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熊情報

 本日、昼の十二時五分、国道228号線を江差から松前に向かって軽自動車で走行していたところ、矢立橋の手前数百mの地点で、道路を山側から海側へ横断しようとするヒグマに遭遇。
 ヒグマは我が自動車の接近に気づくと笹薮の中にUターンして山の方へ消えた。

 いや~、驚きました。クマは道路を横断するときに左右を目で確かめないで、まっすぐ「のそーっ」と出てくるんですよ。最初は巨大な黒犬かと思いましたが、茶色の熊でした。一秒くらい目が合った。「おろっ?」という顔をしてました。

 あまり巨大であるという印象を受けなかったので、若い熊だったのかもしれません。

七度捜ねて人を疑え

 ストラテジーペイジの2016-7-29記事。
  中央からの「貢税」要求額が加重されていることに耐えかね、北鮮の国営の漁業会社が、平壌には黙って、中共の漁業会社に対して北鮮領海とEEZ内の漁業権を3000万ドルで売った模様である。シノギがきつすぎるので。所属した数千人の地元貧乏漁民の生計などもはやどうでもいい。

 中共は同漁区に堂々と近代的なトロール漁船を操業させている。北鮮警備艇はこれまでのようにそれに対して発砲していない。

 満鮮国境此岸の「両江道」では、蛇がやたらに増えたと報告されている。原因は、畑に撒く殺虫剤が尽きたかららしい。昆虫や小動物が増え、それを餌にする蛇も増した。有毒蛇も混じっている。※この奇妙なニュースは、殺鼠剤の名目で有機燐系の神経ガスを使用する下地工作かもしれないので、要注意と思う。

 今年の国際数学オリンピックで北鮮チームは6位だったが、その筆頭秀才が香港から韓国へ亡命した。

 2016年の北鮮GDPはマイナス1%強となる見通し。
 上半期の対支輸出が前年同期より14.6%少なかった。下半期はもっと減るだろうと予測されるので。

 THAAD用のXバンドレーダーは2017年に配備されると韓国が発表。
 この1個高射大隊(8発セルのコンテナを背負った6両の発射トラックおよびXバンド・レーダーおよび指揮通信車)を運営するのに毎年350万ドルかかる。※そのカネは米国の負担である。さいしょは韓国に買わせようとしたが、諦めた。日本に対しては、システムそのものを売る気満々である。

 2016-7-20午後に複数人の非武装の北鮮兵が、制服のまま図們江を越えて脱走したと北鮮から中共へ通知された。

 次。
 Jose A. DelReal記者による2016-7-30記事「Trump calls retired Marine officer who spoke for Clinton a 'failed general'」。
  ※ホセという名の記者に反トランプ記事を書かせるとは、WP紙も流石である。

 ドナルド・トランプが、退役海兵隊大将のジョン・アレンを、〔対ISの〕作戦失敗将軍だと29日に非難。一面識もないのにアレンがヒラリー陣営の味方をしてトランプを攻撃するのに反撃した。

 アレンはアフガニスタンの連合軍司令官を勤め、反ISの国際組織への大統領特使を1年やり、オバマ大統領によって次の在欧米軍司令官にされようとしたが、妻の看病のために2014退役した。

 アレン大将は28日の民主党大会で演説し、トランプの個人名は出さなかったが、「水責め拷問を支持する共和党大統領候補者」を攻撃した。

 いわく。――ヒラリーが米四軍最高司令官となれば、わが米国の国際関係が、ただの商取引関係に堕するようなことにはならない。我が軍は決して拷問の手先とはならないし、違法な殺害活動に関与することもないのである――。

テザリングUAVは、歩兵の谷渡し、中州からのキャンパー救出に、機動的に使える。丸木橋は要らなくなる。

 MARK MAZZETTI 記者による2016-7-28記事「Donald Trump and Hillary Clinton to Get Intelligence Briefings」。
  2大政党の大統領候補に対する米連邦情報部局からの事前ブリーフィング(レクチャー)が、いよいよ来週に迫った。

 世界各地の紛争、在外米軍の作戦進捗状況、外国軍隊の最新動静(敵性/友好を問わず)などが、大統領本選の4ヶ月前に両候補に「ご進講」される。

 ヒラリーもトランプも、互いに国家秘密情報管理者の資格は無いと攻撃し合ってきた。このブリーフィング(もちろんすべて国家機密)の内容がもしどちらかの陣営から世間に漏れれば、それは選挙を左右するだろう。

 トランプは27日に記者会見で、ロシア人たちがヒラリーのコンピュータサーバーにすでにハッキングしていることを望むと語り、ロシア人たちはその内容をぜんぶ世界にバラせばいいと放言した。これは過去の米政権の情報部局の元高官たちをひとしなみに怒らせた。ある元高官いわく、トランプのこの発言は「国家叛逆罪」に抵触している、と。

 ※じっさいにプーチンはそれを実行した。民主党指名大会の前日に、ハッキングで得た2万通の民主党のeメールをウィキリークスにUpしたのだ。ヒラリーは2008に「プーチンには魂など無い(人ではない)」と発言したことがあって、それ以来、プーチンはヒラリーを憎み続けている。

 トランプの口撃。なんでヒラリーに国家機密のブリーフィングなんかするんだ? ぜんぶ世間にバレてしまうのに?

 クラッパー情報長官によれば、ブリーフィングの三大トピックスは、サイバーアタック、IS、そしてロシアとなるであろう。

 このブリーフィングはクラッパーの部下複数人により行なわれる。クラッパーは同席しない。また、他の誰も同席しない。

 どこまで機密を伝えるかは現大統領の許可次第である。

 そしていうまでもなく、11月の本選挙で勝った次期大統領には、ただちに、もっと詳細にわたるブリーフィングがなされる。

 黒人上院議員のハリー・レイド(ネヴァダ州、民主党)は、トランプは危険人物なので、いかなる真実のブリーフィングもすべきではない。すべて嘘ネタだけを教えるべきだ、と公言している。

 トランプは昨年11月にアイオワで語った。オレは米軍の将軍たちよりもISのことをよく知っている。ISを撃退する方法をオレは知っている。オレを信じろ。

 次。
 Brian Fung and Andrea Peterson 記者による2016-7-29記事「America is hacking other countries with stealthy submarines」。
   米海軍の潜水艦プログラム部長のマイケル・ジャバレイ少将いわく。おれたちは潜水艦によってサイバー攻撃もできるんだぜ。
 最前線近い海中でケーブルに工作して、あらゆる混乱を起こしてやることができる。

 1970年代からソ連の軍港から延びる海底ケーブルを盗聴していたことはもう知られている。
 今日では、単に盗聴するだけでなく、信号を操作してやることができる。

 米海軍のSSNのうち『アナポリス』とその姉妹艦がデジタル通信盗聴やコンピュータ・ネットに対する工作スペシャリストだったことは2013にスノーデン・リークでバレている。

 海底ケーブルだけではない。一部のSSNは、セイルの上からアンテナを海面へ出して敵性艦隊の通信を傍受するし、さらに今日では、敵性軍艦のアンテナにハッキング信号を送り込んでやることもできるのだ。

 そしてこれからは、有人潜水艦が敵性海域に近づくことなく、遠くから無人潜航ロボットを操ることで、そうしたミッションを実行させるようになるだろう。
 ※近所のマツダの営業の人から面白い話を聞かせてもらった。ロータリー・エンジンは水素と相性がよいので、水素エンジンとして復活するそうである。普及はとうぶん先だろうが……。それよりも驚いたのは、日本は原油をタンカーで輸入してナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油等を分溜しているのだが、軽油の国内消費量がぜんぜん少ないために、軽油だけはまた日本から石油製品タンカーで外国まで運んで行って転売しているのだそうである。なんという罰あたりな無駄! 政府もこれではいかんと気付き、スカイアクティヴディーゼルの新車販売には重量税も取得税もかけないことにしているそうだ(ハイブリッド車と同等の優遇政策)。さらに驚愕のデータ。デミオの4WDのディーゼル(エンジン自体はCX-3と同じ)車の燃料タンクは、容量がほとんど軽自動車サイズでしかないにもかかわらず、函館から満タンで出発すると北見まで途中給油の必要がなく、さらにそこから根室を廻って函館に再び戻ってくるまで、二度目の給油は必要がなかったという。したがって北海道ナナメ横断往復旅にかかった軽油代は7000円強、かつまた、1人で2日間運転し続けても疲労はしなかったそうだ。正直、これはたしかめたくなりました。あと、そのシャシを使って1.5リッター・ディーゼルのライトな「ハイルーフ」車を作ってくれんかな~。

ドローンの次の方向が見えてきた。ラジコンではなく「Uコン」が再登場する!

 Bill Carey記者による2016-7-25記事「U.S. Army Evaluates One of a New Breed of Tethered Drones」。

 米陸軍は、マサチューセッツ州にあるメーカー「サイファイワークス社」の商品である6軸のヘリ型ドローン「PARC」を評価試験中だ。

 同社が特許をもつマイクロフィラメント・テザーによって、地上から給電されるので、滞空時間の制限はない。また信号送受もケーブルだから、電波帯域占有の問題などを気にすることなく、光ファイバーを通じて大容量の信号を最高速で地上まで送信できる。電波妨害も混信も全くない。

 ※GPS失探による逸走の危険もなくなるわけだ。悪天候が襲来したら降ろせばいい。まちがいなくこのシステムは「沿岸監視用」に、もっと大型化できる。その場合は、「オートジャイロの凧」との組み合わせ方式も模索できるだろう。

 また7月には、ヴァジニア州にて開催の「東海岸ウォリアー見本市」に、フロリダ州の「ドローン・アビエーション社」が、同軸ローター形状のテザー給電式無人ヘリ「ボルト」を出展。こいつは800フィートまで上昇でき、消費電力1キロワットまでのISR機器をぶらさげられるという。

 ※複数の巡視船がテザー式大型UAVを揚げていれば、「阻塞気球」と同じ効果があるから、敵国の航空機はBUZによるイヤガラセもできなくなる。常にシナ人の先手を取る着想が必要だ。

 5月のフロリダでの「特殊部隊用工業カンファレンス」には、「アエロヴァイロメント社」が「テザー・アイ」を出品。クォッドコプター形状で、150フィートまで上昇でき、24時間とぎれなくハイレゾの監視動画を地上まで送信し続ける。

 いまや「監視用高塔」が、テザー式UAVによって実現する時代が到来したのだ。
 ※ますますJLENSのような失敗必至のコンセプトには用がなくなったわけ。経団連はトラック三周くらい後ろを走っている無能者集団か?

