽減工事をするための補助金が出るようになる。

 そこから実際の工事がなされるまでに、沖縄では平均442日、待たねばならない。嘉手納以外の米空軍基地住宅では、3年くらいは待たせるというのが普通だから、これでもずいぶん早いのである。

 問題は、米空軍の異動転勤は3年ごとにあるということ。3年待ってくれということは、永久に放置されることと、意味が同じなのだ。

 米陸軍と海軍では、EPA基準値より5倍のレベルまでの物件については、緩和工事を5年以内にさせるようにしている。そしてもし5倍を超えているならば、そこについては6箇月以内に軽減工事をしなさいと指導している。さらに、もしもEPA規準の40倍のラドン濃度が検知されれば、その住宅には3週間以内でラドン対策工事がなされる。

 ラドンは、地中のウランの崩壊によって発生する。通気性の良い家屋ならば、それが屋内に籠ることはない。しかし気密性が高い建物や、地下室、クロゼットなどには、ラドンがトラップされてしまうのである。

 米本土全体だと、住宅15棟に1棟は、EPAの基準値以上のラドンをトラップしている。土地としては、北東部、中西部、大草原地帯州において比較的に高い。
 グァム島では、住宅の27%が、EPA基準値オーバー。

 WHO統計によれば、日本ではほとんどの場所が低ラドン。
 ところが沖縄のコンクリート製の米軍用建物に関してのみ、話が変わってくる。
 台風に破壊されないように強度が追求されている結果、エアータイトにできているから、ラドンをトラップしやすいのだ。省エネ住宅は、高ラドン住宅となってしまうジレンマがある。
 ※ちょっと待てよ。礫岩帯の上の家なんて九州以北のどこにでもあるだろう。嘉手納の地中には「原爆の残滓物」でも埋められてるのと違うか? そのウランが地下水で拡散しつつ崩壊してるってことは考えられないのかよ?

 EPAによれば、米国のノンスモーカーが肺癌になる原因のトップはラドンであるという。そして、毎年数万人が、ラドンを原因とする癌で死んでいるという。

 リッターあたり4ピコキュリーのラドンがある家で1000人の人が70年間暮らしたとする。EPA統計にしたがえば、62人のスモーカーと、7人の非喫煙者が、肺癌になるだろうと推理し得る。
 これが20ピコキュリーだったならば、スモーカー260人と、ノンスモーカー36人が、肺癌になるだろう。

 ただし4ピコキュリー/リッターというのも、いちおうの基準値にすぎず、これ以下なら安全だと米国政府が保証しているわけでは、ぜんぜんないのである。※ラドンが少しでもあれば、そこは危険なのである。つまり、肺癌に罹りたくなけば、人は沖縄には住んではいけないのか。アメリカ人の健康観・安全観からすると。

 じっさい、欧州と中共では、2.7ピコキュリー/リッターから、肺癌の危険が急増すると結論している。WHOはその基準値を支持している。
 ※日本は基準値がそもそもないんだから、凄いね。これが知れ渡れば日本に土地を買おうというシナ人も減るかもなぁ。

 土地の土壌景観が、米国東部諸州のように岩石の多い地帯。そういう場所では、ラドンも全般に高濃度になる。 ※尖閣も岩石でできてますよね。

 ラドン軽減対策工事とはどんなものか。沖縄だと、住宅の基礎部分に地中まで穿貫する孔をドリルで開ける。そして地中のガスを換気扇で強制的に吸い出し、オープンエアに放出してやる。システムといっても、それだけだ。だいたい、1日で工事は終了する。
 ※てことは、いわゆる「ベタ基礎」は、良いことづくめではないのだな。拙著『農業安保論』でも考究してますが、日本でもし「100万円ポッキリ新築住宅」を実現するのなら、「基礎をいかに簡単にするか」が勝負だと思われますので、これはむしろ朗報じゃないか。ノーパンクタイヤのトレーラー・シャシ構造とするのが、いいかもしれない。

 ラドンは、児童にとってより危険である。子供の肺は小さいため、呼吸頻度が大人の二倍あるためだ。10歳以下の子供は、おなじ被曝時間でも、大人の2倍、肺がラドンに接触する。

 ラドン軽減工事は、米本土なら1軒あたりだいたい1200ドルで済む。しかし沖縄では4500ドルかかる。まずシステム物品を米本土から取り寄せねばならず、アスベスト検査などもせねばならず、また沖縄の作業員の労賃が高いからだ。

