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中共は11月の中間選挙でトランプ派をボロ負けさせるには、交渉しない方が良いと判断したのか。

 Loren Thompson 記者による2018-9-21記事「'Mad Dog' Defanged: How A Missing Missile Defense Report Explains Mattis' Impending Departure」。
         マティスは、トランプの意向とは反対に、駐アフガニスタン米兵を増強した。NATOの国防費にはうるさいことを言わず、イランとの核合意は守るべきだとする。

 1年目のトランプは素人自覚ゆえマティスの言うことをきいてきたが、しだいにマティスは自分と同じ安全保障観を持っていないと疑うようになった。そして、ハードライナーである、ポンペオとボルトンをトランプは引き立てた。

 ついに9-15に『NYT』は、マティスが政権を去るだろうと報じた。

 ペンタゴン内から見るとただの思いつきでしかない大統領の意向を白紙に還す仕事に、マティスは疲労しつつあるという。

 だが真相はどうかな? 報道とは逆に、じつはトランプの方が、マティスを含めたペンタゴンの高官たちよりも、アメリカの問題と為すべきことを把握できているのではないかな?

 たとえば将来、正気かどうか定かではない独裁者が米国を攻撃できる核ミサイルを持っていることについて、強度に心配して早い措置を命ずるのは、大統領として至当なのではないか。

 それに、ロシアや中共が米国の民主主義そのものを破壊しようとかかってきているのに、アフガニスタンなんぞに底なしに軍事費を注ぎ込んでいる場合なのか?

 北鮮のGDPは、ロサンゼルス市の財政規模よりも小さい。トランプが在韓米軍の費用負担を問題視するのも、自然なことだ。

 アフガンからは撤収し、カネを本土防空網にまわせというのがトランプの結論だ。

 ところが安全保障専門家たちは、米軍の基地が世界の最前線にたくさんあれば抑止になるので、本土防空は必要ないと主張している。

 マティスは現状維持にしか関心はない。本土防空強化には反対である。こんな国防長官は、追い出されてもよいのだ。

 ※マティスがトランプに言ったとされる、在韓米軍は第三次世界大戦を防ぐためにあるというレトリック。マティスからの敷衍説明を聞いた記憶がないが、想像するとこういうことか。北鮮が南侵して半島で大兵乱が起きると米軍の戦争資源がアジアに釘付けになってしまい、そこを衝いてロシアがバルト海を侵略すると。もしもこのレベルの発想をしているのなら、マティスは戦略家ではない。

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 Jude Clemente 記者による2018-9-21記事「The US Natural Gas Pipeline System Needs to Be Expanded and Upgraded
     マサチューセッツで、老朽化していた都市ガス(天然ガス)の埋設管が破裂し炎上した。
 じつは米国の都市ガス管は1930年代とか40年代に敷設されたものが多い。そろそろ、これらの総とっかえが必要になっている。

 米エネルギー省は、2050年時点でも、米国は石油と天然ガスにエネルギーの55%を依存しているはずだと予言している。

 ある専門家いわく、2018年において遂に米国人が消費する最大のエネルギー資源は石油ではなくて天然ガスとなる。そして1985年いらい、米国からの二酸化炭素排出は最も少なくなる、と。

 ニューイングランド地方ではガスパイプラインの拡大や工事に反対する勢力(風車とソーラーを推す)があり、これが今後の悩みである。
 ニューイングランドでは、発電所の熱源も、天然ガスが大宗となりつつあるのに……。

 エネルギー省の予測では2050年にニューイングランド人は天然ガスにエネルギーの36%を依存しているはず。

 米国ガス協会の統計。全米には210のガス供給管網がある。ガス輸送管の総延長は30万マイル。パイプラインの途中に設けるコンプレッサーステーションは1400箇所以上。ガスを気化させて消費者に配給する工場は1万1000箇所。ガスを外部から受け入れる基地は5000箇所。州間のパイプライン結節点は1400箇所。

 問題はトランプの新関税。
 500マイルのパイプラインには、6万4375トンの鋼鉄が必要だ。

 その特殊鋼管はほとんどが輸入である。よってガスの消費者は鋼鉄の関税を将来、余計に負担せねばならない。

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 Alex Howard 記者による2018-8-22記事「US election campaign technology from 2008 to 2018, and beyond」。
   オバマが当選した2008大統領選挙。この都市はアイホンがデビューして1年目だった。

 オバマが二期目を決めた2012選挙。この時点ではもう政党のテレビCMよりもフェイスブックの方が、有権者にアピールするようになっていた。

 民主党はテクノロジーをうまく使い、共和党はぜんぜんダメだった。ロムニー候補は「オルカ」というシステムでボランティアを投票に行かせるつもりだったが、このシステムはもののみごとに故障してくれた。

 2016大統領選挙では、トランプのツイッター書き込みが、ヒラリー陣営の新設計アプリケーションを圧倒した。

 トランプが雇った分析会社が、有権者の心理プロファイルをしていた。フェイスブックから盗取されたデータが使われたと非難する者もいるが。

 2016選挙でトランプとヒラリーがフェイスブックにつぎ込んだ宣伝工作費用は総額数千万ドルだったろう。それにロシアが10万ドルかけた不法工作で介入した。ある機関の推定によれば、2016選挙そのものの総コストは65億ドルだったと。

 ヒラリー陣営はフェイスブックに埋め込む広告のために数千万ドル使ったが、そのフェイスブックを見ている者のプロファイリング分析がおおまかで、相手の視聴者のカテゴリーに細かく対応した宣伝内容を考えておらず、結果、有効ではなかった。

 2016-6~11月に展開されたフェイスブック広告数。ヒラリー陣営は6万6000。トランプ陣営は590万。
 トランプ陣営は毎日6万種類の異なった広告をフェイスブックに打ち続けたことになるという。

 選挙に使える資金集めツールというのが複数ある。そのひとつの「コールタイム」はAIを駆使して寄付者の気を惹くという。

近代の迂儒にはいちど曲学を勧める。

 仮にテキサス州とメキシコの間で軍事的な緊張が高まったときに、もしテキサス州知事が「国家(ネイション/ステイト)の自衛権」と発言すれば、ニューイングランド諸州や連邦政府は怒るだろう。しかしテキサス住民は怒るだろうか?
 日本政府代表が1928パリ不戦条約に調印するときに日米覚書を交わし、「人民の名に於て」という言葉は「人民の代理者として」といった意味ではないと確認させた。また批准にさいしても、「人民の名に於て」という言葉は、「帝国憲法の条章より観て、日本国に限り適用なきものと了解することを宣言す」と述べた。条約幹事の米国はそれを受け入れているのではなかったか。
 日本国の実態はテキサス州以上に、概ね「ピープル=ネイション」である。これが英帝国や合衆国連邦の実態と差異がある歴史的な事実は、日本人民の功でもなければ罪でもない。
 「ピープル=ネイション」であったことにより、日本人は古代には大陸勢力に支配されず、近代には西洋列強に自由を奪われずに済んできた。特殊な国体は偶然にも「近代的自由」に親近であり、自由主義革命であった維新の前後には絶大な功利が認められた。この国体を軽んずれば日本人はすぐに自由を失うに至る。わが国周辺の反近代集団の本能的対日憎悪を舐めていてはいけない。儒教圏人は「序列」に命を懸けている。他者を下位序列にハメ込んで自由を奪い取る手練手管の前に、団結の中心をなくした日本人(パーソン)は対抗不能である。
 人民(ピープル)を国際法空間の主人公に据えるのはイデアではあり得るかもしれないが、闇雲にスタンダード化しようとしても百年河清を虚しく待つに似て非現実的である。英政府も米政府もそんなことは疾うから承知して内外を経営している。

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 COREY DICKSTEIN 記者による2018-9-21記事「Army misses 2018 recruiting goal, which hasn't happened since 2005」。
    もうじき9月30日に「FY2018」が終わる。にもかかわらず米陸軍は、新兵募集目標を6500人も下回る見通し。これはFY2005いらいの、久々の不調である。

 陸軍の2018会計年度の目標値は、7万6500人である。当初は8万人としていたが、4月時点で予期したよりも現役兵の除隊意向者が少なく、それだけ新兵募集はしなくてすむことになった。

 人があつまらない主因は、米国の景気が良いので他にたくさん職があるから。特に大都市で、人気がない。
 ただし、空軍、海兵隊、海軍は、それぞれ今年の募集目標を達成している(いずれも陸軍よりは小所帯で募集人数も少ない)。

 ペンタゴンによれば、米国居住者の13%は、米軍に勤務してもいいかな、と思っている。

 他方、米国では17歳から24歳が徴兵適齢なのだが、そのうちの7割は、教官から見て「こんなのは徴兵したくねえ。軍隊に来るんじゃねえぞ」と申し渡したくなるレベル(体力的、頭脳的、情緒的、犯歴的、社会思想的、国籍的に)だそうだ。

 米陸軍は、現勢だと47万6000人だが、これを2024年までに50万人に増やそうとしているので、募集に負荷がかかっているのである。

 2018-10-1〔この日からFY2019がスタートする〕までに陸軍は、できれば48万3500人にしたかった。

 米陸軍は、ソーシャルメディアを通じた募集広報活動の他、双方向オンライン・ゲームを通じた募集もしているところだ。

 ※とつぜんひらめいた。高齢で退職しなければならない陸自下士官のうち、体力検定を問題なくクリアしている者については、定年の撤廃と「募集出張サービス部隊」への所属を認め、全国に派遣して、田舎の少年たちのサバイバルゲームの相手チームになってやるというのはどうだ。「中隊の主」「中隊の神」レベルの先任古参下士官が原隊に居残られては若い者がやりにくくてたまらないだろうが、古巣からサクッと追い出して他所の派遣専用の部隊に単身赴任させるのならば特に問題ないはずだ。あらゆる「雑用」が考えられる。たとえば「雪祭り」の手伝い業務などはこういう老人部隊にさせるのが筋だろう。

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 TARA BAHRAMPOUR 記者による2018-9-21記事「In 1960, about half a million teens took a test. Now it could predict whether they get Alzheimer's」。
    ソ連からスプートニク・ショックを喰らわされた米政府は1960年に大規模な才能調査を試みた。全国の44万人の高校生(15歳)に、2日半もかかる総合的な知能テストを受けさせたのだ。

 後に有名ミュージシャンとなる、ジャニス・ジョプリン(テキサス州の高校生)やジム・モリソン(ヴァジニア州の高校生)も偶然、被験者だった。

 当時の15歳の若者たちのうち、生存者は今、73歳くらいになっている。60歳を過ぎれば、人はいつ、アルツハイマーを発症してもおかしくない。
 それについて追跡調査をしたところ、「やっぱり」な結果が出た。
 15歳で頭がシャープだった者は、老齢となってもアルツハイマーにはなりにくいようである。

 これら被験者の追跡はインターネット以前の時代には至難であった。インターネットのおかげで、追跡可能になったのだ。

 かれらは2009年には高校卒業50周年のリユニオン(同窓会)の年を迎えた。その時点でだいたい四分の一が死んでいることが判明している。

プーとプレデター。

 Will Knight 記者による2018-9-20記事「Alibaba’s “honey badger” AI chip company hopes to take on bigger beasts」。
    アリババが、コンピュータチップ(ハードウェア)の開発と量産に乗り出す。米国からシリコンチップの禁輸をかけられてもいいように。

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 Charlotte Jee 記者による2018-9-13記事「How to hack an election――and what states should do to prevent fake votes」。
     選挙の投票集計マシーンは細工され得るというMIT内でのデモンストレーション。

 架空の選挙を実施した。
 候補者は、一方はジョージ・ワシントン。一方は、ベネディクト・アーノルドである(知らん人は兵頭著『アメリカ大統領戦記』全2巻を見るとよい。戦争英雄にして国家叛逆者であった)。

 この2候補が、全部で3人の投票者の3票を争った。
 有権者3名は、いずれもGWの名にチェックして投票した。したがって開票は3-0でGWの圧勝にならねばならないはずである。

 ところが、入力して、結果をオンラインで紙にプリントアウトさせてみると、なぜか得票スコアは、1-2でアーノルドが接戦を制したことになっていた。

 この実験の場に持ち出された投票集計用コンピュータ「AccuVote TSX」は、全米の18の州でじっさいに公職選挙に使われているものと同じなのである。

 選挙のたびに、選挙管理委員会は、このマシンの中に、候補者の名前をプログラミングした「メモリー・カード」を挿し込まねばならない。
 不法工作員は、そのカードにあらかじめ細工をすればいいのだ。

 このような誤魔化しをやり難くする方法はある。絶対に「紙」を捨てないことだ。紙の廃止などもってのほかである。紙さえ残っていれば、あとから選挙管理委員会がチェックできる。それは誤魔化しの企図を抑制するはずだ。

 ところが、ウェストヴァジニア州〔人口の少ない田舎州である〕は、この秋から、ブロックチェーンによる投票確認を導入すると決めている。
 MIT内の問題提起人氏はもちろん、これは大間違いだと批評する。

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 Prashanth Parameswaran 記者による2018-9-19記事「Why Japan’s First Submarine Visit to Vietnam Matters」。
    今週、海自の潜水艦が初めてベトナムを訪問した。
 9-17にカムラン港に接岸したのは、海自の『くろしお』。※わざわざ古いやつを選んでASW演習させたり親善寄港させているのにもいろいろと理由があるのだろう。音紋を採られても苦しゅうはないということか。

なぜ北電は老朽石炭火力発電所を「天然ガス混焼」に緊急改造しないのか?

