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夏が長すぎるところに住んでいれば、短い人生は無駄になりますよ

 Rod McGuirk記者による2015-8-29記事「WWII 'Great Escape' Survivor Dies at 101」。
 史実の『大脱走』に参加した元捕虜の豪州人パイロット、ポール・ロイル氏がパース市にて死去。101歳。
 彼は1963年の映画の中で、スティーヴ・マックウィーンがオートバイで走り回るシークェンスが大嫌いだったという。

 この脱走には76人が加わっていた。場所は、ベルリンから南東へ160km〔おそらく今はポーランド領〕にある「シュタラグ・ルフト3」という捕虜収容所で、最寄の町はサガン市である。

 ロイルが死んだことにより、残る唯一の生き証人は、いま英国デヴォン市に暮らす94歳の元編隊長のみとなった。

 史実の脱走は、1944年3月に実行された。
 映画と史実との大違いは、この収容所には、アメリカ人など一人もいなかったのである。全員、RAFの空中勤務者ばかりだった(ただし元々の国籍は雑多)。もちろんオートバイで逃げた者もいない。

 根気のいる、執拗な試みであった。またポーランドの土地柄は陰惨である。それを映画は過剰に明るく、テンポよくしている。そこが、元捕虜たちには気に食わない。

 史実では、3人だけが自宅に帰りつくことに成功した。ノルウェー人が2人と、デンマーク人が1人である。
 23人はシュタラグその他の収容所へ連れ戻された。

 トンネルの長さは110mだった。搬出した土をズボンの裾に入れて、目立たないように外に排出するのが、いちばん苦労したところであった。
 ロイルは雪の積もった森の中に2日間隠れていたが、けっきょく捕まった。最終的に1945-5-2にドイツ内の別な収容所から、英軍によって解放されている。

 ロイルはRAFの中尉で、フランス上空で1940-5に撃墜されていらい、ずっと収容所暮らしであった。
 ロイルは1914パース生まれで、豪州西部の鉱山調査技師であった。
 1939にRAFに志願。

 ロイルの息子は、じぶんの父が有名な大脱走の参加者であったことを、1970年代にそのノンフィクション本を読むまで、知らなかった。
 しかしロイルはかつての仲間の死亡記事などは、切り抜いて保管していた。
 ロイルは戦後は、鉱山の仕事に戻って、1980からパースで引退生活に入った。

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 Matt Yurus記者による2015-8-29記事「Oshkosh, B'Gosh: The US Military Is Finally Replacing the Humvee」。
 5万5000両もペンタゴンがお買い上げくださるであろう高機動軽装甲車JLTVの契約先は、オシュコシュ社に決まった。
 まず初期納入分1万7000両の契約だ。これだけで $6.7 billion である。

 最終納入は2040になるだろう。オシュコシュ社はウィスコンシン州にある。
 この新しい「多目的軽量戦術自動車」は、底面と側面が装甲されている。
 しかも丸ごとチヌーク・ヘリコプターで運搬可能な重さ。MRAPだと重すぎてこれは無理なのだ。

 側面については軽戦車と同じ防弾力。底面に関してはMRAPと同じ耐爆力。そしてATVとしての機動力が求められた。

 JLTVはこれまでのハムヴィーを更新する。
 ハムヴィーは、正規表記はHMMWVなのだが、発音すればHumveeなので、マスコミは記述もHumveeとしてしまうことが多い。
 ちなみにイラク政府軍はモスル市周辺で、2300両もの米国製 Humvee を遺棄し、そっくりISに進呈してやった模様である。無能政府への武器援助は、ただゲリラを強化してやるだけに終わるのだ。

 このたびの競試に参戦していたロックマートは、このペンタゴンの決定には納得がいかないようだ。彼らは告訴を検討している。政府調達をめぐってこのような抗議があった場合は、GAO(会計検査院)が仲裁裁判所のようなものを開催し、政府決定のプロセスを仔細に検分することになる。

 今回の競試は2012によびかけられ、3社(あとひとつはAMジェネラル)がそれぞれ22両づつのプロトタイプを提出し、それを陸軍と海兵隊が14ヶ月もテストしてきた。

 オシュコシュは2016の春から量産を始める。陸軍は2018年までに部隊配備する予定。

聞き苦しき日本語。「べき」は連体形である。そのあとに何が続くんだよ? 「べし」の命令の用法は、終止形「べし」しかないはずです。

 MONIKA SCISLOWSKA 記者による2015-8-28 記事「Radar detects object believed to be missing Nazi gold train」。
 1945年に赤軍が西進してきたのでナチはポーランド南方のワルブルジク市周辺に、金塊・宝石を満載した装甲列車を隠した。財宝ハンターたちが「黄金列車」と呼んできたものだが、このたび、地中レーダーによってその位置が特定された。
 発見されたと主張されている装甲列車の長さは100m以上だそうである。

 ワルブルジク市からウロクラウ市にかけては山がちで、WWII前はそこはドイツ領だったので多数のトンネルが掘削されていた。そのトンネルの一つに列車を引き入れて、両端を埋めたのである。

 これからポーランド軍工兵隊が火薬を使って掘り出すことになるが、作業には数週間かかる見通し。

 今回の発見者たちは、その列車を隠した作業に従事した匿名の男が死の床で伝えた情報を元に見つけ出した。その死者いわく、列車には、爆薬が取り付けてあり、うかつにアクセスすれば自爆するという。

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 Richard Tomkins記者による2015-8-27 記事「Australian company contracted for UAS components」。
 ノースロップグラマン社製の海洋監視無人機MQ-4Cトライトンの量産に、またひとつ、豪州メーカーが参与することが決まった。
 ミンチャム・エヴィエーション社である。

 トライトンは現時点でも60機以上の量産が確定している。滞空24時間、高度6万フィートまで昇れる。最高時速は357マイル。

 過ぐる7月には、ノースロ社はやはり豪州のフェラ・エンジニアリング社と、トライトン用のケーブル、工作機械、組み立て、工具などの下請け契約を締結した。

 ※この機体を海自が買わされることになるのは長期的には必定であるとわたしは予感している。なぜならそもそも空自はグロホなど持っても、電波中継機としてしか使いようがなく、もっと切実に必要なのは海自用のトライトンのはずだからだ。しかし、なりゆきから空自がグロホ利権を確保することになってしまった。ありもしない北鮮の核ミサイル脅威を煽った酬いがコレである。日本の武器メーカーが「エンジニアズ・トイ」構造の安逸をむさぼって、まともな政策提言をしないでいると、どんどん市場の方から遠ざかって行くだろう。

秋めいてきました。

 Adam Szczepanik 記者による2015-8-27記事「Warplanes: Pilot Optional Aircraft」。
  「DA42 Centaur OPA (Optionally Piloted Aircraft)」 という無人/有人・切換式偵察機がでけましてん。

 単価は $4.5 million 也。
 オーストリー製の自重1.4トンの「DA42 Twin Star」という双発軽便機(操縦士1人+客4人)をベースにして、米国ベンチャーが改造した。

 機首、胴体下、主翼下に総計 360 kg のセンサー類を取り付けられる。

 有人機にするときと無人機にするときとでは、操縦士席の備品を変更しなければならない。その変更作業は、2人の整備士が、4時間でできる。
 つまり無人機にするときは、操縦士代わりの「ロボット」を座席に縛りつけるんである。もちろんこのロボットは人間の格好などしていない。

 ロボット・モードにした場合、滞空24時間&ペイロード90 kgだが、滞空時間を犠牲にすればペイロードは 360 kg まで増やせる。

 レンジは 3,700 km以上。
 最高時速 320 km、巡航は 260 km/時。

 有人だと高度5000mだが、無人ならば7500mまでOK。与圧も酸素も必要がなくなるので。

 主機はなんとディーゼル・エンジンである。これは熱赤外線の漏出が少ない。音も、過給ながら他の方式のエンジンよりもずっと小さい。

 まだ試験飛行中の商品であるが、スイスの武器調達局が1機を購入していて、いろいろな性能調査をしているところだという。

 ※日本のマツダは、シリンダー外壁から熱が逃げにくい、短い噴射距離で燃料を燃やしてしまう小型のディーゼル・エンジンを創った。低空をゆっくり飛ばすUAVに求められているのも、こういうエンジンではないのか?

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 Richard Tomkins記者による2015-8-25 記事「Brazil, Sweden signing funding deal for Gripen buy」。

 ブラジル空軍はスウェーデン製の「グリペン NG」戦闘機を買いますよという契約書に今週サインするであろう。
 スウェーデン政府は、必要なカネをブラジルに貸し付ける。その利子率についても話がまとまった。年利2.19%だという。

 この商談では6億リアル=1億7000万ドルが動く。
 ブラジルはサーブ社から36機の「Gripen NG」を買う。
 1番機の引き渡しは2019年になる。
 最後の引き渡しは2024におわる予定。

 15機については、ブラジル国内で組み立てられる。
 その15機のうち8機は、複座型である。

 ※「今すでに有る、出来合いのものを組み合せて最少の改造を施し、必要な武器をすぐ納品しなさい」と指導するのが、有能な軍政家。しかし日本では、メーカーのみならず軍政当局までが、「今どこにもない、理想的なコンポーネンツ」を多数盛り込ませたがる。また、そのようなプロジェクトを推進中である米国ビッグ企業にぶらさがりたがる。それらは半永久に完成しないが、いつまでも完成しないからこそ、創っている者たちには面白くてたまらない。またプロジェクトが永遠に引き伸ばされるので、利権にあずかるインサイダーは数世代にわたり、安定的に潤うのである。こういうのを、エンジニアズ・トイ(技師たちの遊楽)指向と呼ぶ。これをゆるしている防衛省と国会は、国賊のあつまりと呼ばれてもしかたあるまい。

ドイツには国家叛逆罪(treason)がある。確かに日本は学ぶべきだろう。

 ストラテジーペイジの2015-8-25 記事「Slaves As A Fringe Benefit」。

 IS奴隷市の最新の値段表がわかった。子供がいちばん高値で取引される。最高で1人200ドル。十代女子だと125ドルまで。二十代以上の女は100ドルにもならない。

 買い手はそれをどこにでも転売できる。転売価値が問題なのだ。
 ISはそれら奴隷をまず家族に買い戻させようと持ち掛ける。その場合の相場は数千ドル。

 2015-6に東部シリアでISが開催した奴隷オークションでは、ヤズィディの女たちがISの男たちにより、1人500ドルから2000ドルで買い取られた。
 イスラム教徒は非イスラム教徒とは婚姻できない。奴隷女が非イスラムと認識された場合、その女たちは性のオモチャ兼家政婦とされるばかりである。

 アフリカではボコハラムが2014から奴隷制度を復活させている。
 もともとナイジェリアの北東部は、奴隷市のメッカなのだ。現地有力部族が、周辺のアフリカ住民を捕獲しては、それをアラブ人商人に売り、カネを得ていた。アラブ人商人は仕入れた黒奴をアラブ圏内に連れ戻って販売するのである。

