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「読書余論」 2017年3月25日配信号 の 内容予告

▼大山敷太郎『農兵論』S17-11
 幕末からの兵制改革をリサーチした学術論文集。農兵とは広義の一般徴兵のこと。
 維持費。『開陽』を1年維持するための「入用高」は、14万6000余両であった。
 慶応3年10月調の海軍経常費は、92万両余。

▼マイケル・アブラショフ著、古越浩一郎tr.『即戦力の人心術』 原2002“It's Your Ship”
 部下から慕われる駆逐艦艦長になるのは簡単だが、それだと海軍内で出世はできんよと言外に教えてくれる奇書。

 軍のエリート将校は、自分を売り込むチャンスなので、できるだけ国防長官との面談時間を長引かせようとする。スケジュール管理を担任する副官は、それを打ち切らせねばならず、恨みを買う。

 苦しんでいる人は自分からは語らない(p.76)。

▼マーク・ゲイン著、井本威夫tr.『ニッポン日記』下 S26-11
 1945のガレキを都民はどうやって除去したか。銀座では、とりあえず運河に捨てた。山のようになった。それを川舟ですこしづつ運び去った(p.197)。

 ※『空手バカ一代』の中にGIがジープで主人公を轢殺しようとする「そんなのあるかよ」と思われるようなシーンが出てくるのだが、じつはそれは終戦直後の韓国におけるリアルな「米兵の憂さ晴らし」であったのだと本書を読んで初めて了解できた。もちろん轢かずに寸止めなのである。

▼安全保障調査会『日本の安全保障――1968年版』
 ベトナム戦争。1968-3-23時点で、米国は1ヵ月に20億ドル=7200億円を使っている。すなわち日本のS43年度国防費4221億円を18日間で使っている勘定。桁違い。

 大内兵衛は、日本人の一人一人が毛沢東語録を熟読すべきだと。「軍隊は国家権力の主要な構成要素である」「われわれは革命戦争万能論者である」「全世界はただ武器によってのみ改造することができる」「われわれは戦争消滅論者である。戦争を経てのみ戦争を消滅させられる。武器をなくすには武器をとらなければならない」とあるのだが……。

 コンゴでは国連PKFは失敗した。教訓として、内戦紛争には介入しないこと、武力行使の認められる自衛の範囲規定などが決められている。

 米ABM。まずスパルタンが、高度数百kmで核爆発。中性子やX線で敵RVを無力化する。スパルタンを突破してきたRVは、スプリントによって高度40kmで迎撃する。どちらも核爆発だが、地上には影響は無い。

 F-105Dは、九州の板付からちょうど北京を核爆撃してもどってこられる航続距離をもっていた。板付から1500km。往復ともに高々度で飛行した場合。

 マクナマラの1968年議会報告書。いわく。
 出力50キロトンの弾頭10個――つまり合計で500キロトン――が、人口200万人の都市に与える被害は、10メガトン(=1万キロトン)の単弾頭ICBMと同じである。
 人口10万人の小都市が対象の場合、そこに50キロトン弾頭が10発落下すれば、10メガトンの単弾頭が1発炸裂したときの3倍半もの破壊と死をもたらすことができる。
 飛行場の場合だと、この差は10倍にもひらく。
 迎撃のしにくさも、RVの数に比例する。
 したがって、大威力の単弾頭をミサイルに搭載するぐらい非効率なことはない。小威力の弾頭をできるだけ多数発射した方が、はるかに効率的なのである。

 ポラリスをギリシャ南岸から発射してもモスクワに届かない。ポラリスをノルウェー北岸から発射してもモスクワに届かない。しかし、スウェーデン南岸のバルト海から発射すれば、楽々と届いてしまう。黒海から発射した場合も同様である。
 ※このポラリスを「スタンダードミサイル改造核SSM」に脳内置換すると、なぜプーチンがウクライナ領有にこだわり、またバルト三国とポーランド支配にもこだわるかが了解される。

 1965統計で、極東ソ連の人口は951万で、全ソ連の4.1%しかない。
 また1965のソ連の石油生産は243000万トン。そのうち極東では240万トン。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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インドについてのモヤモヤが晴れる本。明日、徳間書店から発売です。

 ストラテジーペイジの2017-2-23記事。
  2016年から台湾は、日本のスパイ衛星の撮像を利用できるようになった。
 台湾が運用中の「フォルモサット2」は古過ぎ、更新用の「フォルモサット5」は打ち上げを委托した米側から2015に技術的にダメ出しをされて2017に計画延期されているので、そのツナギ措置として。

 先だって英SSBNがトライデントの試射に失敗したが、その前、2016年にも、フロリダ沖から試射したトライデントが東方へ飛ばずに、逆に西方すなわち北米の東海岸へ向かって飛んでしまうというアクシデントをやらかしていた。

 英SSBNは西暦2000年からこの試射を始めているものの、2012年の試射のあと暫時ブランクがあり、2016年までトライデントの試射はしていなかった。2016年の試射は、英国保有のトライデントの6発目の試射であった。
 1発2200億円もするので、おいそれと試射はできるものではない。

 ※日本人はのんびりしているが、2016と2017にたてつづけに英国がトライデントを試射しているのは、当然ながら、プーチンへの直接のメッセージなのである。逆に言うと、ロンドン政府は近年、ロシアから、「英国を核攻撃/放射能攻撃するぞ」という、民間マスコミでは報道されない水面下の脅迫を繰り返し受けているとおぼしい。こんなときにロシアに経済協力とか、日本政府はもう阿呆かよとロンドンからは思われているのに違いない。

 なお米海軍のトライデント試射ではこのような失敗は起きていない。米英の差がいったいどこにあるのかは不明である。
 1960年代前半、米海軍のポラリスSLBMが、ちゃんと飛翔するのに模擬弾頭が起爆しないというトラブルに見舞われたことがあった。この解決に苦労した過去の上に、いまのトライデントの信頼性もある。

 ※詳細は公表されていないが、安全装置と関係があったと思われる。たとえばICBMのミニットマンの場合だと、17段階の安全装置が逐次に解除されないと決して起爆しない。その16番目は、RVが目標に向かって正常に降下しつつあるという自己診断回路によって解除される。17番目は、大気圏に再突入して、それまでの17倍の空気抵抗を感知したときに解除される。

 英国は『ヴァンガード』級の次のSSBNのためのミサイルコンパートメントを2009からGD社に設計してもらっているところである。

 59トンの「トライデント2」は、RVをめいっぱい詰め込めば最大射程7200kmだが、単弾頭にすると11300kmも飛ぶ。
 水爆は「W76」で、これを最大で8個、1基の上に載せられる。

 米国では、量産型の「トライデント2」は、これまで一度も試射が失敗したことがない。
 148発発射して、すべてうまくいっている。

 開発段階では、「トライデント1」の場合23回試射して、そのうち、うまく飛んだ率は87%だったという。
 「トライデント2」の開発段階の試射は49回で、うち98%が成功したという。

 米海軍は「トライデント2」を1基3100万ドルで調達している。

 これをロシアのSLBM開発と比較してみよう。最新の「ブラヴァ」SLBMは、18回試射して11回成功。そんなもので制式採用を決めている。連中の核兵器には、信頼性はない。

 ※米国本土のICBMをぜんぶ整理して、アラスカに集約し直したらどうなるだろうか? それも敢えてモビル式にしないで、山獄中の超硬化サイロ式にしておいたら……。ロシアは核戦争を決意したときに、それをまっさきにICBMで打撃しないで他の目標を打撃するという選択はしにくいであろう。したがって、まずアラスカで起きる核爆発が、米国指導部に、いままでよりも10分前後も長く「反撃について考える余裕」を与えてくれる。しかも、超硬化サイロを確実に破壊できたかどうかはロシア側にはなかなか判断がつかないので、かなり多数の水爆がアラスカに吸収されてくれる。どっちみち対ICBM打撃は地表爆発モードなので、中性子を浴びた大量の土砂が放射性塵となって偏西風に乗る。しかしそのフォールアウトは従来とは違い、米国東部の大都市を襲わないだろう。シベリア東部からアラスカのサイロを狙うロシアのカウンター・フォース用BMは中距離核(とうぜんINF条約を破棄)となるので、米側のABMとしてはGBI未満のTHAADでも迎撃が可能かもしれない。可能かもしれぬというだけでますますロシアの水爆弾頭はアラスカに引き寄せられざるをえない。これはマクナマラが限定ABMを決意したときに計算した「安定」の再現か、それ以上の良い話ではないのか? トランプ政権がなぜこのオプションを考えないのか、わたしには不思議でならない。(Why America re-deploy it's whole new ICBMs in Alaska?)

日本がイージスアショアを導入することは世界への貢献になるが、THAADを買っても 中共に対するイヤガラセ程度にしかならない。

  Sam LaGrone 記者による2017-2-21記事「PACOM Commander Harris Wants the Army to Sink Ships, Expand Battle Networks」。
    太平洋コマンド司令官のハリス提督は、米陸軍が対艦能力をもつことを勧奨した。某カンファレンスのスピーチで。
 いわく。米海軍と連繋して、実戦的な情況を模した演習で、「敵艦撃沈」をやってもらいたい。私が転任する前に。

 太平洋艦隊司令官のスコット大将と、太平洋陸軍司令官のブラウン大将。二人ともハリスの部下。ハリスは、両者が協働して、陸軍のPAC-3とTHAADを海軍のNIFC-CA(E-2Dやイージス)に連接し、統合ABMを機能させることを求めた。

 陸軍と海軍には、「ここまでがウチの担当する仕事だ」といった蛸壺意識をすっかり捨ててもらわなくてはならない。これからは、伝統的な縄張りは消えるのだ。

 ハリスは会場で、「日本海軍・空軍や韓国海軍・空軍と、米海軍とが、NIFC-CAで直結することを望むか」という質問に、答えなかった。彼の話は、あくまで、米軍内の四軍間の連接に限定された。

 ※基礎整理。米軍は地対空ミサイルを陸軍がすべて管掌する。PAC-3もTHAADも、したがって、米陸軍利権である。ところが日本では、空自の「対爆撃機インターセプター」がそのまま「ナイキ」になり「ペトリオット」になったという経緯があるために、PAC-3が空自利権なのである。旧ホーク以下の短射程SAMだけ、陸自利権である。THAADの能力はPAC-3を上回るから、もし日本がTHAADを導入するとすればそれは空自の予算でとる流れになるだろう。しかるに空自の予算はF-35だけでパンクするはずである。だから人員を充てる余地がない。もうひとつ。E-2C/Dは米空母を守るための海軍の艦上機である。ところが日本では、広域レーダーサイトを担任する空自が、広域レーダーサイトの穴を埋めるための装備として導入した来歴から、日本ではE-2C/Dも、海自ではなくて空自に所属するアイテムとなっている。新型で高額のE-2Dをこれから導入していかなければならぬ空自にとり、新ABMのための予算枠の余裕など、いよいよあるわけがないのである。例外的な幸運は、米軍と違って、わが自衛隊では、陸自に最初から対艦能力がある。また、中距離SAMの性能が近年向上し、「中SAM」と「ペトリオット」のエンヴェロープは重なって行く趨勢にある。おかげで、陸自がイージスアショア(とうぜんSM-6も含む)を導入するなら、ハリス大将の理想は日本においてモデル的に実現してしまうのである。

 次。
 PETER ROPER 記者による2017-2-21記事「New national security adviser McMaster battle-tested in Iraq」。
    マクマスターは2005に、シリアに近いイラクのタル・アファー市内で対ゲリラ戦を指揮した。そのときは中佐で、第三装甲騎兵連隊長だった。

 そこでは、敵ゲリラは、対米協力者のイラク市民を見境いなく斬首しては見せしめとしていた。
 タルアファー市は人口25万人。警察は、住民の中に混じっているゲリラによって殺されないかとビクビクしていた。学校も商店も閉じていた。

 進駐直後からその年のおわりまでに、マクマスターとその連隊は、ゲリラ1500人を射殺もしくは捕虜にした。
 この作戦のために第三騎兵連隊は戦死者39人、戦傷者126人を出した。

 ゲリラはほとんどがイラク人ではなかった。サウジアラビア、リビア、シリアからやってきた外人兵だったのだ。

 住民はすぐゲリラを殺してくれる米軍をとても頼もしく思い、ゲリラの居場所について積極的に垂れ込んでくれるようになった。そしてついにタルアファー市からゲリラは一掃された。

 この稀な成功はマクマスターを米メディアのヒーローにした。CBSの『シックスティミニッツ』でも彼がフィーチャーされている。

 マクマスターは2006に米本土のフォートカーソンに凱旋。
 彼のトレードマークはツルツル頭。

 彼はその後、アフガニスタンでの米陸軍の対ゲリラ戦を組み立てる仕事をしている。2014-7には中将に栄進。現職は、陸軍の、「訓練およびドクトリン」コマンドの副司令官だ。

