●”■×”(数字)  『TOWER OF POWER』

没シナリオ大全集 part 4.3



○塔の上
 狙撃者の足(しか見えない)、見失った○”×▲”を求めて、鉄塔上を右往左往する。
狙撃者、ふと後ろを振り向く(体の一部しか見えない)。
西隣りのそのもうひとつ隣りの鉄塔に、目もくらむような雷が落ちる。
 その鉄塔は基部から座屈してゆっくりと地上に倒れる。
 スズーンという大きな音、土塵、振動。
 その大きな音に混じり、鉄塔の下の方から、カタンという小さな音が響く。

○狙撃者の耳のアップ

狙撃者「(非常に驚き)…!」

○狙撃者の視点
 鉄塔の下を数角度から確認するが、鉄の部材ばかりで、○”×▲”の姿は見いだせない。
 自分が登ってきた手足がかりの列にも、人が取りついている様子はない。

○塔の上
 焦った狙撃者、盲滅法に下に向かってライフルを乱射しはじめる。
 部材に当たってガンガン跳ね返る音、シュルル…という跳弾が宙を飛ぶ音。

○狙撃者のクロースアップ(顔全体は判らず)

狙撃者「…!」

○狙撃者の俯瞰視野
 塔の上から1/3ほどのところの垂直部材の影に、隠れている○”×▲”の上着の一部が見える。

○狙撃者のクロースアップ(顔全体は判らず)
 ニヤリとする狙撃者の口元。

○ロング
 遂に、西隣りの鉄塔に落雷。
 そのすさまじい光芒にも拘りなく、狙撃者は○”×▲”を射撃できる位置まで、銃を構えてにじり寄って行く。

○塔の上
 抜き足で移動する狙撃者。
 下からよく見える位置までくる。

†”×▲”の上着の一部分のアップ
○塔の上
 ○”×▲”の体の真ん中を捉えようと、銃を構えた上体を大きく屈ませ、乗り出す格好。

○狙撃者のクロースアップ(口元だけ)

狙撃者「(驚いて)…!!」

○狙撃者の視野
 何と、その上着は、風でパタパタそよいでいる。
 実は、ここまで登ってきた○”×▲”が紐で縛り付けておいた囮、案山子だったのだ。

○地上
 地上に戻って巧妙に隠れていた○”×▲”、死角から身を乗り出した真上の狙撃者に銃口を向ける。

○サイトのクロスヘア
 狙撃者の影の真ん中が捉えられている。

○銃口
 発砲!

○地上
 ○”×▲”、すぐに部材の影に隠れる。
 間。
 やがて、なま暖かい血液がボタボタと落ちてくる。
 見上げる○”×▲”
次いで、何か物体の落ちてくるカラン、カランという音。
落ちてきたものは、先のシーンで男の子が持っていた手製の弓である。
 それもベットリ血にまみれている。
 ○”×▲”、それを手に取ってみる。
 ゴロゴロ…という雷鳴が近付く。

†”×▲”のクロースアップ
 ○”×▲”の髪が急に逆立つ(すぐ近くに落雷がある前兆である)。

○”×▲”「…!」

 ○”×▲”、銃を反対側(西側)に投げつけるや、全力疾走で東の鉄塔の方に向かって走り出す。

○鉄塔の上
 血塗れの手が銃床を握り締め、弱々しくも、下界を走って逃げる○”×▲”の背中を狙おうとする。
 この時、狙撃者の背中の全体が見え、服装から、あの男の子であったことが読者の眼にも明らかになる(しかし顔は見せない)。

○狙撃者の右手のクロースアップ
 引金が序々に引き絞られる。

○東の鉄塔基部の方から見たロング
 ○”×▲”が狼の死体の側まで来たところで、背後の鉄塔に大落雷。
 ○”×▲”、狼の死体の脇で、地にしゃがみこむ(伏せると感電することがあるので)。
 しゃがみこんだすぐ前の地面に、着弾。

†”×▲”のクロースアップ

○”×▲”「(執念の一発を見て)…」

○鉄塔
 鉄塔全体が一瞬燃え上がったようになり、煙を吹き上げる。

○俯瞰・時間経過
 黒雲は遠雷を小さく聞かせながら、東の空へ移ろっていく。
 くすぶる鉄塔の列を後に、さらに西の目的地を目指して歩いて行く○”×▲”の影。
 はるか後方、女の子が男の子を探し回っている。            

(完)


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