 ボコハラムの奴隷制度は、1人12ドルほどで誘拐屋から多数の少女を購い、ボコハラムのメンバーと「集団結婚」させてしまうというもので、この「妻」たちはそれ以後は、ボコハラムがキャンプ地を移動するたびに「荷物運び」となって密林内をついて回るのである。政府軍がボコハラムを攻撃すれば、これらの荷物運びの女たちも死亡するだろう。するとボコハラムは、「政府軍が虐殺を働いた」と宣伝する次第。

 モーリタニアは1981年にやっと法律で「黒奴」制度を禁止した。しかしじっさいにはまだ国内の一部にその慣習が継続しているのだ。その地域の人口は400万人未満だが……。モーリタニアはアラブ圏の南端に位置する。そこより南のバントゥー族が、伝統的に奴隷にされてきた。

 スーダンのアラビック政府も、かつては趣味のようにして南方の黒人地域を襲撃しては、奴隷狩りに励んでいた。

 イエメンでは2010年になっても田舎の方では各戸に「黒奴」が存在し、その総数はすくなくも500人は下らぬと見られた。黒奴は新規に国外から「輸入」もされているし、また、黒奴の子孫は自動的にまた奴隷となるのである。

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 Erik Slavin記者による2015-8-20記事「Users with military addresses among exposed in cheating site hack」。
 “Life is short. Have an affair.”(人生は短い。一度は不倫しましょう)という標語で宣伝している商業サイト、Ashley Madison に個人情報を登録した迂闊な軍人どもに告ぐ。

 貴様らの「セキュリティー・クリアランス」は、今後はロクなものは得られぬものと思え。

 セキュリティ・クリアランスの審査には、「部外者によって脅迫されて秘密の取引を迫られる可能性」の項目もある。この不倫サイトに個人性癖趣向情報などをポカスカのっけちまったような阿呆には、もはや高いセキュリティ・クリアランスが与えらることはない。

 また、ちなみに、既婚者の婚外性交渉は、今の米軍法(Uniform Code of Military Justice)においても「犯罪」である。

 アシュレー・マディソンの親会社は、カナダ資本の Avid Life Media である。
 ハッカーは、データ・ブリーチしたのはオレたちだよと表明したついでに、おどろくべき事実も公表した。このサイトに登録している「女」など、ほとんどいやしなかったのだ。(The hackers included a message along with the data dump claiming that few of the site’s members were actually women, while placing responsibility for the data breach on Avid Life Media.)

 今回のハッカー集団は、愚かな男どもに、涙が出るような有り難いご教訓も垂れてくださっておられるようである。ぐう神?

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 ストラテジーペイジの2015-8-20 記事「SOCOM Again Urged To Use Quotas」。
 特殊部隊が海外で作戦するにはその現地文化に親しまねばならぬ。てっとりばやいのはその現地文化を背景にもった人材を特殊部隊員にリクルートしてしまうことなのだが……。

 問題がある。米国にやってきて数十年も過ぎてしまった男は、アクセントにアメリカ訛りがしみついているだけでなく、その動作がいかにもアメリカ人なのだ。
 そのせいで、わざわざ古巣の国に送り返されても、すぐ現地人によって見破られてしまう。

 良い人材は、常に足りないものである。
 1990年代、米海軍は、年間900人づつのシールズ候補者を訓練する必要があった。しかし2001テロ以前は、どうやっても800人も集められなかった。
 特殊部隊に黒人がいないという事実は90年代に議会とマスコミに気付かれてしまった。
 なかでもシールズは、現在なお黒人は2%のみだ。

 これは事情がある。特殊部隊はシールズでなくとも優れた泳者でなくてはつとまらない。これが大ネック。五輪に黒人スイマーは少ないだろ?
 マイノリティーの子供はプールの水泳教室に通い難いんである。

 アフリカや南米には川があるだろう、と言う人は、わかっていない。熱帯地方の内水で子供が泳いで遊ぶことは超危険なのだ。

 冬のある温帯性気候で、寄生虫や危険生物の遍在しない内水があるところでしか、水泳はレジャーたり得ず、スポーツたり得ないのである。

 もひとつまずいことにマイノリティで「元特殊部隊員」だとまずシャバではカタギの会社に再就職できない。

 また、家族のつながりを重視するラテン系には、長期単身赴任が連続することが、堪えられない。

 それとどういうわけかいまだに解明されないのだが、ラテン系や黒人は、地形を読む能力が劣弱で、未知の土地で、自己位置や目的地へのコースがわからなくなるのである。

 そして筆記テストの成績が悪い。
 米国の黒人少年のあいだではいまだに、ガリ勉は白人の真似であり、すべきでないという文化がある。このせいで学齢期がまったくムダにされてしまうのである。

 ますます、マッチョな白人たちの中に有色人は入って行きにくい。いじめられるのではないかとおそれる理由がある。
 90年代のアメリカは好景気で、軍隊にはクズしか来なかった。そのため今、陸軍歩兵部隊の上層下士官と中堅将校には、人種差別主義者が多い。ホモと婦人兵に対する態度も悪い。

中共のことを「中国」とか呼んでいるうちは、安保法制の必要など政権から国民へ説明できるわけがあろうか。

 Matthew M. Burke記者による2015-8-18 記事「British Royal Marine first to embed with US Marines in new program」。
  米海兵隊と英ロイヤルマリンズが交換隊附プログラムを開始している。沖縄にも2人目がやってきた。ただし常駐は1~2名。それがどんどん交替するしくみだ。
 下級将校が、18ヵ月間、相手の小隊員になる。さいしょ沖縄などに来て、後半1年はノースカロライナのキャンプ・リジューン。

 将来の戦争でインターオペラビリティを確保するのが目的。
 最初に沖縄にきた1名は、8月11日に別なロイヤルマリンズと交替。来年1月にはまた2人来る。

 米海兵隊軍曹の証言。英ロイヤルマリンズから来る隊附中尉は間違いなく米海兵隊の最良隊員1%の資質と互角。文化的特徴は、米軍ほど電気系器材に頼らないこと。

 なお計画としては交換隊附なのだが、まだ米側から英国へは1人も送り込んでいない。
 英マリンズは英海軍の下部組織である。歴史は350年あるが、現勢は6000名にすぎない。
 ※『朝雲』8-13号をみたら、西普連の後藤義之連隊長が「英国は陸軍の中に海兵隊機能を持っている。より日本の自衛隊に近い」と語っている。これはロイヤルマリーンズの話ではないということ?? それはともかくこの後藤大佐は話のセンスからして将来の統幕長で決まりじゃねえかと予感したぜ。

 ※さらに余談ながら米海兵隊には「海兵隊士官学校」も「海兵隊大学校」もない。アナポリスとニューポートで海軍と合同で鍛えられるんである。

 英ロイヤルマリンズは、つば広帽ではなく、緑色のベレー帽。兵隊マリンズだと32週間、将校だと64週間の鍛錬を経ないと、このベレー帽は頂戴できない。

 ロイヤルマリンズのコマンドー・テストには以下のメニューが含まれる。21ポンドの武装+小銃で6.5マイルの荒地を70分のうちに踏破。その翌日、10分で1マイルを通過するペースを維持して9マイルを行軍。3日目。多数の障害物を乗り超えての突撃コース。

 おしまいは、30マイル徒歩行軍である。これはロイヤルマリンズがフォークランド島の実戦でやったことを追体験させるものだ。荷物は40ポンド+小銃。将校は7時間以内で、下士官以下は8時間でクリアしなければならない。

 米マリンズは重量上げとかインターバル負荷メニューが多い。英ロイヤルマリンズはひたすら長期持久力を鍛えさせる。

 沖縄にやってきた英ロイヤルマリンズ君の場合、以上の基礎コースを終えたあと、3ヵ月間、ノルウェーのNATO基地配備となり、アフガニスタンにも半年いて実戦を経験した。
 彼はアフガンでは、米海兵隊の「航空/艦砲射撃リエゾン小隊」といっしょに、長距離パトロールもした。

 ちなみにロイヤルマリンズの将校のほとんどは、下士官からの叩き上げである。下士官は32週間+64週間の教練を経てロイヤルマリンズの将校となる。


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 MARK THIESSEN記者による2015-8-13 記事「Japanese paratroopers in landmark jump over Alaska」。
  8-12に歴史的ジャンプ。陸自の24人がフォート・クリーレイ近くの降下練習地にパラ着地した。

 アークティック・オーロラ合同演習の一環である。それはまた、レッド・フラッグの一環である。

 米空軍のC-130が、アンカレジの200マイル北から、陸自空挺隊員を運んだ。このC-130は普段は横田にいる機体である。

 今年2月、米陸軍の空挺隊員が陸自のCH-47からジャンプしている。

 海上自衛隊のイガラシ・マサヤス中佐がコメントしている。ただし通訳を介して。※通訳が必要なレベルの海軍中佐というのもちょっと情けないが戦前なら「海大」を中佐ぐらいで出てから英米武者修行という段取りだから、大佐まではまだ語学勉強中ってことか。……と、留学経験ゼロのわたしが言ってみました。

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 Chris Kirkham記者による2015-8-18 記事「Floundering for-profit colleges are using the GI Bill to make money off veterans」。
 ※いきなり解説すると、いま米国では、「GIビル」を食い物にするいかがわしいインチキ大学が蔟生していて、大問題となっているんである。こういうのは不況になると湧いてくる悪徳ビジネスで、つまりは復員兵たちはシャバでの再就職が難しいから、ふとっぱらのジーアイビル制度を利用して連邦政府のカネで大学に通って履歴書を飾ろうと考える。それは道理だ。だが、その政府のカネは事実上全額が授業料として大学の収益になるので、三流大学の理事長としたらならばそんなおいしいカモたちはいないわけ。この記事を紹介する理由は、さいきんなぜか日本でもGIビルの話を国会議員が語ったりしていているけども、その者らの背後で糸を引いている勢力が一体誰なのか、謎過ぎるんだよ。日本政府がまず考えなくちゃいけないのは「ROTC」制度の方であって、GIビルなんて、必要無いにも程がある。それと一部野党議員は、公務員が給与待遇に惹かれて職を選ぶのがいかぬと言うのならば、その不徳な公務員たちがつくっている労組との関係を一切断つか、さもなくばわが国の公務員の給与待遇を今の数分の一にするという政策を掲げて選挙を戦うべきだろう。

 ジーアイビルを狙う、いかがわしい私立大学。偽の就職率を謳い文句に、大いに稼いでいる。
 退役兵もそれら悪大学にやとわれて、戦地から戻ったばかりの兵隊に声をかけている。
 不況が続くと、この種の搾取大学が増殖する。
 いまのジーアイビルは、公立大学なら36ヵ月間分の授業料を全額肩代わりしてくれる。私立なら年に2万1000ドルを給付。さらにアパート代の補助もデカいのだ。

 しかし連邦の規制により、ジーアイビルのような政府のカネだけを学校の全収入とする私立学校は、許されなくなっている。すくなくも学校法人歳入の10%は、補助金やジーアイビルとは無関係に稼ぎ出していなければならないのだ。