米軍IED対策斑は、これからは市販UAVの爆装改造品が最大脅威に成長すると予測して、対策を研究中。

 KEITH RIDLER記者による2016-7-25記事「1st US system to keep drones away from wildfires kicks off」。
   趣味の撮影用ドローンを、山火事現場から遠ざけるように警告するスマホのアプリを、米連邦当局・内務省が試す。パイロットプロジェクトとして7-25から。

 山火事現場にかけつけた消防の有人ヘリや有人固定翼機と、趣味の撮影ドローンが衝突した場合、大惨事になる。そのため衝突しなくても、邪魔なドローンが空域内で目視されただけでも、空中消火作業/救助作業は中止され、有人機は飛行場に引き返すことを余儀なくされる。これでは住民の生命・財産を守ることができない。

 特に南加州では深刻な問題と化している。
 そこで、山火事発生の都度、一時的な規制空域を設定する。

 内務省は、玩具ドローン最王手のDJI社とも共同して、アプリを開発した。

 臨時設定された飛行制限空域に近づかないようにリアルタイムで操縦手のスマホへ内務省の警告が届くようにする。

 ※このところ、ロシアのことがまるで分かってないくせに専門家のように語ってしまう「コメント屋」があまりにも多いことに驚愕する。これじゃ誰もトランプを嗤えんわ。

 ※朗報。おそらくあと数ヶ月で、段ボールに1箱以上あった「防研史料のメモ帳」の「読書余論」テキスト化(タイプ打ち)作業が完了する。10年強、かかったが、成し遂げた。そのあとは、戦後に活字化されている資料のメモ整理が中心となって行くだろう。量的にはさらに多い(押入の六分の一空間を占有)ものの、希少価値的には「オレがやらなければ誰にも知られずに埋もれる」といった情報ではないので、ずいぶん気が楽になります。武道通信様はじめ、これまでこの事業を支援してくださった皆様方に改めて御礼を申し上げます。

「もし大統領がダーティハリーだったら」が実際に試される

 Jamela Alindogan記者によるアルジャズィーラ記事「Inside Abu Sayyaf: Blood, drugs and conspiracies」。
  アブサヤフの頸切り人は自分の顔さえ隠していない。
 スル諸島は東南アジアの誘拐首都になっている。

 スル諸島の住民の七割は貧困。
 水道もなく学校もない。道路は未舗装。

 食料も自給できない。サンボアンガ市や、マレーシアのサバ州から輸入している。地味は肥えているのだが、農業が成立しない。
 農園を開墾しても、すぐアブサヤフに強奪されてしまうのだ。

 この地域は過去40年、暴力ゆえに中央政府から放置されてきた。他方で人口だけは増えている。

 フィリピンで「スル」といえば「テロ」と同義語である。
 人質の頸切りビデオがユーチューブにUpされたときだけ、この地域は世界の関心を引く。

 組織としてのアブ・サヤフは15年くらい前にバシラン島(ミンダナオ島の南隣)で生まれた。名称は、剣を取る者、という意味である。

 創始者はアブバカール・アブドゥラジャク・ジャンジャラニ。イスラム自治国を築こうとしたが、すでに比軍によって殺されている。
 ※これについてこれまででいちばんわかりやすかった解説は「ヒストリーチャンネル」のアブサヤフ壊滅作戦だ。百の記事よりもよく分かった。たぶんネイヴィシールズ/SOCOM/CIAはあのドキュメンタリーよりは深く作戦に関与しており、また、公表されていない「発信器」が別に仕掛けられていただろうとはと思うが……。

 しかし共同創始者のラドュラン・サヒロンはまだ生きている。

 この男はかつて、「モロ族自由戦線」という分離主義グループに属していたが、MNLFが比島政府と手打ちをしたのでそこから飛び出した。

 アブサヤフはスタート時点ではイデオロギーを標榜したが、すぐに組織存続の必要から、カネだけが目的のギャング団になった。

 今日では誘拐ビジネスだけでなく、麻薬や武器の密輸にも関与している。

 アブサヤフは緩い広域組織で、統制の利くヒエラルキー構造にはなっていない。スル諸島にいくつもの「小ボス」に率いられたグループが蟠踞する。

 アブサヤフは金銭を得るとすべて武器の購入に当てる。スル諸島では、豪邸を建てようなどと誰も思わない。

 頸切り動画はスマホを使ってアップロードされている。

 アブサヤフの若いメンバーは15歳くらい。一度も学校には行っていない。両親は武装闘争にまきこまれて死んでいることが多い。
 スル諸島ではこうした少年のことをアナク・イトゥ=「戦争孤児」と呼ぶ。
 地元の警察官や政治家がアブサヤフのメンバーの血縁であるということはよくある。血縁は、協力する。ゆえにラドュラン・サヒロンも捕まらない。

 孤立した貧乏農家はアブサヤフに脅迫されてその土地を売らされ、その金を奪われる。

 アブサヤフは血縁主義で、族内近親婚が多い。戦死したメンバーの寡婦は近親婚によって救済される。

 アブサヤフは遠隔地の情報屋とも通信している。だから、パラワン島、ダバオ湾(ミンダナオ島南東部)、マレーシアのサバ州(ボルネオ北端)も観光地としては安全ではない。そこで情報屋に目をつけられた観光客は、夜中にバシラン島などスル諸島から船でやってきたアブサヤフに拉致されてしまうのである。
 ※ドゥアルテがかつて市長であったダバオ市は、ドゥアルテが「射殺警察隊」を巡邏させて容疑者を裁判なしで即路上射殺する方針を堅持した結果、1000人の犯罪者が撃ち殺され、いらいダバオ市は安全になり、犯罪組織と結託した政治家らの腐敗も一掃されたとされる。しかしこの記事によれば、まだ油断はならないようだ。

 フィリピン軍によると、アブサヤフの若いメンバーは、比島軍との交戦の前日に覚醒剤を与えられている。それは一般に「シャブ」または「クリスタルメス」と呼ばれているメタンフェタミン・ハイドロクロライドである。

 バシラン島でアブサヤフと交戦したことのあるフィリピン陸軍大佐の証言。14歳のアブサヤフメンバーが銃撃戦で負傷して捕虜になった。少年は戦闘前に覚醒剤を投与されたと言っていた。たしかにそれが利いている間は野獣のようであった。

 ドゥアルテ新大統領がもしスル諸島の廓清をしたいのであれば、現地の政治家たち全員をまず隔離する必要があるだろう。
 現地警察も腐敗しているので、警察力はスル諸島の外側から投入しなくてはならない。

 ドゥアルテから新たに任命された軍の長官、リカルド・ヴィサヤいわく。スルでは知事、副知事から村長までが、すべて誘拐ビジネスの一味徒党なのである、と。
 大統領は、スル全域に戒厳令を敷こうと考えている。軍はそれを支持している。
 1970年代にマルコス大統領はスル諸島に戒厳令を敷き、手荒く住民を鎮圧したものである。

リムパックで安全のため燃料を減らしたハープーンをLCSから射程37kmで発射したら標的命中前に墜落したでござる。

 Andrew P Collins記者の記事「U.S. Military Will Test Toyota Land Cruiser, Hilux And Ford Ranger As War Vehicles」。
   オハイオ州コロンバスのバッテル社は、トヨタのランドクルーザー76型/79型をベースに改造した軍用車両556台~396台をSOCOM=米軍特殊作戦コマンドのために納品する契約を結んだ。

 バッテル社はさらに、トヨタのハイラックスやフォードのレンジャー(どちらもピックアップトラック)のSOCOM用カスタムの準備もしているという。

 もしSOCOMが気に入れば、彼らは5年間で1億7000万ドルを、このような民間SUV改造の「潜入行動車」に投ずるつもりだ。とにかく敵性地区内を、米軍だとは見破られずに目立たず素早く行動したいのだ。だから車体の耐地雷性はあきらめているが、タイヤの小火器耐弾は求める。

 ※『白書2016』にも書いたのだが、ロシアと中共は、ICBMを乗せて機動させる列車の発射車両を「保冷貨車」そっくりに擬装するという手の込んだことをやっている。この発想はむしろSAMや地対艦ミサイルのランチャー車両にこそ求められるはずだ。今日のSAMはセル式コンテナから垂直に発射できる。高層ビル街に埋没した小公園や「中庭」にすら陣地進入して可い。しかしわざとらしい擬装網がないと、上空ISRからはその車両が何なのかは丸分かりだ。これらのランチャー車両は、民間の運送会社の「パネル荷台トラック」等に最初からシルエットを酷似させておく着眼が必要である。平時はその上に軍用車両らしい網をかけておくことで軍用車のIDとするが、作戦展開時には逆にその網をとりはずし、民間車に紛れるような外見で陣地に匿れ潜む――という運用だ。近未来には「3Dプリンター」により、たとえばボロボロの民間の材木輸送トラックのように見せかけてくれる「特注隠れ蓑」なども、現地で織り出せるようになるだろう。個人用擬装網も、現地で3Dプリンターで理想的にフィットするものが特製されるようになる。

 次。
 Franz-Stefan Gady記者による2016-7-22記事「Japan to Receive 4 New V-22 Osprey Aircraft」。
   7-19に米海軍はベル・ボーイング社に、日本向けの4機のV-22オスプレイを製造しなさいと発注。代金は5億4500万ドル。
 これは、総額で30億ドルになる日本向けオスプレイ輸出の一部である。

 日本は何機かのオスプレイを海上自衛隊のヘリ空母『いずも』(19500トン)に搭載するつもりである。

タイでは住民10万人あたり年間4件弱の殺人があり、ほとんど米国並に危ないという事実は日本では認知されていない。

 Abigail Leonard記者による2016-7-19『ワシントンポスト』記事。
 昨年米国では1万3000人が銃で死んだ。
 同じ年、日本では、警察発表では、1人が銃で死んだ。※本当か? 警察官の拳銃自殺だけでも相当あるのでは?

 日本の小学校では、地震避難訓練はあっても、ロックダウン(持銃器闖入者の警報に応じて学校要所を即閉鎖しその中へ児童を隠すこと)の訓練はない。

 昨年、4000人の米国市民が米国籍を捨てた。これはレコードであった。主な理由は、海外で所有している財産への課税が強化されたことに対する反応らしい。

 日本法務省によると、2015年末時点で日本国内に居住する米国籍の「非軍人」の人数は、50万人に近いという。2005年末だと40万人弱だったらしい。

 多くの米国人が、比較的に簡単なヴィザの延長手続きを取り、日本に長期滞在している。それによって日本における投票権は与えられはしないが、保険や年金の福祉は享受できる。

 健康保険が使えること、自治体の子育て補助金制度があること、そして銃犯罪がないことを考えて、育児は米本国ではなく日本でしようと決める世帯(配偶者が日本人)が増加している。

 たまに米国に戻ると、空港の警察官からしてもうピリピリしているのが分かる。おそろしい。「安全な郊外」など、もう米国内のどこにもないという感じ。

 日本の警察の発表。2015年において、銃器が発射された犯罪は、8件報告されている。なお日本の総人口は1億2700万人である。
 ※今日では発射そのものが犯罪になっているので、警察官の拳銃自殺もそれに加算しないとおかしいんじゃない?

