重量物運搬船『松丸』
没シナリオ大全集 part 4
作/兵頭二十八 (96.1.14)
○直江の回想シーン・ジュネーブの国連ビル全景
国連旗がはためいている。
○国連ビル内・会議室風の部屋
ネーム『−−国際テロ対策連絡会議−−』
各国の公安関係者十数人が、情報交換のため一室に集まっている。
プロジェクターに、従来型水爆の断面図が投影されている。
その前に立っているのは、IAEA[国際原子力機関]の女性係官(23)。
IAEA係官「IAEA[国際原子力機関]です。…従来型の水爆は、核融合反応を起こすために、まず原爆の発生熱を利用します。放射性の原爆原料は、大規模施設がないと濃縮できませんから、これまで私的な密造など不可能だったわけです」
次に、レーザー型水爆の概念図が投影される。
IAEA係官「が、もし原爆と同じ高熱が他の手段で実現できたなら…誰でも入手できる、放射性もない二重水素を使って、小さな工場でこっそり水爆装置を組み立てることが可能です」
声(リッツオ)「そして、その“もし”を成し遂げた連中がいるのだ」
全員、注目。
壇上に、いかつい容貌のEU警察高官・リッツオ(44)が上がる。
リッツオ「EU警察、ネオナチ担当のリッツオだ。…北ドイツで鉄工所などを経営しているこの男、ドクター・ヘスを、俺は永年マークしていた」
プロジェクターに、地中海の高給リゾートでテニスをしている“荷主”の顔が投影される。
声(直江)「えっ、そいつ、見たことがある…!」
全員、後ろを振り向く。
直江がいる。
直江「(注目されて驚き、小声で)…気がする…」
リッツオ「君は日本原発協会から派遣されてきたオブザーバーだね? 発電工学専門の君が、なぜこのヘスなど?」
直江「(遊覧フェリーのディナーテーブルにて共にタキシード姿で密談するヘスとホルテンの姿をオーバーラップさせ) いやあ…先週の土日に北海のクルーズ船に乗ったんですが、船のオーナーと一緒にいたのがその男にそっくりだったんで…」
リッツオ「(直江に駆け寄り、両手で肩を掴んで一人で興奮し) 汽船会社のオーナー? そうか、海上か…!!」
直江「ど、どうかしたんですか?」
リッツオ「実は、ヘスは、強力なレーザーパルスを一点に集中させ、原爆と同じ高熱を瞬間的につくり出す装置をどこかの地下工場で完成したらしいのだ」
一同「ええっ?」「何だって?(と、ざわめく)」
直江『レーザー…?』
リッツオ「そこまでは掴んだのだが、問題は、それで水爆を試作したとして、過激な反仏思想を持つ奴らが、一体どこで爆発実験、あるいはデモンストレーションをする気か、だった。その答えが、いまの君の情報で見えてきたよ!」
きょとんとしている直江。
会場の職員#1「(質問があるというふうに人差し指を挙げ) そのレーザーパルス発生装置って、どんな形をしてるんです?」
IAEA係官「(ブロジェクターの脇で) これが推定図です」
スクリーンに、レーザーパルス発生装置を組込んだ水爆のイメージイラストが投影される。
それは、『松丸』の“積荷”の外見に酷似した、巨大な円筒形。
○直江の回想シーン続き・北海のさびしい海岸・翌日夕方
漁船の修理工場風の建屋が遠くの入り江にポツンと見えている。
カメラや双眼鏡を持ったリッツオと直江が、波打ち際の漁師小屋の陰からその建屋をうかがっている。
直江「リッツオさん、あの建物は?」
リッツオ「(望遠カメラのシャッターを切り) パウル・ホルテンがプレジャーボートの修理などに使っている船渠だ。まったくいい場所を選んだものだよ」
直江「パウル・ホルテン?」
リッツオ「君の乗ったクルーズシップをはじめ、多数の船会社を所有する大株主さ。戦後、一代で成り上がった」