 旧海軍は石炭焚き、練炭焚きだった明治時代の軍艦用蒸気ボイラー機関を、大正時代にひとっとびに「重油専焼」機関へ切り換えたわけじゃない。

 中間ステップとして、石炭(練炭)/重油の「混焼」を試みた。
 なんで同じことが発電所でできないんだ?

 LNG商売では「北ガス」に完全に出遅れてしまったため、いまさら動けないのか?

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 ストラテジーペイジの2018-9-19記事。
   衛星写真によれば、5月と6月だけでも30隻以上の北鮮の貨物船が中共の港に入り、石炭を積み降ろしている。

 ヴァジニア級SSNは、電子潜望鏡を各種8本備えている。
 うち2本がいわゆる潜望鏡の機能。1本は壊れたときの予備。
  ※ぐるぐる回す必要はないし、いちどに全周のビジョンも瞬時に取得できて、それをしかも艦内の複数のモニターで共有させられるのだろうな。

 のこり6本は、衛星通信やESMに使う。しかも頂部のセンサーは艦内でいろいろと交換ができる。

 外見は、旧式の光学潜望鏡とまったく同じようにしてある。さもないとESM活動を敵に意識させてしまうから。

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 Yasheng Huang 記者による2018-8-22記事「China’s use of big data might actually make it less Big Brother-ish」。
   2020年までに中共は「ソーシャルクレジット(社会的信用)・スコアリング」を全人民に適用する。書籍などの買い物の記録や、友人関係等がすべてビッグデータベースに集積され、そこからスーパーコンピュータが、特定の個人の、中共支配体制にとっての安全度/危険度を細かくランキング付けする。スコアの悪い者は、汽車の切符も買えないというイヤガラセを受けるのだ。

 数年前、歴史家のテッド・ウィドマーが「いかにしてプライバシーは米国の価値になったか」という論考を『ボストン・グローブ』紙に載せた。
 それによると、《収入、健康状態、余暇活動等は、本人だけが知ることで、国家に把握させるべきではない》という考え方がもともとイギリスにあり、それが米国に持ち込まれて定着したという。

 合衆国憲法修正第四条にも、身柄や家屋や文書や家財を勝手に政府が捜索したり押収したりできないと謳われる。

 シナ人は、それらの価値よりも、経済成長を、もっと好む。

 ただし、クレディブルという個人金融ウェブサイトが、今年1000人のアンケート集計をしたところ、もし学生ローンの残額負債がチャラになるなら、この次とそのまた次の大統領選挙における投票権を放棄してもいい、と答えたアメリカ人が半数近くいるのも事実だが。

 中共では1980年代にプライバシーという言葉が攻撃された。それには儒教の伝統がある。人と人との間に秘密を設けるな、と促すのだ。良いことならば、なぜ他者に隠す? 隠すのは、悪いことだろうというわけだ。こうして儒教圏ではプライベートということが「反社会」と同義になった。

 ビッグデータとSNSは、狭い個人間の親密関係だけを信用する儒教圏の文化を破壊するだろう。

 「ウィーチャット」を使えば、ほとんど知らなかった数千人と友達になれる。
 「アリババ」を通ずれば、未知の人とビジネスが可能である。

 互いにプライバシーの無い、近隣の人々同士の団結。デジタル・エコノミーは、そのようなものを壊す。

 秦いらいシナには保甲制(隣組制)があり、5~10世帯が相互監視するようになっていた。 ※原文には3~5世帯とあり、また古代限定のような書き方でもあり、清朝まで採用していたことは御存知ない感じ。どうやらこの記者は、漢文は読めぬ人である。

 シナは、ビッグデータなど無い時代から、ずっと権威が人々を抑圧する社会であった。
 現代技術は、政府による抑圧を精密化しただろう。だが、精密な抑圧は、進歩である。無差別抑圧よりは改良されている。

 アリババは本社のある杭州市当局と結託して「シティ・ブレイン」というシステムを2016に構築した。市の交通局が有している路上監視カメラに自在にアクセスすることで、慢性的な渋滞に悩む同市において、緊急車両の最適ルートが探しやすくなる。

 ※漢文の読めない「名前だけチャイニーズ」なのに、この記者は何の義理あって中共社会の弁護なぞに、MITの学内で励んでいるのか? じつに面白い。ここから想像できることがある。もし日露戦争直後にシナ大陸市場をぜんぶ米国企業にくれてやったとしたら、いまアフガニスタンで起きているような文化間摩擦が、泥沼化したことだろう。日本はあくまで大陸には立ち入らずに日本の港において米支双方の商人と取引を続けることによって、直接投資よりも安全に外貨を稼ぐことができただろう。

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 Will Knight 記者による2018-9-18記事「China’s leaders are softening their stance on AI」。
   今週上海で世界AI会議というのがあったんだと。
 シナの副首相は、みんなでいっしょに開発しましょうと演説。

 現況、アルゴリスムのシェアは国境を越えて、在る。だがデータのシェアはない。データは、マシン・ラーニングに必要である。

兵頭二十八の、「日本国憲法《代理作文》説」。

 ニコ生そのものについて、わが子がハマっているひかきん氏のことぐらいしか、まるで知らなかったので、このたびせっかくお呼ばれしている「国際政治チャンネル」の篠田英朗さんについてアマゾンから本を取り寄せる等したところ、痛快無比な理論家・行動者であられたとおそまきながらに承知ができた(まだ1冊の半分しか読めてないが、間違いない!)。
 多忙にめしいていたわたしはベツレヘムの上空に何年も前から光り出していた明星に気付かないでいたようだ。
 プラクティカルには、自民党はこの篠田教授を最有力顧問にして着実に改憲を目指すのが総合的に吉だろう。

 以上はポリティカルな愚生の立場表明でござる。以下は、それでも変わらぬ「筋論」に関し、偶懐。

 私は旧著『「日本国憲法」廃棄論』(草思社文庫)で力説した〈形式的にでもいったんは廃棄しなければ、将来の安全保障上の禍根になる=旧連合国が幾度でも脅迫や間接侵略によって新手の不平等条約を日本人民に押し付けられるものと思い込みかねない〉説を引っ込める。
 理由は、AIの急進が世の中をかきまわすはずなので、日本人民が落ち着いて改憲(または廃憲)論議に付き合う時間も、じきになくなるはずであるから。いまの調子だと、わが国の「法令空間の正常化」は、世界の進運に致命的に間に合わなくなるおそれがある。

 それよりもむしろ、一刻も早くケリをつける「オプション」が求められているのだと、篠田先生の著作を読んでいるうちに、思えてきた。

 そこで、ここに私は豹変し、日本国憲法「代理作文説」を唱える。
 大日本帝国憲法は、日本国政府が「五箇条の御誓文」を蹂躙して、国民を道連れにして自爆を遂げたことにより、無効化した。
 火急に新憲法が必要になったが、わが国の指導層の法学教養レベルは「セルフ ディフェンス」の国際的通念すら持てない「12歳の子供」だと近過去の歴史が暴露し、且つ敗戦後に自覚もされたので、とりいそぎ、「45歳以上」の大人であったアメリカ人に作文を頼んだ。
 こうして現行「日本国憲法」が仕立てられ、通用させられることにもなった。
 しかし9条2項が、「セルフ ディフェンス」を否定しているようにも読めてしまうことは日本人民を危険にするとわれら人民は大人になって憂うようになったので、ここに、民主主義的に選挙されている政府が、最高裁判所から「9条2項は制定時に遡って無効」という判決(判断)を引き出す。

 これにより、「代理作文」された日本国憲法の総体は、外見的にも実体上も、日本人民が撰文した憲法として、磨き上げられ、いちだんと完整した。それは中外に闡明されもした。

 「制定時に遡って無効」の最高裁判断が、9条2項についてだけでもこのように為され得た以上は、爾後、この憲法を誰も「押し付け憲法」と呼ぶことはできない。

 われらは平成天皇を、旧連合国とその第五列の魔の手から守り抜いた。国体は、危機的なピリオドを乗り切ったのである。

DARPAはどうやって天下りを排除しているのか? 経産省の軍民共用技術育成課はそこを調べたらよい。

 Erin Winick 記者による2018-9-18記事「World’s first hydrogen-powered trains are now running in Germany」。
    ドイツの旧ディーゼル線区を、このたび、フランスのアルストム社製の燃料電池機関車が2両、走ることになった。

 最高速度140km/時。陸マイルにして600マイルの航続力。運行区間は62マイルなので、無補給で4往復半できることになる。

 この燃料電池は、水素と酸素を結合させて電力を取り出し、電気モーターを回す。排出されるのは、水蒸気と水だけだ。

 ドイツは2021年までにこの機関車をさらに14両、買うつもり。フランス国内でも2022年から走り出すだろう。

 ※燃料電池を一般の乗用車やトラックで普及させるのはロジスティクス上の不都合がある。しかし鉄道なら、ほぼ無問題。ブラックアウトを体験したJR北海道こそ、これを研究すべきではないのか?

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 Connor S. McLemore and Eric Jimenez 記者による2018-9-18記事「Who is the Admiral Rickover of Naval Artificial Intelligence?」。
    ハイマン・リッコーバーいわく。良い思いつきが自動的に実現されることなんてない。勇気のある堅忍不抜の努力がそれを実用化しなければならないのだ。

 リッコーバーは8年の努力で原子力潜水艦を実現させた。すなわち1947から1955にかけ。

 米海軍の偉大なレコード。原潜用の核エンジンは、これまで運転炉数と運転年数の積が6200(炉年)に達している。なのにただの一度も放射能漏れ事故を起こしてない。

EV車の給電ステーションはブラックアウト時にどうなったのだろう?

