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ロシアの年間宇宙予算は10億ドル。中共は60億ドル。そして米国は400億ドル。

 Elias Grollと Dan De Luce記者による2016-8-26記事「China Is Fueling a Submarine Arms Race in the Asia-Pacific」。
   先週、『オーストラリアン紙』は、仏メーカーのDCNS社の下請け企業に勤務する元フランス海軍将校が東南アジアにおいてデータブリーチされ、『スコルペン』型潜水艦に関する2万ページの技術情報が漏洩したと報じた。この退役将校はそのデータをDCNS社から2011年に貰って保存していたらしい。DCNS社の秘密管理体制が問われている。

 『スコルペン』型潜水艦をライセンス製造しているインド海軍は、性能の秘密を中共に知られることになるので、大打撃。
 『スコルペン』型が潜航に要する時間、その魚雷の射程、水中でのノイズのプロファイルまでが記されていたという。
 チリ、ブラジル、マレーシア海軍もフランスに『スコルペン』を発注しているが、どうなることか。

 SIPRIによると、2014年から2015年にかけ、アジアでは軍事費が5.4%増えた。同じ時期、世界平均では1%の伸びであったのに比して、その緊張の激しさが分かる。

 ベトナムは2009年いらい、ロシアから『キロ』型×6隻を、26億ドルで輸入し、カムラン湾に配した。
 『キロ』型からは射程188浬の対艦ミサイルを発射できる。
 ベトナムはまた、米海軍で余剰となる古いP-3Cも安く調達したいと念じている。

 ※こうした格安転売は、ペンタゴンの外局(?)であるDSCA〔米国海外軍事防衛協力局とでも訳す?〕が国務省といっしょになって仕切っているようだ。DSCAは、政府間の掛け値なし武器売買であるFMS、外国軍が武器を購入できるように資金を融資してやるFMF、そして外国軍に米軍の余剰兵器を譲与または格安販売してやるEDA(Excess Defense Articles)を、その事業の骨幹としている。転売価格だが、その兵器の年季や状態により、新品を取得したときの価額の5%から半値の間で値が決められる。おそらくわが防衛省がフィリピンに「TC90」を「タダ同然リース」したときの価額はこの5%を参考にしたはずだと私は勝手に妄想している。EDAによる供与は販売のこともあれば譲与もある。何が余剰兵器かは、四軍(MILDEPS)の長が判断する。引き取り手は、「エンド・ユーズ制限」条項を受諾しなければならない。貰った装備を第三者に渡さないなどの約束を文書でしなければならないのだ。そして、引き取る際の梱包、荷役、輸送、リファービッシュメント費用は、受け取る国の負担でしなければならない。余剰兵器は、現在の状態で、現在ある場所から、受領国によって引き取られねばならない――という建前だ。

 インドネシアもナツナ諸島をシナから守るために、現在2隻しかない潜水艦を7隻に増強する。昨年、ロシアに『キロ』型×2隻を発注した他、2012には韓国版のドイツ型潜水艦も3隻、発注している。※『キロ』級のときは、ロシア版のFMFが行使されている。韓国潜水艦のときは、韓国式接待が発動されている。

 ※インドネシアの造船業界は急発達している。韓国製潜水艦は最終的にはインドネシア国内で組み立てられる。すでにインドネシアは、韓国型の11500トンのLPDを国内で量産し、それをフィリピン軍に単価1億ドルで2隻、売ったりもしているのだ。やはり最初は韓国から完成品を2隻買って学習し、2009年にその国産化に成功した。インドネシアは、LSTや警備艇なども、次々と武器輸出に成功している。北欧の技術で「水上戦車」まで作っている。間違いなく、小型潜水艦も、いずれ国産化して輸出するであろう。

 インドはこれから30年のうちに24隻の潜水艦を国産するとブチ上げている。
 ※こっちはあまり信用しなくていいだろう。とにかくインドは「国有工場」が政治家の利権になっていて、社内人事が腐敗しすぎていてダメなのだ。純然民間資本の造船所を別に創設しない限り、見込みはない。インドに進出して大成功した「スズキ」が証拠。「タタ」コンツェルンも民間なのでいい調子だ。

 インドが国内で『スコルペン』型を6隻建造するプロジェクトは、遅れに遅れている。1番艦は2012年に就役させるという計画だったのに、やっと2016年に公試運転に漕ぎつけたという段階。
 ※これも国有造船所がどうしようもないのが理由である。

 豪州がこれから建造しようというフランス型潜水艦は、『スコルペン』型ではない。SSNの機関を非核にして、5300トンを3800トンくらいにスケール・ダウンした『ショートフィン・バラクーダ』型である。

 ※非核動力だと潜水艦は4000トン台が合理性の極限で、5000トン台というのは、ありえないそうである。つまり日本の次期潜水艦も4200トンの『そうりゅう』型以上には大きくはなりそうにない。

 アメリカ政府は日本に豪州潜水艦隊強化の面倒を見させることで日本に対支抑止の大幅な肩代わりをさせようともくろんでいたのだが、フランスのロビー活動のおかげでその狙いが見事に吹っ飛んだ形だ。しかし『ショートフィン・バラクーダ』には米国製の戦闘管制システムが搭載される。

 ※ペンタゴンの中の人たちは、豪州のASC社が豪州労働党の利権ベースであったことに無知であった。そして豪州はとんでもなく労組が強い国で、トヨタすら撤退に追い込まれていることにも無知であった。豪州自由党は、がんらい、反労組の党である。彼らは陣笠代議士時代から、選挙区で労組票(労働党候補)を相手に死闘を続けてきている。ASCは軍艦の工期をダラダラひきのばすことで国庫から造船労連に無限にカネが流れ込むスキームに貢献する。自由党のジョンストン国防相(上院議員になる前は金鉱会社の企業弁護士だった)は、このようなASCには一銭も儲けさせぬという決意を固めていたのだが、それは全国有権者の支持は得られなかった。フランス資本のタレス社はシドニー軍港の半ばをすでに制圧しているくらいで、フランス工作隊が造船労組経由で豪州労働党に『そうりゅう』随契への異議を唱えさせることなどわけもなかった。フランスが特に巧みだったのではなくて、米国が豪州の「下部条件」について無知すぎたのである。三菱は、F-35参加のために武器輸出解禁の閣議決定までさせた負い目と経団連筆頭である責任から、この降って湧いた案件を峻拒できなかった。そして改型でのAIP外しの指向は、豪州自由党が野党時代から、「コリンズ型=コックムス社=造船労組」を批難してきたいきさつと関係があると思う。だって川重がもっているスウェーデンのエンジンライセンスを無駄にするという話だからね。

 げんざいDCNS社は、ノルウェー海軍およびポーランド海軍からの潜水艦受注をめぐって、他社とコンペティションを戦っている最中である。

生物くん。

 NEIL MacFARQUHAR記者による2016-8-26記事「A Powerful Russian Weapon: The Spread of False Stories」。
   ロシアは、スウェーデン政府がNATOと軍事同盟関係に入るのを阻止するために、偽情報のインターネット発信にドライブをかけている。
 いわく。
 ――NATOはスウェーデン国内密かに核兵器を展開して、そこからスウェーデン政府の許可なくロシアに向けて核攻撃を開始する気だ。
 ――NATO兵士がスウェーデン国内で強姦してもスウェーデン政府はその将兵を訴追することができない。外交特権で守られるからだ……などなど。

 これが国内メディアでも語られるようになったので、国防大臣が全国行脚してタウンミーティングの場に臨み、「その話はロシア人によるルーモア工作である」と打ち消して回らねばならなくなっている。

 なにしろプーチンは、NATOに加盟しようとしたジョージア/グルジアの機先を制してジョージアを武力占領してしまったというトンデモ野郎なのだ。おなじことをスウェーデンに仕掛けない保証はない。

 ロシアの通信社はスプートニクである。ロシアのテレビ番組を海外で系列地方局に放送させる輸出キー局はRT(ロシアトゥデイ)社である。この2社がスウェーデン内部に食い込んでいるので偽情報の拡散は容易なのである。

 ディスインフォメーションのことはロシア語で、「デズィンフォルマツィア」という。

 平時の偽情報作戦は、相手国の極左および極右が引用したくなるような内容にこしらえると、効果が抜群である。あとは彼らがインターネットで勝手に拡散してくれるからだ。

 こんな騒ぎもあった。ロシアのテレビ放送が、「13歳のロシア系ドイツ少女が中東系移民によってレイプされた」と報道。それが虚偽であることをドイツ警察が確認すると、ラヴロフ外相は開き直ってさらにドイツの移民受け入れ政策を非難した。
 ロシアの狙いは、西欧の極右を元気付けて「西欧の民主主義などすでに崩壊している」と内外に信じさせることなのだ。

 RTは英国内の系列局(英語放送)に、EU離脱をさんざんけしかけさせていた。このことから、ロシアが英国のEU離脱をいかに欲していたかもよくわかるのである。

 6月にNATO軍はポーランドで演習した。このときもロシア系ウェブサイトが、NATOはポーランドの許可なくポーランド等の東欧諸国内からロシアを核攻撃する気だと大宣伝した。そしてアメリカはドイツを警察官にして東欧を支配する気なのだぞとも警告した。

 チェコなど東欧圏でのロシア発ディスインフォメーションの成績は、対北欧よりも良いようである。
 ※やはりスラヴ系の言語が近くて同じレトリックがよく通ずるからだろう。もちろんすべて現地語なのだが。

 チェコ共和国内には「プロ・ロシア」のインターネット放送局は40くらいもある。いずれも、西欧とアメリカと移民はすべて悪者だと宣伝する。
 ※中共は日本国内で「移民は悪者だ」とは宣伝できない。ここが面白い。

 冷戦期のソ連の偽情報発信は、インドのメディアを利用するものだった。そこで英語によって偽情報を報道させてしまえば、それはすぐに世界が引用可能になるからだ。
 「エイズはCIAが開発した生物兵器だ」というルーモアは、この方式で拡散された。

 ロシアの工作隊は、スウェーデンの国防大臣のサインをそっくり真似して「ボフォース社はウクライナに榴弾砲を売れ」といった勧告の手紙を偽造して写真に取り、それをネットで拡散している。スウェーデンでは大臣がそんなマネをしたら違法にきまっているのだが。

 同大臣は国外で会議に出席すると、いまだにこの手紙に関する質問を受けるという。それほど、捏造名誉毀損工作は、有効なのだ。

 ロシアテレビ界の著名なアンカーであるドミトリー・キセルイェフは言った。今日では敵兵1人を殺すコストはWWII中よりもずっと高い。もし相手を説伏することができるならば、そいつを殺すことはない。プロパガンダこそ、戦争に安く勝つ戦術である。ロシアの番組がプロパガンダだというなら、西側の番組だってすべてプロパガンダじゃないか。「中立報道」の時代はとっくに終わってるんだよ。