 ※ところで今、日本で車が売れなくなっているといわれているのは、シナ経済が去年からとっくにGDPマイナス成長に入っていて、その不況の影響が日本まで及んでいるからに他ならない。にもかかわらず、日本の大手無責任メディアはどこもシナ経済のマイナス成長について正確に報じないばかりか、逆に中共のありえないプロパガンダ数値を垂れ流し続けている。そのせいで、末端ディーラーはこの不況の深刻さがわからず、「このくらい売れてもいいはず」という見込みと現実が合わなくなってしまい、広範な損害が発生しているのである。

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 W.J. Hennigan, Laura King and Zaid Al-Alayaa記者による2015-8-17 記事「US boosts support role in Saudi-led airstrikes on Yemen」。
 今月(2015-8)、サウジ主導のGCC軍は大勝利。アデン港と、それに付帯する最大空港を、確保した。
 米軍は45人のアドバイザーをサウジなどに派して協力中。
 サウジとUAEの3000名の部隊がアデンに上陸したのは8-2のこと。これは陸軍の弱いサウジが陸戦を発動させたという画期である。

 GCC軍は、戦車はサウジ軍のルクレール、MICVはロシア製、APCは米国製のMRAPらしい。それでアデンから北へ40マイルおしよせてフーシをアルアナド空軍基地から追い出した。
 じつはこのアルアナド基地こそ、3月にフーシが占領するまで、ずっと米軍の特殊部隊が駐留して、アルカイダに対するリーパー爆殺を続けていた拠点だったのだ。

 しかし米政府は先週、首都サナ市にハディ大統領がふたたび実権を確立するまでは、米国として対テロ作戦の拠点をイエメン内には置かないと声明している。

 フーシは伝統支配地域がサナ市の北側である。そして今もサナ市をおさえている。イエメン政府系戦闘団は、サナ市の南160マイルの要衝タイズ市まで攻め寄せている。

 米空軍は空中給油でGCCに協力中。また、米海軍はイラン船の接近を防いでいる。アラビア海南部に来させない。
 GCCの5軍の他、ヨルダン、エジプト、モロッコ、スーダン軍も加わっている。

 サウジ機はすでに数百人の無辜住民を爆殺している。空爆は2015-3-26からスタートしている。
 爆撃目標の決定と使用兵装の提案を45人の米軍人がしている。空爆中は無人機がライブ中継。それと衛星写真を組み合せて、評価を下している。
 米国の言い逃れ。われわれはベストオプションを伝える。それを実行するかしないかはサウジの責任である。

 サレーはフーシの味方である。サナ市にあるサレーの親類の家は、狙い撃ちに爆撃されている。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-8-15 記事「Iraq: Working Towards An October Surprise」。
 モスルにたてこもるISは今年、すでに住民2000人を処刑した。
 8-1までに、占領下のモスルでは19人の女子がISとのセックスを拒んで焼き殺された。
 イラク政府は2015末までにモスルをとりかえしたいが、その前にアンバル県をなんとかしなくてはならない。

 大半のイラク国民は、ISも憎いが、腐敗した自国将校の下で戦死するのも御免である。
 ISは2000箇所の学校を破壊しながら、それに代わる教育機関をなにも建設しない。
 イラク人は、石油ビジネスのためには教育が不可欠だと承知しているので、そんなISには背を向けている。

 ラマディ市の回復すら、この10月までに可能かどうかは疑問である。アメリカ人顧問は、そうさせたいのだが。
 ISの武装メンバーは、シリアとイラクで総勢2万人。これが現状。

 マスタード・ガスは、アサドの隠匿物資だろう。
 米国は、ISは自前ではいかなる化学兵器の製造にも成功していないと判断している。120ミリ迫撃砲弾に、工業製品の塩素を詰めたものを除いて。

 ベイジの攻防はまだ続いている。
 さいきんも、20台の特攻自動車が突っ込んだ。

 インシルリク基地はシリア国境から150km北に位置する。

 8-2にロシアのエアショウで墜落したミル28N型は、油圧系の不具合だったらしい。クルー2名のうち1名はイジェクトして無事。
 ※以上の記事がさっぱりわからない人は『兵頭二十八の防衛白書2015』の第一章を読もう。たった一晩で、あなたは「中東の専門家」を気取れるようになります!

 次。
 Richard Tomkins記者による2015-8-14記事「FAA issues over 1,000 regulatory exemptions for use of drones」。
 FAAはポジリストでドローン飛行区域を規制する。
 空撮。精密耕作。土地測量。送電線点検などなど……。
 FAAは高度200フィート未満でUAV飛行を許可する。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-8-16 記事「The Hunter Stands Down」。
 米陸軍はMQ-5ハンターを完全リタイアさせた。
 プレデターが1トンなのにくらべて全重727kg、それでペイロードは90kgしかなかった。
 ハンター初期型の滞空時間は11時間。ハンターB型は23時間。
 コントローラーから230kmまで無線が通じる。巡航120km/時、上昇限度5000m。

 MQ-5は1996から実戦投入されてきた。その時点で、10年後にはリタイアさせる予定とされていた。しかし2001-9-11で環境が変わり、続投。
 特に大活躍したのは2005から2010の間であった。

 ハンターは、師団用の無人偵察機を欲していた米陸軍が、1990年代前半にはまだふさわしい国内製品がなかったためにイスラエルから調達したものである。当初予定では400機買う計画だった。

 最初の56機を調達したときはBQM-155という型番がついていた。
 1999のコソヴォ作戦、そして2003のイラク作戦までは、陸軍の師団長たちはUAVなど好きではなかった。初期型には性能の不具合もあったし。
 そこでイスラエルはMQ-5B型を2005に開発。それは重さ44ポンドのGBU-44「ヴァイパー・ストライク」精密遊動爆弾を投下できた。米陸軍は18機を調達。2007までに、その武装型ハンターをイラクに実戦投入している。その時点で米陸軍のハンターは総計47機であった。

 2015現在、稼動可能機として残っているのは30機である。米陸軍は、これを全部、MQ-1Cグレイ・イーグル(プレデターの陸軍版でヘルファイアを発射可能)で更新する。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-8-13 記事「Russia Wants Its Secrets Back」。
 ウクライナ領内で捕虜になるロシア兵が微増中。しかしモスクワ政府はそのような兵隊の存在を否定。
 またウクライナ戦線(ドンバス)行きを拒否して軍法会議にかけられるロシア兵の数が倍増。

 WWII中にロシア人は実は3000万人も死んでいた。モスクワ政府は冷戦中ずっと、その実数の半分だけを公認してきた。
 ※中共はこの3000万という数字に国際宣伝上対抗をせねばと思っている。だから間もなく日本兵もシナで3000万人以上を殺したということにされて行くだろう。無能な外務省を持つと、面白い歴史を学べるよね。もっと確かな歴史。シナ人の今日あるは、対日戦争を昭和12年に決意して実行したからである。戦争したから満州を取り戻せたのである。

裸の麺を「裸麺[ラーメン]」という。民民書房刊。

 Ross Babbage記者による2015-8-12記事「Australia’s Grand Strategy Challenge」。
  豪州の軍事評論家バベジ氏が『ゲーム・プラン』という豪州の将来戦略を語る本を出した。その要点を著者みずから述べる。

 豪州をとりまく戦略情勢は過去とは大違いだ。
 まず、西太平洋経済を西側連合は支配できなくなっている。

 中共の膨張政策は異常である。しかし中共軍は米軍と正面からは戦争できないので、非対称的な手段を開発し、それによって、米国同盟軍の集積度の高い固定基地、後方の脆弱点などを狙っている。

 中共は国内で反乱を起こされないように隣国とどんどん闘争する。いまのところ豪州に対してはサイバー攻撃だけに抑制しているけれども、いずれは南シナ海の8割を中共の領海にしてしまうつもりである。

 米国は太平洋地区にリバランスするとか言っているが、それは口だけだ。太平洋に軍事資源を集中したくとも、その資源そのものが全体として減っているために、できない話なのだ。過去10年で、中共の軍事支出は4倍になったが、米国の軍事支出は12%増えただけである。もし、本気でインド洋~太平洋に集中しようとしても、中東やバルト海など他地域での緊張が起これば、そのつど米国上下の関心はそっちに向けられ、彼らはいつも「気の散った」状態にある。だからわれわれは米国にあまり期待し得ない。

 米ソの冷戦時代、豪州は時代の局外の田舎であった。今は主戦場に隣接している。
 いま、豪州政府は、2022までに国防予算をGDPの2%に増額しようとしているが、この路線は正しい。

 米豪関係を強化する方法だが、まず、米国およびシンガポールと、海上警備について協同せねばなるまい。

 それから、米国、インド、日本などの同盟者の軍隊に対して、豪州は、陸海空のさまざまな環境の大演習地をふんだんに提供できる。その利用を恒常化してもらえば、たとえば米軍が中共の近くに新しい基地をつくって維持しようとするよりもはるかに安いコストで豪州周辺の対支防備強化が実現される。

 豪州は、「理想的な演習場」を西側諸国に対する売り物とすべきなのだ。

 米軍は太平洋の基地が密集しすぎていると感じている。ペンタゴンはこれから50年かけてアジアの米軍基地をもっと分散していかなければなるまい。そのために豪州はいくらでも土地を提供できる。

 信用できる世論調査によると、豪州人の8割以上も米軍との協同強化に賛成である。また6割以上は米軍の恒久基地が豪州内にあってもいいと考えている。

 次。
 Zachary Keck記者による2015-8-12記事「Watch Out, China: America Sends Most Advanced Bombers to Asia-Pacific」。

   米空軍は3機のB-2ステルス爆撃機を8-7にグァム島のアンダーセン基地に配備した。
 ミズーリ州のホワイトマン空軍基地からは、225人の人員も派遣された。
 アンダーセンには普段はB-1とB-52が所在する。2004年以降、ここに夏のあいだだけB-2が飛来(ローテーション駐留)するようになった。中共が戦争を起こすなら夏だからである。

 2008には1機のB-2がアンダーセンで墜落した。2010には1機がエンジン火災を起こしている。

 アンダーセン基地は、シナ大陸の東端から、1800マイル=2900km 離れている。

 過ぐる7月には、2機のB-52が、豪州で実爆訓練を実施した。
 その2機は、ルイジアナ州のバークスデイル基地を離陸して、無着陸で44時間飛び続けて豪州に到達し、投弾したものである。

 B-2は、無給油だと作戦レンジが6000海里。空中給油すれば、1万海里になる。

 次。ストラテジーペイジの2015-8-12記事「Procurement: Magic May Not Be Enough」。
  インドは7万トン級空母を新造する。それを米国が技術支援することが決まった。
 アングルドデッキと、カタパルトだ。

 インドは、ロシアから買った4万トン空母があまりに不成績なので、ロシア型には、もう懲りた。

 米国は、あたらしいインド空軍のテジャス軽戦闘機(改型)のためのエンジン製造についても、協力してやる。この小型戦闘機がとっくに「ミグ21」を更新しているはずであった。

 いつもは技術移転を過剰に迫るインドだが、今回のインド人は、抑制している模様。
 インド国産テジャス機は2012には量産移行していたはずだったのに、ぜんぜんできない。それで、身の程を知った。

 テジャス用のエンジンはカヴェリというインド企業が純国産するつもりだったが、24年間やってみて、ついに無理だとわかった。
 それで数年前から米国にF414エンジンを発注しているのである。問題はその国産化。

 2010年にはインドはフランスのスネクマ社に、エンジン技術の協力をもとめた。しかしカヴェリは仕上がらなかった。

 ※豪州の『コリンズ』級潜水艦と『そうりゅう』の問題についての勘所を知りたい人は、今発売されている『兵頭二十八の防衛白書2015』の「特別編」を見よう! あと、英国はシギント機RC-135の英国版を「エアシーカー」と称して今年から中東に出動させているが、この機種こそはこれからのマスト・アイテムであることがいよいよハッキリしつつあるから、おそらく彼らとしては「P-1」を「エアシーカー2」の母体にしたいんじゃないのか?