 記事「Facebook might finally be making progress against fake news?but Twitter needs to do more」。
   2018-9-14に公表された数値。
 フェイスブックは2016年いらい、570の偽ニュース・サイトを把握。2016年にはそれら偽ニュース・サイトに毎月2億回の閲覧があった。しかし2018-7には、毎月7000万回の閲覧にまで削減させることに成功している。
 これに対しツイッターの方は、2016年から2018にかけて偽ニュース・サイトの数が減っていないが閲覧の絶対数が一~二桁すくない。

 ツイッターよりもフェイスブックの方が、偽ニュースの拡散に適していることはハッキリしている。

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 Morgan Wright 記者による2018-9-16記事「China may be copying Facebook to build an intelligence weapon」。
    中共がこれまでデータの巨大ぶっこ抜きを成功させた対象。OPM(2015年、650万人の米公務員の詳細個人情報)、ユナイテド航空、ヒルトン、ヤフー(35億人分)、リントクイン、マイスペース。
 2017年には「Equifax」も。

 この記者も国務省で働いていたことがあるので、OPMデータブリーチされたファイルの中の個人情報が完全に中共に把握されたと信じられる。
 「スタンダード書式86」というやつだ。その中では、自分が米政府にとってどれだけ信用できるのか、136ページにわたって口説かれているのだ。

 あらゆる前職、受けてきた教育、親戚、友人、隣人、パスポートの全情報、過去10年間の引越し履歴、軍歴、配偶者とその家族、などなど。

 親戚欄は、義理の両親、異母兄弟、異父兄弟、養子を含む子供、従兄弟や甥姪まで全部埋めるのである。

 中共は、これらのビッグデータを下に、彼らだけがアクセスできる「フェイスブック」式データベースを構築しているのだろう。つまり、ある属性で検索をかけると、米国人の適合人物が瞬時に浮かび上がる。複数の属性を入力すれば、さらに絞り込まれる。よく行く旅行先とか関心分野とか、丸分かりだから。

 米国から飛来して中共内の空港に降り立つ民航機の乗客の中に米連邦職員が何人乗っているのかも、リアルタイムで把握できる。

 次。
 記事「Facebook beefs up its defense against election interference」。
   ザッカーバーグ氏はサイトに投稿し、米国の選挙に容喙する偽アカウントをフェイスブック内から除去する活動を強化したと発表した。
 この作業にはマシンラーニングが応用され、連日、何万ものフェイクアカウントをブロックする。3月から9月までの間に10億アカウントを取り除いたという。

 この清掃作業に従事させるマンパワーも、2017年の1万人体制から、今年は2万人強に倍増したという。

 ロシア発とイラン発の工作が多いという。また、ブラジルやミャンマー向けに国家転覆を狙った工作組織の書き込みも排除した。

 この11月に迫った米中間選挙に向けて、外国工作機関はコーディネートされた不法活動を展開中である。

 次。
 記事「Google’s search engine for China would link searches to phone numbers」。
   グーグルは中共国内向けにドラゴンフライという特注サーチエンジンのプロトタイプを完成した。

 この検索を使用すると、自動的に使用者のアンドロイドスマホのアプリにリンクする仕様。すなわち中共政府は、人権とか天安門などの事項を検索した個人の電話番号を即時に把握ができる。

 グーグル社内ではこの事業への反発も見られ、米連邦議会もグーグル社の公式回答を聞きたがっている。

 次。
 KIM GAMEL 記者による2018-9-16記事「Gen. Robert Abrams nominated to take over as top US commander in South Korea」。
    ブルックス大将の後任は、ロバート・エイブラムズになりそうだ。陸軍大将。
 ブルックスは2016-4から韓国にいる。

 エイブは、アフガンの脱走兵バーグデイルの軍法会議にも深く関わった。
 陸士は1982に卒。サウジ、クウェート、イラク、アフガニスタンと転戦してきた。
 軍人一家で、彼はエイブラムズ家から出た三人目の四つ星大将である。
 父は1972-10から1974-9まで米陸軍の参謀総長であったクレイトン・エイブラムズ。M1戦車の名前はこのクレイトンからついたものである。

追分ソーラー節。

 Kyle Mizokami 記者による2018-9-11記事「France Accuses Russia of Space Satellite Espionage」。
   仏国防大臣はロシアを非難した。仏伊合同で運用中の高性能通信衛星「Athena-Fidus」に、2017年、ロシアの電波傍受衛星がまとわりついて電波盗聴したと。

 重さ6トンの同衛星は軍民共用で、欧州NATO同盟国がアクセスできる。2014に仏領ギアナから静止軌道に投入された。
 高周波帯を用い、毎秒3ギガビットをやりとりできる。

 ロシアの盗聴衛星は「Luch-Olymp」といい、異常に接近した。

 「Luch」シリーズは冷戦中からある。最新の「Luch-5V」は、他国の通信衛星に寄り添うことで、中継される情報を盗み取ることができる。

 「Luch」衛星は2015年にも、2機のインテルサット衛星の中間に割り込み、インテルサットの会長から「無責任な行為だ」と非難されたあとも、他のインテルサット衛星をストーキングした。
 接近距離は、10km未満だったという。

 Kyle Mizokami 記者による2018-9-13記事「Sheep Glands Point to Nukes as Source of Mysterious 1979 Explosion」。
      1979-9-22に米国の核爆発見張り衛星「ヴェラ」が、核爆発に特徴的な「ダブル・フラッシュ」をインド洋中に探知した。

 大気圏内の核爆発は、二度、光を発する。
 一度目は、空気が急激に非常に加熱されることで発せられる光。人の目にもよくみえる。

 二度目の光は、バングメーターという機械の眼で探知できる特徴的なスペクトラムである。

 核爆発の見張りをしているNDSというシステムは米空軍の管轄である。空軍の地上局員からの報告は、指揮系統を上昇してカーター大統領まで届けられた。

 探知した場所は、南極大陸と喜望峰の中間海域だった。
 すぐに、イスラエルと南アが合同で実験したという結論に落ち着いた。ちょうど雲がかかっていたので、彼らは監視衛星をごまかせると思ったのだろう。

 近年、豪州の綿羊の甲状腺に残った放射性沃素の変化の記録が発掘され、疑いは裏づけられたそうだ。

 核爆発は2~3キロトンだったとされる。野戦で砲兵が使用する戦術核弾頭だ。

 1973年の中東戦争でイスラエルは危ないところであった。特に空軍機が短時間で100機以上も損耗したことが重大視された。投下核爆弾を運搬する航空機がなくなってしまう可能性が、実戦ではあるのだと悟られた。
 だから、できれば175ミリ長距離加農砲で発射できるような戦術核が欲しいと考えたのは自然である。

 次。
 David Agrell 記者による2018-9-12記事「Should You Buy a Standby Generator?」。
      据え置き型の、つまり、ちょっと大仕掛けの常備用家庭発電機。1個が2万ドル以上するし、サイズは物によっては「フィアット500」くらいもある。
 米南部市民は、ハリケーンのブラックアウトに備えて、この機械を購入すべきか?

 スタンドバイ発電機は、ポータブル発電機と違い、屋外のコンクリートのベタ基礎の上にボルトでガッチリと固定される。

 そして配電盤を介して、家屋内の電灯線につながれる。

 燃料は、天然ガス、液化プロパン、もしくは軽油。※米国では家庭用灯油というものはない。また「ディーゼル」といえば軽油であって重油ではない。ポータブル発電機の燃料は、米国ではおそらくガソリン一択。

 エンジンの冷却方式が空冷のものは小型であり、液冷のものは大型であり、給電力はそれに比例する。

 給電を開始する前には、家屋が、電力会社の電灯線から安全に切断されたことが、内蔵回路によって確認されなくてはならない。要するに停電時でないと、動かせない。停電を感知すると自動的にエンジンがスタート。
  ※発電機から屋外の電灯線にまで逆に電力が供給されてしまうと、近所で復旧作業中の人が感電したり、火事を起こす。よって確実に分離する。

 内燃エンジンの燃料は、米国では、都市ガス(LNG)が多い。
 都市ガスを使えない地域では、プロパンか、軽油にする。

 停電が復旧すると、このシステムは自動的に停まるようにできている。

 大きな問題は、騒音。ハーレーをアイドリングさせるような音がする。
 市町村の騒音条例も守らねばならない。

 多くの州では家の外壁や可燃物から5フィート離して設置する必要がある。
 24~48時間運転したあとでは、念入りな点検整備も必要とされる。

 燃費だが、たとえば7キロワット発電機は、1時間に、140立方フィートの天然ガスを燃焼する。

 運転している間は、日に一度、エンジンオイルも点検しなければならない。

 次。
  Roy Berendsohn and Timothy Dahl 記者による2018-9-11記事「Home Generator 101: How to Power on When the Power Goes Out」。
    ポータブル発電機を買うときは、長時間常態出力(running wattage)の値に注目せよ。往々、商品は、緊急最大短期出力(surge wattage)の値を売り物にしているが、それに惑わされるな。

 ぜったいに屋内やガレージ内で発動発電機を回すな。一酸化炭素中毒になるから。窓を開けていてもダメである。
 機械が熱いときに給油するのも禁止。火事になる。

  ※イワタニのガスカートリッヂで1時間ばかり、超小型内燃機関発電機を回せるシステムを、キャンプ用品会社が開発するべきだ。もちろんいったん付属のリチウム電池箱に蓄電するのだ。これなら真冬の北海道でブラックアウトが起きたときに、人々を救うことができる。ただし問題はここでも排気の処理、なかんずくCO対策。イグニッション点火サイクルではCOが出てしまう。なんとかディーゼル方式にできないだろうか?

 次。
 Bob Sorokanich 記者による2018-9-12記事「Robots Replace Humans the One Place We Least Expected: Motorcycles」。
    BMWは無人運転オートバイの研究でかなりイイ線まで到達している。この研究成果は有人オートバイの安全性向上に役立つ。具体的には、乗り手が急カーブでヘタをやらかしても、マシーンが咄嗟に立て直してくれる。急ブレーキでも転倒せずに済むのだ。

 ※兵頭いわく。これからは、集合住宅や老人ホームでは、貯水槽・貯油槽のような大容量蓄電池がふつうに併設されるようにならないと……。もしオフィスにまでそれが普及すれば、電気の質は問題ではなくなる。電気こそ、いったん溜めて使うのを常習化すべし。これは途上国には特に向いている。

 ※発電エンジン+蓄電池のハイブリッド電気オートバイがあれば、その外部出力端子が、停電時にオーナーを救済するはず。つまりエンジンで発電してリチウム電池に溜め、その電力でハブ内のモーターを回して走る「原動機付自転車」だ。もしこのエンジンの調子が悪くなったなら、自走によって販売店で整備してもらうことは簡単だ。いろいろと、心理的ハードルも低い。「メンテナンスの容易性」と、ふだんの「省スペース性」と、洪水から逃げる足にもなる「機動性」が、いちどにぜんぶ実現するわけだ。

なぜ入浴中や掃除中に名案が浮かぶのか。

 一人で風呂に入っている時とか、一人で部屋の清掃をしている時は、とりあえずわれわれは外来の不意の危険に警戒して注意力を四周へ分配する必要が無い時だろう。さりとて、就寝中のように脳と身体との間の信号の送受が曖昧朦朧としてもいない。
 ベルクソンが1896年に見抜いたように、身体との神経連絡のおかげで脳内空想の現実味はチェックされ続け、頭脳は軽度の身体刺戟を受けて覚醒も保たれ(睡眠に陥らず)、その上で、活発に空想に集中し続けることができる。
 ここから数々の発明・発見が生まれて来なかったら、その方がおかしいのだ。

 次。
 「SkyGuardian Remotely-Piloted Aircraft」。
     ジェネラルアトミクス社の「スカイガーディアン」は、プレデターB(MQ-9B)の派生型である。
 海上監視に特化したものは「シーガーディアン」という。
 さいきんはUAVとよばず、RPA(リモートリーパイロテドエアクラフト)と呼ぶ。

 2012年から開発が続いていた。2016年に英国防省が、英空軍用にスカイガーディアンの採用を決めた。武装型である。同年、初飛行している。

 2017-5の試験飛行で48時間滞空を達成している。
 スカイガーディアンという名前は2017-1についた。

 FAAの承認は、2017-8に得た。
 2018-7には、米国のノースダコタ州から英国まで、大西洋を無人横断飛行。
 リモコンの電波は基本的にCバンドである。
 9箇所のハードポイントに2トン強まで爆装できる。
 防氷システムが備わっている。

 次。
 ストラテジーペイジの2018-9-15記事。
   ヘルメットバイザーに緑色光線が強すぎる問題があり、従来、F-35Cで夜間の空母着艦をゆるされたのは、夜間着艦経験50回以上のベテランに限られていたが、ようやく、ヘルメットが改善された。

 LEDを有機LED(OLED)にすることで解決したという。

 次。
 TAYLOR TELFORD 記者による2018-9-15記事「A Coast Guard officer on hurricane duty made a hand signal on TV. Some saw a white-power sign」。
    片手でOKサインをつくると、立っている三本指が「W」と読める。これは「ホワイト・パワー」(白人萬歳)の符号である。