直江「それじゃそいつが、反仏過激派の隠れスポンサーだと?」
リッツオ「(双眼鏡を覗きながらニヤリと笑い) スポンサー? ホルテンこそが全ネオナチのニュー・リーダーだったのさ! 水爆計画も彼がヘスを使嗾[しそう]して…」
と、突如、デリバリー仕様のベンツのユニモグ・トラックが猛スピードで直江らの方へ近付いてくる。
リッツオ「しまった、気付かれたらしいぞ。君、銃は持ってるか!?」
直江「そんなもの、持ってるわけないで…」
リッツオ「だったらここを決して動いちゃいかん!!」
リッツオ、直江を突き飛ばす。
直江「うわーっ!(小屋の前の海に落ちる)」
リッツオは自分の拳銃を撃ちながら小屋から走り出ていく。
たちまちユニモグの荷室から飛び降りたスキンヘッドにピアスしまくりのネオナチの若者たちが拳銃や猟銃やナイフを手にリッツオを追って行く。
直江、水面から目だけ上げて様子を窺う。
夕闇の向こうから激しい銃声が響き、すぐにシーンとする。
直江「…!」
○直江の回想シーン続き・ホルテンの船渠近くの海面・夜
直江、海面に浮び上がり、息をつく。
直江「プハーッ! …ここまで泳いでくれば…おっ!?」
いつのまにか、巨大なクレーン船が船渠に近付いてくる。
クレーン船、ホルテンの船渠に横付けする。
クレーン船の甲板に乗っていた多数の作業員が船渠の中に入るのが見える。
直江『何が…始まるんだ?』
クレーン船、船渠の中からシートにくるまれた巨大な円筒状の“積荷”を引出し、懸吊し始める。
直江「あれは…!! (国連ビルでのプロジェクターのイメージイラストがオバーラップする)」
○やや時間経過・ホルテンの船渠
声(作業員)「ゆっくり巻き上げるんだ!」
ガラガラという音がしている。
クレーン船が円筒型の水爆をじりじりと吊上げている。
板張りの桟橋の上に、何着かの作業衣が干してある。
桟橋の陰から濡れた手が延び、その作業衣を一着掴み取る。
近くに大勢の作業員がいるが、皆積荷に注目していて全く気づかない。
○やや時間経過・クレーン船の上
クレーン船が積荷を吊るしたまま、ゆっくり沖合いへと向かっている。
そのクレーン船の操舵室のうしろから、一人の作業員が顔を出す。
変装してクレーン船の甲板に隠れている直江である。
直江、緊張の面持で前方海面を窺う。
直江「…!?」
前方に船影を認める。
“MATSU-MARU”という船名が読める。
直江「マ・ツ・マ・ル…! まさか日本船が…この水爆計画に関与しているのか!?」
クレーン船、『松丸』に近付く。
直江『ようし、ここまできたら日本代表のオブザーバーとして、どこまでも追跡するまでだ!』
直江、クレーン船操舵室の陰にしゃがみ、エンピツでメモ用紙に何事かを書く。
直江、操舵室の出口に転がっているワインの空き瓶に目をとめる。
クレーン船、いよいよ『松丸』に接舷しようとする。
ヘス「全員、あの重量物運搬船の甲板に移乗しろ! 作業終了後に点呼をとるからな!」
その声で、作業員たち、クレーン船の前の方に集まり始める。
直江、誰にも気づかれないように、手紙入のビンを岸側の海に流す。
波間を漂っていくビンのアップ。
直江『頼むぞ…誰か拾って、警察に届けてくれ…!』
直江の回想シーン終り。
○ホーン岬の手前・日中
南下を続ける『松丸』の全姿。
○『松丸』船内通路
番田「おい、見習い! 配管の錆落としが終ったら甲板に出ろ。この老朽船で荒天航海をやるには、それなりの準備がいるんでな (と、先にたって行く)」
直江『(汚れにまみれた姿で) 荒天航海…ホーン岬か…! それじゃ、南太平洋に向かうんだな…』