 次。
 そのマクマスターが『NYT』紙に少将時代の2013-7-20に寄稿している意見論文「The Pipe Dream of Easy War」。
 ※あるいはこの論文で中将昇進が確定したのかもしれない。彼の考え方を知るのに重要。

  2001-9-11テロ直後、遠く離れたところから精密打撃ができる能力を持った少数精鋭の米軍が、反米国家やイスラムテロ集団に対しても電撃的な戦勝を挙げることができる――という幻想が一時、風靡してしまった。

 ※2001年末の米特殊部隊+現地部族連合によるアフガン戡定作戦、および2003年のイラク占領作戦の「成功」を念頭している。「ラムズフェルド・ドクトリン」とも言ひ得る。マクマスターは、それは成功ではなかったと本稿で主張する。オバマ政権の政策を批判しているわけではなく、前政権への批判だ。

 アフガンとイラクでの二度の成功は、われわれ米人が中東地域のリアルな構造を観る眼を曇らせ、適切な戦略を考える作業が後手にまわった。

 アフガンとイラクにおいて今日米軍が直面させられている苦境を、軍事専門家は「異例事態」なのだと観たがっている。

 1991湾岸戦争の一方的な勝利が、RMA=「軍事における革命」などという妄譚・謬論・虚説を生み、将来戦を過度に楽観せしめた。

 ギリシャ悲劇で、傲慢さゆえに神から罰せられてしまう登場人物。それが今日の米国なのである。

 2001のアフガンでは、反タリバンの諸部族が助力してくれた。が、タリバンがパキスタンに逃亡するや、彼らは米国による国家再建努力への抵抗勢力と化した。それぞれの部族の権益だけが彼らの関心事だからである。

 2003~2007のイラクでは、われわれは、マイノリティに転落したスンニ派住民の苦情を放置した。

 アフガンでもイラクでも、反米ゲリラ勢力の手口は同じである。不満や恨みを抱いている住民から後援を得、抗米戦士がそこからリクルートされている。
 教訓。その地域の政治基盤からして論じていないような戦争理論はまず疑え。殊に、迅速安易に戦争に勝てますよと請合うような理論は。

 第二。戦争は人間的である。トゥーキュディデースが2500年前に分析したように、恐怖心、名誉心、欲心から人々は戦闘する。

 だから、アフガニスタンやイラクの住民の近過去の歴史を、進駐軍はよく学んでおかねばならなかったのに、米軍はそれをしなかった。

 アフガニスタンやイラクに宥和社会を実現しようと思ったら、彼らの恐怖と利益が何かを知り、彼らの名誉観も解しなくてはならない。さもないと彼らは、過激主義ゲリラを支援し始める。

 マイノリティの恐怖を鎮めてやれ。各集団の名誉心を尊重せよ。暴力によってではなく政治によって最も彼らはよく守られるのだということ、また各人の利益追求もできるのだと、各コミュニティを説得できなくてはならない。

 戦争は政治的であり、且つまた人々の欲望に基礎がある。であるがゆえに、戦争には確実な予見などあり得ない。

 RMAなるものが実現するためには、完璧に近い情報が我々に得られるということが前提となる。そんなの、あり得るか?

 ※ここでプラトンの「無知の知」を持ち出してくれぬことが、兵頭には不満である。クラウゼヴィッツやツキジデスよりももっと大事な教養だと思うのだが……。そこがわかってないと、ゲリラ戦とはダーウィン進化論そのものであることもわからない。そこがわからないから、なぜ孫子の「一撃離脱」(拙速離脱)だけが上手な戦争指導となるのかもわからない。そのゆえに米軍は一勝のあとに漫然と外地に「居座り」を続けてしまって、コンスタントにすこし悧巧に進化し続ける敵ゲリラからしてやられるというパターンを繰り返すのである。

 アフガニスタンとイラクでは、イニシアティアヴは敵にある。イラクとアフガンで、他のすべての戦争と同じく、人々の意思が自由に解放されぶつかり合って新情況を次々に生み出している。さるがゆえに、将来のイベントの予測はできない。完全情報というものはありえない。

 さいわい、アフガニスタンとイラクでは、米軍は、適応しつつある。
 たとえば2005年、ニネヴェーの西郊。そこではセクト化したゲリラ集団が互いに攻撃し合っていた。

 タル・アファー市では、わが騎兵連隊は、地元のイラク政府軍を育成しつつ、四面楚歌の住民を守らねばならなかった。

 われわれは、ただ敵ゲリラと戦うことだけを優先しなかった。住民の安全を確立すること。対立武装グループ間の紛争解決を助けてやることも熱心に推進した。

 われわれは、市の癌であるザルカウィ・グループだけを排除した。住民には側杖被害を及ぼさずに。

 これは、市長らの協力、そして特殊部隊の協力があったからできたのである。このような丁寧な作戦を、遠隔地から高性能兵器だけで遂行できるわけがあろうか。

 われわれに同盟してくれる味方をどんどん増やせるような米軍の活動。それこそが求められている。そのためにはわれわれは、敵の脅威にさらされている海外各地の住民を防護してやれなくてはならないのだ。

 近年の米国国防予算にはたしかに制限がある。しかし物事をクリアに考えるのに「予算」なんて必要ないはずだ。

月刊『BAN』の刑務所アイドルと累犯障害者の話にはひさびさ感動しました。

 Jill Aitoro 記者による2017-2-20記事「Russia's Rostec to co-develop 5th-gen fighter with UAE」。
  ロシアの軍需企業ロステックの社長がアブダビにて、UAE国防省と共同で第五世代の軽戦闘機を開発したいとメディアに対して表明した。

 双発のミグ29をベースに、2018から開発開始し、8年以内に完成させたい。 製造工場はUAE内にも置くであろう。
 GCC諸国はそれを買えるだろう。

 このJVを、ロステックとUAE政府の協働とするのか、それとも、ロステックとUAE内の私企業の協働にするか、それは未決定。

 ロステックはすこし前、インドの第五世代中型戦闘機の開発にも協力したいと語っていた。
 ロステックはインドネシアにスホイ35を売る商談も進めているところである。
 エジプトにも、おそらくミグ29を売り込もうとしている。

 ※いや~、焦りました。25日発売の徳間の新刊の中で、インドから「PAK-FA/T-50」を見放されたスホイ社が、あらためてUAEやイランをスポンサーにしようとすることには無理がある――という見方を述べ、その政治的な理由を縷説しているからです。発売前からさっそく記事訂正せにゃならんかと思うたわいの。「ミグ29」ベースなら、無問題でしょう。その理由は、拙著を読んでくださればおわかりになる。

 ロシアは世界第二の武器輸出国の地位を頑張って保っている。年間145億ドルも輸出している。
 ロステックはロシアの軍需工業の7割を傘下にしているという。
 ただしロステックは武器だけ商っているわけではなく、3割の民需品も売っており、できれば民需品の扱い比率を半分まで高めていきたい。

 同社はイランには10億ドル分もの「S-300」地対空ミサイルシステムを既に売った。
 社長の認識では、攻撃的兵器でなければ、対イラン禁輸制裁の対象にはならない。

 ボーイング社やエアバス社がその航空機製造のために必要としているチタニウムは、ロステックが供給しているのである。

 次。
 Michaela Dodge & Marek Menkiszak 記者による2017-2-21記事「U.S.-Japan Anti-Missile Test a Good Sign for the European Missile Defense Sites」。
  イージスアショアはルーマニアでは昨年から部分稼動を始めている。ポーランドへは来年に持ち込まれる予定だ。

 ロシアからの反対圧力をはねのけてルーマニア国会が米軍基地受け入れを可決するためにはルーマニア政府はおそろしい政治資源を投入した。
 このハードルはポーランドではもっと高くなるはずだ。

 オバマ政権は一回、BMDのポーランド持込みをキャンセルしている。
 これはモスクワ発の政治工作に屈したもので、オバマはそうすることでロシアとの関係が改善されると考えた。だが結果は逆だった。ロシアの要求はますますエスカレートしている。
 来年のイージスアショア展開がまた頓挫させられると、もはや欧州は米国を信用しなくなり、ロシアはますますその侵略政策を調子づかせるであろう。

 ポーランド政府は、駐留米兵と米人軍属たちに対して、同国内での消費にかかる付加価値税を免税してやっている。土地や建物の提供、米軍用地の警備など、ポーランド政府が負担している金額は巨額である。
 ルーマニア政府も同様の負担をしている。

 ※「大綱」前倒し改定で、日本側として素早く論定を急がされそうなのが「THAAD」か「イージスアショア」かの選択です。わたしはどっちも中共の水爆ミサイルを防げない以上、東京防空の役にも立たず、困った案件だと見ていますが、政治的には意味が大きいので、このさい、この2システムの損得を較べてみましょう。まず、中共に対するイヤガラセ効果がヨリ高いのはTHAADの方です。THAADを北九州や対馬に配備すれば、釜山橋頭堡の米陸軍をカバーしてやることができるので、米陸軍から深く感謝されるでしょう。しかし日本の防衛には米陸軍は平生ほとんど関与してません。そこが問題になります。特に米海兵隊は、THAADではじぶんたちは安全にならないと感ずるでしょう。米陸軍と米海軍=海兵隊との間に、有事には十全な情報リンクがすぐ立ち上がるはずだ……などとは、プロならば誰も想定していません。その点、イージスアショアならば、海兵隊は心強い。この意味は大きいでしょう。イージスアショアには、三菱が開発した部品が使われているので、これが多数採用されることは、日本が世界の安全にリアルに貢献していますよという大宣伝になるので、政治的な(無形の)利益はとても大きいです。THAADではそのような宣伝メリットはゼロでしょう。またTHAADでは巡航ミサイルは阻止できない。キチガイ隣国の●●軍が日本各地の原発建屋に向けてドイツ製の長射程巡航ミサイルを乱射乱撃してくるときに、THAADがなんぼあっても役には立たないのです。イージスアショアならば、NIFC-CAの一部となり、SM-6やアムラームの広域運用とシームレスに連接できますから、日本全土の原発が気違い●国の攻撃から安全になるばかりか、離島に所在する味方部隊を中共軍の巡航ミサイルや航空機や艦艇からも守ってやる一助ともなる。どちらを選ぶのが日本国民のためになるのか、結論はもうあきらかですね。

Would we call it a 'Duper Hornet'?

  ANNA FIFIELD 記者による2017-2-19記事「North Korean officials are preparing to come to US for talks with former officials」。
  米国と直接対話するため北鮮から要人が招かれるという。国務省はまだそのビザを発給していない。発給すればそれだけでトランプ政権によるメッセージとなる。要人は数週間以内にNYCにやってくるであろう。

 米鮮は過去、クアラルンプール、ジュネーヴ、ベルリン、ウランバートルで接触協議している。これらの場合には、米政府としてはビザ発給の必要などはないわけである。
 米本土に北鮮人がビザを得てやってきて協議したのは2011-7が最後だった。このときはまだ金正日が生きていた。

 米側でこうした接触をずっと仕切っているのは、カーター政権でアジア問題のコンサルタントだったドナルド・S・ザゴリア。今は外交政策のシンクタンクに在籍している。

 やってくるのはおそらく、北鮮外交部の中で対米を任されている女 Choe Son Hui だろう。六ヵ国協議でも顔は知られている。
 昨年韓国へ亡命した元北鮮の駐ロンドン大使いわく、この女は正恩と直結していると。

 次。
 ストラテジーペイジの2017-2-20記事。
  金正男、その妻、その二人の子供は、全員、マカオの国籍を保有している。
 正男には、前妻1人と、その子供1人もあり、そのどちらもシナ在住。
 正男も正恩も、若い頃は西側の外国で長らく暮らした。

 正男は西側からウケがよく、最近は韓国を訪問したいと漏らしていた。※この記者は匿名だが韓国人だと思われるので、8割引きぐらいして聞いておくのがいいだろう。

 正男は2002からシナに暮らしている。
 中共は正男にシナ国籍も与えている。
 正男が父から、後継者の器ではないと見限られたことは、2003に明らかになった。

 正恩が権力の座についたのは2011である。

 もし正恩が北鮮をうまく統治できなかった場合に中共は正男を送り込むつもりで匿っているのだという推測は、2012年に一日本人ジャーナリストが正男にインタビューして刊行した書籍『わが父金正日と私』によって、確からしくなった。
 中共は、この本が中共内で売られることも許している。

