●”■×”(数字) 『天雷は誰が意志なる』
没シナリオ大全集 part 4.2
Part 2:本当の依頼人は誰だ
○ブルガリアの首都ソフィア
ネーム「ブルガリアの首都ソフィア」
○ブルガリア正教の教会
○同・内部
正教会の司教が○”×△”ゴと二人、地図や写真を前に、聖堂の中で会見中。
依頼人「…確かにロシア正教会などと違い、わがブルガリア正教会はセルビア正教会と深刻な反目関係にあります」
○”×△”「…」
依頼人「しかしこの依頼は、そんな内部事情に基づくものではない。…かつて宗教対立から中欧を荒野と化した三十年戦争の悪夢が東欧に蘇らんとしているのです!」
○”×△”「この新しくできた異端審問所一箇所を掃滅すれば現代の“三十年戦争”は防げると…?」
依頼人「セルビア正教会の最先鋭の理論派がそこに集められています。彼らが過激化すれば、大セルビア運動はどこまでも暴走するでしょう!」
○”×△”「…」
依頼人「ここに○○万ドイツ・マルク用意しました。…東欧はすっかりマルク本位制でして…(ハードケースを開け、札束を見せる)」
○”×△”「その金は本当にブルガリア正教会からか?」
依頼人「えっ…?」
依頼人と○”×△”、しばし無言でにらみ合い。
○”×△”、帰ろうとする。
依頼人「…わ、わかりましたッ!隠さず申し上げます」
○”×△”「三度目の訂正は認めないぞ…(葉巻に火を付ける)
依頼人「非共産化で教会再建に着手したばかりの我が外貨支払力など知れたもの…。これはイタリア政府からの援助金です」
○”×△”「イタリア政府?確かバチカンはカトリックのクロアチア支援を中止し、イスラム諸国との宥和を唱えているが」
依頼人「はい。そしてこの秘密作戦ではローマはバチカンと気脈を通じています」
○”×△”「教皇庁とイタリア政府が裏で連携する意図は?」
依頼人「すなわち、ムスリム難民をイタリア半島に入れないこと!」
○”×△”「…なるほど、もし数十万人のボスニア難民がイタリア半島に溢れれば、イタリアはカトリック国ではなくなってしまう…」
依頼人「ですからセルビア正教会の過激分子粛清に関し、バチカンとイタリア政府と我がブルガリア正教会は利害を共有するのです」
○”×△”「わかった…。この依頼はブルガリア正教会のものと認めよう」
依頼人「神の祝福を!…おっと、神より正確と言われるあなたには、ご無用でしたか…」
○”×△”「…」