 次。
 ついでなので、肺癌がらみで、ちょっと2ヶ月前の旧聞だが、スモーカーには信じ難い福音と言えるビッグニュースをご紹介しよう。どうしてこういう記事が今まで『新潮45』とかに載らぬのか、不思議に思う。(それにしても『新潮45』の四月号はその内容の濃さで他の月刊誌を圧倒したな……。)

 以下、ストラテジーペイジの2015-1-30 記事「The Stress Over Stress Relief」より。
 DoDは、将兵に禁煙をすすめてきたが、公式に、そのキャンペーンを中止した。じつは、タバコは兵隊にとってはすばらしいということが、わかってしまったのだ。

 イラクとアフガンの10年以上の経験から、戦場の緊張をやわらげるドラッグとしては煙草がいちばん優れていることがしぶしぶ認定された。2001年の調べで、軍人の3人に1人はスモーカー。民間では5人に1人だが、それには理由があったのだ。

 そもそも欧州人が新大陸でタバコに出合ったとき、まず彼らは、噛みタバコとして習慣を輸入した。パイプと葉巻喫煙がそれに続いた。
 新大陸人は、紙巻タバコを考えたことはなかった。それを欧州人が発明したことにより、喫煙習慣は急速に普及した。
 やがて第一次大戦で、タバコが戦場ストレスを緩和することは庶民に広く知られた。

 人類が皆、若死にだったころは、たばこの副作用など、なんの問題でもなかった。しかし長生きするようになったために、これがまずい問題だと認識されるようになったのだ。

 たとえばタバコが欲しくなるのは、空中給油によって連続30時間も飛び続けなければならない1950年代以降の長距離重爆クルーたちである。
 かつて空軍は、これを覚醒剤で解決しようとした。
 だが覚醒剤は、人を攻撃的にして判断力を狂わせるというまずい作用がある。
 いちおう、新型覚醒剤としてデクストロアンフェタミンdextroamphetamineがある。アンファタミンよりは緩慢であり、食欲抑制剤としても利用されるのだが……。
 抑鬱剤や、精神安定剤もいろいろと生み出された。だが、どうも戦場では、タバコほどに、具合はよくない。
 ※ステロイドの打ち過ぎで平常粗暴になってるから、それを緩和する必要があるのか。

 兵隊に暴力ゲームを与えて余暇に遊ばせることは、戦場ストレス中和剤になるか? これは長期副作用が解明されてない。

 けっきょく、害が許容範囲内で、効果が間違いなくあり、理想に近いといえる唯一の戦場ストレス中和剤は、いまのところ、煙草だけなのだ。これを、国防総省は、認めざるを得なかった。
 ※わたくしはノンスモーカーでありますが、自衛隊時代「キャビン」の匂いだけは識別できるようになりました。そして今、軍歌『討匪行』の歌詞:「すで~にィ~たば~こ~はなく~なりぬゥ~、たの~むゥ~マッチは濡れェ~果ァ~てぬゥ~」の味わいが増すのを覚ゆるのであります。

ベトナムに武器を売ってもいいが、投資をするのはヤバい。その理由を、『新潮45』の4月号に書いているので、関心ある人はお読みください。

 中共海軍には、米・日・豪軍の潜水艦が南シナ海に入ってくるのを止める方法がたったひとつしかない。防禦目的での「浅海面用沈底機雷」の敷設である。そして、手前で仕掛けた機雷の位置を精密に記録する能力が、シナ海軍の特設敷設艦(多数の漁船の徴用)には無い、と来ているのだ。
 つまり、日本企業がベトナムに工場を造ったって、中共の機雷によって南シナ海が半永久に通航不能になるのだから、投資は結局、回収できなくなるであろう。

 中共の公船による侵略(グレーゾーン/クリーピング・アグレッション)を周辺国が阻止するには、平時を戦時に切り換え、警察機関ではなく海軍(海自)が前に出て敵公船を撃砕する必要がある。米国務省の伝声管にすぎぬ日本外務省にはその「切り替え」能力は無い。しかし自衛隊とフィリピン軍にはある。
 わが領海内に、主権国家の平時の当然の権利として、機雷を敷設することである(フィリピンも同様)。これを知って、敵公船がわが尖閣(またはフィリピン沖のスプラトリー)の領海を敢えて侵犯すれば、シームレスに平時が戦時にきりかわってくれる。わが外務省がいかに無能でヘタレでも関係はなくなるのだ。