 銃器の遍在率だが、日本は市民100人あたりにつき0.6梃。米国では市民100人について101梃の銃器が存在する。

 元海軍将校にして、沿岸警備隊ではライフルと拳銃の特級射手であった、東京アメリカンクラブの会長(56)氏いわく。この国ではアメリカ人も銃器は簡単に買えないのですが、それについて「合衆国憲法修正第2項の権利が無い」などと不平を唱える友人はおりませんな。

 次。
 Dave Majumdar記者による2016-7-19記事「Welcome to Russian Bombers 101」。
  ロシアが「PAK-DA」とかいう妄想未来爆撃機を発表したが、この破産国家はこれから予想可能な将来にわたってず~っとツポレフ95MS「ベアー」を主力爆撃機として頼るしかないのである。

 マッハ2を出せるツポレフ160「ブラックジャック」は16機残存しているが、使えるのは11機だろう。
 あとはベアーが63機。そのうち動くのは55機だろう。これが主力。

 ロシア専門研究者マイケル・コフマンは見抜いている。できもしないしありもしない計画をぶちあげることで国民の士気を高めようとするのはロシア政府の常套。嘘宣伝にはほとんどカネがかからないのがいい。
 ※まったく同じことが北鮮の無意味な数字の短波放送の16年ぶりの再開について言える。カネをかけずに南鮮をギョッとさせられた。それだけ。

 未来爆撃機のためのエンジンの開発計画すら、皆無。できるわけない。
 ブラックジャック用エンジンであるクズネツォフNK32(アフターバーナー付き)の改善をしているのだけれども、それは未来爆撃機用というよりも、やっぱりブラックジャック用。

 ベアーは使える。ベアーからKh-101巡航ミサイルを実際に発射できることを、ロシアはシリアで見せ付けたばかりだ。

 スホイ34「フルバック」は、スホイ27「フランカー」の改善版である。そしてスホイ24「フェンサー」をリプレイスするものとみなされている。
 研究者いわく。スホイ34戦闘機は、中型爆撃機並の性能をもっている。

 じっさいシリアでスホイ34は活躍している。ツポレフ22M3「バックファイア」の代役にすらなると信じられる。

 スホイ34の欠点は、バックファイアが吊下できる巨大な空対艦ミサイル、ラドゥガKh-22(AS-4キッチン)を吊下できないだろうこと。対艦ミッションとしてはこれは残念なこと。

 しかしおそらく、P-800「オニクス」超音速対艦ミサイルは、スホイ34でも運用できるだろう。

 コフマン〔名前から想像するとユダヤ系でロシアから西側に出てきた人じゃないかな?〕氏いわく、インドのスホイ30MKIが運用する「ブラモス」空対艦超音速長射程ミサイルは、P-800もどきだが、じゃっかん、P-800より性能が低いはずだと。
 ※誘導系の心臓部まではインド人に教えないはずなんだよね。だから艦対空ミサイル「バラク8」の実用化もインド空母はイスラエル海軍のコルヴェットにもう何年も遅れている。インドの資金で開発したイスラエルとしても、その心臓部をそっくりインドに渡せるわけがない。すぐにインド国内のロシア人経由で漏洩して、ヒズボラ=イランが「バラク8」を回避可能な地対艦ミサイルを工夫してしまうだろうから。

 スホイ34にP-800オニクスを搭載する場合、それはたった1発である。しかし有力な対艦システムになるだろう。

 すべてはロシア政府の経済立て直しができるか否かにかかっている。財源なしではどうにもならぬ。

 次。
 Vasudevan Sridharan記者による2016-7-19記事「India moving 100 tanks near China border」。
  インドが従来戦車を展開していなかった北東部ヒマラヤ山地にT-72×100両を推進して中共軍と対峙させることになった。厳冬期用のディーゼル燃料と、潤滑油用の特殊な添加剤を入手したので、標高4300mの東部ラダク高地にも置いておけるようになった。

 同地は冬には華氏マイナス45度まで下がる。
 さすがに夜間は、終夜、エンジンをかけておく必要がある。

 1962年の中共とインドの国境戦争では、インド軍は同地に戦車を空中から物料投下したものの、稀薄な大気のためにエンジンのパワーが出ず、大敗した。
 ※ロシアはイスラムテログループにサイバー戦のやり方を教えてロシアの敵を代理攻撃させるようになった。どんどん冷戦時代のソ連スタイルに戻っている。

ポケモンGOの三次元情報融合技術は、巨大工事現場の諸管理を劇的に合理化するので、次の米空母建造で試みられる由。

 2016-7-18記事「How About a Coast Guard Sink-Ex?」。
  米海軍の年次演習に「Sink-Ex」という廃船の実弾撃沈テストがあるのだが、今回、コーストガード船の将来の固定武装についてについてもデータを得たいんだと。
 つまりLCSで採用されているボフォースの57ミリ無人砲塔はコーストガード船の武装としても適当か、という。

 港、水路、沿岸のセキュリティを総称してPWCSという。コーストガードのミッションである。
 PWCSをコーストガードがキッチリと実践するためには、相手船がいかに巨大でも、その行き脚を強制的に砲撃によって止められなくてはならない。

 今回、空荷で9000トン、満載で1万8500トン、長さは176mの軍用貨物船が2隻、実射撃沈される。1960年代後半にはまだ強力な商船向きの舶用ディーゼルがなかった。そういう時代の古船。

 いま、米コーストガードの武器選択には、12.7ミリ、25ミリ、57ミリ、76ミリがある。
 もし57ミリでも76ミリの仕事ができるのだと実験で判明すれば、今後、コーストガード船は57ミリ自動砲を積む。できないと判明すれば、76ミリ自動砲がこれからも残されるだけでなく、他の非砲熕兵装の追加も考えねばならない。

 退役船に対する実弾射撃テストでは、いちど弾薬を撃ち込んだターゲットシップ内にはもう人間は立ち入らない。危ないので。そのかわりにカメラとセンサーを残置して、リアルタイムのデータを取るようにしている。

 圧力センサーがボイラーやタービンや液圧操舵系にとりつけられ、被弾破孔によって減圧が生じたかどうかをモニターする。その減圧が認められぬ限り、試験砲弾は不審船の行き脚を止める力が足りないということである。

 わたし(原記者)の個人的な信念だが、コーストガード船は、不審船からは4000ヤード以上、離れているべきである(旧ソ連製の両用火砲や、対戦車ミサイルを隠して装備しているおそれがあるので)。しかし25ミリ機関砲は、3000ヤードまで接近しないと敵船制圧に有効ではない。

 砲側の即応弾薬数は、25ミリなら150発、57ミリなら100発、76ミリなら80発というところだろう。それ以内の弾薬消費で、大型船の行き脚を止められるか?

 われわれコーストガードは、127ミリ砲や、「グリフィン」のような軽量汎用ミサイル、はたまた、「軽量の魚雷」を装備することも、検討すべきかもしれない。実験する価値はある。
 というのは、敵船が巨大であった場合、機関や舵を破壊して停船させるためには、水線下に被弾させる必要があるのだが、それは中口径砲の射撃によっては無理なので、魚雷等の他の手段によるしかないはずだから。

 ※なぜその前に「91式徹甲弾」……否、無炸填の平頭ソリッド弾を試してみないのか? ちなみに英国とアイスランドの間の「鱈戦争」では、40ミリ・ボフォースの炸薬を抜いた特注弾で船体射撃が加えられた実例あり。

 次。
 Eric Schlosser記者による2016-7-17記事「The H-Bombs in Turkey」。
  トルコのインシルリク飛行場にはB-61水爆が約50発貯蔵されている。それはNATO用ストックの25%以上にあたるという。
 イールドは可変式で、0.3キロトンから70キロトンまで変えられる。

 そもそもインシルリク基地は、米陸軍の工兵隊がWWII前後に設定してやったものだ。
 トルコが1952にNATOに加盟すると、この基地は途方も無く重要になった。
 そこから1時間飛行すれば、もうソ連領空なのだ。だから、爆撃機も、空中タンカーも、U-2も、そこに並べられた。※核爆撃機が敵領空へ突入する直前のタイミングで空中タンカーから満タンにしてもらう。だからロッド式で急速給油できる空中タンカーをカーティス・ルメイが開発させた。米海軍はむしろ着艦直前の空中給油が死活問題なので、授油機の選択幅が広がるプローブ・アンド・ドローグ式にこだわり続ける。こちらは急速満タンは不可能だが、戦闘機同士でのバディ給油や、輸送機吊下ポッドから回転翼機に対する給油は、この方法しかない。そもそも日本の戦闘機は空自の洋上制空第一主義からして、後者の方式にするべきだったはずだよね。

 1960年代なかば、米国は7000発以上の各種戦術核兵器を西欧に置いた。ギリシャにも置いた。

 これら核兵器は米軍が現地で管理していたが、対ソ有事の際には、NATO同盟諸国に使わせるためにすぐに手渡されることになっていた。

 しかし1960年にその実態を調査した米連邦上院の訪欧議員団はショックを受けた。事実上、平時から、それら核爆弾/戦術核ミサイルが、西ドイツ軍、イタリア軍を含む、非米軍によって、取り扱われていたからだ。アラートに応ずる使用訓練を繰り返していたから、それは当然のなりゆきであった。

 上院議員団の秘密報告書は、これら核爆弾の警備者は、現地国政府に忠誠であって、米国には忠誠でないのが自然だ、と警告した。
  ※核爆弾の「コア」「ブースター・ガス」等は、さらに別な場所に保管されているはずだ。それは米兵が直接警備しているはずなので、この記事は杞憂を煽るもののように思われる。

 1962のキューバ危機でマクナマラ国防長官が焦ったのは、トルコが対ソ戦にやる気満々となってしまって、勝手に国内貯蔵分の核兵器を先制使用せぬかということだった。そこでマクナマラは現地の米軍管理部隊に、トルコから持ち出し要求があったら徹底サボタージュせよと電報した。

 核爆弾の中にはPALスイッチがついている。パーミッシヴ・アクション・リンクといい、コード番号を入力しないと動作しない。
 しかし高度な技術があればこれは迂回できる。

 だから1974にトルコとギリシャが戦争しそうになったとき、米国はギリシャからは全部の核兵器を引き揚げ、トルコの核爆弾については「アーミング・ワイヤー」を切断して、使えないようにした。

 ブッシュ父大統領とブッシュ子大統領は、欧州からどんどん核兵器を撤収させてくれた功労者である。いまや欧州NATOには、180発のB-61があるだけ。他の戦術核兵器は、1発もない。
 ※この流れに反対し、核トマホークを米SSN内に常置してくれと懇請したのが日本の外務省(と日本の軽佻浮薄保守論人)だった。空自基地内にB-61が無いのならばそんなものは「核の傘」ではないという常識を、彼らは承認したがらない。防衛省は、B-61の運用を将来可能にするためには、どうしてもF-35を買うしかなかった。F-35は、勝手な出撃ができないように、ミッションコンピュータをペンタゴンからいつでも遠隔操作し得るので、米国としてはとても安心できるのだ。B-61貯蔵地としては三沢基地周辺しかないだろう。

 欧州におけるB-61の貯蔵場所は、現在は、インシルリク、ドイツの基地、オランダの基地、ベルギーの基地、そしてイタリアである。

 これを置くことによって、ドイツやイタリアやオランダやベルギーが、独自核武装する気をなくすることができるのである。
 B-61の貯蔵場所は、すべて、現地軍によって警備されている。※さもなくば「核の傘」ではないから。