 次。
 Deane-Peter Baker記者による2015-8-11記事「Hollow Point Ammunition for the U.S. Army: A Good Idea?」。

 とうとう米陸軍も、国際人道法に違反するおそれのあるホローポイント弾丸を、拳銃用に導入できるという立場に変えた。これは先月、次期制式拳銃XM-17に追加された要求仕様でハッキリした。陸軍スポークスマンは、XM-17は、JHP(ジャケテド・ホロー・ポイント)弾も問題なく発射できるものでなくてはならない――と、さりげなく語ったのだ。

 ※それまでは、1発で敵兵を即座に無力化する威力が要求されていたので、口径は0.40インチまたは0.45インチしかないだろうと思われていた。そうするとNATO標準拳銃弾である9mm口径ではそもそもエントリーができなくなってしまうので、9mmパラベラム陣営にチャンスを与えるために自主規制をゆるめることにしたと想像できる。

 XM-17の競試に勝ち残ったメーカーは、最少でも28万梃のオーダーを獲得できる。

 1899年のハーグ宣言(1989 Hague Declaration)、その「clause IV」の「3」には何と書いてあるか。「署名国は、人体内で容易に膨張もしくは平板化するような弾丸の使用を慎むことで合意する。たとえば、被甲が弾芯を完全には覆っていないような弾丸。あるいは、被甲の裏まで達する切り込みのある弾丸。」

 米国はしかし、「declaration IV, 3 of the Hague Conventions」に署名をしていない。だからその条項には国際法上、縛られない。
 もうひとつ。ホローポイント弾は敵戦闘員の胴体を貫通しないので、その後方に位置する非戦闘員に余計な毀害は及びにくくなる。これは人道法の精神に合致する――といういいわけが用意されているものと推測される。

 ※さてここで問題です。ハーグ条約やオタワ条約に違反する武器弾薬の輸送を米軍から頼まれたら、自衛隊はどうするんだ? その警備を頼まれたら? 今からハッキリしときなさいよ。

 軍隊倫理の研究者として、記者(豪州人のBaker氏)は、ホローポイント弾の導入に賛成である。すでに世界中の警察が、コラテラルダメージ抑制の観点から、拳銃弾をホローポイントにしているのだ。※日本の警察は違うのでは?

 ハーグ会議の時代〔日露戦争の直前。そのため日本はあわてて二十六年式拳銃の硬鉛ムク弾をフルメタルジャケット化している〕には、まともな軍隊が非戦闘員を盾に使うようなことはしなかった。しかし今ではゲリラは民間住宅地に埋伏しているのだ。

 また記者いわく。ハーグ条約の精神が嫌忌するところの、〈単に敵人の苦しみを酷くして長引かせるだけの不必要な障害を与えるための弾丸設計〉はJHPには施されていない。JHPの設計目的は、敵兵の即死率または即時無能力化率を高めることにあり、じっさい、そのように機能している。※このいいわけは苦しい。だったらダムダム弾はさいしょから規制対象として考えられもしなかったはずだから。

 ※兵頭いわく。この問題を真剣に考えると、映画『ロボコップ・1』と同じ結論に導かれる。つまり超軽量の射的用拳銃実包である「.22 ロングライフル」弾(もちろんFMJ)を精密バーストで発射することで、1発の「.45ACP」弾の即時無能化威力に近づける。それしかないであろう。

裸のおうさまを ラオウ(裸王)と言ふべし。

 ストラテジーペイジの2015-8-11記事「Surface Forces: A Rare VLS Event」。
過ぐる7月18日にアーレイバーク級の駆逐艦『サリバンズ』がSM-2をVLSから垂直発射したら、飛び出した直後にロケットモーターが爆発してしまった事故。
 左舷に火災まで発生してしまったが、ダメージは少なく、修理代は10万ドルで済みそうだ。
 過去に類似の事故が1件も無いため、原因究明は、はかどっていない。

 米海軍艦艇のVLSは総計すると約90艦で9000セルもある。

 ちなみに「シー・スパロー」にかぎっては、1個のセルの中に4本、パックしてしまえる。

 VLSは、1982年以降、世界の200隻近い艦艇に採用されており、その四角チューブ数はトータルで1万1000セルを超えた。

 ふつうのバーク級駆逐艦だと1艦に90セル。米巡洋艦だと122セルを置いている。古いスプルーアンス級駆逐艦なら61セルだ。

 1980年代には、洋上で作戦中にチューブへのリロードができた方がよくはないかという論議があったが、いまは、戦争中に洋上で空になったVLSに弾薬をまた装填するような作業はまったく考えられていない。

 ※お待たせしました。最新刊『兵頭二十八の防衛白書2015』は、絶賛発売中です。全国の書店で本日から。

 次。ストラテジーペイジの2015-8-11記事「Weapons: Marines Zero In On New Sniper Rifle」。
 米特殊作戦コマンドは、2013年に、「M21 PSR」を狙撃銃として選択した。※米軍は狙撃銃のことをPrecision Sniper Rifleというようになっている。
 それまでSOCOMは「MSR」(モジュラー・スナイパー・ライフル)を使っていた。

 米陸軍はM24という狙撃銃を用いている。それをSOCOMでカスタムしたものが「Mk13」だが、「Mk13」も逐次に「M21」で更新されつつあり。

 だが海兵隊だけは「M40」という狙撃銃を使い続けている。

 PSRは、全重7.7kgのボルトアクションライフルで、全長1.2m。ストックは縮めることができ、その場合の全長は91cm。バレル(つまり薬室も)は、5種類の中から好みで選べる。すなわち、0.338インチ(=8.6ミリ)ラプアマグナム、.338ノルママグナム、.300ウィンチェスターマグナム、.308ウィンチェスター実包、7.62㎜×51㎜のNATO標準弾 に対応する。

 なかでもいちばんよく選ばれているのは、1600mまで当たってくれる、ラプア・マグナムだ。給弾はマガジン式で5発入りと10発入りとがある。

 M24というのは、「レミントン700」という狩猟用ライフルを軍用にコンバートしたもの。重さ6.8kg。ちなみにM40は重さ7.5kg。

 MSRもPSRもレミントンである。
 MSRは2009から米軍に採用されている。

 いっぽう、米海兵隊はあちこちで、狙撃手のための、2000ヤード訓練射場を建造中だ。M40は1846mも先は狙えない(せいぜい900mである)から、つまり彼らは今のM40を棄てて、SOCOMのPSRに追随したい気満々なのだと推定できる。

 900mと1600mの差は大きい。というのも分隊軽機関銃でタマをバラ撒くと、1000m~1200mくらい遠方にいる敵のスナイパーに命の危険を感じさせることが可能である。海兵隊は、狙撃手のだいたいのポジションを敵から気取られてしまっている状況(アフガンやイラクのような開豁地での遭遇交戦)では、この「分隊軽機の弾雨」によって、冷静な狙撃を諦めさせられてしまうからだ。

 2008年に米陸軍は、「M110 SASS」という「セミオートマチックスナイパーシステム」をイラクとアフガンに投入した。これはかなりの数のM24をリプレイスした。射手本人よりも、その射手たちを指揮統率する中隊長~大隊長たちが、こっちの銃を好ましく思うようである。
 「M110」は、AR-10〔M-16のもとになったストーナー氏設計の7.62㎜突撃銃。余談だが、どうしてゴルゴ13がこれを選択しなかったのか、そもそもの謎だ〕をもとにして、15センチのサプレッサー(消音とフラッシュハイディングと銃口前土埃の巻き上げ抑制を兼ねる)を継ぎ足してある。

明日は『兵頭二十八の防衛白書2015』の発売日です。

 Richard Tomkins記者による2015-8-10記事「Lockheed Martin integrating targeting pod on Japan's F-2s」。
 フロリダ州オーランドでロックマートが発表。日本のF-2用に、「Sniper・アドバンスト・ターゲティング・ポッド」を取り付けてやる、と。

 スナイパーATPの売りは、ライフサイクルコストが抑制されていることである、とメーカー(ロックマートのミサイルズ&ファイアコントロール部門)。
 このポッドは、GPS爆弾もレーザー誘導爆弾も照準&誘導できる。

 ロックマートは、相方の三菱から、すでに2014年に、この装備に関する最初の代金を受領済みである。価額は非公開。

 ※ターゲティング・ポッドの諸問題は、明日発売の『兵頭二十八の防衛白書2015』に、いろいろ書いておきました。是非、ご参照ください。今回の表紙は「10式戦車」です。

 次。
 Steve Weintz記者による2015-8-10記事「Spy Sats and Subs: The U.S. Military's Secret Deep-Sea Operations」。

 1971年に米国は、タイタン3ミサイルを使って、グレイハウンドバスに等しい大きさの巨大スパイ衛星「KH-9 ヘキサゴン」を打ち上げた。これは光学フィルムでステレオ撮影するもので、フィルムの尺は33マイルも内蔵されていた。それを4個の回収カプセル(バケツ型)により、順次にハワイ北方沖へパラシュートで落下させる手順になっていた。

 しかるにこいつは従来のカプセルよりかなり重かったため(フィルム重量1トンという)、落下カプセルは、パラシュートが利かず、空中でのキャッチも、海上揚収もできず、そのまま深海に沈んでしまうのであった。
 苦労して撮影した長期間の成果が台無しであり、すべての撮影を最初からまたやりなおさなければならない。

 それはおもしろくないというので米軍は1971年6月15日に、深海サルベージ作業専用の特殊原潜でカプセルを拾うことになった。
 特に3番目のカプセルが貴重で惜しまれた。ソ連西部と東欧を撮影したもので、その上空が異例に快晴だったからだ。
 しかし時速数百マイルで海面へ突入して、深さ3マイルの海底で水圧にさらされているフィルムは、現像可能だろうか?