 2-14の暗殺を承けて、マレーシアは北鮮大使を召還したが、北鮮は駐マレーシア大使を召還していない。

 2-15、中共は、正男暗殺ニュースへの最初の反応として、シナ軍部隊1000人を北鮮国境に増派した。

 正男暗殺報道を中共中央は抑制させようとしているが、シナ国民はインターネットでそれを承知し、北鮮を憎む空気が人民の間に広がっている。

 2-16、中共は、シナ国内の正男の遺族はしっかり保護するとアナウンスした。

 中共は2016-12の1ヵ月間に北鮮から石炭を何トン輸入したか、2017-2-2までに統計値を公表しなければならなかったのに、それを見送った。中共は、北鮮からの石炭輸入量を半減すると公言していながら、それを実行していない。
 2-18に中共は、北鮮から石炭を買うのを止めさせた。北鮮の貿易の9割は中共相手である。北鮮から中共へ輸出する物資の半分以上は、石炭である。

 中共国内で工場労働者の人件費が高騰しているので、北鮮労働者をタダ同然で雇いたいという経営側の需要が発生している。雇う場合、外部と隔離された収容所的な社員寮を完備させ、北鮮公安ともコラボレートしなければならないが。

 「北極星2」を英訳すると「ポラリス2」になる。
 潜水艦からコールドランチした「ポラリス1」を、陸上のTELからコールドランチしたものが「ポラリス2」だろう。

 中共は、北鮮と米国が、核とミサイルの問題で直接交渉することを勧奨し続けている。北鮮は2009以降、6ヵ国協議ではなく、米国とだけサシで話をしたいと言っている。

 北鮮と中共の違い。北鮮は韓国を独立国としては認めていない。米国が違法に占領している領土だと言い続けている。

 ※F-35Cは外翼が折り畳み式なので、この外翼部分だけ改造する余地がまだある。そしてなんと、F-35のプログラム部長が、サイドワインダーの最新型をC型の翼端レールから発射できるようにしたいと言い出した。それじゃステルスの意味ぜんぜんねえし! ……このニュースへのコメント蘭(英文カキコ)を読むと、トランプ政権下でC型の目はゼロだなと直感します。スーパーホーネット改が、勝ち馬になりそうです。

経常黒字を減らせという批判には、日本製武器の対外無償援助(Ordnance Distribuiton Aid)=新ODAが、最善回答だ。

 ストラテジーペイジの2017-2-19記事。
   2011年に、アムラームのためのロケットモーターを納入していたATK社の製品が不良だと分った事件。新環境規制に合わせることに失敗し、高々度の低温環境では信頼性が低くなるというものであった。米軍航空隊の全AMRAAMを検品し直す騒ぎとなった。

 もちろんメーカーはすぐに修正しようとしたが、それには何年もかかった。
 そのため、新規にアムラームを発注していた台湾、UAE、フィンランド、韓国、モロッコ、チリ、ヨルダン、クウェート、シンガポール、トルコの空軍へのレイセオンからの納品は滞った。

 ATK社はスパローの推進薬も製造していた。これも製造ラインがストップした。

 そこでNammo(ノルウェー弾薬製造)社が2013年前半から、月に100本分のモーターを米軍に納入するようになった。
 1年後に、レイセオン社の受注残はだいぶ捌けた。

 ATK社が問題を解決できなかったので、けっきょく米国防省は、ノルウェーのNammo社に頼み、米国内に同社の推薬製造工場を建設してもらうことになった。

 そのあとからATK社も問題を解決したが、時すでに遅し。弱小メーカーだったNammoは、2年のうちにすっかり米軍航空隊ミサイルのモーター部品シェアを奪ってしまったのである。

 米国メーカーは、Nammoを米軍御用から締め出さんと、連邦議会議員に賂いして、「排除法」を通そうとした。これは失敗した。

 米軍は怒っている。米国内軍需メーカーは、米軍から欠陥を指摘されると、それを修正しようとせず、逆に議会議員たちを抱き込んで国防総省を黙らせようと計るのだ。これは他の兵器でも頻発しているパターンである。

 米軍航空隊はこれまでに幾度、欠陥品の買い上げをキャンセルして、その軍需メーカーを裁判所に訴えねばならなかったか、知れない。一向にトラブルは減っていない。

 次。
 Jeff Mason 記者による2017-2-18記事「Trump says he'll decide on national security adviser in next few days」。

 国家安全保障問題担当補佐官を誰にするか? M・フリンの退場いらい、トランプは4人の候補と面談するつもりだ。

 キース・ケロッグ。
 ジョン・ボルトン。
 陸軍の訓練とドクトリンのコマンド幹部だったH・R・マクマスター中将。
 元ウェストポイント校長のロバート・カスレン中将。

 このうちの一人に決まるだろう。いまから2日以内に。

 前のNSC筆頭者キース・アレグザンダーや、前の陸軍参謀総長だったレイ・オディエルノも、選考されている節はある。

 ペトレイアス元CIA長官は、すでに候補リストには無い。
 最初に声をかけられた、ロバート・ハワード退役海軍少将は、家族や経済的な問題を表向きの理由として、就任を断った。

 実情は、ペトレイアスもハワードも、NSCメンバーの人選についての決定権を持たせてもらえないのなら、安全保障担当補佐官になどなってもしょうがないと考えたので、誘いを拒否したのだ。そしてトランプは、人事決定権を誰に対しても持たせたくはない。

 マクマスターは、「現代最後の大戦車戦」だと考えられている、1991におけるサダム親衛機甲部隊との交戦を、第二装甲騎兵連隊の一指揮官(大尉)として体験している。
 ※つまりパットン好きのトランプが「現代のパットン」として起用したがっているということ? そんな阿呆な理由だとすれば逆に信憑性が高い。こいつなら人事権をくれなどとも要求はしないだろう。

 ウェストポイント卒のカスレンは2011-9-11にペンタゴンの航空機特攻現場に所在し、崩れたビルの中から負傷者を探して救出する手伝いをしたことがある。「クリスチャン・エンバシー」(以前は「キャンパス・クルセード・フォー・クライスト」と称した)という宗教団体のプロモビデオに出演し、国防総省の倫理規定に違反している。

 ※米国有数の金持ちの「顔の広さ」がこの程度とは呆れた。ビジネスで成功しようと思ったら、世界の把握は諦めなければならないようだ。同じ金持ちでもビル・ゲイツは少しは高所から物を見ている。核兵器よりも遺伝子組み換え生物兵器の方が世界にとっては危ないと彼は各国政府に警告中である。日本はいちばんこの分野への投資が遅れているよね。

潜水艦にこそ静かな「ロータリー・エンジン」を積んだらどうなんだ?

 Tyler Rogoway 記者による2017-2-17記事「Japan Goes Back To The Future With Lithium-Ion Battery Powered Submarines」。
  AIPにも、スターリング機関から、仏式の「艦内閉塞型スチームタービン」から、燃料電池まで、各種ある。

 スウェーデン発明のスターリング機関には、潜水艦内で液体酸素を扱うという危なっかしさがある。
 また、メカニカルに動くパーツが多々あるので、それがどうしてもノイズ発生源となってしまう。

 パキスタンがフランスから買った『アゴスタ90B』潜にはMESMAというフランス製のAIPが搭載されている。

 これは仏型原潜の熱源を、液体酸素とエタノールの反応燃焼に置換したようなもの。原潜は基本的にスチームタービンだ。MESMAは、エタノールの燃える熱で水を蒸気化させてタービンを回す。そのタービンが発電機にもなっている。

 MESMAはタービンなので高速ダッシュが効くというメリットがある。しかし、やはり複雑な装置内を液体酸素がめぐるという危っかしさを内包し、メカニカル駆動パーツが騒音を立ててしまう。

 これらにくらべて、燃料電池式AIPは、メカニカル駆動部分がほとんどないので、スターリング機関やMESMAより静粛である。そのかわりに、ダッシュは効かない。水中に長期間潜りっぱなしで遠隔地の敵港の動静を探るという、ゆったりしたミッションに向いている。豪州がフランスから購入する『ショートフィン・バラクーダ』型AIP潜は、これを搭載する。

 長距離偵察や長時間待ち伏せなら、燃料電池式がいちばんだ。
 魚雷や対艦ミサイルにより敵高速艦隊に沖合いで攻撃を仕掛け、返り討ちを避けて高速で雲隠れしたいのなら、MESMAがいちばんだ。
 自国の沿岸だけで作戦するつもりなら、スターリング機関でもいいだろう。
 ※自国の沿岸だけで作戦させるなら、「電池のみ、内燃機関無し」、というシンプルタイプでいいんじゃね? サブマリンテンダーから有線で給電してもらってさ。

 日本の次の『蒼龍改』型潜(スーパー・ソーリュー)は、リチウムイオン電池とディーゼルだけを積む。つまりAIPは廃するという。

 既存の7隻の『そうりゅう』型はすべてスターリング機関搭載だ。
 『ゴットラント』型AIP潜を建造したコックムス社からライセンスを買っている。

 リチウム電池の長所は、放電を続けても最後まで電圧が下がらないこと、鉛酸化電池よりも軽量であること、すばやく充電ができること(ただしそれなりの強力発電機から給電せねばならないが)、重量や容積あたりの蓄積エネルギーが大であること。

 そしてもうひとつ。ここぞというときにダッシュを効かせることもできるのだ。

 リチウムイオン電池の短所は、なぜか制御が効かなくなったり、過熱膨張や自燃を起こすことである。

 リチウム電池の過熱自燃事故では、高熱とともに有毒ガスや伝導性粉塵が放散される。しかも簡単には消火できぬ。潜水艦用としてはえらく厄介だろう。

 しかし、飛行機等と違い、大型の潜水艦であれば、電池のセル一個一個を密封隔離するステンレス合金筐などの重さが多少は増えても問題は少ないから、日本のメーカーと防衛省は電池自燃事故を防遏可能だと考えている。

 短絡や塩水浸潤の予防にも万全を期す。落下衝撃テストはもう済んでいるという。
 電池室の隔壁内には特注の自動消火装置も据えつけるという。
 ※それよりもバッテリーパックとして船外に曳航するようにして、燃えたら切り離せるようにすりゃいいんじゃね? 魚雷避け用の囮にもなるだろう。

 『そうりゅう』型の量産最後の3隻にはリチウム電池が搭載される。

 げんざい進水している7艦目には、スターリング機関4つの他に、リチウム電池が搭載されている。
 この7艦目が、過渡期のスタイルとなるのであろう。次は、AIPを廃してリチウム電池だけにするのだ。

 将来展望だが、燃料電池とリチウムイオンバッテリーを組み合わせた潜水艦ができれば、すごいことになるだろう。持続力とダッシュ性能と静粛性のすべてを兼ね備えることになるからだ。

 噂では、中共は、AIPとリチウム電池のハイブリッド潜水艦を計画中だとのこと。しかし単価はとてつもないものとなるであろう。

 米海軍は過去27年間、ディーゼル電池式潜水艦とは無縁だ。
 米軍最後のディーゼル電池式潜水艦『ブルーバック』は、演習で敵潜役を務めるため、1990年まで運用されていた。それ以降は、米海軍にはもう原潜しかないのだ。

 米海軍が原潜一本となったことで、戦略的には不利となったことがある。原潜はセキュリティがうるさいため、どの外国の港にも気軽に置いておくわけにはいかない。この点では米海軍の海外作戦は、不自由になっているのである。

 米海軍は、『スーパー蒼龍』のライセンスを日本から買って、非核動力潜水艦を米国の造船所で大量生産するべきではないか。
 『ヴァジニア』級SSN×1隻のコストで、『そうりゅう』型なら4艦も建造できてしまう。
 量産するにともなって、単価もどんどん下がるだろう。
 もちろん、この提案は米海軍によって拒絶されるはずであるが。

 ※米国の東海岸からインド洋やら南太平洋やらまで往復をするのに、核動力以外ではどうしようもないのでね。米国の場合は、むしろ衛星に搭載される小型のアイソトープ原子炉を艦内の機関室に多数並べてエンジンそのものも撤去してしまって、「アイソトープ+リチウムイオン」のハイブリッドにした方が有望だろう。これ以上静かな軍用潜水艦はできないはずだ。寄港の問題は残るが、万一奪取されても困る秘密じゃないし。

 次。
 Kevin Robinson-Avila 記者による2017-2-15記事「Air Force lab at forefront of microwave, laser defense efforts」。
    装甲トラックに搭載したマイクロ波発生装置。1ギガワットの強力電磁波により、路上爆弾の回路をショートさせ、自爆させてしまう。「マックスパワーシステム」と名付けている。
 ニューメキシコ州アルバカーキ市にあるカートランド空軍基地内で、こんな研究をしている。

 すでに2012年にアフガニスタンへ持ち込んで9ヶ月間、テストしている。
 マックスパワーシステムは 2007年から2012年まで、5000万ドルかけて開発した。いまはその小型化を研究中。

 次。
 『Indiatimes』紙の2017-2-17記事「Fighter Plane F-16 To Be Made In India? US & India Are Discussing The Possibility」。
     米政府とインド政府の間で、F-16の製造工場をインド国内に建設することについて話し合いが持たれている。
 ロックマート社員がインド国内の航空ショーで語った。

 2016-8にロックマートは、テキサス工場の「F-16 ブロック70」の製造ラインをそっくりインドに移設してもいいですよと提案したのである。

 ※ロックマートはこれからF-35に製造資源を集中したいので、店じまいとなるF-16のラインはそっくりインドに転売しても可いという気になっている。これはダッソー社の苦い失敗から学んだものだろう。ダッソーが「ミラージュ2000」のラインをそっくり譲ると言っていれば、MMRCAはとっくのとんまに「ミラージュ2000」に決まっていたのだ。ただし、インド相手の「非核関係」の商談はトントン拍子には進まぬ。その詳しい実態を知りたい人は、今月末に徳間書店から発売される兵頭二十八の新刊を読もう!