 次。
 DAVID S. CLOUD 記者の2018-9-15記事「Never a seamless fit, Mattis and Trump show growing signs of discord」。
   マッド・ドッグだと信じたから起用したのに、じつはモデレート・ドッグだった――とトランプは失望している。

管理人 より お知らせ[ニコニコ動画 2018/09/28(金) 開演:20:00 兵頭二十八×篠田英朗「AI,核,空母…朝鮮半島危機後の安全保障」 #国際政治ch 33]

管理人 より

お世話になっております。
兵頭[動画]情報です。
兵頭ファンにとっては玉音放送みたいなものです。
どっかの学校の校庭に正座して必見ですよ。

ニコニコ動画 2018/09/28(金) 開演:20:00
兵頭二十八×篠田英朗「AI,核,空母…朝鮮半島危機後の安全保障」 #国際政治ch 33

http://live.nicovideo.jp/gate/lv315651448

「AI大戦」は近い。

 複数のタクシー乗務員さんその他から聞いた話。
 6日はフェリーが動いていたので、フェリーでNHK記者がやってきた。それを未明、函館港から札幌市まで運んだ(さすがに厚真町までは無理だったので)。
 高速は停電以降、不通であったが、地上の国道5号線がフリーハイウェイ状態。誰も走ってない直線道を平均100kmで飛ばした。オービスも停電で作動していなかった。戻るときは、3時間半で来られた。

 このタクシーは燃料が満タンだったのだろう。

 他に何台かのタクシーが函館→札幌の直行に乗り出したようだが、始動時にメーターが少しでも減っている車両を出した者は、途中でガス欠になって、洞爺湖あたりからレッカー車に引かれて戻ってきたそうだ。お客はどうしたのかな?
 もちろん、停電と同時に、タクシー用の液化天然ガスの給油所も機能停止していたので、どうしても給油をするとすれば、「手回しポンプ」を使うしかなかったらしい。

 停電直後は、通信が途絶し、住民が携帯電話でタクシーを呼ぶことも不可能であったことを、証言によって確かめることができた。ただし、タクシー無線用に発動発電機を用意していた会社は、運行無線だけは通じた由。

 函館空港は、停電後も、こちらから内地へ飛ぶ便は、飛んだそうである。しかし、内地からこちらへ来る飛行機は、着陸できなかったと思われる。

 もっとも困った人は、高層マンションに暮らしていた要介護の老人。停電直後、上水も停まってしまい、トイレを流すこともできない。町のケースワーカーも自宅待機であったが、さすがに見かねて、1Fから階段で水を運び上げてやったとか。

 オール電化の家に住んでいる人に頼まれて、いっしょに量販店を回ってポータブルガスコンロを探してやったタクシー乗務員さんもいた。けっきょくどこでも売り切れており、最後に街のプロパン屋さんに相談したら、その家の個人の所有物であるコンロを貸してくれたんだと。

 次。
Will Knight 記者による2018-8-17記事「Fake America great again」。
     ある政治家の政敵が、みっともないことをしているビデオを捏造するのには、それほど、動画編集のスキルは要求されない。時間は数時間かかるが。

 たとえば、動画の人物の顔だけを、別人ととりかえて編集してくれるというソフトが、ダウンロード可能なのだ。フェイス・スワップと言われるもの。
 今は「ディープ・フェイク」の黎明期である。両目だけをハメ込み合成しても、一定の人は、騙されてくれる。しかし将来は、本人も騙されるほどの仕上がりになろう。

 たとえば「OpenFaceSwap」というソフトは無料でダウンロードできる。
 ただしグラフィック関連のハードが強化されたPCでなくては使えず、そのために数千ドルの追加出費が要るかもしれない。

 その資力がない人は、「Paperspace」のようなクラウドサービスをレンタルすれば、1分あたり数セントの料金で、動画加工AIを駆使した作業ができる。

 2017年に、ポルノスターの顔だけセレブ女優にとりかえた合成動画が、セレブ流出映像投稿サイトに投稿された。創ったのは「ディープフェイクス」という人物だ。

 声色を捏造できるソフトもすでにある。ある投稿者は、バラク・オバマとドナルド・トランプの、それぞれ100%創作であるところの偽発言を、もう投稿している。

 人物動画が3D合成かどうかを見破るコツとしては、体内の「脈動」が人物の表皮に現れているかどうか、とか、瞬きが自然であるかどうか、などがある。今のところは。

 リアル映像とそうでない映像を見分けるAI。その裏を掻こうと努めるAI。この2つのマシーンを対立させて学習させ続けると、フェイク動画は極限まで本物らしく整って行く。この技術を「GAN(generative adversarial network)」と呼び、『MIT技術評論誌』は、2018年における10個のブレークスルー技術の1つに挙げた。

 この4月、SNSのワッツアップで流布した動画。BBC風のアナウンスが、ロシアがNATOを核攻撃しはじめたと報じ、映像では、マインツ市とフランクフルト市が吹っ飛んでいる。
 そしてロシア政府は同じ4月、英国政府がシリアにおける化学攻撃の偽映像を根拠にして軍事行動を正当化しようとしていると非難した。

 ※書店で絶賛発売中の『日本転覆テロの怖すぎる手口』。まだ読んでない人は、急いで勉強しよう!

 次。
  Dave Majumdar 記者による2018-9-13記事「Why China's Stealth Fighter Can't Touch an F-22 or F-35 in Battle」。
      「殲20」には、第五世代機に必要な「センサー・フュージョン」のソフトウェアが備わっていない。

 「スパイク・マネジメント」もできない。
 F-22やF-35は、飛行中に、敵地または空中のどこからどのようなレーダー波で自機が探索または補足されているか、ディスプレイで一目で承知できるようになっている。

 だからSAM陣地をすりぬけて侵攻することができるのだ。しかし米国メーカーも、このソフトウェアを大成させるのに、何十年も試行錯誤を重ねた。中共メーカーに数年でできる仕事ではないのだ。

 ※「殲20」は電子装備品的には「F-117A」にとても類似していることがわかってきたので、またぞろF-117がオプフォーの殲20役としてひっぱり出されているのか。

北海道の「禍を転じて福となす」は、まず「ソーラー式街灯」から

 このブログの2010年からの読者、および「勝手にソーラーライトを愛好する会」の古いメンバー諸兄ならば、ご案内のこと。

 冬期に「夜」が9時間も続く北海道では、一般向けに市販されているガーデン用ソーラーライトのほとんどは、夜明けまでの発光を続けられない。それどころか、宵口の19時頃に、もう放電し切って、消えてしまう。

 しかし稀に良心的な設計のソーラーライトは、たかだか3000円前後の売価帯でありながらも、冬至前後の不良な日照条件日において、しっかりと終夜の連続点灯が持続する。残念ながら、過去のそうした優れた商品は、安さだけが長所の不良商品群によって、いずれも市場から駆逐されて行った。けれども、拙宅に残してある一製品などは、今回のブラックアウト時も、黎明時まで「目印灯」の役目を果たしてくれた。

 これとは別に、赤色LED1灯でしかも明滅式にするなどの、省エネ回路を採用したソーラー標示灯(工事用標識灯よりグレードを落としたもの)も、ロットによって出来のばらつきはあるものの、概ね、終夜点滅が持続する。価格は2000円未満である。

 より高額(5000円前後)の、ソーラー電池式の工事用標識灯に、すぐれた耐久性や耐候性、信頼性があることは、ここでわたしが解説するまでもなく、皆さんの方が御存知だ。(アマゾンで誰でも買えます。ホームセンターでは見かけない。)

 ソーラーライトに、既存の(100~200Wぐらいもある)街灯の「照明」機能を代替させようとしても、それは無理な話。
 昔の30~60Wの裸電球の代わりにもならない。
 それは、わたしがさんざん実験したり観察して得た、現実的な結論だ。

 しかし、ソーラーライトを、街灯が停電したときの「目印灯」として役立てることは、自治体の負担にならないコストで、じゅうぶんに可能なのである。

 この「目印灯」があるとないとでは、大都市の中心市街や一級国道ならともかく、町の辺縁部や、田舎の寂しい山道などでは、たいへんな違いになる。北海道の皆さんは、ようやく「真に光の無い戸外の不安」について、認識をあらたにしてくださったのではないか。
 暗闇は、いろいろと危険なのだ。

 設置は、既存の街灯柱の「笠」より高い位置に、架上するとよい。さすれば、通常の夜間は、既存の電燈とソーラーライトがアンサンブルで光る。ソーラーライトは「電飾」を担当し、地域を演出する。
 そしてブラックアウト時には、ソーラーライトだけが光り、「目印灯」の機能を果たしてくれるわけだ。

 この「目印灯」が普及し、自治体によって大量に需要されるようになれば、やがてしぜんに性能の向上が促されて、じきに、驚くほど安価に、「限定的な照明機能」も備えた「ソーラー電池式街灯」が、自治体に対してメーカーから売り込まれるはずである。

 そうなったら、こんどは、一部の街灯を、ソーラー街灯で徐々に置換して行くことができよう。
 最終的には、北海道の街灯の半数以上を、ソーラー街灯化できるだろう。

 函館山の山頂展望台から夜間に見下ろした街の灯が、すべて発色と発光パターンの異なるソーラーライトであったとしたら、それはどのような光の芸術だろうか? 今の夜景よりも、数等倍、人々を魅惑してくれるはずだ。

 次。
 Mark Galeotti 記者による2018-9-12記事「Don’t Fear the Russian Military」。
   ボストークは「東」。ザーパドは「西」をそれぞれ意味する。

 前回の露軍のヴォストーク演習は2014年だった。こんかいの規模はその2倍。
 この演習は、スウェーデンとフィンランドがNATOに加われば侵略するぞという脅しである。

 昨年のザーパド演習でロシアは動員人数を過少申告して、NATO武官のインスペクションを拒否する姑息な手に出た。
 今回は動員人数を逆に過大宣伝している。30万人も動員されてはいない。15万人前後であろう。それでも巨大だが。

 しかも、将兵の多くは、普段起居している兵舎から遠出することもない。駐屯地内の屋内に開設されている指揮所を手伝うだけ。ザーパドでもそうだった。だから野外に出ているじっさいの人数はいっそう少ない。

 軍事評論家のマイケル・コフマンが指摘してくれたこと。露軍は、旅団内からただ1個の連隊を演習に派出しただけでも、公式には「旅団が参加」と記帳させる。「水増し会計」主義なのである。

 ロシアのGDPは、テキサス州のGDPよりも小さい。
 ロシア政府は歳出の三分の一以上をセキュリティのために投じなければならない。
 他方で老齢年金の支給開始年を逐次に引き上げざるを得ない。
 30万の兵力を西から東へ運送する経費の捻出は、ハナから無理なのである。

 核動力の巡航ミサイルのプロトタイプをロシアは過去4回、テスト飛行させた。どれもクラッシュしたという。

 カーネギーモスクワセンターのアレクザンダー・ガブエフによると、演習に3200人の支那軍を混ぜた理由は、米政府へのメッセージなのだという。アメリカがロシアを追い詰めれば、中共と本格軍事同盟するぞ、という。

函館市内の我が借家でも、停電は地震の直後には発生していない。

 本日の『北海道新聞』朝刊に奇妙な記事が出ている。北海道内でも、3時07分の地震の直後に停電した地方と、ブラックアウト発生時である3時25分に停電した地方とがあった、と。そして、函館市内の自動スタート式緊急発電機のある病院は、同紙の取材に対して、地震とほぼ同時ぐらいに発電機が起動したとと答えた模様で、そこから記事は、函館市全体の停電が地震直後だったとミスリードしている。いったい道新の函館支局の当直たちは、その時刻に寝ていたのか?