 もちろん貯蔵場所は地下である。
 2010年、反核活動家が、ベルギーのクレイン・ブロゲル空軍基地に侵入し、B-61貯蔵場所〔の地上部分?〕に到達し、反核ステッカーを貼って、その模様をユーチューブにUpした。この動画は、かけつけたベルギー兵の小銃に弾倉が付いていない実態も示した。

 インシルリクはシリア国境から70kmしか離れていない。2015-10から米軍はこの基地から対ISの航空作戦を展開中である。※クーデター騒ぎいらい停電が連続3日以上続いているという。自家発電機で対応中。

 クーデター騒ぎの数ヶ月前、インシルリク基地の米軍家族はペンタゴンの指図で全員退去していた。いま、基地には米軍人2000が所在する。

 次。
 Ece Toksabay and Paul Taylor記者による2016-7-16記事「Turkey's bungled putsch: a strangely 20th century coup」。
  トルコ陸軍の将軍たちは今回のプッチを時間をかけて準備していた。ただし手法は70年代の古臭いものだった。
 1973年のチリや、1980年のトルコならうまくいったろう。だが今は2016年なのだ。

 金曜夜、エルドアンがアンカラを出て週末保養地へ向かった隙に蹶起。

 空港を制圧。ポスポラス海峡大橋を封鎖。戦車を国会議事堂とアンカラへ送り出し、幹線道路の結節点をおさえた。
 昔だったら国営放送局を占拠して、市民の外出禁止令を布告すれば、クーデターは成功だった。

 ところが彼らは与党AK党の要人を逮捕できず、民放テレビ局の電波送出を止める方法がわからず、携帯電話サービスも止めさせず、SNSシャットダウンの措置も講じられなかった。首謀層は、メディアのことに通じていない、えらく気の利かない軍人たちだった。

 エルドアン大統領は、スマホの「フェイスタイム」というアプリを利用し、民法テレビ局の「CNNトルコ」から声明を発することができた。これで8000万国民にエルドアンのメッセージが届いた。

 エルドアンが宿泊した南西部のリゾート地マルマリスのホテル。ここではエルドアン派の警察部隊と叛乱軍の交戦があった。※パラミリタリーを強くして優遇しておく。これがクーデターを防ぐ要諦である。学びたい人は戦後のインド軍と警察軍について調べるとよい。最良の教材だ。

 叛乱第一報から20分以内に、首相のイルディリムは、軍の最高幹部は叛乱を支持していない事実を、ツイッターで拡散させた。

 顧みれば1517にマルチン・ルターは新メディアたる印刷媒体を使ってローマカトリックに反抗した。アヤトラ・ホメイニはパリからカセットテープをイランに運ばせて、イラン国内で彼の肉声によるアジ演説を流布させ、1979の革命に繋げた。メディアと連繋した者が、革命に勝利する。

妄議するを ゆるさざるものあり。

 APの2016-7-16記事「Cleric in US being blamed for Turkey coup attempt: Who is he?」
   トルコ政府の雇われ法律家ロバート・アムステルダムは指弾した。げんざい米国ペンシルベニア州ポコノマウンテンズに広大な要塞邸宅を建てて亡命生活を送っているイスラム聖職者フェトゥラー・グレンが、今回のクーデター騒ぎの黒幕だ、と。

 この法律事務所は米国政府に対し、グレンの活動について過去何度も警告を伝えてきた。グレンはトルコ軍幹部とつながりがあるのだ。

 イマムとして訓練を受けているグレンは、トルコでは半世紀以上前からその名を知られている。イスラム教神秘主義に、近代民主主義や近代教育、近代科学を摺合させようという一派を興した思想家なのだ。

 支持する信者たちが世界100ヵ国以上に1000以上の学校を建てた。米国内のチャータースクール(地域と教師とで発起し、公的資金で補助されている私設学校)もすでに150校ある。トルコ本国では、大学、病院、銀行、新聞、電波メディアまで持っている。

 グレンはガチイスラミックなエルドアン支配下のトルコ政府からすくなくも三回、欠席裁判を受けている。

 米国司法省はグレンをトルコへ送還する気はないようだ。政治犯とみなしているようだ。

 FBIや各州の司法当局は、グレンのチャータースクールがトルコから大量の教師を呼び寄せ、その教師の給料として他のチャータースクールよりも多額の米国民の税金が補助されているケースを捜査している。
  ※じつは今年の三月にも、「オバマ政権がトルコ軍にクーデターを起こさせる」という噂が飛んだ。そうした事情の背景解説を『白書2016』ではしているのだが、刊行が現実に間に合わなかった。残念です。


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 海軍系テクノロジーのウェブサイトの記事「Proteus Dual-Mode Underwater Vehicle, United States of America」。
   大手造船会社のハンチントンインガルスの子会社であるUSGが、無人輸送潜水艇を完成した。旧陸軍の「マルゆ」の発想である。

 大量の貨物やダイバーを、遠距離まで、こっそりと海中から送り届けてやることができる。

 敵の海底ケーブルを調べることもできるし、大陸棚の資源開発にも使える。
 この実物「プロテウス」は、既に今年、米国内の海軍関係のエキスポで展示されている。

 プロテウスの開発は2012年2月から始まっていた。
 これまでの実験で、連続720時間潜航し、海中を2412浬、移動できることを実証している。

 プロテウスは、ダイバーが内部から操縦することもできるし、完全自律無人モードで活動させることもできる。

 船体の外寸は、長さは7.8m、幅1.61m、高さ1.62mである。
 積荷は、最大で1633kg。容積は、5立方m弱というところ。
 艦尾にはX字状の舵が付く。

 カーゴ・ベイには、縦1.52m×横0.54mの開閉扉があり、そこから積荷を出し入れ可能。

 有人モードにする場合、荷物スペース内の6箇所のエア・ステーションを活かして、ダイバーたちの連続10時間の活動をサポートできる。

 無人モードで運航させる場合は、ウェイポイントを辿らせることになる。プリプログラムで。

 船体外殻のさらに外側に、長カプセル形状の「カーゴ・ポッド」複数を装着して行かせることもできる。

 無人運航時の途中での命令受領、現状報告は、VHFアンテナやイリディウム衛星通信アンテナを海面上に出して行なう。
 潜航中はGPSを受信できないので、INSとして光ファイバーのジャイロ〔レーザーリングのこと?〕を頼る。

 300キロヘルツのマルチビーム・ソナーで、障害物を探知できる。
 動力はリチウムポリマー電池で、5枚プロペラのスクリューを回す。
 垂直と水平のスラスターが2個づつある。

 ベースラインの電力として148キロワットを蓄電して出航する。これは296キロワットまで増強できる見通し。

 深度は、有人モードでは150フィート、無人モードでは200フィートが可能である。
 最高速力は9ノット。バラストは総計521kgまで。

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 Matthew Cox記者による2016-7-15記事「Army SOF to Trade in Its Androids for iPhones」。
   米陸軍の特殊部隊は、従前のサムスン製のアンドロイドスマホを捨てて、アイフォンに切り替えることにした。
 「iPhone 6S」という。

 かれらいわく。アンドロイドは遅くてダメ。よくフリーズするし、そのたびにリスタートを強いられる。無人機の「インスタント・アイ」からのライブ動画を受信するのに、こんなもの使ってられない。アイフォンは高速だし、スムースだ。

 画面を2分割して、そのひとつに無人機のルートを表示させ、ひとつにライブ動画を表示させようとすると、アンドロイドスマホはフリーズしてしまう。そしてしばしば、そこから再起動が必要になる。特殊作戦中の肝心なときに、何分間も、画像情報が中断されてしまうのだ。

 この点、アイフォンはシームレスで快調。しかも画質も良い。信じられないくらいに。

 米陸軍は、これからの兵隊は皆胸にスマホを常時装着するようになると考え、いろいろ実験している。

 ※「歩兵分隊のネットワーク化」という話題を聞くたび、わたしが空想するのは「馬の目隠し板」だ。
 遠隔情報を処理中の人間は、目の前のイベントに鈍感になってしまう。味方からの無線報告に集中していると、自分が乗っている指揮通信用装甲車の近傍に敵の野砲弾が落下してもそれに気付かない。丘の向こうの敵情に集中していると、足元の塹壕に敵の戦車が埋めてあったのに気付くのも遅れる。
 通常人を聖徳太子にすることはできないのである。
 むしろこれからは、各級指揮官に、よけいな情報処理のための注意力分散をさせないようなガイダンスが、軍隊には要求されるだろう。
 わが陸自はいたずらな先走りをしないで、まず、スマホで小火器と重火器を「オフセット照準」する、という地道なテクノロジーから究めていっては如何だろうか? 敵が繰り出してくるUAVスウォームを、わが歩兵分隊の小火器の半自動照準ガイダンスによって効率的に掃い落せるようにできるかどうかが、近未来の勝負を分けるだろうとわたしは直感している。この技術ができると、飛んでいる鳥をライフルで落とせるから、レンジャーの食料問題は一挙に解決します。

駐韓THAADはトランプ当選前に大急ぎでFIXする必要があった。

 ストラテジーペイジの2016-7-14記事。
  4月のパナマ文書には大勢のロシア政府公務員の名があった。彼らはモサックフォンセカ社に頼んでタックスヘブンを利用せねばならぬほどの大富豪となっていたのだ。
 ロシア経済の今年の成長は、マイナス1.5%と予期されたほどではなくて、マイナス1.2%になりそうである。

 ロシアは早く「勝利宣言」してシリアから脱出したい。それにはイランとでも組むつもりだ。イランにはその気はないが。

 アメリカの悩み。反米のイランに直結したアサドなどいなくなってほしい。しかしアサドと結ばない限りISは制圧できない。だったらアサドやロシアと組むべきではないか、というもの。
 ※1979年いらいさんざん「反イラン」を国是としてきた米国としてはいまさら難しいのだが、米国務省や国防総省の奥の院では皆、イランとこっそり手を組むべきだと考えるようになっている。イスラム教徒のアラブ人よりはイスラム教徒のイラン人の方がビジネスライクに協議しやすい、と気付いたのだ。というか、アラブ人は本当にどうしようもないと思うようになっている。これはもちろん「宗教人種差別」。なにしろアラブ人とユダヤ人は人種的には同じセムですのでね。いよいよもって米国内では公的な説明がし難い。ほぼ不可能といっていい。そして、イスラエルもサウジアラビアもこれには猛反発するのは当然。米国と裏で組んだらイランは核武装してしまう。他方で、どう考えても今のテロの「病巣」はサウジだったというイメージはもはや米大衆の間では共有されている。

 7月2日に北鮮の外交官1名がベラルーシでどこかの西側国家の大使館に駆け込み、亡命した。妻と1子も伴っていた。
 この一件は、中共が北鮮に「路線を変えろ」と圧力をかけやすくするために、ロシアが黙認したものだと思われる。※ベラルーシは今のロシアがもつ唯一の「属国」である。