直江「あの〜、最終目的港はどこ?」
番田「(タラップを登りながら) お前には教えられん。それから、積荷に手を触れたら、外舷から放り出すからな」
直江「どうしてあの積荷にそんなに気を使うかな〜?」
番田「俺達が知るか! “荷主”がえらく神経質な奴なんだ、いいな?」
直江『どうやら船員たちは何も知らない…すると、ホルテンとヘスはどういう狙いでわざわざこんな船を選んだんだ…?』
○航走中の『松丸』全姿・翌日夕方
ホーン岬が近く、降雨は無いが、空は曇が渦巻き、風強く、海は荒れている。
ネーム『−−翌日夕方・南米ホーン岬沖−−』
声(船長)「転針用意…今だ、取舵10度!」
○ブリッジ内
船長が窓から後部甲板を見下ろしている。
操舵手「転針おわり、ステディ!」
船長「おっ、これはまずい…!(と、船内電話を取る)」
○食堂
食卓に二人分の食事があり、直江が食事をしている。
番田「(船内電話の受話器に) えっ、強風でカンバスが…? 分りました。…おい新入り、甲板までついてこい!」
○後部甲板
風で積荷のカンバスが一部めくれている。
ときどき横殴りの激しいしぶきが飛来する。
ウインドブレーカーを着込んだ番田、直江、および数人の下級船員が、体を斜めにしながら積荷の方に近付いてくる。
番田「(直江に) 急を要する仕事で仕方がない。お前もカバーかけを手伝え!」
船員たち、カバーにとりつく。
番田「(船員たちに) 積荷には直接手を触れるなよ!」
円筒側面のカンバスが一部めくれて風ではためいている。
その下には、いかにもSF風の装置の一部がのぞいている。
ネジは一本も使用されておらず、すべて溶接である。
直江『(むき出された積荷表面を注視して) ハッ…何か文字が…!』
表面に、溶接痕によって消えかかった小さい欧文表記。
直江『(指で擦って)“真空軸受…点検孔”? そうか、この中で何トンもある弾み車[フライホイール]を回し、その高速運動エネルギーを瞬時に大電力に変換するんだな…やっぱりこれは強力なレーザー発生器だ…!』
直江、カバーがしっかりかかっている円筒の前半部を見る。
直江『だとすると、向こうの端には水爆本体である二重水素と外殻[タンパー]が…!(と、さらにカバーをめくって見ようとする)』
声(船長)「君は何をしているのだ!」
直江、ハッとして振り向く。
船長が立っている。
番田、気づいてやってくる。
船長「番田君、積荷に人の手が触れるとセンサーが感知し、人工衛星を通じて“荷主”に分ってしまうのだぞ。なぜ彼を近付けた!?」
番田「すみません、手空きの者が足りなかったもんで…」
船長「皆の再雇用をフイにするつもりか。ブリッジで航海当直につけ!」
番田、すごすごと消える。
直江『人工衛星…? 再雇用…?』
この間に、船員達、カバーを完全にかけ終える。
船長「(疑わしそうな目で直江を見て) 君は本船がムルロア環礁を通過する際にボートで下船させるが、それまでは船底の倉庫から出ることを禁ずる」
直江「ムルロア環礁…? そうか、それで分った!!」
船長「(船員たちに) 連れていけ! 下で機関長に厳重に監視するようにと伝えろ」
直江「ま、待って下さい、船長、大事なお話しが!」
船長「聞く耳持たんね。二等航海士の言うとおり、君はどこかの環境団体の一員だ」
直江「(船員たちに引き立てられながら) ち、違う!」
船長「『松丸』はかつて荷主の期待に反したことは一度もないのだ。特に今回は乗組員の生活もかかってる。変な邪魔はさせない」
直江「(タラップに消えながら) その積荷は水素爆弾なんです!」
船長『(無表情に見送りながら)…やれやれ、麻薬でラリッたヒッピーか…』