 シナ海軍と海警は、習近平の統制下には無い。だから日本(またはフィリピン)が機雷を仕掛けたと聞けば必ず向こうから出てきてこっちの領海に突入して戦争を始めてくれる。そのようにして平時が戦時に切り替わるとこんどは海自の潜水艦のシナ軍港への接近を恐れて彼らが防禦用の機雷をあたりの海面に数万発も撒きまくり、それで勝手に自滅してくれる。アジアはやっと平和になる。シナ人の専制支配から、アジア人民は自由になれるのだ。

 インド海軍も、対支有事となって、その必要が認められたならば、その戦術潜水艦によってマラッカ海峡に機雷を撒くことが、簡単にできてしまう。それだけでも、中共はもうおしまいだ。インドはじつは切り札を持っていたのだ。
 その場合、日本も影響を被ってしまうが、日本にとってのシーレーンはマラッカ海峡だけじゃないので、我慢することができる。かたや中共は、マラッカ海峡が塞がれただけで、体制そのものが崩壊してしまう。これは全アジアの利益である。

 ベトナムやフィリピンには、機雷を撒くことだけに特化したミニ潜水艦を格安で輸出するとよい。コロンビアのコカイン密輸組織や、スウェーデンの一個人、あるいは米国の小型船舶メーカーすら、レッキとした「潜航艇」(数人乗り)を製造できるのだ。せいぜい深度数十mしかない南シナ海に機雷を撒くのには、そのレベルで十分だ。そして中共海軍には、そんな豆潜航艇を探知する能力が、事実上、ゼロなのだ。
 魚雷発射機能の無い潜水艇は格安で建造でき、訓練も何もいらない。オフザシェルフ製品として、「売りっぱなし」で済む。メンテナンスも買い手がなんとかできる。そう、トヨタのオフロード車が、アフリカや中東のゲリラに愛用されているようにね。(トヨタのISISをパロディにしたおふざけ動画がすこし前に米国で話題となったが、日本国内のユーチューブ紹介サイトではものの見事に「自己規制」スルーされているようだ。トヨタおそるべし。)

 農水省がコメではなくイモを作付けすることで、ある程度の有事カロリー自給を考えよう、と、政策転換した。しかし『兵頭二十八の農業安保論』でも説いたように、日本の近未来の有事とは、LNGは入ってきても、原油は入ってこなくなる(なぜならホルムズ海峡とマラッカ海峡が機雷で閉塞するから)、という事態なのである。
 日本のトラクターが電動式になっているならばいざしらず、軽油や灯油で運転される農機はすべて動かせなくなる。収穫品を配送するトラックだって動かす余裕がなくなるだろう。肥料だって一気に値段が何倍にもなる。それらを前提としない皮算用は、すべて夢遊病の世界のできごとだ。

 警察は、「ワイヤー付き迫撃弾」を警戒すべきだ。それを山の中の送電線めがけて発射すれば、原発は送電先をうしなって、機械保護のためシステム停止するしかなくなる。迫撃弾は、時限発射式にして、山の中に残置すればよい。(これについては今書店で売られている『Voice』四月号の兵頭記事も御覧ください。)

 災害と戦争とテロに対して靭強な日本社会は、山の中に小規模なLNG発電所を分散的に多数建設することで、実現する。電気の地産地消であり、また、広域ネットである。それには、ガスパイプラインの全国構成を先行して急がねばならない。
 発電所が多数分散しているなら、有事の巡航ミサイル空襲にだって強い。原発のように海際にあると、韓国軍艦の艦対空ミサイルでも精密に燃料貯蔵プールを直撃されてしまうけれども、山の中の多数の小規模発電所が簡単に全滅することはない。

 以下、余談。
 冬になると長野市街から南西(軽井沢の方角)によく見える「菅平[すがだいら]高原」という大雪原がある。四阿山[あずまやさん](2354m)の南東斜面なのだが、この「すが」も、「しが」の転訛なのかもしれないと思った。
 もしそうだとすると、「しが」はもともと氷のことではなくて、里からよく望める顕著な雪山のことを呼んだ言葉だったのかもしれぬ。

韓国軍艦『Kim Ki-jong』号は何時進水するのか?