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 Robert Costa and Philip Rucker記者による2016-7-14記事「Indiana Gov. Mike Pence emerges as Trump's likely running mate」。
  『ワシントンポスト』がほぼ断定。トランプは副大統領候補としてインディアナ州知事のマイク・ペンスを選んだ。

 おそらくトランプからの公式発表は、15日にある。

 ペンスは連邦下院議員だったこともある。ラジオの政治トーク番組の司会者として、庶民の間で支持者を増やした。
 いまだにトランプには懐疑的である、共和党支持のエスタブリッシュメント指導層が、ペンス擁立のおかげで、やっとトランプ支持に回ってくれるかもしれない。

 ※トランプが当選すれば韓国が核武装に走る。だからオバマ政権としては11月選挙前に一刻も早くTHAADを持ち込み、韓国人の核武装論を抑圧しておく必要があった。そのため展開場所では妥協した。これは、在韓米軍が出した智恵だろうが、巧妙だ。というのは、韓国政府は京城の北側の米軍駐屯地を整理して半島南部へ移転させるための新基地建設をぐずぐずやっていて米軍は業を煮やしている。しかし、38度線近くに基地が残っているならば、今後、そこにいつでも米軍がXバンド・レーダーを推進できることとなる。北京の怒りを恐れる韓国政府としては、こうなっては大至急で南部の米軍用新基地と隊舎施設の完成を急がせなくてはならないわけだ。

『いせ』の皆さん、ありがとうございました。

 ASHLEY PARKER and MAGGIE HABERMAN記者による2016-7-12記事「James Stavridis, Retired Admiral, Is Being Vetted as Hillary Clinton’s Running Mate
  今はタフト大学のフレッチャースクールの校長をしている、ジェームズ・G・スタヴリディス退役海軍大将(四ツ星)が、ヒラリーの副大統領候補になるんじゃないかという下馬評が出てきた。

 スタヴリディス提督はNATO司令官を4年もやった。中東各地での作戦経験も長い。アフリカ沖海賊対策にも粉骨した。

 2012にスタヴリディスは、妻とともにフランスのワイン醸造所の内輪のパーティに出席するために軍用機を私的に動かしてブルゴーニュまで飛んだ、と疑われ、捜査の対象になっている。

 この他にも、実の娘や母親を軍用機に一緒に乗せて「タダ旅行」させたのではないか、等の件で調べられたが、いずれも、不正は無かったとされている。かなり時間がかかったが。

 調べたのはペンタゴンの「インスペクター・ジェネラル」。
 結論として、幕僚に対する指導が不行き届きであり、いくつかの簿記上の瑕疵があったとされた。それだけ。

 他方、トランプ候補が副大統領候補として目をつけているマイケル・フリン元陸軍中将は、いままでずっと民主党員であって、しかも「中絶権」には賛成の立場である。これは米国の共和党支持層からは嫌われる立場である。

 トランプは副大統領候補として誰が人気か、全国行脚しながら見定めて行く方針。火曜日の夜にはインディアナ州知事のマイク・ペンスと語り合った。

 ※室蘭港にておそらく本日一般公開される航空戦艦……もとい、護衛艦『いせ』。特別なご高配をいただきまして、昨日、艦内を拝見してきました。とにかく絵になる軍艦です。後日(『白書2016』のゲラの著者校正が来週に終わってからになります)、写真もご紹介できようかと思います。しかしその前にテキストで盛り上がりましょう。
 わたしは若いときに横須賀で一般公開された米空母の外舷エレベーターは体験したことがありましたが、歳をとりましてすっかり出不精になってから国産空母は現物を見たこともなく、ちょっと残念だと思っておりました。今回、航空機用昇降機に乗せていただいた上、航空発着管制所等でいくつかの愚問にもお答えをいただき、有り難いことだと感謝しております。
 まず拙著の訂正からです。すでに海自のヘリコプターはJP-5を給油されているのだということを承知しました。すいません。だからミッドウェー海戦の二の舞は、起こらないわけです。米海兵隊のオスプレイにも、そのままJP-5を給油すればいい。
 ちなみに本艦でオスプレイが着艦できる箇所は、最後尾の、普通のヘリ着艦点よりも左舷寄りに、1箇所だけ、特別設定されていました。ずらさなければならなかった理由ですが、飛行甲板裏の燃料パイプに、ティルトローターエンジン排気の高熱がもろに伝導せぬように、との配慮のようでした。甲板そのものの耐熱性は、オスプレイだと特に問題はないが(跳箱の踏切板のような反射遮熱鈑をあてがう必要なし)、ハリヤーだとアカンということでした。
 本艦はSH-60クラスの対潜ヘリならば4機を同時に発着させられますけれども、仮にこのフネに陸自のCH-47チヌークや掃海用の重いヘリが着艦しようという場合は、いちばん前といちばん後ろの2箇所だけがそれに対応可能であるようでした。
 理由は、1層下のダダ広い格納甲板に「柱」がなくて、しかも飛行甲板の構造的な強度は〔おそらく復元性や巡航燃費等を重視して〕ギリギリしかないためのようでした。
 この艦には、暗夜且つ濃霧といった無視界の情況でもSHを着艦させられる誘導システムが備わっています。その説明を聞いているうちにわたしは確信しました。戦前の艦上戦闘機に近似した重量のUAV複数を、複数の火薬式カタパルトで舷側から一斉に打ち出して、半自動着艦でまた次々に収容するという運用法が、このクラスのDDHならば簡単にできるはずです。もうすこし軽量なUAVならば、港に碇泊していて、行き脚の無い状態であっても、スウォーム攻撃力の運用が即座にできる。その場合、カタパルトではなくて、VLSのセルを4つ分か3つ分、使って、垂直に打ち出すことも考えていい。そのVLSチューブには、下層甲板において次のUAVを「再装填」するのです。これこそが、妄想的な「対艦弾道弾」とは違う、真に実用になる長距離対艦兵器でしょう。普通の空母よりも数倍頼もしいと思いませんか? 対テロ時代には、間違いなく向いていると思います。
 本艦はあきらかに実験艦だと、わたしはお見受けをしました。航空機用エレベーターは、前と後ろとで寸法が違っています。使い勝手を比較する意味があるのでしょう。
 『おおすみ』のような泛水デッキがないのは、今日の強襲揚陸艦としては、内部容積をヘリコプター作戦のためにフルに使えるので、ベターなチョイスです。シナ兵が地対艦ミサイルを持ち込んで占拠している海岸に40km以内まで近づいてAAV7を発進……なんて時代錯誤に疑いを抱かぬ作戦参謀は、わが日本海軍には一人だって居らぬと信じたい。
 ウェルデッキのある軍艦は、海上での対「グレーゾーン侵略」用の「水上無人艇スウォーム運用母艦」だとか、機雷敷設ができるロボット潜航艇多数を、外からは見えないように発進させたり揚収ができる、特殊作戦向きの特別な軍艦(または巡視船)として設計するべきでしょう。
 その他の所見は、また後ほど……。わたしが小学生のとき最初に作った軍艦のプラモデルは『伊勢』の航空戦艦改装後バージョンです。ウォーターラインじゃありませんよ。ちゃんと艦底まである、ちょっと大きなものでした。あの当時の夢が蘇った。皆様の武運長久をお祈りします。

名古屋コーチンをどうもありがとうございました。

 Lily Kuo記者による2016-7-11記事「South Sudan is on the verge of another civil war」。
    南スーダンが独立して5年目だが、はやくも泥沼の内戦か?

 国連部隊基地の近くにある大統領宮殿の近くには少なくも100体の死人が転がっている。
 都市市民は教会(南スーダンはキリスト教圏)に逃げ込んでいる。

 ケニアの国営航空会社はジュバ空港へのフライトを止められている。

 内戦は、キール大統領派と、マシャール(もと副大統領)派の間で起きつつあり。
 南スーダンの人口は1100万人。うち200万人は住宅を捨てて放浪を余儀なくされつつある。

 ※この記事は肝心なことを何も解説してくれてないから補うと、アラブ系イスラムの支配する元のスーダンから、黒人クリスチャンが多い南部を、仏英米の後押しで切り離したのが南スーダン。そこには石油資源があったから、英米仏が関心を持ってくれて、数十年かけて独立できた。しかしこんどはその石油利権をめぐって内部抗争になっている。じつはアフリカ諸国はひとつの例外もなく、マルチ部族国家。「一部族一国家」になっているところがひとつもない。一国の大統領は、その出身部族(とうぜん、最有力部族だ)の福利だけを徹底的に図る。石油だってもちろん独占。他の多数の部族には国家の税収を1文も分けてやらないばかりか、逆に徹底的に搾取し弾圧する。おそらく南スーダンの「元副大統領」とやらは、二番目に有力な部族の代表者だったのだろう。そいつすら、不公平にブチ切れた。被支配部族は国家からの庇護がまるで得られないから、最初からみんな小銃で武装している。三番目以下の部族は、人らしく生きるためには、隣国ゲリラと結託して「逆転」を狙うことも考える。このようにして、部族と部族の修羅地獄が無間に続く。アフリカではこの構造は絶対になくなることはない。だから第七師団の人々よ。命を惜しんでくれ。そこは命を懸けるに値しない場所だ! かつての宗主の欧州人そこがそこで責任を取らなくてはいけないのだ。 近年は近隣国の正規軍がアフリカ難民キャンプの警備を担任することがあるが、これもけっこう危ない。今年2月にはルワンダ正規軍が、国連平和維持部隊のキャンプ近くに蝟集してくる南スーダン難民たちを襲撃に来た武装勢力(難民とは部族が違う)を撃退してくれたのはいいのだが、そのあとで死体を数えてみたら、難民の死人の方が多かった。ルワンダ兵にすら、難民と武装ゲリラの外見上の識別ができず、ゲリラだと思って、走り回る難民たちを射撃していたのだ。

 次。
 Brian Fung記者による2016-7-11記事「The robot that killed the Dallas shooter」。
    先日のダラス市では、「銃乱射犯人」の足元へ、ダラス警察が自走ロボットによって爆弾を運搬し、犯人を爆殺した。米国内で、ロボットがこのように使われた初のケースである。

 ロボットは「リモテック・モデル F-5」という商品名で、運搬したのは1ポンドのC-4プラスチック爆薬で、導爆線により起爆させた――というのが7月9日の第一報。これは部外の専門家の推定だった。

 しかし7月11にダラス市警本部長が、「リモテック・アンドロス・マークV-A1」ですよ、と公表した。
 メーカーは、ノースロップ・グラマン社だった。
 自重790ポンド。履帯式で、時速3.5マイルで動ける。
 26倍光学ズームカメラと、12倍デジタルズームカメラ搭載。
 マジックハンドで50ポンドの物を持ち上げられる。

 『ワシントンポスト』に言わせれば、このロボットの同定などどうでもいい。問題は爆薬やその使用法についての公式説明責任が果たされていないこと。そこがいちばんパブリックな論議の対象となるところなのに。

 ある爆薬会社の経営者に取材したところ、1ポンドのC-4は、ビルの1フロアやトラック1台を吹っ飛ばす威力があるが、使いようによっては犯人を殺さずに倒すこともできるでしょうな、と。