 ※日本でもこういうガセネタがあった。いわく。〈スウェーデンの間接税は高率だが、成熟した議会制民主主義があるため、その使途についての代議士たちによる詳細なチェックが働き、有権者の満足度も高い〉、と。だが事実はこうだ。スウェーデンの有権者は冷戦終了とともに軍役の一方的な軽減だけを政府に迫り続け、徴兵制を廃止させ、国内外の安全保障については誰もが無関与をよしとするようになった。結果、複数年度にわたって軍事費の増額が禁じられる法律が可決され、プーチンのロシア軍が復活するやたちまちに、スウェーデンの領土国家主権はロシア軍から舐められ放題に蹂躙されるようになって、NATOとの同盟に救いを求めるしかなくなったのである。

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 Nomaan Merchant記者による2016-8-27記事「Does China still harvest organs of executed?」。
     腎臓移植を希望していた1人のカナダ人の患者が中共に行ったら、たった3日間待たされただけで、適合する腎臓を移植してもらうことができた。
 モントリオールの「移植協会」は、中共では適合腎臓を持つ死刑囚のリストが揃っていて、顧客がやってくるとその適合囚を選び出してただちに処刑して病院に供給しているのではないかと疑うようになった。

 表向きには中共は2015-1に、刑務所を「臓器畑」扱いすることはやめた、と発表している。

 2011年時点で中共内で移植された臓器の65%は、死刑囚のものだった。これは元副厚生大臣であったシナ人医師が認めている。

 中共は、毎年死刑にしている人数を公表していない。アムネスティーインターナショナルでは、1年に1000人弱だろうと推定している。

 シナ文化では死者の臓器を遺族が同意して他人に分け与えるなどとんでもないことだと思われている。だから供給源はボランティアには頼っていられないのだ。

 政府発表によれば2015年にシナ国内で1万57件の臓器移植手術が実施された。しかし同国には闇市場があるので、誰もこの数字は信じていない。

 ちなみに政府の公式数字ではシナ国内で臓器移植を欲する患者は1年に30万人だという。

 シカゴ大学の移植外科医で、シナのあちこちの病院でそのワザを披露しているミルズ医師いわく。たしかに改善の跡があると。というのは、以前には移植病院では毎日コンスタントに一定の移植手術があった。これはドナーが囚人だからできることだ。しかし今では、あるときは1日にオペ2件が集中し、かと思うと移植の無い日が何日も続いたりする……という具合に、スケジュールが予測不能になっている。これはドナーがボランティア化しつつある証拠だろう、と。・

 臓器の闇市場は残っている。しかし、人々が疑っているほど大規模ではなくなったのだ。

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 Sebastien Roblin記者による2016-8-27記事「BrahMos: India's Supersonic Mega Missile That China Should Fear」。
       ブラモスの原型はロシアのP-800である。それはマッハ2.8だったが、ブラモスのラムジェットは少し速い。
 トマホークとくらべると、重さは2倍。速力は4倍だ。

 ブラモスは命中直前にはS字運動をする。シースキミングだけでなく。
 もし目標までの距離120km以内でリリースされたときには、最初から最後までシースキミングで飛翔する。

 狙われた艦艇が、自己のレーダーでブラモスを探知できるのは、距離30kmである。そこから命中までは30秒しかない。30秒でどんな対処が可能かという話。

 ある試算によると、アーレイバーク級イージス艦は、同時に12発までのブラモスにしか対処はできない。したがって、空母輪形陣全体では、64発のブラモスが同時に集中すれば、防禦手段が飽和されてしまう。

 ブラモスは、ロシアのオニキス・ミサイルと比べてレンジが半分。290kmである。

 この理由は、ロシアがMTCRを遵守したことにある。35ヵ国が合意したMTCRの条項のひとつが、レンジ300km以上の巡航ミサイルを、その技術を持ってない国に対して輸出してはならぬ、というものなのだ。
 だからロシアはレンジを290kmにわざわざ制限し、その代わりに速力を増してやったわけ。

 ちなみにインドも2016-6-28にMTCRに加わった。これはインドがブラモスを輸出する気満々であることを示している。
 中共はMTCRに加入していない。

 ブラモスの弾頭には、660ポンド以内の核弾頭も、理論上、搭載できる。それはあまり現実的ではないにしろ。
 ブラモスは一般的には、軍艦に8個のセルのVLSとして搭載される。
 インド海軍は2013年には潜水艦からもブラモスを発射してみた。

 インドは「スホイ30MKI」戦闘機からこの巨大ミサイルを発射するために数年努力して、成功させた。2016-6のことである。そしてこのタイプを「ブラモスA」と称する。
 40機のスホイ30MKIが、この運用機として改造される。

 陸上型は、12輪トラックから発射する。発射連隊は、この車両を5両もつ。その連隊がすでに4個、シナ国境に配備されている。

 ブラモスの「ブロック3」は、山の反対斜面を、70度の急降下で直撃できる能力がある。ヒマラヤの中共軍は、反対斜面を利用した陣地に籠もっても、無駄である。

 ブラモスはポテンシャルとしてはレンジを500kmに伸ばせるが、インドにその技術力があるかは疑わしい。

 探知されにくいように小型化した「ブラモスNG(ネクストジェネレーション)」も開発中である。総重量3000ポンド以内でまとめるという。
 と同時に、スクラムジェットによりマッハ7で飛ばす「ブラモス2」も開発したいと言っている。

 2014秋に習近平がインドを友好訪問したとき、インド国境のシナ軍はあきらかにそれに不満で、いろいろな策動を示した。中共の文民統制は不完全であることがここでもバレている。

 インドはベトナムにブラモスを売る気である。ブラモスには、マレーシア、インドネシアなども関心を示している。

米国務省が攻撃型ドローン輸出規制枠組みを作って各国に合意させようとしている。

 ストラテジーペイジの2016-8-26記事。
  イスラエルは、南米麻薬カルテルが10年以上も前から密輸出に多用している「簡易潜航艇」が、近々、イスラエル沖の天然ガス掘削リグ攻撃のために使われると予測し、その潜航艇を見つけ出すためのセンサーを配備・展開しつつある。
 これら簡易潜航艇の発見の仕方についてイスラエルは、米国のコーストガードなどから情報を貰った模様。

 米コーストガードの場合、船艇とヘリの数が足りないので、センサーで遠くから探知した「不審船」が本当に麻薬カルテルのものか確認せずにいきなり発砲して停船させるわけにはいかない。しかしイスラエルは、沖合いの不審船ならば何でも発砲してOKだから、長距離センサーが役に立つ。

 ※原文中には明記されてないが、この書きぶりからして、SOSUSの簡易版を設置したっぽい。あるいは、日本の海保が小型漁船にも取り付けを推奨している「簡易AIS」のようなものなのかもしれないが……。誰何電波に対するレスポンドがなければ、すべてそれは敵性ゲリラ船だとして対処すればいいのだ。

 「シーガル」という無人ロボット警備艇(USV)は、水中の潜航艇に対して、有線誘導魚雷を発射することもできる。

 麻薬密輸用潜航艇は、エクアドルやコロンビアなどの南米沿岸の河口のジャングルに隠れたガレージでギャングの手によって製造されている。木骨+ファイバーグラス船殻。全長は大きいもので20m。
 エンジンはディーゼルで、乾舷はほとんどなく、ごく低い覘視塔だけが水面上に出ている。これに最大で5人が乗り組む。
 荒天時や、米コーストガードが接近したときには、深度10mくらいに潜水して脅威が去るまで堪えることができる。
 航続力だけは長大だが、水上航走速力はごく微速で、ウェークもできないのでコーストガード等の持つレーダーでは探知ができない。

 最初に登場したのは1990年代前半。おそらく最初は米国の遊園地用もしくはカネモチ遊覧用のレジャー向き潜航艇の設計ノウハウを持つ技師が小遣い稼ぎをしたのではないかと疑われている。

 2000年になるとこのグラスファイバー潜航艇は長足の進歩を遂げ、いちどに10トンものコカインを運搬できるものや、大西洋を横断してスペイン海岸まで片道航海できるものが登場した。
 しかしこうした本格型タイプはいまのところごく少数しか確認されていない。どうも値段の割に「成績」はよくないようである。悪天候によって沈没、もしくはエンジン故障によって自沈したときに、積載量が大きいほど、ギャングにとって打撃になってしまうからだ。
 安価に多数のミニ潜航艇を造ってどんどん近距離へ送り出した方が、取締り側を「アウトナンバー」して、警戒網をすりぬけてしまいやすい。

 米国は2000年から中南米諸国を糾合して、米軍がセンサーで探知した不審船を地元国家の海軍に取り締まらせるようにしている。
 麻薬密輸潜航艇はこれまで100隻以上がそうした官憲によって「撃沈」または拿捕されている。

 発見されずに密輸に成功して密かに「自沈処分」したものはその5倍以上あるだろう。
 密輸潜航艇は決して南米とメキシコ(2008年以降はしばしば直接に北米海岸)の間を「往復」することはない。常に片道ミッションなのだ。

 コロムビア警察によれば、2010年以降、麻薬ギャングだけでなくて、左翼ゲリラのFARCも、兵士の極秘移送用にこの「自作潜水艦」を使うようになっているという。

 コロムビア海軍は1970年代に、西ドイツ製の『209』型潜水艦を2隻、保有していた。その当時の乗員が除隊したあとで、コカイン・ギャングに再就職して、こうした密輸潜航艇の運用に携わっているらしい。これは逮捕者の訊問で分かってきた。

 ※CSディスカバリーチャンネルで放映している『How Do They Do It?』という英国製の番組があるのだが、できるならこの麻薬密輸潜航艇の造り方……は無理だが、市販されているレジャー用潜航艇の工程を紹介してくれぬかと思う。それによって何がハッキリしてくるか? 台湾政府がこれまで潜水艦や潜航艇を国産しなかったのは、意図的(国策的)な「サボタージュ」以外の何物でもないということだ。台湾人くらい信用ならぬ連中はない。じぶんたちでつくれるのに、それを保有できない理由をずっと米国や西側諸国政府のせいにしてきた。このたびも、わざわざハードルが高い本格潜水艦をこしらえるとか元首が言っているが、まさにその宣伝こそが、潜水艦を永久に持たないためのサボタージュ戦術に他ならないのだ。おめでたい日本人たちよ、彼らの巧言に騙されるな! 彼らの半数はいつでも戦わずに逃亡するつもりであり、残りの半数は、いつでも中共に吸収される用意ができているのだから。