○北海の寂しい入り江に停泊しているホルテンの豪華ヨットの中・早朝
衛星交信装置など、ハイテク器材がギッシリの船室。
ネオナチの若いオペレーターと、ホルテン、ヘスがいる。
モニター画面に小さな警報が点滅する。
オペレーター「(ヘスらの方を振り向き) 警報です、水爆のカンバスが一部剥がされたようです」
ヘス「(焦って) どうします、ホルテン会長? こちらから送っている制御信号を停波しましょうか?」
ホルテン「まて、ドクター・ヘス。自動報告器からのGPS座標をよく見たまえ」
ヘス「どれどれ…(と、別のモニターを見て) ああ、今、ホーン岬を抜けるところですな」
ホルテン「気象サービスによれば、その海域の風力は6〜8だ。風でめくれたのかもしれんだろう」
ヘス「なるほど…」
オペレーター「カンバスの被覆が、すこしづつ復旧しているようです!」
ホルテン「(ヘスに、にんまりとし) どうだ? 慌てて自爆の措置など取らなくてよかっただろう? あの失業船員たちなら、契約事項は死んでも守るから心配御無用だよ」
ヘス「さすがは会長、よりによってベストの一隻を選ばれましたね」
ホルテン「フフフ…倒産した日本の零細海運会社から即金で買い取り、船籍登録もしていないボロ船一隻…」
ヘス「(にんまりとし)…ヨーロッパの指導者面したあの国に一泡吹かせてやるその瞬間までは、全く秘密が保たれます!」
○ホルテンの豪華ヨット・ロング
寂しい入り江に浮かんでいる。
声(ホルテン)「そうだ。いよいよあと数日で、GPS報告装置がムルロア環礁の座標を伝えてくるだろう」
声(ヘス)「フハハハ…最後まで契約に忠実な日本人に、乾杯!」
○入り江の岸・同時刻
ホルテンの豪華ヨットが入り江に浮かんでいるのが小さく見える。
日課で犬の散歩をさせている杖をついた老人(70)が砂浜をやってくる。
犬、老人に先行して走り、渚に打ち寄せられた漂着物の臭いをかぐ。
老人「(歩いて犬に追い付き) コレ、むやみに落ちてる物をなめるでないぞ。毒だったらどうするんじゃ」
犬、吠える。
老人「…?」
老人、犬が臭いをかいでいたものを拾い上げる。
それは直江が数日前に流したビンで、中に手紙が入っている。
老人「手紙が入っとるぞ。…どこかの国で、郵便ストが長引いとるようだわい」
○南氷洋・1日後・昼・濃霧
一寸先も見えない濃霧中を航行している『松丸』全姿。
水爆のアンテナのアップ。
○『松丸』船底倉庫
狭い倉庫の天井の蛍光灯。
声(直江)「おい、廊下にいるアンタ、機関長さんよ!(吐く息が白い)」
その倉庫内に閉じ込められ、鉄扉を内側から叩いている直江。
直江「たのむ、大事な話なんだ。番田二等航海士を呼んできてくれ!」
○ドアの外
ドアの外は機関室の通路で、プロレスラーのような機関長(50)が椅子に座って誰も近付けないように見張り役をしている。
機関長の膝の上にはジグソーパズルがある。
機関長「(パズルのピースを一個盤面に叩き付け) うるせえぞ。お前には誰も近付けるなと、さっきも船長の電話よ。まったく、仕事になりゃせん!(吐く息が白い)」
○倉庫の中
直江『(沈思黙考し)…ホルテン一味の狙いは、ネオナチ製の水爆をムルロアで爆発させてドイツとフランスの関係を劇的に悪化させ、ネオナチ主導のドイツ核武装という政治潮流をつくりだすことだ。では、具体的な起爆方法は…?』
○南氷洋・昼・濃霧
船体に“GREEN PISTOLS”とペイントされたキャッチャーボート改造船が、単独航海している。
○キャッチャーボート船内