 わたしはもう老人なので近年では毎日、未明の3時前後に自然に目が醒める(よほど疲れていれば4時半にズレ込むときもあるが、それは稀)。あの9月6日も3時00分前後にはすでに起き出していて、通信用PCの前に座って軍事系英文ニュースを拾い読みし始めていた(いつものパターンではまず「スターズ・アンド・ストライプス」を見、そこから「リアル・クリア・ディフェンス」に行き、それから「ストラテジーペイジ」等へ……。記事はすぐに読むのではなく、まずテキストを範囲指定&コピーをしてその日のテキストファイルに収束しておき、朝メシなどの雑用処理後に自室で精読するのだ)。
 すると隣室で寝ている女房の枕元のスマホが「地震です!」を連呼(だんだん音声は大きくなる)するのが聞こえてきた。どこかで大きなP波が発生したためS波が広がる前に警報を発する自動システムだ。たしかに、微かな縦揺れも感じた。
 たちまち、やや強い横揺れが来た。3時08分くらいだ。後で知ったが、函館市では震度5だったという。ウチは借家の一軒屋という気安さがあるため、このレベルの揺れでは正直、精神的に動揺することは、あまりない(プロパンガスの自動閉塞装置も作動していなかった。後で点検したが、目で見える被害としては、書棚の本数冊が、わずかにズレていた程度)。別室で寝ていた子供も、女房があわてて起こしに行くまでは、目がさめていなかったそうだ。

 わたしはいちおうポータブルラジオのダイヤルをNHKのAM局に合わせて、「リアル・クリア・ディフェンス」の注目記事中の「これは」と興味を惹かれるモノを、テキストコピーのために2、3、展開していたところで、停電が来た。
 記憶するつもりで時計を見たわけじゃないが、その時刻は、3時20分のプラスマイナス3分だと思う。後で報道された「3時25分」で合っているとも思ったがこれはどうにも断言はできない。まさかあんな大停電になるとは、その時点で思うわけがない。だから時計を睨んで正確な時刻をメモせねば、などとも考えなかった。
 ともかく、横揺れがおさまってからすくなくも10分間は、電灯線の給電に異常はなかった。地震と停電の間には、十数分間の時間は確かにあったと証言できる。

 停電になると町の様子が気になる。玄関から戸外に出て周辺地域を見回したが、全方位、真っ暗で、ただ、集合住宅のいくつかの窓がほの明るい。おそらくは懐中電灯などの電池式照明であろう。

 我が通信用のラップトップPCは、さる人から戴いた便利なもので、充電池がビルトインされている。町や家が停電になっても、この画面だけは消えず、文書作業やファイル作業は続行できる。フレッツ光のルーターはダウンするから、それから通信しようとしてもダメだが、すでにPC上のウインドウに展開してある記事画面は、残っている。
 しかしわたしは停電が2分以上も続くのでこれは長時間停電になるかもしれないとだんだんに思い始め、選んだ数本の記事(スターズアンドストライプス紙にはめぼしい記事がなくて、リアルクリアディフェンスには3本くらいコピーをとって読みたい記事があった)は超ナナメ読みで済ませてコピーなどとらずにPCをシャットダウンし(電池の電力保存のため)、兼ねて用意してある十数本の各種LEDライトを点灯して、真っ暗な屋内の各所に設置する作業の方に、とりかかったという次第である。
 いちおう当事者証言として、ここに残しておく。

 次。
 Patrick Tucker 記者による2018-9-10記事「The Military Now Has Tooth Mics For Invisible, Hands-Free Radio Calls」。
     軍隊のVoice通信用の革新的なマイク&スピーカー。なんと奥歯の裏に装着することができる。
 外側からはヘッドセットも送話器も見えない。したがって街中に潜入した便衣偵察者にはうってつけ。
 口の中に超小型のスピーカーを置いて、それでどうして相手の無線の音声が聴けるのか?
 震動が、歯→頭蓋骨[とうがいこつ]と伝わって聴覚神経まで達するからである。
 耳から聴くのと同じ感覚であり、違和感が無いという。

 このマイクを装着してシリアルを食べると、受信した側では、なんとも旨そうな音が聞けるそうである。

 送信の方式だが、ブルートゥースに似た、暗号化された電磁誘導信号だという。これは傍受を困難にし、水中を透過できる。

 ヘリからホイストで下ろされたレスキュー隊員が、首まで水に浸かった状態でも、この口中特殊マイクによってパイロットと普通に交信できることが、2017の「ハリケーン・ハーヴェイ」を利用した実験にて立証されている。

 次。
 Matthew Cox 記者による2018-9-11記事「Army Orders Emergency Fix on Bad Apache Rotor Blades」。
     アパッチ・ヘリコプターのローターブレードは8個の「ストラップ・パック」ナットで固定されているが、悪天候と臨海地方の塩害が、その留め金の疲労を早めることが、今年、米陸軍によって認識された。

 この2月には、整備兵は、アパッチの飛行前と飛行後に、このストラップ・ナットを念入りに時間をかけて点検するように命令された。

 陸軍とメーカーが到達した結論は、「メガ・ナット」と呼ばれる、より安全を確実にできる「輪っか(collar)」を嵌めること。これでブレードが空中で飛散しないようにする。

 しかし全機にこのレトロフィットが行き渡るのは来年夏になりそうだ。
 米陸軍はあと30年はAH-64を使い続ける。

次の夏までに プール/遊泳場用の監視ソフトが必要だ。浮き輪が反転したり、潜った人が何秒か浮上してこないときに必ず警報を鳴らす。

 定点監視のビデオ画像に刻々と映じ出されるモノの変化をするどくも見逃さないのは、AI技術の身近な安全への応用である。
 中共市場向けには、エスカレーター監視ソフトも売れるだろう。

 次。
 ストラテジーペイジの2018-9-10記事。
   2017-6-23にロシアはコスモス2519を軌道投入した。同衛星はその後、2回、軌道を変更してみせた。

 2017-8-23に、そのコスモス2519から、子衛星コスモス2521が放出された。ロシアは、それは、衛星監査機だと発表した。

 コスモス2521は、それから2ヵ月間、コスモス2519の周囲を動き回った。

 2017-10月末、コスモス2521から、さらに小型の孫衛星コスモス2523が放出された。この孫衛星は、特別な機動を示さなかった。※他の2機を同一フレーム内におさめて撮影する役目か。

 続いて、2018年1月にかけて、こんどはコスモス2519が、コスモス2521をターゲットとして、さまざまに機動した。

 2018-2に入ると、コスモス2521が再び、コスモス2519の周囲をさまざまに機動した。

 2018-6~7月、コスモス2519がまた機動開始。セベラル回、軌道を変更し、7-19に、おとなしくなった。
 7-20にコスモス2521が軌道を1回変更し、いらい、現在までおとなしくしている。

 ロシアはボリヴィアとメキシコに衛星観測拠点を維持している他、自国内で90年代に閉鎖した拠点も何箇所か復活させている。

 ロシアは米国のデータベースよりも40%多く、宇宙周回物体について登録したものをオンライン公開している。

 米国は非公開データベースを抱えている。そこには各外国衛星の「状態」が仔細に報告されている。
 米国の関心は、中共がこっそりと周回させている秘密衛星の把握にある。※そのためにも日本の地ージス基地にはオーバースペックレーダーを持ち込みたい。

 2013前半にロシアは、1個の衛星が中共のデブリに衝突して損傷したと発表。そのデブリは中共軍が2007のASAT実験で盛大にぶちまけたもののひとつだった。

 2009には米国の生きている衛星が、ロシアの死んでいる衛星にぶつけられて破壊された。

 この衛星は60機あるイリディウム電話通信衛星群のひとつで、高度770km、衝突地点はロシア中央部の上空だった。スラスターは搭載していなかった。
 ぶつけた衛星は1993に打ち上げられた「コスモス2251」で、電源として核崩壊熱利用のアイソトープ発電機を搭載していた。スラスターは使い果たされており、軌道を変えられなかった。
 この2機の衝突により、デブリが600個、軌道上に散った。

 ※マッケンローが破壊し一変させた、英仏流のプロテニスの品格。爾来三十有余年、野獣選手肯定の米流風潮にはつきあえねえというのが、我慢していたBBCの本心の叫びなのだろう。アーサー・アッシュの再来だと。

発電設備にでなく、「蓄電池」設備世帯を減税優遇すべし。

 過去の拙著で三、四回も強調警告した気がするのだが、自宅の屋根にソーラーパネルなんぞを設置して、発生させた電気を電力会社にすべて「売電」して小銭を儲けた気になっていても、社会インフラである地域送電グリッドがダウンするような非常時には、自分と家族の生存維持のためにその投資から何の助け(電力)も得られることはない。
 それのみか、却って自宅の構造重心は不必要に高くなり、破壊的外力を受けたときの物的損害(目に見えない傷みも)が増してしまう。木造家屋の寿命が縮むのだ。

 こんなものを「エコ」だと唱えている、いかにも経産省的な浅はかな因果教を、北海道民はすぐに棄てるべきである。

 真に家族のためになる投資は、相当な容量の「蓄電池」であるはずなのだ。
 その蓄電池に充電するための電力は、深夜の電灯線からでも、趣味のソーラーパネルからでも、自転車ペダル漕ぎ型運動器連動ダイナモからでも、引き入れてかまわない。
 大事なことは、電気を「かなりの量」×「長い間」溜めておくことができること。そしてある時刻に前触れもなく地域送電グリッドがダウンしたときに、ただちに、その蓄電池から家庭の非常時必需電力(必ずしも100vでなくとも、6v~12vくらいのローボルトでも可い)が取り出せること。そして、9時間から数十時間ぐらいは、その電力取り出しが持続することだ。

 このような家庭用規模の蓄電池が普及していない理由は、ローボルト仕様のものは、まず認知度不足に帰せられるだろう。
 100v仕様のものでは、重すぎて本格工事を要したりと初期投資が甚だ面倒に思われる上に、設置後に年月が経過するにつれていつのまにか性能が劣化したり機能しなくなるなどといった不安も、最新の製品にすらも、つきまとうからだろう。
 つまりシステムを導入するときもだが、先々、それを維持して行くのが、電気の技師でも専門家でもない一般の家庭人にとっては、じつに楽ではない負担だと思えてくる。「便利な家電品」のように、いちど購入しただけではダメというハードルが、高すぎるわけだ。

 買って数ヶ月後に使い物にならなくなって、メンテナンスをそこで放棄した場合には、自宅の一スペースを占有するやたらに重い粗大ゴミとなり、まったく不経済な買い物だったという後悔だけが残るかもしれないなと、さいしょから想像されるほど。
 ゆえに、本格的な家庭用蓄電池は、ほとんどすべての庶民にとって心理的な障壁の向こう側にあるのだろう。

 人々が買わなければ、その商品の性能(信頼性、簡便性、高融通性、メンテナンス不要性、決して感電事故や漏電事故が起きないフールプルーフ性)も、向上しない。悪循環だ。

 だが、この事情は、国が税制を変えるだけで、まったく逆転する。

 すなわち、家庭用規模の蓄電池を購入したり設置している世帯に対して、政府が特別税制によって手厚く多重に報いたならば、今は継子のようにネグレクトされている大容量蓄電池は、かならずやソーラーパネル以上の脚光を浴びる。そして、普及率と製品の信頼度向上とが、相ともなう良循環を開始するはずである。

 「恒久無税」等の「甘味料」が添えられていれば、導入した蓄電池が数年にして機能が劣化してしまったとしても、腹は立つまい。そのうちに、耐久性が向上した新型がメーカーによって開発されてくる。税制を変えれば、こうした、日本社会の福利に資する好ましいインセンティヴが働くのだ。

 全国の、莫大な個人資産をほとんど退蔵させている有産老人たちは、いまさらソーラーパネルなどに投資する意味を見出していないと思う。
 だが、大容量蓄電池が完全無税の設備資産として児孫に遺贈可能なのだと周知されれば、話は変わる。いっせいに、蓄電池を自邸に導入しようとするだろう。
 これは、いかがわしい政商たちが暗躍した輓近のソーラーパネル/風力タービン・ブームなどと違い、震災時にじっさいにその家庭の居住者を助けてくれるのである。