消防隊が、「壁ぶちやぶり爆薬」を随意・随時に使用できる法制度を至急、整備せねばなるまい。

 STARS AND STRIPES の2017-2-17記事「Report: Russia suspected in 'fake news' attack on German troops」。
   独『シュピーゲル』誌の報道によれば、ロシアは常套の「フェイク・ニュース」でリトアニア駐留のドイツ軍の評判を悪化させようと工作しつつあり。ネタはいつもながらの「少女レイプ事件」。火の無いところに煙を立てる。
 リトアニアに駐留しているNATO軍は独軍だけではない。が、独軍が最多なので、でっちあげニュースのターゲットとなる。
 NATO軍は、ポーランド、ラトヴィアにも駐留している。ただしそっちは独軍主軸ではない。

 嘘ニュースのコピペ拡散工作はEメールによって一斉になされた。2-14に。

 リトアニア警察が確かめたところ、被害者もなければ、目撃者もなかった。

 次。
 ストラテジーペイジの2017-2-17記事。
  露軍こそチェチェンで三光作戦を絶賛展開中である。

 ローマの格言。敵地を無人の荒野と化してしまうこと。それを平和と呼ぶのだ。

 アサドも、それを応援するロシアも、焦土作戦主義。敵性市民への国連エイド物資搬入は許さない。

 さいしょ、チェチェンが分離独立を唱えたとき、露軍は遠慮がちに西側戦法で鎮圧しようとして失敗した。1994から96にかけて3万5000人は殺してやったがたが。そしていったん撤収。

 ところがイスラムチェチェンが策源となって南ロシアにいろいろ犯罪遠征するものだからモスクワは1999にスペツナズ主体で捲土重来。

 この時点ではロシア系住民は域外に逃れていたので、住民区別の問題には悩まずに済んだ。露軍はコーカサス方面ではイスラム系住民を容赦なく殺して一定の成果をおさめつつある。

 ※宣伝戦の渦中に有益情報を求めようとする者は、英文記事の書き手の「ステイタス」に注意することだ。かつて閣内に列していたのに、その後は鳴かず飛ばず、シンクタンクとか地方大学内でくすぶりつづけ、「リヴォルビング・ドア」をくぐれなくなったロートル研究員。こんなのがゴマンといるのがアメリカだ。そのなかには、中共工作員からのカネに転んで反日記事を英文ネット記事空間にUPするように落ちぶれる者もいるのだ。瞬時にその臭いを嗅ぎ分けられる嗅覚を養って欲しい。

NSAが電話を録音しているのが当然なのに、弁えもなく外国大使と話し込むような男が過去に軍情報の元締めを任されていたとは……。

 Gordon G. Chang 記者による2017-2-15記事「Pyongyang is experienced at begging, borrowing and stealing weapons materials」。
    「北極星2」は「KN-11」ではない、という異説が、複数の専門家から飛び出している。
 じつは中共の「巨浪1」じゃないのか、というわけ。
 ただし、もともと「KN-11」は「巨浪1」と寸法が類似しているのである。
 どちらも二段式だし。

 ひとつハッキリしていることは、北鮮は独自に固体燃料を開発できたはずがない。
 ロシア製かシナ製を参考にしているのだ。イランとパキスタンも疑われる。

 ※CSのサバイバル番組のホスト(ぜったいに寄生虫にやられていると疑われる元SASのイギリス人)とオバマ大統領がアラスカで競演した珍エピソードのとき、大統領は自己位置を特定されてしまわないように携帯電話を持つことを禁じられている、とオバマ自身が語っていた。まあNSAがフリンの阿呆ぶりに愛想を尽かし、大手新聞にリークして指導部から去らしめたのだろう。

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 Malcolm Davis 記者による2017-2-16記事「The RS-28 Sarmat and the Future U.S. Nuclear Triad」。
   このごろのロシアの叫び。新重ICBMの「RS-28」は、テキサス州ぜんぶとかフランス1国ぜんぶの面積を破壊できるのだぞと。しかも南極廻りで発射して届かせられるぞ、と。

 だが米国の両岸にある早期警戒レーダーは、南からのRV飛来も探知できるので、とりあえず、隙は無い。

 米国はレーガン時代に構想したように、地上機動式のICBMを考えざるを得まい。さもないとラーンチオンウォーニングを強いられるから。

 トライアドをディアド(二本足)にまで削減してしまえば、ローンチオンウォーニングのプレッシャーはなくなる。すなわちもうSLBMと、B-21爆撃機×100機だけで行く。

 と同時に米国は、国内の「指導者」セットを敵の第一撃から確実に守れるような備えを構築しておかなくてはいけない。※そのためにB-21を改造してエアフォースワンにするのか。

 次。
 Przemysaw Juraszek記者によるストラテジーペイジの2017-2-16記事。
  2000年に活動休止させた沿岸砲兵大隊1個をスウェーデンは2016後半に復活させた。
 といっても大砲ではない。車載の地対艦ミサイルである。トラック1両に4基、積まれている。そのトラック3台で、1個大隊。

 ミサイルはドイツと共同開発した「RBS15」で、射ち放し式。80年代前半から装備している。いまは最新の「Mk3」型。
 この派生型は、フィンランド、ドイツ、ポーランドの艦艇にも搭載されている。地上目標も狙える。グリペンから空対艦ミサイルとして発射することも可。

 全長4.3m、自重630kg(空対艦)~800kg(地対艦・艦対艦)。
 径500ミリで、レンジは200km強。
 弾頭重量は200kg。

 ※島嶼の波打ち際の味方部隊まで弾薬を無人で送り届けてやる、現代版の「DUKW」のようなロボットは可能だろうか? ひとつハッキリしていることは、「乾舷」が岸から見えてしまっているような低速移動物体は、ATGMの餌食でしかあるまいということ。装軌にするにしろ装輪にするにしろ、無輪の大発型にするにしろ、「乾舷」があったらもうダメだ。どうしたって「半没艇」のコンセプトにする必要があるだろう。荷物が重いから、モーターボートのように「速力」で敵丸をかわすというわけにいかぬ。さりとて乾舷と天板の「装甲防護力」を強化しようとすれば「余裕浮力」の要請と矛盾してしまう。これはデザイン上・コスト上の「負のスパイラル」を約束している。だから結論として「ステルス」にするしかないはずだ。半没艇にすれば、完全なステルスになる。低速でも、みつからなければ安全だ。水際地雷に触れても、無人だから人は溺死しない。敵が厳重に警戒をしている海岸正面では、レーダー反射と赤外線輻射で「囮」になってくれる無人の「発砲スチロール・ボート」でも放てば、敵ATMはそっちに吸引される。最前線の島嶼まで弾薬を推進輸送する任務の安価な無人半没艇は、違法リグを爆破除去するための自爆ロボットにもなってくれるだろう。

軽のパワーではN-Boxが一番だという意見を某若い整備士さんから聞き、更に贅沢に悩みちゅう。5刷もかかったしカネに糸目はつけん!

 島松補給処の見学ツアーに行ってきました。
 なんでツアーがあるのかなと思っていたら、これは募集広報活動の一環のようですね。えっ、いつの間にやら「募集難」かよ!?
 そこでひとつお手伝いしようと思いました。

 北海道でブラック企業に就職してしまい、もっか苦悩中である26歳以下の男女諸君! 
 今日このタイミングなら3月の試験に間に合うから、本日中に最寄りの「地本」(自衛隊の募集機関)へ電話をして、「自衛官になりたいです」と頼んでみ。「奨学金の借金」がある人でも大丈夫。まずは相談することじゃ!

 PKO派遣=かけつけ死 という左翼宣伝のおかげで今まさに「入隊競争率ゼロ」状態なのである。だから、キミが「情報強者」ならばとつぜんに面白い人生が啓けるわけよ。

 そもそも海外派遣は、兵隊(陸士や陸曹)が希望しなければ、行く可能性などゼロなのだ。幹部=将校になると選択の自由がなくなるが、下っ端には、派遣に加わるか加わらないかの選択の自由があるのである。厭なら、ずっと国内勤務なので、災害派遣の心配だけしとりゃええんじゃ。「かけつけ」もへったくれもあるかい。

 したがって、もし今後、日本国内で戦争が起きぬ限り、キミがイスラム軍などと鉄砲で撃ち合う蓋然性は、限りなく少ない。はんたいに、キミの学歴がたとい「中卒」(高校中退)にすぎなかったとしても、二等陸曹になるころには、キミの年収は日本のサラリーマンの全国平均年収を超えることは確実なんである。

 家賃や諸物価の高い東京でならばともかく、北海道では、キミは壮年時の収入と老齢年金の点で「勝ち組」となれる。その年収をもらいつつ「夜学」に通って大卒資格を取ってしまうことも可能。それならば奨学金由来の負債も生じない。それどころか若年時から2年ごとに100万円づつ貯金も増やして行ける。

 このように、天国と地獄は、情報強者か情報弱者かで別れてしまうのだ。
 サヨクと大手マスコミの嘘宣伝を疑って、部内者の口コミ情報をネットで収集せよ!

 まあ、士から曹に昇進したあと、つまり入隊してからだいたい6年以上も後では、九州~沖縄方面への数年間の転勤は必ず命じられるだろう。このシフトについては曹は拒否できない(米ソ冷戦時には逆に九州の陸曹がどんどん北海道に送り込まれてきた。そのまま北海道住民になった者も多い。なお、沖縄でシナ軍や韓国軍と戦争するのが厭だという者は入隊してくれなくていいから)。

 そして曹から三尉への昇進までは目指さないという道を選んだとすると、たぶん54歳で退職になるから、家庭内の粗大ごみになりたくなくば、その直後の再就職のことは早めに計画しておく必要はあるだろうが……。とにかく今日中に電話しなさい。キミが27歳になっちまったら、あるいは来週になったら、このドアは閉じる。

 次。
 Hope Hodge Seck 記者による2017-2-14記事「Marines’ Afghanistan Task Force Will Deploy with Quadcopters」。
  米海兵隊はオフザシェルフのクォッドコプターの採用に傾いている。市街戦用として。たとえば「インスタント・アイ」。メーカーは、フィジカルサイエンセス社。重さ1ポンド。滞空30分。

 海兵隊はこれをすべての小銃分隊に装備させたがっている。状況警戒と脅威監視の用途に。

 空軍がF-35の得た情報を後続の第四世代戦闘機に分けてやるように、海兵隊でも情報環境を「第五世代化」させる。最前線の一分隊の得た敵情を、全中隊、全大隊、全連隊、全旅団で共有できるようにしたい。

 ※米海兵隊の方針はそのまま陸自の方針として押し付けられる流れがあるから、関係者は目が離せませんね。

 次。
 島松で聞いた雑ネタいろいろ。(ソースは部内者とは限りません。)
 MCV=例の「16式」とかいう装輪戦車。あれで内地の陸自の74式TKは全部更新される。

 F-35案件を抱える空自がこのうえにTHAADまでも買うのは三幕の予算配分比率の伝統破壊となるので、とても無理があるが、もし陸自のホーク部隊の一部をTHAADで装備更新させるという「ウルトラC」を使えば、「F-35を空自、イージスを海自、THAADを陸自」というバランスのよい予算配分ができることになる。ホーク部隊もホーク用地も全国にたくさんあるので、抗堪性を発揮しつつ、将来の脅威変動に応じて必要な都市を防禦することもできる。ペトリ基地の少ない空自ではそうはいかぬ。

 105SPは、浮航ができる自走砲だったのに、なんで廃止されてしまったか? とにかく射程が短すぎた。いまどき重迫撃砲でも1万mくらい届くのに、それより短いのでは「対砲兵戦」でやられるだけ。それと、砲兵は「弾薬」の輸送がとにかく大変。SPを離島に送り込むことができても、大量の弾薬を離島に補給するのは生半可なサポート体制では実現しようがない。だから、高性能な155SPだって、対支戦争には使い勝手が悪すぎて出番なし。地対艦誘導弾のような「弾薬」自体の継続推進補給がラクな火器でないと、離島へは持ち込みにくい。

 そこでわたしは考えた。じつは昭和20年の硫黄島攻防でいちばん活躍しているのは、沖合いに浮かんだ改造輸送船にのっけた中迫(107ミリ)なのである。これで、夜間でも島の上の日本兵の移動や集結や展開は、まったく不可能になってしまって、日本兵はひたすら地下洞穴内に逼塞するだけになっちまったのである。

 ならば、重迫もしくは81ミリ軽迫を「半没艇」の中層デッキに搭載し、その半没艇の底には無動力の転輪をとりつけて、ふだんは陸上にウインチで引き揚げて「駐車」させておける装備とすれば、アイテム名目を陸自の「牽引砲」の扱いとできるわけである。もちろん陸地では「牽引」により機動させることもできる。

 半没艇は、離島に侵攻した敵軍のもっている装備では、いくら近くても探知のしようがない。つまり「ステルス」。対戦車ミサイルも対艦ミサイルも、照準のつけようがない。まして、夜間では。

 これで離島をぐるりととりかこみ、砲撃の「キュー」は無人機から出すようにすれば、24時間ひっきりなしに、島の上を火制できるだろう。
 海自や空自の協力が一切得られない最悪の場合でも、この装備があれば、敵による離島の占領を固定化させてしまうおそれはなくなる。
 15Hに投資している場合じゃないと思うのだが、如何だろうか。

異常気象こそが要想定現象となり、「平年並み」こそが異常となる近未来。備えはできているか?

