地獄の骨男(仮題)

没シナリオ大全集 part 2


第2エピソードの案の2


 

 花咲がノッペラボーになるところまでは、「第2エピソードの案の1(アメリカプロット=4.20 FAX済 )」と同じ。
 化学業界は、伝統的に欧州が強い。なかでも最強なのがドイツのBASF、バイエル、ヘキストの3社で、この3社が世界のトップ3でもある。(英ICIが4位、米デュポンが5位、ダウケミカルが6位、スイスのチバガイギーが8位、米モンサントが13位。日本の三菱化成は、通産省の行政指導が最悪で、いまだに世界の14位。ちなみに大手門化学は、行政指導に従わず、三菱化成を抜いて日本一となった会社。)
 ドイツのビッグ3は、戦前は「I.G.[イー・ゲー] ファルベン」という巨大コングロマリットだったものが、占領軍により分割されたもの。そこでこのマンガでは、大手門化学と世界市場で真っ向から攻めぎ合う強大ライバルとして、「ネオ・I.G.社」という世界最大の化学メーカーを設定する。
 そのN.I.G.が、中国市場を席巻するために、黄河上流の玉門[ユイメン]油井地帯に、廉価な天然ガスを原料とする現地合弁工場を建てることを目論む。
 今日の化学プラントは、石油(ナフサ)または天然ガス(エタン)を原料に、まずエチレンをつくり、そのエチレンをベースにして、ポリエチレンなど各種有機化学製品を合成していくのが基本。そのため、ナフサの半値でしかない天然ガスの産地にコンビナートをつくってしまえば、一番価格競争力がある。
 玉門コンビナートは競争入札なのだが、対案を出してきたのは日本の大手門化学ただ1社だった。
 ところが法務部で探りをいれてみると、このネオ・I.G.社は、高酸性の排出ガスを中和処理せずに、砂嵐の日に秘かに大気中に放出し、黄土のアルカリと大気中で中和させてしまうという悪どいコスト削減を中国に提案していることが分った。こんなことをされては将来プラントの規模が拡大したときに、酸性雨が日本に降り注ぐ。
 そこでこれに対抗して大手門化学では、全く新しい合理化工程によって、コスト減を達成する案をぶつけようということになる。
 ところが、この工程設計図の試案をフロッピーに入れて現地視察をしていた大手門化学の技師が、乗っていた飛行機ごと行方不明になってしまう。どうやら天山山脈のどこかに不時着したらしい。しかも、事故の陰にN.I.G.の陰謀の匂いが…!
 かくして花咲と中骨に、このフロッピーをN.I.G.に奪われる前に回収せよという社命が下る。中骨らはただちに雪深い天山山脈に飛ぶが、そこには凶悪なN.I.G.の手先が待ちかまえていた…。

第1話PART1 第1話・粗案 第一エピソード
ニュージャージー・プロット 第2エピソードの案の2
「骨」第二話アウトライン 第二話

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