 警察は、犯人をガレージの中で爆殺したと発表している。だがそれは嘘だ(まだビルのオーナーである地元大学は現場にも立ち入らせてもらえないでいる)。が、どうやら「セカンド・フロア」で犯人は爆殺されたらしいと大学の人は言っている。
 大学の人いわく。警察はエレベーターシャフトから2階へ近づき、このロボットを投げ入れたのではないか。

インドネシアがナトゥナ諸島に滑走路と港湾を造成したがっている。

 Bryan Bender and Shane Goldmacher記者による2016-7-8記事「Trump's favorite general」。
  マイケル・フリン退役中将は、33年間、陸軍に奉職した。
 統合参謀本部の情報部長、中東作戦担当のセントラルコマンド司令官、アフガニスタンにおけるNATO軍司令官、米軍特殊作戦コマンド司令官を歴任。そして2012から2014までDIA(軍の情報局)長官だった。

 だが、オバマ政権の中東政策を批判し、軍を逐われた。その後フリン氏はかなり早くドナルド・トランプ候補への支持を表明した。
 いま、フリン氏は57歳。ひょっとしてトランプの副大統領候補になるのではないかと言われ出している。

 フリン氏はすでにトランプ候補に対し、ISやイランや軍事についてのアドバイスをしている。
 トランプタワーの中での「ご説明」は、もう昨年の秋からだという。
 フリン中将の息子(同名)は、トランプ選挙事務所の高級アドバイザーの一人である。

 フリン氏は民主党員である(登録しているという)。これがトランプの運動に吉と出るか凶と出るかはまだわからない。本人は中道主義者だと強調している。

 これまで、トランプの副大統領候補としては、NJ州知事のクリス・クリスティ、インディアナ州知事のマイク・ペンス、元下院議員のニュート・ギングリッチなどの名が挙がっている。
 ジョニ・アーネストとボブ・コーカーの2人の上院議員の名前もあったが両名は今週その可能性をはっきりと否定した。

 フリンは、ヒラリーは辞任すべきだと発言している。私物メール事件がもし自分だったら、辞職だけでは済まず刑務所行きである、と。

 フリン将軍は、イランとの核合意は破棄すべきだし、イスラム過激派には国内でも国外でももっと攻勢に出るべきだと信じており、これらはトランプに影響を与えている。

 他方でフリン中将はプーチンが好きである。最近もモスクワでディナーを一緒にしているほど。

 フリンは、ビンラディン殺害作戦のあと、ラディン式テロリズムはまだ生きていると警鐘を鳴らし、1万7000名規模のDIAの機構改革を試みたが、それはオバマ政権に阻止された。

 フリンはまた、ペンタゴン内で働いている文官の半数以上を解雇するべきであるという意見も保持している。なぜならそやつらは米国のシステムを腐敗させており、その酷さは汚職天国の後進国も裸足で逃げ出すレベルだからであると。

 フリンは現役中は政治向きの運動は一切控えていた。シビリアンとなった今、彼の個性が開花している。

 有名な退役中将なのに彼は巨大軍需企業にも、ブーズアレンハミルトン社の重役にも再就職しようとはしなかった。個人でいることは素晴らしいと彼は言っている。そういう埋没的な再就職をする将軍たちこそが、マッカーサーの言った「フェイドアウェイした老兵」に他ならないのだ、とフリンは示唆する。
 彼の強烈な個人主義的キャラクターは、フリン家のルーツがニューイングランド地方のアイリッシュ(もちろんカトリック)であることから、ある程度納得されるだろう。趣味は、サーフィン、ランニング、小説だ。

 フリンと近しい、元CIA長官のジム・ウールジーが評する。フリンは、ある政策が失敗すると判断したときは、ボスに向かって「それはうまくいかないように見えます。理由は三つです。まず……」と直言するタイプだ。キャリア遊泳が上手な部下なら、上司が聞きたい話をどう創作するかを考える。フリンはそれを考えない。

 だからフリンは、トランプの主張である「イスラム教徒のテロ容疑者には水責め拷問をどんどんやれ」「ISの家族を爆殺するようにすればISはテロをやめるだろう」には反対だと公言している。

 フリンはトランプに対し、外交問題では「正確な言葉による表現」が死活的に大事ですよ、と助言しているそうだ。

 フリンは少将であった2011に『スモールウォーズジャーナル』誌に寄稿し、米国はネイション・ビルディングができなくてはならない。戦闘と交渉を同時に進めながらね――と訴えている。これも、トランプの「脱・世界の警察」主義とは、相容れない。

 フリンは7月12日に著作をリリースする。副題は「いかにしてわれわれはラディカルイスラムとその党与どもに対するグローバル戦争に勝利するか」。
 この新刊の内容および評判しだいで、フリンがトランプの副大統領候補になるかならないか、見えてくるだろう。

 この本の共著者のマイケル・ルディーン(G.W.ブッシュ政権の安全保障政策に影響を与えていた学者)いわく。フリンは、質問に答えることでいくら周囲が気まずくなろうとも、それには構わずに質問に答える。そういうタイプだ。そのフリンが来週のクリーヴランドの共和党大会で何を語るか、要注目だ。

 副大統領候補にはならぬとしても、トランプ政権ができた暁には、フリンはCIA長官あたりにされるのではないかと、フリン将軍の周辺者は期待している。

カナダはスーパーホーネットの1社指名(非競争入札)に傾いている。

 Kathleen Hicks and Michael O'Hanlon記者による2016-7-8記事「Donald Trump is wrong about NATO: Column」。
  米国はGDPの3%を国防費に支出している。そして他のNATO諸国は2%を支出することで合意していた。なのにいまだに平均1.4%だ。
 だから米兵がアフガンに10万人も駐留させていたとき、他のNATO諸国は3万5000人しか出兵させられなかった。

 米国と西側諸国の軍事支出は、世界の3分の2である。または、6割強である。

 韓国はGDPの2.5%も支出しているのでNATOよりは優等生である。
 豪州すら2%出しているのだ。

 われわれのシンクタンクの見積もりでは、米軍を海外の複数の主要な工業国家に展開させているコストは、年に100億ドル弱である。
 それは、米国の国防支出総額のたった2%未満でしかない。
 しかも、その100億ドル弱の半分以上は、ホスト国が負担をしているのだ。

 米本土に戦力を置いていてそこから海外に出撃するよりも、最初から前線近くに戦力を配していた方が効率的である。日本に置いている空母がその典型だ。実質、そうした海外駐留が、米国の国防費を、100億ドル以上、節約してくれている。

 西側同盟諸国はまた、GDPの0.5%ほど、米国よりも多めに負担しているものがある。それは低開発国援助だ。
 米国は、軍事費こそ高負担だが、低開発国援助は、低負担なのである。そこは同盟諸国がカバーしてくれているのだ。

 国連平和維持活動への寄与でも、非米NATOは米国よりも多くの兵員を拠出している。過去10年を平均すれば1万人。

 なるほどアフガンへは戦闘部隊を少ししか送ってないかもしれないが、国連平和維持活動では非米NATO諸国は過去15年の長きにわたり1000人もの死者を甘受しているのだ。

 ウクライナ侵略以後、米国が呼びかけた、対露経済制裁。これで西欧諸国はどれほど経済的に「損」をしたか。米国と違って西欧はロシアと多額の商売をしていたのだ。
 平時の米-露貿易の勘定は、欧-露貿易の勘定の、10分の1にもなっていない。
 同様に欧州は、米国が主唱した対イラン制裁にもつきあってくれているのだ。

 トランプの言うように、米国の同盟国たちは勝手に戦争を始めてそれに米国を巻き込むのだろうか?
 違う。
 WWII後、侵略戦争をしかけたのは、北鮮であり、アラブ諸国であり、サダムフセインであり、中共であり、ロシアである。これらはその当時、米国の同盟国ではなかった。

 パキスタンがインドに戦争を仕掛けたとき、パキスタンは米国主導のセントーの加盟国であったが、パキスタン政府は米軍に加勢に来てもらいたいとは少しも思っておらず、じっさい米国は扶けなかった。同様のことは、英仏がいくつかの殖民地でやらかした軍事行動についても同様であった。

 NATOなどの多数の同盟国のおかげで、戦後の世界には、米国を巻き込む大戦争が起きずに済んでいるのだ。この抑止体制を、米国はたったのGDPの3%の負担で実現しつつある。しかし米国を巻き込む大戦争が起きれば、米国の負担額や損害額はGDPの3%ぽっちではとうてい済まない。

 トランプは、Trexit(西欧からも中東からもアジアからも米軍を引き揚げろ)を追求しているが、それはアメリカの壊滅をもたらすだろう。トランプの口癖を使おう。われわれの国際安全保障体制は、とても良い投資案件ですよ。
 ※90'sにトランプ氏は、コニーアイランドを東海岸のラスベガスにするとした事業などが大不振に陥り、おそらく人生でいちばん苦悩していた。そんなとき、日本の土地買収攻勢が、マスコミ的にとても目立った。トランプ氏は昔からマスコミに注目されない人生には耐えられない。彼の日本嫌いは、1990年代に染み着いたと想像できる。いずれにせよ、日本政府は来年、「THAADを買わされて国産兵器開発予算枠を全部奪われるか、防衛費をGDPの2%にするか」を迫られるだろう。

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 David Willman記者による2016-7-6記事「A test of America's homeland missile defense system found a problem. Why did the Pentagon call it a success?」。
  「ダイヴァート・スラスター」という部品がある。
 噴射管が4つあり、衝突コースを修正する。GMD用のスラスターだが、この改善型のテストが2016-1-28に実施された。
 インターセプターは加州ヴァンデンバーグから打ち上げて、標的をかすめたとされた。
 当日の発表は、「成功」だった。しかし、それは大嘘だったのである。

 この新スラスターのメーカーは、アエロジェット・ロケットダイン社。
 インターセプターを組み立てている会社はレイセオン。

 ロサンゼルスタイムズの取材によればテストは失敗した。4つの管のうちひとつに故障があり、迎撃飛翔体は、必要なコースに遥かに届かなかった。

 GMD=「グラウンド・ベイスト・ミッドコース迎撃」は、ちっともうまくいっていないのだ。

 GMDは、2004に作戦可能状態になったと発表された。それいらい国民の税金400億ドル以上が突っ込まれている。

 過去、必ず当てるようにお膳立てされた実験でも、半数は、標的を外している。

 今回の失敗の原因はソレノイド・ヴァルブの不具合が疑われるという。

 GMDはクリントン政権が対北鮮BM用に拙速に展開させたもので、ヴァンデンバーグ(加州サンタバーバラ郡の海岸)、フォート・グリーリー(アラスカ)の2箇所に迎撃ミサイルの発射基地がある。

 ヴァンデンバーグには4基、フォートグリリーには26基展開している。オバマ政権は、さらに14基を2017年末までに Ft. Greely に追加することで連邦議会から協賛を得ている。

 ※同様、THAADはいちども中距離弾道弾を迎撃してみせてないだろ、とGAOがするどく指摘している。そんなものをグァムに1個大隊展開してどういうつもりなのか、と。じつに米国では会計検査院もマスコミも、ちゃんとした仕事をしているので、うらやましい限りだ。日本ではオレみたいな個人商店がそれをやるしかないんだから……。THAAD韓国展開の意味は、米国がシナ大陸奥地から北米に向けて発射するICBMをできるだけ早くトラック開始したいというのが1つの目的。つまりミサイルよりもXバンド・レーダーを置きたい。もうひとつの目的は、韓国人の「核武装論」を黙らせることで、サウジが対イランの核武装をしようとするのを防ぎたい。

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 Isaac Stone Fish記者による2016-7-7記事「Beijing Establishes a D.C. Think Tank, and No One Notices」。
  なんと中共はDCにシンクタンクをひっそりと開設していた。ICAS(Institute for China-American Studies)というのだが、まったく宣伝していないので、グーグル検索しても3ページ目にならないと出てこない。
 そしてこの「シンクタンク」は、国際仲裁裁判所の風向きに影響を与える米国世論づくりのミッションには、まったく失敗したのである。

 ※日本ではまだまだこれからも、個人商店(フリーライター)だけが国家の大戦略を考えて提言できるという時代が続くだろう。

みんなそろそろ「機雷主義」に目醒めてくれたかな?

