●”■×”(数字) 『μ[ミクロン]オーダー』
没シナリオ大全集 Part 6
Part 6:異邦人のために
○ ワシントン・ポトマック河の川船の上
河上を行き来する観光フェリーの後甲板。
その隅で、蕃が観光客姿の●”■×”に接触している。
蕃「…小林税理士は、我々中国人の安全のために身命を賭して“キラーバグ”の独資[=外資100%]工場建設を阻止してくれた。だから工業貿易合作公司は、小林税理士のために、木目螺六郎に対する特別な報復を依頼することにした」
●”■×”「特別な、というと?」
蕃「『虫には虫を』が公司の希望だ。…ここに口径3ミリのエアピストルと溶融性の鍼弾を用意した。針先には中国のある地方にしか居ない住血線虫の幼生が封入されている。これをいま帰米中の木目螺に、それも左側頭葉のウェルニッケ中枢に、正確に撃ち込んで貰いたいっ!」
●”■×”「ウェルニッケ中枢…感覚性言語野を寄生虫に冒させ、失語症に羅病させる訳か?」
蕃「そうだ。それで木目螺は、愛好するシェークスピア劇のセリフを聞いても、意味ある“言葉”としては永久に認識できなくなる。研究者としても経営者としても、死に体になるのだ」
●”■×”「(エアピストルの構造を確かめながら)脳内血管を傷つけぬようにするには練習がいる。この鍼弾と弾道特性の似た練習弾はあるか?」
蕃「ああ、ここにたっぷりと入っている(紙箱を渡す)。ただしこいつは軽合金製で、融けることはない」
●”■×”「マカードルの方は、いいのか?」
蕃「あの人非人には、多額の保険金を掛けてから事故で死んで貰うことにした。こちらは単純な“仕事”なので、君の手は煩わせないつもりだ」
●”■×”「よく分かった(吸いさしの葉巻を水上に投げ捨てる)」