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 Kim Gamel記者による2016-8-25記事「Pet-cloning lab in S. Korea starts military dog program」。
  京城の南郊に「クローン犬」を生産する「Sooam社」があり、顧客(デュバイの皇太子など)が1匹につき10万ドル払ってそれを納品されている。すでに800匹の実績あり。
 このたび同社は、韓国軍および警察のために、優秀な警備犬を「クローン量産」することになったという。

 この会社の経営者(63)は、10年以上前、幹細胞の画期的研究について捏造発表をした人物である。

 捜索や犯人逮捕に抜群の成績を残した親犬が老衰したとき、その遺伝子を保存しておいて、クローンを複数、こしらえるのだという。いちどに複数匹得られるので、何匹かは依頼主以外に売ることにすれば、会社は儲かる。

 ペンシルベニアの警察犬訓練機関も3匹、受け取った。

 軍犬のトレーニング商売は楽ではない。200匹を「入校」させても100匹はものにならずに「放校」される。つまり歩留まりが50%しかない世界なのだ。
 しかしクローン犬にすれば、この歩留まりは100%になるわけである。

 クローニングは、優秀犬の体細胞(生殖細胞ではない細胞)を、てきとうなメス犬の卵子細胞から細胞核をとりのぞいたもののなかに突っ込み、電流刺激で一体化させる。その試験管合成卵子を、代理母犬の子宮に挿入する。1996に最初にこの技法でクローン羊「ドリー」が生み出されたが、ドリーは短命で死んでいる。

 この経営者は、3000回失敗したあとに、2005年に最初のクローン犬を作り出したという。
 仔犬は帝王切開で取り出さねばならぬこともある。代理母犬とは、似ても似つかない「優秀犬のコピー」が出てくる。

 経営者によれば、死んだばかりの犬の体細胞からでもクローンは可能である。ただし注意。勝手に遺骸を「冷凍」しないでくれ。まずは連絡して欲しい。
 老衰した愛猫をクローン再生してやるというビジネスも、かつて存在した。しかしペット猫の需要は、犬ほどは無かったそうで、その会社は2006に倒産している。

 Sooam社は先ごろ、シナのBoyaLife社と、「高級クローン牛肉」の生産工場をつくるJVも結成している。

じつに面白い北鮮のSLBM

 5月に書き上げている原稿がどういうわけか8月下旬になってやっとこさ本になったもんだから、『白書2016』の記事が北鮮のSLBMをフォローしてなくてどうもすいません。

 補訂の意味ですこしここで書いておきます。

 北京が危なくなったという意味で試射は痛快だった。
 試射500kmが、最大ポテンシャル射程1000km以上を意味するとすると、新浦港からちょっと沖へ出たところから北京まで到達させることができるわけだ。これで、こんご中共が北鮮を先制攻撃しても、「第二撃」による報復は阻止し得なくなった。理論上は。
 つまり、米日の軽忽なマスコミがフォレンジックな物的根拠もなしに騒いでいるように本当にもし北鮮が「原爆」とやらをもっているのだとすれば、やがて中共と北鮮はMAD(相互確証破壊)関係に入る。
 これは儒教圏人としたら我慢できないでしょう。MADというのは「対等」ですからね。儒教圏内には「2者(2ヵ国)の対等」なんていう事態はあってはならないんだから。

 北鮮にはまだ実用になる核弾頭がありません。しかしダーティボムならできるはずだから、とりあえず平壌はダーティボム弾頭をとりつけたSLBMを、各艦に1発だけ搭載して、遊弋させるようにしなさい。

 そのあと、ゆるゆると(フェイクでない)核弾頭の研究と、ミサイルの飛翔力強化をすすめればいい。宣伝で時間を稼ぎながらね。

 1艦に3基も4基も積載しようとしてはいけないよ。どうせ2基目を発射する前に撃沈されるんだから。
 しかし1基目の発射だけは、米軍だろうがシナ軍だろうが阻止はできない。SLBMとはそういうものなのです。

 中共はこれからどうするか? ASW(対潜水艦作戦)能力がシナ海軍にはゼロですから、「核爆雷」を使うしかない。
 つまり北鮮の潜水艦が拠点にしていそうな港湾とその沖合いにやたらめったら水爆を連投して水中で大きな核爆発を起こし続ける。この方法しかない。
 無数の戦術核弾頭で投網をかけるわけだ。
 そこまでやられたら北鮮のボロ潜水艦では、最初の1基目の発射も難しくなる。

 日本はこれからどうするか? おめでとうございます。有人潜水艦の時代は終わりました。
 核爆雷がどんどん降って来る海域で、有人潜水艦に尾行なんかさせてられないよ。
 水中ロボット(無人潜航機)に、「平時の監視」と「有事の制圧ミッション」を、託すしかないでしょうね。

朝夕めっきり涼しくなってしまいましたね

 Richard Fontaine記者による2016-8-24記事「Australia’s Ambivalence Makes It Vulnerable」。
  げんざい、豪州軍の二つ星将軍が、ハワイで、米軍部隊を指揮している。
 アンザック、カナダ、米、英は、「五つ目」と呼ばれている。情報共有同盟である。

 しかるに豪州の輸出の三分の一はシナ向けである(特に鉄鉱石は二分の一以上)。G-20諸国の中では最も対支依存率が高い。

 シナから豪州への投資も異常なレベル。最近では、ニューサウスウェールズ州(首都キャンベラが所在する)の電力網がそっくりシナ企業によって受注されている。普通の国はこんなことはさせない。

 豪州の大学や諸学校は5万人のシナ人留学生を受け入れている。豪州政府はこれを〈教育を輸出する産業〉だと称している。

 米国が追求する国際商業ルールを、豪州が平然と破るように中共が圧力をかける日が来るというのが、識者の恐怖である。

 北京は豪州の主力紙にシナ語の別刷り付録を印刷して無料提供するというスゴ技を行使中。豪州内拠点のシナ語メディアにも北京から有料広告を出してやって、それらの経営陣が北京の命令には逆らえないような関係を保っている。
 シナ系企業の在豪州の子会社も、せっせと政治献金をしている。
 国民は、じぶんたちを儲けさせてくれたシナを切ることができない。感情的に。

 豪州基地に米空軍は、爆撃機とタンカーをローテ駐留させたい。シナはもちろん反発。

 次。
 Patrick Tucker記者による2016-8-23記事「Boeing Wants to Patent a Fire-Fighting Howitzer Round」。
   ボーイング社が、山火事を消火できる「榴弾」を開発した。これを155ミリ榴弾砲から発射すれば、簡単に消火が可能。

 従来、883エーカーに燃え広がっている山火事を消火するには理論上、36万ガロンの消火剤が必要で、それを空から撒く作業には計算上、34時間以上かかってしまう。
 ところが34時間もあれば火は延焼するから、けっきょく3130エーカーが焼けてしまうかもしれないのである。

 1発の消火砲弾の中には1ガロンから6ガロンの消化剤が入れられる。射程を長くするためには1ガロンを詰める。短くていいなら6ガロンだ。
 その1発が、100平方フィートを消火する。

 3ガロン入りの砲弾を緩射し続けた場合、6時間で21万4000ガロンの消火剤を撒ける計算になる。これはヘリコプターによる消火作業の2倍の早さである。

 精度だが、射程が15マイルなら、狙った点から15フィート以内で空中炸裂する。
 2016年、全米ですでに32件以上の大山火事があり、400万エーカーが焼失した。
 ※とうとう対支抑止に関して役立たずなSPの再活用法が発見されたな!

レスリングで相手の両手がこっちの右手を掴んだら、柔術の「入り身投げ」で外せないのだろうか?

 CLYDE PRESTOWITZAUG記者による2016-8-23記事「Why the TPP Deal Won’t Improve Our Security」。
  記者を含むシンクタンク研究員たちがオバマ政権から直接にTPPについて説明を受ける機会が2009秋にあり、そこで記者は質問した。その時点で米国は7ヵ国と交渉していたが、その中には、ブルネイ、NZ、マレーシア、ベトナムという、すでに米国と自由貿易協定をむすんでいる相手が含まれている。何の意味があるんだ、と訊いた。

 答えは「地政学」だった。
 中共の威圧の前にこれら周辺国が「アメリカから放置されている」と思わないようにすることがTPPの大目的なのだ、と。アメリカから見捨てられると想像すれば、これら小国は皆、中共にとりこまれてしまうから。そう思わせてはならないのだ。アメリカの影響力の真空を作ってはいけない、と。

 そこで記者は反駁した。米軍が西太平洋域から去ったことはなかったじゃないか。第七艦隊が常駐しているし、東アジアと東南アジアには10万人以上の米兵が展開している。

 それにアジア諸国との貿易では米国は慢性的に赤字なんだから、自由貿易協定があろうとなかろうとこれら諸国が米国とはこの先何十年も関係を断つことができるわけがなかろうじゃないか、と。

 アジアに米軍がこれだけ展開していて、しかも、彼らの側に貿易黒字がありながら、それでもアジア諸国の指導者の気持ちが米国から離れるというのならば、そこにFTだのTPPだのをいまさらにつけくわえても、何の変化もありそうにはないじゃないか。

 オバマ大統領は一貫して、TPPは中共が未来の貿易のルールを決めることを阻止する道具なのだ、と語っている。

 中共は米国のTPPとは関係なしに、RCEP=地域包括経済パートナーシップ の協議を、韓国、比島、カンボジア、ラオス、タイ、インドネシア、ミャンマー、インドと進めている。
 ※インドネシアはTPP交渉に加わっていない。これはでかい。これから最も人口が爆発する有望国だから。水資源もガス資源も足りているし。

 そして中共が立ち上げたアジアインフラ投資銀行に、これらアジア諸国は皆、あらそって参加してしまったじゃないか。

 つまりTPPには中共が未来の貿易ルールを決定することを阻止する効力なんてぜんぜんないことが証明されてるんだよ。

 もうアメリカにはアジアに新たにオファーできるものは無いということなんだ。往年の「パックスアメリカーナ」時代には、アメリカはアジア諸国に恩恵的に米国市場へのアクセスをゆるしてやることで、みかえりにいろいろなものを引き出せた。米軍の駐留権だとか、米国企業による投資商売の自由だとか、外交的な対米協調などをだ。

 しかしそうした良き日々は終わったのだ。米国市場には関税はほとんどなくなっていて、残っているのは小さなハードルだけだ。米国のテクノロジーや知財も、世界を独占的に牛耳れるほど特段なものではなくなっている。つまり、いまや、米国そのものが、グローバルなサプライチェーンのひとつの環でしかなくなっている。

 いまやアメリカは、世界経済の中で、最大の消費市場、最大の借金市場としてのみ、その存在感が圧倒的なのである。結果としてアメリカ経済はカネの貸し手としての中共に依存すらしている。これが現実なのだ。

 そしてもしも米ドルが世界の基軸通貨でなかったならば、アメリカの国家財政はとっくに破綻しているのである。

 中共は、ラテンアメリカのほとんどの国、およびオーストラリアにとって、最大の投資国となっている。いまさらそれを引き剥がせるか?

