シリーズ『決心変更セズ』

没シナリオ大全集 part 6.4


第1話「不名誉小隊」


このマンガが一切ノー・タブーであることを象徴する人肉メシの途中、米陸軍のM4中戦車を含む大部隊に急襲された辺利小隊。かろうじてこれを撃退したあと、部下たちは、逃げ隠れしていた辺利をなじる。すると辺利は小隊員ひとりひとりの過去を暴露し、この小隊が実は特別な“不名誉小隊”であったことを明かす。ただし読者に知らせるのは下に記した真相のうちのごく一部であり、それぞれの詳しいストーリーは後ほど1話づつ設けて回想されるであろう。

・辺利はノモンハンで小隊を指揮し、敵戦車数十台を肉攻で撃破したが重傷を負って捕虜になり、戦死と広報されたが停戦後に生還。死後授与予定だった金鵄勲章も剥奪された。以後、万年中尉のまま不名誉小隊を任され、最前線をたらいまわしされている。

・三田は辺利と陸士同期の元少尉。北支で所属していた大隊本部中隊が強敵の重囲に陥り(実は支那軍をプレデターが応援していた)、大隊長が重傷、中隊長と先任小隊長がみな倒れたのでその代理となった時、独断後退を命じた罪で兵長に降等された。

・華眉は実はガーディアンエンジェル。三田の元上官の大隊長が台湾で徴兵係をやっており、東京に顔をきかせて手配してつけてくれた。しかし三田も含め全員そんな事情は知らない。辺利も『あわれなのは華眉よ。この小隊で何の落度もないのはヤツだけ。不名誉小隊などに配属され、貧乏くじをひかされたもんよ』と逆に同情している。

・経理はアメリカを知っているだけに東條の楽観的な戦争指導に批判的だった。その陰口を仲間に密告されて憲兵につかまり、一兵卒として最前線へ。

・浄音は青森のマタギを祖父に持ち、秋田で石油を掘り当てた山師で大金持ちの父と、会津の大庄屋の娘の母との間に生まれた。何不自由なく育ったが、東京で医学生をしているころアカの思想にかぶれ、学校を中退。特高に検挙され、拷問されると思いきや理路整然と共産主義の矛盾を説かれて言い返せなかったことから転向して出獄、その直後に徴兵された。祖父のマタギの知恵と医学の知識が身に付いている。

・時々登場するゲストの1〜2等兵たちは、ガ島やインパール、ニューギニア、キスカの生き残りの兵隊たち。東京の方針で、早く戦死させるために、この不名誉小隊に臨時配属されてくるが、全員三田たちの援護で生き延びて新任地へ向かう。しかし、愚劣な上級指揮官や米軍の鬼畜の所業のために辺利たちの目の前で犬死にすることも。

第2話以降の展開

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