 しかも、すべての自宅保有者に購買の動機があるので、国民的な景気浮揚に直結しやすい。
 ここにおいて、またしてもバブルは可能なのである。蓄電池バブルが。

 家庭用大容量蓄電池は、強風や地震にめっぽう弱い大規模太陽電池や風車等とは違い、実質的に日本国民の安全を向上させてくれる。
 電力会社のパワー・グリッドが予期せぬ大災害でダウンしたときから、各家庭はバックアップ電源(蓄電池)に切り換えられる。テレビは映るし、煮炊きもできるし、携帯電話の充電に困ることもない。そうやって自力のみで罹災初期の数日間を凌ぐことができるのだ。

 世帯ごとに大容量の蓄電池やローボルト家電品があるのもあたりまえとなった暁には、総体で日本経済は一層の省エネ構造にも脱皮しているはずだ。
 というのは、電力会社の水力発電による深夜電力が、かつてなく有効に活用されるようになるからだ。

 ソーラー・パネルを流行らせるよりは、世帯ごとの蓄電池を普及させる方が、公共政策としては、質が良い。救われ、幸せになる人の数が、はるかに多いのである。

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 Andrew Moseman 記者による2018-9-1記事「Cargo Ships Are Turning Back to Wind Power――But Don't Expect Big Triangular Sails
   貨物船の燃費を向上させるため、「ローター・セイル」という回転タワー状の「機械の帆」を甲板から屹立させるという新案。
 昔風の布製の帆よりも、推進効率は高いのだという。

 バスケットボールに激しいバックスピンをかけてダムの堤上から投げると、落下弾道が大きく変化する、そのような実験がある。
 原理はこれと同じで、タワーを回転させることで「マグヌス効果」を発生させる。

 このたびMaersk社は、高さ100フィートのローター塔を1隻のタンカー『ペリカン』号に取り付けてみた。

 これでタンカーの燃費が10%軽減されるのだという。
 世界的な船会社は、毎年、燃料代だけで30億ドルも支払っている。もしその10%が節約されたなら、3億ドルが浮くわけ。

 ※ロシア軍は、火力発電所を2箇所ばかり爆撃すれば全北海道をブラックアウトさせられるのだと理解してしまった。この対策をどう立てるべきか? JR北海道の新幹線、なかんずく、新青森駅(もしくは八戸駅)から新函館北斗駅の間の《青函》区間用には、むしろ「ディーゼル発電&電池式ハイブリッド機関車」が向いているのではないか。パンタグラフからの給電には一切、依存しない方式にするべきだろう。もちろん、燃費は悪くなるし最高速度も特急並に下がる。しかし、平時の燃費がいくら良くても、非常時に動かないのでは、公共交通機関として意味がない。内地から北海道へ、あるいは逆に北海道から内地へ、兵力や避退者を迅速に機動させなければならぬとき、「停電で動かせません」では話にならないのだ。鉄道の信号と通信に要する電力も、向後は鉄道会社が自前で「発電」して自給をするべきだろう。鉄道会社はじゅうぶんな敷地を持っているから、小型のLNGガスタービン発電所を建設するのに、特に苦しむことはない。既存の電力会社による「政治的妨害」だけが障害だと思う。JR北海道だったら、たとえば「北ガス」と共闘すればいいのだ。

業務上過失国家叛逆罪

 北本連系線の北海道側のDCケーブルが上がってくる海岸が、自宅から12kmくらいのところにあるため、ウチのあたりに限っては、全道ブラックアウトなんて関係ないのさと思っていたのは甘かった。

 北本連系を立ち上げるための外部電源は、七飯町峠下の、北電七飯発電所(水力)の1万キロワットの一部を充当することで、この次からは、なんとかできるんじゃなかろうか? (まさか、1万キロワットでも立ち上げには足らんのか?)

 この小規模水力発電所は、標高の高い「大沼」の水を、山の地下を貫通させた導管によって大野平野に落としてタービンを回す仕組み。通年、この「水甕」が涸渇することは、まず考えられない。
 だから、「北本系起動用」として常に頼りにできるはず。
 もし1万キロワットでは足りないのならば、緊急補助用の小型ガスタービンを増設するしかないだろう。というか、とっくにそのくらいやっとけよ――って話だろ。プンプン。

 もういちど、全道ブラックアウトを想定し、その状態から「北本」を立ち上げてみる、実戦的な訓練をやっておいて欲しい。
 また「プランB」として、森町にある北電の地熱発電所の1.5万KWを充当することによっても北本連系を即座に立ち上げられるかどうか――も、試しておくべきじゃないか。

 それと、北海道新幹線の、海峡トンネルの青森側の今別駅から、北海道側の木古内駅までの区間。せめて、ここに限っては、青森側からの給電だけでも運行が続けられるようにしておいたらどうだい。海峡の連絡補給路だけは止めちゃいかんだろ。

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 Patrick Tucker 記者による2018-9-6記事「It’s Now Possible To Telepathically Communicate with a Drone Swarm」。
   DARPAからの資金援助を受けてでネブラスカ大学で2015年から続けられている研究。脳に小さなチップを1個埋め込み、それによって、たとえば寝たきりのパイロットがF-35をリモコンできるようにする。

 今年は、開発目標を、1人で複数機のジェット戦闘機をリモコン操縦できるところに据え直す。

 ネイサンという本物の身体麻痺者が実験に参加している。
 「ブレイン・ジョイスティックだよ!」

 研究者いわく。航空機の側からも信号をこの人の脳にフィードバックするのだと。
 「航空機とのテレパシー会話と言ってもいい。」

 すでに3機からの信号を同時に受信させている段階。

 DARPAは2007年から革新的な「脳=コンピュータ」直結インターフェイスを委托研究させてきた。
 2012には、非侵襲的な装置によって合成テレパシーを実現してくれ、という課題が与えられている。 ※今回のは埋め込み式なので「侵襲的」である。

 義肢を脳によってコントロールするのが初期の達成目標だった。
 いずれは「記憶修復」も目指す。

「断水デマ」を飛ばした最初の人物を各地で特定しよう!

 まさかと思うが外国からのSNS書き込みじゃないだろうな? 全道の主要都市で同工異曲の流言が飛んでいたなんて、不審すぎるぞ。

 このリアル・ケースで、誰がいつSNSにカキコしたかのビッグデータを洗っておけば、将来、サイバー戦争/ハイブリッド戦争になったときに、防禦策を講じ易くなる。是非とも、やっておくべし。

 こんかいリアルで価値を見直したもの。(とっくに製造中止されている)パナソニックのワンセグTV。3万2000円もしたと思うが、防水であるうえ、停電中でも単三電池×4本で視聴ができたのは、なんともありがたかった。家族の気分の上でね。

 今回は「リスク分散の鉄則」「多重バックアップのありがたさ」が銘肝されたと思う。なんでもひとつに整理すりゃいいってもんじゃないよ。コストよりも大事なポイントがあるだろう。
 公衆電話は残すべし。否、増やすべし。
 ロランCやオメガは日本単独でも復活させておけ。(次はGPSがダウンするから。)

 「電動シャッター」はこれからは売れなくなるだろう。7日の早朝に、あちこちの商店主が困っていたよ。停電で、開けられないので。片付けも準備もできやしねえ。

 ラジオの交通情報アナウンスで、ホントに気が利かぬと思ったこと。
 道路の区間名をズラズラと七個も八個も列挙してから、それが「使える」のか「使えない」のかを教えてくれる。

 そんなリスナーをイライラさせるやりかたをしてどうするんだ。平時じゃないんだぞ。
 道路の区間名1個を読み上げたら、すぐにそれが「使える」のか「使えない」のかを明らかにせよ。
 そしてそれに続けて、二番目の道路区間名を読み上げて、それが使えるのか使えないのかを知らせよ。
 逐次に順番に、それを区間の数だけ繰り返しなさいよ。
 そうするのが、非常時式の、お知らせの方法として、ふさわしい。

 それと、災害直後のラジオ生放送で、5秒以上の無音声時間を作ったらダメだ。そこに気が利くのか利かないのかで、局スタッフの「器量」が判る。

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 Brian Melley & Michael Balsamo 記者による2017-9-7記事「North Korean Charged in Crippling Sony Hack, Wannacry Virus」。
    ソニーピクチャーズから2014年に、近日公開予定の映画作品のデジタルデータ(『フューリー』を含む)などをまんまと盗取し、また、別な年に、ランサムウェアのワナクライで全世界を混乱させた、北鮮のハッカーが特定され、米連邦捜査局によって9-6に起訴された。

 被告は現在は北鮮領内にいるであろう。
 バングラデシュの政府銀行から8100万ドルを盗ったのもこやつだと。

 このハッカー、同じ偽名でロッキードマーチン社などにもスピアフィッシングのメールを送っていることが判明している。

 バングラ銀行以外でも各国合計10億ドルくらいがハッカーに盗まれているので、捜査は続行されている。

 ワナクライを仕掛けた集団は「ラザルス・グループ」とも呼ばれる。
 FBIは、大連市郊外の「Chosun Expo」なる北鮮政府フロント企業がハッカーの巣窟だと睨んでいる。同企業のウェブページは2016-7月頃に消えた。

 2014にオバマ政権は5人のシナ人をハッキング犯罪者として起訴した。また2017には複数人のロシア人ハッカーがヤフーに侵入したとして訴追されている。

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 DREW HARWELL 記者による2018-9-7記事「DARPA says it will boost investment in artificial intelligence programs」。
    DARPAのAI開発五ヵ年計画。
 2019からの5年間で、総額20億ドルを投入するつもりだ。

 問題は、シリコンバレーの超大手が必ずしもペンタゴンの企画に協力的ではないこと。
 グーグルの創立者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジも、DARPAから資金協力を受けていたおかげで大卒ぐらいから結構な研究ができたのだが、この6月にはグーグル社が社員の多数意見として、米軍とは戦争ビジネスの新規契約(途切れなく大量に送信されてくるドローン映像をロボットが淡々と解析するソフトの開発=プロジェクト・メイヴン)をしないと声明した。


 DARPAは、「グーグルがやりたくないのなら他社を探すまで。予算はこれだけあるよ」と言っているわけだ。
 6月にDARPAのナンバー2であるピーター・ハイマンいわく。たぶん数百社が手を挙げるだろう。

 プロジェクトは単一ではない。他には、オンライン上の人の声や面相の映像がフェイク加工品であるのかないのかをAIで見破ってくれるソフトだとか、マシンと人間を「共生」させる環境づくり、などもある。

 すでに米連邦行政の事務がパンクしている、新たに雇ったり昇任させたい職員のセキュリティ・クリアランスお墨付きのための身元調査を、人に代わってしてくれるAI、といった開発プロジェクトもある。

 結論だけをポンと示すのではなくて、その理由を人が分かるように説明もしてくれるAI。この「エクスプレナブルAI」のコンセプトも追究される。

 ちなみに、アップル社のアイホンに搭載されている「Siri」も、DARPAが開発に協力したのである。

 トランプ政権は、米国が先頭を走るべき分野として、製造業・宇宙探検・医療における発明を第一、AIを第二番と位置づけ、その順番で研究開発予算も投入すると6月に発表している。

 ペンタゴン内には、「四軍統合AIセンター」が6月に発足している。これは四軍バラバラのAI開発の無駄を避ける調整をすすめる機関だ。

 FY2017に米政府全体でAIに投じた予算は20億ドルだった。

 中共ではアリババやバイドゥが政府と密接に結託しながら無人自動車運転やヘルスケアや国防へのAI応用を進めている。
 街中の監視カメラで全住民の顔をすべて認識する北京政府のAI国民統制網は着々と完成に近づいている。
 そして2030年までにはAI技術で中共が米国を抜くと豪語している。

 しかしながらマイクロソフトとアマゾンの社員は、移民局や地方警察のための顔認証ソフトの開発には反対だとキャンペーンを張っている。

 ※今次災害で内地の自衛隊は道内の諸都市に何を搬入すべきだったか? リアカーに載せた、スマホ充電端子多数付きの給電バッテリー(燃料電池)。これをヘリから兵隊とともに街の目貫に近い公園へ降ろして、6日の夕方から7日の払暁まで、周囲をLEDで煌々と照らすべきだった。集まった民衆は、ほとんど「神さま」扱いしてくれたはず。その場で隊員募集もしたら1万人くらいもサインしただろう。もう遅いけどね。これから地本が倉庫に用意しておくべきアイテムが、ひとつ、決まったと思う。3トン半トラックで牽引できる、水タンクトレーラーと同サイズの「給電機トレーラー」も新開発しようよ。

 次。
 ストラテジーペイジの2018-9-6記事。
  2018-6に英SASの二人組チームが、普通のM2 キャリバー.50 MGを単射モードにし、精密スコープをとりつけて、IS幹部を距離2300mで狙い撃ったところ、胸に命中。斃した。

 過去には、1967に米海兵隊の狙撃のプロが、スコープを取り付けたM2重機で2250mの単射対人狙撃を成功させた例がある。それに次ぐ快挙。

 狙撃専用の12.7mmライフルだと、2500mくらいの狙撃はできるようになっている。2017-5にはカナダ特殊部隊兵が「TAC50」という専用の狙撃銃を使い、3540mの狙撃距離レコードを樹立している。

 ※もとから保有されていた古資産に、比較的安価な最新のデバイスを装着することで、パフォーマンスが倍増することもある。このようなポテンシャルは日本の自衛隊既存装備のいたるところに探すことができるものだ。ただし組織全体に創意を活用する文化が根付いていなければ、無尽蔵の精神資産も、空費されておわり。残念だが。

正直、「FMいるか」よ、ありがとう!