 この中共の経済活動の勢いに再びアメリカが迫ることなしには、いかな歴史的経済合意(TPP)も、中共の勢力拡大にカウンターを当てることなどできはしないのだ。
 ※『NYT』にこんなオプエドが載るようでは、もはやTPPは完全消滅だね。それにつけてもなぜこういう論文が日本人の手によって2009年に書かれないのか? 日本の大学の経済学教育ぐらい無益、否むしろ人々を不幸に叩き落したものはないんじゃないか。いったい何十万人の「経済専門家」を無駄に育成してきたんだよ?

 次。
 ストラテジーペイジの2016-8-23記事。
   ロシア政府は、シリアやドンバスで戦士した将兵の遺家族には3万ドルの見舞い金を支払うと事前に約束していたのに、実際にはその支払いをしていないことがバレつつある。
 遺家族は、国家の秘密をバラせば訴追されたり、ありとあらゆるイヤガラセをされると脅されている。そこでインターネットで反撃に出た。モスクワの検閲をかいくぐって、真実が国外に伝えられた。
 むかしディスインフォメーションといっていたものは、いまはトロールという。

 ドンバス=ドネツである。しかし混同するな。ドネツクは、ドンバスの部分集合。だから「ドネツ ∋ ドネツク」である。
 ドンバスのロシア人比率は38%也。
 ※さらに余談。「ドン」とか「ドナ」とか「ドネ」「ドニ」はすべて「大河」に関係がある。ユーラシア地政学を学んだ人なら、これは基礎教養。

 ロシア政府は、外国人労働者を制限することで、国内失業率の増大をかろうじて防いでいるところ。
 殊にシベリアや極東では企業が外国人を雇用することはほぼ全面禁止されている。それだけ失業率が酷い。
 ※てことは北朝鮮人の出稼ぎもできなくなるわけか。

 8-22にイラン政府は露軍機はもうハマダン基地を使わないとマスコミリークさせたが、これはイランがロシアに高額の基地使用料を支払わせる作戦だともいう。

 ハマダン基地には「ツポレフ22M3」が10機ばかりやってきた。そこへの補給は、カスピ海をまず船で。そこから鉄道で。
 シリア内の基地のようにISから襲撃される恐れがないので、維持するのがチープで済む。
 ※バイデンがトルコを訪れる8-24の直前のタイミングで、トルコがインシルリク飛行場をロシア空軍にも貸したいとロシアに話していることを公表した。

 8-8にイスラエル政府公表。7-17にロシア製の無人機がイスラエル領空に迷い込み、これに対してパトリオットSAMが2発発射されたが、外してしまったと。
 ついで1機のF-16が邀撃し、1発のAAMを発射したが、これまた外れたと。
 そしてすぐにUAVはシリア領空に戻って行ってしまったと。
 UAVの所有者と運用者は当座は不明だったが、外交チャンネルで問い合わせて、露軍のものだったと後日判明した。
 ※これは無人機というより、超小型機や巡航ミサイルのおそろしいポテンシャルをまたしても証明したものだ。すなわち、〈ステルスは形状によって実現できるもので、サイズは関係ない〉というのは嘘で、やはり、サイズがものすごく関係する。サイズが無人機レベルに小さくなると、ただそれだけでも強度のステルスを実現してしまうのだ(熱の輻射量も小さいしね)。ファイアビーのサイズになれば戦闘機パイロットが目視で発見することはまずできないという話は『兵頭二十八の防衛白書2016』で紹介しておいた。え、まだ書店に出てない? もう私は知りません。

 次。
 「Germany mulls bringing back compulsory national service」という記事。
   ドイツ連邦の内務省が、徴兵の再開を検討中だとDPA通信社が報道している。
 郷土防衛隊のようなものらしい。つまり、対国内テロだ。

 ドイツ政府は2011年に新規の徴兵事務を停止している。しかし「兵役の義務」はドイツ憲法(基本法)に明記されたまま、変更されてはいないのだ。すなわちドイツの「徴兵制」は憲法上、今も一貫して存続しているので、国家が必要を感ずればすぐ復活できる。

 6月後半の国内連続テロを承けてバイエルンの内相も、ドイツ連邦軍を治安維持用に国内展開すべきではないかと提議した。

ブチキレ奉行 > 胴欲同心 > 与太与力

 ジェーンのDaniel Wasserbly記者による2016-8-19記事「THAAD's capacity for intercepts in South Korea unclear」。
  米軍は韓国にTHAADを持ち込むことに決めたが、その高射大隊のランチャーを何両にするかが未定である。

 1個高射大隊は、M1075という車載式発射機を6両から9両、擁することになっている。各ランチャーは8発のミサイルをその車上コンテナに入れている。
 したがって最低定数の6両だったら全部で48発。もちろん予備弾の再装填も可能だが、ミサイルコンテナの取替えには30分を要する。

 なおこのTHAADを運用するのは米陸軍将兵である。韓国兵ではない。
 ※米軍はペトリオットなどの長射程SAMを陸軍に装備させる。しかし日本ではそれは空自の担当ということになっている。これにはいきさつがある。初期に日本ではSAMナイキの役割を、古い有人インターセプターを無人化するものだとして大蔵省に説明したのだ。

 THAADは大量生産されてはいない。2015-6時点で、メーカーのロッキードマーチン社は、トータルで100発目のTHAADミサイルを、米ミサイル防衛庁(MDA)に納品した。ぜんぜん数は足りないていない。MDAが、それを米国内外の陸軍の各高射大隊に交付する。

 げんざい、実戦展開中のTHAAD大隊は5個である。
 いずれの発射大隊も、最低6両のランチャー(=48発装填可能)を擁する。
 トータルで百数十発しか製造されてないのだから、これらの5個の大隊は定数を割り込んだミサイルを持っているだけである。
 早くとも2017年の後半にならないと、各THAAD大隊に48発づつのミサイルは行き渡らない。

 2017-4に上院軍事委員会の戦略戦力分科会にてMDA長官のシリング海軍中将が証言したところでは、FY2017においてメーカーは197発のTHAADミサイルを生産納入することになっている。※米国のフィスカルイヤー(予算年度)は10月に切り替わる。だから年の後半ということになるのだ。

 この予算案はまだ議会を通過していないし、じっさいにメーカーが約束を守れるかどうかも予断できない。しかしすべて思惑通りに進むと、4個の高射大隊がミサイル48発を満足に装備できることになる。その他に試射の分も必要である。

 次。
 日経英文ニュースの2016-8-21記事「Japan eyes fiercer fighter jets to counter China」。記者の署名なし。
 ※官庁記者クラブ経由の特種がわざわざ世間の話題にしづらい日曜日に発表されるということは、その官庁ではこの話を「はばかりある企画」「観測気球」「アリバイ広報」と認識していることを意味する。他方でこいつは英文サイトだから、シナ人インテリにはしっかりと銘記してもらいたいわけである。

 空自は200機あるF-15に吊下するAAMの数を倍化させて16発にするつもり。
 また疲労した主翼は交換して運用寿命も延ばす。

 2016-1に空自は築城基地のF-15スコードロンを那覇に移し、沖縄の空自F-15を40機に増強した。

 F-35が空自にもたらされるのは2017年度であり、しかも最初は三沢基地である。そこで米軍から稽古をつけてもらってからでないと、沖縄方面へは出せない。

 ※単機のF-35を先行空中指揮機(ISR & キュー出し任務)とし、それにミサイルキャリアーのF-15が3~4機続行して、アーセナルプレーンとして長射程のAAMをつるべ射ちする。こっちの4機で向こうの64機を屠れる。1日で60機損耗したら、第二波はありえない。でも、やろうと思えば今だって日本が独自に複座のF-15を改造してAESA搭載の空戦指揮機(兵装はぜんぶおろしてしまう)として超低空で先行させるという用法が可能なはずだ。

B-2とB-1をグァムに集めたのは、ムスダンに刺激された韓国世論が「核武装」でまとまらないようにするため。

 Seth Robson記者による2016-8-19記事「TPP opposition could affect view of US commitment to Pacific」。
    
 TPP=Trans Pacific Partnership は、U.S., Australia, Brunei, Canada, Chile, Japan, Malaysia, Mexico, New Zealand, Peru, Singapore and Vietnam の間で交渉されている。※韓国は入っていない。

 TPPは各国により署名された。しかしまだどこも批准していない。

 オバマ政権は、環太平洋地域がこれから最も経済成長するので、長期的にそこに軸足を移すべきだと見据える。そのための布石がTPP。

 4月、カーター国防長官は、TPP=経済は、空母の日本への1隻追加常駐などよりも、彼にとって重要だと述べている。

 シンガポールの首相は、ヒラリーもトランプもTPPに反対していることについて、7月に『WP』紙に対してこう語った。――それは米日関係を悪くする。TPPを米国が批准しないということは、対日防衛の約束だってあてにならないことを意味するからだ――。

 2012にヒラリーはTPPのことを、自由・透明・公平な貿易につながる貿易合意におけるゴールド・スタンダードだと持ち上げている。

 しかしバーニー・サンダース上院議員は2016-6-28に『NYT』にこう寄稿している。
 ――いわゆるグローバル・エコノミーなるものは、米国および世界の大衆のためになるものではない。それは経済エリートがこしらえた経済モデルであって、ただ単に経済エリートの利益にしかならぬのだ。……《中略》……わが国の労働者を、世界で最も低賃金で働ける労働者たちと競わせようとするものに他ならない。TPPは撃砕しなければならない――。

 一批評者いわく。ヒラリーが立場を180度変えたのは、大統領選挙前にTPPが連邦議会によって批准される可能性はゼロだと見切ったからである。

 在韓米軍については韓国は半額負担していると韓国人外交専門家はいう。そして韓国は、ヒラリーが大統領になっても韓国に負担分を増やせと要求するだろうと予測している。

 次。
 ロイターの Nobuhiro Kubo記者による2016-8-19記事「Japan eyes fighter drone, seeks record defense budget amid China assertiveness」。
   今月中に発表される防衛省の予算要求。その中に、無人偵察機および無人戦闘機の開発案が含まれている。まず10年で偵察機をつくり、そこからさらに10年かけて無人戦闘機を完成させるという。

 PAC-3は射程を30kmまで延伸する。

 次。
 ストラテジーペイジの2016-8-18記事。
  ロシアの新型「泥バイク」。沼地でも走れる「2×2」オートバイである。商品名は「タウルス」という。値段1100ドル。