 今年はきょくたんに雪が少ないとよろこんでいたら、約定をたがえず、また3月10日のドカ雪が1日遅れで来た。
 ところでみなさんは「すがもり」という言葉を耳にしたことはおありだろうか。

 「すが」は青森県で「氷」を意味する方言らしい。そして北海道の建築業界で「すが漏り」といえば、軒庇下や屋根裏が、融雪水の浸透→氷結→融雪→……の反復によって長期的に木質部や不燃ボードの破壊が進行してしまうことを言う。(屋根の張り出した部分の下面に張る板は火災の延焼防止を考えて木材の使用が禁じられている。昔は石膏板だったが今はシリカ系とかの新素材。いずれにしても強度はほとんど無い。)

 滋賀県の「しが」がもともとの語源だろうと私は勝手に思っている。
 比良山地は京都にあれほど近いのにあれほど積雪が多い。だから氷の国といった意味で「しが」と称されたのではないか。
 長野五輪の会場のひとつでもあった「志賀高原」。語源は同じだろう。
 ただし「しが」が氷を意味するという人々の認識は、近畿でも信濃でも、とっくになくなった。それほど古いということだ。
 それが東北地方北部では発音が「スガ」に転じた。しかしそこでは、もともとの意味がちゃんと残っているのだ。

 以上は余談だが、しからば「スガ漏り」という建築業界用語は全国区で通ずるか? たぶん東北地方の南部以南では聞かれないのではあるまいか。私は長野市育ちだが、函館に転居するまで聞いた覚えがない。

 ここに、北海道の住宅の難しさがある。内地の気候しか知らぬ者がデザインしても、すがもり対策や落雪対策がよく考えられておらず、屋根の辺縁部や落雪・落氷を受け止める箇所の傷みが早くて、オーナーにはメンテナンス費用(修理費用)がコンスタントにかかり続けることとなり、はなはだしくは隣の家や通行人にも毎年のように危険を及ぼしてしまう。
 さりとて北海道は市場としては弱いから、そこを基盤に、メンテナンスコストの低い、完成度の高い耐寒住宅の設計技法が急速に進歩して行くだろうとは、あまり期待はし得ないのだ。

 老後にまでもかかってしまう住宅メンテコストをいかに軽減できるか、真剣に考えたこともない人間が、最近流行の、サイコロ形の、ほとんどデコラティヴな装飾がない戸建住宅を見れば、「つまらない」という感想を抱くかもしれない。しかしあのキューブ形状は、許容可能な新築予算の木造構造として、屋根の辺縁部を最小にし、落下物の破壊範囲を最小にするという点で、現時点での最善に近い解答なのだろう。
 ……と、築・数十年の借家に住みながら思ったのであった。

 この前、大家さん経由で風呂場の屋根の庇下の、剥落しかかっていた不燃板(もちろん原因はスガ漏りと「つらら」の引っ張り力)を交換してもらったときに、工事の親方に話を聞いた。この板を、たとえば「有孔セラミック板」にしたらどうなるか。たしかにメンテフリーにはなろうが、初期コストが数百万円は増えるということがわかった(1平方センチで数千円というフザけたオーダー)。
 これも、北国の住宅市場の規模が小さいせいで、セラミックメーカーが、建築に使える燃えない丈夫な薄板を、開発してくれてないんだろうね。残念です。
 しかし間違いなく広域火災予防には貢献するんだから、政府も補助金くらいつけたれよ。毎年台風の強風で剥がれる西日本の屋根だって同じですよ。チタン合金の屋根材を普及させたれよ。補助金で。そうすりゃ北朝鮮のミサイルなんて怖くなくなりますよ。

 すが漏りの予防のひとつの方法としては、屋根裏のいちばん高いところの横の壁に通風孔をもっと開けて、庇下の有孔不燃ボードから入った空気が、屋根裏のスペース内を、もっとよく通り抜けるようにしておくのがよい、という話であった。それだと冬季の「断熱」性はじゃっかん悪くなるのかもしれないが、屋根裏が破壊されてしまうリスクよりは、マシなのだろう。

「雑草は5cm残せ」――イスラエルの対ゲリラ国策をひとことで言えば。

 中東人は雑草で困ったりしないからこんな格言は無い。これは ひきちガーデンサービス著『雑草と楽しむ庭づくり』(2011刊)の142頁に書いてあったことから兵頭がヒントを得たのである。刈り高5センチにしておくと、地表は日蔭になるので新たな雑草の発芽はなくなる。また、地際で刈られた草株は全力で再生しようとするけれども、地上に5センチだけ残っていれば、そのパワーは出てこないという。
 よって、除草剤を用いないで庭の雑草を最小に抑制して行くには、常に長さ5cmで刈り続けるのがよい。抜くのは徒労であり、地力にも悪影響がある。