 Michael Peck 記者による2017-2-12記事「Belgium: The Next Missile Defense Superpower?」。
   ベルギーが、大気圏外でロシアのBMを迎撃できる艦載ABMを構想しているという。もし完成すれば、西欧州製としては最初のABMになる。

 それを今の『M』級を更新する予定の次のフリゲート艦から搭載したいという。その艦自体はオランダとの共同開発だ。

 このABMは、アラスカと加州に計44基あるGMD、もしくは、米海軍の33隻のイージス艦から運用しているSM-3の同格品になる。

 ミッドコースでヘッドオン衝突によって迎撃する。RVが大気圏に再突入する20分前のタイミングで。
 ※このニュースを聞いてロシア人はどう思うか。B61爆弾をそのミサイルに搭載し、F-16ではなく、水上艦積載BMによってモスクワに報復する気なのだと考える。これが、ロシアがBMDを忌み嫌う理由だ。

 いまNATOにはどんなBMDがあるか。トルコには米国製の早期警戒レーダー。英国には英国製の早期警戒レーダー。スペインのロタ軍港には米イージス艦が常駐。ポーランドにはイージス・アショアー配備予定。オランダとデンマークには、軍艦のレーダーでBMを見張る計画あり。

 欧州は警戒レーダーは作っても迎撃ミサイルはつくっていなかった。

 資金はあるのか? ベルギーは2030年までに、年に90億ユーロ=100億ドルを国防費に投ずるとしている。
 しかるに米国はGMDについてだけでもこれまでに400億ドルも使ってきたのである。競争になるか?

 ここから考えると、どうもベルギーはSM-3を買う気じゃないか。

 ※もしこの記者の予想が当たるのなら、スタンダードミサイルのパーツを製造している三菱重工&三菱電機にとっては大朗報。アメリカ経由で欧州に売れるなんて理想的じゃないか。もちろん日本はこれからTHAAD(射高150kmに過ぎず、射距離2000km未満の短距離弾道弾にしか対応できぬ。ムスダンすら迎撃できるかあやしく、東風21なら絶対無理)なんていう欠陥不良品を買わされている場合じゃない。スタンダードミサイル系列にもっともっと集中投資することが日本にとってもアメリカにとっても西欧にとっても好ましい。大局的に見れば、日本が欧州を救ってやることになるのだから。

 次。
 ストラテジーペイジ の2017-2-13記事。
  昨年8月いらい、トルコ軍の「レオパルト2A4」戦車はすでに8両がシリアでATMにより撃破された。
 他に、1両の米国製「M70T」もやられた。※M60改のことか?

 トルコはレオ1のときからドイツ製戦車ユーザー。レオ2が冷戦後にダンピング輸出されたので354両も買っている。

 2003のイラクで米軍のM1戦車×4両が、ロシア製の対戦車ミサイル「コルネットE」で擱坐させられている。
 自爆させられたM1もある。敵手にわたさぬよう。

 イラクでは、M2ブラドリーの25ミリ機関砲から発射された劣化ウラン弾が、M1戦車の背面装甲を貫徹してエンジンを破壊したケースがある。仲間撃ちの誤射。※とうぜん、夜間でしょうな。

 RPGはM1に対してほぼ無力だが、唯一、油圧パイプに命中した場合のみ、動けなくしてやることができたという。※ゴルゴ13にとっての耳寄りニュース。

 2005年までにM1戦車は1100両がイラクに持ち込まれ、そのうち7割が戦闘に参加し、1100両のうちの7%は船で米本国へ送り返して修理する必要がある程度のダメージを蒙った。

 90年代デビューのコルネットは射程が5kmもある。自重8.2kg、発射機は19kg。
 メルカバも側面を狙われるとコルネットにやられる。

 2003年から2005年のイラクで、4400人の戦車乗員が戦死している。その三分の二は、ターレット天蓋ハッチから、首もしくは肩より上を出していたことが原因。

 戦車を喪失する原因の第一は、WWIIいらい、地雷と爆弾であるという。※この記者は匿名だがおそらくはイスラエル人。

 トルコがこのたびシリアで喪失したレオ2のうち1両は、自爆トラックにやられた。これが西欧軍ならば戦車回収車ですぐ回収するだけなのだが、トルコ軍にはその能力がなく、戦場に遺棄したか、自爆措置をとった。

 2014年のイラクでは、140両投入された米軍のM1のうち三分の一が大破全損している。

 2010年から2012にかけてイラク政府軍に140両の「SA」型M1が売られている。その一部はISに鹵獲されたので、米軍が航空攻撃によってみんな破壊せねばならなかった。
 イラクに売った140両のうち三分の一以上は、ISの攻撃によって損壊している。イラク軍は戦車をまとめて使わずに、歩兵部隊に分属させて接近戦闘のサポートをさせる。だからISの重火器が届いてしまうのだ。
 ※コルネットは射程が5kmもあるので、米軍も安全な間合いのとりようがないわけだ。主砲射程の外側から飛来するんだから。

 サウジ軍はM1A2Sを数百両、イエメン戦争に投入しているが、やはりシーア派ゲリラによって数両が破壊されている模様である。
 イランは、すくなくとも5両のサウジ戦車が喪失したと報道している。フーチは2両を鹵獲したと主張している。ただしその2両はサウジ空軍が破壊してやったようだ。
 ※サウジ向けM1には劣化ウラン鈑金の中間装甲は入っていない。

『WP』紙に刺されてM・フリンが失脚5秒前なのでトランプ氏もアジア対策どころでなくなり、うわの空会見になりましたな。

 Dave Majumdar 記者による2017-2-11記事「Will the U.S. Navy Build 'Light' Aircraft Carriers (Armed with Stealth Fighters)?」。
     このたびのCSBA提言の注目ポイント。非核動力の5万トン前後級空母=CVLを建造せよ。
 そのCVLを、上陸作戦艦隊ARGと協働させるべし。ロシア軍がバルト三国へ侵入しても、これがあれば海から介入して防げるから。

 ※まさかA-10を艦上機化して海からCASさせようっていうんじゃ……?


 5万トン前後級ということは、ようするに、1991に除籍された『ミッドウェー』〔CV-41=45000トン、1945完成〕と同じサイズである。あれでいいんだ、と。

 重いAEW機であるE-2Dをカタパルトで発射できるというだけでも、意義は大きい。
 ※その小型空母をどうやって地対艦ミサイルから守るのかの、これが説明というわけだろう。SM-6を随伴艦からふんだんに発射させる。

 CSBAの目論見では、CVLにはF-35Bを20機積ませる。
 ※カタパルトもアレスティングワイヤもあるのになぜB型なのか。そんなに収容時の軽油消費を抑えたいのか? F-35ではCAS能力が物足りないのは誰が見てもあきらか。A-10改とすることで初めて筋は通って来る。

いつのまにか雪祭りの「真駒内会場」が無くなっていたでござる。

 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2017-2-10記事「414 Ships, No LCS: MITRE’s Alternative Navy」。
   シンクタンクMITREの提言。米海軍には355隻ではなく414隻必要だ。いまは274隻だが。
 これはその前のCSBAの提言よりもラディカル。

 2シンクタンクで共通の主張もある。
 『アメリカ』型強襲揚陸艦は、非核動力の小型空母にせよ。
 LCSはキャンセルし、新フリゲートを充当しろ。
 マケイン軍事委員長の私案は、CSBA提案の方に近い。

 MITREは、LCSの代わりとしては、ドイツの『F125』型フリゲートが良いとしている。 ※CSBA提案はスウェーデンの沿岸警備艇を推す。どっちも、LCSはどうしようもないという点では完全一致。日本の防衛省と海幕だけが、これからそのLCSを模倣しようとしているのだから、どうしようもなさ二乗倍。

 MITREは、正規空母の建造をスローダウンし、むしろ艦上機の充実に予算を配分するのがマシだとする。使える艦上機が足りていない空母なんて無意味だからだ。機種としては、F-35Cは見込みが無いので「F/A-18 E/Fスーパーホーネット」を増産すべしとする。

 CSBA提案に近い提言は、今日の艦隊があまりにも高額で少数の高性能防空ミサイルに依存しているということ。そこでMITREは主張する。もっとバカスカ発射できるものでなくては防空網は破られる。となったら解法は、5インチ砲を高性能化することしかない。艦砲の初速と射程と終末誘導を劇的に改善して艦対空ミサイル代わりにできなくてはならない……と。

 MITREは、90年代の「アーセナルシップ」の焼き直しも提言している。マガジンシップ=「MG(X)」――弾庫艦――と称す。この安価で大量の軍艦を、ハイローミックスのローとせよ、と。

 さらにMITREの提案。パーシング・ミサイルを海軍用に復活させよと。もちろん非核で。
 ※日本にはロクな軍事シンクタンクがないので、兵頭二十八が「ひとりシンクタンク」の機能を果たしているというのが現状だ。米国のシンクタンクよりも早く、ソロプレイヤーとしてこの提案をした『日本の武器で滅びる中華人民共和国』、まだ読んでいない人は急いでお確かめください。

 センサーとなる高額軍艦(少数)と、弾庫となる低額軍艦(多数)を、ハイローミックスすればいいのだ。後者は、艦載パーシング・ミサイルと、超長射程5インチ法で武装。前者はイージス。

 ※この考え方は「空軍」でも有効である。「ステルス戦闘機」というのは概念矛盾なのである。戦闘ではなく、センス&キュー出し仕事に限定するのなら、純国産の低出力(低赤外線・良燃費)エンジン搭載で、垂直尾翼を廃した真のステルス・センサー機(複座のミニAWACS)ができる。それとアーセナル・プレーン(第四世代戦闘機、もしくはミサイルキャリアー化したP-1改)を組み合わせるのが、日本の最善解だ。今月25日発売の徳間書店の新刊で、詳しく論じています。「複座零戦」の話は、この提案のための予備論文だったのだ。わかってくれたかい?

 MITREいわく。年にSSN×2隻の建造ペースは維持しつつ、AIP潜も米国は量産するべきである、と。
 ※これは政治的ゲーム・チェンジャーになるね。いちばん大弱りなのは台湾だろう。潜水艦を調達しない理由がなくなっちまうので。しかしトランプにとっては追い風提案だ。西独型の潜水艦のライセンス生産ならば、バカでかい乾ドックは必要じゃないから、中小造船所が参入できる。このMITREはドイツ企業の「トロイの馬」だと私は直感する。

 米海軍は、古い『LSD』級揚陸艦を、新揚陸艦『L(X)R』(サンアントニオ型を小型化した感じ)で代替せんとしている。しかしMITREは、そんなものよりも、カタマラン船形のEFT(JHSV)か、『ワトソン』型改の方がマシだと主張する。

 駆逐艦と巡洋艦だけを数えると、今、米海軍には84隻ある。米海軍はそれを104隻にしたいと言っている(それも含めて355隻)。CSBA提案は、74隻にしたいと言っている。MITREは、84隻にせよというのである。

 フリゲート艦は、海軍は52隻にしたいと言い、MITREは46隻にせよといい、CSBAは71隻にせよという。

 CSBAはコルベット級についてはMITREよりも「無人艦」により期待を寄せている。
 ※久々に「さっぽろ雪祭り」の大通会場を見物した。「たくぎん」が消滅する前の豪華絢爛さは、もう無いのだね……。ウチのこどもは縁日気分で「たこやき」喰いツアーをしていたが、わたしゃこれじゃいかんと思いましただよ。三沢の米海軍が律儀に出展していた小品が眼に留まりました。

 次。
 GILLIAN WONG 記者による2017-2-11記事「Pentagon says US, Chinese air encounter unintentional」。
  中共のAWACS機がスカボロ礁近くまで来ていて、P-3Cの直前を距離1000フィートで横切ったので、P-3Cは即座旋回を余儀なくされた。
 ※米政府は火消ししたいようだが、どう説明したところで、これは「挑発」だろ?