 米海軍は1963の潜水艦『スレッシャー』の沈没事故いらい、深海回収技術を磨いてきた。
 おかげで1966にB-52が水爆を海に落とした事故、1968に原潜『スコーピオン』が沈んだ事故のときは、サルベージに成功している。

 他方、1950年代に仏人オーギュスト・ピカールは、『バティスカーフ』(ギリシャ語で「深海艇」の意味)を製作した。

 米国は1963にそれを参考に『トリエステ1』号を、1964に『トリエステ2』号を用意して、『スレッシャー』号の残骸を回収した。

 1965年に米海軍は第三のバティスカーフ型深海作業艇を秘密裡に製作し、事故で沈没したソ連の潜水艦から核弾頭を回収した。
 この作業艇(無名であるという)は、『スコーピオン』の捜索にもかりだされた。

 さて、KH-9のフィルム・バケットだが、それは深度1万6000フィートの海底にころがっているはずであった。しかも潰れた形で。
 イーストマン・コダック社と、海軍の海洋研究所は、深海の水圧に浸されたあとでも生フィルムの現像はできると請合った。
 ※だったら『赤城』を捜索して、牧島報道員のムーヴィー・カメラを回収し、撮りまくった防空戦闘の一部しじゅうを現像すべきだ。

 深海作業艇の艦首にカゴをしつらえ、レーキのようなもの(hay hook)ですくいあげたバケツをそのカゴに放り込んで揚収することにした。

 『トリエステ2』号は、長距離自走はできない。第二次大戦中に建造された浮きドック『ホワイト・サンズ』に潜航艇を載せ、それを航洋型(艦隊型)曳船の『アパッチ』号が曳航して、現場へ。

 この辺だろうという海底に、トランスポンダーが沈められて、作業の目印とされた。

 また、チームは、サンディエゴ沖の深さ4200フィートのところで事前に予行演習もして行った(それはまったく失敗だったが)。

 バティスカーフ型の外郭は薄く脆い。いわば、ガス気球の水中版のようなものだからだ。浮きドックが注水したり排水したりするときに、浮きドックの内壁と接触したところが破損しやすい。

 天候もわるく、いっさいが困難であったが米海軍は作業を強行した。というのは、国際海洋法によれば、こうした公海での遺失物捜索は、A国のサルベージがあきらめて現場から立ち去ったあと、B国のサルベージがやってきて揚収にチャレンジすることは自由なのである。そしてもともとA国製の物体であってもB国が海底から確保してしまったならA国は手が出せない。じっさい、ソ連の沈没原潜を米国は勝手にサルベージして確保している。カプセルがソ連に先に拾われてしまうことを、米軍は恐れたのであった。

 執念は実った。1972-4-25、2名が乗組んで深度16400フィートの海底をなめるようにすすんでいた『トリエステ2』号のソナーに反応があり、ライトを照らすと、トラックのタイヤのサイズの「第三の回収バケツ」が、ついに見つかった。

 ヘイフックに奇跡的にうまく掬うと、バラストの鉄球を落下させて、『トリエステ2』号は浮上開始した。

 しかし浮上の途中で、フィルムを収めた容器からフィルムがどんどん流れ出すという困った現象が視認された。
 これでは最後の100フィートを浮上できない。なぜなら高感度の生フィルムだから露光してしまう。

 ダイバーがかろうじて残片を確保した。しかしダイバーの照らしたライトによってフィルムはほとんど感光してしまっていた。

 映像の回収にこそ失敗したものの、幾多の教訓がこのミッションで得られた。米海軍は、世界の海底の8割までを、このようにしてサルベージできるのだと自信をつけた。

 いま、その『トリエステ2』号は、米海軍の「海中博物館」に展示されている。

 次。ストラテジーペイジの2015-8-10記事「Air Weapons: AC-130J Gets A Ray Gun」。
 米空軍は16機のAC-130Jガンシップを保有しているが、この一部に、ADS(アクティヴディナイヤルシステム)を取り付けることにした。サーチライトのようなマイクロ波ビームによって、地上の人間の皮膚神経に、火で焼かれるような痛みを与える(じっさいには焼けない)、非殺傷武器である。

 米軍はADSを2007から有している。が、これまで一度も本番で使ったことはない。

 なぜかというと、霧や雨や雪の天候下では、このマイクロ波ビームは減衰し、敵人にちっとも痛みを与えないのだ。それどころか、寒い日などは「ほんわかして心地好い」と感じるという。※だったら温泉に使えるんじゃね?

 また、ADSは露出した皮膚にしか効かない。敵人が厚着していると、もう無効なのだ。
 しかしこうした弱点は、2012年まで秘密にされた。

 アフガンには2010にもちこまれたが、これも使用されることなく、撤収されている。
 ADSで照射されてもまだ接近してくる人物は敵意が強いから射殺できる、というROEを米本国では考えたのだったが、現地に長い兵隊は、常に死のストレスにさらされている現地住民は混乱したときにはどちらへ走るかわからないということをよく知っていた。

 空軍がガンシップ搭載のADSに一体何を期待しているのかは、謎である。※AA操作兵への対策ではないか。

 ADSのビームの太さは、径1.3mである。
 初期型のADSは有効距離500mだったが、2011年以後、やや延長されている。

 次。ELLIOT SPAGAT記者による2015-8-10記事「Drones getting in way of emergency responders, grounding fire crews」。
 山火事の消火を指揮している消防局の有人ヘリに、ドローンが異常接近する事案が次々に発生している。

 米国では、今年は70万台の玩具のドローンが売られるだろうと予想されている。昨年は43万台、2013年は12万8000台だった。売価は逆に下がっていて、2013年には平均単価349ドルだったが、2014年には160ドル、そして今年は平均149ドルで売られているという。

 いまのFAAのガイダンス。ホビー用のドローンは、400フィート以上の高度で飛ばすな。スタジアムとか、群衆からは十分に離せ。空港から5マイル内に近寄るな。山火事や他の緊急事態のとき、FAAは臨時の規制を通達することもあり。

 次。
 Ashley Rowland記者による2015-8-9記事「S. Korea vows retaliation against North after land mines hurt 2 soldiers」。
 2015-8-4に、3発の北鮮製地雷が炸裂し、DMZをパトロールしていた韓国兵が、1名は両足を膝下および膝上から吹き飛ばされ、1名も手術で片足を切断した。

 いずれもDMZをひそかに越境した北鮮兵が埋設したとみられる。

 当初、韓国政府は、地雷は雨で流失した味方のものだといっていた。しかし米国が中心になって調べなおしたところ、北鮮製の木製地雷で、製造も新しいものだとわかった。

 今月後半、8-17から8-28にかけて、毎年恒例のウルチフリーダム演習が、米韓合同で、実施される。これは北鮮が南侵できなくするタイミングの演習なので、毎度、北鮮は非難する。そういうタイミングで事件が起きた。

 韓国の軍事アナリストいわく。北鮮内で三代目に対する忠誠競争があって、その一環として、越境して地雷をしかけたのだろう。

「さつちゃん」

 Jacob Bogage 記者による2015-8-8記事「Beretta's fight to arm the military」。

 米軍用のベレッタM9拳銃はメリーランド州のアッコキークという町で製造されている。

 しかし米軍は、このM9にかえて、新拳銃を選ぼうとしている。それは2017年からの採用となるので「XM17」と仮称される。※採用されれば「X」がとれて「M17」と呼ばれるわけか。

 過去40年間、アッコキークの街ではM9工場のおかげで100人以上が雇用されていた。しかし米軍の次期制式が別メーカーのものになると、民間市場での売買規制強化もあり、相当人数は解雇されるだろう。

 次期米軍制式拳銃の契約総額は、5億8000万ドル。これを、いままでは軍への納入では後れをとっていたグロック社やスターム・ルーガー社と競わねばならない。

 老舗のコルト社はこの夏、破産会社となった。同社が左前になるきっかけも、70年間軍に納入してきたM1911(コルト.45オート)拳銃が軍制式の座を1985にベレッタM9に奪われた時だった。

 1985年にM9を軍へ納入するようになる前、アッコキーク工場の従業員は50人だった。いまは160人いる。

 しかしイタリアにある親会社のベレッタ社は、メリーランド州の銃規制が厳しいというので、工場そのものをテネシー州のガラティン市へ移したがっている。

 ガラティン市はベレッタ本社に対し、移転してくれるならば市が造成した工業団地の土地を無償で提供し、10年以上にわたって400万ドルの税金も免除すると誘いかけている。

 ベレッタの提案銃が「XM17」競試に敗れれば、この移転はまちがいなく実行されるだろう。

 2006年に、「海軍の分析評価のためのセンター」という外郭機関が、過去にじっさいに戦地でM9を発砲したことがある米兵にアンケートをとった。その結果、58%の者はベレッタに満足していたが、他は不満であると知られた。

 不満点は、アクセサリーが取り付けられぬこと(米軍用語では「モジュラリティがない」と表現する)。有効射程が短いこと。気が利いてなくて扱いにくいこと。

 そして今年、「XM17」の要求仕様が打ち出された。アクセサリー用のレール等があること。標準照準器もM9より改善されていること。グリップはM9よりもスリムでコントロールしやすいこと。全重もM9より軽いこと。

 スミス&ウェッソン社は1852年から拳銃を製造している。サミュエル・コルトが拳銃を造り始めたのは1836年。ベレッタ社はイタリアで1526年に創業したとフカしている。シュトゥルム・ルーガー社はオーストリーで1949年に開業。グロック社もオーストリーで1963年開業だ。

 軍が採用したとなると、民間市場でもその拳銃はよく売れるようになる。メーカーとしては、この競試に負けるわけにはいかないのだ。

 民間での小火器販売は、総計すれば、1年で450万梃にもなっている。

 ベレッタ社は、「M9A3」という改良型をすでに市販している。金属表面は「デザート・タン」色に焼付け塗装してあり、アクセサリー用レールがあり、サイトは明るく、グリップは細い。しかし「XM17」は、それ以上の「モジュラー度」を要求しているのだという。

 ※陸自の特戦群用にも新拳銃が必要だという話を12日発売の『兵頭二十八の防衛白書2015』の中でしてますので、興味ある方はどうぞ。今回は、昨年の2014年版よりも124ページも厚くなってしもたわい。とても立ち読み不可能なボリュームですので、お気をつけください。お金のない人は、図書館に入れて貰おう!

