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平成19年度・防衛省オピニオン・リーダー視察
  《三沢(空自基地)2007-10-18&八戸(陸自駐屯地・海自基地)2007-10-19》
八甲田-猿倉温泉 編

(兵頭 二十八 先生 より)

十和田バスから八甲田
 今回のツアーは個人的に10月17日、南八甲田の猿倉温泉から始めることにした。函館から三沢に直行する汽車の便が、入間からC-1が飛来するタイミングより2時間も早いものしかないため、わざわざ駅まで迎えに来て下さる基地広報の人たちに余計な負担をかけてはいかんと思ったわけ。前日に青森県内に入っておき、朝10時代の十和田観光電鉄で乗り込めば、C-1便の三沢到着とだいたい同じ時刻になるはずだ。
 青森駅前のバス停広場に、高速バス乗り場があって、その案内所(ここでも暇つぶしができる)で「十和田湖」方面行きのバス切符を買って12時発のバスに乗る。
 バスで猿倉に直行すると、着くのは13時23分となり、ちょっと早い。そこで12時59分に途中下車し、八甲田ロープウェイに初乗りと洒落込む。ここは、怪著『日本のロープウェイと湖沼遊覧船』で無念にも取材をパスした、公共交通アクセスがあまりよくないところだ。山麓駅には常時、数台のタクシーも待機している上、レストハウスでチープなメニューを注文すれば長時間の暇つぶしができる感じだったから、安心だ。


RWから雲谷方面を見る 八甲田RW山麓駅
八甲田山頂の天候
【上からの紅葉】
 交走式のロープウェイが、このハイ・シーズンは15分間隔で運行されていた。13時ちょうどのには間に合わぬので、13時15分のに搭乗。搬機は100人ちょっとが乗れる、大型であたらしめのものだが、ホーム進入後の強制揺れ止め装置がない。そのため、昔のロープウェイと同じように、ホーム直前で大減速して、自然に揺れがおさまる間、ノロノロと徐行する。交走式の場合、これが最大回転率の制約となってしまう。とはいえ八甲田の場合、観光ピークは秋の紅葉時しかないから、余計な投資はできないのだろう。
 紅葉と海が一望できる架空索道は全国でも有数ながら、9合目くらいで雲の中へ突入。これが山岳観光の博打たらざるを得ぬころで、天気が悪ければもうどうしようもないわけだ。地元民はこのリスクを弁える。それで、八甲田よりも手前の「雲谷[もや]ヒルズ」のホテルが、陸奥湾の眺望と、当日の行動の選択自在度の高さの両狙いから、人気がある。
山頂駅から
【山頂駅】
 山頂駅から一歩出ると、霧の中だし、風は吹くし、気温は2.8℃と来た。頭の防寒装備の準備を忘れた小生は、荷物が重いこともあり、早々に退散することに決めた。なお、山頂駅にも軽食喫茶店があるが、15分待つのにコーヒーは無用だ。
 山麓駅のレストハウスで(たぶん業務用レトルトの)カレーライスを掻き込みながら時間をつぶし、14時39発の十和田湖行きのバスが来るのを待つ(この便を逃すと、次のバスは16時34分まで来ない)。驚いたことに、やってきたバスの運転士は、12時59分に降りた前の便の運転士と同じであった。青森から十和田湖まで3時間弱のはずだが、いったい、どんなシフトなのか?

バス停から猿倉へ
【舗装された小径】
 15時03分に猿倉温泉のバス停に到着した。バス停から400mくらい、ご覧のような舗装された私道(?)を歩いて下って行く必要がある。途中、乗用車が何台も上ってくるのだが、これは、15時までやっている「立ち寄り湯」を利用した観光客たちであろう。
猿倉コテージ外観 コテージ内1
コテージ内2
●猿倉温泉は冬は6mの雪に埋没し、休業する。本館の隣に離れ(コテージ)がある。中が左右に二分割されており、吹き抜け二階構造で、ロフトのような二階部分に寝台が並べられ、一階の裏口テラスに各固有のミニ露天風呂がある。硫黄臭く、スケール(湯の華)が混ざりまくりな「元湯」。しかし洗い場が吹きっ曝しなので、秋季は、単に身体を温め直すという用途にしか向かぬと思った。夏場なら、面白いだろう。なおわたしは「家族+嫁の母」で予約したが、当日に子供が熱を出してしまったため、けっきょく単身で大人3人分の料金を払ってここで一晩過ごす事態となった。テレビはあるが、映るのは無料BSのみ(ケーブル契約なし。なにしろ電灯線が引かれておらず、自家発電だ)。

猿倉温泉
●本館の温泉は、外来客の立ち寄りにも開放される露天風呂と、宿泊客が利用できる「まほろばの湯」(内風呂+露天風呂)があり、後者が断然オススメだ。深夜、男湯の露天風呂から、北極星を正面に、市街地の「光害」を受けない無数の「男の星座」を、怖いくらいに眺めることができた。

猿倉から南八甲田
【南八甲田】
 19日朝、猿倉温泉の玄関付近から望む南八甲田の尾根。ところでわたしは朝食の焼き魚にサバの切り身を使うような旅館の食事を褒めることはできない。サバを出すぐらいならメザシ一尾を出して欲しいとマジで望む(それに目下、サンマがものすごく安いじゃないか)。しかし今回は体調がいつになく良く、ペロリと平らげた。


【十和田バスから】
 前日に頼んでもらっていたタクシーに、朝7時45分に猿倉温泉から乗車し、「十和田湖温泉郷」のバス停に向かう。そこから十和田観光電鉄バスの、8時40分発の、電鉄十和田市駅行きに、乗ろうと思っていたわけだ。ところがタクシーは速く、その前便の8時09分発のバスが来る前に、「十和田湖温泉郷」のバス停へ着いてしまった。タクシー料金は¥4110- であった(ちなみに尋ねたら、猿倉から三沢まで、通しでタクシーに乗れば、料金は1万円くらいらしい)。このバス停には屋根付きの待合ベンチがある他、目の前がホテルなので、もし長時間待つとしても、安心である。なお、地元(焼山周辺)のタクシー乗務員は、八戸行きのJRバスには詳しいものの、十和田観光電鉄バスには至って無知なようだったので、三沢へ抜けようとする旅行者は要注意だ。十和田市を横断した印象は、非常に良好。ここも住むのに佳い場所であると直感する。

そして三沢基地へ
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