 Kelsey D. Atherton記者による2016-7-6記事「The Jet Fighter Of The 2040s Will Be A Stealthy Drone Herder」。
  ドイツ政府はトーネイド戦闘攻撃機の後継機として、エアバス社に「複座・双発・双垂直尾翼」形状のステルス万能機を設計させるつもりだ。
 後席パイロットは、UAV〔のウスォーム〕に指令を出す役目に専任する。

 この機種の完成には20年以上かかるはずだが、その時点でも、戦闘機は完全には無人化されない――と業界では踏んでいる。

 この機種によって旧式のトーネイドはリプレイスされるが、ユーロファイターは残る。この機種で、ユーロファイターを補完するのだ。

 ※衛星に依存しない空中ネットワークを構成できれば、無人化した「ホンダジェット」のスウォーム、P-1改造アーセナルプレーン(空中巡洋艦)、P-1改造国産AWACS……等のミックスでも防空戦闘は可能なはずだ。2040年代にはね。

 次。
 Jeffrey Frank記者による2016-7-6記事「Henry Kissinger’s Tactical-Nuclear Shadow」。
  2012年にキッシンジャーは、クリス・クリスティーに大統領選挙出馬を促した。
 キッシンジャーは33歳のときに、〈戦術核兵器は、主に空輸に依存する高機動性の独立部隊に扱わせる。戦場でも、彼らは空中機動する〉と提言し、それから一躍、中央政界に国家安全保障問題を進言する大御所になった。
 サウジと日本に核武装させればいいじゃないかとかブチあげているドナルド・トランプは最近キッシンジャーに会った。
 直後のトランプの自己宣伝によればキッシンジャーはこう語った。――世界中の国々がわたしに電話してきて、皆「どうしたらいいでしょう」「どうしたらトランプ氏の機嫌をよくすることができますか」と一様に尋ねるんですよ。だからあんたのタカ派の流儀は悪くはないようだ――と。

 トランプが大統領になれば、戦術核兵器の対テロ作戦での使用が現実的になるのかもしれない。

 2007年の民主党内の大統領予備選挙で上院議員のオバマ候補は、パキスタンやアフガニスタンのテロと戦うために米国の核を使うことはないと明言してしまった。これに対して当時の対抗馬ヒラリーは、冷戦以降の大統領は核を使うとも使わないとも予め断言してはいけないのだと論難した。

 これは正しい。ヒラリーが大統領になっても、戦術核がイスラム・テロ組織の頭上で炸裂する可能性は、なくなるわけじゃない。

 次。
 ストラテジーペイジの2016-7-7記事。
  シナ政府は、北斗衛星信号の受信機を軍のトラックすべてに装置させたいと考えるようになった。
 これらの軍用トラックが私的商売のために転用されているのを、位置信号を追跡することで見張る。それにより、軍の腐敗を防止する。

 他方、2013以降、贅沢な私有乗用車に軍の高級将校の家族が軍用ナンバープレートを勝手にとりつけないようにする試みが次々打ち出されている。
 正規のプレートをデータベースに登録して、それ以外のものをとりつけて走っている不法車両を市中監視カメラで自動摘発しようという試みは、しかし、うまくいってない。

 偽軍用プレートをつけて走れば、税金も高速料金も払わなくて可い。したがって政府が得べかりし税収を得られないわけ。

 ※『白書2016』の刊行がさらに8月下旬にずれ込みそうで参ってます。今すぐ世間に解説したい事象がたくさんあるのに……。5月に脱稿した話の要修正箇所は、2ヵ月間経過すると、もうリカバリーし切れないレベルに増えるおそれもあります。まあ著者にはどうしようもないことですので、他社向けの別企画に当面没頭します。そろそろ新型戦闘機のコンセプトの話をしたいね。

いつも火のついた煙草片手に登場する三代目体制が国民には禁煙を命ずるらしい。

 Keith B. Payne記者による2016-7-6「Once Again: Why a "No-First-Use" Policy is a Bad, Very Bad Idea」。
  またしてもオバマ政権は核の「ノー・ファースト・ユース」=NFUポリシーを宣言したがっているらしい。
 NFUはしかし、2010のオバマ政権すら否定し去ったもので、それには合理性があるのである。

 米国のあいまい存置政策こそが大戦争の抑止になってきたのである
 米国が核抑止を確立していらい、世界の戦争死者は劇的に減った。この事実を人々は見ようとしない。

 しかし米国が今NFUを採用すれば、世界じゅうの反西側勢力は、ハイテクテロ兵器、化学兵器、生物兵器を使いまくりとなることは必定。だって核さえ持ち出さなければ核で報復されないんだから。

 ロシアは2008以降、武力でWWII画定国境を変更し続けている。しかも露骨に核の先制使用を揚言して周囲を脅している。

 2015-6-26の英紙『The Telegraph』の報道によれば、露軍は3万3000人を動員して、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、デンマークに侵攻するというシナリオの演習を実施している。

 ロシアや中共が、核以外のなんでも、すなわち、生物兵器と化学兵器を無制限に使用して侵略戦争を始めると、周辺国に8000万人から1億人の死者が出るだろうと見積もられている。米国がNFU政策を採用すれば、これは未然には抑止できないのだ。

 もし米国がNFUを宣言すれば、同盟国に対する「核の傘」も消滅するので、同盟国は独自に核武装を模索する。すなわち核は世界に拡散する。
 特に韓国と日本は核武装するだろう。

 次。
 ストラテジーペイジの2016-7-6記事。
  6月末に中共は、軌道上で衛星に燃料注入できることを示した。

 米国がかつてペースシャトルを開発したのも、高額なスパイ衛星の寿命をできるだけ延長するためであった。高度を維持したり軌道を微修正するための補助ロケットの燃料が尽きると、低軌道の衛星はすぐに空気との摩擦で周回高度が低下して墜落する。

 しかしシャトル全廃のあと、米国は、衛星燃料の宇宙での補給については2020年まで何もしないつもりである。

 無人シャトルのX-37Bは2機ある。2016年半ばの時点で、米空軍によるX-37Bの4度目の軌道上ミッションはまだ続いている。自重5トン、ペイロードは300kg弱だ。
 しかし2年間以上も軌道上にとどまることが可能。ペイロード24トンの旧シャトルが有人であるがゆえに数週間しか宇宙にとどまれなかったのとは大違いだ。

 X-37Bにはロボットアームがついており、将来はこれで軌道上のスパイ衛星に燃料補給もできると考えられている。ただしこれまでに実施したことはない。
 X-37Bじしんがスパイ衛星の機能を果たすと信じられている。軌道を急に変更するので、敵は何かを隠すいとまがない。

 スパイ衛星への燃料再補給を日常的に実施できる、ペイロード1トン以上の「X-37C」も企画提案されている。X-37Bをスケールアップしたようなものとなる。そして中共も今、このX-37Cと同じサイズの無人シャトルを開発中なのだ。

 次。
 最新記事「Russia gathers troops at Baltic military bases ahead of Cold War-style stand-off with Nato」。
   冷戦時と同じパターンで、NATOに対抗してロシアが大演習をバルト海で開始する。いまはカリニングラードに大兵力を集結中。

 NATOのワルシャワ会議は7-8に始まる。

 ロシアはカリニングラードをSAM要塞化することでNATO軍機がバルト三国やポーランドに近寄れないようにしたい。それで新しいレーダー基地も増やしている。

 2016-6後半の報道。ロシアは2019までにカリニングラードに「イスカンデル」短距離BM部隊を常駐させる。それには核弾頭がつけられる。

すべての宗教は戦略兵器である。

 Mustafa Salim and Loveday Morris記者による2016-7-4記事「After Baghdad blast, use of fake bomb detectors draws anger」。
  爆弾テロが頻発中のバグダッドでは、かつて英国の詐欺商人が売りつけたインチキ爆弾探知機がいまだに検問所で広く用いられている。プラスチック製のピストルグリップに〈地下の埋没物検知に有効と一部で信じられている、ぶらぶらするロッドアンテナ〉1本がつけられただけの形状だ。
 何の機能もないこの装置でボディチェックを受けるために、人々は炎天下の検問所に何時間も並んで待つのである。

 この贋探知装置は商品名「ADE 651」という。これを作って売り込んだ詐欺師のジム・マコーミックは2010年に逮捕され、2014年に英国の裁判所で懲役10年の判決を受けている。

 マコーミックはこの片手持ちサイズの偽装置をイラクなど数ヵ国に売って8000万ドルも儲けた。
 売り文句は、「麻薬や爆発物を1km先からでも探知できます」。こんなのを信ずる政府がたくさんあるのだ。というか、最初に購入を決めた高官たちは、嘘を承知でこれを言い値で買い取ることにし、商人からのキックバックで国家予算を着服したわけである。

 マニュアルには、「正しい物質探知カードを挿入すれば、野生の象や、100ドル札紙幣も、嗅ぎ出すことができる」等とある。※むかしの少年雑誌の「表4」に載っていた怪しいアイディア商品満載カタログのコピーの数々が蘇る……。

 FBIによると、1990年代のなかば、ロストしたゴルフボールを草叢から見つけ出せるという売り文句で「ゴーファー」という商品名の、もちろんまがいものの発見器が69ドルで市販されたことがあって、「ADE-651」も、その別バージョンなのだという。ただしマコーミックは1個に数千ドルの値段を付けて外国政府に売り込んだところがすごい。

 ピストルグリップに取り付けられたロッドは、わずかな加速度や傾きでも左右にスウィングするように振れる。これが「何かを検知した」とユーザーを錯覚させるわけ。

 マリキ首相は2014年に、なんでこんなものをまだ兵隊に使わせているんだと記者会見場で問い詰められ、「ニセモノも少しはあるが、それ以外は本物だ」と答えている。彼は腐敗の構造を承知していたのだろう。