 分解してSUVの荷台に収納できる。組み立ては5分で済む。

 このバイクにはホンダの「GX210」エンジンがついているが、もっと軽量化するために、チェーンソーのエンジンと交換することもできる。すると総重量が60kgとなり、人間が持ち運ぶこともできる。

 空中投下も簡単だし、小さなボートに積んでもいい。したがってコマンドー部隊は重宝するはずだ。

 タウルスの低圧タイヤは巾30センチ×径64センチ。これで人間の他に80kgの荷物を運べる。路上最高時速は35kmだが、湿地では人が歩くよりもずっと速く移動できるのだ。
 ローテクだけでうまくまとめてある。これはロシア人の得意分野である。
  ※これからの戦場トレンドが、有人/無人の自動2輪車であることについては『兵頭二十八の防衛白書2016』でお確かめください。

 別な記事。
   中共情報によると、この6月以降、国境を越えて逃げてきた北鮮軍兵士の体重が悲惨である。
 人数は総計十数人だが、誰も体重が50kg以上の者はいないという。あきらかに栄養が悪すぎる。

 今の北鮮では、国境警備隊員が軍人より優遇されている。それは、支給されている制服の品質や、太り方を見れば一目瞭然だという。

日本最初の「リヴォルビング・ドア」開拓者による新刊

 中央の官僚がエリートコースの国家公務員を辞め、民間でシンクタンク職員等となったあと、その研究や経験をひっさげて、ふたたび官衙で以前より低くないポストを得ることを「回転ドア」と称し、米国では野心的秀才のキャリアパスとして一般的だ。
 彼らは修士や弁護士から出発してこの回転ドアをなんども通交しながら次第に総合スキルを磨き上げて行政権力(最終的にはホワイトハウス中枢職)に近づく。

 しかし日本では官公署の次官・局長・課長・課長補佐についてのポリティカルアポインティ制が無いのと、「中央官庁そのものがシンクタンク」という構造もあるために、回転ドアの余地はこれまでなかった。

 ところが伊東寛[ひろし]氏は新例をつくった。
 近年急速に専門家需要が増しているサイバー戦争分野。どの官庁内にも「人材は間に合ってます」と胸を張れるほどな既製部署は存在しない。
 まして、身元がしっかりしているナショナルセキュリティ系の元公務員のハッカーとなれば超稀少である。
 そして政府は東京五輪の警備準備をいまから立ち上げねばならない。
 というわけで、陸自の電子戦部隊を率いていた伊東氏が、政府から頼まれてサイバー防禦の面倒を見ることになった。

 日本政府の仕事を請け負っているサイバーセキュリティの業界は狭い世界(おそらくほぼ全員が顔見知り)だ。伊東氏の身元保証によってリヴォルビングドアをくぐる人材は、これからも続くのだろうと想像される。

 快挙はいくつかの偶然のなりゆきにたすけられた。既存のセクションではなく、新設機関(室)であること。五輪のためとなれば財務省もケチなことは言わないこと。サイバーの戦場は高速に「進化」し続けているので、「官庁内新人育成システム」がこれからも当分は人材を供給し切れないこと。

 そんな伊東氏が原書房から新刊を出した。『サイバー戦争論』という。
 サイバー戦はもう平時から始まっている。しかも「守っているだけだと必ず負ける!」(p.98)と第一人者が言うのだから、読者のわれわれもぼやぼやしてはいられない。
 有効な報復策を考えねばならない。

 これについて有意義なヒントがある。『兵頭二十八の防衛白書2016』の277ページにおいて、ピーター・ナヴァロ教授が、――〈シナ製品不買運動〉は悪い保護主義ではない、正しい「自衛」である――と主張していることを紹介しておいた。

 私(兵頭)は、テロ戦争や経済戦争やサイバー戦争で「これは自衛だ」と言えるアクションはほとんどありえまいと想像する。たとえば「放火犯罪」に対する「自衛」って、聞いたことないでしょ? 「のぞき」(軽犯罪)に対する「自衛」も一般には起こり難いものだ。
 サイバー工作は、「のぞき」や「放火」に累次している。もし「予防」に失敗した場合、あとは社会による「報復(復仇)」があるのみなのではないか。

 イスラエル人やロシア人がしぜんに備えているような「永久に果てしなく続けられる報復活動」についての想像力が、庶民から政治指導者に至るまで、必要である。このセンスを持った者が「戦争のプロ」である。

 ナヴァロ教授は、米国が中共に報復できないのは、経済成長をシナ市場に依存するようになってしまったからだ、と論難している。
 しかしほんとうにそれだけだろうか?

 文学者の伊藤整が昭和28~33年に道破した如く、「善の強制の考え方」が、キリスト教圏人にはある。
 そのゆえに、いかに異質な文化圏であれ海外市場との関係を切れないのだ。イスラム圏や儒教圏から遠ざかるのではなく、かかわろうとする。乗り込んでアメリカ風に改造しようとする。それが可能だと考えている。

 しかし伊藤整が指摘したように、我々日本人は、他者から距離を置き、他者に害を及ぼさない状態をもって、心の平安を得る。他物の影響を物理的にも感覚的にも断つことによって安定環境を得たいと願っている。
 すなわち隣国との断交である。日本人にとっては、断交は善なのである。

 日本人は、「他者を自己と同一視しようというような、あり得ないことへの努力の中には虚偽を見出す」(伊藤整)。
 だから、国交断絶も苦しくはない。むしろ、そこにこそ平和がある。日本人にとっては、正直な道徳的発想だ。

 このことが、米国政府にも不可能な「対支オフセット報復エスカレーション」が、日本政府にのみ、容易に遂行可能であることを意味するのである。

 もちろん、全世界を「上下関係」でしか把握できず、強者から特権をちょうだいすることが自己承認だと心得ている儒教圏人にも「断交」されることは打撃だ。日本人だけが、断交を苦痛としない。むしろ快楽と考える。したがってシナ人は日本の断交戦略には対抗不能だ。

 日本政府は、中共発の違法サイバー工作を受けたと思ったら、フォレンジックな証明を待たずに、オフセット報復を発動することだ。具体的には、シナ人へのビザ発給を停滞させる。留学ビザも逐次に絞り込む。

 もちろん北京は報復する。それに対してはこっちも報復を段階的にエスカレーションさせる。徹底的に関係を減らして行く。大使もとっとと召還する。大使館は相互に閉鎖してもらって構わない。それでこっちは何の不都合もない。最後は日支交流ゼロとなることがまさに理想である。我々は儒教圏人の正体を知った。地理と気候が変わらない限り、彼らのビヘイビアも変わることはない。

 交流が制限されればされるほどに、シナ人の対日違法工作もそれだけやりにくくなって、我々が隣人からわずらわされる度合いは着実に減って行く。国交断絶に近づけば近づくほどに日本人の心は平穏になる。これが日本人の強みだ。強みを活かすのが戦略だ。

 どこの国家でも罪人は罰せられている。社会から罪が憎まれているからである。罪に対する社会のヘイトは正義である。
 われわれも人を憎まず罪を憎む。他者を上下関係の中に組み込もうとする儒教圏人のビヘイビアは罪である。他者の心の中まで踏み込んでくるキリスト教圏人のビヘイビアは罪である。
 罪の方から近づいてくるのならば、日本社会は反撃しなければならない。それを遠ざけねばならない。
 われわれが「断交戦略」を明確に保持してノートレランスでそれを発動したときにのみ、われわれの敵は怯み、サイバー攻撃を控えるであろう。すなわち、報復の脅しが攻撃予防に直結するのである。

 次。
 JENNIFER McDERMOTT記者による2016-8-18記事「US Air Force to change fire foam due to water contamination」。
  航空機のクラッシュ炎上を急速に鎮火させる泡消火剤として米軍は、PFOSとPFOAという二つのケミカル薬を使っているが、これが土壌に染み込むと地下水を汚染して住民のあいだに睾丸癌、腎臓癌、奇形児、肝臓病などの健康被害が出るおそれがあるというので、まず米空軍が率先して、これからは別な消火剤に切り換えたい方針。

 これらはすでに消火訓練でもさんざん使われてきた。

 代替する新消火泡剤は、PFOS(フッ素に、硫黄が化合している)を全く含まず、PFOA(フッ素と酸が化合している)もほとんど含まないものにする。

 PFOAは、民生品にも使われている。汚れがこびりつかないフライパンとか、シミのつかないカーペット、などにだ。またこの薬剤を製造している工場の近くの水道水からも検出されるという。

 ※この夏休みには嬉しい発見と悲しい発見があった。ニセコヒルトンホテル(昔はプリンスホテルといった)に隣接したニセコヴィレッジの「ツリートレッキング」は、最高である。あの金具とワイヤーケーブルのシステムを考えたスイスのメーカーに勲章を上げたい。身長110センチ以上の小学生から「初級」コースに参加でき、身長140センチ以上だと「上級」コースに参加できる(金具もハーネスも異なる)。上級コースでは、距離は短いが高度だけは十分の「ジップライン」もどきを体験できる。もしオンシーズンの休日に行くのなら9時台の前半から乗り込みたい。待ち時間が減るだろう。そして提案だが初級コースの中にボルダリングの垂直壁トラバースも取り入れたらいいんじゃないか? 樹木伝いにこだわらずに、左右の人工懸崖のキャニオン渡りだけでコース構成したっていいわけだよ。残念だった発見は、尻別川の混雑だ。ゴムボートだらけじゃねえか! あんなのラフティングとは言えんぜよ。まあ、一生に一回しかやらないという人たちは、すべてが珍しいので満足してくれましょうけどもね……。

トランプの他者攻撃キーワードはfailedという修飾語のようだ。

 JEFF HORWITZ and DESMOND BUTLER記者による2016-8-17記事「Trump's campaign chairman tied to undisclosed foreign lobbying」。
  トランプ陣営の選挙事務所大幹部、ポール・マナフォートがプーチンの回し者である可能性が浮上してきた。

 米国の連邦法は、米国人ロビーイストが外国指導者や外国政党のために働く場合には、詳細な報告を司法省に提出することを義務付けている。この法律は、FARA(Foreign Agents Registration Act)という。

 FARAは外国代理人ロビーイストに次の登録を要求する。自宅住所、すべての領収金、支払い金、政治的な寄付金、電子メールやパンフレットやプレスリリースによってレクチャーしたことの詳しい内容。
 その記録は、連邦上院において保管される。
 違反すれば、最高で懲役5年だ。

 トランプは水曜日(2016-8-17)にベテランの共和党の保守戦略家×2名をアドバイザーに据えた。しかし選挙キャンペーンは依然としてマナフォートに仕切らせ続けている。