2月8日に加州から「ミニットマン3」の試射。これは中共に対する「脅し返し」だ。

 Anthony Capaccio 記者による2017-2-8記事「Lockheed Hit by U.S. Air Force for More GPS III Satellite Flaws」。
      ロックマートが「GPS III」のキーコンポーネンツを下請け発注していたハリス社がイカサマ試験結果を上げていた。ロックマートの管理能力が、空軍の宇宙計画部長の少将から問われている。

 計画では今月末に初号機(ぜんぶで32機予定)を納品することになっていたのに、34ヶ月もの遅延が確定した。新GPS衛星1機の値段は5億2800万ドルである。

 空軍は、まだ発注を出していない最後の22機については、ボーイングやノースロップグラマンとの競争入札にした方がいいかも、と思っている。

 問題の部品とは、セラミック・キャパシターである。

 このキャパシタが、故障を起こす前にどのくらいの時間、機能してくれるかのテストを、ハリス社は2010年までに了えていなくてはならなかった。

 空軍が承知し得たところでは、2016-6から2016-10までハリス社が実施した追試は、最初の3機の衛星に組み込まれて調子がよくないキャパシタとは別なキャパシタ製品を使ったインチキであった。

 この衛星、超過コストが発生した場合は国防総省がそれを負担しなければならないという契約になっている。

 次。
 ストラテジーペイジの2017-2-9記事。
  韓国が90発の空対地巡航ミサイル「トーラス」をドイツに追加発注した。射程500kmのバンカーバスター。
 すでに170発が2013年に発注されており、納品は2016後半から始まっている。それに追加で。

 ※500kmという射程は韓国領空から北京までは届かないが上海には届き、山東半島などはまるまるカバーできる。竹島の手前から発射しても若狭湾の原発建屋の燃料貯蔵プールを破壊して西日本を「フクシマ化」してしまえる。隣のキチガイ国がこんな凶器を買い溜めているのに日本のASMが射程100km台でいいわけないだろ。

 トーラスは独・端が共同開発した。ドイツとスペインでは2005年からトーネイドやEF-18に搭載されている。自重1.4トン、高度35mの超低空を飛翔する時速は1100km。

 もともと韓国は40発の米国製SLAM-ERを買っていた。射程200km。
 しかし韓国はこの射程では満足せず、もっと長射程のJASSM巡航ミサイルの輸入を希望したのだが、ペンタゴンが承諾しなかった。

 ※古い記事で補足すると、かたやポーランドは米国からJASSM-ER を70発も買うオーダーができている。まず2014に40発のJASSMを発注し、それは2016から納品が始まっている。こいつは射程400km。母機はF-16だ。単価2万6000ドルのJDAMを滑空させるのが、単価46万ドルのJSOWであるが、それを400kmまで射程延長したのがJASSMで、単価は100万ドル。射程延伸のER型は100万ドル以上とされる。倍額にはならない。JASSMは、重さ2300ポンド=1045kg。1000ポンドのJDAM+ロケットモーター。だから実質は500kg爆弾。米空軍は、シナ本土空爆の準備としてJASSMを5000発、欲しいと思っている。しかし議会は渋い。なにせ、同じ重さのJDAMの10倍の単価になっちまうのだ。直径の小さい、250ポンドの地下貫徹爆弾のGPS誘導型は、単価7万5000ドルで済む。とはいえ、防空力の充実している大面積の国を空爆するには、JASSMしかない。JASSMは終末誘導は赤外線画像により、標的を3m以上外すことはない。外形はステルスになっている。

 しょうがないので韓国はドイツからトーラスを買うことに決めた。ただし米国製のストライクイーグルからトーラスを運用するためには、母機に相当の改造をしなければならず、余計な費用が必要になるが、それでもかまわぬとした。韓国軍のストライクイーグルからトーラスを運用するための工事は2017半ばまで完了しない。

 トーラスの弾頭は500kg弱で、やはりバンカーバスター機能がある。トーラスの単価は1200万ドルである。
 トーラスは地形マップを元に地形照合しながら飛び、最後の段階では赤外線イメージで目標建物に突っ込む。誤差3m。コンクリートを6m侵徹できる。

 ※2017-1月24日に満州の「東風41」映像報道でトランプ新政権に「初脅し」をかけた中共に対して、はたしてトランプ政権はどのような「初仕返し」をしてみせてくれるのかを注目していたところ、2月8日にクェゼリン海域に模擬RVを着弾させた。それをやると同時に習近平に対し紳士的調子の書簡を与えた。すべてタイミング計算されたシンクロ演出だ。24日の報告を受けてこれらを決心して計画してICBM発射を実行するまでにトランプチームは2週間かかったわけである。さて次の北京の脅しは何で来るか? こうした米支核対決の裏事情を知りたい人は、今好評発売中の『日本の武器で滅びる中華人民共和国』(講談社)を読んでくれい!

今月末の徳間書店からの新刊にご期待ください! 講談社+α新書には4刷がかかりました。これでクルマ決定。

 ストラテジーペイジの2017-2-8記事。
  ノルウェーは、手持ちの56機のF-16Cを、転売ではなくスクラップにすることに決めた。2022年までに。

 これは52機のF-35でリプレイスするつもり。最初の1機は2017後半に届く。
 その52機は2021年に揃うので、F-16はいらなくなる。

 F-35のメンテナンス状態監視用の米本国直結ソフトをALIS (Autonomic Logistics Information System) という。
 イスラエルだけはALISを拒絶するつもり。

 ALISが集めたデータはぜんぶ米国へ直送されてしまう。
 しかしそのデータの中には、使用国において、法的に保護されている秘密情報もあるはずなのである。

 ロックマートはF-35の部品を、全米の435区の連邦下院議員選挙区内の工場にわざと分散的に下請け生産させている。議員たちがロックマートには逆らえないようにするために。
 ※企業献金を受けていないトランプだけがロックマートに高飛車に出られる。

 ALISがこれらの本当は必要もない小工場にまでネット接続されているということは、そのうちの最も弱い端末を敵国スパイがハックできれば、全世界のF-35を危険に曝してやることができるわけである。そのデータ通信は、同盟国軍のF-35の機内コンピュータに常時アクセス可能なので。

 このシステムがハッキングに脆弱であることは事前に分っていたが、政治が優先されて、残されている。

 敵国は、このネットに侵入できれば、世界のすべてのF-35が、1機1機、過去に何をしてきたか、この次に何をしようとしているのかも、把握できてしまうのである。

 欧州でもノルウェーくらいF-16をよく使ってきた軍隊は無い。1機の平均飛行時間はすでに1万時間を超えているのである。

 現在、ノルウェー軍のF-16は、年に140時間、平均して飛んでいる。
 これは、中古商品とする場合に、ノルウェーのF-16には魅力はないことを意味する。日々年々のメンテ費用が、かかりすぎる段階にさしかかっているからだ。

 いくらC/D型でも、こんなものをセコハン市場に出しても買い手はつかない。世界には、もっと蓄積飛行時間が少ないF-16がたくさん売りに出されているから。

 ノルウェーが最初に72機のF-16AM型を買ったのは1980年代前半。オランダ国内でライセンス生産された機体である。それを90年代後半にブロック50にアップデートした。

 いまから10年前、ノルウェー空軍は、そのF-16Cの主翼を総取っ換えしないと2020年代までは飛ばせられないと察した。
 その主翼更新工事の途中で、機体の他の部分にもいろいろとマズい疲労が蓄積されていることが発見されている。

 中古を売るにしても、それには米政府からの正式許可が必要なのだ。米国の技術満載だから。またノルウェーの政治家は堕落しておらず、買ってくれるならば誰にでも売ろうということには決してならない。腐っていないまともな国家だけを選ぶ。となるとますます商談の見込みは薄い。

 ソ連はミグ21を1万機以上製造した。米国はF-4を5000機以上製造した。しかし冷戦が終わると、戦闘機需要は激減した。そんななかでF-16は500機近く量産され、24ヵ国に採用された。

 いまある国がF-35を買おうと思ったら1機につき1億ドルかかる。しかしF-16ならば、その半額で、アムラームによる空戦をさせられる。

 ※ハスラーがいいと思っていたが、ワゴンRの新型の燃費がまたイイので悩みちゅう……。ちなみに北海道では4×4はデフォルト必須です。またこれからの福祉時代に2ドアはあり得ない。だから泣く泣くジムニーは除外。18歳で免許取ったときからの夢だったけど……。

重さ200グラム超でも、テザリング運用するマルチコプターなら規制適用外とせぬと、日本企業は大市場を逃すだろう。

 Harriet Agerholm 記者の記事「British warships are ‘so noisy’ Russian submarines can hear them 100 miles away」。
   英国防省で要職についていたことのあるクリス・パリー海軍少将が『サンディ・タイムズ』紙に暴露。
 英国の『45型』駆逐艦は、エンジンの振動が大きすぎて、その騒音はおそらく遥か遠くのロシア潜水艦にまで丸聴こえである。
 艦長たちは、すべてのハッチに木製の楔を咬ませて、振動騒音を抑制せねばならないほどなのだ。

 冷戦期を通じて軍艦のノイズ軽減は最も注力する価値がある技術目標のひとつなのに、イギリス人はそれをすっかり忘れてしまっているというわけだ。

 『45型』は2009から就役開始している。今や、ディーゼル発電機を交換せねばならない。それには船の横腹に大穴を開ける工事が必要だが、その費用として10億ポンド、工期は9年もかかりそうだ。

 英国防省のいいわけ。この艦は防空巡洋艦であるから、音響ステルス性は重視しなくてもよかったのだ、と。

 2005年にアフガニスタンでの必要が叫ばれた英陸軍の「ワッチドッグ」無人偵察機×54機。12億ポンドをかけて、今ようやく就役?
 ※英国もドローン開発には理想的とは言えぬ厳重規制国なのだ。それにつけてもクォッドコプターの玩具を最初に完成したフランス人は偉いよ。自然界の飛翔生物に全く似ていないんだから。さすがはデカルトの生国。

 次。
 Hemal Shah 記者による2017-2-4記事「The US-India-Japan Trilateral: Economic Foundation for a Grand Strategy」。
   日本とインドと米国をあわせると、世界人口の25%、そして世界GDPの35%になるのである。

 三国間の貿易額は4000億ドル。ところが米支の2国間貿易は、それだけで6600億ドルである。

 これではいけないので、インドと米国は、2国間の将来の貿易額として1000億ドル~5000億ドルといった目標を設定すべきである。
 米印首脳会談は、今年の夏にデリーで予定されている。

 日印間貿易も、いまは150億ドル前後だが、もっと増やさねばならない。
 日本はデリーとムンバイの間に工業地帯を開発してやった。ここに米企業が来るべきだ。
 ムンバイとアーメダバード間の高速鉄道は日本が受注した?

 ※インド最大の癌は低カースト向けの小学校教育が腐り果てていること。これをなんとかしないかぎり人々の幸せなどない。そこに投資した者はインドで聖人になれるだろう。あれだけ人口があれば、すべての貧村に1人ぐらい、天才的児童がみつかるはずだ。あくまで低カースト対象に、それをピックアップして特待教育を施せ。それを日本の私企業がやれ。場所によってはその学校はイスラムテロの襲撃目標にもなるから、要塞の中に築かれねばならない。

 次。
 記者不明記事「Australian army chief to meet Indonesian military leaders after spat」。
  インドネシア国軍のことはTNIという。

 豪軍内に、インドネシア語習得コースがあるのだが、そのテキストの中になんともまずい記述があることが昨年、インドネシア人にバレてしまい、両軍関係は冷え切っている。

 具体的には、東チモールが心配だとか、インドネシアのパプア領は分離独立すべきであるとか、インドネシアの独立原則である「パンカシラ」に対する嘲笑だ。
 さすがに豪軍はこの騒ぎいらい、その教材の使用を停止させている。

 東チモールでインドネシアの特殊部隊が非イスラム系住民の弾圧をやっていると豪州政府は1999に非難し、それいらい、両軍の合同演習もストップしている。

Militia を組織して某州空港を取り囲めという grass roots が沸いてくる予感……。アメリカで内戦じゃ~~!

