没シナリオ大全集 Part 6.1 


●”■×”(数字) 『1マルクの神聖帝国』


自分で解説:ドイツものとかは現実の流れが急なので、案を寝かしておくと、すぐに、もう全然古くて使えなくなる。そういうやつは、後で「部品」取りに役立てることもありますけどね。この試作は、確か☆◇☆゛用としては、八番目に書き上げたものではないでしょうか。不採用です。

オープニング〜プロローグ

(中央アジアの某オアシス都市の風景。)

キャプション
『旧ソ連邦・カザフスタン共和国、某市』

(街の一角にあるアラブ商家の中。その家の主人の白ヒゲ商人と、若い西欧人ディーラーが、書類や水煙管やサモワールなどの置かれたテーブルを挟んで、たったいま商談成立した風に席から立上り、握手。)

西欧人ディーラー(にこにこしながら)
「それでは決済はアメリカ・ドルで、2ヵ月後に再び私がここへ持参するということに…」

アラブ商人(怪訝そうに)
「おお…遠い国のお方にたびたびお会いできるのはうれしいが、なぜ銀行振込になさらないのですかな?」

ディーラー
「えっ?ですが…ゴスバンク(ソ連中央銀行)はとうに外貨決済機能を喪失しているし、合衆国の銀行は旧ソ連圏には未だ…」

商人
「表通りをごらんなさい。昔タス通信社が入っていた建物が改装されておりましょう。」

(ディーラー、開け放たれた窓を振り返る。強い陽射しの戸外。バザーの露店が並ぶ表通りが二股に分かれるその超一等地に、真新しく改装された白亜の殿堂。屋根の上には大工・佐官たちが立ち働き、いままさに巨大な屋号を仕上げにかかっている。ロゴは、ヒゲ文字で“DEUTSCHE BUNDESBANK”とはっきり見える。)

商人(息を呑んでいるディーラーの背中から)
「旧ソ連圏で唯一振込決済のできる銀行です。あの支店が落成したら、もうこの町でもお国との電信取引が可能ですな。ホハハハ…」

ディーラー
「ブ、ブンデスバンク(=ドイツ連邦銀行)…!」

Part 1

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