 同年にアルアバディがイラクの新首相になってからもこのいんちき装置は使われ続けている。

 次。
 David Cenciotti記者による2016-7-5記事「The most up-to-date F-22 Raptor jets are currently fighting Daesh」。
  UAEのアルダフラ空軍基地に送り込まれているF-22Aのスコードロンは、装備するラプターにいちばん先端的な改修をほどこしている。
 ソフトもハードも最新式。
 アラスカのエレメンドルフが原隊で、4月からISを空襲している。

 この部隊のラプターが、同機種として初めて、サイドワインダーのAIM-9Xを搭載している。ヘルメットマウンテドディスプレイと連動するものではない。が、発射したあとからデータリンクによって敵機にロックオンさせることができ、したがって、真後ろの敵機を攻撃できる。

 中東でのラプターの主任務は、そのAESAレーダーによって、ISが布陣している地上の電子地図をつくり、それを、次にやってくるストライクイーグルのミッションコンピュータに共有させてやることだ。「先駆けする空中移動センサー」なのである。

 次。
 2016-7-5記事「Is China’s Mysterious New Satellite Really a Junk Collector? or a Weapon?」
  6-25に海南島から「長征7」ロケットでうちあげられた衛星「うろつき龍」。これがマジックハンドを有していて、目的が謎。
 中共は、宇宙の大型ゴミを掴んで軌道から突き落とし、大気摩擦で燃え尽きるようにしてやるものだと公式に説明しているが……。

先任中尉が「自衛戦闘」の開始決断を迫られる時。

 Tara Copp記者による2016-6-30記事「'I didn’t want to start a war'
Navy: Poor leadership, training led to capture of 10 sailors by Iran」。
  やっと全容の発表がなされた。イラン革命防衛隊にイランの領海内で米海軍のリバーボート×2隻が拿捕されたという2016-1の恥ずべき椿事の顛末だ。
 1隻のエンジンは、出港前から故障していた。乗員たちは、直近の航法実務試験に皆落第していた。無線機はことごとく機能しなかった。2隻の乗員のうち10人は、外洋でのこれほどの距離の航海が初めてであった。

 しかし彼らは送り出され、そして乗員たちは、戦闘を堪える精神力をもっていないことを証明してしまったのであった。

 2隻は、クウェートの港からバーレインに行くはずだった。が、なぜかイランのファルシ島の沖1.5浬で停船。8人の男の乗員と1人の女の乗員が逮捕されて1晩を訊問所で過ごし、いろいろな秘密をイランに与えた。間抜け過ぎる。

 すでにこの事件に責任ありとして、モーゼス大佐(コモドアー=艦隊司令官)とラッシュ中佐(艇長)は、ポストを外されている。

 クウェート軍港のもうひとりの将校(姓名等未公表)も、ポストを外された。
 他に6人の海軍軍人も、処分を待っている。そのうちひとりは、先任兵曹長だ。彼は艇長に抗命した。

 1月12日から13日まで続いたこの事件、米国とイランが核開発問題で外交協議を詰めているさなかであった。

 艇の将校たちはイランのテレビカメラに向かって「お詫び」を語った。

 詳細な数百ページの報告書は6月30日に海軍から公表された。
 それによると……。
 リバーラインコマンドボート802号艇と805号艇は、計画より4時間送れてクウェートを出航した。無線機の調子が悪くてそれを直せなかったからだ。

 その前夜、802号艇は、エンジン故障も起こしており、やはり直っていなかった。

 そこで1月11日夜から12日朝まで徹夜でエンジンを整備し、それから250浬のミッションに出発した。

 ふつうはこの距離の航海をする前には数時間の休憩が求められるが、2人の艇長は一睡もできなかった。

 両艇長とも、海軍が課す「航海科」の最近の試験には落ちていた。そして乗員の誰も、搭載されているナビゲーションシステムについて、2時間を超える教習は受けていなかった。

 805号艇は、航程ログ記入〔コンピュータへの航程入力か?〕をしなかった。どちらの艇長も、紙の海図を事前に確認していない。

 乗員たちは、この準備状態ではダメだと言い合っていた。誰もこれだけの距離を航海した者はなく、しかも、途中で1回必要な夜間の洋上給油も、これまで誰も体験していなかった。

 まして無線が無反応なので、洋上給油を受けられるか、甚だ心配された。

 先任艇は802号である。802号艇長は、日没後の給油ではなく、日没前の給油を受けたいと考え、給油艦の『USCGC モノミー』との邂逅点に、本来の航路ではなくて、ショートカットして行こうと考えた。その決心は上司の許可を受けておらず、しかも、乗員にも知らせなかった。

 この結果、かれらは一直線にイランの革命防衛隊の根拠地、ファルシ島に向けて突き進んだのである。阿呆過ぎる……。

 拘禁される1時間前、島がハッキリと見えて来たのに、彼らはそこがイランの領海だとはまるで思わなかった。

 その瞬間、ナビシステムは、そこはイランのファルシ島で、イランの領海内だと表示していた。
 しかし総勢10人の乗員のうち誰もその情報に注目はしなかった。ディスプレイ上で島をズームさせれば詳細情報が出てくるのだが。

 だれひとり、海図室の予備海図を確認しようとはせず、まただれひとり、米海軍の海洋オペレーションセンターに無線で問い合わせようともしなかった。
 ひとりの乗員は、私物のスマホを見てみた。アプリケーションが、長いアラビア語の名詞(島の名)を表示した。情報はそれだけだった。

 そのとき802艇のエンジンの油圧が危険レベルに低下し、行き脚が落ちた。805艇は、艇長が減速させて、橫に並んだ。

 ナビシステムの記録によれば、802艇は4時12分に行き足がなくなり、805艇は4時13分に行き足がなくなっている。

 802艇はエンストしたわけではない。微速で航行を続けながら修理することはできた。しかし、そこにとどまって修理することが選択された。

 そしてその時点でも彼らは、目の前の島について何も確かめようとしていない。
 両艇長とも、ガナーに対して、エンジン修理中に接近してくる敵を警戒せよとも命じていない。

 かれらは修理は20分で終わると思っていたところ、停止後数分にして、2隻の小型艇がこちらに近づいてきた。

 その小型艇が1000ヤードまで来たところで、802号艇長は、相手船が武装していることを視認した。しかるに艇長は部下に、防衛のための準備をせよとは、なんら指示していない。艇長は、その武装艇はサウジのものだと思い込んでいた。

 武装艇2隻が100ヤードまで迫ったときに、ようやく米海軍の2艇は、ガナーたちに戦闘配備を命じた。
 彼らは、イラン革命防衛隊の青旗を認めたからだ。

 乗員たちは、レンチを高くかかげ、今エンジン故障で修理中であることを、イラン人たちに分からせようと、いろいろ叫んだ。
 そこへ、さらにイラン艇が2隻、やってくる。

 802艇長の若い中尉は、急いで海面から離れようとして全速前進を命じた。が、先任兵曹が抗命した。先任兵曹のみるところ、こちらの針路をイラン艇はブロックできる位置関係であり、かつまた、イラン艇乗員のAK-47の銃口が皆、至近距離からこちらのガナーたちに指向されていたからである。

 802号艇長は、射たれてもいいからすぐに前進しろと先任兵曹に命じた。しかし先任兵曹はエンジンを動かさなかった。動かせばこちらのガナーが射殺されるのは必至だというのが先任兵曹長の抗命の理由である。

 しかたなく、その場の最先任者である802号艇の若い中尉が、イラン人と交渉を始めた。

 中尉は、ここでイランと戦争を始めたくないと判断する。
 乗員たちは両手を上げ、膝まずいた。
 イラン人たちが乗り込んできた。
 そして米国旗を引き毟り、イラン国旗を掲げた。

 このあと、ガナーの一人であった女性乗員が、縛られた状態であったが、遭難信号(緊急ビーコン)のスイッチを入れることに成功した。しかしイラン人がすぐそれを見つけ、ビーコンを没収した。※オレンジ色の投下ブイのことか?

 乗員がもっていた武器、コンピューター、携帯電話は、すべて没収された。
 翌日、昼食後に彼らは解放された。このへんのことはすでに報道が詳しくされている。

 米国防総省のコードオブコンダクト集には、非戦争時下における将校の「降伏」の判断については、明確な規定がない。

 802艇長は、イラン人たちに、部下乗員を動画撮影しないでくれと要求した。しかし彼自身がイラン製作のフィルムの中で謝罪した行為は、コードオブコンダクトに明瞭に反している。

 イラン人は、艇長が動画で謝罪することだけが乗員の解放につながる道だと艇長を説いた。この場合でも、艇長の行為は、米軍のコードオブコンダクトに反するのである。

 ※海軍はこの事件の第一報をケリーよりも早くスーザン・ライスに報告した。そのことから、ライス特命の特殊任務だったのかと、わたしはいままで疑っていたが、そうではなかった。オバマ政権の「世評」維持係であるライスは、このぶざまな事件の詳細を半年間、議員やマスコミに対して隠し抜くことで、なんとかみずからの任務を完遂したようである。ぱちぱちぱち……。

「読書余論」 2016年7月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 『爆弾信管関係』
 海軍の爆弾にとりつけた信管の秒時が網羅的に記されている。

▼防研史料 『爆弾第三十三回実験』S15-3-29

▼防研史料 『爆撃参考綴』〔マル6/兵器/136〕
 ※この史料は本格的なものである。

▼防研史料 S13-5-28~S18-8-1『爆弾関係資料綴』by航本

▼防研史料 『爆弾本体一覧表』(英文)
 海軍の爆弾についてである。

▼後藤 乾一[けんいち]『近代日本とインドネシア』1989-4
▼根本惣三郎ed.『回顧 乃木将軍』S11
▼渡辺 求『乃木将軍と孝道』S15

▼横山達三(黒頭巾)『乃木大将』大1-11pub.
 伊藤博文より乃木の漢詩の方が平仄が正しいという。

▼陸軍歩兵大尉高橋静虎『恩師乃木将軍 第一』大3-10
 ヒエは何年貯蔵しても虫がつかない。腹にももたれない。城内糧食である。よって、武士が用いる。

▼大島輝久『乃木大将言行録』S2
 植木では死傷者は人夫をして後方に運搬させた。弾薬糧食の推進、後退も、人夫にさせたのである。

▼東 岩美『乃木大将 第一巻 錬磨育成篇』S16-10
▼四元学堂『忠勇義烈 軍神乃木大将』大8初版、大9repr.

▼『日本海軍航空史(3)制度・技術篇』S44 時事通信社
▼高幣[たかへい]常市『山本五十六元帥』S18-10

▼『浦賀船渠六十年史』S32 同(株)ed.,pub.
 エリコン20ミリ機銃とその弾薬包を生産することになる大日本兵器(株)を知るための基礎資料。

▼宮野澄[とおる]『不遇の提督 堀 悌吉』1990、光人社

 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
 で、タイトルが確認できます。

 電子書籍ソフト対応の「一括集成版」もできました。詳細は「武道通信」で。

 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
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