 次。
 Doug G. Ware 記者による2015-8-9記事「Dwindling exports add to China's economic worries」。

 中共の税関当局の統計公表によると、2015-7月の中共の輸出額は1950億ドルであった。これは昨年7月より8%以上少ない。
 また、7月の中共の輸入額は1520億ドルで、やはり2014年より8%少ない。
 輸出超過額は430億ドルだが、これは昨年よりも約10%減っている。

 ※このUPI記事に補足をすれば、中共国内の卸売り金額は過去40ヶ月、連続して下落しっぱなしである。需要がないのである。それでシナ企業は過去21ヶ月、雇用も減らし続けている。中共はとっくにマイナス成長に入っている。シナ政府の宣伝そのままに7%近くもGDPが成長……などと報ずる日本メディアの経済記者たちは、数学的頭脳がないのか、中共の工作員なのか、どちらかだ。日本の経済人に誤った行動を起こさせて破綻へ誘導するその罪状は、重く深い。

 次。
 無記名スタッフライターズによる2015-8-5 記事「Global Five Eyes Spy System 'Bigger Than Ever'」。

 米英加アンザックの5ヵ国連合が1988に結成した「エシェロン」について最初に暴露したリポーターのダンカン・キャンベル氏が久々に語る。ソースは、『Sputnik News』。

 エシェロンは、海底の光ケーブルを途中で「盗み聴く」ことと、各国首都にある大使館に目立たぬように設けたパラボラアンテナ等で「衛星通信」を傍受することにより、ほとんどのデータを集めている。後者は「フォーンサット(外国衛星傍受)」と略称されている。

 インテルサットをエシェロンが盗聴対象にしていることは、スノーデン情報からも裏付けられた、とキャンベル氏は言う。5ヵ国の政府による盗聴規模は、1988年とは比べ物にならぬくらい拡大されているそうである。

 ※エドガー・アラン・ポーに興味のある人は、産経新聞社のWEBサイト《いろんな》に2015-8-6に掲載された拙稿「核攻撃から日本人を守る5つの方策」を読むとおもしろいでしょう。タイトルで検索すれば、出てきます。これは、マハンについて調べているうちに溜まってしまった副次的なトリビアを吐き出したものです。地政学の創始者はラッツェルやチェーレンではなくマハンであること、そのマハンが米国の最大の脅威だと考えたのは英国であったこと、すべては英国から米本土を守るための太平洋拡張策であったこと、そしてその危機感をもたらした時代の学説はダーウィンとスペンサーであり、『進化論』の核芯もむしろ〈有史前の地層から観察されるおびただしい古生物の絶滅は自然の法則=宇宙の法則であって、これからも生存闘争に敗れた種の絶滅は普通に繰返され、人間もふくめて現存生物のほとんどは、変化をしなければすべて亡びる〉とした部分であったこと等々、来年の著作で明らかにする予定です。

なぜマッパなのですか と尋ねられたなら「ギリシャ人。」とのみ答えよう。――by サラリマン全太郎。

 Fred Lambert 記者による2015-8-4記事「United Arab Emirates deploys ground forces to Yemen conflict」。
 UAE陸軍がイエメン最大の航空基地を最近奪回した作戦に戦車と装甲車で加わっていた。
 これは8-3に『NYT』がすっぱぬいた。UAE陸軍は、サウジ領内を陸上機動したのではなく、海上機動でアラビア半島の裏側にあたるイエメン領にまわりこみ、上陸後、即、戦闘加入した模様。
 イエメン南部にある、アル・アナド空軍基地は、フーシ・ゲリラに占拠されていたが、イエメン政府軍とアラブ連合軍が数日の交戦の末に奪回した。双方に死傷者多数が出ている。
 しかしイエメン政府は、UAE軍の果たした役割はアドバイザー的なものにすぎず、アデン港にもUAE軍は進駐していないと、NYT報道を打ち消すのに躍起。

 今年3月いらいの、アンチ・シーアの有志連合軍の顔ぶれは、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダン、モロッコ、スーダン、エジプトである。それが主軍であるサウジに協力している。
 この7月、サウジが空から掩護し、UAEがAFVをめぐんでやったハディ氏支持派軍が、アデン港を占領した。そこには8-3に、3000人規模のUAE軍部隊も上陸したと、NYTは報じているのだ。
 アル・アナド空軍基地は、そのアデン市から北へ30マイルである。

 イエメン南部の反シーアの指揮官いわく、UAE軍はもう3週間くらいも前から戦闘加入しているぜ、と。

 次。
 Richard Tomkins 記者による2015-7-30記事「Saudi Arabia seeks ammunition for its land forces」。
 サウジは米国からFMSによって1100万発もの弾薬を調達したがっている。サウジは、これはイエメン戦線でサウジ陸軍が使用するものだと言っている。
 米国務省が承認すれば、その取引価額は5億ドルになる。
 FMS事業を取り仕切っているのは、DSCA(米国防衛安全協力機構)である。義務として連邦議会に通告する必要がある。今週初め、DSCAは、サウジがPAC-3ミサイルを600発、周辺器材含めて54億ドルばかり、購入したいと言ってきたことも報告している。

 このたびの陸軍用弾薬の内訳だが、40ミリ多目的炸裂弾薬M430A1を100万発、対戦車曳光105ミリ榴弾M456A1を6万発、155ミリ榴弾M107を6万発。
 さらに、7.62㎜実包M62(リンクベルト付きで4発に1発、曳光弾が混じっているもの)、12.7㎜機関銃弾、25ミリ機関砲弾M792、30ミリ機関砲弾M789、なども。

 次。
 同じ記者による2015-8-4記事「Australian Defense Force getting new assault rifles」。
 オーストリーのメーカー「テイル」社が墺陸軍のために新型アサルトライフルF90を納品する。既存の「オーステイヤーF88」小銃を強化したバージョンだ。
 テイル社は1980年代にオーステイヤー社からライセンスを買ってそのF88を製造してきた。

 F90にはバレルの長短2種あり、長いライフルは20インチ、短いカービンは銃身長16吋である。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-8-5 記事「Chemical Warfare Returns To Iraq」。
 ISが発射した120ミリ迫撃砲弾で、塩素や、薫蒸農薬などが充填されていた痕跡のあるものが次々に発見されている。彼らは「化学砲弾」を手製しているのである。
 ただし、散発的に落下させる少数の砲弾や、地上で自爆させる車載爆弾に、いかほど猛毒の化学剤を混ぜても、その効果は知れたもので、ISは「化学戦」については無知であることを暴露しつつある。

 イラクでは2006から2008にかけ、反米ゲリラがトラック車載の自爆爆弾に、塩素ガスをよく混ぜていたものだった。それらはまったく効果がなく、無意味だったのだが、ISはその経験から学んでいない。

 WWIで最初に使用された塩素ガス攻撃は多大な殺傷効果を上げている。それは、いちどに168トンも風上から奇襲的に放出させて、すぐ近くの敵の塹壕線陣地を覆い尽くしたからだった。1915年の初めには、兵士は誰もまだガスマスクを持っていなかった。

 WWIでわかったことは、毒ガスは、殺害力よりも、敵軍の規律と士気を崩壊させ、負傷者救護の必要と混乱から、最前線での敵軍の戦闘機能を大幅に殺いでしまうところにこそ最大の効用があるのだ、ということだった。
 1980年代以降、サダムは、圧倒的なイラン陸軍の前進を止めるために、イラン軍の士気と規律を、毒ガスで破壊しようと念じたのである。

 スンニ系テロリスト同士の携帯電話チャットやインターネット・チャットはずいぶん前からモニターされている。2007年頃、彼らは、塩素ガスが自爆兵器として無力であることを認識し、マスタードガスや神経ガスの製造を考えた。だがそれが技術的に難しい上に、兵隊でない一般人をそうした高性能ガスで殺傷した場合のテロリスト・グループのメディア上のイメージがあまりに悪くなるだろうとの予想が勝ち、彼らは、マスタードガスや神経ガスの製造を諦めたのである(そのなりゆきが、モニターされている)。

 ※トルコ南部の空軍基地がいよいよあからさまに米軍機のIS攻撃のために提供されることになったが、じつはトルコはコバートではとっくに米国の無人機のために運用拠点を貸しているのである。2015年3月17日に、アサド派がシリア北東部のラタキア市上空でプレデター1機をSAMで墜とした。同機はアサド本人を見張っていたことは間違いない。そして、シリア北東部にプレデターやリーパーが到達するためには、その発進基地として、トルコ領内以外は考えにくかった。おそらくトルコは、米軍ではなくCIAにならば、基地は貸してもいいと踏んだ。というのはCIAには、秘密裡にやったことを「やってない」と、公的に言い張る権利があるからだ。米大統領の手兵として「暗殺作戦」を遂行し、それを米連邦議会に細々と報告する必要がないのである。しかし民主主義国の軍隊だと、やったことはすべて議会に報告する義務がある。それは、米軍に基地を貸す外国政府の側としてはとても迷惑な話なので、パキスタン政府も旧イエメン政府も、米軍の無人機ではなくCIAの無人機だけが「爆殺」作戦を実行して欲しいと願うわけなのだ。それにしても今回トルコはよく譲歩したな。

「ここは俺の駐車場です」

 Zachary Keck記者による2015-8-3記事「America Holds Massive Anti-Drone Drills」。

 七月二十六日から八月七日まで、米軍は「ブラックダート」演習を本土で実施中。
 ホンモノの無人機を実弾で迎撃する。四軍合同で毎年一回やっている演習だ。

 場所は加州のヴェンチュラカウンティ基地。主宰はJIAMDO(四軍合同防空機構)。

 ブラックダートは過去13回やってきたが、敵国が米軍の無人機対策を知ってしまうのは困るので非公開だった。しかし14回目の今回はマスコミに公開。

ことしは「グループ1」のドローン、すなわち重さ20ポンド未満で高度1200フィート以下のちっこいやつに特に焦点を当てている。いうまでもなく、年頭に酔っ払いの趣味男がホワイトハウスにそのタイプのドローンを墜落させたからだ。

 いろいろなメーカーが、自社考案の対ドローン新兵器をPRするチャンスにもなっている。

 次。同じ記者による2015-8-4記事「America Sends Advanced Submarine to Strategic Philippine Base」。

 ロサンゼルス級の最新鋭の魚雷戦型原潜SSN721『シカゴ』が比島のスビック湾に8-3に入港した。水中排水量7000トン。

 『シカゴ』は背中に多数の巡航ミサイル垂直発射チューブを設けた、このクラスで最初の艦である。(いままではSSBN改造の4隻しかなかった。こいつはSSNのバージョン。)
 乗員は170名である。

 SSNはSSBNと違って、約半年の任務中に何度か浮上して寄港もする。『シカゴ』は本拠地がグァム島のアプラ湾軍港なのだが、今年は既にシンガポールのチャンギ港に3月に寄港した。
 ※中共に対するプレゼンス誇示にもなっている。これがオハイオ級のSSBNだと、米本国の軍港を出航してから70日間、もぐりっぱなし。途中で寄港のため浮上するようなことはしないで、90日以内にもとの軍港まで戻ってくる。

 スビック湾から120マイル西にはスカボロー礁があり、シナ軍はそこに人工島を造成して軍事基地化する工事を進めている。

 次。ストラテジーペイジの2015-8-4記事「Special Operations: Not A Laser Saber But Close Enough」。

 米特殊部隊の七つ道具のひとつが、ポータブルな「TEC(熱溶融切断)トーチ」である。

 使い捨てのカートリッヂの中にテルミット剤が入っていて、「焼き切り」作業に使うことができる。
 2分あれば、厚さ18mmの鋼板に孔を開けられる。
 TECトーチの重さは450グラムでその半分は使い捨てカートリッヂの重さ。道具としての全長は33センチ、カートリッヂ径は径38.1ミリである。

 その改良型の「プレート・ペネトレーター」は、厚さ12.7ミリの鋼板に径8.9ミリの孔を2分で穿てる。酸化剤が内蔵されているから水中でも使用可。よってシールズも携行する。
 もっと強力な改良型も開発中。それは径50ミリの鋼棒を切断したり、厚さ32ミリの鋼板を穿孔できる。

