兵頭語録(超・暫定版!)

2002.1111


石原莞爾は、一九三一年に満州事変を起こす前に、満鉄調査部から、
満州には、わずかな油母頁岩(オイルシェル)しかないということをしらされていた。
石原はこの報告を自らの匡底にしまい、満州の石油資源は極めて有望との無根拠な噂を内地に広め、
これによって陸海軍の支持と期待を取り付けた。
しかし石原のはらは、満州に大軍を駐留させながら、
対峙するソ連から石油を買えばいいという太平楽極まるものであった。

日本の海軍兵備再考 十六頁 株式会社銀河出版社

枯山氏:昭和の戦略家と呼ばれている石原莞爾ですら、
石油エネルギー確保には稚拙な策しか考えられないとは
「水田稲作の呪」による日本人への影響は甚大なものだと考えさせられました。

日露戦争後、軍艦の動力が石油化することははっきりした。
となれば、日本は蘭印の油田に対し、
政官軍民挙げての鉱区採掘権の買収交渉を始めなければならなかったはずである。
ところが、こうした問題に一番関心を払うべき海軍が、
第一次大戦が始まるまで、ほとんど何もしなかった。
海軍は、漠然と台湾油田に期待する一方、
米英蘭の石油メジャーからの輸入に依存し続けた。

日本の海軍兵備再考 十四頁 株式会社銀河出版 一九九五年

推薦者:枯山氏

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