兵頭先生に会ってきた!
がんばれ!四谷ラウンド
宴が始まった。
先生の席から私は少し離れていて、あちらで何を話しているのか定かではなかってけれども、隣の席に来てくださった坂本氏から
「兵頭さんの考えはもう主流だよ」という言質を聞き出せたのは僥倖だった。
私は凡人───相当に下の方にいるが───であるが故に1つの確信がある。
絶対に『オンリーワン』にはなれないという諦観であり、絶対に自分は『主流』でしかあり得ないという自負だ。
小説版『蓬莱学園シリーズ』の公安委員長のモットーは『常に多数派であれ』であるが、凡人は望むと望またるに関わらず『多数派』である。それはもう仕方ない。
でも、だからこそ私が崇め奉る開祖は既にして主流なのである。
あんなに───考えようによっては───キレた考えが既に主流なのだ。
日本は良い所だ。良かった───これで、既にして伝説と化した『日本の防衛力再考』が復刊される日も近い。私の望みはその一点。
本当に良かった。唇を噛み締め深呼吸していると、グラスを片手にもった先生が
私の隣の席に座ってくれた。
名探偵コナンの毛利小五郎(神谷明)のような声だった。
朝ナマにも出演されている先生なので『そんな声だったか?』と思う人もいるかもしれないが、アクセントが似ているのだ。いや、声質も似ていると思う。
「本当に『良い図書館があるから』御引越しされるんですか?本当にそんな理由で?」
「他に何があるの?」
信じられない。だがやはり、そうなのだろう。
そこから先は、他の皆さんにもかなり失礼な事を言った気がする。
実際、私個人の完全な私事も話した。きっと、つまらなかったと思うのだ、私の話なんか聞いても。
先ほどから皆さんの話を伺っていると、かなりハイレベルな話を軽妙洒脱に歓談されている。私にそんな芸当はできないし、それに、先生の個人的な宴とはいえ、例えば本当に丁寧こ名刺を下さった画材屋檸檬の社長氏にしろ他の皆さんにしろ、多少なりとも情報交換や商売の意味でもここに集っているんだと思う。
それを全く私は支持するし、だからこそ、私のような情報も持たければ、商売的に意味があるわけでもない話なんかしても悪いだろうな…と思ったりもした。
自分でも思うが、私の話は聞いても益がない。
でも、そうは思ってはいても、結構私は話したし、そして皆さん本当にちゃんと聞いてくれた。嬉しかった。ありがとうございますである。
宴は更に盛り上がりを増す中で、横っ面を札束で引っ叩くような発言が飛び出した。
四谷ラウンドの経営不振である。
えらい事だ。
もし倒産などしたとしても、意気のある四谷ラウンド社長氏はゾッキ屋ルートで兵頭本を流す事は無いが───だが、多分流れるだろうという事。『偉大なる四谷ノーギャラ企画』は本当に百万部売れてもノーギャラという『およげたいやきくん』よりも酷いものだが、しかし倒産してゾッキ屋ルートで流れたら、もっと悲惨じゃないか。
私は丁度其の時先生にサインを書いてもらっていたが、私のヤーボー丼もソッキ屋の証のハンコが押してあった。そんな事はともかく、一体先生はどうやって食っているのだ?私はかなり考えたように思う。
まぁ、私と先生は違うだろうが、人間、麦茶を沸かすヤカンさえあれば、何とかなるものだと思うし、何とか食ってはいけるのだろうが…。
2002/11/28
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