 マナフォートと、これまたトランプ選挙事務所の幹部であるリック・ゲイツは、2012年に、ウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチの政党の代理人としてロビー活動をしていた。ヤヌコヴィッチはプーチンに籠絡されてしまったため結局、民衆から追放された人物だ。

 マナフォートのロビー活動の焦点は、ヤヌコヴィッチが投獄している政敵を釈放しろという圧力を米議会がかけないようにさせることであった。

 関係した米国内のロビー会社は2つだが、うち1つは、民主党やクリントンとのコネが強力である。
 ポデスタ社の社主は、民主党の戦略家のジョン・ポデスタの兄弟なのだ。ジョンは今はヒラリーの選挙参謀である。

 もうひとつのマーキュリー社の経営者、ヴィン・ウェーバーは共和党の元連邦議会議員。ミット・ロムニーのアドバイザーも勤めた。

 上院に預けられているロビーイング公式記録によれば、上記2社は、113万ドルを、2012-6から2014-4の間に欧州から受領している。ロビー工作した対象は、議会、NSC、国務省など。
 ウクライナ政府は間接的に2社にカネを渡したようである。

 FARAにもとづいて訴追がなされることは稀だ。
 その稀な例がひとつ。ミシガン選出共和党代議士のマーク・シルジャンダー。スーダンのハルツーム事件に関して米議会にて違法なロビーイングをしたことを2010-7に司法当局に対して認め、1年間、刑務所で暮らしている。

 ポデスタ社はじつに手広い。日本、韓国、ベトナム政府も同社を利用している。
 マーキュリー社の顧客には、トルコ、カタール、UAE、ケイマン諸島政府などがある。
 ※韓国が利用しているロビー屋に日本の宣伝を頼んでいるとは、日本外務省は頭がおかしいのではないか?

 次。
 『兵頭二十八の防衛白書2016』の間違い。

○59頁4行目
 る。炸薬の
  ↓
 る、炸薬の

○73頁
 J-TAG
  ↓
 J-TAC

○161~163頁
 ドゥアルテ
  ↓
 ドゥテルテ

○182頁
 P-2
  ↓
 US-2

○302頁3行目
 無いことする特
  ↓
 無いことにする特

○323頁と418頁のキャプション
 ※チヌークは、3つあるフックのうち中央のを使えば、最大12トン吊れる。したがって軽装甲機動車も吊れる。ちなみにCH-53Eスーパースタリオンなら、ストライカーも運べる。受油プローブ付きの型もあるから、それで尖閣までかなりの重量物を空輸できる。

○341頁のルビ
 しやが
  ↓
 しやか

○381頁のルビ
 よし
  ↓
 ゆえ

○394頁
 このポット苗を畑に定植する時期は、
  ↓
 このポット苗を畑に定植する作業は、

 ――――以上、まだ発売されていませんが、お詫びして訂正します。

くっさいあきみつけた。

 Guy Plopsky記者による2016-8-2記事「How Russia Is Bolstering Missile Defense in its Far East」。
  ロシアがカリニングラードのSAMを大強化しおえたのは2016-1であった。
 2015年夏。カムチャツカ半島のペトロパヴロフスク基地、イェリゾヴォ基地、そしてSSBN基地のあるヴィリュチンスクを覆うべく、同地の海軍SAM連隊にS-400が行き渡った。

 露軍のSAM連隊は、3個の高射大隊から成る。
 2012年、ナホトカ港に近いプリモルスキークライに駐屯する第589SAM連隊の高射大隊のうち2個がS-400を受領している。

 2015年11月には、ウラジオストックに近い航空宇宙軍の第1533SAM連隊がやはりS-400を受領。太平洋艦隊司令部防空のため。

 2009-8の参謀総長の説明では、北鮮ロケットの逸れ弾や破片に対する防備としてナホトカにS-400を置いたという。
 北鮮が馬鹿騒ぎをくりかえすと地域の米軍が強化される。これがロシアの最も心配するところ。

 2016-5に露支は、合同でコンピュータ図上ミサイル防空演習している。ロシア側は中共と合同でBMDを構築してもいいと思っている。
 しかし道は遠い。S-400であってもICBMは迎撃できない。まして中共はS-400そのものも手に入れていない。まだS-300の段階。

 ロシアはS-500というものを開発中で、これは一層高性能なABMだというが、ICBMに対処できないことは変わらない。
 ロシアはBMDシステムを構築したくてもそのカネがないはずだ。※だから中共から開発費を引き出したい。PAK-FA/T-50の開発費をインドから引き出したように。

 ロシア内のシナ専門家たちはしきりに露支協同をそそのかす。しかし政治的にはそれはまったくリアリティがない。

 2015-3に「40N6」ミサイルの大気圏外迎撃テストが実施された。最大交戦距離は400kmで、射高は180kmと報じられる。

 ※ロシアはハイパーソニック長距離ミサイルを迎撃することに高い優先順位を与えているので、この「40N6」はS-400を対ハイパーソニックに用いるためのオプションなのだろう。

 S-500とやらは、最低でもこの「40N6」を発射できるシステムなのだろう。
 S-500は、モスクワやウラルのまわりに2020年までに38個大隊を展開する計画。

 「23560号計画」駆逐艦(リーダー型)には、艦対空システムとしてS-500を搭載するともいう。
 この計画艦は排水量17500トンで、ひょっとして核動力にするかもしれない。
 1号艦の竣工は早くて2023年だろう。

 短射程SAMである「Tor-M2U」は南千島に展開しつつある。
 2015-9以降、アラート任務についている。
 射程は12km、射高は6000mである。

 ハバロフスククライのゼムギ航空基地(第23戦闘飛行連隊)には2014から、スホイ35S戦闘機が配備されている。「フランカーE」ともいう。定数24機。
 しかし2015-12後半からそのうち4機は2016前半にシリアで作戦。
 ウラジオストックのツェントラルナヤウグロヴァヤ航空基地の第22戦闘飛行連隊には11機のスホイ35Sあり。

 ※この記者はポーランド系らしく、しかも台湾に留学したロシア通。

 次。
 ストラテジーペイジの2016-8-13記事。
   北鮮三代目はこれまで33発の弾道弾を発射した。これは二代目時代のすでに倍である。
 げんざい北鮮は年に50発以上、BMを製造中である。
 いまの保有総数である1000発を維持するには、そのくらいの量産を続ける必要があるのだ。

 北鮮製BMの8割は液燃。これは長期貯蔵に向かない。製造したBMは、10年か20年で使えなくなるので、その期限切れの前に試射で消費してしまう必要があるのだ。

 2012年以降、海に落下した破片を回収して分析し続けた結果、判明していること。北鮮のBMは2012以降ほとんど技術の改善がなされていない。各部品の設計は古いままで、ひたすら量産だけが続いているようなのだ。まさに社会主義工業の面目である。

 33基のBMの製造コストは、ひっくるめても3000万ドルであろうと見積もられている。つまり1発=91万ドル。1億円しないのだ。

 ※これに対してTHAADは1発が18億円。誰がそんなものを日本に買わせようとしているんだ?

米国はICBMを全廃し、ロシアはSLBMを全廃する。それが、現実的で合理的な次の核軍縮ステップ。詳しくは『白書2016』で。

 Jennings Brown記者による2016-8-9記事「Meet The Army’s New Darling, The Pocket-Sized Drone」。
   ハワイで半月間、第25歩兵師団の演習にロボットを多用してみた。パックマン演習と称する。
 飛ぶものや走るもの、大小いろいろと軍用ロボットを試し、どれが好評かをユーザー目線であきらかにするのが目的。
 陸軍長官のエリック・ファニングも大乗り気で臨場。

 昨年、国防総省が3200万ドル出して開発させていたボストン・ダイナミクス社製の四脚歩行式分隊支援システム(ロボ騾馬)が、海兵隊によってダメ出しされている。苦情は、エンジン音がうるさすぎること。

 ※今月末発売の『白書2016』に理由を考察しておいたが、米陸軍も海兵隊も、近い将来のメカニカルミュールは諦めた節がある。代りに浮上しつつあるのが、7月にダラス市警が使ったような「突入特攻ロボット」。これなら電池式で可いし、しかも長時間駆動の必要もない。ビッグドッグ系への投資がぜんぶサンクコストとなりそうなボストンダイナミクス社(今は買収されて社名は違うはず)は、これから正念場だろう。出発点を間違えた「進化」はたちまちに行き詰った。

 今回のパックマン演習には、大手のジェネラルダイナミクス社が開発した、ロボ騾馬と似たようなサイズで音の静かなMUTT〔のらいぬという意味があり、わざとこれになるように無理やり長い名称をこじつけている〕という無人ミニチュア戦車が試供された。

 しかしけっきょく兵隊からは不評におわった。重い荷物を運んでくれるといっても、悪路を歩兵に追随して来ることができないんだから。

 今回、兵隊たちから大好評だったのは、ベンチャーのプロクスダイナミクス社が開発したPD-100「黒スズメ蜂」という掌サイズのヘリコプターだ。

 1回充電すれば25分間、飛び回ってくれる。
 1.5マイル先の敵情を、ごく静かに、画像偵察してくれる。

 充電装置はパックパックで担ぐ。機体は掌サイズなので2機以上を運ぶことなど容易。1機の充電中に、別の1機を飛ばすのだ。

 軍曹いわく。この黒スズメ蜂が飛んでいる姿は、遠くからだと小鳥と見分けがつかない。革命的だ。完成されていて使いやすいし、すぐにも戦場へ持って行きたい。
 ※CSで「エジソンの卵」という番組があったのだが第一回の優勝者は酷かった。ワイパーに電熱器を仕込むことが合理的かどうかは、カーメカニックにではなくて、熱力学者にまず訊いてみるべき問題だという勘が働かないようでは……。だって大手がどこも試してないじゃない。その理由を詮索せよ。むしろ、運転室内のダッシュボード上面からフロントガラス越しに超音波のパルスをスウィープさせて氷を割るか、ワイパーのゴムもしくはフロントガラスそのものを収縮振動させるように高機能化するか……。超音波法が実用化されれば、LEDヘッドライトの低温結氷問題も解決できるし、夜間に動物を跳ねるケースも減るはずだ。予告笛になるから。

 次。
 Rebecca Beitsch記者による2016-8-9記事「Should killing a police officer be a hate crime?」
  いくつかの州では、ヘイトクライム法の範囲を人種や民族に限定しないで、警察官に対する致死的攻撃にも適用しようと動いている。

 米国の50州はヘイトクライム法規を制定している。加害者の動機が、人種、宗教、性別その他個人的キャラクターへの憎悪であった場合、加害者の量刑が、加算されるとするもの。