 このコミュニティFMのアナウンサーたちの田舎の大学生的な喋り方は正直従来わたしの耳には苦痛であったのだが、このたびの真っ暗な停電期間中(わが街区に限れば、2018-9-6日の未明3時15分頃から、翌7日の午前8時47分までの約29時間半)、いちばん役に立ったメディアは、ポータブルラジオにて聴取できた「FMいるか」であった。

 遠くの地震に起因する長時間停電に陥った地域住民がとりもあえずいちばん知りたいと思っていることは何か? 震度の見直しでも、震源が活断層かどうかでも、閣僚や気象庁の誰彼の公式発言でもありはしないのだ。

 そんな腹立たしく無益な古情報をLP盤の終末トラックのように漫然と繰り返してくれる放送局ばかりが多かった中で、わが函館山の「FMいるか」放送局は、「復旧変電所情報」「通電再開街区情報」「信号再開道路情報」「給油営業中のGS情報」「営業続行中の食料品店情報」「閉鎖病院情報」等を、主に住民や関係者からのタレコミ情報に基づいて(裏は取らずに)逐次に速報してくれた。後半に至り、同局が契約しているフレッツ光の回線が7日朝4時半にダウンし、インターネットSNS配信は断念されたようだが、携帯電話のボイス通信等で収集は続けられたと察する。
 こうしたコミュニティFM局の電界強度は平時からもっと強くしてもいい。特に災害時には出力を上げられるような準備と法規が必要である。発動発電機の燃料が尽きた南茅部~椴法華方面の僻地中継局が数時間にして早々と停波したらしいのは、じつに気の毒であった。僻地こそ電波情報が必要なのに、これでは社会的使命は果たせない。

 停電が実は全道ブラックアウトだと分かった昨日時点ですぐ考えたこと。
 これは米国発のリーマンショックに準ずる経済的な大災厄である。
 よって、消費税増税はもはや許されなくなった。
 ぎゃくに「復興国債」の発行を検討しなければならないだろう。

 十数年にわたり、女房から馬鹿にされつつ、非難されれつつ、さげすまれつつ続けてきた、戸外におけるLED灯設置実験の意味が、ようやく理解してもらえたのは、嬉しかった。

 これからインフラが復旧すると、北海道じゅうの懲りた人々が、LED懐中電灯を購求せんものと、電気店に殺到するかもしれない。
 各種の懐中電灯をランタン代わりに一晩中点灯してあらためて確認できた所見を記す。
 プッシュボタンスイッチでON/OFFする型式の安物LED灯は、放置しているうちに接触不良を起こして消えてしまう率が高い。
 スライドスイッチ式、または、胴体をねじってON/OFFする型式の、売価1000円弱~2000円弱のスイッチ方式のものが安定していると実感した。電池は、単三を1本か2本使うものが、補給面でいちばん安心ができる。
 単3は、スマホ用のモバイル充電器に装填する電池だから、非常時を想像できる、こころがけのよい人なら、多数のストックを保有している。

 ガスカートリッジ式の卓上コンロは、とても重宝する。冬場だったら、これが文字通り、命を救うだろう。

 家族で朝飯~昼飯代わりに一人2~3個のアイスクリームを食べるときが来るとは思わなかった。長期停電となったら、冷蔵庫の中の冷凍食品から、とっとと始末をつけて行く着眼が必要なのだ。他方、常温保存が利く食品は、最後の命綱として、残しておく。

 長時間停電からの復旧後、最初に急いでやらねばならないのが、冷蔵庫内の大清拭だ。ハイターを使わないと、カビが大繁殖するはずだ。……というわけで、我が指先は今、非常に痛む。爪の隙間に塩素が入っちまうんだよね。

 近所のスーパーマーケットの中には、6日のひるま、店の前の駐車場にて、冷凍食品をすべて無料で配布したところがあった。ぼやぼやしていると融けて腐ってしまうからだ。
 彼ら従業員にもこれから、大清掃の一仕事が待っているはずだ。

 陸上の冷凍設備が使えないのでは、地元の漁船だって出漁しない。
 しかしわたしは「こんがり焼き鯵」の干物をストックしていたので、影響ほとんど無し。

 このような大規模長時間停電では、温泉専用施設だけはでなくて、自家発電機がある大きなホテル付属の浴場もダウンするらしい。これは勉強になった。

 必然的に開眼したのが、「水シャワー」の浴び方である。
 まず、びしょぬれのタオルで全身を拭い、ついで、頭を洗う。そのうちに全身から発熱してくるゆえ、最後は冷水の直噴にも堪えやすくなる。修行者の気分になる。しゃがんで洗うのがコツと思った。そして、夕刻前の明るい時刻に済ませるのが安全也。

 家庭用の風呂用の湯沸し器は、燃料は灯油ゆえホームタンクにふんだんにあるのだけれども、その運転には100V電源が必要な仕様であるので、停電中はまるで使えなくなる。
 北海道の地場メーカーよ! 電力は一切必要としない灯油燃焼式の家庭用給湯機の開発を急ぎなさい!
 さもないと、今回懲りた道民は、プロパンガス燃焼式の家庭用給湯機材に、乗り換えるだろう。個人的には、それでもいいんだけどね。

 女満別空港は、発動発電機用の燃料が涸渇して、6日のうちに運用をギブアップしてしまったとラジオで聞いた。
 安いからといって重油を燃料にしていたのか?

 もし今次の災厄から彼らが教訓を汲む気なら、空港の発動発電機は、燃料を「ジェット燃料」に統一しておくべきだろう。さすれば、航空機に給油するための容量の大きな燃料タンクの残量がある限り、飛行場の機能を維持する電力も保つはずだからだ。

 ブラックアウトの危険が伏在することがわかった北海道に限っては、ドラスティックな「燃料行政」の見直し指針も必要と思う。
 北海道用版のディーゼル燃料として「灯油」を普及させるべきだ。
 発動発電機も、ディーゼル乗用車も、トラックも、そしてビル用暖房、戸建住宅用暖房も、基本的に「灯油」かLNGにする。
 燃料の「灯油での統一」は、米陸軍が世界的にやっていることである。彼らはトラックのディーゼルを、ヘリコプター用の灯油(ジェット燃料)で回している。それで、何の問題もないのだ。兵站がとても単純になるので、車両を動かすときの灯油の仕事効率が軽油よりすこし悪くても、補給コストの低さでペイしてしまうのだ。
 北海道もその方針を採用すれば、将来、冬に大停電や大災害が起きたとき、内地から灯油だけを補給すれば、人々は助かる。

 「デマ」が流れたのは新鮮な驚きだった。6日早朝に「本日午前10時で断水する」とかいう流言が広まった。配水施設は標高の高い所にあるし、ウチは平屋なので、理性では、上水の水圧の不足はないはずだと思いつつ、それでも万一に備えねばと、「水溜め」大作業に励んでしまった。

 さっきPCのメールのフォルダーを開けたら、モノやカネを送りましょうかというご提案を多数いただいており、甚だ恐縮した。
 せっかくなので、停電中でも(モデムやルーターを必要としないで)メールを受信したり送信できる機能のついているモバイルPCの中古品でもあったら、何台でも貰います。

 拙著『空母を持って自衛隊は何をするのか』の中でさまざまに提言した防災上の着眼に関し、今回、特に修正の必要を感じたことはなかった。

 しかし、付言したいことは、おかげさまで、たくさん思いついた。それらはまた、ぼちぼちと語って行こう。

 とにかく皆様、ありがとうございました。当方、無事です。

さきほど8時48分にわが町の停電は復旧しました。

というわけで更新までにしばらくお待ちください。

 ネタ ありすぎなので。

もしブッシュプレーンが自由に飛べないのならば、「飛ぶ車」が発明されたとしても誰も買わない。

 したがって誰も開発を考えない。
 空の分野では、法制をなんとかしない限り、技術も日本では発展しようがないのだ。

 次。
 Stephen Blank 記者による2018-9-4記事「Russia’s Vostok-2018: A Rehearsal for Global War?」。
      9月11日から15日まで実施される「ヴォストーク2018」大演習は、1981年の「ザーパド(西方)1981」演習以来の規模になる。

 露兵30万人と中共兵3200人参加。モンゴル軍も。

 これほどの大規模演習をする理由は、露軍がいつでも急速総動員をともなう本格大戦争ができるよう、民間人と、地方の役所等も含めて全組織に、活を入れることにある。

 かつての「ヴォストーク2010」は中共を脅しつけるためのシベリア核演習だったが、こんどは中共兵を混ぜてやることによって敵対関係がないことを宣伝する。誰に対する宣伝か? もちろん対NATOだ。

 ロシアはもうじき「スホイ35」も中共に売ってやる。これらによってモスクワ政府はNATOに対し、欧州戦域で開戦した直後に中共を使嗾してロシアの背後を撹乱させようとしても無駄だぞと宣伝しておきたいのだ。

 ロシア側には、事実上の「露支軍事同盟」を結んでおきたいという強い動機がある。

 2012-12発足の安部内閣は露支間に対立緊張があることを前提としてモスクワに粘り強くさまざま秋波を送り続けた。しかし日本がロシアから引き出せたものは5年間、遂に何もなかった。こうして「ヴォストーク2018」が、日本の希望も目に見えるように打ち砕く。

 日本政府は、露支がほんらい似た者同士であり、日本に都合よく対立などしてくれないという現実を受け入れる必要がある。安部内閣の対露構想は、アマチュアたちの夢想に立脚していたのだ。

 豪州などアジア諸国もこれからは「露支一体」を前提として国防国策全般を検討し直す必要があろう。

 ※習近平が弱気になっている。露・支は「宣伝重視」という「癖」では相似ているのだが、その中味には大きな差異がある。簡単に言うと、露軍はじっさいに戦争ができる。アメリカ向けのフェイク宣伝をしていないリアルの「使える」秘匿戦術も持っているのだ。ところがシナ軍は、じっさいにいかなる戦争もできない。徹頭徹尾、フェイク宣伝とフェイク装備とフェイク軍隊しかないためだ。その現実に熊プー(習近平)はさいきん、気付かされた。それゆえ、対米関係が緊張するや、露支間の「気分」の優劣が、たちまち露側に優位になった。平時にシベリア経済を労働者の人海で侵食していても、そんなのはシナ軍の「張子の虎」性をいささかもカバーしてくれない。労働者は脅されれば国家を裏切る気満々なのだ。

 ロシアは、《NATO軍がシリア沖で「毒ガス空襲」を準備している》――といういつもながらの偽ニュースをでっちあげ、アサドがシリア人民を毒ガスで攻撃する口実を用意してやっている。

 例によってプーチン周辺ロシア人特有のパラノイアと虚言症のミックスだが、さいきん、露軍は「NATOを抑止する」という名目でイドリブ市の総攻撃のために北海からも黒海からも軍艦をシリア沖にかきあつめている。ゲリラの潜む市街地に向けて「カリブル」でも乱射させる気なのか?