 ISILはイスラエルが育てた。それはシリア国家を弱めるために都合がよかったからだ。またスンニ派と敵対するシーア派ヒズボラがロケット弾を発射するための秘密拠点についての情報なども、見返りに受け取ることができた。
 アサド政権は原爆を造ろうとしていた。それを不可能にする最善の手が、ISILその他の反政府ゲリラを後援して、シリア政体をガタガタにしてやることだった。
 シリアに秩序が戻れば、スンニ派であれシーア派であれ、また原爆を造ろうとするだろう。だから、ISIL戡定後も、イスラエルはどこかのゲリラを後援するつもりだろう。ぜったいにシリアにもイラクにも安定した政権はつくらせない。イスラム過激派集団は、イスラエルにとっては小さな害のある雑草だ。ヒズボラやハマスがそうであるように、常に長さ5センチ程度に抑制しておいてやれる相手なのである。
 ゲリラは、しょせん正規の安定した政府ではないので、さすがに核兵器までは造ることはない。核兵器は、連続性のある国家が安定した開発環境を用意しないならば、決して作られない。
 イランやアラブの核兵器は、イスラエルにとって国家の死を意味する(おそらく国民は逃散する)。だからアラブ国家が核兵器製造をしようとするのを邪魔する、それら国内でのゲリラ跳梁や内戦の永続という小害は、イスラエルにとっては圧倒的な大益となるのである。

 イスラエルは、サダム・フセインが原爆開発をするだろうと予想して、アメリカをそそのかしてイラク国体を2003年にぶっ潰させた。アメリカは、有害雑草を根こそぎしたつもりだったが、その地際からISILが再生した。

 もしサダム政体が5センチだけ生かされ続けていたなら、どうだっただろう。それは1992年から2002年までの事態に近いかもしれない。しかし米国人は、米英軍機にときおり地対空ミサイルを発射してくるイラク軍は、我慢ができなかった。5センチどころか15センチくらいはびこっているじゃないかと見えた。イスラエルにとっても、1992年から2002年までのイラクに「内戦」の混乱がないのが不満であった。それは「5センチ」に抑制された事態とは違うのだ。サダム政権は安定して地下で原爆を製造しているのではないかという疑心暗鬼がつのった。

 このとき、イラク内に反政府ゲリラを育てて暴れさせるというプランは、模索はし難かった。なぜならそれはシーア・セクトを応援することに他ならず、アメリカがその天敵イランと共闘することを意味したからだ。

 しかし今、イラクでは何が起こっているかといえば、アメリカとイランの事実上の共闘なのである。

 余談。
 明治初めの斗南藩は、どうして下北半島を東西にブチ抜く小運河を掘らなかったのだろう? 今の六ヶ所の近くなら、もともと低湿地が東西に伸びており、それは簡単だったはずだ。
 あの農業にまったく向いてなかった風土では、とりあえず沖に出なくてもいい「内陸運河漁業」で楽に確実に糊口をしのぎ、かつ、通航料収入で政府を維持するというマスター・プランが、現実性と将来性を兼備していたはずだ。
 とにかく公務員(幕末世襲武士)には、智恵がなかった。亡びるべくして自滅した。

 この運河案は、今日でも有効だ。
 日本海の港から津軽海峡を抜けて関東の港に向かうとき(あるいはその逆コースのとき)、青森港は引っ込みすぎていて、気軽に立ち寄ることなどできない。
 しかし「下北半島横断運河」があれば、立ち寄るのがむしろ普通になり、かつまた、海象が穏やかで安全である。
 また環境面でも何の問題もない。むしろ陸奥湾内の水質が浄化されよう。

 日支戦争は空爆では決着がつかない。それは立ち技である。
 決着は機雷戦で着く。それは寝業である。高専柔道である。
 中共は機雷で亡びる。機雷がチョークスリーパーホールドになる。
 その結果、戦後の津軽海峡の通航量は激増する。恒久的にだ。いつも地球儀を見ている人間ならば、推測ができるだろう。
 米小艦隊も津軽海峡に常駐するだろう。

 日本海から太平洋へ抜ける艦船は、かならず下北運河を通らねばならぬというようにしてもいい。大間原発を韓国駆逐艦の奇襲攻撃から守るために。

ウィッテル氏の新刊『無人暗殺機ドローンの誕生』を一読して

 原題は“PREDATOR:THE SECRET ORIGINS OF THE DRONE REVOLUTION”で、2014年刊。著者の Richard Whittle 氏には、『ドリーム・マシン――悪名高きV-22オスプレイの知られざる歴史』という話題作があったのだが、そっちは邦訳されていない。
 今回の最新作は、文藝春社が2015-2-25に訳刊した。体力のある同社でなければ出し得ない分量だと思う。