 ルイジアナ州はこのたび、警察官に対する襲撃もヘイトクライムであるとする改正を最初に成立させた。そして目下、ケンタッキー、ニュージャージー、マサチューセッツ、ミシシッピ、テキサスの5州が、同様のヘイトクライム法改正を検討中である。

 オバマ大統領は、警察署が軍隊式の装備をそろえることを禁じていた命令を撤回しようかと検討中ともいう。※ボルチモア警察の流儀を知ればこの措置は難しいぞ。

 批判者は言う。すでに法規によって警察官に対する襲撃者は量刑を重くされることになっているではないか。しかもその法規は加害者の動機を検察官が証明する必要がない。つまり改正には法益が無い。

 米国の諸州法にヘイトクライムが加わったのは1980年代であった。
 当初は人種、宗教、民族のみ。
  ※この宗教というのは、シナゴーグに対する落書きのようなものを含んだ。

 近年、それに、性的志向、性別主張、各種障害が加えられた。
  ※すなわちゲイへの攻撃。

 ※思うにすべての故意犯罪の背後には憎悪があると第三者は推定することができるだろう。そして他人の心の中を誰がどうやって証明できるのか? 人の行為ではなく心の中をも問題視しようとするヘイトクライム法規そのものが、反近代的であり、むしろ儒教圏人やイスラム教徒の発想であり、合衆国憲法に対する違反にあたるだろう。しかし米国ではそれを言うと「レイシスト」よばわりされるらしい。ポリティカリーにコレクトではないようなのだ。だから「宗教地政学」すら白眼視され、中東政策は失敗の連続である。この世界で、真の自由の旗手は、じつは日本国なんじゃね?

かたじけなさに涙こぼれり。

もとすえを たずねて長き 御方なれば うけたまわりぬ うしろやすかれ/二十八

即身仏と即戦力。

 Steve Kaskovich記者による2016-8-5記事「Lockheed Martin may shift F-16 production to India」。
  ロックマート社は1970年代からフォートワースに維持してきたF-16製造ラインをそっくりインドに移設してもよい、とインドに提案中。もし、数百機のF-16をミグ21のリプレイスに調達するという契約をしてくれるなら。

 ※これはMMRCAでのダッソー社の大失敗から教訓を汲んだもので、さすがだ。ダッソーは「ミラージュ2000」の古い工場をぜんぶインドにプレゼントするというとっさの機転を利かせていれば、1990年代から今日まで継続して大儲けができたはずである。ところがたまたま自社都合で「ラファール」へのライン切換えをしたかったので、インド空軍から情報リクエストされてもいないラファールをインドへ逆提案した。結果的に、オフセットを毟られるだけ毟られ、30年努力して36機しか成約できないというさんざんなビジネスとなってしまった(ちなみにいまだに引渡しも払い込みもされてない)。豪州もこのインドを見倣って「スーパーホーネットを買うから工場を建設/移転してくれ」とボーイング社に頼めば、ボーイング社はそれに応じたと思う。

 もちろんインドはその国内製F-16を自由に輸出してもよい。

 いま、フォートワース工場では、数千人の従業員が、月にたった1機、イラク空軍向けのF-16を細々と製造しているのみで、受注残は、2017-10にはゼロになる。ロックマートはこの工員たちをF-35ラインに転用したい。
 最終的にF-16のトータル量産数は4500機強となるだろう。

 しかしF-16改善型の計画もあるので、それ次第では生産はもっと続く。

 ロックマートは2016には53機のF-35を製造する予定。
 2019には年産120機にもっていきたい。そのためにはフォートワースのF-16ラインの切換が必要だ。

 次。
 ミリタリータイムスの2016-8-5記事「India approves induction of additional BrahMos missile along China border」。

  インドは対支の陸上国境にブラモス超音速巡航ミサイル×100基をズラリと並べる。事業予算6400万ドル。

 100基といってもランチャー・トラック(12輪駆動)は5台で済むのである。

 ブラモスの射程は290km。対艦用だと最高速度はマッハ3になる。
 亜音速の巡航ミサイルとマッハ3の対艦ミサイルとでは、衝突時の運動エネルギーは9倍も違う。※速度の二乗に比例するので、3倍×3=9倍。

 インド陸軍はブラモス「ブロック3」の発射連隊を3個編成している。対地用のブラモスは2007年から実戦配備。

中共が核動力砕氷船を10億元で起工し、2年後に竣工させるそうだ。シナ船として初めてポッド型推進装置も試す。

 Ben Caspit記者による2016-8-3記事「What new F-35 jets mean for Israel’s air force」。
  イスラエル空軍は米国軍以外では最初のF-35飛行中隊を作戦運用状態にする予定である。
 イスラエル空軍の懸念は、ロシアがイランにS-300という最新鋭SAMシステムを1個高射大隊分、売り渡したことである。これは近々、作戦展開するであろう。
 S-300の地対空ミサイルは、イラン領から発射してシリアやレバノン上空まで届いてしまう。射程が300km以上もあるのだ。

 第四世代戦闘攻撃機だったら、先行機がイラン上空の制空と防空レーダー潰しをやって、そのあとから爆装機が突入して核工場を爆撃するという手順を踏む必要があった。ところがステルスのF-35は制空の必要もなく、防空レーダー潰しの必要もない。いきなり爆撃すればいいだけ。

 あるイスラエル軍パイロットはF-35シミュレーターで、新鋭の非ステルス戦闘機8機と空戦してみたが、楽勝だったという。

 米国に乗り込んで試したイスラエル空軍パイロットの所感。こいつは、ありえないくらいにすばらしすぎる。

 1機のF-35とフォーメーションを組んで飛ぶF-15/16は、F-35がそのセンサーで得ている広域周辺敵機情報を共有することができる。すなわち、第四世代戦闘機も、少数のF-35のおかげで、センサーのグレードが進化したと同じことになるのだ。

 ※AWACSの機能をスコードロン単位に分散しオムニプレゼンス化してくれるのがF-35ということなのか。するとこれからの「国産」方向も見えてくる。「F-3」には空戦をさせないで、空戦の指揮だけをさせる。第四世代機の編隊をミサイル・キャリヤーとして従える。そのためには「F-3」は複座化し、兵装はぜんぶおろしてしまえばいい。そこまで割り切ればエンジンは非力でいいから純国産にできる。垂直尾翼も小さくできるし熱放射は少ないし、まず理想的なステルス指揮官機だ。WWII中に「複座零戦」を正規にこしらえていたら……と考えればもっと分かりやすい。20mmをおろしてしまって、航法装置と無線機を強化し、偵察将校を後部に座らせる。洋上嚮導もできるし連絡機や簡易救難機にもなる。ほとんど余計な予算はかからなかった。それによって、莫大な無駄な犠牲を回避できたはずなのだ……。

 F-35は、実機訓練半分、シミュレーター訓練半分、ということになっているんだそうだ。
 これまでイスラエル空軍は、シミュレーター訓練比率は8%でしかなかったから、まさに訓練体系の革命だ。

 実機訓練が少なければ、スペアパーツ代もあまりかからないわけだ。

 機内爆弾倉だけを使う場合、F-35の爆装は2トン。しかしステルス性を損なうつもりで機外吊下とすれば、6トンまで可能。

 ※イスラエル製の原爆を搭載するばあい、おそらく機内爆弾倉には収まらない。イスラエル空軍はまず第一波を2トン兵装モードで飛ばしてS-300を沈黙させ、第二派で機外吊下モードでイランを核攻撃することになるだろう。

 次。
 AUDREY McAVOY記者による2016-8-4記事「Huge Navy fuel tanks worry Hawaii farmers, utility officials」。
  ハワイでタロイモを栽培している農家。その用水は地下水。
 ところが、地下帯水層の上に巨大な20個の地下タンクがある。米海軍はWWII時代からそこに各種の燃料を貯蔵していたが、さいきん、漏れが始まった。
 2014には1基の地下タンクからジェット燃料が数万ガロン漏れた。
 この帯水層からは、ホノルル市街とワイキキビーチで使用される上水の四分の一も、採取されている。

 地元農民はこのタンク群を撤去してくれと海軍に要望している。しかし海軍は、これらの地下燃料貯蔵は戦略的に不可欠であり、しかも、移転可能な他の土地はみつからないとして拒否している。

 これらの地下タンクは1基が25階建てビルの高さ。10基×2列の20基で、パールハーバーから3マイル離れた丘の地下に所在する。

 ※詳しいことは拙著『「地政学」は殺傷力のある武器である』を読むとお分かりになるでしょう。真珠湾攻撃当日にはまだ建設の途中でした。建設計画を監督していたのは、大将になる前のニミッツです。しかし彼は戦後の回顧録にも、この地下タンク群のことをひとことも書くことができなかった。冷戦中も最高度の軍機だったからです。

 このタンク群は総計1億8700万ガロンの燃料を蓄える。ただし2基はすでに廃用されている。

 米海軍は、これから20年かけて、ハワイの地下燃料タンクを補修したいと考えている。

ヒラリーとトランプを合わせると「ヒトラリンプ」…。恐ろしい。

 Wyatt Olson記者による2016-8-2記事「Navy conducts first successful flight with ‘critical’ 3-D printed part」。
   米海軍は2016-7-29に、MV-22Bのエンジンカバーのチタニウム部品1個を3Dプリンターで成形することに成功した。試験飛行も実施。

 米海軍は1990年代の前半から、飛行に死活的にかかわるようなものでない部品については、現地のガレージで自作しても可いという指導を始めた。

 ところが今回の部品は、飛行の安全にとって重要な部品である。

 米海軍の「3D実験班」は、これから海兵隊のH-1やCH-53でも、同様の部品作りに挑戦する予定。

 ※安全に係るといっても耐熱関係であって、構造関係ではない。そこをこの報道はわざと指摘しないようにしている。しかし耐熱・耐候(耐塩)に定評のあるチタン〔合金?〕を3Dプリントできるというだけでも朗報だ。この技術は住宅の屋根材に革命を起こすだろう。つまりグラスファイバーのような安価で錆びない/腐らない基盤の上にチタン金属の極薄レイヤーを「塗布」したものをトタン鈑に代えて貼り付ければ、百年間でも屋根の葺き替えは必要ないはずである(クラックや小孔の修繕もチタンの「吹き付け」で済む)。のみならず、チタン屋根なら、核爆発の熱線や、SAMの破片にも耐えてくれる。有事に強い町づくりが可能になるのだ。もちろん屋根の重さが劇的に軽くなるから、大地震で家屋が潰れるおそれはずいぶん減ずるだろう。災害復興の心配をする前に、そもそも災害で潰れない町を考えてやるのが、行政というものではないか。