 そうではない。
 この露海軍の動きは、じつは「ヴォストーク2018」の一環なのだ。さすがに燃料代その他に余裕のないロシア海軍は、全艦隊を極東に集中させる予算など捻出できそうにない。それでやむなく、海軍の大規模動員訓練だけは、シリア沖で済まそうというつもりなのだろう。

 ただし、集中した艦隊は訓練後にまとめて黒海へ移動させ、ウクライナでまたもや新攻勢を始める算段かもしれない。ウクライナでの陸上作戦中、艦隊は、アゾフ海を海上封鎖するのだ。

 もちろんその封鎖は、核の先制使用をチラつかせた対NATOの脅迫を伴う。その「核脅迫」の事前演練が、地中海東部で、見物のNATO海軍相手になされるはずだ。

 このように「ヴォストーク2018」はけっして地域的演習ではない。全地球的な、核兵器運用も包含した大戦争の予行であり、21世紀のプーチン流の瀬戸際外交なのである。

 ※おかげさまで新刊『日本転覆テロの怖すぎる手口』は堅調な売れ行きです。オウムの死刑囚がいなくなって公安調査庁が局に格下げされ、そのかわりに「入国管理庁」が新設されようという流れのその先に、どんな危機が待っているのか? 知りたい人は一読しましょう。

 ※こんどの台風21号の強風が各地で「新記録」を残しました。来年ももっと「新記録」は続くはずです。それに備えるいちばん合理的な方法を知りたい人は、既刊『空母を持って自衛隊は何をするのか』の6章、8章、9章をごらんください。

「東風41」のバスが12個のRVを分離してしまうのは、発射から5分後である。

 これを見張るレーダーを置く場所がない。だから日本のレーダーが強化される。日本のためじゃない。合衆国のため。

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 Fox News の記事「Iran's secret weapons-smuggling air routes to Lebanon reveald by intel sources」。
  イランの表向き民航会社が、ダマスカス経由(2018-7-9)、および直航便(トルコ上空飛行、2018-8-2)で、レバノンのヒズボラに精密機械の製造機械を届けた疑い。
 ボーイング747型機派生の輸送機で、中味は、短距離弾道弾の工作機械ではないかという。

 先週はロイターが、イランがイラク政府軍のために短距離弾道弾を供給したと報じた。イラク政府は否定した。

 ※イランのカネはどこから湧いてくるのか、じつに神秘也。トランプが拡大制裁したら、日本政府としてつきあうべきなのは当然だ。中共が漁夫の利を得るとか、そんなの世界向けの言い訳として説得力あると思ってるのか。

 次。
 Jeffrey Lin and P.W. Singer 記者による2018-7-12記事「China's latest quantum radar could help detect stealth planes, missiles」。
   ステルス機も探知できるとする「量子レーダー」。中共の軍用電機大手であるCETC社が、6-22に、高々度飛行物体については探知ができるようになったと吹かした。

 会社の目標としては、まずは成層圏での飛行機探知に用い、ついで、大気圏外の低軌道にも探知範囲を広げたい。
 ※米陸軍は2028までにハイパーソニック兵器を長距離砲代わりに用いるつもりでいるので、その探知は必要。

 簡単に言うと、光のビームが絡んだマイクロ波を上空に向けて発射し、跳ね返ってくるものを観察する。※そうではなく、地上サイトまで跳ね戻ってこなかったとしても、上空で何かにぶつかってビームが乱されたときには即時にその光量子の変動を地上においてリアルタイムに魔法の鏡のようにモニターができるという理屈なのではないのか? 双子同期的な量子の挙動現象を観察して。

 このとき、従来の電磁波ECMのように敵側が反射信号を細工しようとしても、光量子の場合は、発射した側で、細工の有無を確実に識別することができる。したがって原理的にECMされなくなる。

 光量子(フォトン)がぶつかった物体の表面が、いったいどのような物質であるか、それを地上で識別することもできる。プラスチック製のバルーンデコイとソリッド金属の見極めがつくので、ミサイル防衛に役に立つ。

 中共は高度2万mに浮かべる飛行船も考えている。
 これをプラットフォームにすれば、ハイパーソニック飛翔物体の接近を早期警戒できる。

 CETCは2016-9に、世界最長レンジ(といっても100kmだ)の光量子レーダーを建造したと吹かしていた。

 次。
 Stephen Carlson 記者による2018-8-10記事「Bukkehave to provide Toyota pick-up trucks to Syrian allies」。
    「CJTF-OIR」は、イラクとシリアでISと闘っている地元勢力の合同機関である。クルド部隊や、イラク政府正規軍も含まれる。米国防総省は、日本で製造されているトヨタのハイラックスを、フロリダの改造屋「Bukkehave」社の手で「テクニカル(汎用軍用軽トラック)」に改造させ、 「CJTF-OIR」に供給することにした。

AIは、ちっとも人手不足を解消していない。

 ストラテジーペイジの2018-9-2記事。
   「殲20」の量産が依然として進まない理由が国営テレビの報道で明らかにされた。熟練工が集まらないのだという。

 少子化社会になっている中共国内では、民営も官営も、工場労働者が足りない。

 J20 の製造は、やっつけ仕事では絶対にできない。
 胴体の一部は複数の合金から成る複雑な構成である。このモールドと工作は、特に時間を要する工程である。

 殲20が必要とする特殊な部品の供給も、タイトである。

 中共は、J20の開発コストが44億ドルであったと明かしている。製造単価は1億1000万ドルだという。

 殲20は全天候性にも問題があり、その問題はまだ解決されていない模様。
 2017前半に「12機以上がすでに空軍部隊に配備された」とした公式報道は、真っ赤な嘘であった。未だに開発途中なのである。

 ※ブッシュプレーン(アラスカ型の超軽量STOL機)のメーカーや学校が北海道にないのが不思議でならない。量産の反対の、1機ごとの手作り。それも僻地で本人修理が可能なスチールパイプ構造。ツンドラタイヤ(+スキー)の固定脚。昔の九六艦戦みたいにアレスティングフック無しでフラットデッキ船上にも降りて連絡飛行ができる。何の問題があるんだ? 日本の有閑大金持ちは、なぜこの分野に投資をしない? のびしろありまくりだろ。

Gaupillat【ゴピヤー】という名の武器メーカーがあったのねんのねんのねん!

 いや杉浦久也さんにはすっかりご面倒をおかけしてしまった。「Gaupillat」という名のフランスのメーカーがあることを直接にご示教くだすった。
 学匠の手によりそこまで調べがついているのに愚老が余計な憶見妄譚、いまさら慙愧いたすほかなし。まっ平ご容赦を賜ります。

 次。
 Neil Fotre 記者による記事「F-35B Lightning IIs need protection from ... lightning」。
      岩国基地の海兵隊は、LBAテクノロジー社から、14本の避雷針を調達する。
 この避雷針は移動式。ハンガーの外に駐機しているF-35Bを落雷の被害から守る。

 特に電撃に弱いのが、F-35のウリであるALIS=自動ロジスティクス情報システムだ。

 地上で機体に被雷した場合、燃料タンクの中にある気化ガスに火が着く恐れもあるという。

 移動式避雷針は、天気予報で雷雲が接近しそうなときにだけ、引っ張り出す。

 次。
 Avery Thompson 記者による2018-8-23記事「Clever New Tech Could Let Subs and Planes Talk Directly」。
     MITが、潜水艦から上空の味方飛行機に、無線ブイを使わずに、信号を送り届ける方法を考えた。
 強力なスピーカーで潜水艦の直上の海面(表面の1ミリの厚さ)を震動させる。
 使用する音波を2種類に決めておき、それを「1」と「0」の代用にする。
 その振動波形を、味方飛行機が、レーダーによって読み取る。バイナリー信号を解読すると、メッセージになるのだ。

 ※室内の会話が窓を震動させるので、外からスパイしている者が窓の震動を可視化できれば会話音声も再現できる――という話と同じなのかと思ったら、違いました。

 ※じつは似たような「軍艦のデコイ」を想像したことがある。一般に、何もない海面は、上空からのレーダー電波を反射しないので、SAR画面ならば黒く映る。しからば、敵のアクティヴ・ホーミング式対艦ミサイルの発するレーダーを強烈に反射できる波形の「さざなみ」を人工的に付近の海面に発生させてやれば、その海面だけ「まっ白」になって際立ち、エグゾセ・タイプの敵の旧式な対艦ミサイルは、ぜんぶその海面へ吸引されるのではないか? 水面のマイクロ波散乱強度を大きくする薬剤は開発できないだろうか?

 次。
 David Hambling 記者による2018-8-30記事「The Science of Russia's New Silent Sniper Rifle」。
     ことしのロシア陸軍エクスポには狙撃銃「MTs-116M」の消音バージョンが出展された。

 MTs-116Mは20年前からあるボルトアクションで、7.62ミリ弾を使い、700mまで狙えたもの。
 ところがメーカーは今回それを12.7mmに増径し、なおかつ無音化したという。

 7月に公表されたところでは、中東ではISも、クルド部隊のYPGも、消音小火器を使っているのだという。大流行のブームだ。

 ライフルの弾が飛びすぎるときにシーツを引き裂くような音が聞こえる。これが、超音速銃弾が作るソニックブーム。

 そこでタマの初速を亜音速に設定しておけば飛翔中にノイズが出ることはなくなる。問題は、弾速が減少すればタマの貫通力もなくなってしまうこと。
 そこで、5倍も重い12.7ミリ弾を選んだ。これなら亜音速で飛ばしても300m先での対人殺傷威力は維持される。
 メーカーは、ボディアーマーも貫徹する、と主張している。

 ※いっぱんに銃弾の命中時のエネルギーは弾速の2乗に比例するけれども、弾重には1乗でしか効いて行かぬ。さいわい、ライフル弾を亜音速に減速するためには、初速を半分にする必要はない。それに対して12.7ミリ弾の弾重は7.62ミリ弾の5倍あるという。4倍以上あればエネルギー減の補償が可能ではないかと単純に思う。あとは、12.7ミリ弾の素材と形状の工夫か……。

 次の問題は、銃口部からの発射音。ふつうにライフルの筒先に消音機を付け足そうとしたら30cm以上もの長さが加わっちまう。

 だがロシア人は1970年代に、「キャプティヴ・ピストン」というおそろしい発明を、暗殺拳銃用になしとげていたのだ。
 これは、発射薬の燃焼ガスの膨脹が、薬室から前方(すなわち銃身の方向)へは、少しも漏れ出さぬようにしたものだ。だから銃身内にはガスは入らない。
 とすれば、そのガスが銃口において急に大気中に拡散して「パン」という大きな音を立てることもない。したがってサイレンサー自体が不要なのだ。
 拳銃名を「PSS」といった。

 想像するとよい。太く短い薬莢だけを前後さかさまにして、長い薬室に装填する。その薬莢のケツには小さな弾頭部が接着されている。
 薬莢内の発射薬が点火されると、薬莢は後ろ向きに前進するが、薬室の先端部(銃身の尾端部)で、前進は阻止される。片道運動のピストンのようなものだ。しかしその急激な運動エネルギーは、薬莢のケツに接着された弾頭がひきとり、小さな弾頭だけが銃身内を前進・通過し、ターゲットの人体に向けて飛翔する。
 現場に空薬莢が転がることもないし、ポケット内からでも発射ができるし、スパイの暗殺用拳銃としては、メリット大であった。

 このPSS拳銃を試射して発射音を計測したところ、9ミリのグロックの1/6であり、また、0.22インチ口径拳銃の1/8であったと。

 「PSS」拳銃は2011年に改善されて復活し「PSS-2」と称されている。その実包は非常な高額だそうである。「MTs-116M」は、その特殊実包を12.7ミリに応用した。