ヒゲに長髪、バナダナという往年のヒッピーのような格好をした男女十数名が、狭い船室内でフライドチキンを食い散らし、ハシシを吸いながらバックギャモンなどに興じている。
船内には、反捕鯨のポスターや標語がベタベタ。
2輪用フルフェイスヘルメットやギャフ(鈎棹)なども散乱している。
GP#1「昨日のロシア船は傑作だったな」
GP#2「ザマなかったぜ。同じキャッチャーボートが攻撃してくるとは思ってねえからよ」
全員「ワハハ…」「ヒーッヒッヒ…!」
レーダーを見ていたボス格の男が輝点に気付く。
GPボス「おい、近くにまた一隻いる!」
全員、興奮の面持でレーダーの周りに集まってくる。
○『松丸』全姿・同時刻
やはり濃霧中を航行している。
○同・ブリッジ内
番田は双眼鏡で見張り。
船長は海図を見ている。
操舵は自動。
番田「(双眼鏡を降ろして) 南氷洋名物の濃霧で、一寸先も見えん (吐く息が白い)」
番田『こんな航路を指定するとは荷主め、よほどこの船を他の船舶と擦れ違わせたくないんだな…』
入れたてのお茶を手に通りがかった五島、レーダー画面の変化に気付く。
五島「あれ、レーダーに輝点が…!」
船長「(海図から目を上げ) 南緯60度を通る貨物船などいない。…日本の調査捕鯨船だろうか?」
番田「反捕鯨団体の連中ってこともありえますぜ」
五島「(レーダー画面を食い入るように見つめ) 相手が針路を変えた! 20ノット以上でこっちに直進してくる!」
三人、顔を見合わす。
○『松丸』船底の倉庫
直江、腕組みをし、うつむいたまま、熊のようにイライラと歩き回っている。
直江『…航路と時刻を厳密に指定したのは、船が途中で臨検・拿捕された場合にすぐ探知でき、遠隔操作で起爆させて一切の証拠を消すためだろう…。ではもし水爆を、衛星からの電波が届かない海中に投棄したら…?』
直江、急にハッとして顔を上げる。
直江「そ、そうか…なんてことだ…!!」
○キャッチャーボート
濃霧中を24ノットくらいで疾走している。
GPボス「(ウオッカをビンごとあおりながら、操舵室から顔を出し、船首に向かって) おい、まだ見えねえか!」
一段と高くなっているキャッチャーボートの船首には銛打ち砲があり、銛の代りにロープのついたブイのような“弾丸”が挿入されている。
そこに、フルフェイスヘルメットに厳重な防水服を着込んだ砲手が陣取っている。
GP砲手「まだだ! この霧が晴れてくれねえことには…オッ!」
急にあたりの霧が晴れて行く。
ブリッジから海賊のような望遠鏡で見張っていたGP#1、『松丸』の船影を発見。
GP#1「いた、相当うさんくさい形の日本船だぜ! 商船はこんな海域は通航しねえ」
GPボス「貸せ!(と、望遠鏡をひったくる)」
○望遠鏡から見た『松丸』
声(GPボス)「違えねえ、あの冷凍容器…ナガス鯨がまるごと収まる大きさだ。新手の擬装母船が現れやがった!」
○疾走するキャッチャーボート全景
声(GPボス)「野郎ども、今日の敵はでかいぜ!」
GP全員「(ギャフなどの得物を手に) オーッ!!」
○『松丸』ブリッジ
霧がなくなり、向かってくるキャッチャーボートが視認できる。
番田「(双眼鏡を覗きながら) 船体の文字は…『グリーン・ピストルズ』!」
五島「えっ、あの過激派環境団体!? 二日前、この近海でロシア船がひどい被害を受けたってファックス朝刊に…!」
番田「じゃあ、あの積荷を鯨の肉か何かと勘違いしてるのか…」
船長「厄介な相手につきまとわれたな (と、舵輪を掴む)」
○キャッチャーボート・ブリッジ内
『松丸』が間近に迫る。
GP#2「針路・速度とも変えずに走ってやがる」
GPボス「こっちは馬力もスピードもあるキャッチャーボートだ。逃げようったって無駄よ」