 Sebastien Roblin 記者による2017-2-4記事「Russia's IL-2 Sturmovik 'Flying Tank'」。

 陸軍の電撃戦に直協する攻撃機の先鞭をつけたのはユンカース87シュトゥーカである。しかし低速で、地上火器から射たれやすい。そこでセルゲイ・イリューシンは、装甲された対地直協機を考えた。シュトゥルモヴィクである。

 ただし鋼鈑をボルトで貼り付るという装甲ではなかった。座席より前方のバイタルパーツ(エンジン、ラジエター、燃料タンク)を囲むモノコックボディそのものをスチール鈑でこしらえ、他の部分、すなわちボディの後半部や主翼は木材合板としたのだ。

 試作された単座の「イリューシン2」は、自重1万ポンド弱になった。シュトゥカが7000ポンドだから、ずいぶん重い。携行できる爆弾の重さはシュトゥカと変わらぬ1100ポンド。速力はややシュトゥカを上回った。
 固定武装は20ミリ機関砲と7.62ミリ機関銃を2門づつ。
 コクピット周りの鋼鈑厚は5ミリから12ミリ。
 キャノピーの防弾ガラスは、厚さが6センチもあった。

 イリューシン2はバルバロッサ作戦の緒戦(1941-6)から投入されている。すぐさま、それが小火器AAに対しては万全であることが知られた。

 ただしドイツの戦闘機に後方から射たれたときに、どうにもならなかった。シュトゥルモヴィクは、10回出撃するごとに1機喪失するという損害率だったが、1943年にはやや向上し、26回出撃するごとに1機喪失するペースになった。

 最前線にあったソ連第四飛行連隊の65機のシュトゥルモヴィクのうち55機は最初の1ヵ月で消えた。それから2ヵ月かけてイリューシンの工場はウラル山地まで疎開。その間、生産は止まった。

 WWII中に6万6000機もの「イリューシン2」が作られた。過去、これよりたくさん製造された航空機は「セスナ172」だけである。軍用機では、歴代世界第一位なのだ。

 スターリンは、前線パイロットから、シュトゥルモヴィクを複座にして戦闘機に対し自衛できるようにして欲しいという手紙を受け取ると、それを実施させた。
 これが「イリューシン2M」で、1942から製造されている。

 旋回機関銃は単装のUBT 12.7ミリだった。
 同時に、主翼の20ミリは23ミリへ強化された。この機関砲は初速も20ミリより大である。
 シュトゥルモヴィク用の機関砲としては複数の候補銃が試されている。そのひとつを設計し、不採用となったヤコフ・タウビン技師は、「劣悪な兵器を製造させようと企んだ罪」により、銃殺された。

 シュトゥルモヴィクの後部ガナーの死亡率は、パイロットの4倍であった。後席には防弾鈑が無かったのだ。
 また、全重が増えたことで速力も落ちている。

 イリューシン2のパイロットの中から複数の「エース」が出た。ドイツの低速の輸送機、爆撃機、連絡偵察機などを撃墜することができたからだ。

 なにせ6万機だから、女のパイロットも珍しくはなかった。アンナ・ティモフェイェワ・エゴロワは243回出撃して、1944-8にAAで撃墜された。生きて捕虜になったので、対敵通牒の嫌疑をかけられている。

 スターリングラードに対する独軍の経空補給がうまくいかなかったのは、シュトゥルモビクのせいだ。72機の輸送機がスカルスク飛行場で駐機中に破壊された。空中で撃墜された輸送機も多い。

 シュトゥルモヴィクは82ミリ径ロケット弾×8発、もしくは132ミリ径ロケット弾×4発も吊るしたこともあるが、これらは弾道がばらけすぎるので効果は乏しかった。
 それよりも「PTAB」が著効があった。これは3ポンドの成形炸薬弾子を200個、翼下から撒布する装置で、長辺70m×短辺15mの地域内の敵AFVを破壊できた。

 37ミリ機関砲(15発弾倉)×2門を吊るしたタイプは、3500機だけ製造された。あまりにも命中精度が悪いので、これはダメだと分かって量産は打ち切られた。
 ※ドイツの場合は超低速で急降下というところがミソだったのだろうね。イリューシンは緩降下だから、薄い天板でもはじかれやすい。その違いに気付くのが遅れた。

 クルスクでは、イリューシン2の編隊は、戦場上空で環を画いてロイタリングするようにした。こうすれば互いに後方をカバーできるのでドイツの戦闘機に食われずに済む。地上に攻撃目標を見つけたら、その環からいちどに1機づつ飛び出して攻撃し、すぐまた環に復帰するようにした。

 クルスクにおけるシュトゥルモヴィクの戦果報告は当てにならない。ドイツ第3機甲師団と第17機甲師団は、それぞれ90両、67両の戦車を擁していただけなのに、シュトゥルモヴィクのパイロットたちは、それぞれ270両と240両を破壊したとフカしている。

 WWII中の航空兵による戦車撃破報告は、世界中、どこでも大げさであった。地上から確認されているところによると、すべての戦車の損害のうち、航空機によるものは、1割未満だった。

 ある推測統計によれば、ドイツの戦車を1両やっつけるまでに、イリューシン2は、5機から10機、損なわれたという。単価は航空機の方が高いのだから、困ったもんだろう。

 1943年に、「イリューシン2M3」が仕上がった。やっと、後席銃手のために厚さ13ミリの防弾鈑が設けられた。主翼には15度の後退角がつけられて、後席増設によって後方にずれて狂ったままであった重心にマッチさせた。これでようやく、パイロットの操縦はマシになった。
 エンジンもAM38からAM-38Fに強化された。

 ベルリンをめぐる4日間の戦いには、数千機のイリューシン2に、全金属製の「イリューシン10」も150機加わった。外見は類似するが、空力的にもっと洗練されており、エンジンもAM-42で強力、したがって高速であった。「イリューシン10」は、1954年まで量産されている。
 ※朝鮮戦争では全く活躍できずに、もはやこのコンセプトでは役に立たないことが理解されてしまったため、休戦と同時に製造中止。

 ソ連の記録では、WWII中に戦闘で失われたイリューシン2は、1万1000機だったという。しかし共産圏では「嘘2倍」の原則があるから、じっさいは2万2000機だったとも疑える。

 シュトゥルモヴィクはWWII後に、モンゴル、ユーゴスラビア、ポーランドにも供与されている。

 朝鮮戦争の緒戦では「イリューシン10」が93機投入されたものの、米軍機によって70機以上が撃墜/地上撃破されてしまうと、以後、二度と戦場には姿を現していない。

 中共は1972年まで254機の「イリューシン10」を持っていた。1955年には金門島を、1958年にはチベットを爆撃している。

隣の国を滅ぼす作戦を書いた本が3万部も売れるとは、日本もまだ捨てたものじゃない!

 Ashley O’Keefe 記者による2017-2-1記事「Sea Control 127 ―― Dr. Tom Fedyszyn on Russian Navy Ops, Acquisition, and Doctrine」。
  ※以下、Fedyszyn 教授による講演のトランスクリプションの概要。

 ロシア潜水艦の活動は、過去25年間で最大になっている。今。
 2001年から2003年までのあいだ、ロシア潜は大西洋には1隻も無かったのに。
 現在、全世界で、年間に延べ「1500・隻×日」のロシア潜水艦の外洋活動が確認されている。

 『クズネツォフ提督』号について。こうした空母を含めたロシアの巨艦建造技術は、伝統的に、悪い。
 学校の通知表で言うならば「D」から「Dマイナス」の水準だ。

 ロシアのマスコミは、20年前は自由に近かった。今はもはや自由ではない。プーチンのプロパガンダツールとして統制されている。

 プーチンは行政官としては失格である。プーチンはロシアGDPの右肩下がりをずっと止められないでいるからだ。ロシアのあらゆる分野で予算が緊縮されている。
 地方自治体の予算が、半額カット。
 年金受給者の年金額が、半額カット。
 そんな中、唯一、海軍予算だけがカットされていない。しかしロシア経済が回復しなかったら、海軍予算も早晩、カットされるはずだ。

 ロシア空母は、対内的にだけ、ものすごく意義がある。その遠洋活動がロシア国内のプレスで宣伝されることにより、ロシア国民が喜ぶのだ。それがロシア空母の唯一の効能である。

 だから、プーチンは軍艦好き、海軍大好きである。

 じっさいには、シリア沖で、公称定数である艦上機数のわずかに四分の一が、かろうじて発着艦したにすぎない。そもそも積んでいった数が、公称定数の半分(20~25機)だったのだ。そのうちの2機がシリア沖で海中に墜落している。
 しかしロシア国内では、『クズネツォフ』がシリア空爆に大活躍したと報道されていて、ロシア国民はその大本営発表を聞いて喜んでいる。したがってプーチン先生にとっては「A+」の評価となる。

 同空母が北海を南下して地中海に入る間、ずっと英海軍の4杯の駆逐艦が追躡監視していた。異常な黒煙や白煙が出る様子も逐一、英国では、報道されている。

 ロシアからの兵器輸出は、ロシア経済の分母が小さいために、彼らにとっての意味は大きい。今月はじめ、『シュトーム23000E』とかいう新型空母を建造してインドに売り込むという話が『ディフェンスニューズ』で報じられた。

 こうしたセールス活動の一環としても、『クズネツォフ』を実働させる必要があるのである。シリア沖の映像とプレスリリースが、生きた販促展示となるのだ。こんな技術を持っているんですよ、っていうね。インド人に見せているのである。

 インド海軍の七割は、ロシア製の輸入品である。

 モスクワには米軍士官よりもおおぜいのインド海軍士官がいる。90年代に、わたしは彼らに尋ねたことがある。なぜロシア製を買うのかと。ロシア製の品質に問題があることはインド人もよく承知していた。だが、ロシアは米国と違って高度軍事技術の輸出にいちいちうるさいことを言わない。しかも、限られた予算で、十分に調達できるのが、ロシア製なのである。

 ロシアからインドに売られたスキージャンプ型空母『ヴィクラマディティヤ』は納期を4年もオーバーし、コストは3倍に膨れ上がった。それでも、インドが買える空母はロシア製だけだから、しかたがないのである……と、インド人士官たちが異口同音に答えてくれた。

 とはいえインドは今、純国産の原子力空母も建造中だから、もしこれがうまく行けば、ロシア造船界にとってはバッドニュースとなる。ただし、竣工がおそろしく先になることは、既往から推して確実だが。

 『シュトルム』型空母を3隻以上建造するなどといったロシア人の話はフカシだ。6万5000トンをいちどに建造できるドックはないので、2箇所で半分づつ建造してそれを最後にひとつに溶接しなければならない。今のロシアの造船技術ではまず無理である。
 しかも、例によって、主機を核にするのか非核にするのか、それが定まっていない。核にするならフラットデッキ空母にできるが、非核ならスキージャンプだ。主機が定まらないでは上構デザインも決まらないし、中層以下の甲板に納めるカタパルト用のスチーム設備も何も決められない。

 ロシア海軍は海洋ドクトリンを更改する。前回は2015年、その前は2001年だった。

 2001年版ドクトリンは、あきらかに、海軍将官が草案に関与させられていなかった。
 通商と観光業とエネルギー産業の役人がほとんどドラフトをまとめてしまい、最後の仕上げで海軍がちょこっとだけ意見を訊かれたのだとわかるようなつくりだった。

 しかし2015版海洋ドクトリンは、プーチンがフリゲート艦『ゴルシコフ提督』の上級士官室内で署名しているところがテレビで宣伝されている。場所はカリニングラード軍港内。その場には軍関係の高官しか立ち会っていなかった。

 このドクトリンにはとんでもないことがいろいろ宣言されている。まず、ロシア海軍のミッションは、北極海で他国の軍艦には自由に活動をさせないことであると。
 NATOはロシアの筆頭脅威であり、NATO海軍がロシア本土に接近しないようにロシア海軍を大西洋に展開する、と。
 また、地中海にロシアの小艦隊を常在させねばならぬ、とも。

 全編、「NATOの脅威」ばかりだった。太平洋方面に関しては、中共やインドの海軍と良い関係を築くということしか書いてない。

 回顧すれば、ワシが『ウィリアム・V・プラット』の艦長であった1989年に、最後の露艦が地中海から去っていくのを見送ったものだ。これがソ連のトリックではないと分った後、わが艦隊司令官は麾下艦長たちに訊ねた。おれたちはこれから何をすればいいんだ、と。ワシは提案した。「15の港に親善訪問して廻るというのはどうです?」。誰もそれ以上の名案は出せなかったよ。ラヴトレインならぬラヴボートの巡航が、こうして決まったのだ。