 原著者はこの本の取材に5年をかけたという。つまり2009から始めたわけだ。2009といえば、あのP.シンガー氏が『WIRED FOR WAR』を出した年だ。わたしはシンガー氏の出したての原書など当時最新のソースから取材して、『もはやSFではない無人機とロボット兵器』(2009)や『「自衛隊」無人化計画』(その42ページ前後を見てください)や『「グリーン・ミリテク」が日本を生き返らせる!』(その185頁前後を見てください)をまとめたものだ(レディオプレーンとマリリンモンローの関係は当時のネットで検索して承知できたが、重要ではないと考えてわたしは三部作の中には書かなかった)。

 しかしこのたびのウィットル氏のおかげで、シンガー氏も英文ウィキペディアも判っていなかったプレデターの草創期について、すっかり旧知見を改めることができた。

 おそらく、日本でこれから無人機の開発や調達やオペレートや関連法制にかかわる人には、本書は必読である。初期の失敗や、初期の法制上・運用手順上の論争が細かくフォローされているからだ。それらはいずれも、二周回以上も遅れてアメリカを追いかけることになるであろう日本人関係者にとっては、千金に値する智恵である。

 おそらくシナ人は、本書を読まぬうちに「プレデターもどき」と「ヘルファイアもどき」をつくって組み合わせ、ナイジェリア政府などに売ったのだろうから、それらはロクに機能などせぬことは、もう最初から保証付きだとも想像できた。やはりというか、そんなイージーな技術じゃないのだ。だから、プレデターもどきが近々尖閣に飛来しても、あまり焦ることもあるまい。しかし来年になったらば、もうわからない。日本人の想像力や危機意識はシナ人より乏しく、いっぺん痛い目をみてから、はじめてディシジョン・プロセスが動き始めるのだから。指導層に智恵と勇気が足りないとき、時間は日本の味方じゃないのである。

 以下、「ほー」と感心したところ など。

 イスラエルのIAIも、軍人の失業救済機関の趣きがあるんだということこと。真の発明家は、そこでは浮いてしまう。※米国の多士済々はさいぜんから承知するところだったが、イスラエルにも発明家がいたというところがニュース。

 逆V字尾翼でプッシャー・プロペラを保護しようというレイアウトは、大もとのイスラエル人の設計家の当初からの考えだった。※そのため大迎え角で着陸することはできず、機首に重いセンサーが積まれたときには、首脚が三点着地の衝撃で折れる事故が試作中に起こった。この尾翼はけっきょくリーパーで変更された。

 GPSはKAL機撃墜事件を契機に民間向けに開放されたこと。

 80年代に米陸軍が開発しようとしていた「アクィラ」無人機のどうしようもなさ。※たしかカッパーヘッドと組み合せるという案だった。われわれは、アバディーンの印象から、システマチックに新兵器を開発することが米国人は常に得意なのだろうと思ってしまうが、そんなことはないのだ。機能不全を自己修正できないダメ組織はどんな国の中にも発生し得るのだ。たとえば80年代に徹底的な比較テストの末に採用されたはずの米陸軍制式拳銃のベレッタM9も、今では悪評ばかり。海兵隊の特殊部隊もとうとう公式にグロックに変更する気だ。M9は、スライド操作のときにうっかりとセフティがかかってしまったり、埃が入りやすい切り欠きスライド形状(いまごろ気付くのかよそこに、って話)に加えて、サイレンサーが取り付けられないのが特殊部隊として困るという。陸自はDAO(double-action only)の .45オートをサイレンサー標準装備で採用して特殊部隊に持たすべきだと思う。

 RPVがUAVに変わったのは、無人機の自律性が向上したから。※ぎゃくに提案するが、RPVという70年代の呼び名はむしろものごとをずっと正確に表現していたね。われわれはむしろこの呼び名「リモート・パイロッテド・ヴィークル」を復活させてはどうか?

 イスラエルの「パイオニア」の前に「マスティフ」と「アンバー」というのがあったこと。

 ボスニアへ送り込んだ最初のCIAの無人機は「ナット750」というものだったこと。ジェネラルアトミクス製だがプレデターの前駆。

 ジェネラルアトミクスがどのようにして無人機メーカーになったか。それは行き詰まったベンチャーを投資好きの男が買収した結果だったこと。

 米本土からアフガン上空のプレデターを操縦する場合、無線だけに頼ると衛星を二度中継しなければならない。それではディレイが長くなりすぎて危険であるので、まず大西洋横断の光ファイバーでドイツの基地までつなぎ、そこから衛星経由でアフガン上空を飛ばした。