 ※『星条旗新聞』ウェブ版は、新防衛大臣の写りのよくない顔写真を掲載した。これは「リヴィジョニスト」の前評判に在日米軍が本能的に反発していることをあらわす。新大臣は「1941の真珠湾攻撃は国際法上、日本の侵略だったことは間違いない」と早々に言明すべきである。馬鹿右翼と同列だと見られてはならない。

『兵頭二十八の防衛白書2016』は、お盆より前には書店に出る見通しです。

 ストラテジーペイジの2016-8-2記事。
  SOCOMがSDV(シール隊員運搬用潜航艇)を完成した。
 これは民間市販の潜航艇「S302」をベースにしている。
 全重27トンで、DCS(ドライ戦闘可潜艇)と称す。
 ドライというのは、それ以前のシールズ運搬用海中モービルは、ミニ魚雷の外部にしがみつくスタイルの「ウェット」タイプだったからだ。DCSはカプセル内に海水は入らない。

 ドライの方が隊員の疲労が心身ともに少なくて、敵地に上陸した後の作戦行動にプラスになるのだ。

 DCSは単価5540万ドル。
 クルーが2名。プラス、お客のシールズ隊員を6名収容する。
 100mまで潜航し得、最高速力は9km/時である。

 SSNの背中にこのDCSをくくりつけ、敵海岸沖100kmまで近づいたところで、シールズ隊員がSSN内からDCS内に海中で乗り移る。そこから発進して10時間で敵岸にDCSは到達する。

 ただし、古いウェットタイプのマーク8というSDVもこれからも使用される。魚雷にフロッグマンがしがみついて進むスタイル。

 DCSの前のドライタイプの試製品が、ASDS(発達型シール隊員運搬システム)だった。これは全長21m、排水量60トンあり、2008年にたった1隻、2億3700万ドルでこしらえられたが、2009年にリチウム電池が火災を起こし、その修理には3年かかった。お客は14名乗せられた。エンジンは無く、モーターのみ。

 ASDSプロジェクトは典型的な〈予算底なし吸い取りプロット〉だったのでSOCOMは完成させる意欲を失った。もし量産しても単価は当初計画の2倍どころでは済まなくなると確実に予見された。

 ※市販されている潜航艇ですら8名を乗せて100m潜れる。台湾海峡は深さ数十mにすぎない。いかに台湾人が「ミニサブ」の分野で「やる気」が最初から全く無いか、よくわかる話だろう。

空戦コマンドのカーライスル大将は、戦闘機搭載レーザー銃はまず「対SAM」用に実用化すると言っている。さあどうかな。

 ストラテジーペイジの2016-8-1記事。
  イスラムテロリストご愛用のAK-47系アサルトライフルによるテロやアフリカの内乱を抑制するにはどうしたらよいか?
 簡単である。AK用の弾薬、「7.62×39mm」実包を、国際的に市販禁止にすればよいのだ。
 この弾薬は、1991以降、最も多数の人命をこの地球上で奪っている弾薬である。

 もはやいかなる政府も、世界中に拡散してしまったAK-47系アサルトライフルを回収することはできない。しかしその弾薬を簡単に得られないようにしてやることは簡単にできるのである。
 ゲリラが持ち歩いている状態では、弾薬はその小銃よりも早く経年劣化する。

 AK-47は精密狙撃に向いた銃ではないので、安価に大量の弾薬が手に入らない状態では、ユーザーにとって、銃そのものも価値が下がる。したがって銃の廃棄にもつながる。

 冷戦が終わっていらい、旧共産圏からおびただしいAK-47の過剰在庫が第三世界へ破格値で投げ売りされたり、援助工作やバーターとして供給された。その7.62ミリ×39ミリ弾は、1発20セント未満である。

 安い弾薬は、多数の弾薬の出回りを意味し、それは、現に多数の死者をもたらしている。

 7.62×39ミリ実包について、西側先進国だけでも市販や輸出入を禁止してしまえば、その国際市場価格は跳ね上がる。
 少ない弾薬しかなければ、アフリカの死者も少なくなるのだ。

 ※新聞社が製作しているカレンダーの写真にて、「ミヤコドリ」の命名の必然を初めて理解できた。赤い長嘴、赤い長脚、赤い丸目。胴と羽は白地+ダークグレーの迷彩。この赤が、あたかも朱塗りの材木のような反射色なのである。なるほどこいつが川岸に群れていたら京都の建築が髣髴としたはずだ。

 次。
 Bloomberg Newsの2016-8-1記事「Why China Is Handing Soldiers Big Payouts to Retire Quietly」。
  習近平はシナ軍将兵の早期除隊を促す。現勢230万人から、30万人を減らしたい。
 大佐の場合、一時退職金数万ドルと、最終年俸の8割の軍人恩給が、その餌とされる。※したがってベアなど論外である。

 中共中央は、国営企業に対し、退役将兵を雇用せよとも命じている。

 いったいシナ政府がこの退役促進事業(目標は30万人の整理)のために総額でいくら用意しているのかは不明である。

 シナ政府は、130万人の国営炭鉱労働者と、50万人の国営製鉄所労働者の整理解雇のために、1千万元(150億ドル)を用意しようという計画は、持っている。

 シナメディアによると、解放軍の将校の月給は、安いのが4000元で、高いのが2万元である。

 下士官が最終年俸の8割の恩給資格を得るためには、18年間以上奉職している必要がある。しかし将校の場合だと、大学時代の数年間を軍隊勤続年限の内にカウントしてもよいので〔おそらくこれはROTCの場合のみだろう〕、兵隊と同じくらいの若年で退職が促されている。
 ※すなわち37歳で退職して、月に3200元(最古参超先任わけあり一号俸少尉)から16000元(レコードブレイキング特進大佐)の恩給を貰うことが、理論上は可能なわけか。

 さらに早期除隊者には、引越し補助金と、個人事業者に転じた場合には事業税や所得税の減免措置も与えられる。

 中共の政治科学法律大学の学長が2013-5に語っている。元将兵たちが全国の反政府抗議運動に加わることが、シナにとっての最大の潜在リスクである、と。

 新華社によれば習近平は2015-11の中央軍事委員会で、軍のリストラにともなう退役将兵の授産援護についての特別措置をあらかじめ講ぜよと語った。

 たとえば中共最大のタクシー会社は、2016-5時点で、17万9000人の元軍人をドライバーとして再雇用したという。その給料は月に1万元であるという。
 ※これも公然たる嘘の見本。16万5000円も流しの雇われタクシー商売で貰えてたまるかい。それがしかも18万人とか、わらわせる。

 ※日本国内では、北部方面隊の普通科連隊から2個中隊づつ西方に派遣する国内ローテーションが始まりそうだ。重装備は九州に置きっぱなしとする。「移駐」だと税収の減る北海道の基地城下市町村が猛反対するので。かつては九州の下士官が北海道勤務を数年間義務付けられていたから、北海道出身者は地元の陸自駐屯地にいるだけで九州の方言をいろいろと学ぶことができた。これからは、その逆の現象が起こるだろう。

「読書余論」 2016年8月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 『爆撃兵器関係』

▼中田万之助『徳川氏刑法』M21-3
 反逆、謀殺主尊属、放火強盗でも、その所犯より12月を経過して発覚したるときは、其罪を免ず。
 評定所の目安箱に 受理糺問なし難い事件を3回投じた者は、放江戸。

 武家 卒以下 庶民等より法外の暴言を以て辱かしめられ 止むを得ずして之を殺傷したるときは其罪を論ぜず。

 白痴其他 智覚精神を喪失したる者 火を放ちて家屋建造物を焼毀したる者は流刑に処す。

▼『日本風俗史講座 第五巻』雄山閣S4-7
  所収・有坂【金召】蔵「武器武装」

▼陸軍省編纂『明治卅七八年戦役 陸軍政史』M44、1983復刻。
▼『戦場のならず者――セルビア軍に立ち向かったフランス人雇われ兵』1994-10
▼中央乃木会『御神徳を仰ぐ』S49-1

▼北越製紙(株)『北越製紙70年史』S52-6
 S18~19のヴァルカナイズトドファイバーは、海軍省指定燃料ドラム缶用に充てられた。

▼東陶(株)『東陶機器七十年史』S63-5
 海軍から、「マル呂」ロケット用の耐酸電界槽なども受注。

▼本州製紙(株)『本州製紙社史』S41-2
 S18に陸軍航空本部から、紙製ドラム缶の製作を命ぜらる。仕上がりは竹細工。

▼伊奈製陶(株)『伊奈製陶株式会社30年史』S31-12
 S19-9に、ロケット「まる呂」の耐酸炻器を造れと言われた。

▼高等捕獲審検所 残務調理員『明治三十七八年戦役捕獲審検誌』M39-6
▼クリーガー&オン著『ミサイル防衛――大いなる幻想』2002-11
▼大分バス(株)『五十年のあゆみ』S62

▼高桑純夫ed.『自我と実存』1948
 サルトルのマルクシズム攻撃は次のようなもの。
 思想やイデオロギーは社会の上部構造だという。ならばどうしてそのイデオロギーが逆に下部構造たる社会を変革し得るのか?

▼鮎川信夫『自我と思想』1982
 ヴァレリー、ジッドは、マジノ線が突破されるとは思ってもいなかった。知識人と言ってもその程度か。
 レジスタンスもぜんぜん評価できない。ナチズムはレジスタンスで倒されたんじゃないことは明らか。

 「日本浪漫派」はドイツかぶれにすぎない。鮎川ら大正9年生まれの世代だと外国映画はぜんぶ観ていたが、橋川らの大11世代以降はドイツ映画以外、鑑賞を禁止されたのである。だから大9人には大11人の思想偏向が透視できる。

 「第一、人類が全滅するという考えはおかしいですよ。全滅する何倍かの原爆があると言ってますがね、数学的にはそうかもしれないけど、絶滅はしないんじゃないか」(pp.217-8)。

▼『岩波講座 文学 第五巻』S29
 伊藤整いわく。日本は「現世を逃亡するだけで十分生命感を味ふやうな不合理な社会を長いこと持つていた」。「個我伸展の思想が真面目に考へられたのは文壇のみ」。

▼相田二郎『小田原合戦』S51

▼花見朔巳『鎌倉時代史論』S6
 乗馬には「鞍締まり」の身体ができていないといけない。股関節で内側へ締める力が、昔の乗り手は、強かった。

▼笈田敏野『北條時宗公』S17-1
 元軍が二度目には宗像の石垣海岸に着上できなかったのは、日本の弓の威力による。

▼『今昔物語』M34-10pub. 国史大系第16巻/経済雑誌社
 ※これにて本書のメモは完結。鎌倉時代には大盗賊と乞食がほぼ同義であったことが覗われる。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

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 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

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