 TECトーチの単価は約1000ドルである。キットにはカートリッヂ4本と保護手袋、取説DVDなども付属。

キャプテン・ダンク

 Matthew Schofield 記者による2015-8-3記事「How Germany dealt with its symbols of hate」。

 ドイツを占領した連合軍は、カギ十字の表示を1945-10に禁止した。西ドイツ政府は1949にその措置を国内法に追記した。

 今、ドイツで何のマークもない墓石があったら、それはナチ高官のものである。
 ヒトラーの焼死体がみつかった場所は、今、何の表示もない駐車場である。
 ベルリンのシュパンダウ軍事刑務所=シュペーアやヘスの住居があったところは、ネオナチの巡礼地とされないように、あとかたなくぶっこわされている。
 ご念の入ったことに、ドイツ政府はその煉瓦も粉々に砕いて北海へ捨てた。
 ベルリン・オリンピック・スタジアムは、レニ・リーフェンシュタールによって1936にナチの宣伝映画が撮影された有名な場所だが、そこは壊されていない。今もスポーツ競技場として使われ続けている。

 今でもドイツでは、ナチの標章を公の場で着装すれば、最大で禁錮3年の刑、プラス、選挙投票権の剥奪もあり得る。

 南軍軍旗(Confederate battle flag)は、クークラックスクランにより20世紀に復活させられた。

 南部のいくつかの州では堂々と州の議事堂前に掲揚されている。

 今日、カギ十字を採用しているのは、米国内の白人優越主義者だけではない。中東のイスラム過激主義者たちも「スワスティカ」を反イスラエルの合印として使っているのだ。

 ※ドイツ連邦軍の標識として戦後も一貫して戦車や航空機にマーキングされ続けている「鉄十字」マークは、過去の「十字軍」を連想させると思うのだが、そのマーキングのままイスラム圏にコーリションフォース等として派兵されて来たときに、現地人は反発せんのだろうか? これについて書かれている記事を見た覚えがない。ちなみに西独軍が戦前のドイツ軍と同じ鉄十字マークを使用し続けることについてモスクワは過去、一度も文句を言ったことはない。あたりまえだ。それはイデオロギーとは関係がない軍隊の識別標識だからだ。日本の軍艦旗や聯隊旗が政治や政党とは何の関係もないのと一般である。それに文句をつける連中は、ただ日本人と日本軍と朝日新聞を嫌いなだけだろう。

 過去、アフリカから何人の黒人奴隷が北米へ輸出されたのか。だいたい45万人だったらしい。その子孫がたちまち1000万人以上に増えたのである。

 以上に関連して、Danielle Fox 記者による2015-7-11記事「The evolution of the Confederate battle flag ... and its meaning」。

 「旗学者」というのがいる。vexillologist と書く。
 南部連邦旗(Stars and Bars)が1861に正式制定されている。開戦時の南部連邦議会によって。
 ところがそのデザインは、それまでの合衆国の旗と、遠目に区別がつきにくかった。それでは戦場で困るのである。

 そこで南部議会の議員の William Porcher Miles が「サザーン・クロス」のデザインを提案した。青い大きな×印の中に白い星。ただし×印のフチは白縁となっている。それは南部議会によって承認はされなかった。しかし、いくつかの南軍の連隊が、自主的にそれを採用した。軍旗として。

 また南部議会は、その代わりに、北ヴァジニア軍(複数の連隊の集まりで、ロバート・E・リーが総司令官)の軍旗を、大きな白地の上に小さく載せたデザインを1863に制定した。これは清純旗(The Stainless Banner)と称される。

 ところが、これが「白旗」と区別がつきにくかった。戦場では白旗は、休戦協議を呼びかける合図、もしくは投降の意思表示である。だらりと垂れた状態では、模様部分は隠れてしまって白旗にしか見えない。こりゃマズイ。

 そこで、白地ではなくするように、赤い垂直帯を描き加えた。これが南北戦争末期の1865年に南部議会により公式に制定された。南部の国旗だ。

 では現在、南部人がよく掲げたがるマークは、以上のどれなのだろうか?
 じつは、正確には、以上のどれでもないのだ。
 「ネイヴィー・ジャック」と呼ばれた、旧南軍の軍艦旗が、いつの間にか旧南部全体の象徴になってしまっているのだ。ネイヴィージャックはサザーンクロスとよく似ているが、旗地が長方形であり、かつ、×印の白い縁取りがない。

 軍艦旗だったといっても、広範に使われたものではなかった。ごくマイナーな旗だったものが、なぜか、今日、南部ではメジャーなのだ。
 そのきっかけは、南北戦争後に、連邦政府に反対する白人たちが、この旗を持ち出したことにあったようだ。白人が働いて収めた連邦税で黒人や貧乏人を養うのはやめろ、というプロテストのために。

 この旗は「反政府」の伝統的な象徴なのであって、「反黒人」の意味ではない、と、使用者は主張する。

 「ネイヴィ・ジャック」は、南カロライナ州においては、1961年に大々的に普及したもののようである。1964の「公民権法」が制定される前の空気が、その背景であった。

 ベトナム戦争に賛成した人々の一部も「ネイヴィージャック」を振った。
 レイナード・スキナードのコンサートにも、この旗が持ち込まれる。

 次。
 ストラテジーペイジの2015-8-3記事「Armor: Israeli Secret Weapon Revealed」。

 7月にイスラエルは、1980年代の軍事秘密をバラした。メルカーバーの採用で旧式になったM48とM60を、ミサイル戦車に改造していたという。
 それらの105ミリ砲はダミーで、主兵装は砲塔後部バッスル部分に収納したスパイクATMだった。「ペレー」という名がその改造戦車には付けられていた。

 スパイクは初期には射程2500mだったが、2000年には4000mに延びていた。射ち放し式である。
 実戦運用では、ペレーは、通常の砲熕戦車とは別行動をとり、後方の高地に占位して戦場を俯瞰していたという。

 ※さて余談。宝島社さんから『零戦神話の虚像と真実』という今月の新刊を頂戴した。一気に読んじまったが、衝撃的なマニア本だった。空自のF-15教官から三菱に移ってF-2を初飛行させた超ベテランの渡邉吉之氏から清水政彦氏が引き出している数々の貴重証言に驚倒。〈AWACSとデータリンクの時代には、いつのまにか後ろを取られるというおそれがないので、過去、さんざん訓練してきた編隊空戦の必要はもうなくなった〉〈日本では新型軍用機はメーカーが技術的な研究の楽しみのためだけに造っており、用兵側はそれを押し頂くだけ〉……嗚呼、やはりP-1とか千葉大の原発監視ドローンなんかも、エンジニアズトイなんじゃね? 航法通信系含めて100%自主開発にこだわるのは、遊びたいからだよね? トドメは、4秒に1回、戦闘機が90度ターンをし続ければ、敵機の「ジャイロ」がいつまでも安定しないので、敵の機関砲弾は絶対に永久にこっちには当たらないという御託宣。そこで思いました。戦闘機搭載の機関砲の軸線を、ほんの数度の範囲でいいから、ロボット制御して可変にすべきではないかと。さすればこっちの機体軸をあまり揺さぶらなくとも見越し射撃できるようになり、したがってジャイロが一瞬早く安定するでしょ? ベクタードスラストよりこっちが捷径ではないのか。

バービー之助

 David Wichner 記者による2015-8-2記事「Raytheon looks to 3-D printing for missiles」。
 レイセオン・ミサイル・システムズ社は、ミサイルの部品の8割を3Dプリンターで製作できることをデモンストレートした。さすがにアムラーム全体は無理だそうである。

 同社はまた、誘導砲弾「エクスカリバー」の部品に3Dプリンター製のものを一部組み込んでみたが、正常に動作することを確認しているという。

 他方、GE社は、最新の超省エネ型ジェットエンジンLEAP(仏と共同開発中)の、複雑な形状の燃料ノズルを、すでに3Dプリンターで製造するようになっている。従来なら20個ものパーツを別々に造って組み上げる必要があったオブジェが、単体で出来るため、重量は25%減らせるうえに、耐久力は5倍になるという。
 いうまでもないが、この素材は樹脂ではなく金属だ。メタル・プリンターともいう。

 GEは本年中に、3Dプリンターで製造した航空機用のエンジン・バルブをFAAから認可してもらうつもりである。

 GEはターボファンエンジンのブレードも3Dプリンターでできないか、鋭意研究中だ。※つまり、これまで粉体鍛造してきた部品ならばぜんぶ、プリンター化できるのか! これはヤバイ。その機械を導入すれば、技術の遅れた中共の工場でも、「一体型タービンブレード」を鍛造して、エンジンを軽量化できてしまえることになろう。

 ロックマートのF-35工場では、3Dプリンターで製作した特殊工具が使われている。

 レイセオン傘下の無人機メーカー「Sensintel」も、偵察用UAVの複雑な内部機構の一部に3Dプリンター製品を活用している。

 粉体造形溶接という、これまでにない3Dプリンター応用の溶接工法がツーソン市にあるレイセオンMS社の研究所で試されている。金属の部材(bed)の上に金属粉を層状に吹きつけながら、同時にレーザーで溶着して行き、どんどん狙った形状の立体部材に成長させてしまう。

 このベッド(床材)とする金属板は、スチールかチタン合金が相場であったが、レイセオンMSでは目下、あるひとつの合金に着目しているという。それが何であるかは、企業秘密。

 このような金属3Dプリンティング技術の革新性は、これまでなら複数のパーツを製造してから組み立てるという二段階が必要だったのを、アッセンブルの工程を省いてしまえること(ただし仕上げ工程までは省けない。プリント打ちっ放しというわけにはいかない)。また、一体ゆえに強度があるから、軽量なものを初めから設計可能なことである。

制空聖人

 どうやら次に陸自(ひょっとして海自も?)が買うことになるUAVはこいつが本命じゃないかという最新関連情報だ。
 Richard Tomkins 記者による2015-7-31記事「Insitu building more small UAVs for Navy, Marines」。

 ボーイング社が株式を保有するUAV部門子会社である「インスィトゥ」社が、RQ-21A「ブラックジャック」を米海軍と海兵隊のために製造すると発表。

 初期徐行生産ロットの「4回目」として、6機を製造し、その代金として $78 million をメーカーは受領する。初期徐行生産の「1回目」は2013から始まっている。※それを陸自がテスト中なのだと思われる。しかし陸自は正確な型番や機種名を公表していないので日本の報道は混乱している。

 RQ-21Aは、全長8.9フィート。最高時速86マイル。上昇可能高度19500フィート。滞空24時間可能。
 電子光学センサー、遠でも近でもない中庸波長の赤外線センサー、レーザー測遠機、そして赤外線マーカーがコミである。

 他方、ノースロップグラマン社は、豪州のフェラ工学社(Ferra Engineering)にMQ-4Cトライトンのための部品を製造させるという契約を結んだ。
 トライトンは豪州軍が採用を決めている。