 プレデターを空軍の所管にしようという動きは1996-4。このときラングレー基地の会議室でスライドを映写したら、戦闘機や爆撃機やU-2の少佐パイロット2名らが一斉に軽蔑の念を露わにした。馬鹿にしたような笑い声を出し、ヤジを飛ばし、鼻を鳴らし、敵意に満ちた質問をし、ボスニアでプレデターを運用していた陸軍の大佐の説明を嘘よばわりした(p.135)。※この本でいちばん感心した箇所です。そうだったのか……。U-2の関係者が無人機に敵意をもっているという話は前々から漏れていたのだが、現場はリアルにこんな感じだったとは……。

 ライトパターソン基地の「ビッグサファリ」のドアに銘盤あり。「不可能だと言う者は、実行する者の邪魔をしてはならない」。この第645航空システム群が、空軍内でのプレデター推進集団になった。他のモットー。〈既製品を活用せよ〉〈改造せよ。開発するべからず〉。

 プレデターにヘルファイアをとりつけさせたのは、CIAではなくて、空軍のジョン・P・ジャンパー大将だったこと。
 2000年頃には、軽量小型のレーザー誘導爆弾がなかったので、陸軍のヘルファイアが選択されたということ。

 プレデターを自爆特攻機にすると、それはINF条約にひっかかってしまうこと。地上発進型の巡航ミサイルだと看做される。

 291頁に「船艦」という誤記がある。これは「戦艦」のつもりだろうが、それでも大間違いである。『コール』は駆逐艦だ。『もはやSFではない無人機とロボット兵器』92ページにもちゃんと書いてあるだろう。

 2001にブッシュ大統領が、CIAに、プレデターでビンラディンを爆殺する許可を与えていた。9-11時点ですでにヘルファイア発射の実験中であった。CIAはモスク誤爆を特に恐れていた。※イスラミックテロリストたちは今後、「どこでもモスク」という隠れ蓑を開発して米軍の航空攻撃を逃れようとするだろう。それに対する方途は、シナ製の安っぺー巨大仏像に自爆装置を仕込んで空から投下してやることだ。巨大偶像を彼らは放置できない。破壊せんとすれば、轟爆する。地蔵BOMBが地獄へ案内する。

 プレデターからヘルファイアを発射すると、必ず、目標付近に飼われている犬が命中の数秒前にそれに気付き、一目散に逃げ出す(p.341)。※支那事変中、漢口爆撃にSB-2が高度5000mでやってきて投弾し奇襲になったが、犬だけが着弾より前に吠えたという。擦過音の急接近に気付くのだろう。

 2002-11-3のイエメンでの成功例が、5年前の段階では、初期例としてよく知られていた。しかし実際にはその前に2001-10-7にすでにヘルファイア発射がアフガン上空のプレデターからなされていたこと。その詳細。

 「無人機技術はすでに人間の死に方を変えた」(p.385)。※マルチコプターの宅配便に爆弾が仕込まれていたら、たいへんです。あと、良導体のワイヤーもしくはファイバーを、吊るすか放出できるUAVのスウォームで、高圧送電線を狙われたら、もう防禦なんてしようがない。ギャロッピング現象の短絡で広域同時停電して長野新幹線も止まったのと同じになっちまう。ワイヤーをひっぱる小型ロケットも考えられる。爆発弾頭がついていないから、ヘタレの極左もこしらえやすい。

 プレデターの革新要素は長時間の滞空性であったこと。※だからスピードを追求した「アヴェンジャー」はリーパーの後継になってねえ。

 本書はセンサーその他にはあまり頁を割かない方針のようで、だからゴルゴンステアがなぜ必要かとかスルーしてしまっているが、その方が賢明だ。機体と通信システムに集中したので、名著になっている。

 余談。自衛隊の文官統制が正式に廃止になった。事情を想像すると、こうだろう。ヴィトーの権利は、外務官僚(米国務省の伝声管)と、自衛隊制服に握られている。中間の防衛省背広は、外務からの注文を安請け合いしては制服に拒否られ、制服からの注文を外務に諮っては拒否られという、さんざんな情けない目に遭ってきたのだろう。だから参事官制度の廃止に部内からは誰も反対しなかったのだろう。

