カスピの砲煙
没シナリオ大全集 part 4.9
Part 6:擬装
○カスピ海・中部・夜・風強し
サホノのフリゲートが、浮ドックのすぐ後ろで、艦尾を垂直に立ててまさに海中に没していくところ。
浮ドックと曳船だけが残っている。
○曳船ブリッジ
軍服姿のサホノが、窓からこれを見ている。
そこへ、ずぶ濡れの副官らが上がってくる。
副官「キングストン弁(*)開放に手間どりましたが、何とか作業を終えました」
[※註:艦底にある自沈バルブ。]
サホノ「ご苦労だった」
士官1「これから幻のアルメニア号を求めて、アゼルバイジャンの残存艦艇とカザフ海軍が血眼で捜索するでしょうな」
後方の壁時計は午前3時半を指している。
サホノ「…諸君、我々にチャンスはあと一度しかないと思う。薄明と共に、最後の作戦を発動する」
士官1,2,3「ハイッ!」
副官「艦長、これを(と、ランプと捻り式スイッチのついたアルミ製の小箱を渡す)」
艦長「これは?」
副官「私が製作したリモコン・スイッチです。今度は起爆の失敗はありません」
艦長「そうか…(受け取ったリモコンボックスを見つめる)」
○ロング
曳船と浮ドック、強風の中、前進し始める。
ドックは吃水を相当下げており、船台部分はすっかり冠水している(実はそこに原爆装置が載せられている)。
後には脱出ボートが数杯漂っており、呆然とした表情のCSCの船長、高級船員、水夫等が乗って、自分達の船が去って行くのを見送っている。