 トライトンは2013年に初飛行しており、高度6万フィートを24時間滞空できる。

 ブリスベーンに本社がある豪フェラ社が分担製造するのは機械部品と一部の構造材で、電子部品やエンジン系ではない。

 ※解説しよう。レイヴン級とプレデター級の中間サイズの無人機がメイドインUSAとして不存在であることは商機であるとしてベンチャー企業インスィトゥ社が「スキャンイーグル」を開発した。既存の海兵隊のRQ-7「シャドウ」は、回収のためには普通の滑走路(プラス、空母のようなアレスティング・ワイヤー)が必要で、不便すぎる。そこでインスィトゥ社は、トラック車載カタパルトから発射でき、ポール&ワイヤー方式でキャッチ可能な最大重量を狙った。その開発コンセプトは冴えていた。大手ボーイング社はそこに目をつけ、会社まるごと買収してしまったのである。スキャンイーグルにはRQ-21という型番が与えられ、海兵隊も買っている。
 その「スキャンイーグル改」を陸自がテスト中と伝えられているのだが、「インテグレーター」と「ブラックジャック」のどちらであるのか不明であった。日本の報道では「スキャンイーグル」と言っていたが、それはもう廃用に向かいつつある古い機体(サイズも形状もまるで別モノ)であって、常識的に、ありえない。もしも旧型の「RQ-21 スキャンイーグル」を掴まされるのだとしたら、またひとつ「防衛省の調達スキャンダル」が増えるだけである。
 今回のUPIの報道で、陸自が買いそうなのは「ブラックジャック」なのであろうと見当がついた。
 詳細は不明なのだが、RQ-21AのエンジンはHFE(heavy-fuel engine)だという。ちなみにこれを「重油」と訳しては致命的な間違いになり得るから気をつけよう。今日の米軍の航空機が話題である場合は、ヘヴィー・フュールとはまず灯油=ケロシンのことである。ガソリンではないという意味だ。RQ-21のエンジンが、灯油系のジェット燃料「JP-8」をピエゾで噴射して電気点火する特殊レシプロ・エンジンなのか、それともターボプロップなのかは、イマイチはっきりしない(速力から推してジェット推進ではないだろうが、艦載を考える場合、米海軍はプロペラ系を嫌う。取り扱う水兵が危なくてしょうがないので)。ともあれ、米四軍は「ガソリン」は徹底して追放しつつある。小型UAVなら電池だから無問題だが、大型UAVなら「JP-8」一択だ(艦載となるとより高額で安全なJP-5燃料も考えられる)。陸自がそれに合わせないわけにはいかない。海自も、ミッドウェー海戦の空母の丸焼けという二の舞をしたくなければ、艦載無人機にも「JP-4」(半分ガソリン)が使えるかも…などとは間違っても思わないことだ(このたびの『だいせつ』火災事故はいろいろ参考になるだろう)。米陸軍ではプロペラ・プッシャー式の「グレイ・イーグル」のエンジンを特殊ディーゼルにしてまで、「JP-8」にこだわる。ディーゼルは、灯油でも回るのだ。
 無人機は、程度の差異はあるが、基本的に、消耗の激しい装備だ。たとえば「インテグレーター」は、実戦運用では5機1組である。翼端フックでひっかけてポールに宙吊りになるなどという変則的なランディングを繰返していれば、機体の構造部材からしてじきにガタガタであろう(レイヴンだともっと凄い。強制墜落である。そのためモジュール式にしてある)。なのに陸自はそれを評価テスト用に2機しか調達しなかったらしいので、試験といっても遅々として進まないのではないかと懸念する。案の定、2014-11に1機がオシャカになり(それ自体はよくあること)、今は1機しかないはずだ。それでどうやって十分な調査ができるのだ?

 ※余談。『更級日記』には、足柄山は四、五日行程前からおそろしげに暗がりわたって見えた、とある。さすれば、東国では早くから樹林は伐採され尽くしていたのに、足柄山のあたりではいつまでも森林が残っていたのだと考えていいのだろうか?

「読書余論」 2015年8月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 『航空機雷要目 性能一覧表』
 沈底式もあれば、浮標浮遊式もあった。

▼防研史料 『爆弾関係』
 敗戦後にケミカル関係の爆弾の統計を米軍に提出したもの。

▼防研史料 『火工部(爆撃兵器関係)』
 支那事変から敗戦までの爆弾信管や発火装置の諸元、開発経緯一覧。

▼防研史料 『基地準備標準』 S18より以降?

▼『実戦ヨリ得タル射手心得』木更津海軍航空隊 S15-8
 空中戦後、パンクを点検し、もし片車輪だけパンクしているのを発見したなら、もう一つも拳銃で撃て。

▼防研史料 『七粍七焼夷弾薬包ノ保存取扱ニ関スル件 申進』S15-8
 焼夷弾には黄燐の自然発火という厄介なトラブルがつきまとった。その詳細。

▼防研史料 『海軍航空本部報(部内限)』S16-11-1~S16-12-29
▼防研史料 『海軍航空本部部報』S17-1-7~S17-12-29

▼防研史料 『海軍航空本部部報(部内限)』S17-1-7~S17-12-29
 S17-2-24、九九式3番3号爆弾を外戦部隊の戦闘機が搭載できるよう特急で改造せよ。「弾底発火装置用風車抑」を新製改造せよ。
 ※航本に事実上の最高幹部として迎えられた大西瀧治郎は、早くも「爆装零戦」を構想して、実施までさせていたことがわかる。これがMI作戦に間に合っていれば……。

▼防研史料 『野戦砲兵士官手簿』野戦砲兵射撃学校 M36-6-6印刷
 31式野山砲および欧州強国の野戦砲兵の比較表。

▼防研史料 『砲兵戦術講授録』野戦砲兵射撃学校 M43-3印刷

▼沼田 多稼蔵『日露陸戦新史』大13
 M37-7月下旬に、野山砲弾々体を独国「クルップ」会社 其の他に注文。12月より3月に至る間、45万発を受領する筈也。

 M38-2月27日から3月10日の奉天会戦で、野山砲弾28万発、三十年式歩兵銃の実包2000万発、村田連発銃の実包238万発が消費された。

▼長谷川正道『国民参考 兵器大観』S9
 ※キリトリだらけである。

 発射時に自爆しないように雷管と撃針を確実に離しておくのが「支筒」「支耳」である。
 「活機」は、撃針または雷管を持つピストンのようなもので、当たったときに動く部分。
 「加量筒」は、古い着発信管にある。弾頭にも弾底にも使う。

▼『水交社記事 vol.45 』(M27-3)
 水雷艇の速力を進歩させたのは、機砲と速射砲だった。

▼松永榮[さかえ]『大空の墓標 最後の彗星爆撃隊』1999-8
 急降下爆撃の現実が詳しくわかる好資料。
 実戦では、水平爆撃よりも急降下爆撃の方が被撃墜が多かった。
 彗星の上昇限度を10500mなどと書いているカタログスペックなど何の意味もない。ありていは、3000m以下でなくば使えぬ機体だった。

▼増戸興助『彗星特攻隊』1999-7

▼橋本・田辺、他著『証言・ミッドウェー海戦』1992
 月刊『丸』の記事をコンパイルしたもの。

▼金沢秀利『空母雷撃隊』S59-8
 昼間雷撃をやって生き残った者による、唯一の単行本回想記。S30の初稿を校訂した。

▼伊藤正徳・他監修『実録太平洋戦争 第二巻』S35-6
 牧島報道員の証言。芝山中尉が全扉を開けさせたので、『赤城』だけ2000名のうち1200名が助かったが、他の空母では、乗組員の半分が死んでいる。

▼手島丈夫『日米空母戦力の推移』H7
 1942、米国は、護衛空母×50隻の新造を、バンクーバーのカイザー造船所に一括発注。

 S19-12-18の台風で、米駆逐艦3隻が沈み、空母の艦上機186機が海中に転落。700人死亡。
 S20-6-5、荒天のため重巡『ピッツバーグ』の艦首切断。他に、米空母艦上機142機が全損し、6名死亡。※南シナ海もヤワな海じゃないということ。

▼山本智之『主戦か講和か――帝国陸軍の秘密終戦工作』2013-6
 酒井鎬次や服部卓四郎等についてよくわかる本。

 1943-9-16に戦争指導課が立てた終末方策。ソ連に譲歩する必要があるなら、満ソ国境を非武装化してもよく、さらには満州国を非武装にしてもよく、また、防共協定を廃棄してもよい、等とした。

 著者いわく。非武装化とは、実質的には満州をソ連に渡すことを考えていたのだ(p.94)。
 ※著者は「亜欧連絡ノ打通」が意味するところを、米国の対ソ物資援助のことだと解釈しているが、それはウラジオ経由でもとっくに実現していたので、そんなことではあるまい。米陸軍と陸軍航空隊が、堂々とウラジオや大連から上陸し、シベリア鉄道を使って東部戦線へ援軍となってかけつけることができる、という意味であろう。

 ※この本を読んでいるうちに呑みこめたこと。なぜソ連に仲介を頼むのが日本の国益になると省部エリートは考えたのか。それは、ソ連は英米とはナチュラルには敵だから、米英からは与えられない満州という大きな餌を日本がソ連に与えてやれば、ソ連は利己心・強欲から、米英の戦後経営方針に逆らって、日本をすこしは庇ってくれるのではないかと妄想した。

▼太田猛彦『森林飽和』2012-7
 江戸時代から戦後まで、かつては日本の山もほぼハゲ山であった。だから海に多量の砂が押し出され、それが飛砂や河口閉塞をもたらしていた。今は日本の歴史上、珍しい山林緑化時代なので、海の砂は逆に足らなくなり、汀線[ていせん]が後退している。

 古事記によれば、雄略天皇が460年頃に葛城山に行幸したとき、周囲の山にはすでに樹木はなかった。

 立ち木をことごとく利用してしまうから、中世の東国には広大な「牧」があちこちにあったのである。鬱蒼とした森は、すでに東国地方でも、かなり遠く離れた山地まで行かないと、見られなくなっていたのだ。
 ※この本により、日本の馬術や「巻き狩り」がどのような環境で発達したのか、初めて理解できた。「武蔵野」は、立ち木などほとんど稀な大草原だったのだろう。

 日本の森林破壊は1500年以降に急加速した。15世紀中葉から18世紀初頭までに日本の人口は3倍になった。江戸時代は山地荒廃の時代だった。
 ※幕末に「ゲリラ戦」は不可能だった。隠れられる森林など東北にも無かったのだ。

 ヒノキの伐採だけを禁止しても、犯人が、ヒノキによく似た他の樹種と間違えました、という言い訳ができるので、そのような言い逃れを許さぬように、サワラ、アスナロ、ネズコ、コウヤマキも一緒に禁止した。

▼土肥一夫、他ed.『海軍 第八巻 航空母艦 巡洋艦 水上機母艦』S59-9
 ※先月の続きで、今回は巡洋艦。

 「1号連携機雷」は『球磨』型以降の5500トン軽巡の艦尾から投下するようになっていた。水線下の艦首材が垂直より30度傾いていれば、この連携索を安全に乗り切ることができた(pp.170-1)。

▼佐藤優『ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六』2014-8
 大島浩についてよくわかる本。

▼経済雑誌社pub.『国史大系第十六巻 今昔物語』M34 つゞき
 今回は巻第24まで摘録。

 平維衡と平致頼の私闘。射殺互いに数人。そこで詮議になった。「明法に勘へ」るところ、先に攻撃した方が悪い。「請け戦たる維衡が罪軽し」。※これは「自衛」「正当防衛」が「正戦」に近いとする価値観が示されている稀な文献ではないか。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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