「読書余論」 2015年3月25日配信号 の 内容予告

▼『海軍 第14巻 海軍軍制 教育 技術 会計経理 人事』S56
  大部でしかも濃すぎるので 数回に分けて摘録するであろう。

▼防研史料 横須賀海軍航空隊『射弾プロペラ衝撃ノ原因 竝ニ 防止法』S13-7
 同調装置があってもプロペラにタマが当たる事故は防げない。その理由。

▼防研史料 空技廠『研究実験成績報告 射撃兵器第20回実験』S17-5-20 
 試製100個入弾倉(甲、乙)で99式20ミリ1号MGを射つ。

▼防研史料 空技廠『射撃兵器第17回実験』S18-2-2
 九九艦爆などが装備する、92式7.7ミリ旋回機銃改2のテスト。

▼防研史料 『四エチル鉛の発動機各部に及ぼす影響等実験』S10-3-28
 あっと驚かされる。

▼防研史料 空技廠『射撃兵器第12回実験』S14-9-15脱稿
 恵式20ミリの5タイプを比較した。対エンジン貫通力まで調べてある。

▼防研史料 陸軍歩兵学校『機関銃戦例集』大6-7
▼防研史料 軍艦筑摩『機銃射撃指揮法参考書』S18-9
▼防研史料 多賀城海軍工廠『九九式二十粍一號固定機銃二型改一操法草案』
▼防研史料 横須賀海軍航空隊『空中射撃術(旋回銃)参考書』S17-4
▼防研史料 横須賀空『零式艦上戦闘機射撃兵器故障防止ノ要訣 二十粍一号二号機銃 100/60発入弾倉使用ノモノ』S18-8
▼防研史料 『航空機攻撃兵器操式』S6-4-27
 雷撃機を雷装で発艦させるときの地上員の手順。

▼防研史料 横空『高等科航空兵器術練習生用兵器学教科書(射撃兵器)』S10-10
 海軍の7.7ミリ弾は英国式を踏襲して前半分がアルミだった?

▼防研史料 『日本海軍陸上攻撃機の試作生産の経過』
 「泰山」というあまり知られていない大型陸攻の計画があった。

▼防研史料 中島飛行機(株)太田製作所『九七式一号艦攻取扱説明書(草案)』S13-4
 雷装時には燃料満タンでは発艦ができなかったことなどが分かる。
 着艦拘束のときにかかる最大Gよりも、引き起こしで生じ得るGの方が大きかった。

▼防研史料 航本『九七式二号艦上攻撃機取扱説明書』S15-4
 固定脚のレアな九七艦攻である。

▼防研史料 『昭和八年 官房雑綴 四』
 「満州国国歌」のスコアと歌詞がシナ語で確認できる。

▼樋口正徳『アメリカの戦闘力――今次大戦の性格』S16-3
 英国のロスチャイルド家は、ワーテルローで英軍がナポレオンに負けたとロンドンの相場人たちに錯覚させて、みずから株を安値で買い集め、大捷の報で市場が反騰したときに売り逃げて、たった2日間に巨億を成した。

 コンソリのX PB2-Y-1飛行艇は、米海軍が「空の戦艦」だと言っている。

▼本郷弘作『近代兵學』S13-6
 強烈にマル経が臭う一冊。

▼井上昌巳『一式陸攻雷撃記』1998、原S62

▼『水交社記事 vol.8』M24-2
▼『水交社記事 vol.9』M24-3
▼『水交社記事 号外』M24-3

▼大おまけ 『刑事コロンボ』全69エピソードの所見
 ※わたしは新シリーズを未見でした。それでこのさいと思い、米国の中古のノーカット版DVDセット『Columbo - The Complete Series (2011 Repackage) 』を人に頼んで入手してもらい、吹き替え音声も日本語字幕も付いていませんので英文字幕だけを頼りに、旧シリーズからあらためて順番に視聴しました(「別れのワイン」などが含まれた「シーズン3」だけは、なぜか英文字幕も出てくれませんので焦りましたが、何とか理解できました)。やはりこのトシで視るといろいろな発見をします。犯人のクルマはかならずメルセデス、もしくはメーカーIDを抹消したアメ車だ、とかね。そして徹頭徹尾、イタリア系米国人(東部エスタブリッシュメントから見ればヤクザと紙一重のエスニックグループ)の一般印象を良くしてやるのだというピーター・フォークの鉄の意志が貫かれていたのだなあということ。黒人の重要脇役は、ただの一回も起用されなかったこと。また作中設定ではコロンボは朝鮮戦争にAVN=陸軍航空隊付きのKP(厨房班員)として出征していたこと。硝煙反応の取扱や、紙にも付くはずの指紋について、この長期シリーズのどのへんから旧来のリアルでないところが正されて行くか……。正直、わたしはトータルではいささかうんざりしました。それで、ネットから切り離されたクローズドな媒体の中で批判を書き留めておくことに致します。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

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