 決して馬鹿にしているわけではないが、ロシアは「大きなナイジェリア」なのである。
 ロシア経済は、国際エネルギー価格に依存している。

 2008に、西側では無名のセルドュコフが国防相に任命された。彼はロシア海軍からは感謝されている。装備調達費の4割を海軍建設に回してくれたから。
 セルデュコフの大改革は、徴兵は艦隊に勤務させないと決めたことだった。艦内厨房や、海軍基地には、まだ徴兵がいる。しかし他の分隊の水兵は志願兵だけとした。冷戦期のソ連水兵は文盲に近かった。それでは近代戦はできないと彼は認識している。

 どん底の2001年頃、フリゲート1隻つくるのにロシアの造船所は14年も必要とした。冗談ではなく。今は5~6年で竣工できるようになった。

 国際油価が上がって懐が暖かくなると、ロシアはまずSSBNに投資する。
 『ボーレイ』級(955型)SSBNはイイ線を行っている。
 いま、3隻が就役していて、5隻は建造中/計画中だ。

 ただし、プラットフォームができているのに、ミサイルができていない。SLBMブルヴァの固体燃料がダメなのだ。試射は、失敗の連続だった。
 しかし現在では、半数が成功するところまで来ている。

 『デルタ3』『デルタ4』『タイフーン』も少数あるが、いずれも信頼できぬSSBNでしかない。

 SSNに関しては、まだまだ静粛性において、ロサンゼルス級やヴァジニア級には追いつけていない。

 昨年、カスピ海からミサイル艇が巡航ミサイル「カリブル」を発射した。1000トンの『ブヤン』型に8基搭載できる。それが1500海里も飛翔する。26発を射ち、途中で落下したのが3発だけ。あとは目的地まで到達した。これは大したものだ。

 プラットフォームは他にもあった。黒海に配備されている『キロ』型。これが地中海まで出てきて、そこからも「カリブル」を放ったのだ。

 プーチンは、海軍や軍艦が好きだと考えられる。それはクールなのだ。

 ロシアからアサドへの補給物資は99%が、黒海を発してタルトゥス港に入るルート。そのシーレーンをプーチンはロシア海軍に確保させている。

 米外交団がキューバで話し合っているときにも、プーチンは巡洋艦をハバナ港に寄港させた。
 ロシア海軍は、制海海軍でもないし、接近拒否海軍でもない。
 しかし、黒海、バルト海、大西洋では、手ごわい敵手である。特にロシア本土の海岸線に近いところならば。

 ※今月末には徳間書店から、インドとロシアの間の兵器ビジネスを詳しく取り上げた面白い本が出ます。同書では久々に、今後の日本の国産軍用機の展望についても語らせていただきます。乞うご期待。

疑わしきは爆殺――ファイナルエクスプロージョン

 ストラテジーペイジの2017-1-31記事。
  メキシコ政府は5000万ドルを投じて弁護士たちを雇って、米国内の不法滞在メキシコ人集団をサポートさせる。

 2016年だけで、米国内に違法に住み着いているメキシコ人たちは、250億ドルもの外貨をメキシコへ送金してくれている。なんとメキシコ原油の輸出金額よりも巨額なのだ。これを守るために政府として5000万ドルくらい出すのは当然のことである。

 在米不法メキシコ人たちからのメキシコ本国への送金額は、2013年には220億ドルだったが年々増えており、2017年には280億ドルになるだろうと見積もられている。トランプが禁止しない限りは。

 メキシコ国内の失業率が高いので、不法移民の北米への送り出しを幇助することは、多くのメキシコ政治家にとっての公然たる「仕事」になっている。彼らは今ではそれは「権利」だとまで思っている。

 メキシコの領土そのものが、それよりも南にある中米諸国からの不法移民の通り道となっている。これら中米不法移民はメキシコを経由して北米へ入ろうとする。それをメキシコ政府は黙認してきた。ところが、メキシコ国内の犯罪組織が、これら通り抜け移民たちをあまりに堂々と襲撃するようになったので、政府として知らんぷりもできなくなってきた。

 メキシコ政府が中米からの不法移民を排除しようとする法律の過酷さは、とっくの昔から、トランプ以上である。
 他方でメキシコ南部国境の警察官たちは、中米不法移民から賄賂を受け取って入国をめこぼししている。

 メキシコの石油産業は国有化されている。その国営企業をペメックスという。ところが、この会社を通さずに勝手にメキシコ原油を米国へ売るメキシコ人犯罪組織がたくさんある。
 23社の米国企業がそれを承知で買っているとして、ぺメックスは提訴していたけれども、2016-12に敗訴が確定した。
 「それが盗品とは知らなかった」という主張が認められた。

 メキシコ通貨ペソはドルに対して価値が下がり続けている。しかも、政府が油価を上げるために原油生産量を絞ったので、庶民の消費する自動車燃料代は高騰。常食のトルティーヤすらも、原料の値上がりが小売価に反映されて、家計を圧迫中である。
 各地でガソリンスタンド襲撃が起きている。また、テキサス州のエルパソに通じる国境の橋を暴徒が封鎖して、メキシコ石油をメキシコ市場で放出しろと要求したりしている。
 ※沙漠しかないところなのに、パイプラインで越境させていないのだから驚きだ。ISかよ!?

 台湾海軍保有の博物館級潜水艦2隻のうち『カットラス』について、台湾政府は1900万ドルを投じてリファービッシュし、なんと2026年まで現役で使うと発表した。1945年の建造だから、2026年には81年選手である。

 ※マンガの世界ではなく、これが現実である。台湾がいかに信用してはならぬ国なのかについては『日本の武器で滅びる中華人民共和国』で説き尽くした。これら台湾海軍の「ナンチャッテ潜水艦」の真実もそこに記述してある。バカ右翼はいくら事実をつきつけられても思い込みを曲げないから、読まなくていいよ。ちなみに三刷がかかっています。

 『カットラス』は、1900トンしかないのに乗員は84名必要。
 水上では33km/時 出せるが水中では29km/時 しか出せないという、大時代な艦型。
 7km/時の微速ならば連続48時間、潜っていられるというのだが……。

 オランダ製の2500トン×2隻は、200人の乗員で動かしている。この乗員たちのモラールは最低に落ちている。
 ※艦長・士官と兵曹・水兵の間に相互の信頼関係がない。その理由も『日本の武器で滅びる中華人民共和国』で解説しました。あたりまえのことなんですけどね。そのあたりまえの情報が、バカ右翼の耳には入らないらしい。

 2011年に台湾は、中共からの経済制裁の脅しに屈しない、ディーゼル電池式潜水艦のサプライヤーはどこにあるか、調査した。そして米国の造船所にはそれが可能であるという結論を得ている。

 欧州企業は、潜水艦そのものは売れないが、こっそりと、部品や、技術助言や訓練はしてやれる。もちろん有料で。

「読書余論」 2017年2月25日配信号 の 内容予告

▼筑摩書房『世界文学大系65 中世文学集』S37
 佐藤輝夫tr.「ローランの歌」。騎士道と武士道の違いを知るためには11~12世紀に作られたこの武勲詩を読まねばならぬ。
 史実では、敵はイスラム教徒軍ではなく、ピレネーのバスク人。しかも合戦は夜襲であった。ローランらは戦死し、シャルルは懲罰作戦を実行できなかった。

 欧州ではオリーブの小枝が古代から和平と降服のしるし。白旗ではなかった。

▼カレル・ヴァン・ウォルフレン『日本/権力構造の謎』1994 早川文庫
 執筆は1988になされ、ハードカバー訳刊は1990だった。
 戦前と戦後の日本官僚は連続していると初めてチャルマーズ・ジョンソンの『通産省と日本の奇跡』が指摘。

 零細企業は、不景気のショックを、大企業にかわって吸収する役目を果たしている。そのため、日本では企業倒産率が高い。

 日本の企業内労働組合は、非正規社員は、何年勤続していても、組合に入れてやらない。

 筆者は早稲田大学で4年間教えた。政経学部の学生はほとんど何も勉強しない。それでも講義に出席する限りは単位を与えなさいというのが大学の指示事項であった。
 ※今日、大学生は偏差値を問わず「貧困世代」なのだとする意見があるが、リアルの講義に出席する必要も認められないような講義がすべての大学に間違いなくあるので、カリキュラムをリストラしてオンライン化もしくはタブレット化もしくはスマホ化して大学の過半を実質「通信制」化または「夜学」化すれば、学生の居宅問題は解決したようなもんだろう。

 秦野章は、日本大学専門部(夜学)卒で、中曽根内閣で法相になった。東大京大法科卒でないために、司法官僚はつまはじきにした。
 ※高校の夜学率ももっと高くていいはずである。そして大学の夜学は、朝の4時から8時までやったっていいはずだ。

 ココム関連国内法規違反を、外務省と防衛省は監視しようとしたが、通産省は拒否した(p.248)。

 外務省は、特亜に対して一貫して、象徴的な謝罪のジェスチャーを示すべきだと政府に要求。それを文部省が拒み続けていた。

 儒教圏では「野党」がそもそもありえない。統治者は本来高潔だとされる。その統治者に反対する勢力というものがあるなどおかしいから。
 ※よって儒教圏には議会制民主主義はなじまない。

 1985-8の日航機事故。
 空自のF-4×2はレーダーから消えた日航機の墜落現場を、4分でつきとめた。
 運輸省航空局は、それから2時間半も、陸自に捜索を要請しなかった。
 事故から10時間後に陸自のヘリが、日の出後になって旅客機残骸を視認。暗視装置がなかったので。
 すべては日航が悪いことにされた。日航は運輸官僚の天下り先なのに、運輸省とは仲が悪かったので。

 鮎川は戦後の中小企業を政府が統制するのに大貢献した。その成果が、中小企業基本法。
 鮎川の死後、その仕事は岸が引き継ぎ、1987の岸没後は、田中義一の長男である田中龍夫に。龍夫は旧満州の革新官僚。通産大臣、文部大臣を務めた。

 エリツィンは予定の数日前に訪日を取りやめた。日本外務省がかたくなに北方領土返還問題だけをとりあげようとしたため。応ずればエリツィンは国内で袋叩きになるしかなかった。

▼福島安正・著、太田阿山ed.『大陸征旅詩集』東亜協会S14-9 非売品
関東都督として、関東州内の産業道路を500里建設し、愛川村柘地植民を創始した。

 長野県出身者を軍人にしてやるための組織は、信星会といった。初代会長福島の死後、それは財団法人信武会となる。坂本俊篤が二代目会長。

 ロシアが大国になったのは偶然ではない。辺境の軍政がじつに厳峻によく機能している。隣辺に隙あらばかならず前進躍進。こうやって国威を張ってきたのだ。

 モンゴルで便秘になりたくなければ、朝と昼は羊肉を口にしないで乳茶を鯨飲せよ。

 まず旅行前に現地語を図書で研鑽することを勧める。言語が分れば、旅行中に、一事・一物からも学ぶことができるのである。回顧すれば、この企画が承認されてから、ほとんど睡眠を廃して下調べをした。

 土地によって相手から尋ねられることが全部違ってくる。ロシア人は馬に興味があるようだった。ドイツ人は、異国の地形にしか関心がない。蒙古では、物の名前について訊かれた。清国人は、物の値段を問うてくる。そして日本では、危険だったでしょう、お疲れでしょうと、そればかりを言われる。有り難さを覚える。

 3-19に黒竜江の愛琿に到達。シナ人は夜郎自大で天下の情勢を全くわかってない。数が多いのを誇るだけでは未開人だ。

 ロシアは、バンデラバス(バンダルアッバス)の港が欲しくて南侵のチャンスを窺っていた。ペルシャ軍の礼砲が湿っていてうまく鳴らず、国の軽重がよくわかった。

▼浜谷英博・松浦一夫・他『災害と住民保護』2012-3
 内閣にはエマージェンシーパワーがあるというのが英米流の考え方なので、憲法明文がなくとも、必要に応じてどうにもできるはずだ。
 「国会拒否権制度」を確立しておけば、事前承認のような白紙委任にもならず、実効性のある民主統制は可能になるだろう。

 州兵が、連邦正規軍に編入される場合、U.S. National Guard と呼ばれる。そこに入隊した個人は、州兵と連邦軍に dual enlistment したことになる。

 ドイツでは、ヨウ素剤は、45歳以上の成人には処方されない。甲状腺代謝障害を起こす可能性が高いため(p.268)。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。

 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。

 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。

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